JP6066708B2 - スクロール型圧縮機 - Google Patents
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Description
自転する他の回転系部品はアンバランスがあったとしても、駆動源であるモータにバランスウェイトを付加することでアンバランスによる振動を理論的にはゼロにすることが可能である。しかし、オルダムリングによる加振力は、回転系部品に対して設ける従来のバランスウェイト(あるいはカウンタウェイト)で相殺することができない。オルダムリングは直線往復運動するものであるのに対し、従来のバラウスウェイトは回転軸の回転に伴って回転運動するものであり、この両者の運動方向が異なるからである。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、オルダムリングとともに用いられる新たなバランスウェイトを、旋回スクロールの動きとは独立して任意の方向に動かすことができるオルダム継手を備えるスクロール型圧縮機を提供することを目的とする。
すなわち本発明のスクロール型圧縮機は、偏心ブッシュが設けられ、駆動源により回転駆動される主軸と、主軸の偏心ブッシュに回転自在に連結される旋回スクロールと、旋回スクロールと対向することで冷媒を圧縮する圧縮室を形成し、かつ圧縮された冷媒を高圧室に向けて吐出するポートを端板に有する固定スクロールと、を備える。
本発明のスクロール型圧縮機は、旋回スクロールが固定スクロールに対して自転することなく公転するように旋回スクロールの動きを規制し、第1方向に直線往復運動するオルダムリングと、偏心ブッシュとともに旋回運動する第1バランスウェイトと、偏心ブッシュとともに旋回運動する偏心カムと、主軸の回転駆動により、偏心カムを介して第2方向に直線往復運動する第2バランスウェイトと、を備え、第2バランスウェイトは、オルダムリングの直線往復運動の第1方向と平行な方向を除く任意の角度をなす第2方向に直線往復運動することを特徴とする。
第2バランスウェイトは、オルダムリングの直線往復運動の第1方向と直交する第2方向に直線往復運動することが好ましい。
このスクロール型圧縮機によると、偏心カムを別途用意する必要がない。また、第2バランスウェイトをオルダムリングの内側の同一平面内に配置するので、軸方向の質量のバランスを考慮する必要がない。
そして、第2バランスウェイトは、本体と、本体の中央に設けられるカム溝と、を備え、オルダムリングの内側に設けられ、偏心カムがカム溝の内部から作用することにより、第2バランスウェイトが直線往復運動を行うことが好ましい。
また、第2バランスウェイトは、オルダムリングの直線往復運動の第1方向にも直線往復運動の成分を持つことが好ましい。
図1に示すように、縦型のスクロール型圧縮機10は、ハウジング11の内部に、主軸12と、主軸12とともに回転する旋回スクロール20と、ハウジング11に固定された固定スクロール30と、を備える。
スクロール型圧縮機(以下、単に圧縮機)10は、ハウジング11に形成された冷媒導入ポートP1からハウジング11内に冷媒が導入され、旋回スクロール20と固定スクロール30との間に形成される圧縮室において冷媒が圧縮される。そして、圧縮された冷媒は、ハウジング11に形成された冷媒吐出ポートP2から吐出される。
一方、固定スクロール30は、旋回スクロール20に対向する端板31には、旋回スクロール20のラップ壁22に対向して噛み合う渦巻き状のラップ壁32が形成されている。
これにより、旋回スクロール20、固定スクロール30の外周側から圧縮室PRに導入された冷媒は、固定スクロール30に対して旋回スクロール20が公転旋回運動することにより、外周側から内周側に順次送られて圧縮される。圧縮室PRで圧縮された冷媒は、固定スクロール30に形成された吐出孔37、吐出孔37に設けられたリード弁38、固定スクロール30を覆うように設けられた上部カバー39に設けられたリード弁38を介し、ハウジング11の他端側に形成された冷媒吐出ポートP2から吐出される。
そして、上側爪43、下側爪45が、各々、上述した案内溝に嵌め込まれ、オルダムリング40が軸受14に対して直線往復運動し、且つ旋回スクロール20がオルダムリング40に対して、上記の往復運動方向に対して直交する方向に直線往復運動することにより旋回スクロール20が軸受14に対して公転運動する。
第1バランスウェイト25は、旋回スクロール20の公転旋回運動による動的アンバランスを平衡させるためのものであり、主軸12に、偏心ブッシュ18と対称に、つまり、旋回スクロール20の公転旋回運動と位相が180度ずれて回転するように配置、固定されている。
第1バランスウェイト25は、主軸12の偏心ブッシュ18に固定され、図4に示されるように、平面視して概略扇型をなす接続片25aと、接続片25aから上方に向けて立設される本体25bと、からなる。本体25bは、その外周のガイド面25cは平面視して円弧状をなしている。このガイド面25cが次に説明する第2バランスウェイト50のカム溝53の内側から第2バランスウェイト50に作用することで、第2バランスウェイト50を駆動させることができる。
主軸12には、ハウジング11の底部のオイル溜りから吸い上げた潤滑油を主軸12の上端部から主軸12と凹部23との間のドライブブッシュ24に供給するための潤滑油流路12aが形成されている。
第2バランスウェイト50は、オルダムリング40の往復直線運動による動的アンバランスを平衡させるためのものであり、第1バランスウェイト25の回転に伴って、オルダムリング40の運動方向と直交する方向に往復直線運動する。そのために、第2バランスウェイト50は、第1バランスウェイト25の周囲に配置される。
モータ17が駆動されると、主軸12が軸心を中心として回転する。そうすると、偏心ブッシュ18は、主軸12の軸心に対して公転運動する。これに伴い、偏心ブッシュ18が連係されている旋回スクロール20はオルダムリング40により自転が防止されていることにより、固定スクロール30に対して公転運動する。これにより、各スクロール20,30のラップ壁22,32の夫々の接触箇所が、スクロール機構の中心部に向って移動し、これに伴って、圧縮室PRは中心部に向って渦巻状に移動しながら収縮される。これら一連の動作によって低圧の冷媒ガスは冷媒導入ポートP1から圧縮室PRに流入される。そして、この圧縮室PRに流入された冷媒は、圧縮されて高圧となって圧縮室PRの中心部に達した後、吐出孔37を通り、冷媒吐出ポートP2から吐出される。
上述した旋回スクロール20の公転運動に伴い、該旋回スクロール20と軸受14との間に介装されているオルダムリング40は、図1における左右方向(第1の方向)にスライド移動して、このスライド方向に圧縮機10を振動させる加振力を発生させる。
一方、オルダムリング40の内側に配置される第2バランスウェイト50は、図1の紙面に垂直な方向にスライド移動して、このスライド方向に圧縮機10を振動させる加振力を発生する。第2バランスウェイト50の動作の一例を、図4,図5に示す
偏心ブッシュ18が時計回りに回転するにつれて、第2バランスウェイト50は、上方向に変位するとともに右方向に変位し、回転角が90°に達すると、最も上側に寄る。左右方向については、変位ストロークの中央に位置する。オルダムリング40は、左右方向について、変位ストロークの中央に位置する。
さらに偏心ブッシュ18が回転すると、第2バランスウェイト50は、下方向に変位し始めるとともに、右方向に変位し、回転角が180°に達すると、上下方向については変位ストロークの中心に位置する。オルダムリング40は、最も左側に位置する。
さらに偏心ブッシュ18が回転すると、第2バランスウェイト50は、下方向及び右方向に変位しつづけ、回転角が270°に達すると、上下方向については最も下寄りに位置する。オルダムリング40は、左右方向の変位ストロークの中央に位置する。
さらに偏心ブッシュ18が回転すると、回転角が0°(図6の(a))の状態に戻る。
ここで、m40とm50は等しいので、当該合力は式(3)により表され、この合力に基づく一定の遠心力が圧縮機10に作用する。
F40=m40・r・ω2 ・sinθ … (1)
F50=m50・r・ω2 ・cosθ … (2)
m・r・ω2 … (3)
m40:オルダムリング40の質量
m50:第2バランスウェイト50の質量
r:旋回スクロール20の公転半径
ω:旋回スクロール20の角速度
θ:旋回スクロール20の回転角度
そうすることで、圧縮機10は、オルダムリング40の動作に伴う振動を低減できる。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
11 ハウジング
12 主軸
13 軸受
15 固定子
16 回転子
20 旋回スクロール
21 端板
25 第1バランスウェイト
25a 接続片
25b 本体
25c ガイド面
30 固定スクロール
31 端板
38 リード弁
39 上部カバー
40 オルダムリング
41 本体
50 第2バランスウェイト
51 本体
P1 冷媒導入ポート
P2 冷媒吐出ポート
Claims (6)
- 偏心ブッシュが設けられ、駆動源により回転駆動される主軸と、
前記主軸の前記偏心ブッシュに回転自在に連結される旋回スクロールと、
前記旋回スクロールと対向することで冷媒を圧縮する圧縮室を形成し、かつ圧縮された前記冷媒を高圧室に向けて吐出するポートを端板に有する固定スクロールと、
前記旋回スクロールが前記固定スクロールに対して自転することなく公転するように前記旋回スクロールの動きを規制し、第1方向に直線往復運動するオルダムリングと、
前記偏心ブッシュとともに旋回運動する第1バランスウェイトと、
前記偏心ブッシュとともに旋回運動する偏心カムと、
前記主軸の回転駆動により、前記偏心カムを介して第2方向に直線往復運動する第2バランスウェイトと、
を備え、
前記第2バランスウェイトは、
前記オルダムリングの直線往復運動の前記第1方向と平行な方向を除く任意の角度をなす前記第2方向に直線往復運動することを特徴とするスクロール型圧縮機。 - 前記第2バランスウェイトは、
前記オルダムリングの直線往復運動の前記第1方向と直交する前記第2方向に直線往復運動する、
請求項1に記載のスクロール型圧縮機。 - 前記第1バランスウェイトが、前記偏心カムとして機能し、
前記第2バランスウェイトが、前記オルダムリングの内側に配置され、
前記オルダムリングの直線往復運動の前記第1方向と前記第2バランスウェイトの直線往復運動の前記第2方向が直交する、
請求項1又は請求項2に記載のスクロール型圧縮機。 - 前記偏心カムは、前記第1バランスウェイトとは異なる回転角の位置に設けられ、
前記第2バランスウェイトが、前記オルダムリングの内側に配置される、
請求項1に記載のスクロール型圧縮機。 - 前記第2バランスウェイトは、
本体と、前記本体の中央に設けられるカム溝と、を備え、
前記オルダムリングの内側に設けられ、
前記偏心カムが前記カム溝の内部から作用することにより、前記第2バランスウェイトが直線往復運動を行う、
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のスクロール型圧縮機。 - 前記第2バランスウェイトは、
前記オルダムリングの直線往復運動の前記第1方向にも直線往復運動の成分を持つ、
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のスクロール型圧縮機。
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