JP6067738B2 - ブレーキの監督 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば電気制動手段などの回生制動手段、および油圧制動手段などの補助制動手段を備える車両のブレーキの監視に関する。
この車両は、例えば電気車両またはハイブリッド車両であってもよい。
少なくとも1つの電気牽引モータまたは推進モータを備える車両では、一定の条件下で発電機としての電気モータを使用することで電気制動手段を得ることが可能である。回生式であることによって、バッテリを再充電するべくエネルギーの一部の回収を可能にするので、このような使用は有利である。
それにもかかわらず、回生制動を可能にする電動アクチュエータ、および従来の摩擦ブレーキの油圧アクチュエータをこうして備える車両の場合、特定の制動設定点(つまり、ユーザ設定点、すなわちブレーキペダル上の所与の圧力)に対して、減速のレベルが油圧制動と電気制動との間の分布に応じて異なる可能性があることが分かっている。
図1には、制動シーケンスまたは推移の間の、x軸上に車両が比例的に減速するように運転者が一定の制動設定点を適用することを考慮した時間を、y軸上に電動トルクCe、油圧式トルクChおよび結果として生じる加速(または減速)γを示す、制動トルクおよび車両の加速の経時的傾向が示されている。
偶然にも、電気制動と油圧制動との間の分配システムは、7km/hを下回る電気制動を防ぐように設けられる。遮断は14km/h〜7km/hの間で段階的である。時点T1は、回生制動が段階的に非活性化される14km/hの閾値に対応し、時点T2は、7km/hの閾値に対応する。
鎖線の曲線は観測された減速に対応するトルクを示している。図から分かるように、制動がほぼ完全に電気制動となるT1の少し手前の時点に対して適用されたトルクは、制動がほぼ完全に油圧制動となるT2の少し後の時点に対して適用されたトルクよりも大きい。このギャップは、油圧アクチュエータの効率の不正確さが原因である。
これにより、ユーザは、車両が、所与の制御に同じ制動を使用しない可能性があるという感覚を持つために、ユーザが比較的阻害されやすい。
電動アクチュエータは、ほぼ5%の精度を有することができるが、油圧アクチュエータの効率は、時間と共に変化し、およびほぼ30%または40%の偏移を示し得る。実際に、油圧アクチュエータの効率は、特にブレーキパッドの摩耗状態および温度の関数である。
それゆえ、ユーザにとってより予測可能で、かつより一定の、制動に対する車両の反応が必要である。
米国特許出願第2008/0129110号明細書は、エネルギー回収を伴う制動監視方法を記述しており、次のステップを含む。
−車両が、加速度が電気制動手段の効率にのみ起因すると想定される一定の速度に達する場合の加速度の測定ステップ;
−車両の別の速度に対する加速度の測定ステップであり、このその他の速度は、加速度は油圧制動手段の効率にのみ起因すると想定され、これら2つの測定は、運転者によって適用される同一の制動設定点値に対して行われる、測定ステップ;
−測定された加速度の割合の確立によって制動効率の割合を算出するステップ;
−制動効率の割合を油圧制動制御に適用するステップ。
そこで、この方法は、ゼロまで低減されたギャップに収束するまで反復される。
測定の状態を得ることは難しく、収束は比較的緩やかであり、さらに、測定の状態に大いに依存している。特に測定は、この方法の汎用性に弊害をもたらす速度範囲にわたってセグメント化される。
より制約が少なく、かつ効果的な方法が必要とされる。
例えば電気制動手段などの回生制動手段、および油圧制動手段などの補助制動手段を備える車両の制動監視方法を提案する。この方法は、以下のステップを含む。
−少なくとも1つの加速度測定値を受信し、この少なくとも1つの測定値は、回生制動手段および/または補助制動システムが車両に制動力を与える制動推移の間に測定され、
−受信した加速度値ごとに、回生制動手段によって適用されたトルク値、および前記加速度値の測定の時点に対応する補助制動手段を対象とした補助制動設定点値を受信し、
−この少なくとも1つの受信した加速度測定値、回生制動手段によって適用されたこの少なくとも1つの受信したトルク値、およびこの少なくとも1つの受信した補助制動設定点値に基づいて補助制動手段の効率係数を推定する。
したがって、例えば電動モータトルクなどの回生制動手段によって適用されるトルクと、補助制動設定点とを含むことによって、この方法は、制動推移の任意の時点における補助制動手段の効率係数を推定することができる。それゆえ、加速度測定の時点または複数の時点を、車両の速度とは独立して選択することができる。さらに、従来技術とは異なって、この推移の間に、運転者によるペダルの踏み込みは実際に推定に影響を与えることなく変化し得る。したがって、この方法は、従来技術より多くの測定点を使用することができるため有利である。
効率係数が推定されると、この効率を考慮するために補助制動設定点値の補正ステップを提供することが可能になり、それゆえ、ユーザのより良い快適性を確保する。
また、推定された効率係数に基づくブレーキパッドの摩耗検出が可能になり、交換が必要であることを示す信号への警報信号の伝送が可能になる。これにより、実際の摩耗に適した保守管理を可能にし得る。したがって、「制動の監視」は、「制動の制御」だけでなく「制動の管理」を意味すると理解することができる。
例えば、電動モータトルク値を測定してもよい。
あるいは、このトルク値は電気制動手段を対象とした電気制動設定点値と等しいと推定され得る。換言すれば、電気制動手段の効率は1%(または100%)であると推定される。
他の実施形態によれば、例えばさらに加速度測定を行うことで、同様に推定されることになる回生制動の効率係数を備えることが可能になる。
電気および補助制動設定点値は、回生制動手段と補助制動手段との間で包括制動制御を分配する装置によって判定されてもよい。この分配装置は、所与のペダルの踏み込みに対応する包括制動制御値を入力として受信し、この制御値および例えば車両の速度、インジケータ信号の安定性などその他のパラメータから回生制動設定点値および補助制動設定点値を判定する。この分配装置は、特に14km/h〜7km/hの間で、全電気制動から全油圧制動の遷移を制御することができる。
上述の推定ステップは、力学の原理の適用に依拠してもよい。
有利に、かつ非限定的には、少なくとも1対の、2つの加速度測定値を受信し、この少なくとも1対の加速度測定値にそれぞれ基づく少なくとも1つの加速度変動値を算出してもよい。効率係数は、この少なくとも1つの加速度変動値、回生制動手段によって適用される少なくとも1つのトルク変動値、および少なくとも1つの補助制動設定点変動値基づいて推定されてもよい。
有利に、かつ非限定的には、少なくとも1対の加速度測定値について、この1対の値に対応する2つの測定時点は相対的に接近しており、すなわち、無視することができる車両の外側の動的パラメータの変動に対して十分に接近している。
これら2つの測定時点の間の時間は、例えば5秒未満であってもよく、有利には2秒未満、有利には1秒未満、有利には0.5秒未満であってもよく、有利には0.0001秒を超えてもよい。
これにより、風力および風向、道路の状態、道路勾配などの車両の加速に影響を及ぼす可能性のある任意の外部動的パラメータを考慮することなく、測定時点を選択することが可能になる。
有利に、かつ非限定的には、複数の加速度測定値、複数の対応する補助制動設定点値、および回生制動手段によって適用された複数の対応するトルク値を受信してもよい。
有利に、かつ非限定的には、制動係数の統計値を推定することが可能である。これにより、非常に低い値による除算ステップの実行に関連する推定の急激な変動を回避することができる。
あるいは、所与の時点または1組の所与の時点に対応する1組の値(加速度測定値、回生制動トルク値、補助制動設定点値)に基づいて、各効率係数値を判定することを提供することが当然可能である。この方法で得られた効率係数の値は、任意の外部動的パラメータおよび/またはゼロに近い値による任意の除算によってもたらされる誤差のため、経時的に変化する可能性があるので、これらの値をフィルタリングおよび/または平均化することが可能になる。
有利に、かつ非限定的には、推定ステップはまた、車両の物理的パラメータ、例えば車両の重量および車両のホイールの半径の関数であってもよい。
有利に、かつ非限定的には、この方法は、複数の1対の加速度測定値の受信を含んでもよく、推定は、この複数の1対の値の関数として行われる。
有利に、かつ非限定的には、推定ステップはまた、補助制動手段の少なくとも1つの前回の効率係数の関数であってもよい。
有利に、かつ非限定的には、推定ステップは、最小2乗法に従って行われる。
有利に、かつ非限定的には、推定ステップは、再帰的最小2乗法に従って行われる。
有利に、かつ非限定的には、推定ステップは、忘却係数を含む再帰的最小2乗法に従って行われる。
忘却係数は、有利に変化可能あるいは調整可能であってもよい。忘却係数を所望の適用に従って調整してもよい。例えば、ブレーキパッドの摩耗を推定するために、ほぼ10日程度の相対的長時定数に対応する忘却係数を選択することが可能である。油圧アクチュエータの効率を温度およびその他の条件に適応させるために、数分の時定数を選択することができる。
有利に、かつ非限定的には、忘却係数の値を実行時間の関数として判定してもよい。忘却係数は、起動時に低く、その後に段階的に増加するように選択されてもよい。これにより、推定の収束速度を適合させることができる。
有利に、かつ非限定的には、忘却係数の値を、補助制動手段の効率に影響を及ぼす可能性のある、車両の長い不使用期間、温度変化、パッドの交換などのその他の条件の関数としてさらに判定してもよい。
有利に、かつ非限定的には、忘却係数は0.9〜1の間であってもよく、1の値は除外される。
本発明は最小2乗法の選択によって限定されるものではなく、統計的方法の選択によっても限定されるものではない。
特に、以下のステップを実行してもよい。
−少なくとも2つの連続する時点の間で、包括制動ドラッグ変動を測定し、変動は、摩擦制動トルクの変動、電動モータトルクの変動、および車両の寸法の物理的パラメータおよび外部動的パラメータの関数として確立される;
−前記少なくとも2つの連続する時点の間で、包括制動軌跡変動、電動モータトルク変動、および前記車両の外部動的パラメータの変動の一次関数に従って、摩擦制動システムによってもたらされる軌跡変動と、摩擦制動トルク設定点値および制動効率の係数との積として確立された、摩擦制動システムによってもたらされる軌跡変動を確立し;
−連続する制動推移の間に、制動係数の統計値を算出するために前回のステップを反復する。
例えば電気制動手段などの回生制動手段および油圧制動手段などの補助制動手段を備える、車両の制動監視装置を提案する。この装置は、以下のものを含む。
−少なくとも1つの車両加速度測定値を受信する手段であって、前記少なくとも1つの測定値は、回生制動手段および/または補助制動システムが車両に制動力を与える制動推移の間に測定され、
−回生制動手段によって適用された少なくとも1つのトルク値、および補助制動手段を対象とした少なくとも1つの補助制動設定点値を受信する手段であって、前記少なくとも1つのトルク値および設定点値は、前記少なくとも1つの加速度値の測定時点に対応し、
−前記少なくとも1つの受信した加速度測定値、回生制動手段によって適用された前記少なくとも1つの受信したトルク値、および前記少なくとも1つの受信した補助制動設定点値に基づいて補助制動手段の効率係数を推定する処理手段。
この装置は、上述の方法を実行することができるように設けられてもよい。
この装置は、例えばマイクロコントローラ、マイクロプロセッサあるいはDSP(デジタル信号プロセッサ)などのプロセッサを含むか、このようなプロセッサに組み込まれてもよい。
受信手段は、例えば入力ポート、第1プロセッサまたは同様のものを備えてもよく、処理手段は、例えばプロセッサコア、第2プロセッサまたは同様のものを備えてもよい。
また、制動制御システムは、回生制動手段と補助制動手段との間の包括制動制御のための装置、および上述の監視装置を備えてもよい。
また、提案される車両は、回生制動手段、補助制動手段、および上述の装置および/またはシステムを備える。
本発明の目的である方法および装置が、上述の図1に加えて、説明を読み、以下の図面を観察することでより良好に理解される。
制動シーケンスまたは推移の間の制動トルクおよび車両の加速の経時的傾向を示している。 一例としての、車両の制動推移またはシーケンスの代表的なタイミング図である。 一例としての、本発明の実施形態に従う例示的な方法のフロー図である。 一例としての、特定のフィルタリングの前に推定される制動効率の傾向のタイミング図である。 本発明の実施形態に従う例示的な装置の機能図である。
図2aにおいて、時間tの関数としての車両の速度Vのタイミング図では、運転者が例えば制動シーケンスを実行する自動車が考慮され、第1ステップにおいて実質的に一定の速度で走行する車両は、Δγ=0の場合に減速し、Δγ<0の場合、例えば回動の開始などのブレーキペダルの制御によって、実質的に一定の速度での短いステップが続き、Δγ=0の場合、突然障害物に遭遇すると新たな減速のステップへ移り、Δγ<0の場合、ブレーキぺダルの制御によって、実質的に一定の速度での第2ステップが続き、Δγ=0の場合、新たな加速の期間へ移り、回動の終了後に障害物が消失すると、Δγ>0となる。
車両は、摩擦制動システムおよび電気エネルギー回収制動システムを備えると見なされ、上述の制動システムの各々は、制動開始時点tdと制動終了時点tfとの間で判定された各制動推移において、所与の制動力をもたらす。
図2aにおいて、上述の制動開始時点tdと制動終了時点tfとの間の制動のシーケンスまたは推移が示されている。
包括制動軌跡変動は、2つの連続した時点t1およびt2の間で測定され、これらの時点は、制動推移時点tdおよびtfの間に存在する。
力学の原理を上述の連続した時点t1およびt2に適用することによって、この変動を、摩擦制動トルクの変動、電動モータトルクの変動、および車両の外側の寸法パラメータおよび動的な物理的パラメータの関数として表すことができる。
上述の2つの連続した時点に対する力学の原理の適用は、関係式(1)に従って表される。
My(t1)=[Chv(t1)+Ce(t1)]/R+Fe(t1);(a)
My(t2)=[Chv(t2)+Ce(t2)]/R+Fe(t2);(b)
この関係式の第1方程式(a)において、Mは車両の重量を指し、y(t1)は、時点T1で測定された車両の瞬間的加速度を指し、Chv(t1)は、時点T1で摩擦制動システムによって車両に適用された油圧式トルクの真値を指し、Ce(t1)は、電気エネルギー回収制動によってもたらされる時点T1に対する電動トルクの瞬時値を指し、Rは車両のホイールの半径を指し、そして、Fe(t1)は、上述の時点T1で車両に適用された外力を指す。パラメータMおよびRは車両の寸法の物理的パラメータである。
関係式(1)の第2方程式(b)では、同じ変数が時点T2で取得された同じ物理的実体を指している。
包括制動ドラッグ変動は、関係式(1)の第2方程式(b)と第1方程式(a)との差分によって確立される。この変動は関係式(2)に従って表される。
M*AY=MY(t2)−MY(t1)=[(Chv(t2)−Chv(t1)+Ce(t2)−Ce(t1)]/R+(Fe(t2)−Fe(t1))
関係式(2)において、Chv(t2)−Chv(t1)=AChv=AChcaは、時点t1およびt2の間の摩擦制動トルクの変動を指し、このトルク変動はまた、時点t1およびt2の間で摩擦制動システムによってもたらされた、AChcで示される油圧式制動トルクの設定点値の変動と、時点t1およびt2などの少なくとも2つの評価時点の間で推定される制動効率係数の値aとの積として表される。
したがって、2つの連続した時点t1およびt2の間の軌跡変動は、包括制動軌跡変動、電動モータトルク変動、および車両の外側の動的パラメータの変動の一次関数に従って表すことができる。
摩擦制動システムによってもたらされる軌跡変動は、摩擦制動トルク設定点値と制動効率係数との積として確立される。
互いに十分に接近した連続する時点t1およびt2を選択することによって、車両外側の力の変動を無視することができる。換言すれば、とりわけ油圧制動力に関する、式Fe(t2)−Fe(t1)を無視することができる。
この操作は、関係式(3):
M*AY=[(Chv(t2)−Chv(t1)+Ce(t2)−Ce(t1)]/R+(Fe(t2)−Fe(t1))
に従って表される。
この場合、一次関数は、関係式(4):
M*AY=[(Chv(t2)−Chv(t1)+(Ce(t2)−Ce(t1)]/R+[(Fe(t2)−Fe(t1))=0]、 つまり、ACh*a=RM*Ay−ACeに従って表される包括制動軌跡変動と電動モータトルクの変動との差分から構成される。
この関係式において、摩擦制動システムによってもたらされるドラッグ変動は、制動効率係数の値aによって、時点t1およびt2の間で摩擦制動システムによってもたらされ油圧式制動トルクの設定点値の変動の積として表される。
図2bを参照して、ステップ20において、車両の加速度値y(t1)およびy(t2)が加速度計から受信され、ステップ21において、これらの値の差分が算出される。
また、ステップ22において、電気トルク値Ce(t1)およびCe(t2)が、油圧制動トルクの設定点値Chc(t1)およびChc(t2)と共に受信される。ステップ23において、これらの値それぞれの差分が算出される。
そして、ステップ24において、値φ>(k)=AChcおよび値y(k)=RMAY−Aceが算出される。
ステップ25は油圧制動手段、例えば油圧アクチュエータの効率係数a(k)の推定を示している。
そこで、本明細書において後に詳細に述べるように、制動力最適化の適用は、1つ以上後の1対の連続した時点t1およびt2への任意の後続の制動推移の間に、1つ以上前の1対の連続した時点t1およびt2に対して推定および/または更新された制動係数a(k)の統計値を、制動推移ごとに適用することにあってもよい。
特に図2aを参照して、処理を1つ以上の1対の時点t1およびt2に対して反復してもよいし反復しなくてもよく、摩擦制動システムによってもたらされた軌跡変動の値の最適化を適用するために、制動効率の正しく判定された値を記憶および更新してもよいことが理解される。こうして、この値は、包括制動軌跡変動と電動モータトルクの変動との差分と共に最適化される。
図2bにおいて、先に述べた処理の任意の反復が、時間trkの開始時の帰還ループによって表される。図2aに示すように、時間trkは判定されず、自動車の移動にのみ依存する。
摩擦制動システムによってもたらされた軌跡変動の最適化操作は、車両の任意の移動の間の制動効率の係数aの推定および/または更新処理によって、実質的にリアルタイムで実行される。
制動効率の係数aの推定および/または更新処理について、以下に詳細に述べる。
原則として、車両は、制動制御システムに加えて、車両の直線加速度を測定するためのセンサを有利に備え、これらのセンサの全ては、例えば専用のコンピュータまたは車載コンピュータによって駆動されると示されている。対応する設備については、後に本明細書においてより詳細に述べる。
連続する時点t1およびt2での測定および算出の概念は、センサの電子サンプリングの概念とは異なると理解されている。特定の有利な実施形態において、Teで示されるセンサの電子サンプリングの期間に、2つの連続する時点t1およびt2を分ける時間は、数周期の電子サンプリング期間Teの倍数と等しくなるように有利に取得されてもよい。これにより、車両および実行される各制動推移の動態について、十分に接近した連続する時点の基準を満たすことができる。
さらに、制動効率係数aの推定および/または更新された値の迅速な収束を確実にするために実行される推定方法は、有利には、2つの連続した推定および/または更新のために行われる推定および/または更新に適用される、可変忘却係数を含む再帰的最小2乗法である。忘却係数は、連続した早期の推定および/または更新の効果に重点を置くことを可能にする。
上述の推定および/または更新方法は、例えば摩擦パッドの交換による油圧制動システムの修正または修理など、車両の寿命の位相の関数としての忘却係数を適用することが可能になるという事実から注目すべきである。
したがって、1対の連続する時点t1およびt2に関してそれぞれ実行された各推定について、推定および/または更新方法は、有利には、関係式(5):
Figure 0006067738

に従って制動効率の係数a(k)の推定値を連続して算出することにある。
この関係式において、a[k]およびa[k-1]は、現在のランクkおよび前回のランクk-1の推定時点における制動効率の係数の推定および/または更新値を指し、y(k)=RMAy-Aceは、関係式(4)に従って、ランクkの推定および/または更新時点における積AChaの値を指し、a(k)は、推定および/または更新対象のランクkの制動効率の係数a(k)の値であり、φ>[k]=AChcは、ランクkの推定および/または更新時点において摩擦制動システムによってもたらされる油圧式トルク設定点変動の測定および算出値を指し、P[k-1]は、前回のランクk-1の推定時点における制動効率の係数aの共分配を指し、L[k]は、前回のランクk-1の制動効率の係数の共分配P[k-1]の特定の関数であり、λは、忘却係数を指す。
可変忘却係数を含む再帰的最小2乗法は、前回のランクk-1および現在のランクkの連続する値に対して操作が行われるので、後者は実行が容易であり、高機能の計算手段を必要とせず、多数の値をメモリに保存する必要がないという点で注目すべきであると思われる。
概して、特に再帰的最小2乗法計算アルゴリズムの初期化はまた、3つのパラメータの選択に限定される。この3つのパラメータとは、初期化時点t=0つまりk=0での制動効率の係数の値a(0)、忘却係数λの値、および初期共分配P(0)の値である。
制動効率値の推定において、推定値は、「レートリミッタ」型のフィルタによってフィルタリングされることが好ましい。信号の導関数の絶対値は、躍度を回避するために限定される。
提案した推定の解は、制動効率の係数の安定値に向けた迅速な収束を可能にする。パッドの摩耗または季節的な温度変化によるこの係数の変動を検出することが、単に望まれる場合、ランプ、つまり共分配P(k-1)によって与えられた勾配の選択は、主に推定が望まれる変動の動態に依存している。一方で、制動効率を温度条件に適応させることが望まれる場合、数分の時定数または勾配定数が選択される。
制動効率値a(k)の推定結果は、パリのサン=クルー地区内における街の走行場所の都市環境において、4時間にわたって行われた試験から、図3に示されている。
この図では、y軸には制動効率係数の相対値単位で目盛りが付され、x軸には秒単位で目盛りが付されている。
図3において、曲線Iは、可変忘却係数を含む再帰的最小2乗法による推定手段の出力を示している。
したがって、t=1000秒まで、忘却係数の値は相対的に低く、推定は急速に収束するが、ノイズが存在する。しかし、t=1000秒から、忘却係数は増加し、ノイズが少なくなるので、推定はより正確になる。
1対の連続する時点t1およびt2に対する制動効率係数の推定および/または更新処理のトリガに関して、監視するべき条件は、好ましくは:
−本明細書において先に述べたように、車両の瞬間直線加速度の関数で有り得る時点t1とt2との間の既定の値未満の時間であり、有利には、この時間は信号の電子サンプリングの期間の倍数である時間、
−この時間にわたる車両の減速に対応する、負の前後加速度Δγ<0の存在の検出
である。これにより、遷移速度および非線形性に由来する問題を回避することが可能になる。
この目的の方法は、推定処理が2つだけの連続した推定値および迅速な初期化設定によって実行されるため、先行技術の解決法に対して、計算複雑性がない場合の実施形態のより優れた単純化、ゼロの値に近い割り算値、およびメモリ容量の点でのコスト削減の利点をもたらす。
最終的にこの方法は、同一レベルの制動快適性およびこれによる車両の使用のために、制動部材の2つのアクチュエータの間にはより速い推移が存在するので、関係式(4)の式に従って回収エネルギーの最大化を可能にする。
摩擦制動システムおよび電気エネルギー回収制動システムを備える車両のための装置について、図4と共に説明する。
上述の図において、装置は参照番号1を有する。この装置は、車両の制動システムに組み込まれ、制動分配装置または制御ユニットを含むと想定される。「制動制御部」と指定されたこのユニットは、ホイールの「ホイール部」に連結されたディスクおよびブレーキキャリパーによって概略的に示される摩擦ブレーキ、および、関係するホイールに機械的に連結される、FEで示される電気エネルギー回収ブレーキの両方を駆動する。上述のアセンブリは、発明1の目的である装置、「制動制御部」、および上述の図の回転ペダルによって示される制動制御効果efのいずれも駆動する、車両の中央演算部またはCPUで示される専用のコンピュータによって従来法で駆動される。
装置1は、例えばマイクロコントローラなどの、少なくとも2つの連続する時点t1およびt2の間で包括制動軌跡変動を受信するための少なくとも1つの手段10を備える。
このモジュール10はまた、車両の物理的パラメータ値、特に重量MのパラメータおよびホイールRの半径を受信する。これらのパラメータは推定定数であるが、有利に調整可能である。
モジュール10は、瞬間的電気制動トルクCeおよび車両の直線加速度γのサンプリング値を受信する。これらの数値はそれぞれ適切なセンサ、例えば制動制御によってもたらされ、中央処理装置CPUおよび当然ながら制動制御ユニットによって制御される電子サンプリング周波数でサンプリングされる。
これらの入力値から、モジュール10は、包括軌跡変動RMAy、電気制動トルク変動Ace、および油圧制動トルク設定点変動AChcを配信する。
明らかに、モジュール10の上述の出力値は電子的にサンプリングされた値、または専用のコンピュータCPUによって配信された値に基づいて計算される。
さらに、本発明の目的である装置1は、処理手段、例えばモジュール11を備える。このモジュール11は、例えばDSPを備えてもよい。
このモジュールは油圧制動係数の推定を行う。
このモジュール11は、摩擦制動効率の推定手段を備える。この推定手段は、前回のランクk-1の推定に対する、少なくとも1つの制動効率値の関数としてのランクkの推定ごとに、摩擦制動システムによって適用される摩擦制動トルクに関する。
使用される推定手段は、関係式(5)と共に本明細書において説明され、かつ図3aおよび図3bにおいて示されるように、推定処理に従って2つの連続する評価時点で適用される可変忘却係数を含む再帰的最小2乗法を実行する。
推定手段は、制動効率の推定値a(k)を、摩擦ブレーキを制御するための最適制御値AChcの配信を可能にする制動制御ユニットへ、計算の収束性の全体の速度によって、初期化段階の許容範囲内に、実質的にリアルタイムで配信する。

Claims (9)

  1. 回生制動手段および補助制動手段を備える車両のための制動監視方法であって、
    −前記回生制動手段および/または前記補助制動手段が前記車両に制動力を与える制動推移の間に測定される2つの加速度測定値からなる少なくとも1対を受信(20)することと、
    −前記少なくとも1対の加速度測定値にそれぞれ基づく加速度の変動の少なくとも1つの値を算出(21)することと、
    −受信した加速度値ごとに、前記回生制動手段によって適用されたトルク値、および前記加速度値の測定の時点に対応する前記補助制動手段を対象とした補助制動設定点値を受信(22)することと、
    算出された加速度変動値、前記回生制動手段によって適用される少なくとも1つのトルク変動値、および前記補助制動手段を対象とした少なくとも1つの補助制動設定点変動値に基づいて前記補助制動の効率係数を推定(25)することと
    を含む方法。
  2. 2つの加速度測定値からなる少なくとも1対について、前記2つの値は1秒未満または1秒に等しい時間によって分離される測定時点に対応する、請求項に記載の方法。
  3. 複数の加速度測定値、前記回生制動手段によって適用された複数のトルク値、および複数の補助制動設定点値が受信され、
    前記補助制動手段の効率係数の統計値が推定されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  4. 効率係数の統計値は最小2乗法に従って推定される、請求項に記載の方法。
  5. 実施される最小2乗法は再帰法である、請求項に記載の方法。
  6. 実施される再帰的最小2乗法は、可変忘却係数を含む方法である、請求項に記載の方法。
  7. 回生制動手段(FE)および補助制動手段を備える車両のための制動監視装置(1)であって、
    −前記回生制動手段および/または前記補助制動手段が前記車両に制動力を与える制動推移の間に測定される2つの加速度測定値からなる少なくとも1対を受信する手段(101)と、
    −前記少なくとも1対の加速度測定値にそれぞれ基づく加速度の変動の少なくとも1つの値を算出する手段と、
    −前記回生制動手段によって適用された少なくともつのトルク値、および前記補助制動手段を対象とした少なくともつの補助制動設定点値を受信する手段(10)であって、前記少なくともつのトルク値および設定点値は、前記少なくとも1対の加速度測定値に対応する少なくともつの測定時点に対応する、手段と、
    算出された加速度変動値、前記回生制動手段によって適用される少なくとも1つのトルク変動値、および前記補助制動手段を対象とした少なくとも1つの補助制動設定点変動値に基づいて前記補助制動手段の効率係数を推定する処理手段(11)と
    を備える制動監視装置。
  8. 回生制動手段(FE)および補助制動手段を備える車両のための制御システムであって、
    −前記回生制動手段と前記補助制動手段との間で包括制動制御を分配する装置と、
    −請求項に記載の制動監視装置(1)と
    を備える制御システム。
  9. 請求項に記載の回生制動手段、補助制動手段、および制御システムを備えた自動車。
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