JP6067649B2 - 酸性ガス分離モジュール - Google Patents

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Description

本発明は、促進輸送膜を用いて原料ガスから酸性ガスを分離する酸性ガス分離モジュールに関する。詳しくは、促進輸送膜のキャリアが、促進輸送膜を支持する支持体を抜けてしまうことを防止できる酸性ガス分離モジュールに関する。
近年、原料ガス(被処理ガス)から、酸性ガスを選択的に分離する技術の開発が進んでいる。例えば、酸性ガスを選択的に透過する酸性ガス分離膜を用いて、原料ガスから酸性ガスを分離する酸性ガス分離モジュールが開発されている。
一例として、特許文献1には、原料ガスから炭酸ガス(二酸化炭素)を分離する酸性ガス分離膜(二酸化炭素分離ゲル膜)として、二酸化炭素透過性の支持体の上に、二酸化炭素キャリアを含む水溶液を、架橋構造を有するビニルアルコール−アクリル酸塩共重合体に吸収させて形成したハイドロゲル膜を形成した酸性ガス分離膜が開示されている。
また、特許文献1には、この酸性ガス分離膜の製造方法として、未架橋のビニルアルコール−アクリル酸塩共重合体水溶液を、二酸化炭素透過性の支持体上へ膜状に塗布した後、この水溶液を加熱し架橋させて水不溶化し、この水不溶化物に二酸化炭素キャリア水溶液を吸収させてゲル化する、酸性ガス分離膜の製造方法も開示されている。
特許文献1に示される酸性ガス分離膜は、いわゆる促進輸送膜を用いる酸性ガス分離膜である。促進輸送膜は、前述の二酸化炭素キャリアのような酸性ガスと反応するキャリアを膜中に有し、このキャリアによって酸性ガスを膜の反対側に輸送することで、原料ガスから酸性ガスを分離する。
このような酸性ガス分離膜は、通常、不織布や多孔質膜などの多孔質の支持体の上に、促進輸送膜を形成した構成を有する。
ここで、促進輸送膜は、キャリアを十分に機能させるために、膜中に多量の水分を保持させる必要がある。そのため、促進輸送膜には、非常に吸水性および保水性が高いポリマーが用いられる。加えて、促進輸送膜は、金属炭酸塩などのキャリアの含有量が多い程、吸水量が増えて、酸性ガスの分離性能が向上する。すなわち、促進輸送膜は、非常に柔らかい(粘性が低い)、ゲル膜である場合が多い。
加えて、促進輸送膜を利用する酸性ガス分離膜では、酸性ガスの分離時には、温度100〜130℃、湿度90%程度の原料ガスを、1.5MPa程度の圧力で供給される。
そのため、促進輸送膜を利用する酸性ガス分離膜は、使用すると、次第に、キャリアが促進輸送膜から支持体に至り、支持体を透過してしまう。
促進輸送膜かキャリアが流出すれば、それに応じて、酸性ガスの分離性能が低下する。そのため、促進輸送膜を利用する酸性ガスモジュールは、耐久性が十分とは言えない。
このような問題点を解決するために、特許文献2には、100℃以上の耐熱性を有する疎水性の支持体(多孔膜)の上に、促進輸送膜(高分子化合物層)を形成してなる酸性ガス分離膜において、支持体と促進輸送膜との間に、キャリア拡散抑制層を設けることが記載されている。
また、キャリア拡散抑制層としては、シロキサン、シリコーンゴム、ポリブタジエン、エチルセルロース、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルファイ、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール等が例示されている。また、キャリア拡散抑制層の厚さとしては、0.01〜100μmが例示されている。
特公平7−102310号公報 特開2013−27841号公報
特許文献2に示されるように、支持体の表面にキャリア拡散抑制層を設けることにより、促進輸送膜から抜けたキャリアが支持体に至り、支持体を透過することを抑制できる。
しかしながら、近年、酸性ガス分離モジュールに要求される耐久性は、より厳しくなっており、促進輸送膜から抜けて支持体を通過するキャリアを、さらに低減して、より耐久性に優れる酸性ガスモジュールの出現が望まれている。
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、促進輸送膜を有する酸性ガス分離膜を用いる酸性ガス分離モジュールであって、促進輸送膜から抜けて支持体を透過するキャリアを大幅に低減することができ、キャリアの抜けに起因する性能劣化を防止した、耐久性に優れる酸性ガス分離モジュールを提供することにある。
この目的を達成するために、本発明の酸性ガス分離モジュールは、多孔質支持体、多孔質支持体の上に形成される中間層、ならびに、中間層の上に形成される、酸性ガスと反応するキャリアおよびキャリアを担持するための親水性化合物を含有する促進輸送膜を有する酸性ガス分離膜と、原料ガスの流路となる供給ガス流路用部材とを有し、
かつ、中間層は、多孔質支持体の上に位置する支持体上領域、および、多孔質支持体の内部の染み込み領域を有し、支持体上領域の厚さTaと、染み込み領域の厚さTbとの比『Tb/Ta』が0.1〜100であり、さらに、ガス透過性が500Barrer以上であることを特徴とする酸性ガス分離モジュールを提供する。
このような本発明の酸性ガス分離モジュールにおいて、促進輸送膜の厚さTcと、中間層の厚さ『Ta+Tb』との比『Tc/(Ta+Tb)』が0.3〜500であるのが好ましい。
また、酸性ガス分離膜と供給ガス流路用部材とを含む積層体を巻回してなるスパイラル型であるのが好ましい。
また、酸性ガス分離膜と供給ガス流路用部材とを含む積層体を、平板状に維持してなる平板型であるのが好ましい。
また、中間層が、エポキシ基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシル基、および、カルボキシル基の少なくとも1つを有する化合物を主成分とするのが好ましい。
また、中間層がポリジメチルシロキサン誘導体であるのが好ましい。
また、促進輸送膜の上に、保護層を有するのが好ましい。
また、保護層がポリジメチルシロキサン誘導体であるのが好ましい。
また、促進輸送膜が、Ti、Zr、Al、Si、およびZnからなる群から選択される少なくとも1種以上の金属元素を含有するのが好ましい。
また、促進輸送膜中における金属元素の含有量が、親水性化合物全質量に対して、0.1〜50質量%であるのが好ましい。
さらに、促進輸送膜が、式(1)で表される構造単位を含有するのが好ましい。
式(1) M−(O−*)
Mは、Ti、Zr、Al、Si、およびZnからなる群から選択される金属元素を表す。mは、Mで表される金属元素の価数を表す。*は、結合位置を表す。
このような本発明によれば、酸性ガス分離膜が支持体と促進輸送膜との下に所定の中間層を有するので、キャリアが促進輸送膜から排出されて、多孔質の支持体を透過することを防止できる。
そのため、本発明によれば、キャリアが支持体を透過することに起因する促進輸送膜の酸性ガス分離性能の低下を抑制して、耐久性に優れた酸性ガス分離モジュールを得ることができる。
本発明の酸性ガス分離モジュールの一例を一部切り欠いて示す概略斜視図である。 図1に示す酸性ガス分離モジュールの積層体の一部の概略断面図である。 図1に示す酸性ガス分離モジュールの酸性ガス分離膜の一部の概略断面図である。 (A)および(B)は、本発明の酸性ガス分離モジュールの別の例を説明するための概念図である。 (A)および(B)は、図1に示す酸性ガス分離モジュールの作製方法を説明するための概念図である。 図1に示す酸性ガス分離モジュールの作製方法を説明するための概念図である。 (A)および(B)は、図1に示す酸性ガス分離モジュールの作製方法を説明するための概念図である。 図1に示す酸性ガス分離モジュールの作製方法を説明するための概念図である。 図1に示す酸性ガス分離モジュールの作製方法を説明するための概念図である。
以下、本発明の酸性ガス分離モジュールについて、添付の図面に示される好適実施例を基に、詳細に説明する。
図1に本発明の酸性ガス分離モジュールの一例の一部切欠き概略斜視図を示す。なお、以下の説明では、酸性ガス分離モジュールを、単に、分離モジュールとも言う。
図1に示すように、分離モジュール10は、基本的に、中心筒12と、酸性ガス分離膜20を有する積層体14aを巻回してなる積層体巻回物14と、テレスコープ防止板16とを有して構成される。また、積層体14aは、酸性ガス分離膜20と、供給ガス流路用部材24と、透過ガス流路用部材26とからなる積層体である。
分離モジュール10は、一例として、一酸化炭素、炭酸ガス(CO2)、水(水蒸気)および水素を含有する原料ガスGから、酸性ガスGcとして炭酸ガスを分離する。
図示例の分離モジュール10は、いわゆるスパイラル型の分離モジュールである。すなわち、分離モジュール10は、後述するシート状の積層体14aを、複数、積層して、この積層物を中心筒12に巻回して積層体巻回物14を形成し、積層体巻回物14の両端面に、中心筒12を挿通してテレスコープ防止板16を設けてなる構成を有する。すなわち、積層体巻回物14とは、積層されて巻回された積層体14aによる略円筒状物である。
巻回した積層体14aの最外周面は、ガス非透過性の被覆層18で覆われている。
なお、本発明の分離モジュールは、図示例のようなスパイラル型に限定はされず、シート状の積層体14aを、平板状に維持してなる、いわゆる平板型であってもよい。
このような分離モジュール10において、酸性ガスを分離される原料ガスGは、例えば図1中奥手側のテレスコープ防止板16の開口部16dを通って、積層体巻回物14の端面から各積層体14aの内部に供給される。
積層体14aに供給された原料ガスGは、積層体14a内を流れつつ、酸性ガスGcを分離される。
また、積層体14aによって原料ガスGから分離された酸性ガスGcは、中心筒12から排出され、酸性ガスを分離された原料ガスG(以下、便宜的に残余ガスGrとする)は、積層体巻回物14の供給側とは逆側の端面から排出され、テレスコープ防止板16の開口部16dを通って分離モジュール10の外部に排出される。
中心筒(透過ガス集合管)12は、原料ガスG供給側の端面が閉塞する円筒状の管で、周面(管壁)には複数の貫通孔12aが形成される。
原料ガスGから分離された酸性ガスGcは、後述する透過ガス流路用部材26を通って、貫通孔12aから中心筒12内に至り、中心筒12の開放端12bから排出される。
中心筒12において、開口率は、1〜80%が好ましく、1〜75%がより好ましく、1.5〜70%がさらに好ましい。中でも、実用的な観点から、中心筒12の開口率は、1.5〜25%が、特に好ましい。中心筒12の開口率とは、具体的には、中心筒12の長さ方向の貫通孔12aの形成領域における、中心筒12の外周面に占める貫通孔12aの面積率である。
中心筒12の開口率を上記範囲とすることにより、効率的に酸性ガスGcを収集することができ、また、中心筒12の強度を高め、加工適性を十分に確保できる。
また、貫通孔12aは、直径0.5〜20mmの円形の孔であるのが好ましい。さらに、貫通孔12aは、中心筒12の周壁に、均一に形成されるのが好ましい。
なお、中心筒12には、必要に応じて、分離した酸性ガスGcを開放端12b側に流すためのガス(スイープガス)を供給する供給口(供給部)を設けてもよい。
さらに、中心筒12の管壁には、軸方向に沿ってスリット(図示省略)が設けられているのが好ましい。このスリットに関しては、後に詳述する。
前述のように、積層体14aは、酸性ガス分離膜20と、供給ガス流路用部材24と、透過ガス流路用部材26とを積層してなるものである。
なお、図1の符号30は、酸性ガス分離膜20と透過ガス流路用部材26とを接着し、かつ、積層体14a同士を接着すると共に、透過ガス流路用部材26における酸性ガスGcの流路を、中心筒12側が開口するエンベロープ状にする接着剤層30である。
前述のように、図示例の分離モジュール10は、この積層体14aを、複数、積層して、この積層体14aの積層物を中心筒12に巻き付けてなる、略円筒状の積層体巻回物14を有する。
以下、便宜的に、図中に矢印yで示す、積層体14aの巻回に対応する方向を巻回方向、図中に矢印xで示す、巻回方向と直交する方向を幅方向とする。
分離モジュール10において、積層体巻回物14を構成する積層体14aは1枚でもよい。しかしながら、複数の積層体14aを積層して巻回することにより、酸性ガス分離膜20の膜面積を大きくして、1つの分離モジュールで分離する酸性ガスGcの量を向上できる。
積層体14aの積層数は、分離モジュール10に要求される処理速度や処理量、分離モジュール10の大きさ等に応じて、適宜、設定すればよい。ここで、積層する積層体14aの数は、50以下が好ましく、45以下がより好ましく、40以下が特に好ましい。積層体14aの積層数を、この数とすることで、中心筒12への積層体14aの巻回が容易になり、加工性を向上できる。
図2に、積層体14aの部分断面図を示す。前述のように、矢印xは幅方向、矢印yは巻回方向である。
図示例において、積層体14aは、後述する図6に示すように、二つ折りにした酸性ガス分離膜20の間に供給ガス流路用部材24を挟み込んで挟持体36とし、この挟持体36に、透過ガス流路用部材26を積層してなる構成を有する。この構成については、後に詳述する。
前述のように、分離モジュール10において、原料ガスGは、テレスコープ防止板16の開口部16dを通って、積層体巻回物14の一方の端面から供給される。すなわち、原料ガスGは、各積層体14aの幅方向(矢印x方向)の端部(端面)に供給される。
図2に概念的に示すように、積層体14aの幅方向の端面に供給された原料ガスGは、供給ガス流路用部材24を幅方向に流れる。この流れの中で、酸性ガス分離膜20(促進輸送膜20a)に接触した酸性ガスGcは、促進輸送膜20aのキャリアによって、原料ガスGから分離され積層方向に輸送されて、酸性ガス分離膜20を積層体14aの積層方向に通過して、透過ガス流路用部材26に流入する。
透過ガス流路用部材26に流入した酸性ガスGcは、透過ガス流路用部材26を巻回方向(矢印y方向)に流れて、中心筒12に至り、中心筒12の貫通孔12aから中心筒12内に流入する。中心筒12内に流入した酸性ガスGcは、中心筒12を幅方向に流れて、開放端12bから排出される。
また、酸性ガスGcを除去された残余ガスGrは、供給ガス流路用部材24を幅方向に流れて、積層体巻回物14の逆側の端面から排出され、テレスコープ防止板16の開口部16dを通って、分離モジュール10の外部に排出される。
供給ガス流路用部材24は、その幅方向の端部から、原料ガスGを供給され、部材内を流れる原料ガスGと、酸性ガス分離膜20とを接触させる。
このような供給ガス流路用部材24は、前述のように二つ折りされた酸性ガス分離膜20のスペーサとして機能して、原料ガスGの流路を構成する。また、供給ガス流路用部材24は、原料ガスGを乱流にするのが好ましい。この点を考慮すると、供給ガス流路用部材24は、ネット状(メッシュ状/網目構造)、織布状、不織布状、多孔質状等の部材が好ましい。
このような供給ガス流路用部材24の形成材料としては、十分な耐熱性および耐湿性を有するものであれば、各種の材料が利用可能である。
一例として、紙、上質紙、コート紙、キャストコート紙、合成紙などの紙材料、セルロース、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、アラミド、ポリカーボネートなどの樹脂材料、金属、ガラス、セラミックスなどの無機材料等が、好適に例示される。
樹脂材料としては、具体的には、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリスルホン(PSF)、ポリプロピレン(PP)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリフッ化ビニリデン等が、好適に例示される。このような供給ガス流路用部材24の形成材料は、複数の材料を併用してもよい。
供給ガス流路用部材24の厚さは、原料ガスGの供給量や要求される処理能力等に応じて、適宜、決定すれば良い。
具体的には、100〜1000μmが好ましく、150〜950μmがより好ましく、200〜900μmが特に好ましい。
本発明の分離モジュール10において、酸性ガス分離膜20は、促進輸送膜20aと、促進輸送膜20aを支持する多孔質支持体20bとを有する。また、本発明の分離モジュール10においては、酸性ガス分離膜20は、促進輸送膜20aと多孔質支持体20bとの間に、一部が多孔質支持体20b内に位置する、中間層20cを有する。言い換えると、中間層20cは、一部が多孔質支持体20b内に染み込んだ状態になっている。
促進輸送膜20aは、少なくとも、供給ガス流路用部材24を流れる原料ガスGに含有される酸性ガスGcと反応するキャリア、および、このキャリアを担持する親水性化合物を含有する。このような促進輸送膜20aは、原料ガスGから酸性ガスGcを選択的に透過させる機能を有している。
多孔質支持体20bは、この促進輸送膜20aを実質的に支持するものである。
中間層20cは、促進輸送膜20aのキャリアが、促進輸送膜20aから排出されて、多孔質支持体20bを透過してしまうことを防止するための層である。
このような、促進輸送膜20a、多孔質支持体20bおよび中間層20cからなる酸性ガス分離膜20に関しては、後に詳述する。
透過ガス流路用部材26は、キャリアと反応して酸性ガス分離膜20を透過した酸性ガスGcを、中心筒12の貫通孔12aに流すための部材である。
前述のように、図示例において、積層体14aは、酸性ガス分離膜20を促進輸送膜20aを内側にして二つ折りにして、供給ガス流路用部材24を挟み込んだ挟持体36を有する。
この挟持体36に、透過ガス流路用部材26を積層して、接着剤層30で接着することにより、1つの積層体14aが構成される。
透過ガス流路用部材26は、積層体14aの間でスペーサとして機能して、積層体14aの巻回中心(内側)に向かって中心筒12の貫通孔12aに至る、原料ガスGから分離した酸性ガスGcの流路を構成する。また、この酸性ガスGcの流路を適正に形成するために、後述する接着剤層30が浸透する必要が有る。この点を考慮すると、透過ガス流路用部材26は、供給ガス流路用部材24と同様、ネット状(メッシュ状/ネット状)、織布状、不織布状、多孔質状等の部材が好ましい。
なお、本発明において、積層体14aは、折り返した酸性ガス分離膜20に供給ガス流路用部材24を挟み込んだ挟持体36を用いる構成に限定はされない。例えば、酸性ガス分離膜20の表面に供給ガス流路用部材24を貼着したものを用いて、挟持体36と同様に積層体を構成してもよい。
また、後述する図6(A)に示す、2枚の酸性ガス分離膜20を貼着してなる分離膜貼着体20Aを利用する場合でも、供給ガス流路用部材24は、折り返した分離膜貼着体20Aに挟み込まれてもよく、あるいは、分離膜貼着体20Aに貼着されてもよい。
透過ガス流路用部材26の形成材料は、十分な強度や耐熱性を有するものであれば、各種の材料が利用可能である。具体的には、エポキシ含浸ポリエステルなどのポリエステル系の材料、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系材料、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系の材料、金属、ガラス、セラミックスなどの無機材料等が、好適に例示される。このような透過ガス流路用部材26の形成材料は、複数の材料を併用してもよい。また、同一材料のものを、複数、重ねて用いてもよい。
透過ガス流路用部材26の厚さは、原料ガスGの供給量や要求される処理能力等に応じて、適宜、決定すれば良い。
具体的には、100〜1000μmが好ましく、150〜950μmがより好ましく、200〜900μmが特に好ましい。
前述のように、透過ガス流路用部材26は、原料ガスGから分離されて酸性ガス分離膜20を透過した酸性ガスGcの流路となる。
そのため、透過ガス流路用部材26は、流れるガスに対しての抵抗が少ないのが好ましい。具体的には、空隙率が高く、圧をかけたときの変形が少なく、かつ、圧損が少ないのが好ましい。
透過ガス流路用部材26の空隙率は、30〜99%が好ましく、35〜97.5%がより好ましく、40〜95%が特に好ましい。
圧をかけたときの変形は、引張試験を行ったときの伸度で近似できる。透過ガス流路用部材26は、10N/10mm幅の荷重をかけたときの伸度が5%以内であることが好ましく、4%以内であることがより好ましい。
圧損は、一定の流量で流した圧縮空気の流量損失で近似できる。透過ガス流路用部材26は、15cm角の透過ガス流路用部材26に、室温で15L(リットル)/minの空気を流した際に、流量損失が7.5L/min以内であるのが好ましく、7L/min以内であるのがより好ましい。
積層体14aは、供給ガス流路用部材24、酸性ガス分離膜20、および、透過ガス流路用部材26を積層してなるものである。
また、前述のように、酸性ガス分離膜20は、促進輸送膜20aと、この促進輸送膜20aを実質的に支持する多孔質支持体20bと、促進輸送膜20aのキャリアが多孔質支持体20bを透過することを防止する中間層20cとから形成される。
ここで、本発明の分離モジュール10においては、この中間層20cは、促進輸送膜20aと多孔質支持体20bとの間に位置し、多孔質支持体20bの上に位置する支持体上領域と、多孔質支持体20bの内部の染み込み領域とを有する。また、中間層20cは、支持体上領域の厚さTaと、染み込み領域の厚さTbとの比『Tb/Ta』が0.1〜100であり、かつ、ガス透過性が500Barrer以上である。
以下、図3を参照して、本発明の分離モジュール10における酸性ガス分離膜20について、詳細に説明する。
前述のように、促進輸送膜20aは、原料ガスGから酸性ガスGcを選択的に透過させる機能を有している。言い換えると、促進輸送膜20aは、酸性ガスGcを選択的に輸送する機能を有している。
このような促進輸送膜20aは、少なくとも親水性ポリマー等の親水性化合物、酸性ガスと反応するキャリアおよび水等を含有する。
親水性化合物はバインダーとして機能するものであり、促進輸送膜20aにおいて、水分を保持して、キャリアによる二酸化炭素等の酸性ガスの分離機能を発揮させる。また、親水性化合物は、耐熱性の観点から、架橋構造を有するのが好ましい。
親水性化合物は、水に溶けて塗布組成物を形成できると共に、促進輸送膜20aが高い親水性(保湿性)を有するのが好ましいという観点から、親水性が高いものが好ましい。
具体的には、親水性化合物は、生理食塩液の吸水量が0.5g/g以上の親水性を有することが好ましく、生理食塩液の吸水量が1g/g以上の親水性を有することがより好ましく、生理食塩液の吸水量が5g/g以上の親水性を有することがさらに好ましく、生理食塩液の吸水量が10g/g以上の親水性を有することが特に好ましく、生理食塩液の吸水量が20g/g以上の親水性を有することが最も好ましい。
親水性化合物の重量平均分子量は、安定な膜を形成し得る範囲で、適宜、選択すればよい。具体的には、20,000〜2,000,000が好ましく、25,000〜2,000,000がより好ましく、30,000〜2,000,000が特に好ましい。
親水性化合物の重量平均分子量を20,000以上とすることで、安定して十分な膜強度を有する促進輸送膜20aを得ることができる。
親水性化合物が架橋可能基としてヒドロキシ基(−OH)を有する場合には、親水性化合物は、重量平均分子量が30,000以上であるのが好ましい。この際には、重量平均分子量は更に好ましくは40,000以上であり、より好ましくは、50,000以上である。また、親水性化合物が架橋可能基としてヒドロキシ基を有する場合には、製造適性の観点から、重量平均分子量は、6,000,000以下であることが好ましい。
架橋可能基としてアミノ基(−NH2)を有する場合には、親水性化合物は、重量平均分子量が10,000以上であるものが好ましい。この際には、親水性化合物の重量平均分子量は、15,000以上であるのがより好ましく、20,000以上であるのが特に好ましい。また、親水性化合物が、架橋可能基としてアミノ基を有する場合には、製造適性の観点から、重量平均分子量は、1,000,000以下であるのが好ましい。
親水性化合物の重量平均分子量は、例えば、親水性化合物としてポリビニルアルコール(PVA)を用いる場合には、JIS K 6726に準じて測定した値を用いればよい。また、市販品を用いる場合には、カタログ、仕様書などで公称される分子量を用いればよい。
親水性化合物を形成する架橋可能基としては、耐加水分解性の架橋構造を形成し得るものが、好ましく選択される。
具体的には、ヒドロキシ基、アミノ基、塩素原子、シアノ基、カルボキシ基、および、エポキシ基等が例示される。これらの中でも、アミノ基およびヒドロキシ基が好ましく例示される。さらに、最も好ましくは、キャリアとの親和性およびキャリア担持効果の観点から、ヒドロキシ基が例示される。
親水性化合物としては、具体的には、単一の架橋可能基を有するものとしては、ポリアリルアミン、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリオルニチン、ポリリジン、ポリエチレンオキサイド、水溶性セルロース、デンプン、アルギン酸、キチン、ポリスルホン酸、ポリヒドロキシメタクリレート、ポリ−N−ビニルアセトアミドなどが例示される。最も好ましくはポリビニルアルコールである。また、親水性化合物としては、これらの共重合体も例示される。
複数の架橋可能基を有する親水性化合物としては、ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸共重合体が例示される。ポリビニルアルコール−ポリアクリル塩共重合体は、吸水能が高い上に、高吸水時においてもハイドロゲルの強度が大きいため好ましい。
ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸共重合体におけるポリアクリル酸の含有率は、例えば1〜95モル%、好ましくは2〜70モル%、より好ましくは3〜60モル%、特に好ましくは5〜50モル%である。なお、アクリル酸の含有率は、公知の合成方法で制御することができる。
なお、ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸共重合体において、ポリアクリル酸は、塩であってもよい。この際におけるポリアクリル酸塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩の他、アンモニウム塩や有機アンモニウム塩等が例示される。
ポリビニルアルコールは市販品としても入手可能である。具体的には、PVA117(クラレ社製)、ポバール(クラレ製)、ポリビニルアルコール(アルドリッチ社製)、J−ポバール(日本酢ビ・ポバール社製)等が例示される。分子量のグレードは種々存在するが、重量平均分子量が130,000〜300,000のものが好ましい。
ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸塩共重合体(ナトリウム塩)も、市販品として入手可能である。例えば、クラストマーAP20(クラレ社製)が例示される。
なお、本発明の製造方法において、促進輸送膜20aの親水性化合物は、2種以上を混合して使用してもよい。
親水性化合物の含有量は、形成した促進輸送膜20aにおいて、親水性化合物がバインダーとして機能し、かつ、水分を十分に保持できる量を、親水性組成物やキャリアの種類等に応じて、適宜、設定すればよい。
具体的には、促進輸送膜20aにおける親水性化合物の含有量は、0.5〜50質量%が好ましく、0.75〜30質量%がより好ましく、1〜15質量%が特に好ましい。親水性化合物の含有量を、この範囲とすることにより、上述のバインダーとしての機能および水分保持機能を、安定して、好適に発現できる。
親水性化合物の架橋構造は、熱架橋、紫外線架橋、電子線架橋、放射線架橋、光架橋等、公知の手法により形成できる。
好ましくは光架橋もしくは熱架橋であり、最も好ましくは熱架橋である。
促進輸送膜20aの形成には、親水性組成物と共に、架橋剤を用いるのが好ましい。すなわち、促進輸送膜20aを形成するための塗布組成物は、架橋剤を含有するのが好ましい。
架橋剤としては、親水性化合物と反応し、熱架橋や光架橋等の架橋し得る官能基を2以上有する架橋剤を含むものが選択される。また、形成された架橋構造は、耐加水分解性の架橋構造となるのが好ましい。
このような観点から、塗布組成物に添加される架橋剤としては、エポキシ架橋剤、多価グリシジルエーテル、多価アルコール、多価イソシアネート、多価アジリジン、ハロエポキシ化合物、多価アルデヒド、多価アミン、有機金属系架橋剤などが好適に例示される。より好ましくは多価アルデヒド、有機金属系架橋剤およびエポキシ架橋剤であり、中でも、アルデヒド基を2以上有するグルタルアルデヒドやホルムアルデヒドなどの多価アルデヒドが好ましい。
エポキシ架橋剤としては、エポキシ基を2以上有する化合物であり、4以上有する化合物も好ましい。エポキシ架橋剤は市販品としても入手可能であり、例えば、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(共栄社化学株式会社製、エポライト100MF等)、ナガセケムテックス社製EX−411、EX−313、EX−614B、EX−810、EX−811、EX−821、EX−830、日油株式会社製エピオールE400などが例示される。
エポキシ架橋剤に類似する化合物として、環状エーテルを有するオキセタン化合物も、好ましく使用される。オキセタン化合物としては、官能基を2以上有する多価グリシジルエーテルが好ましく、市販品としては、例えばナガセケムテックス社製EX−411、EX−313、EX−614B、EX−810、EX−811、EX−821、EX−830、などが例示される。
多価グリシジルエーテルとしては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等が例示される。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピル、オキシエチエンオキシプロピレンブロック共重合体、ペンタエリスリトール、ソビトール等が例示される。
多価イソシアネートとしては、例えば、2,4−トルイレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が例示される。
多価アジリジンとしては、例えば、2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アシリジニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサメチレンジエチレンウレア、ジフェニルメタン−ビス−4,4’−N,N’−ジエチレンウレア等が例示される。
ハロエポキシ化合物としては、例えば、エピクロルヒドリン、α−メチルクロルヒドリン等が例示される。
多価アルデヒドとしては、例えば、グルタルアルデヒド、グリオキサール等が例示される。
多価アミンとしては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミン等が例示される。
さらに、有機金属系架橋剤としては、例えば、有機チタン架橋剤、有機ジルコニア架橋剤等が例示される。
例えば、親水性化合物として、重量平均分子量が130,000以上のポリビニルアルコールを用いる場合には、この親水性化合物と反応性が良好で、加水分解耐性も優れている架橋構造が形成可能である点から、架橋剤として、エポキシ架橋剤やグルタルアルデヒドが好ましく利用される。
親水性化合物として、ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸共重合体を用いる場合は、架橋剤として、エポキシ架橋剤やグルタルアルデヒドが好ましく利用される。
親水性化合物として、重量平均分子量が10,000以上のポリアリルアミンを用いる場合には、この親水性化合物と反応性が良好で、加水分解耐性も優れている架橋構造が形成可能である点から、架橋剤として、エポキシ架橋剤、グルタルアルデヒド、および、有機金属架橋剤が好ましく利用される。
親水性化合物として、ポリエチレンイミンやポリアリルアミンを用いる場合には、架橋剤として、エポキシ架橋剤が好ましく利用される。
架橋剤の量は、親水性化合物や架橋剤の種類に応じて、適宜、設定すればよい。
具体的には、親水性化合物が有する架橋可能基量100質量部に対して0.001〜80質量部が好ましく、0.01〜60質量部がより好ましく、0.1〜50質量部が特に好ましい。架橋剤の含有量を上記範囲とすることにより、架橋構造の形成性が良好であり、かつ、形状維持性に優れる促進輸送膜を得ることができる。
親水性化合物が有する架橋可能基に着目すれば、架橋構造は、親水性化合物が有する架橋可能基100molに対し、架橋剤0.001〜80molを反応させて形成されたものであるのが好ましい。
促進輸送膜20aは、金属元素を含有するのが好ましい。促進輸送膜20aの好適態様の一つとしては、促進輸送膜が、Ti、Zr、Al、Si、およびZnからなる群から選択される少なくとも1種以上の金属元素を含有する態様が挙げられる。このような金属元素が含まれることにより、促進輸送膜20aの強度が向上する。特に、後述するように、上記金属元素を含む架橋構造が形成されることにより、促進輸送膜20aの強度がより向上し、結果として、例えばスパイラル状に巻回する際における促進輸送膜20aの劣化がより抑制される。
このような金属元素を含む促進輸送膜20aの形態は、特に制限はされないが、以下の式(1)で表される構造単位を含む促進輸送膜が好ましい。なお、以下式(1)中、*は結合位置を表す。
式(1) M−(O−*)
上記式中、Mは、Ti(チタン)、Zr(ジルコニウム)、Al(アルミニウム)、Si(珪素)、およびZn(亜鉛)からなる群から選択される金属元素を表す。
mは、Mで表される金属元素の価数を表す。例えば、以下に示すように、MがZnの場合にはmは2を表し、MがAlの場合にはmは3を表し、MがTi、ZrおよびSiの場合にはmは4を表す。
より具体的に、以下にmが2〜4の場合の構造式(式(2)〜式(4))を示す。
上記式(1)で表される構造単位は、例えば、後述するように、加水分解性の化合物と、上述した架橋可能基(例えば、ヒドロキシ基)を有する親水性化合物とを併用することにより、促進輸送膜20a中に導入することができる。その場合、上記構造単位は、いわゆる架橋部位(架橋構造)として機能する。
なお、促進輸送膜20a中における上記式(1)で表される構造単位の検出方法としては、例えば、IR測定により特定のピークを検出することにより確認できる。必要に応じて、促進輸送膜20a中のキャリアを除去した後、残存する膜に対してIR測定を実施してもよい。
促進輸送膜20a中における上記金属元素の合計質量は特に制限されないが、促進輸送膜20aの強度がより優れる点で、親水性化合物全質量に対して、上記金属元素の含有量が0.1〜50質量%であることが好ましく、0.3〜20質量%であることがより好ましく、0.5〜10質量%であることがさらに好ましい。
上記金属元素の含有量の測定方法は特に制限されないが、例えば、蛍光X線分析法によって測定可能である。
上述したように、上記式(1)で表される構造単位を促進輸送膜20a中に導入する際には、上述した金属元素を含む加水分解性の化合物を使用することが好ましい。具体的には、式(5)で表される加水分解性金属化合物が挙げられる。これら化合物は、いわゆる有機金属系架橋剤として機能する。
式(5) M(X)
式(5)中、Mは、Ti(チタン)、Zr(ジルコニウム)、Al(アルミニウム)、Si(珪素)、およびZn(亜鉛)からなる群から選択される金属元素を表す。
Xは、加水分解性基を表す。加水分解性基としては、アルコキシル基、イソシアネート基、塩素原子などのハロゲン原子、オキシハロゲン基、アセチルアセトネート基、ヒドロキシ基などが挙げられる。複数のXは、同一であっても、異なっていてもよい。
mは、Mで表される金属元素の価数を表す。
促進輸送膜20aにおいて、キャリア(酸性ガスキャリア)は、酸性ガス(例えば、炭酸ガス(CO2))と反応して、酸性ガスを輸送するものである。
キャリアは、酸性ガスと親和性を有し、かつ、塩基性を示す水溶性の化合物である。具体的には、アルカリ金属化合物、窒素含有化合物および硫黄酸化物等が例示される。
なお、キャリアは、間接的に酸性ガスと反応するものでも、キャリア自体が、直接、酸性ガスと反応するものでもよい。
前者は、供給ガス中に含まれる他のガスと反応し、塩基性を示し、その塩基性化合物と酸性ガスが反応するものなどが例示される。より具体的には、スチーム(水分)と反応してOH-を放出し、そのOH-がCO2と反応することで、促進輸送膜20a中に選択的にCO2を取り込むことができる化合物であり、例えば、アルカリ金属化合物である。
後者は、キャリア自体が塩基性であるようなもので、例えば、窒素含有化合物や硫黄酸化物である。
アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩、および、アルカリ金属水酸化物等が例示される。ここで、アルカリ金属としては、セシウム、ルビジウム、カリウム、リチウム、および、ナトリウムから選ばれたアルカリ金属元素が好ましく用いられる。なお、本発明において、アルカリ金属化合物とは、アルカリ金属そのもののほか、その塩およびそのイオンも含む。
アルカリ金属炭酸塩としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、および、炭酸セシウム等が例示される。
アルカリ金属重炭酸塩としては、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ルビジウム、および、炭酸水素セシウム等が例示される。
アルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、および、水酸化セシウム等が例示される。
これらの中でも、アルカリ金属炭酸塩が好ましく、また、酸性ガスとの親和性が良いという観点から、水に対する溶解度の高いカリウム、ルビジウム、および、セシウムを含む化合物が好ましい。
キャリアとしてアルカリ金属化合物を用いる際には、2種以上のキャリアを併用してもよい。
促進輸送膜20a中に2種以上のキャリアが存在することにより、膜中で異なるキャリアを距離的に離間させることができる。これにより、複数のキャリアの潮解性の違いによって、促進輸送膜20aの吸水性に起因して、製造時等に促進輸送膜20a同士や、促進輸送膜20aと他の部材とが貼着すること(ブロッキング)を、好適に抑制できる。
ブロッキングの抑制効果を、より好適に得られる等の点で、2種以上のアルカリ金属化合物をキャリアとして用いる場合には、潮解性を有する第1化合物と、第1化合物よりも潮解性が低く比重が小さい第2化合物を含むのが好ましい。一例として、第1化合物としては炭酸セシウムが、第2化合物としては炭酸カリウムが、例示される。
窒素含有化合物としては、グリシン、アラニン、セリン、プロリン、ヒスチジン、タウリン、ジアミノプロピオン酸などのアミノ酸類、ピリジン、ヒスチジン、ピペラジン、イミダゾール、トリアジンなどのヘテロ化合物類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミンなどのアルカノールアミン類、クリプタンド[2.1]、クリプタンド[2.2]などの環状ポリエーテルアミン類、クリプタンド[2.2.1]、クリプタンド[2.2.2]などの双環式ポリエーテルアミン類、ポルフィリン、フタロシアニン、エチレンジアミン四酢酸等が例示される。
硫黄化合物としては、シスチン、システインなどのアミノ酸類、ポリチオフェン、ドデシルチオール等が例示される。
促進輸送膜20aにおけるキャリアの含有量は、キャリアや親水性化合物の種類等に応じて、適宜、設定すればよい。具体的には、促進輸送膜20aにおけるキャリアの量が、0.3〜30質量%となる量が好ましく、0.5〜25質量%となる量がより好ましく、1〜20質量%となる量が特に好ましい。
塗布組成物におけるキャリアの含有量を、上記範囲とすることにより、塗布前の塩析を好適に防ぐことができ、さらに、形成した促進輸送膜20aが、酸性ガスの分離機能を確実に発揮できる。
塗布組成物における親水性化合物とキャリアとの量比は、親水性化合物:キャリアの質量比で1:9〜2:3以下が好ましく、1:4〜2:3以下がより好ましく、3:7〜2:3が特に好ましい。
促進輸送膜20aは、必要に応じて、増粘剤を含有してもよい。すなわち、促進輸送膜20aを形成するための塗布組成物は、必要に応じて、増粘剤を含有してもよい。
増粘剤としては、例えば、寒天、カルボキシメチルセルロース、カラギナン、キタンサンガム、グァーガム、ペクチン等の増粘多糖類が好ましい。中でも、製膜性、入手の容易性、コストの点から、カルボキシメチセルロースが好ましい。
カルボキシメチルセルロースを用いることにより、少量の含有量で、所望粘度の塗布組成物が容易に得られるうえ、塗布組成物に含まれる溶媒以外の成分の少なくとも一部が塗布組成物中で溶解できずに析出してしまう恐れも少ない。
増粘剤の含有量は、目的とする粘度に調節可能であれば、できるだけ少ないほうが好ましい。
一般的な指標としては、10質量%以下が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましく、0.1〜2質量%以下がより好ましい。
促進輸送膜20a(促進輸送膜20aを形成するための塗布組成物)は、このような親水性化合物、架橋剤およびキャリア、あるいはさらに増粘剤に加え、必要に応じて、各種の成分を含有してもよい。
このような成分としては、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)等の酸化防止剤、炭素数3〜20のアルキル基または炭素数3〜20のフッ化アルキル基と親水性基とを有する化合物やシロキサン構造を有する化合物等の特定化合物、オクタン酸ナトリウムや1−ヘキサスルホン酸ナトリウム等の界面活性剤、ポリオレフィン粒子やポリメタクリル酸メチル粒子等のポリマー粒子等が例示される。
その他、必要に応じて、触媒、保湿剤、吸湿剤、補助溶剤、膜強度調節剤、欠陥検出剤等を用いてもよい。
また、本発明の分離モジュールにおいて、促進輸送膜20aの厚さ(厚さTc)は、促進輸送膜20aの組成等に応じて、目的とする性能を得られる膜厚を、適宜、設定すればよい。具体的には、3〜1000μmが好ましく、5〜500μmがより好ましく、5〜100μmが特に好ましい。
促進輸送膜20aの膜厚を、上記範囲とすることにより、ガス透過性能を向上できる、欠陥の発生を抑制できる等の点で好ましい。なお、促進輸送膜20aの膜厚は、走査型電子顕微鏡等を用いた断面観察によって測定できる。
多孔質支持体20b(以下、支持体20bとも言う)は、炭酸ガス等の酸性ガスの透過性を有し、かつ、支持体20bに形成された中間層20cおよび中間層20cに形成された促進輸送膜20aを支持するものである。
支持体20bは、この機能を有する物であれば、公知の各種の物が利用可能である。
本発明の製造方法において、支持体20bは、単層であってもよい。しかしながら、支持体20bは、多孔質膜と補助支持膜とを積層した2層構成であるのが好ましい。このような2層構成を有することにより、上記の酸性ガス透過性や、促進輸送膜20aの支持という機能を、より確実に発現する。
2層構成の支持体20bでは、多孔質膜が中間層20cの形成面となる。すなわち、多孔質膜が促進輸送膜20a側となる。
なお、多孔質支持体が単層である場合には、形成材料としては、以下に多孔質膜および補助支持膜で例示する各種の材料が利用可能である。
多孔質膜は、耐熱性を有し、また加水分解性の少ない材料からなることが好ましい。このような多孔質膜としては、具体的には、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン、ポリプロピレン(PP)およびセルロースなどのメンブレンフィルター膜、ポリアミドやポリイミドの界面重合薄膜、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)や高分子量ポリエチレンの延伸多孔膜等が例示される。
中でも、PTFE等の含フッ素ポリマー、PPおよびPSFから選択される1以上の材料を含む多孔質膜は好ましく例示される。その中でも、PTFEや高分子量ポリエチレンの延伸多孔膜は、高い空隙率を有し、酸性ガス(特に炭酸ガス)の拡散阻害が小さく、さらに、強度、製造適性などの観点から好ましい。特に、耐熱性を有し、また加水分解性の少ない等の点で、PTFEの延伸多孔膜が、好適に利用される。
多孔質膜としては、このような有機系の材料以外にも、無機系の材料あるいは有機−無機ハイブリッド材料を用いてもよい。
無機系の多孔質支持体としては、セラミックスを主成分とする多孔質基体が挙げられる。セラミックスを主成分とすることにより、耐熱性、耐食性等に優れ、機械的強度を高めることができる。セラミックスの種類には、特に限定は無く、一般的に使用されるセラミックスが、各種、利用可能である。セラミックとしては、一例として、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、ムライト、コージェライト、ジルコニア等が例示される。
また、2種類以上のセラミックスの併用、セラミックスと金属との複合化、セラミックスと有機化合物とを複合化した構成でもよい。
支持体20bにおいて、補助支持膜は、多孔質膜の補強用に備えられるものである。
補助支持膜は、要求される強度、耐延伸性および気体透過性を満たすものであれば、各種の物が利用可能である。例えば、不織布、織布、ネット、および、メッシュなどを、適宜、選択して用いることができる。
補助支持膜も、前述の多孔質膜と同様、耐熱性を有し、また加水分解性の少ない素材からなることが好ましい。
この点を考慮すると、不織布、織布、編布を構成する繊維としては、耐久性や耐熱性に優れる、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、アラミド(商品名)などの改質ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素含有樹脂などからなる繊維が好ましい。メッシュを構成する樹脂材料も同様の素材を用いるのが好ましい。これらの材料のうち、安価で力学的強度の強いPPからなる不織布は、特に好適に例示される。
支持体20bが補助支持膜を有することにより、力学的強度を向上できる。そのため、後述するように、いわゆるRtoR(ロール・トゥ・ロール(roll to roll))を利用して酸性ガス分離膜20を作成する場合でも、支持体20bに皺がよることを防止でき、生産性を高めることもできる。
支持体20bは、薄すぎると強度に難がある。この点を考慮すると、多孔質膜の膜厚は5〜100μm、補助支持膜の膜厚は50〜300μmが好ましい。
また、支持体20bを単層にする場合には、支持体20bの厚さは、30〜500μmが好ましい。
中間層20cが形成される多孔質膜の最大孔径は、5μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましく、0.3μm以下が特に好ましい。なお、多孔質膜の最大孔径は、例えば、パームポロメータで測定すればよい。
多孔質膜の孔の平均孔径は、0.001〜1μmが好ましく、0.001〜0.3μmがより好ましい。
多孔質膜の最大孔径や平均孔径を、この範囲とすることにより、後述する中間層20cの染み込みの制御性を向上でき、また、多孔質膜が酸性ガスの通過の妨げとなることを好適に防止でき、かつ、後述するシリコーン塗布組成物を塗布する際に、毛管現象などにより膜面が不均一になることを防げる。
図3に概念的に示すように、本発明の分離モジュール10においては、酸性ガス分離膜20は、支持体20bと促進輸送膜20aとの間に、中間層20cを有する。
中間層20cは、支持体20b上の支持体上領域と、支持体20b内の染み込み領域とを有する。言い換えると、中間層20cは、支持体20b上の支持体上領域と、支持体20bに染み込んだ染み込み領域とを有する。
また、中間層20cは、支持体上領域の厚さTaと、染み込み領域の厚さTbとの比『Tb/Ta』が、0.1〜100である。さらに、中間層20cは、ガス透過性が500Barrer以上である。
本発明の分離モジュール10は、酸性ガス分離膜20が、このような中間層20cを有することにより、促進輸送膜20aから流出したキャリアが、支持体20bを透過することを防止して、耐久性の良好な分離モジュールを得ることができる。
前述のように、促進輸送膜はゲル状であり、また、酸性ガスの分離時には、温度100〜130℃、湿度90%程度の原料ガスGを、1.5MPa程度の圧力で供給される。これにより、促進輸送膜を利用する酸性ガス分離膜は、使用によって、次第に、キャリアが促進輸送膜から抜けて支持体20bを透過して、酸性ガス分離能力が低下する。そのため、促進輸送膜を利用する酸性ガスモジュールは、耐久性が十分とは言えない。
また、前述の特許文献2のように、多孔質支持体と促進輸送膜との間に、キャリアの透過を防止するためのキャリア拡散抑制層を設けることも知られているが、要求される耐久性に応じて、キャリアの透過を十分に抑制するには至っていない。
これに対して、本発明の分離モジュール10は、酸性ガス分離膜20が、所定厚さだけ支持体20bに染み込んだ、ガス透過性が500Barrer以上である中間層20cを有し、この中間層20cの上に促進輸送膜20aを形成する。
そのため、本発明によれば、促進輸送膜20aから抜けたキャリアが支持体20bを透過することを抑制して、キャリアの抜けに起因する酸性ガス分離性能の劣化を抑制した、耐久性の良好な分離モジュール10を得ることができる。
本発明において、中間層20cのガス透過性が500Barrer(1Barrer=1×10-10cm3(STP)・cm/(sec・cm2・cmHg))未満では、酸性ガスの透過性が低下して所望の分離性能が得られない等の不都合が生じる。
上記不都合をより確実に回避できる等の点で、中間層20cのガス透過性は、700Barrer以上が好ましく、1000Barrer以上がより好ましい。
なお、本発明において、中間層20cのガス透過性は、支持体20bに中間層20cを形成した状態で測定すればよい。
本発明において、中間層20cの支持体上領域と染み込み領域との厚さの比『Tb/Ta』は0.1〜100である。厚さの比『Tb/Ta』が0.1未満では、中間層20cと支持体20bとの密着性が低下し、高圧プロセスにおける耐久性の低下を招く等の不都合が生じる。
逆に、厚さの比『Tb/Ta』が100を超えると、事実上、中間層20cの膜厚が増加し、酸性ガスの透過性低下を招く等の不都合が生じる。
上記不都合をより確実に回避できる等の点で、厚さの比『Tb/Ta』は0.1〜50が好ましく、0.1〜10がより好ましい。
中間層20cの支持体上領域の厚さTaは、0.1〜10μmが好ましい。
厚さTaを上記範囲とすることにより、所望の酸性ガス分離性能を維持した状態で、キャリアの拡散を好適に抑制できる等の点で好ましい。
この点を考慮すると、支持体上領域の厚さTaは、0.1〜7μmがより好ましく、0.1〜4μmが特に好ましい。
他方、中間層20cの染み込み領域の厚さTbは、0.2〜10μmが好ましい。
厚さTbを上記範囲とすることにより、酸性ガス透過性の低下を抑制しつつ、所望の耐久性を確保できる等の点で好ましい。
この点を考慮すると、染み込み領域の厚さTbは、0.2〜5μmがより好ましく、0.2〜3μmが特に好ましい。
中間層20cの厚さ(すなわち、Ta+Tb)は、0.5〜15μmが好ましい。
中間層20cの厚さ上記範囲とすることにより、後述する分離モジュール10の作製プロセスでの欠陥発生を抑制でき、さらに、酸性ガス透過性の低下を抑えながら所望の分離性能を得られる等の点で好ましい。
この点を考慮すると、中間層20cの厚さは、0.5〜10μmがより好ましく、0.5〜5μmが特に好ましい。
本発明の分離モジュール10において、酸性ガス分離膜20は、前述の促進輸送膜20aの厚さTcと、この中間層20cの厚さTa+Tbとの比『Tc/(Ta+Tb)』が、0.3〜500であるのが好ましい。
前述のように、促進輸送膜20aの厚さTcは、好ましくは3〜1000μmである。
後述するが、分離モジュール10は、促進輸送膜20aを内側にして二つ折りにした酸性ガス分離膜20で供給ガス流路用部材24を挟持した挟持体36を作製し、この挟持体36と透過ガス流路用部材26とを積層した積層体14aを巻回して作製する。この巻回の際に、促進輸送膜20aと供給ガス流路用部材24とが摺接して、促進輸送膜20aが損傷する場合がある。ここで、この摺接による損傷は、促進輸送膜20aの下地となる中間層20cの硬さの影響が出やすい。これに対して、中間層20cに対して、促進輸送膜20aを、ある程度以上の厚さとすることにより、促進輸送膜20aと供給ガス流路用部材24との摺接に起因する促進輸送膜20aの損傷を、抑制できる。具体的には、厚さの比『Tc/(Ta+Tb)』を0.3以上とすることにより、この促進輸送膜20aと供給ガス流路用部材24との摺接に起因する促進輸送膜20aの損傷を、抑制できる。
その反面、中間層20cに対して促進輸送膜20aの厚さが厚くなると、透過性能の低下や膜厚増加による、1つのモジュールに対する有効膜面積が低下する傾向にある。これに対して、厚さの比『Tc/(Ta+Tb)』を500以下とすることにより、有効膜面積の低下を抑制して、促進輸送膜20aを有効に利用して、酸性ガスの分離効率が良好な分離モジュールを得られる。
以上の点を考慮すると、促進輸送膜20aの厚さTcと、中間層20cの厚さTa+Tbとの比『Tc/(Ta+Tb)』は、1〜500がより好ましく、2〜200が特に好ましい。
中間層20cは、各種の材料で形成可能である。
具体的には、中間層20cは、水酸基および/またはカルボキシル基と反応する官能基を有するのが好ましい。より具体的には、中間層20cは、エポキシ基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシル基、および、カルボキシル基の少なくとも1つを有する化合物を主成分とするのが好ましい。
中間層20cの一例として、シリコーン結合を有する化合物やシリコーン含有化合物からなる層が例示される。具体的には、オルガノポリシロキサン(シリコーン樹脂)やポリトリメチルシリルプロピンなどシリコーン含有ポリアセチレン等が利用できる。オルガノポリシロキサンの具体例としては、下記の一般式で示されるものが例示される。
なお、上記一般式中、nは1以上の整数を表す。ここで、入手容易性、揮発性、粘度等の観点から、nの平均値は10〜1000000の範囲が好ましく、100〜100000の範囲がより好ましい。
また、R1n、R2n、R3およびR4は、それぞれ、水素原子、アルキル基、ビニル基、アラルキル基、アリール基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基からなる群より選択されるいずれかを示す。なお、n個存在するR1nおよびR2nは、それぞれ、同じであっても異なっても良い。また、アルキル基、アラルキル基およびアリール基は環構造を有していても良い。さらに、前記アルキル基、ビニル基、アラルキル基およびアリール基は置換基を有していても良く、この際における置換基は、例えば、アルキル基、ビニル基、アリール基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基およびフッ素原子から選ばれる。これらの置換基は、可能であれば、さらに置換基を有することもできる。
1n、R2n、R3およびR4に選択されるアルキル基、ビニル基、アラルキル基およびアリール基は、入手容易性などの観点から、炭素数1〜20のアルキル基、ビニル基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数6〜20のアリール基がより好ましい。
1n、R2n、R3およびR4は、メチル基またはエポキシ置換アルキル基が好ましく、例えば、エポキシ変性のポリジメチルシロキサン(PDMS)など、PDMS誘導体が好適に利用できる。
また、中間層20cとしては、上記のオルガノポリシロキサン以外にも、ポリ[1−(トリメチルシリル)−1−プロピン](PTMSP)等のシリコーン材料、ブタジエン系・イソプレン系ゴム材料、低密度なポリメチルペンテン等からなる層も利用可能である。
本発明の分離モジュール10において酸性ガス分離膜20は、表面すなわち促進輸送膜20aの上に、保護層を有するのが好ましい。
前述のように、分離モジュール10は、酸性ガス分離膜20および供給ガス流路用部材24による挟持体36と、透過ガス流路用部材26とを積層した積層体14aを巻回する際に、促進輸送膜20aと供給ガス流路用部材24との摺接によって、促進輸送膜20aが損傷する場合がある。
これに対し、酸性ガス分離膜20の表面に、保護層を有することにより、この促進輸送膜20aと供給ガス流路用部材24との摺接によって、促進輸送膜20aを防止して、より酸性ガス分離性能に優れた分離モジュール10が得られる。
保護層の形成材料としては、各種のものが利用可能であるが、前述の中間層20cにおいて例示した各種の化合物が、好適に利用される。特に、中間層20cと同様に、PDMS誘導体は、好適に例示される。
保護層の厚さは、促進輸送膜20aの特性や、供給ガス流路用部材24の特性等に応じて、適宜、設定すればよい。具体的には、0.1〜500μmが好ましく、0.5〜100μmがより好ましい。
保護層の厚さを、上記範囲とすることにより、保護層を有することによるガス透過性の低下を抑制しながら、促進輸送膜20aを好適に保護できる等の点で好ましい。
このような酸性ガス分離膜20は、公知の各種の方法で作製すればよい。好ましくは、RtoRを利用する塗布法によって作製する。
周知のように、RtoRとは、長尺な基板(被処理物)を巻回してなるロールから、基板を送り出し、長手方向に搬送しつつ、塗布組成物の塗布や乾燥等を行い、処理済の基板をロール状に巻き取る製造方法である。
酸性ガス分離膜20を作製する際には、長尺な支持体20bを巻回してなるロールを、中間層20cの形成装置に装填して、このロールから支持体を送り出して、支持体20bを長手方向に搬送しつつ、中間層20cとなる塗布組成物を塗布する。
ここで、支持体20bの搬送速度は、生産性の観点から速い方が好ましい。しかしながら、塗布組成物を均一に塗布するために、3〜200m/minが好ましく、5〜150m/minがより好ましく、10〜120m/minが特に好ましい。
中間層20cとなる塗布組成物は、前述のPDMS誘導体等の中間層20cとなる化合物のモノマー、ダイマー、トリマー、オリゴマー、プレポリマー、および、これらの混合物や、硬化剤、硬化促進剤、架橋剤、増粘剤、補強剤、および、フィラー等を、有機溶剤に溶解および/または分散してなる、塗布法によって樹脂層(樹脂製の膜)等を形成する際に用いられる、一般的な塗布組成物(塗布液/塗料)である。このような塗布組成物は、公知の方法で調製すればよい。
前述のように支持体20bは、多孔質体である。従って、中間層20cとなる塗布組成物を支持体20bに塗布すると、塗布組成物は、次第に支持体20b(多孔質膜)に染み込む。これにより、支持体20b内の染み込み領域と、支持体20bの上の支持体上領域とを有する中間層20cが形成できる。
また、中間層20cとなる塗布組成物の粘度、支持体20b(多孔質膜)の最大孔径や平均孔径、塗布組成物を塗布してから硬化するまでの時間、塗布組成物の塗布量等を、適宜、制御することにより、支持体上領域と染み込み領域との厚さの比『Tb/Ta』が0.1〜100を満たす中間層20cを形成できる。
中間層20cとなる塗布組成物の塗布量は、支持体20bの特性(最大孔径など)、支持体20bの搬送速度、中間層20cの厚さ、塗布組成物の粘度の濃度等に応じて、シミュレーションや実験等を行って、支持体上領域の厚さTaや染み込み領域の厚さTb等が、目的とする値となる量を、適宜、設定すればよい。
ここで、中間層20cとなる塗布組成物は、25℃における粘度が100cp以上であるのが好ましい。
中間層20cとなる塗布組成物の25℃における粘度を100cp以上とすることにより、支持体20bへの塗布組成物の染み込み量を適正に制御して、支持体上領域の厚さTaと、染み込み領域の厚さTbとの比『Tb/Ta』が、0.1〜100である中間層20cを、安定して形成できる。
この点を考慮すると、中間層20cとなる塗布組成物の25℃における粘度は、400cp以上がより好ましく、500cp以上が特に好ましい。
従って、中間層20cとなる塗布組成物は、室温で塗布するのが好ましく、もしくは、粘度が100cp以上となる温度に制御して塗布を行うのが好ましい。
他方、中間層20cとなる塗布組成物の25℃における粘度の上限は、使用する塗布装置における限界粘度に応じて設定すればよい。具体的には、中間層20cとなる塗布組成物の25℃における粘度の上限は、中間層20cの厚さ、および、支持体20bへの染み込み量の制御が好適に行える等の点で、1,000,000cp以下が好ましい。
なお、中間層20cとなる塗布組成物の粘度は、JIS Z8803に準じて、B型粘度計による回転数60rpmにおける粘度を、25℃で測定すればよい。
中間層20cとなる塗布組成物の塗布装置は、シリコーン塗布組成物に応じた公知のものが、各種、利用可能である。特に、ロールコータ、ダイレクトグラビアコータ、オフセットグラビアコータ、1本ロールキスコータ、3本リバースロールコータ、正回転ロールコータ、スクイズコータ、リバースロールコータ等は、好適に例示される。
中間層20cとなる塗布組成物を塗布したら、次いで、この塗布組成物を乾燥する。乾燥も、温風乾燥やヒータによる乾燥等、公知の方法で行えばよい。
中間層20cとなる塗布組成物を乾燥したら、次いで、塗布組成物を硬化して、中間層20cを形成する。
硬化は、加熱硬化、紫外線照射、電子線照射等、中間層20cの形成材料に応じて、硬化が可能な方法を、適宜、選択すればよい。ここで、支持体20bのカールや変形を抑制できる、支持体20bを構成する樹脂などの劣化を防止できる等の理由により、紫外線照射や短時間の加熱による塗布組成物の硬化は、好適に利用される。特に、紫外線照射による硬化は、最も好ましく利用される。すなわち、本発明においては、紫外線の照射による硬化が可能なモノマー等を用いた塗布組成物によって、中間層20cを形成するのが好ましい。
中間層20cとなる塗布組成物の硬化は、塗布組成物を塗布した後、7秒以内に行うのが好ましい。
支持体20bに中間層20cとなる塗布組成物を塗布すると、次第に、塗布組成物が支持体20bに染み込んで行く。すなわち、染み込み領域の厚さTbが厚くなる。
これに対して、中間層20cとなる塗布組成物の硬化を、塗布組成物を塗布した後、7秒以内に行うことにより、支持体20bへの塗布組成物の染み込み量を適正に制御して、支持体上領域の厚さTaと、染み込み領域の厚さTbとの比『Tb/Ta』が、0.1〜100である中間層20cを、安定して形成できる。
中間層20cとなる塗布組成物の組成によっては、塗布組成物の乾燥および硬化を、同時に行ってもよい。
また、塗布組成物の乾燥および/または硬化は、必要に応じて、窒素雰囲気等の不活性雰囲気で行ってもよい。
このようにして支持体20bに中間層20cを形成したら、中間層20cを形成した支持体20bをロール状に巻き取る。
なお、促進輸送膜20aの上に形成する保護層も、基本的に、中間層20cと同様に形成できる。
次いで、中間層20cを形成した支持体20b(以下、複合体とも言う)のロールを促進輸送膜20aの形成装置に装填して、このロールから複合体を送り出して、長手方向に搬送しつつ、促進輸送膜20aとなる塗布組成物を塗布する。
促進輸送膜20aを形成する際の複合体の搬送速度は、塗布組成物の組成や粘度等に応じて、適宜、設定すればよい。
ここで、複合体の搬送速度が速すぎると、塗布組成物の塗膜の膜厚均一性の低下や塗布組成物の乾燥が不十分になるおそれがあり、遅過ぎると生産性が低下する。この点を考慮すると、複合体の搬送速度は、0.5m/min以上が好ましく、0.75〜200m/minがより好ましく、1〜200m/minが特に好ましい。
前述のように、促進輸送膜20aは、親水性ポリマー等の親水性化合物、酸性ガスと反応するキャリアおよび水等を含有する。
従って、このような促進輸送膜20aを形成するための塗布組成物(塗布液/塗料)は、前述の親水性化合物、キャリアおよび水、あるいはさらに、架橋剤等の必要となる成分を含む塗布組成物である。水は、常温水でも加温水でもよい。
親水性化合物は、架橋、一部架橋および未架橋のいずれでも良く、また、これらが混合されたものでもよい。この塗布組成物も、公知の方法で調製すればよい。
促進輸送膜20aとなる塗布組成物は、25℃における粘度が100cp以上であるのが好ましい。
塗布組成物の25℃における粘度を、100cp以上とすることにより、塗布組成物を塗布する際のハジキを抑制できる、塗布組成物の塗布の均一性を良くできる等の点で好ましい。
なお、粘度は、中間層20cとなる塗布組成物と同様に測定すればよい。
促進輸送膜20aとなる塗布組成物の塗布は、公知の物が各種、利用可能であり、前述の中間層20cと同様の物が例示される。また、促進輸送膜20aとなる塗布組成物の好ましい粘度や塗布組成物の塗布量等を考慮すると、ロールコータ、バーコータ、正回転ロールコータ、ナイフコータ等は好適に利用される。
促進輸送膜20aとなる塗布組成物を塗布したら、次いで、この塗布組成物を乾燥して、促進輸送膜20aを形成する。
乾燥方法は、温風乾燥や支持体20bの加熱による乾燥方法等、水の除去による乾燥を行う公知の方法が、各種、利用可能である。
温風乾燥を行う場合には、温風の風速は、塗布組成物を迅速に乾燥できると共に、塗布組成物の塗膜(ゲル膜)が崩れない速度を、適宜、設定すればよい。具体的には、0.5〜200m/minが好ましく、0.75〜200m/minがより好ましく、1〜200m/minが特に好ましい。
また、温風の温度は、支持体20bの変形などが生じず、かつ、塗布組成物を迅速に乾燥できる温度を、適宜、設定すればよい。具体的には、膜面温度で、1〜120℃が好ましく、2〜115℃がより好ましく、3〜110℃が特に好ましい。
支持体20bの加熱による促進輸送膜20aの乾燥を行う場合には、支持体20bの変形などが生じず、かつ、塗布組成物を迅速に乾燥できる温度を、適宜、設定すればよい。また、支持体20bの加熱に、乾燥風の吹き付けを併用してもよい。
具体的には、支持体20bの加熱による促進輸送膜20aの乾燥は、支持体20bの温度を60〜120℃として行うのが好ましく、60〜90℃として行うのがより好ましく、70〜80℃として行うのが特に好ましい。また、この際において、膜面温度は、15〜80℃が好ましく、30〜70℃がより好ましい。
塗布組成物を乾燥して、促進輸送膜20aすなわち酸性ガス分離膜20を作製したら、酸性ガス分離膜20をロール状に巻き取る。
なお、以上の例では、中間層20cを形成した支持体20bを、一旦、巻取り、このロールから、中間層20cを形成した支持体20bを送り出して、促進輸送膜20aを形成している。
しかしながら、これ以外にも中間層20cを形成した支持体20bを巻き取らず、そのまま長手方向に搬送して、促進輸送膜20aを形成して酸性ガス分離膜20を作製して、巻き取ってもよい。
本発明においては、このようにして作製した酸性ガス分離膜20は、そのまま用いて、後述するように、分離モジュール10(積層体14aおよび積層体巻回物14)を作製してもよい。
あるいは、2枚の酸性ガス分離膜20を作製して、2枚の酸性ガス分離膜20を、図4(A)に示すように、促進輸送膜20aを対面した状態で、積層および貼着して、分離膜貼着体20Aを作製し、この分離膜貼着体20Aを用いて、酸性ガス分離膜20と同様に、分離モジュール10(積層体14aおよび積層体巻回物14)を作製してもよい。
前述のように促進輸送膜20aはゲル状の膜であり、また、粘着性を有するため、2枚の酸性ガス分離膜20は、十分な貼着力で貼着される。これにより、後述する積層体14aの巻回を行う際にも、促進輸送膜20a同士が擦れることはない。さらに、このように2枚の酸性ガス分離膜20を貼着した分離膜貼着体20Aでは、促進輸送膜20aが接触するのは、他方の促進輸送膜20aと支持体20bのみである。
そのため、この構成によれば、分離膜貼着体20A、供給ガス流路用部材24および透過ガス流路用部材26からなる積層体14aをスパイラル状に巻回する際に、促進輸送膜20aが損傷することを、好適に防止できる。
このような分離膜貼着体20Aにおいては、中間層20cは、両方の酸性ガス分離膜20が有してもよい。
しかしながら、圧力が支持体20b側から掛かる場合には、加圧による支持体20bへのキャリアの抜けを防止する中間層20cは、不要である。従って、圧力損失等を考慮すると、2枚の酸性ガス分離膜20を貼着してなる分離膜貼着体20Aにおいては、中間層20cは、積層体14aとした際に、供給ガス流路用部材24と離間する側の酸性ガス分離膜20のみに設けるのが好ましい。
2枚の酸性ガス分離膜20を貼着してなる分離膜貼着体20Aは、公知のシート状物の積層および貼着方法を用いて作製すればよい。
例えば、前述のようにRtoRによって酸性ガス分離膜20を作製した場合には、同様に、RtoRによって公知の方法で分離膜貼着体20Aを作製すればよい。具体的には、前述のようして2個の分離膜ロール20Rを作製する。この2個の分離膜ロール20Rを、図4(B)に概念的に示すように、公知の貼り合わせ装置の所定位置に装着する。この分離膜ロール20Rの装着は、各分離膜ロール20Rから送り出した酸性ガス分離膜20の、互いの促進輸送膜20aが対面するように行う。
次いで、各分離膜ロール20Rから、酸性ガス分離膜20を送り出し、ガイドローラ50、積層ローラ対52、搬送ローラ対54を経る所定の経路で挿通し、2枚の酸性ガス分離膜20の先端を、巻取り軸56に巻回する。
以上の準備を終了したら、各分離膜ロール20Rから酸性ガス分離膜20を送り出して、ガイドローラ50等によって所定の搬送経路に案内して長手方向に搬送しつつ、積層ローラ対52によって促進輸送膜20aを対面させて2枚の酸性ガス分離膜20を積層および貼着して分離膜貼着体20Aとする。
さらに、作製した分離膜貼着体20Aを、搬送ローラ対54によって所定の搬送経路に案内して、巻取り軸56によって巻取り、分離膜貼着体20Aをロール状に巻回してなる貼着体ロール20ARとする。
この際において、酸性ガス分離膜20等の搬送速度は、速い方が生産性等の点で好ましいが、酸性ガス分離膜20の強度等に応じて、適宜、設定すればよい。
また、前述のように、促進輸送膜20aは粘着性を有するので、この酸性ガス分離膜20の貼着では、基本的に、接着剤や粘着剤等の接着部材を用いる必要はない。
ここで、本発明の製造方法において、分離膜貼着体20Aを作製する際には、貼り合わせた2枚の酸性ガス分離膜20を加圧するのが好ましい。これにより、2枚の酸性ガス分離膜20(促進輸送膜20a)の貼着力を、より向上できる。
加圧力は、促進輸送膜20aの種類や厚さ等に応じて、適宜、設定すればよい。具体的には、加圧力は10〜500kPaが好ましく、100〜300kPaがより好ましい。
加圧力を、この範囲とすることにより、2枚の酸性ガス分離膜20の粘着力を向上して、後述する巻回の際の促進輸送膜20a同士のズレをより好適に防止できる等の点で好ましい。
貼り合わせた酸性ガス分離膜20(分離膜貼着体20A)の加圧は、加圧ローラやプレス装置等を用いる公知の方法で行えばよい。
例えば、前述のようなRtoRによって、分離膜貼着体20Aを作製する場合には、積層ローラ対52によって2枚の酸性ガス分離膜20を貼着する際に加圧を行ってもよい。あるいは、搬送ローラ対54を加圧ローラ対にする等、分離膜貼着体20Aの搬送経路中に1個以上の加圧ローラを設けてもよい。あるいは、積層ローラ対52による加圧と加圧ローラによる加圧とを、併用してもよい。
また、この加圧を行う際に、必要に応じて、酸性ガス分離膜20および/または分離膜貼着体20Aの加熱や加湿等を行ってもよい。これらの処理は、積層ローラ対52を加熱する方法等、公知の方法で行えばよい。
分離膜貼着体20Aにおいて、2枚の酸性ガス分離膜20による二つの促進輸送膜20aの合計膜厚は、促進輸送膜20aの組成等に応じて、目的とする性能を得られる膜厚を、適宜、設定すればよい。
具体的には、5〜1000μmが好ましく、10〜500μmがより好ましい。
また、分離膜貼着体20Aを構成する2枚の酸性ガス分離膜20は、促進輸送膜20aの厚さが同じでも異なってもよい。また、2枚の酸性ガス分離膜20は、支持体20bの厚さおよび/または構成が同じでも異なってもよい。
さらに、分離膜貼着体20Aを構成する2枚の酸性ガス分離膜20は、促進輸送膜20aが、同じでも互いに異なってもよい。
以下、分離モジュール10における、酸性ガス分離膜20、供給ガス流路用部材24および透過ガス流路用部材26からなる積層体14aの作製方法、および、積層した積層体14aの巻回方法すなわち積層体巻回物14の作製方法を説明する。
なお、酸性ガス分離膜20に変えて、前述の分離膜貼着体20Aを用いる場合にも、同様に、積層体14aを作製し、さらに、積層体巻回物14を作製すればよい。
以下の説明に用いる図5(A)〜図9では、図面を簡潔にして構成を明確に示すために、供給ガス流路用部材24および透過ガス流路用部材26は、端面(端部)のみをネット状で示す。
まず、図5(A)および図5(B)に概念的に示すように、中心筒12の延在方向と短手方向とを一致して、中心筒12に、接着剤等の固定手段34を用いて、透過ガス流路用部材26の端部を固定する。
ここで、前述のように、中心筒12の管壁には、軸方向に沿ってスリット(図示省略)が設けられているのが好ましい。この場合、スリットに、後述する透過ガス流路用部材26の先端部を入れ込み、中心筒12の内周面に固定手段で固定するようにする。この構成によれば、透過ガス流路用部材26を含んだ積層体を中心筒12に巻き付ける際に、テンションをかけながら巻き付けるようにしても、中心筒12の内周面と透過ガス流路用部材26との摩擦で、透過ガス流路用部材26がスリットから抜けることを防止でき、すなわち、透過ガス流路用部材26の固定が維持される。
一方で、図6に概念的に示すように、前述のよう作製した酸性ガス分離膜20(分離膜貼着体20A)を、促進輸送膜20aを内側にして二つ折りにし、間に供給ガス流路用部材24を挟み込む。すなわち、供給ガス流路用部材24を、二つ折りにした酸性ガス分離膜20で挟持した挟持体36を作製する(あるいは、供給ガス流路用部材24を、二つ折りにした分離膜貼着体20Aで挟持した挟持体36Aを作製する)。なお、この際には、酸性ガス分離膜20は均等に二つ折りにするのではなく、図6に示すように、一方が、若干、長くなるように、二つ折りする。
また、供給ガス流路用部材24による促進輸送膜20aの損傷を防止するために、酸性ガス分離膜20を二つ折りにした谷部に、二つ折りにしたシート状の保護部材(例えば、カプトンテープなど)を配置するのが好ましい。
なお、2枚の促進輸送膜20を貼着した分離膜貼着体20Aを利用する場合には、前述のように、中間層20cは、一方の酸性ガス分離膜20のみに形成するのが好ましい。
この際においては、中間層20cを有する酸性ガス分離膜20が、中間層20cを有さない酸性ガス分離膜20よりも、供給ガス流路用部材24から離間するように、分離膜貼着体20Aを二つ折りにして、間に供給ガス流路用部材24を挟み込むのが好ましい。
さらに、二つ折りにした酸性ガス分離膜20の短い方の表面(支持体20bの表面)に、接着剤層30となる接着剤30aを塗布する。
ここで、接着剤30a(接着剤層30)は、図6に示すように、幅方向(矢印x方向)の両端部近傍で、巻回方向(矢印y方向)の全域に延在して帯状に塗布し、さらに、折り返し部と逆側の端部近傍で幅方向の全域に延在して帯状に塗布する。
次いで、図7(A)および図7(B)に概念的に示すように、接着剤30aを塗布した面を透過ガス流路用部材26に向け、かつ、折り返し側を中心筒12に向けて、挟持体36(挟持体36A)を、中心筒12に固定した透過ガス流路用部材26に積層し、透過ガス流路用部材26と酸性ガス分離膜20(支持体20b)とを接着する。
さらに、図7(A)および図7(B)に示すように、積層した挟持体36の上面(長い側の支持体20b表面)に、接着剤層30となる接着剤30aを塗布する。なお、以下の説明では、最初に固定手段34で中心筒12に固定された透過ガス流路用部材26と逆側の方向(図中上側)を、上側とも言う。
図7(A)および図7(B)に示すように、この面の接着剤30aも、先と同様、幅方向の両端部近傍で、巻回方向の全域に延在して帯状に塗布し、さらに、折り返し部と逆側の端部近傍で幅方向の全域に延在して帯状に塗布する。
次いで、図8に概念的に示すように、接着剤30aを塗布した挟持体36の上に、透過ガス流路用部材26を積層し、酸性ガス分離膜20(支持体20b)と透過ガス流路用部材26とを接着し、積層体14aが形成される。
なお、透過ガス流路用部材26は、必要に応じて、複数枚を重ねて用いてもよい。
次いで、先と同様、図6に示すように、酸性ガス分離膜20で供給ガス流路用部材24を挟み込んだ挟持体36を作製して、接着剤層30となる接着剤30aを塗布して、接着剤を塗布した側を下に向けて、最後に積層した透過ガス流路用部材26と挟持体36とを積層して、接着する。
さらに、先と同様、積層した挟持体36の上面に、図7(A)および図7(B)に示すように接着剤30aを塗布して、次いで、図8に示すように、その上に、透過ガス流路用部材26を積層して、接着し、2層目の積層体14aを積層する。
以下の図6〜図8の工程を繰り返して、図9に概念的に示すように、所定数の積層体14aを積層する。
この積層は、図9に示すように、積層体14aは、上方に行くにしたがって、次第に、巻回方向に中心筒12から離間するように積層するのが好ましい。これにより、中心筒12への積層体14aの巻き付けを容易に行い、かつ、各透過ガス流路用部材26の中心筒12側の端部もしくは端部近傍が、好適に中心筒12に当接できる。
所定数の積層体14aを積層したら、図9に示すように、中心筒12の外周面に接着剤38aを、最初に中心筒12に固定した透過ガス流路用部材26の上面の中心筒12と挟持体36との間に接着剤38bを、それぞれ、塗布する。
次いで、図9に矢印ywで示すように、積層した積層体14aを巻き込むようにして、積層体14aを中心筒12に巻き付ける。
巻き終わったら、最外周の透過ガス流路用部材26に、ひき出す方向すなわち巻き絞める方向の張力を掛けた状態で、所定時間、維持して、接着剤30a等を乾燥させる。最外周の透過ガス流路用部材26とは、最初に中心筒12に固定した最下層の透過ガス流路用部材26である。
所定時間が経過したら、最外周の透過ガス流路用部材26を1周した位置で超音波融着等によって固定し、固定位置よりも外方の余分な透過ガス流路用部材26を切断して、積層した積層体14aを中心筒に巻回してなる積層体巻回物14を完成する。
前述のように、原料ガスGは、供給ガス流路用部材24の端部から供給され、酸性ガスGcは、酸性ガス分離膜20を積層方向に輸送されることで通過して、透過ガス流路用部材26に流入し、透過ガス流路用部材26内を流れて、中心筒12に至る。
ここで、接着剤30aを塗布されるのは、支持体20bであり、また、接着剤30aによって接着されるのは、ネット状の透過ガス流路用部材26である。従って、接着剤30aは、支持体20bおよび透過ガス流路用部材26内に浸透(含浸)し、両者の内部に接着剤層30が形成される。
また、接着剤層30(接着剤30a)は、前述のように、幅方向の両端部近傍で、巻回方向の全域に延在して帯状に形成される。さらに、接着剤層30は、この幅方向両端部近傍の接着剤層30を幅方向に横切るように、中心筒12側となる折り返し部と逆側の端部近傍で幅方向の全域に延在して帯状に形成される。すなわち、接着剤層30は、中心筒12側を開放して、透過ガス流路用部材26および支持体20bの外周を囲むように形成される。加えて、透過ガス流路用部材26は、促進輸送膜20aによって挟まれた状態となっている。
これにより、積層体14aの透過ガス流路用部材26には、中心筒12側が開放するエンベロープ状の流路が形成される。従って、酸性ガス分離膜20を透過して透過ガス流路用部材26に流入した酸性ガスGcは、外部に流出することなく、透過ガス流路用部材26内を中心筒12に向かって流れ、貫通孔12aから中心筒12内に流入する。
すなわち、接着剤層30は、接着のみならず、透過ガス流路用部材26等において、酸性ガスGcを所定の流路に封止するための封止部としても作用する。
本発明の分離モジュール10において、接着剤層30(接着剤30a)は、十分な接着力、耐熱性および耐湿性を有するものであれば、各種の公知の接着剤が利用可能である。
一例として、エポキシ樹脂、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が好適に例示される。
なお、接着剤層30となる接着剤30aは、一度塗りでもよいが、好ましくは、最初はアセトン等の有機溶剤で希釈した接着剤を塗布し、その上に、接着剤のみを塗布するのが好ましい。この際には、有機溶剤で希釈した接着剤は幅広に塗布し、接着剤は、これよりも狭い幅で塗布するのが好ましい。
さらに、分離モジュール10において、支持体20bが、前述の多孔質膜と補助支持膜との積層体である場合には、周縁部すなわち接着剤層30の形成部に、支持体20bの積層方向において、多孔質膜中に10%以上の染み込み率で接着剤が染み込んでおり、かつ、補助支持膜における接着剤の染み込み率が多孔質膜中への染み込み率よりも小さい膜保護部を備えるのが好ましい。
このような膜保護部を有することにより、酸性ガス分離膜20が分離モジュール10に組み込まれて使用に供される際に、応力集中が生じて促進輸送膜20aに欠陥が生じ易い部分を保護して欠陥の発生を抑制すると共に、欠陥が生じた場合には,供給ガスの透過を抑制できるため、分離モジュール10の分離性能の低下を抑制できる。
膜保護部は、耐熱性および耐湿性を有するものであれば、各種の公知の接着剤で形成可能である。具体的には、前述の接着剤層30で例示したものが、各種、例示される。
膜保護部は、一例として、接着剤層30の形成に先立ち、溶剤の添加等によって低粘度にした接着剤を、支持体20bの多孔質支持膜に塗布することで、形成すればよい。
膜保護部の幅は、分離モジュール10の大きさ等に応じて、適宜、設定すればよいが、20mm以上あるのが好ましく、40mm以上がより好ましい。
本発明の分離モジュール10において、このようにして作製される積層体巻回物14の両端部には、テレスコープ防止板(テレスコープ防止部材)16が配置される。
前述のように、テレスコープ防止板16は、積層体巻回物14が原料ガスGによって押圧されて、供給側の端面が入れ子状に押し込まれ、逆側の端面が入れ子状に突出する、いわゆるテレスコープ現象を防止するための部材である。
本発明において、テレスコープ防止板16は、スパイラル型の分離モジュールに用いられる公知のものが、各種、利用可能である。
図示例において、テレスコープ防止板は、円環状の外環部16aと、外環部16aの中に中心を一致して配置される円環状の内環部16bと、外環部16aおよび内環部16bを連結して固定するリブ(スポーク)16cとを有して構成される。積層体14aを積層した積層物が巻回される中心筒12は、内環部16bを挿通する。
図示例において、リブ16cは、外環部16aおよび内環部16bの中心から、等角度間隔で放射状に設けられおり、外環部16aと内環部16bとの間で、かつ、各リブ16cの間隙が、原料ガスGもしくは残余ガスGrが通過する開口部16dとなっている。
テレスコープ防止板16は、積層体巻回物14の端面に接触して配置しても良い。
しかしながら、積層体巻回物14の端面全域を原料ガスの供給や残余ガスGrの排出に使用するために、テレスコープ防止板16と積層体巻回物14の端面とは、若干の間隙を有して配置するのが好ましい。
テレスコープ防止板16の形成材料は、十分な強度と、耐熱性および耐湿性を有する、各種の材料が利用可能である。
具体的には、金属材料、樹脂材料、セラミックス等が好適に例示される。
金属材料としては、例えば、ステンレス(SUS)、アルミニウム、アルミニウム合金、錫、錫合金等が例示される。
樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ナイロン12、ナイロン66、ポリサルフィン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル・ブタジエン・スチレン樹脂、アクリル・エチレン・スチレン樹脂、エポキシ樹脂、ニトリル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等が例示される。樹脂材料としては、これらの樹脂の繊維強化プラスチックも例示される。繊維としては、例えば、ガラス繊維、カーボン繊維、ステンレス繊維、アラミド繊維などが例示され、特に長繊維が好ましい。繊維強化プラスチックとしては、より具体的には、ガラス長繊維強化ポリプロピレン、ガラス長繊維強化ポリフェニレンサルファイドなどが例示される。
セラミックスとしては、例えば、ゼオライト、アルミナ等が例示される。
被覆層18は、積層体巻回物14の周面を覆って、この周面すなわち積層体巻回物14の端面以外から外部への原料ガスGや残余ガスGrの排出を遮断するためのものである。
被覆層18は、積層体巻回物14の周面のみならず、必要に応じて、さらに、テレスコープ防止板を覆って設けてもよい。
被覆層18は、原料ガスG等を遮蔽できる物が、各種、利用可能である。また、被覆層18は、筒状の部材であってもよく、線材やシート状の部材を巻回して構成してもよい。
一例として、FRP製の線材に、前述の接着剤層30に利用される接着剤を含浸して、接着剤を含浸した線材を、隙間無く、必要に応じて多重に、積層体巻回物14に巻き付けてなる被覆層18が例示される。FRPで使用するファイバーやマトリックス樹脂には、限定は無い。一例として、ファイバーとしては、ガラスファイバー、炭素繊維、ケブラー、ダイニーマなどが例示されるが、この中でもガラスファイバーが特に好ましい。また、マトリックス樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、アクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などが例示されるが、耐熱性、耐加水分解性の観点から、エポキシ樹脂が好ましい。
なお、この際においては、必要に応じて、被覆層18と積層体巻回物14との間に、積層体巻回物14への接着剤の染み込みを防止するためのカプトンテープ等のシート状部材を設けてもよい。
以上、本発明の酸性ガス分離モジュールについて詳細に説明したが、本発明は上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明の酸性ガス分離モジュールについて、より詳細に説明する。
[実施例1]
<促進輸送膜20aとなる塗布組成物(1)の調製>
ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸共重合体(クラレ社製 クラストマーAP-20)を3.3質量%、架橋剤(和光純薬社製 25質量%グルタルアルデヒド水溶液)を0.016質量%、含む水溶液を調製した。この水溶液に、1M塩酸をpH1.7になるまで添加して、架橋させた。
架橋後、40%炭酸セシウム水溶液(稀産金属社製)を炭酸セシウム濃度が6.0質量%になるように添加した。すなわち、本例では、炭酸セシウムが促進輸送膜20aのキャリアとなる。
さらに、界面活性剤(日油社製 1質量%ラピゾールA−90)を0.004質量%、添加して、促進輸送膜20aとなる塗布組成物(1)を調製した。
<中間層20cとなる塗布組成物の調製>
重合性ポリジメチルシロキサン(UV9300、モメンティブパフォーマンス社製)20質量%、および、4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート(I0591、東京化成工業社製)0.1質量%を含むヘプタン溶液を調製して、中間層20cとなる塗布組成物とした。
なお、この塗布組成物の25℃での粘度は、300cPであった。
<酸性ガス分離膜の作製>
<<中間層の形成>>
支持体20bとして、PP不織布の表面に多孔質膜を積層してなる、長尺な積層体(GE社製)を巻回してなる支持体ロールを用意した。この多孔質膜は、多孔質のPTFEである。
塗布装置(ロールコータ)、乾燥装置および紫外線照射装置を有する、RtoRによって塗布法で成膜を行う一般的な成膜装置に、この支持体ロールを装填し、所定の搬送経路に支持体20bを挿通(通紙)して、先端を巻取り軸に巻回した。また、先に調製した、中間層20cとなる塗布組成物を、塗布手段の材料槽に充填した。
この成膜装置によって、支持体20bを長手方向に搬送しつつ、塗布装置によって中間層20cとなる塗布組成物を塗布し、乾燥装置によって塗布組成物を乾燥し、紫外線照射装置によって塗布組を硬化して、支持体20bに中間層20cを形成して、ロール状に巻回した。
塗布組成物の塗布は、常温で行った。紫外線の照射は、塗布組成物を塗布した後、2秒で塗布組成物が硬化するように行った。塗布組成物の硬化時間と紫外線照射条件(照射時間および紫外線強度)との関係は、予め、実験によって調べておいた。
このようにして形成した中間層20cは、支持体上領域の厚さTaが0.5μm、染み込み領域の厚さTbが2μmで、厚さの比『Tb/Ta』は4であった。
なお、中間層20cとなる塗布組成物の粘度や塗布組成物の塗布から硬化までの時間と、支持体上領域の厚さTaおよび染み込み領域の厚さTbとの関係、および、塗布組成物の塗布量と中間層20cの厚さとの関係は、予め、実験によって調べておいた。
この中間層20cのガス透過性を測定したところ、750Barrerであった。
中間層20cのガス透過性(Barrer)は、測定用ガスを、中間層20cを形成した支持体20bに供給し、透過してきたガスをガスクロマトグラフで分析し、透過性能(GPU)評価後、SEM−EDX解析から測定した中間層20cの膜厚との積から算出した。測定用ガスは、N2:CO2:H2O=66:21:13(分圧比)の混合ガスを用いた。また、測定用ガスは、流量0.32L/min、温度130℃、全圧2001.3kPaの条件で、支持体20bに供給した。
<<促進輸送膜20aの形成>>
支持体20bに中間層20cを形成した成膜装置から、支持体ロール、中間層20cを形成した支持体20bを巻回してなるロールを取り外した。
塗布装置(ロールコータ)および乾燥装置を有する、RtoRによって塗布法で成膜を行う一般的な成膜装置に、この中間層20cを形成した支持体20bを巻回してなるロールを装填して、所定の搬送経路に中間層20cを形成した支持体20bを挿通して、先端を巻取り軸に巻回した。また、先に調製した、促進輸送膜20aとなる塗布組成物(1)を、塗布装置の材料槽に充填した。
次いで、この成膜装置によって、支持体20bを長手方向に搬送しつつ、塗布装置によって塗布組成物(1)を塗布し、乾燥装置によって塗布組成物(1)を乾燥することで、中間層20cの上に促進輸送膜20aを形成することで、図3に示すような、支持体20b、中間層20cおよび促進輸送膜20aを有する酸性ガス分離膜20を作成して、ロール状に巻回した。
塗布組成物(1)の塗布は、乾燥によって形成される促進輸送膜20aの厚さが20μmとなるように行った(Tc=20μm)。従って、厚さの比『Tc/(Ta+Tb)』は、8である。なお、塗布組成物(1)の塗布量(塗膜厚)と、形成される促進輸送膜20aの厚さとの関係は、予め、実験によって調べておいた。
<分離モジュールの作製>
まず、図5(A)および図5(B)に示すように、SUS製の中心筒12に、透過ガス流路用部材26を固定した。透過ガス流路用部材26は、100メッシュのステンレス製の金網(線径0.1mm、目開き0.154mm)を用いた。固定手段34は、SUSを接着可能な接着剤を用いた。
一方、作製した酸性ガス分離膜20を、所定の長さに切断して、促進輸送膜20aを内側にして二つ折りした。二つ折りは、図6に示すように、一方の酸性ガス分離膜20が、若干、長くなるように行った。二つ折りした酸性ガス分離膜20の谷部にカプトンテープを貼り、供給ガス流路用部材24の端部が促進輸送膜20aの膜谷部を傷つけないように補強した。
次いで、二つ折りした酸性ガス分離膜20に、供給ガス流路用部材24を挟み込んで、挟持体36を作製した。供給ガス流路用部材24は、厚さ0.5mmのPP製ネットを用いた。
この挟持体36の酸性ガス分離膜20が短い方の多孔質支持体20b側に、図6に示すように、幅方向(矢印x方向)の両端部近傍に、巻回方向(矢印y方向)の全域に延在し、かつ、巻回方向の折り返し部と逆側の端部近傍に、幅方向の全域に延在して、接着剤30aを塗布した。接着剤30aは、エポキシ系樹脂からなる接着剤(ヘンケルジャパン社製 E120HP)を用いた。
次いで、接着剤30aを塗布した側を下方に向けて、図7(A)および図7(B)に示すように、挟持体36と中心筒12に固定した透過ガス流路用部材26とを積層し、接着した。
次いで、透過ガス流路用部材26に積層した挟持体36の酸性ガス分離膜20の上面に、図7(A)および図7(B)に示すように、幅方向の両端部近傍に、巻回方向の全域に延在し、かつ、巻回方向の折り返し部と逆側の端部近傍に、幅方向の全域に延在して、接着剤30aを塗布した。さらに、接着剤30aを塗布した酸性ガス分離膜20の上に、図8に示すように、透過ガス流路用部材26を積層して、接着することにより、1層目の積層体14aを形成した。
先と同様にして、図6に示す挟持体36を、もう一つ作製し、同様に、短い側の酸性ガス分離膜20の多孔質支持体20b側に、同様に接着剤30aを塗布した。次いで、図7(A)および図7(B)と同様に、接着剤30aを塗布した側を先に形成した1層目の積層体14a(その透過ガス流路用部材26)に向けて、挟持体36を、1層目の積層体14a(透過ガス流路用部材26)の上に積層し、接着した。さらに、この挟持体36の上面に、図7(A)および図7(B)と同様に接着剤30aを塗布し、その上に、図8と同様に透過ガス流路用部材26を積層して、接着することにより、2層目の積層体14aを形成した。
さらに、上記2層目と同様にして、2層目の積層体14aの上に、3層目の積層体14aを形成した。
中心筒12に固定した透過ガス流路用部材26の上に、3層の積層体14aを積層した後、図9に示すように、中心筒12の周面に接着剤38aを塗布し、さらに、中心筒12と最下層の積層体14aとの間の透過ガス流路用部材26上に、接着剤38bを塗布した。接着剤38aおよび38bは、接着剤30aと同じ物を用いた。
次いで、図9の矢印yw方向に中心筒12を回転することで、積層した3層の積層体14aを巻き込むようにして中心筒12に多重に巻き付け、積層体巻回物14とした。
このようにして作製した積層体巻回物14の両端部に、内環部16bに中心筒12を挿通して、図1に示される形状の、厚さ2cmのテレスコープ防止板16を取り付けた。テレスコープ防止板16は、ガラス繊維が40質量%入った、PPS製のものを用いた。テレスコープ防止板16と積層体巻回物14との距離は、1mmとした。
さらに、テレスコープ防止板16の周面および積層体巻回物14の周面に、FRP樹脂テープを巻き付けて封止することで、被覆層18を形成して、分離モジュール10を作製した。作成した分離モジュール10の膜面積は、合計で1.2m2(設計値)であった。
なお、分離モジュール10は、同様の物を5本作製した。
[実施例2]
中間層20cとなる塗布組成物の塗布量、および、硬化までの時間を変更した以外は、実施例1と同様にして酸性ガス分離膜20を形成した。
なお、中間層20cの支持体上領域の厚さTaは2μm、染み込み領域の厚さTbは0.2μmであった。従って、厚さの比『Tb/Ta』は0.1、厚さの比『Tc/(Ta+Tb)』は9.09ある。
実施例1と同様にして測定したところ、中間層20cのガス透過性は570Barrerであった。
この酸性ガス分離膜20を用いて、実施例1と同様に分離モジュール10を作製した。
[実施例3]
中間層20cとなる塗布組成物の塗布量、および、硬化までの時間を変更し、さらに、促進輸送膜20aの厚さを350μmにした以外は、実施例1と同様にして酸性ガス分離膜20を形成した。
中間層20cの支持体上領域の厚さTaは2μm、染み込み領域の厚さTbは0.2μmであった。従って、厚さの比『Tb/Ta』は0.1、厚さの比『Tc/(Ta+Tb)』は159ある。
実施例1と同様にして測定したところ、中間層20cのガス透過性は570Barrerであった。
この酸性ガス分離膜20を用いて、実施例1と同様に分離モジュール10を作製した。
[実施例4]
中間層20cとなる塗布組成物の塗布量、および、硬化までの時間を変更し、さらに、促進輸送膜20aの厚さを950μmにした以外は、実施例1と同様にして酸性ガス分離膜20を形成した。
中間層20cの支持体上領域の厚さTaは2μm、染み込み領域の厚さTbは0.2μmであった。従って、厚さの比『Tb/Ta』は0.1、厚さの比『Tc/(Ta+Tb)』は432ある。
実施例1と同様にして測定したところ、中間層20cのガス透過性は570Barrerであった。
この酸性ガス分離膜20を用いて、実施例1と同様に分離モジュール10を作製した。
[実施例5]
中間層20cとなる塗布組成物の塗布量、および、硬化までの時間を変更した以外は、実施例1と同様にして酸性ガス分離膜20を形成した。
中間層20cの支持体上領域の厚さTaは0.1μm、染み込み領域の厚さTbは9μmであった。従って、厚さの比『Tb/Ta』は90、厚さの比『Tc/(Ta+Tb)』は2.2である。
実施例1と同様にして測定したところ、中間層20cのガス透過性は1000Barrerであった。
この酸性ガス分離膜20を用いて、実施例1と同様に分離モジュール10を作製した。
[実施例6]
中間層20cとなる塗布組成物の塗布量、および、硬化までの時間を変更し、さらに、促進輸送膜20aの厚さを2.5μmとした以外は、実施例1と同様にして酸性ガス分離膜20を形成した。
中間層20cの支持体上領域の厚さTaは0.1μm、染み込み領域の厚さTbは9μmであった。従って、厚さの比『Tb/Ta』は90、厚さの比『Tc/(Ta+Tb)』は0.27である。
実施例1と同様にして測定したところ、中間層20cのガス透過性は1000Barrerであった。
この酸性ガス分離膜20を用いて、実施例1と同様に分離モジュール10を作製した。
[実施例7]
促進輸送膜20aの厚さを70μmにした以外は、実施例1と同様にして酸性ガス分離膜20を形成した。
従って、中間層20cの支持体上領域の厚さTaは0.5μm、染み込み領域の厚さTbは2μmで、厚さの比『Tb/Ta』は4、厚さの比『Tc/(Ta+Tb)』は8、中間層20cのガス透過性は750Barrerである。
この酸性ガス分離膜20を用いて、実施例1と同様に分離モジュール10を作製した。
[実施例8]
重合性ポリジメチルシロキサンとして信越化学工業社製のKF−102を用いた以外は、実施例1と同様にして中間層20cとなる塗布組成物を調製した。なお、この塗布組成物の25℃での粘度は、4000cPであった。
この塗布組成物を用いて中間層20cを形成した以外は、実施例1と同様にして酸性ガス分離膜20を形成した。
中間層20cの支持体上領域の厚さTaは2.3μm、染み込み領域の厚さTbは0.6μmであった。従って、厚さの比『Tb/Ta』は0.26、厚さの比『Tc/(Ta+Tb)』は6.9である。
実施例1と同様にして測定したところ、中間層20cのガス透過性は620Barrerであった。
この酸性ガス分離膜20を用いて、実施例1と同様に分離モジュール10を作製した。
[実施例9]
中間層20cとなる塗布組成物を用いて、中間層20cと同様にして、促進輸送膜20aの上に厚さ3μmの保護層を形成した以外は、実施例2と同様に酸性ガス分離膜20を形成した。
従って、中間層20cの支持体上領域の厚さTaは2μm、染み込み領域の厚さTbは0.2μm、厚さの比『Tb/Ta』は0.1、厚さの比『Tc/(Ta+Tb)』は9.09、中間層20cのガス透過性は570Barrerである。
[実施例10]
ポリビニルアルコール(PVA)−ポリアクリル酸共重合体(PAA)(モル比:PVA/PAA=3/7)を含む水溶液(共重合体濃度:4.3質量%)に、40質量%炭酸セシウム(稀産金属社製)水溶液を炭酸セシウム濃度が6.0質量%になるように添加した。さらに、Ti系架橋剤であるオルガチックスTC-100(松本ファインケミカル社製)がPVA−PAA共重合体に対して10質量%の比率になるように添加し、攪拌し脱泡して、塗布組成物(2)を調製した。
なお、PVA−PAA共重合体は、「T.Sato,et al. (1993). Synthesis of poly(vinyl alcohol) having a thiol group at one end and new block copolymers containing poly(vinyl alcohol) as one cinsistent. Macromolecular Chemistry and Physics,194,175-185」に記載の方法を参考に合成したものである。
塗布組成物(1)の代わりに、塗布組成物(2)を用いて促進輸送膜20aを形成した以外には、実施例8と同様にして、酸性ガス分離膜20を形成した。
従って、中間層20cの支持体上領域の厚さTaは2.3μm、染み込み領域の厚さTbは0.6μmで、厚さの比『Tb/Ta』は0.26、厚さの比『Tc/(Ta+Tb)』は6.9、中間層20cのガス透過性は620Barrerである。
この酸性ガス分離膜20を用いて、実施例1と同様に分離モジュール10を作製した。
この分離モジュール10の促進輸送膜20aには、前述の式(1)中のMがTiである構造単位が含まれる。蛍光X線分析法によって、促進輸送膜中のTi含有量を測定したところ、Ti含有量は、親水性化合物であるPVA−PAA共重合体に対して、1.1質量%であった。なお、蛍光X線分析法による促進輸送膜中のTi含有量は、Rigaku社製のPrimusell(Rh線源)を用いて、測定エリア10mmφで分析を行ない、定量化することで測定した。
[実施例11]
塗布組成物(2)において、オルガチックスTC-100(松本ファインケミカル社製)をPVA-PAA共重合体に対して1質量%になるように添加した以外は、実施例10と同様にして、酸性ガス分離膜20を形成した。
従って、中間層20cの支持体上領域の厚さTaは2.3μm、染み込み領域の厚さTbは0.6μmで、厚さの比『Tb/Ta』は0.26、厚さの比『Tc/(Ta+Tb)』は6.9、中間層20cのガス透過性は620Barrerである。
この酸性ガス分離膜20を用いて、実施例1と同様に分離モジュール10を作製した。
実施例10と同様にして、促進輸送膜20aのTi含有量を測定した。その結果、Ti含有量は、親水性化合物であるPVA−PAA共重合体に対して、0.11質量%であった。
[実施例12]
塗布組成物(2)において、オルガチックスTC-100(松本ファインケミカル社製)をPVA-PAA共重合体に対して50質量%になるように添加した以外は、実施例10と同様にして、酸性ガス分離膜20を形成した。
従って、中間層20cの支持体上領域の厚さTaは2.3μm、染み込み領域の厚さTbは0.6μmで、厚さの比『Tb/Ta』は0.26、厚さの比『Tc/(Ta+Tb)』は6.9、中間層20cのガス透過性は620Barrerである。
この酸性ガス分離膜20を用いて、実施例1と同様に分離モジュール10を作製した。
実施例10と同様にして、促進輸送膜20aのTi含有量を測定した。その結果、Ti含有量は、親水性化合物であるPVA−PAA共重合体に対して、5.3質量%であった。
[実施例13]
塗布組成物(2)において、オルガチックスTC-100(松本ファインケミカル社製)の代わりにオルガチックスTC-401(松本ファインケミカル社製)を使用し、PVA-PAA共重合体に対して15質量%になるように添加した以外は、実施例10と同様にして、酸性ガス分離膜20を形成した。
従って、中間層20cの支持体上領域の厚さTaは2.3μm、染み込み領域の厚さTbは0.6μmで、厚さの比『Tb/Ta』は0.26、厚さの比『Tc/(Ta+Tb)』は6.9、中間層20cのガス透過性は620Barrerである。
この酸性ガス分離膜20を用いて、実施例1と同様に分離モジュール10を作製した。
実施例10と同様にして、促進輸送膜20a中のTi含有量を測定した。その結果、Ti含有量は、親水性化合物であるPVA−PAA共重合体に対して、1質量%であった。
[実施例14]
塗布組成物(1)の代わりに塗布組成物(2)を使用した以外は、実施例5と同様にして、酸性ガス分離膜20を形成した。
従って、中間層20cの支持体上領域の厚さTaは0.1μm、染み込み領域の厚さTbは9μmで、厚さの比『Tb/Ta』は90、厚さの比『Tc/(Ta+Tb)』は2.2、中間層20cのガス透過性は1000Barrerである。
この酸性ガス分離膜20を用いて、実施例1と同様に分離モジュール10を作製した。
[実施例15]
塗布組成物(1)の代わりに塗布組成物(2)を使用した以外は、実施例9と同様にして、酸性ガス分離膜20を形成した。
従って、中間層20cの支持体上領域の厚さTaは2μm、染み込み領域の厚さTbは0.2μmで、厚さの比『Tb/Ta』は0.1、厚さの比『Tc/(Ta+Tb)』は9.09、中間層20cのガス透過性は570Barrerである。
この酸性ガス分離膜20を用いて、実施例1と同様に分離モジュール10を作製した。
[実施例16]
<酸性ガス分離膜の作製>
厚さ200μmのPP不織布の表面に厚さ10μmの多孔質膜(多孔質のPTFE、平均孔径0.15μm)を積層した積層体を支持体20bとして用い、実施例8と同様に中間層20cを形成し、さらに、促進輸送膜20aの形成に実施例10と同じ塗布組成物(2)を用いた以外は、実施例1と同様に酸性ガス分離膜20を作製した。
中間層20cの支持体上領域の厚さTaは2.3μm、染み込み領域の厚さTbは0.6μmであった。従って、厚さの比『Tb/Ta』は0.26、厚さの比『Tc/(Ta+Tb)』は6.9である。また、実施例1と同様にして測定したところ、中間層20cのガス透過性は620Barrerであった。
また、別途、厚さ200μmのPP不織布の表面に厚さ10μmの多孔質膜(多孔質のPTFE、平均孔径0.15μm)を積層した積層体を支持体20bとして用い、この支持体20bの上に、実施例10と同じ塗布組成物(2)を用いて促進輸送膜20aを形成した以外は、実施例1と同様に酸性ガス分離膜20を作製した。すなわち、この酸性ガス分離膜20は、中間層20cを有さない。
前述の実施例1で示したように、酸性ガス分離膜20は、RtoRを利用して作製している。従って、本例においては、中間層20cを有する酸性ガス分離膜20を巻回してなる分離膜ロール20Rと、中間層20cを有さない酸性ガス分離膜20を巻回してなる分離膜ロール20Rとの、2つの分離膜ロール20Rを作製した。
<分離膜貼着体20Aの作製>
このようにして作製した2つの分離膜ロール20Rを、図4(B)に示すような、RtoRによってシート状物の積層および貼着を行う一般的な装置の所定位置に装着した。なお、二つの分離膜ロール20Rは、積層ローラ対52において、送り出した酸性ガス分離膜20の互いの促進輸送膜20aが対面するように装着した。次いで、装着した二つの分離膜ロール20Rから酸性ガス分離膜20を送り出し、ガイドローラ50、積層ローラ対52および搬送ローラ対54を経る所定の搬送経路に挿通して、先端を巻取り軸56に巻回した。
以上の準備を終了した後、両分離膜ロール20Rから送り出した酸性ガス分離膜20を長手方向に搬送しつつ、積層ローラ対52によって促進輸送膜20aを対面して積層および貼着して、図4(A)に示すような分離膜貼着体20Aを作製した。なお、積層ローラ対52による挟持圧力は、300kPaとした。
作製した分離膜貼着体20Aは、搬送ローラ対54で所定方向に搬送しつつ、巻取り軸56で巻き取って、貼着体ロール20ARとした。
<分離モジュールの作製>
図5(A)および図5(B)に示すように、SUS製の中心筒12(貫通孔直径1.5 mm 、開口率1.8%)に、透過ガス流路用部材26(100メッシュのステンレス製の金網(線径0.1mm、目開き0.154mm))を固定した。
なお、中心筒12の中央部に、幅1mm、長さ150mmのスリットを作製して、透過ガス流路用部材26の端部を挿入して固定した。
一方、作製した分離膜貼着体20Aを貼着体ロール20ARから引き出して、所定の長さに切断して、二つ折りした。二つ折りは、図6に示すように、一方の分離膜貼着体20Aが、若干、長くなるように行った。二つ折りした分離膜貼着体20Aの谷部にフッ素樹脂テープを貼り、供給ガス流路用部材24の端部が支持体20bの谷部を傷つけないように補強した。
次いで、二つ折りした分離膜貼着体20Aに、供給ガス流路用部材24(厚さ0.5mmのPP製ネット)を挟み込んで、挟持体36Aを作製した。このとき、中間層20cを設けた促進輸送膜20が供給ガス流路用部材24と離間するように、分離膜貼着体20Aを二つ折りにして供給ガス流路用部材24挟み込んで、挟持体36Aを作製した。
この挟持体36Aの分離膜貼着体20Aが短い方の支持体20bに、一面の周縁のうち4辺に比較的粘度の低い接着剤を刷毛にて塗布して、膜保護部を形成した。比較的粘度の低い接着剤は、エポキシ系樹脂からなる接着剤(E120HP:ヘンケルジャパン社製)50質量部にアセトン50質量部を混合させたものを用いた。
次いで、図6に示すように、幅方向(矢印x方向)の両端部近傍に、巻回方向(矢印y方向)の全域に延在して、接着剤30aを塗布した。さらに、巻回方向の折り返し部と逆側の端部近傍に、幅方向の全域に延在して接着剤30aを塗布した。接着剤30aはエポキシ系樹脂からなる接着剤(ヘンケルジャパン社製 E120HP)を用いた。
さらに、接着剤30aを塗布した側を下方に向けて、図7(A)および図7(B)に示すように、挟持体36Aと、中心筒12に固定した透過ガス流路用部材26とを積層し、接着した。
次いで、透過ガス流路用部材26を積層した挟持体36Aの分離膜貼着体20A(支持体20b)の上面に、一面の周縁のうち三辺に比較的粘度の低い接着剤を刷毛にて塗布して、膜保護部を形成した。
さらに、図7(A)および図7(B)に示すように、幅方向の両端部近傍に巻回方向の全域に延在して接着剤30aを塗布し、また、巻回方向の折り返し部と逆側の端部近傍に、幅方向の全域に延在して、接着剤30aを塗布した。
さらに、接着剤30aを塗布した分離膜貼着体20Aの上に、図8に示すように、透過ガス流路用部材26を積層し、接着することにより、1層目の積層体14aを形成した。なお、本例においては、ガス流路用部材26は、2枚、重ねたものを積層、接着した。
先と同様にして、図6に示す挟持体36Aを、もう一つ作製し、同様に、短い側の分離膜貼着体20Aの多孔質支持体20b側に、同様に接着剤30aを塗布した。次いで、図7(A)および図7(B)と同様に、接着剤30aを塗布した側を先に形成した1層目の積層体14a(その透過ガス流路用部材26)に向けて、挟持体36Aを、1層目の積層体14a(透過ガス流路用部材26)の上に積層し、接着した。さらに、この挟持体36Aの上面に、図6と同様に接着剤30aを塗布し、その上に、図8と同様に透過ガス流路用部材26を積層して、接着することにより、2層目の積層体14aを形成した。先と同様、このガス流路用部材26も、2枚、重ねたものを積層、接着した。
さらに、上記2層目と同様にして、2層目の積層体14aの上に、3層目の積層体14aを形成し、以下、同様にして、20層の積層体14aを積層した積層物を形成した。
中心筒12に固定した透過ガス流路用部材26の上に、20層の積層体14aを積層した後、図9に示すように、中心筒12の周面に接着剤38aを塗布し、さらに、中心筒12と最下層の積層体14aとの間の透過ガス流路用部材26上に、接着剤38bを塗布した。接着剤38aおよび38bは、接着剤30aと同じ物を用いた。
次いで、図9の矢印yw方向に中心筒12を回転することで、積層した20層の積層体14aを巻き込むようにして中心筒12に多重に巻き付け、積層体14aを牽引する方向に張力を掛けて積層体巻回物14とした。この巻回は、積層体巻回物14の直径が200mmとなるように行った。
さらに、積層体巻回物14の端面を切断して両端を揃えた後、積層体巻回物14の両端部に、内環部16bに中心筒12を挿通して、図1に示される形状の、厚さ2cmのSUS製のテレスコープ防止板16を取り付けた。
さらに、テレスコープ防止板16の周面および積層体巻回物14の周面に、ガラスファイバーとエポキシ樹脂からなるFRP樹脂テープを巻き付けて、封止することにより、厚さ5mmの被覆層18を形成して、幅30cmの図1に示されるような分離モジュール10を作製した。
[比較例1]
中間層20cとなる塗布組成物の塗布量、および、硬化までの時間を変更した以外は、実施例1と同様にして酸性ガス分離膜20を形成した。
中間層20cの支持体上領域の厚さTaは2μm、染み込み領域の厚さTbは0.1μmであった。従って、厚さの比『Tb/Ta』は0.05、厚さの比『Tc/(Ta+Tb)』は9.52である。
実施例1と同様にして測定したところ、中間層20cのガス透過性は560Barrerであった。
この酸性ガス分離膜20を用いて、実施例1と同様に分離モジュール10を作製した。
[比較例2]
中間層20cとなる塗布組成物の塗布量、および、硬化までの時間を変更した以外は、実施例1と同様にして酸性ガス分離膜20を形成した。
中間層20cの支持体上領域の厚さTaは0.15μm、染み込み領域の厚さTbは20μmであった。従って、厚さの比『Tb/Ta』は133.3、厚さの比『Tc/(Ta+Tb)』は0.99である。
実施例1と同様にして測定したところ、中間層20cのガス透過性は1020Barrerであった。
この酸性ガス分離膜20を用いて、実施例1と同様に分離モジュール10を作製した。
[比較例3]
重合性ポリジメチルシロキサンに変えて、PVA水溶液(Mw=88,000 関東化学社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして中間層20cとなる塗布組成物を調製した。この塗布組成物の25℃での粘度は、800cPであった。
この塗布組成物を用いて中間層20cを形成した以外は、実施例1と同様にして酸性ガス分離膜20を形成した。
中間層20cの支持体上領域の厚さTaは2μm、染み込み領域の厚さTbは0.2μmであった。従って、厚さの比『Tb/Ta』は0.1、厚さの比『Tc/(Ta+Tb)』は9.09である。
実施例1と同様にして測定したところ、中間層20cのガス透過性は15Barrerであった。
この酸性ガス分離膜20を用いて、実施例1と同様に分離モジュール10を作製した。
[性能評価]
<気密性>
作製した分離モジュール10の供給側に、0.34MPaの圧力がかかるようにHeガスを充填して、密閉し、圧力が0.3MPaまで減少する時間で気密性(製造安定性)を測定した。圧力が0.34MPaから0.3MPaまで減少する時間が10000秒以上の分離モジュール10を、欠陥無しと判定した。
各例共に、作製した5本の分離モジュールについて同様の試験を行い、以下のように評価した。
A: 5本中、欠陥無しが4本以上
B: 5本中、欠陥無しが1〜3本
C: 5本中、欠陥無しが0本
<分離性能耐久性評価>
原料ガスGを、流量0.32L/min、温度130℃、全圧2001.3kPaの条件で、各分離モジュール10に供給した。原料ガスGは、N2:CO2:H2O=66:21:13の混合ガス(分圧比)を用いた。なお、中心筒12の原料ガス透過側の端部に、スイープガス供給用の貫通孔を形成して、此処から、スイープガスとして流量0.6L/minのArガスを供給した。
原料ガスGの供給を開始した後、1時間経過した時点と、200時間経過した時点とで、分離モジュール10を透過したガス(酸性ガスGcおよび残余ガスGr)をガスクロマトグラフで分析し、CO2/N2分離係数(α)を測定した。
1時間経過時点と、200時間経過時点とで、CO2/N2分離係数(α)の変化率を算出して、分離性能耐久性を評価した。
変化率=
[(1時間経過時点の値−200時間経過時点の値)/1時間経過時点の値]×100
評価は、以下のとおりである。なお、評価は、5本のモジュールの平均で行った。
A: 1時間経過後と200時間経過後との変化率が5%未満
B: 1時間経過後と200時間経過後との変化率が5%以上10%未満
C: 1時間経過後と200時間経過後との変化率が10%以上
[総合評価]
各分離モジュールの性能を、下記のように総合評価した。
A: 気密性および分離性能耐久性が共にAの場合
B: 気密性および分離性能耐久性の一方がAで他方がBの場合
C: 気密性および分離性能耐久性が共にBの場合
D: 気密性および分離性能耐久性のいずれかがCの場合
結果を下記表に示す。
上記表に示されるように、支持体上領域の厚さTaおよび染み込み領域の厚さTbの厚さの比『Tb/Ta』が、所定の範囲に入り、かつ、ガス透過性が500Barrer以上である中間層を有する本発明のモジュールは、何れも、気密性(製品安定性)および分離性能の耐久性共に、優れている。特に、促進輸送膜20aの上に保護層を有する実施例9は、気密性および分離性能の耐久性共に、非常に優れている。加えて、促進輸送膜20aにTi系の架橋剤を使用した実施例10〜15も、気密性および分離性能の耐久性共に、非常に優れている。
なお、実施例6は、『Tc/(Ta+Tb)』が0.27と低い。そのため、中間層20cの硬さが影響して、積層体14aの巻取りの際に供給ガス流路用部材24との摺接によって促進輸送膜20aが損傷し、これに起因して、他の例に比して、若干、気密性が低下したと考えられる。
これに対して、比較例1の分離モジュールは、支持体上領域の厚さTaに対して染み込み領域の厚さTbが薄すぎるため、気密性には優れるものの分離性能の耐久性が低い。また、比較例2の分離モジュールは、逆に、支持体上領域の厚さTaに対して染み込み領域の厚さTbが厚すぎるため、気密性が低く、測定可能となる圧力を印圧可能な分離モジュールが得られなかったため、分離性能の耐久性を測定できなかった。さらに、比較例3の分離モジュールは、ガス透過性が低いため、気密性には優れるものの、分離性能の耐久性が低い。
なお、実施例16に関しては、気密性および分離性能耐久性の評価を行った後、モジュールを解体し、接着剤層30(封止部)の幅および膜保護部の幅の測定を行った。
具体的には、各積層体14aにおいて3辺もしくは4辺のうちの挟持体36Aの折れ部以外の特定の1辺について異なる3箇所の断面出しをした。次いで、各断面について画像処理を用い、積層体14aの端部から0.01mm幅毎に支持体20bの多孔質膜および補助支持膜、ならびに、透過ガス流路用部材26の各部における孔の面積に対する接着剤の充填面積から接着剤の染み込み率を求めた。
求めた接着剤の染み込み率から、多孔質膜における接着剤の染み込み率が60%以上、かつ補助支持膜および透過ガス流路用部材26における接着剤の染み込み率がいずれも多孔質膜における染み込み率以上である部位を接着剤層30とし、さらに、多孔質膜における接着剤の染み込み率が10%以上、かつ補助支持膜および透過ガス流路用部材26の接着剤の染み込み率が多孔質膜の接着剤染み込み率よりも小さくなっている部位を膜保護部として、接着剤層30の幅、および膜保護部の幅を求めた。
その結果、接着剤層30の封止幅は40mm、膜保護部は端部から80mmであり、膜保護部における接着剤の染み込み率は、多孔質膜;86%、補助支持膜;10%、透過ガス流路用部材;0%であった。
以上の結果より、本発明の効果は明らかである。
水素ガスの製造や天然ガスの精製等に好適に利用可能である。
10 (酸性ガス)分離モジュール
12 中心筒
14 積層体巻回物
14a 積層体
16 テレスコープ防止板
16a 外環部
16b 内環部
16c リブ
16d 開口部
18 被覆層
20 酸性ガス分離膜
20R 分離膜ロール
20A 分離膜貼着体
20AR 貼着体ロール
20a 促進輸送膜
20b 多孔質支持体
20c 中間層
24 供給ガス流路用部材
26 透過ガス流路用部材
30 接着剤層
30a 接着剤
34 固定手段
36.36A 挟持体
50 ガイドローラ
52 積層ローラ対
54 搬送ローラ対
56 巻取り軸

Claims (11)

  1. 多孔質支持体、前記多孔質支持体の上に形成される、エポキシ基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシル基、および、カルボキシル基の少なくとも1つを有する化合物を主成分とする中間層、ならびに、前記中間層の上に形成される、原料ガスに含有される酸性ガスと反応するキャリアおよび前記キャリアを担持するための親水性化合物を含有する促進輸送膜を有する酸性ガス分離膜と、前記促進輸送膜の表面に積層される、前記原料ガスの流路となる供給ガス流路用部材とを有し、
    かつ、前記多孔質支持体の孔の最大孔径が5μm以下であり、前記孔の平均孔径が0.001〜1μmであり、
    前記中間層は、前記多孔質支持体の上に位置する支持体上領域、および、前記多孔質支持体の内部の染み込み領域を有し、前記支持体領域の厚さTaが0.1〜10μmであり、前記染み込み領域の厚さTbが0.2〜10μmであり、前記中間層の厚さTa+Tbが0.5〜15μmであり、前記支持体上領域の厚さTaと、前記染み込み領域の厚さTbとの比『Tb/Ta』が0.1〜100であり、さらに、ガス透過性が500Barrer以上であることを特徴とする酸性ガス分離モジュール。
  2. 前記促進輸送膜の厚さTcと、前記中間層の厚さ『Ta+Tb』との比『Tc/(Ta+Tb)』が0.3〜500である請求項1に記載の酸性ガス分離モジュール。
  3. 前記酸性ガス分離膜と前記供給ガス流路用部材とを含む積層体を巻回してなるスパイラル型である請求項1または2に記載の酸性ガス分離モジュール。
  4. 前記酸性ガス分離膜と前記供給ガス流路用部材とを含む積層体を、平板状に維持してなる平板型である請求項1または2に記載の酸性ガス分離モジュール。
  5. 前記多孔質支持体が、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリプロピレンまたはセルロースのメンブレンフィルター膜、ポリアミドまたはポリイミドの界面重合薄膜、ポリテトラフルオロエチレンまたは高分子量ポリエチレンの延伸多孔膜、および、セラミックスを主成分とする多孔質基体の少なくとも1つを有する化合物を主成分とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の酸性ガス分離モジュール。
  6. 前記中間層がポリジメチルシロキサン誘導体である請求項1〜5のいずれか1項に記載の酸性ガス分離モジュール。
  7. 前記促進輸送膜の上に、保護層を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の酸性ガス分離モジュール。
  8. 前記保護層がポリジメチルシロキサン誘導体である請求項7に記載の酸性ガス分離モジュール。
  9. 前記促進輸送膜が、Ti、Zr、Al、Si、およびZnからなる群から選択される少なくとも1種以上の金属元素を含有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の酸性ガス分離モジュール。
  10. 前記促進輸送膜中における前記金属元素の含有量が、前記親水性化合物全質量に対して、0.1〜50質量%である請求項9に記載の酸性ガス分離モジュール。
  11. 前記促進輸送膜が、式(1)で表される構造単位を含有する請求項9または10に記載の酸性ガス分離モジュール。
    式(1) M−(O−*)
    Mは、Ti、Zr、Al、Si、およびZnからなる群から選択される金属元素を表す。mは、Mで表される金属元素の価数を表す。*は、結合位置を表す。
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