JP6343589B2 - 流動分別型の孔拡散膜分離モジュール - Google Patents

流動分別型の孔拡散膜分離モジュール Download PDF

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Description

本発明は平膜の孔拡散機構を利用して固液の分離を行う孔拡散式平膜分離モジュール、特に流動分別機構が加わった膜分離モジュールに関する。被処理液体中に分散する粒子に働く壁面から遠ざかるように働く力(軸集中力)を利用するモジュールに関する。該液体の流れに原因して粒子の大きさに対応して粒子には流れとは垂直方向に生じる力が作用する。その結果として液体中の粒子は壁面を遠ざかる。
液体中に溶解あるいは分散した物質を分離精製する膜分離装置には、中空糸膜モジュール,管状膜モジュール、平膜型膜モジュール、スパイラル型膜モジュールなどがある。いずれも膜間差圧を1気圧以上負荷するろ過分離を主とする装置である。そのため膜分離装置の機能は、液体中に分散する特定粒子(例えば、細菌やウイルス)あるいは溶解する高分子量物質(例えば、タンパク複合体など)を除去する点にある。さらにこれらのモジュールでは負荷される圧力に耐える構造をさらに液漏れ対策を取らざるをえない。平膜の場合には膜を保持するため、平膜の一部と平膜の支持体とを樹脂などで接着固定している。特に有効膜面積が0.1平方メートルを超える場合には、膜間差圧に耐えれる支持体や容器(ハウジング)はステンレス鋼や金属製となりモジュールの形態などの自由度を失う。あるいは中空糸膜の場合のように膜の一部と容器とを樹脂などで接着した円筒型のモジュールとなる。
膜ろ過法では、膜間差圧の負荷は不可避であり、この差圧は通常1気圧を超える。平膜モジュールの場合ではこの差圧はモジュールの最外枠で支えられる。そのため最外枠には補強用の材料が加わる。この補強用の材料に加わる張力は少なくとも(膜間差圧・平膜の面積)で該材料は設計上ではこれの数倍の力に耐えなくてはならない。
膜ろ過法では除去対象物が膜内部の孔に目詰まりするため、膜の再生処理がむつかしくそのため膜ろ過を想定したモジュールはシングルユース(使い捨て)となるのが一般的である。また膜ろ過法での除去率では、膜の孔径と除去対象粒子の粒子径との関係に依存しているため、除去すべき粒子の大きさが小さくなると、適用される膜の平均孔径は小さくしなくてはならない。すなわちろ過対象粒子に対応して膜モジュールの膜は選択しなくてはならず、その場合にはモジュールとしては膜の装填や取り外しが可能な組み立て式の方が望ましいが耐圧性の要求のためモジュールとして複雑となる。そのため膜ろ過法を想定した膜モジュールは膜の平均孔径を固定したモジュールが一般的である。
膜ろ過での問題点を一部解消する方法として平行ろ過やタンデンシャルフローろ過、クロスフローろ過と呼ばれるろ過法がある。このろ過方式では膜表面に堆積するゲル層(あるいは高分子量物質の濃厚な濃度分極層)を流れの力によって除去あるいは撹拌効果で分極を抑える方法である。これらの方法でも膜間差圧はろ過としてのろ速をえるために必要な圧力(通常1気圧以上)が負荷されるので、膜中の孔の目詰まりは常に起こる。ろ過対象液がモジュール内を流動するため通常のデッドエンドのモジュールに比して平行ろ過用モジュールの方がより耐圧性が要求される。
本発明でいう平膜とは、膜の厚さが0.2 μm以上で100 μm未満であり、膜平面の面積と膜厚の2乗との比が10000以上である。すなわち本発明モジュールで利用される平膜の形状は紙の平面状で近似される。該モジュールでは孔拡散が適用されるため膜間差圧は低い。そのため膜厚はろ過モジュールに比較して薄い。本発明でいう孔拡散モジュールとは膜間差圧が0.05気圧以下で膜表面での被処理液のながれのひずみ速度が2/秒以上の層流下で起る孔内拡散機構を利用した膜分離モジュールを意味する。平膜の膜厚とは平膜の物理的な見掛けの厚さではなく光学顕微鏡や電子顕微鏡で観察される物質の透過性を支配している部分の厚さを意味する。
温和な条件で粒子の除去のみでなく特定物質の分離や濃縮が可能な膜分離は、特にバイオテクノロジー分野での期待が高い。熱を加えることなく分離するため生理活性が維持できる。バイオ医薬品の製造や化粧品・食品の製造工程での精製工程で不可欠になりつつある。感染性微粒子の除去技術としてこれらの分野では膜ろ過による除去が現在では不可欠となっている。膜ろ過と同様に孔拡散膜分離技術は除去のみでなく成分分子の分離あるいは濃縮技術としての実用化が始まっている。
本発明中の膜分離技術とは、
(1)膜の表裏面での圧力差(以降、膜間差圧と略称)を物質(液体)輸送の駆動力とし、流体力学的な流れ(体積流れ)を起し、孔径と粒子径との関係で篩効果で粒子を除去する膜ろ過技術と、
(2)膜を介した2種の液体間での濃度差を物質移動の駆動力とし、流体の体積流れは起らずに物質を構成する分子の持つ熱運動性(いわゆるブラウン運動)の差を利用した孔内での拡散速度の差を利用した分離、および膜中の孔の孔径と粒子径との関係で生じる篩効果、さらに膜表面での処理対象液の層流としての流れが原因して起る流動分別効果を利用して分離する孔拡散技術(定常法孔拡散技術)あるいは流体を構成する媒体のみをわずかな膜間差圧で体積流れで流動させながら孔拡散を利用する“孔拡散”技術(以降、定常法孔拡散技術と“孔拡散”技術とを区別せずに単に孔拡散技術と略称する)と、
(3)半透膜を隔てた濃度差を物質移動の駆動力として、膜および物質の親和力差と、膜を構成する素材高分子の熱運動性(ミクロブラウン運動)で生じる自由体積の空間部の大きさと、物質の分子の大きさとの差で分子分離する拡散透析技術と、を意味する。
特許公開2006−055780 特許公開 2014−24064
本発明では固液分離方法を膜間差圧の負荷が不可欠な膜ろ過を利用せずに(1)孔内拡散機構と、(2)膜内の孔によるふるい機構と、(3)被処理対象液の膜表面のひずみ速度が原因で生じる流動分別機構とを利用する。すなわち孔拡散を実現する流動分別型の孔拡散膜分離モジュールを提供することを目的とする。該モジュールを用いることにより、膜の孔の目詰まりを緩和し、粒子除去のみでなく溶解する分子の分画・分取も可能となる。さらに膜モジュールの再利用も可能となる。
本発明では平膜表面で被処理液体を効率良く層流化させる流路設計が最重要である。膜間差圧を平膜のすべての個所で0.05気圧以下にし、かつ膜平面での被処理液体のひずみ速度を所定の値(2/秒)以上にする構造に設計することである。
本発明の第1の特徴は本モジュールでの膜間差圧が0.05気圧以下で操作される条件で使用されることが義務付けられている点である。この条件を満足させるためにはモジュールとして流路の断面積がある値以上であることと流路の長さがこの断面積と被処理液体の粘度と流速によって定められる値以下でなくてはならないことがモジュールの全体の形状に制限を加えていることが前提にある。
すなわち、流路の断面積と流路の長さとは逆に操作条件(膜間差圧と流速)に制限を与えている。
本発明の第2の特徴は該処理液体の流路に沿って下記(ア)、(イ)および(ウ)の3領域と利用される平膜の裏面側の(エ)の1領域の計4領域が少なくとも設けられている点である。
(ア)該液体の層流化準備域;モジュール内の(イ)の領域にモジュール外にある液体がスムースな流線で移行できるように設けられた領域でモジュール内への液体の出入口と連結している。
(イ)膜を介した拡散域;(ア)領域から出た該液体の流れを複数の細流に分割した後の一つの流路の単位として流路の断面は長方形であり、該流路を形成する4面の壁の内、平行な2面は厚さ1mm以下の平滑な固体板状体で、他の2面の内すくなくとも1面は該平膜の膜表面で構成される。該平膜を介して流動分別を伴う口内拡散が起る領域。
(ウ)該流路の複数が一体化し合流を形成する層流維持域、モジュール内の(イ)領域の液体をモジュール外へ排出する回路へ導く領域、
(エ)該平膜の裏表面で構成される空間域;(イ)にしめされる流路を構成する板状体と交差する角度で配置された厚さ1mm以下の固体板状体で形成される。拡散液の流路と該平膜の支持体の役割をはたす拡散液の貯留域。
層流化の準備域の存在により平膜の表面上を流体は滑らかの流線を描きつつ流れる。膜表面で流線が複雑な図形を描くと該膜の孔への目詰まりが進行する事実の発見により本発明の該準備域の必要性に至った。該膜表面での層流の流れにより流動分別、すなわち分子量(あるいは粒子の直径)が大きいほど膜表面より離れて流動する現象が顕著となる。層流を安定に維持するのに(イ)の流動分別が伴なう孔内拡散域の存在が不可欠である。流路を形成する壁面の一面あるいは平行する2面は該平膜の膜表面で構成される。(ウ)の層流維持域の存在は本モジュールを直列に連結する際には不可欠であり、連結しない場合でも該モジュールの出入り口と滑らかな流線で連結するのに必要である。(エ)の膜の裏面で構成される空間部には、(イ)域での流路を構成する板状体と類似の板状体が(イ)域での流路の方向とは交差する角度で設置され、該平膜を力学的に支持し、かつ拡散液の流路を形成する。拡散液の流路の断面積は(イ)の流路の断面積の2倍以上であり、拡散液の流れを制御する役割りはない。
本発明の第3の特徴は(ア)と(イ)の2領域は該平膜と同一平面で連結し、該流路内の液体の流れと該平膜表面とが実質的に平行である点にある。すなわち(ア)と(イ)領域はほぼ同一高さで直列的に連結し、(エ)の領域は(イ)の領域の該平膜を介して平行に並列的に配列している。この連結により(イ)領域の層流が安定に維持できる。
本発明の第4の特徴は領域(イ)と(エ)とに存在する厚さ1mm以下の固体板状体の存在である。該板状体の役割は領域(イ)の場合には流路の形成であり領域(エ)では平膜の支持体と拡散液の流路の形成にある。材質は特に指定されるものではないが成形の容易さと耐熱性と耐溶剤性とからポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類が適する。板状体の表面は滑らかであることが必要であり板厚として薄ければ薄いほど望ましいが液体の流れで変形や振動をしない程度の厚さは必要である。板厚が1mmを超えると平膜の物質輸送としての機能面での低下が顕著となる。
本発明モジュールを構成する平膜は物質の輸送特性を支配する最も重要な役割を持つ。そのため平膜としての特性は下記の諸特性を持っていることが望ましい。
すなわち
(1)ろ過速度法での平均孔径は10 nm以上で10μm未満である。
モジュールとしての処理速度は平膜の孔特性のみで決まるのではなく主として膜間差圧が支配する。したがって該平均孔径への要求は処理により除去すべき物質で定められる。たとえばウイルス除去では平均孔径は40 nm、細菌除去では500 nm、プリオン除去では20 nmなどである。
(2)空孔率は60 %以上である。
孔拡散による物質輸送速度は空孔率に比例するので空孔率は大きければ大きいほど望ましい。膜ろ過と異なり膜に負荷する力学的な応力(膜間差圧)は小さいため空孔率への上限の設定の必要性は少ない。
(3)平膜の膜表面での平滑度は10 μm以下である。
該平滑度は該平膜を構成する基本の構造体(不織布の場合には繊維、多孔膜の場合には表面の平均孔径またはミクロ相分離法での製膜では2次粒子)の大きさの3倍と定義される。この平滑度は膜表面での層流の厚さ設定の目安となる。
(4)平膜の物理的な見掛けの膜厚は200 μm以下である。
平膜が2種以上の構造体で形成されている(すなわち複合体膜を形成している)場合には該見掛けの膜厚は物質輸送に支配的でない部分も厚さに寄与している。この部分を含めて平膜の物理的な見掛けの膜厚と定義する。孔拡散では濃度勾配が物質輸送で重要な駆動力となるため見掛けの膜厚は薄ければ薄いほど望ましい。
処理対象の液体が流れる流路の一面を形成する平膜の表面での液体の流れは重要である。この流れが層流であれば流動分別効果が出現する発見によって流動分別型の本発明モジュールが生れた。層流の出現は(イ)領域の流路内での液体の流れがレイノルズ数が2000以下であることで確認できる。2000以下を簡単に実現するには流れの厚さを小さくすれば良い。(イ)領域の流路を細分化するのみでも層流は実現する。流路の一つの単位として、その形状が直方体を形成する流路が望ましい。厚さが2mm以上で10 mm未満にすることにより液体の流れにともなった平膜表面での流れのひずみ速度を2/秒以上に容易に達成可能である。ひずみ速度を大きくすると流動分別効果が高まることが実験的に明らかにされた。流路の幅は2mm以上で40 mm未満である。該幅を大きくしすぎると流れのショートカットが起りやすく流動分別効果が現われにくい。該流路の長さは幅以上で700 mm未満であることが望ましい。平膜のすべての面で膜間差圧を0.05気圧以下に維持するには流路長さを短くすることが必要である。
本発明で膜間差圧を0.05気圧以下に平膜のすべての点で維持されていることが膜ろ過の寄与を零にするために必要不可欠である。該膜間差圧は液体媒体を構成する分子(通常水)のみが膜の孔中を体積流で通過するのを実現するための最重要操作条件である。
本発明モジュールにより孔拡散膜分離が再現性良くかつ簡単に実施可能となる。孔拡散膜分離の特徴である分離・濃縮・除去・隔離の効果が実験室規模から実用化規模にいたる連続したスケールでのいずれでも再現される(いわゆるスケーラブル)。本発明モジュールでは孔拡散膜分離後の拡散液側からは成分組成を異にする一連の溶液を連続的に回収可能でかつ特定成分が所定倍率で濃縮された溶液も同時に回収可能となる。該モジュールでは負荷圧力が低い特徴を生かして耐圧性の部材が加わっていない。そのためモジュール作製に必要な部材として耐圧性が要求されず、軽量で有効膜面積当たりのモジュール重量は従来の膜ろ過用の平膜モジュールの1/2以下にすることも容易である。
本発明モジュールを運転するのに必要な動力は0.05気圧の加圧源と層流で流すための流速源でありいずれもそれらの消費エネルギーは膜ろ過に比して少ない。さらに、モジュールからの液漏れの可能性は少ないため自由な流路設計も可能である。本発明モジュールを複数個、直列的あるいは並列的に連結することも容易なため実用化に必要な大きな膜面積のシステムを組むのも容易である。
第1図に本発明モジュールの一例を示す。 第1図の最下部左に本発明モジユールの中央部を構成する2番目のシート(図中シート2)の正面図、最下部右には3番目のシート(図中シート3)の正面図を示す。図中4で示される3角形状の部分は本発明モジュールの(ア)領域である層流化準備域である。図中シート2で示される領域は孔内拡散域であり横直線は孔内拡散域を構成している流路(図中5で表示)を示す。該流路は直方体の形状で流路幅は4mm 流路間は5 mmである。流路を形成する平行な2枚の板はポリプロピレン製で厚さは0.5mm である。該流路の長さは5 cmである。図中6で示される領域は層流維持域である。3番目のシート(図中シート3)は拡散液の貯溜域を示す。図中の9の縦の直線は貯溜域を区切りかつ該平膜の裏面に接し裏面を力学的に支持する板状体を意味する。直線5と直線3とは直交している。
図1の上図は5組のシートが示されている。この5組のシートを重ね合わせると本発明モジュールが完成する。図中1の2枚のシートが平膜でありシート2に接する側に平膜の表面がくるように平膜はセットされる。平膜1とシート2とは接着剤によって密着させるかグリース等で密着させる。平膜1とシート3との密着にはパッキング等圧着型の物理的な密着法を採用してもよい。中央部のシート2には被処理液体の出入り口7および8がある。7を通った液体は4を通り5の流路内を通過し、6を通過後、出入り口8を抜けてモジュール外へ通じる。シート2および3は厚さ1mm未満のプラスチック製の薄いシート2枚を3~5mmの一定間隔で積層させて製造される。該2枚の薄いシートが
積層される際にあらかじめ両シートを支える役割を持つ平行に配列された壁面を構成する短冊状物と成型融着されている。すなわちシート2および3は直方体の空間部を持つ2段積層体であるため図1の7,10および5の断面図のような長方形の空間部が用意されている。
図1の平膜として再生セルロース長繊維不織布を5枚積層してローラを用いて圧縮加工した不織布やミクロ相分離法で作製された酢酸セルロース多孔膜や再生セルロース多孔膜を用いる。平膜の平均孔径は0.5μmの場合には細菌を除去したタンパク水溶液を回収するのに好適である。
第1図における孔拡散型のモジュールを作製する。モジュールの組み立てに必要な部品は平膜1が2枚、図1と同様な流路が設けられたシート2が1枚、シート3が2枚である。平膜1はミクロ相分離法で酢酸セルロース(アセテートと略称)のアセトン溶液より公知の方法で作製された(上出健二ら、高分子論文集、34卷、205頁(1977年))。アセテート多孔膜の膜厚は180μm、水の濾過速度法での平均孔径は700 nm、空孔率は81%であった。膜表面の平滑度は0.6μmであった。電子顕微鏡観察より表裏面の孔径の比は1対3であった。シート2と3との基板として市販のポリプロピレン製のプラダンシート(厚味4mm、アイリスオオヤマ製)を採用した。プラダンシートから切削によりシート2は流路(厚さ4 mm、幅4mm、長さ50 mm)を作製された。流路を形成する板状体の厚さは0.5mmであった。平膜の膜表面とシート2とが密着するように2液性のウレタン樹脂で接着した。シート3は溝状の流路を幅12 mmで切削し作製した。これらの流路は束ねられ複数の出入り口に集められる。流路を構成する複数の板状体は厚さ0.5mmの板状体であり、該板状体は平膜の変形を防止する支持体の役割を兼ねる。
2枚の平膜を接着したシート2の上下にシート3を接着する。この際、接着部は溝9以外の枠の部分のみである。ここで接着剤の代わりに真空グリスでも良い。出入り口の7と8とに外系との連結用にパイプまたはチューブを埋め込むことによって本発明のモジュールが完成する。シート3の出入り口は拡散液の取り出し口となるため出入り口の個数を目的に応じて適宜選定される。拡散液の取り出し口には流量調節用のコックを設けて拡散液の流出速度を制御する場合もある。この場合として平膜の平均孔径が100 nm以上でかつ膜厚が100 μm以下あるいは膜間差圧が0.03気圧を超える場合である。
該モジュールに対して最大の膜間差圧として0.03気圧となるように送液回路を作製し、この回路を用いて平均粒径30 nmの水酸化第二鉄コロイドを2000ppm含む水溶液の孔拡散を実施した。流路内部での被処理液体の平均流速Uは2 cm/sで流れ厚さは0.3 cmであった。したがって膜表面でのひずみ速度は40 sec-1であった。膜透過率は0.3であった。0.05規定の苛性ソーダ水溶液に浸漬後、0.1規定の塩酸に12時間浸漬し、純水に24時間浸漬した。純水への浸漬はバッチで3時間おきに純水は取り換えた。0.21μmのポリスチレンラテックス(日新EM株式会社製)の濃度200ppm水溶液を同様に孔拡散を実施した。該ラテックスの膜透過率は1%以下であった。処理量は元液の50 %であり、残液中のポリスチレンラテックス濃度は約2倍に上昇していた。
上記の実施例より以下のことが分かる。
(1) 処理対象液は拡散液と元液と残液との3種の組成に分離される。拡散液は粒子のほぼ完全な除去が実現しているかあるいは液中での拡散速度の大きな成分分子の存在比率の高い溶液である。残液は粒子や拡散速度の遅い成分分子が濃縮された状態にある。
(2) 平膜の平均孔径の約1/4の粒径を持つ粒子はほぼ完全に拡散液より除去され残液に濃縮される。
(3) 処理速度は時間に依存せず一定である。すなわち膜中の孔の目詰まりは起こらない。
(4) 再生処理でほぼ完全に元の性能に戻る。
膜を利用して微粒子を高度に除去する工程あるいは濃縮する工程を持つ産業に本発明は利用できる。また分子量等に対応した分画の必要な工程を持つ産業にも適用されるであろう。除去あるいは濃縮対象の微粒子としてプリオンの場合にはバイオ医薬品の製造工程で利用される。微粒子がウイルス,殺菌,マイコプラズマのように感染性であればバイオ医薬品に加えて食品,化粧品の製造工程で、微粒子が酵母であれば醗酵工業でも利用されるであろう。今後の進展が期待されているナノテクノロジーにおいても微粒子の除去濃縮技術が必要となるであろう。さらに本発明モジュールではスケールアップが容易(スケールダウンも容易)であるため研究機関や試験機関においても利用できる。
本発明モジュールの典型的な例
1;平膜、2;本発明モジュールの中心となるシート、3;拡散液の滞留するシートで拡散液の流路を形成する溝9を有し、かつ溝を構成する板状体は平膜の支持体の役割を持つ、4;層流化準備域、5;直方体の形状を持つ流路、シート2の一部でシートとしては平行に配列した短冊状の板状体で構成される、6;層流維持域、7;被処理液体の入口、8被処理液体の処理後の出口、9;シート3の一部を構成する溝状物、溝は拡散液の流路を形成し、かつ溝を作る板状体は平膜の支持体の役割を持つ、10;拡散液の出口。

Claims (3)

  1. 被処理液体が膜分離媒体の平膜の膜表面に沿って層流で流れる状況下で膜間差圧が0.05気圧以下の条件下で行われる膜分離処理で利用される孔拡散膜モジュールにおいて、(ア)該液体を拡散域にスムースな流線で移行できるように設けられた領域でモジュール内への液体の出入口と連結している層流準備域、(イ)該液体の一つの単位としての流路の断面は長方形であり、該流路を形成する4面の壁の内、平行な2面は厚さ1mm以下の平滑な固体板状体で、他の2面の内少なくとも1面は該平膜の膜表面で構成される流動分別を伴った孔内拡散域、(ウ)該流路の複数が一体化する層流維持域、および(エ)該平膜の裏平面で構成される空間部には(イ)に示す流路を構成する板状体と交差する角度で配置された厚さ1mm以下の固体板状体で拡散液の流路と該平膜の支持体とを形成する拡散液の貯留域の少なくとも4種の領域で構成され、かつ(ア)、(イ)の2領域は該平膜と同一平面で連結し、該流路内の液体の流れと該膜表面とが実質的に平行であり、かつ(ア)、(ウ)、(エ)には該モジュールの外系への出入口があることを特徴とする孔拡散膜モジュール。

  2. 請求項1において平膜は該膜表面の平均孔径が裏面のそれより小さく、平膜の膜表面平滑度は10μm以下で物理的な見掛けの厚さは200μm以下で平膜のろ過速度法での平均孔径は10μm以下で10 nm以上で、空孔率は60 %以上であり、かつ平膜は不織布または高分子多孔膜であることを特徴とする孔拡散膜分離モジュール。
  3. 請求項1または請求項2において、(イ)の流路の最小単位としての形状が厚さ2 mm以上10 mm未満であり、幅2 mm以上40 mm未満で長さが幅以上で700 mm未満であることを特徴とする孔拡散膜分離モジュール。

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