JP6066477B2 - 医療用ガイドワイヤ - Google Patents
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Description
トルク伝達性の良好なガイドワイヤとして、コアワイヤの遠位端部に多条二重コイルを装着してなるものが紹介されている(例えば、特許文献2)。
然るに、柔軟で弾性を有する多条二重コイルがコアワイヤの遠位端部に装着されている医療用ガイドワイヤは、遠位端部の形状復元性に優れている反面、通常の単条コイルが装着されたものと比較して、先端部分のくせ付けが(シェイピング)操作が困難であるという問題がある。
このため、良好なトルク伝達性と、シェイピング操作性とを兼ね備えたガイドワイヤの提供が望まれていた。
本発明の目的は、トルク伝達性およびシェイピング操作性がともに優れた医療用ガイドワイヤを提供することにある。
このような構成のガイドワイヤによれば、コアワイヤの遠位端側小径部の後端側に装着された多条二重コイルによって良好なトルク伝達性(多条二重コイルを遠位端側小径部の全域に装着した場合と同等程度のトルク伝達性)を発現することができる。
また、コアワイヤの遠位端側小径部の先端側に装着された比較的くせ付けの容易な単条コイルによって良好なシェイピング操作性を発現することができる。
このような構成のガイドワイヤによれば、コアワイヤの遠位端側小径部と、単条コイルとの間の間隙に単条内側コイルが配置されることにより、コアワイヤとコイルスプリング(単条コイルおよび単条内側コイル)との一体性が向上し、トルク伝達性の更なる向上を図ることができる。
このような構成のガイドワイヤによれば、これを使用する際に、多条二重コイルと単条コイルとの接合部位において回転トルクの一部が吸収されてトルク伝達性が損なわれたり、当該接合部位において折れ曲がったりすることを確実に防止することができる。
このような構成のガイドワイヤによれば、コアワイヤの遠位端側小径部(テーパ部および第2小径部)と、単条外側コイル(単条内側コイルの後端部が多条二重コイルの内部に進入している場合には、単条外側コイルおよび多条二重コイル)との間の間隙が単条内側コイルによって埋められることにより、遠位端側小径部を折り曲げようとする力に対して当該単条内側コイル(テーパ部に固着された後端部のコイル部分を含む)が抵抗するため、遠位端側小径部におけるコアワイヤの折れ曲がりを起こりにくくすることができる。
また、第2小径部より外径の大きなテーパ部に単条内側コイルの後端が固着されることにより、トルク伝達性の更なる向上を図ることができる。
このような構成のガイドワイヤによれば、その近位端側(手元側)において、右方向に回転トルクを与えたときと、左方向に回転トルクを与えたときとで、トルク伝達性に差が生じることはなく、何れの回転方向の回転トルクであっても、遠位端側に確実に伝達することができる。
このような構成のガイドワイヤによれば、良好なトルク伝達性を発現するとともに、シェイピング操作性の更なる向上を図ることができる。
また、遠位端側小径部に単条内側コイルを装着することにより、トルク伝達性の更なる向上を図ることができる。
コアワイヤ10の遠位端側小径部11は、第1小径部113と、テーパ部112と、第2小径部111とからなる。
コアワイヤ10の材質としては、特に限定されるものではないが、ステンレス(例えばSUS316、SUS304)、金、白金、アルミニウム、タングステン、タンタルまたはこれらの合金などの金属を挙げることができるが、本実施形態では、例えばステンレスで構成されている。
また、コアワイヤ10の近位端側大径部13の外径としては、例えば0.24〜0.47mm程度とされる。
遠位端側小径部11の第1小径部113の外径は、例えば、近位端側大径部13の外径の1/10〜3/4程度とされる。
また、遠位端側小径部11の第2小径部111の外径は、例えば、近位端側大径部13の外径の1/20〜1/5程度とされる。
このボール部15は、例えば銀、金またはこれらの合金などの金属から構成され、遠位端側小径部11(第2小径部111)の先端に、はんだ付けなどの手段で接合してある。ボール部15の外径は、コアワイヤ10の近位端側大径部13の外径に対して0.5〜2倍程度であることが好ましい。
多条二重コイル20の後端部は、はんだ63によって、コアワイヤ10(テーパ部12および遠位端側小径部(第1小径部113))に固着されている。
多条コイル部21および多条コイル部22は、それぞれ、コイル軸方向に並べた複数の線材を螺旋状に巻いていくことにより形成されている。
多条二重コイル20(多条コイル部21)の外径としては、コアワイヤ10の近位端側大径部13の外径と同程度であることが好ましく、例えば0.30〜0.33mmとされ、好適な一例を示せば0.31mmである。
多条二重コイル20(多条コイル部22)の内径としては、例えば、コアワイヤ10の遠位端側小径部11の第1小径部113の外径と同程度であることが好ましく、例えば0.20〜0.23mmとされ、好適な一例を示せば0.21mmである。
多条コイル部21および多条コイル部22の条数としては2〜20であることが好ましく、好適な一例を示せば12である。
この長さ(L2 )が過小である場合には、得られるガイドワイヤに良好なシェイピング操作性を付与できないことがある。
一方、この長さ(L2 )が過大である場合には、得られるガイドワイヤに良好なトルク伝達性を付与できないことがある。
この比の値が過小である場合には、得られるガイドワイヤに良好なシェイピング操作性を付与できないことがある。一方、この比の値が過大である場合には、得られるガイドワイヤに良好なトルク伝達性を付与できないことがある。
この比の値が0.05〜0.5であることにより、優れたトルク伝達性と、優れたシェイピング操作性とをバランスよく兼ね備えたガイドワイヤを得ることができる。
単条外側コイル31の内径としては、例えば0.18〜0.21mmとされ、好適な一例を示せば0.19mmである。
単条外側コイル31を構成する線材の外径(コイル線径)としては0.04〜0.08mmであることが好ましく、好適な一例を示せば0.060mmである。
単条外側コイル31を構成する造影性材料としては、白金、白金合金(たとえばPt/Ir=93/7)、金、金−銅合金、タングステン、タンタルなどのX線に対する造影性が良好な材質を例示することができる。
単条内側コイル32の先端部は、単条外側コイル31の先端部とともに、はんだ61によって、コアワイヤ10の遠位端側小径部11(第2小径部111)に固着されている。また、単条内側コイル32の後端部は、はんだ62によって、コアワイヤ10の遠位端側小径部11(テーパ部112および第2小径部111)に固着されている。
単条内側コイル32の外径としては、多条二重コイル20(多条コイル部22)および単条外側コイル31の内径以下とされ、例えば0.15〜0.21mmとされ、好適な一例を示せば0.19mmである。
単条内側コイル32を構成する線材の外径(コイル線径)としては0.030〜0.060mmであることが好ましく、好適な一例を示せば0.050mmである。
これにより、多条二重コイル20と単条外側コイル31との境界部位において、ガイドワイヤの曲げ剛性が急に変化するようなことがないので、この境界部位において回転トルクの一部が吸収されてトルク伝達性が損なわれたり、当該境界部位において折れ曲がったりすることを防止することができる。
このようなガイドワイヤ100によれば、その近位端側(手元側)において、右方向に回転トルクを与えたときと、左方向に回転トルクを与えたときとで、トルク伝達性に差が生じることはなく、何れの方向の回転トルクであっても、遠位端側に確実に伝達することができる。与えられた回転トルクにより、単条外側コイル31および単条内側コイル32の一方のコイルが緩められて当該回転トルクの一部が吸収されることを、巻き方向の異なる他方のコイルが阻止するからである。
このような構成のガイドワイヤによれば、良好なトルク伝達性が損なわれることなく、シェイピング操作性の更なる向上を図ることができる。
また、多条二重コイル20および単条外側コイル31の表面に、あるいは、上記の樹脂層の表面に、親水性樹脂層が(積層)形成されていてもよい。
また、多条二重コイル20および単条外側コイル31が装着されていない部分(近位端側大径部13およびテーパ部12)の外周面は、生体適合性のあるコーティング膜により被覆されていてもよい。
PTFEによるコーティング膜が外周面に形成されたSUS304からなるコアワイヤ10の遠位端側小径部11(第2小径部111およびテーパ部112)に単条内側コイル32を装着し、単条内側コイル32が装着されたコアワイヤ10の遠位端側小径部11の後端側(第1小径部113およびテーパ部112)に多条二重コイル20を装着し、単条内側コイル32および多条二重コイル20が装着されたコアワイヤ10の遠位端側小径部11の先端側(第2小径部111)に単条外側コイル31を装着して、図1〜図4に示したような構成の本発明のガイドワイヤを製造した。
このガイドワイヤは、先端部分のくせ付けが容易でシェイピング操作性に優れたものであった。
〔コアワイヤ10〕
・近位端側大径部13の外径:0.36mm
・近位端側大径部13の長さ:1600mm
・テーパ部12の長さ :90mm
・遠位端側小径部11の第1小径部113の外径:0.21mm
・遠位端側小径部11の第1小径部113の長さ:190mm
・遠位端側小径部11のテーパ部112の長さ :10mm
・遠位端側小径部11の第2小径部111の外径:0.05mm
・遠位端側小径部11の第2小径部111の長さ:10mm
・材質:Ni−Ti合金
・条数:12
・長さ(L1 ):180mm
・外径(多条コイル部21の外径):0.31mm
・内径(多条コイル部22の内径):0.21mm
・多条コイル部21および多条コイル部22のコイル線径:0.025mm
・材質:白金
・単条外側コイル31の長さ(L2 ):30mm
・〔(L2 )/(L1 +L2 )〕の値:0.143
・外径:0.31mm
・内径:0.19mm
・コイル線径:0.060mm
・材質:SUS304
・長さ:40mm
・外径:0.19mm
・内径:0.09mm
・コイル線径:0.050mm
遠位端側小径部11に単条外側コイルを装着せず、遠位端側小径部11の全域に、長さ210mmの多条二重コイルを装着したこと以外は実施例1と同様にして比較用のガイドワイヤを製造した。
このガイドワイヤは、多条二重コイルにより構成される先端部分のくせ付けが困難で、シェイピング操作性に劣るものであった。
遠位端側小径部11に多条二重コイルを装着せず、遠位端側小径部11の全域に、長さ210mmの単条外側コイルを装着したこと以外は実施例1と同様にして比較用のガイドワイヤを製造した。
このガイドワイヤは、先端部分のくせ付けが容易でシェイピング操作性に優れたものであった。
実施例1および比較例1〜2によって得られたガイドワイヤの各々を、図6に示す人の冠状動脈を模擬した治具の内部に挿入し、ガイドワイヤの近位端(手元側)を、モータにより所定の手元側角度0〜360°で捻り回転させ、そのガイドワイヤの遠位端(先端)における先端回転角度(捻れ角)を測定した。結果を図7に示す。
図7に示す理論直線に近いほど、トルク伝達性が良好であって、操作性に優れている。
これに対して、比較例2により得られたガイドワイヤは、遠位端側の回転動作の遅れが大きく、トルク伝達性に劣るものであった。
10 コアワイヤ
11 遠位端側小径部 111 第2小径部
112 テーパ部
113 第1小径部
12 テーパ部
13 近位端側大径部
15 ボール部
20 多条二重コイル
21 多条コイル部(外側)
22 多条コイル部(内側)
31 単条外側コイル
32 単条内側コイル
61,62,63 はんだ
Claims (5)
- 近位端側大径部と前記近位端側大径部より外径の小さい遠位端側小径部とを有するコアワイヤと、
前記コアワイヤの遠位端側小径部の後端側に軸方向に沿って装着された多条二重コイルと、
前記多条二重コイルの先端と接合され、前記コアワイヤの遠位端側小径部の先端側に軸方向に沿って装着された単条コイルと、
前記単条コイルの内部において前記コアワイヤの遠位端側小径部に装着された単条内側コイルとを備え、
前記単条内側コイルの後端部が前記多条二重コイルの内部に進入していることを特徴とする医療用ガイドワイヤ。 - 前記遠位端側小径部が、後端側に位置する第1小径部と、前記第1小径部よりも先端側に位置し、基端側から先端側に向けて縮径するテーパ部と、前記テーパ部よりも先端側に位置し、前記第1小径部より外径の小さい第2小径部とを有し、
前記単条内側コイルの後端部が前記テーパ部に固着されていることを特徴とする請求項1に記載の医療用ガイドワイヤ。 - 前記単条コイルの巻き方向と前記単条内側コイルの巻き方向とが互いに逆であることを特徴とする請求項1または2に記載の医療用ガイドワイヤ。
- 前記単条コイルの巻き方向と前記単条内側コイルの巻き方向とが同一であることを特徴とする請求項1または2に記載の医療用ガイドワイヤ。
- 前記多条二重コイルの長さを(L1 )、前記単条コイルの長さを(L2 )とするとき、(L2 )/(L1 +L2 )の値が0.05〜0.5であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の医療用ガイドワイヤ。
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