以下、図1〜図14を参照して、この発明に係る電子機器の保持装置における一実施形態について説明する。
この保持装置1は、図1〜図3に示すように、腕時計タイプの電子機器2を着脱可能に保持するように構成されている。すなわち、この保持装置1は、図4〜図6に示すように、電子機器2をスライドさせることによって電子機器2を着脱可能とする保持部本体3を備えている。
この保持部本体3は、図4および図5に示すように、フロントケース4とリアケース5とで構成されている。フロントケース4は、前側ベース部4aと前側機器取付部4bとを有し、前側ベース部4aの後部上に前側機器取付部4bが起立した状態で設けられた構成になっている。この前側機器取付部4bの前面には、電子機器2の裏面をガイドする突起状の一対の摺動リブ4cが上下方向に沿って設けられている。また、リアケース5は、後側ベース部5aと後側機器取付部5bとを有し、フロントケース4と同様、後側ベース部5aの後部上に後側機器取付部5bが起立した状態で設けられた構成になっている。
これにより、保持部本体3は、図4および図5に示すように、フロントケース4の前側ベース部4aとリアケース5の後側ベース部5aとを対応させると共に、フロントケース4の前側機器取付部4bとリアケース5の後側取付部5bとを対応させ、この状態でフロントケース4とリアケース5とをビス3cで接合した構成になっている。すなわち、この保持部本体3は、前側ベース部4aと後側ベース部5aとで長方形の箱形状のケース部3aに形成され、前側機器取付部4bと後側取付部5bとで起立した状態の平板状のケース部3bに形成されている。
また、この保持装置1は、図4および図5に示すように、電子機器2に係脱可能に係合して電子機器2を保持するロック部材6と、電子機器2を上下方向にスライド可能にガイドする機器ガイド部7と、電子機器2を保持部本体3に電気的に接続するための保持部側接続部8と、電子機器2が保持部本体3に装着された際にスイッチ動作する検出スイッチ9と、保持部本体3と外部機器(図示せず)とを電気的に接続する接続ケーブル10とを備えている。
一方、電子機器2は、図7および図8に示すように、例えば腕に取り付けて使用する腕時計タイプのリスト端末機であり、メールや通信などの情報通信機能を備えている。すなわち、この電子機器2は、機器ケース11と、この機器ケース11の両側に取り付けられたバンド12とを備えている。この場合、機器ケース11は、図3に示すように、その前部開口部に設けられた機器ガラス2aと、機器ケース11の内部に配置された機器モジュール2bとを備えている。
また、この機器ケース11は、図7および図8に示すように、その上部側に位置する側面に設けられた押釦スイッチ13と、下部側に位置する側面に設けられた機器側接続部14とを備えている。さらに、この機器ケース11の両側部には、バンド12が取り付けられるバンド取付部11aがそれぞれ設けられている。バンド12は、ウレタン樹脂などの合成樹脂からなり、図7〜図9に示すように、機器ケース11の各バンド取付部11aに取付ピン15および取付金具16によって取り付けられている。
この場合、取付ピン15は、ばね棒であり、図9、図13および図14に示すように、バンド12の端部に設けられた孔、およびバンド取付部11aに設けられた孔に連続して挿入するように構成されている。取付金具16は、帯状の金属板の両端部をほぼ直角に折り曲げたものであり、この両側の折り曲げ部16aに取付孔16bが設けられ、この折り曲げ部16aがバンド12の端部の両側に配置されて、取付孔16bがバンド12の端部の孔に対応するように構成されている。
これにより、バンド12は、図7〜図9、図13および図14に示すように、その端部を機器ケース11のバンド取付部11aに挿入させて、バンド12の端部に設けられた孔、およびバンド取付部11aに設けられた孔を対応させ、この状態でバンド12の端部の孔、およびバンド取付部11aの孔に取付ピン15を連続させて挿入することにより、バンド12の端部が機器ケース11のバンド取付部11aに取り付けられるように構成されている。
また、このバンド12は、図7〜図9、図13および図14に示すように、その端部が機器ケース11のバンド取付部11aに取り付けられた状態で、バンド12の端部の両側に取付金具16の折り曲げ部16aを配置して、折り曲げ部16aの取付孔16bに取付ピン15の両端部を挿入させることにより、取付金具16がバンド12の端部に取り付けられ、この取付金具16の側辺部16cがバンド12の端部を下側から機器ケース11のバンド取付部11aに押し付けるように構成されている。
ところで、電子機器2を保持部本体3に対してロックするロック部材6は、図4〜図6に示すように、保持部本体3の上部における側部からその外部側方に向けて弾力的に押し出されて電子機器2に設けられた後述する機器係合部17に係脱可能に係合するフック部18と、保持部本体3に対する電子機器2のスライド方向と直交する方向に向けてフック部18をスライド可能にガイドするフックガイド部19と、フック部18を保持部本体3から外部に押し出す方向に向けて弾力的に付勢するばね部材20とを備えている。
電子機器2の保持部本体3に対するスライド方向は、電子機器2を保持部本体3に装着させる際には前側ベース部4a側に向かう、図6に示す第1のスライド方向Saに設定され、電子機器2を保持部本体3から取り外す際には第1のスライド方向Saに対して逆方向の、図6に示す第2のスライド方向Sbに設定される。
この場合、フック部18は、図4〜図6に示すように、保持部本体3の上部における左右の両側からそれぞれ電子機器2の第1および第2のスライド方向Sa、Sbと直交する方向である出没方向に向けてスライド可能に設けられている。すなわち、このフック部18は、保持部本体3内に配置されてリアケース5内に設けられたフックガイド部19によってガイドされるガイドアーム21と、フロントケース4のガイド孔4d内を移動するヘッド部22とを有している。
フックガイド部19は、図5に示すように、リアケース5内の上部における左右の両側に位置し、電子機器2のスライド方向と直交する方向に沿って設けられた上下一対のガイドリブである。ばね部材20は、コイルばねであり、フックガイド部19のガイド方向に沿ってリアケース5内に配置されている。これにより、フック部18は、保持部本体3内に配置されたばね部材20のばね力によって、ヘッド部22が押し出される方向に向けて弾力的に付勢されるように構成されている。
また、このフック部18は、図4〜図6に示すように、電子機器2を保持部本体3に装着させて、フック部18を機器係合部17に係合させることによってロックするのに要するロック力(第1の力)が、フック部18の機器係合部17との係合を解除して電子機器2を保持部本体3から取り外すのに要するロック解除力(第2の力)よりも小さくなるように、その形状が設定されている。これにより、フック部18は、電子機器2を保持部本体3に対してスライドさせて装着させる際に、電子機器2を装着し易くし、かつ電子機器2を保持部本体3からスライドさせて取り外す際に、抜け難くなるように構成されている。
すなわち、このフック部18は、図11および図12に示すように、電子機器2を保持部本体3に対しスライドさせて装着させる際に、電子機器2の後述する機器係合部17に隣接する箇所の接触部12aに弾力的に接触して押し込まれるPa方向に移動する第1傾斜部23と、電子機器2を保持部本体3に対しスライドさせて取り外す際に、電子機器2の機器係合部17の内面つまり後述する第4傾斜部17bに弾力的に接触して押し込まれるPa方向に移動する第2傾斜部24とを有している。
この場合、フック部18は、図4〜図6、図11および図12に示すように、そのヘッド部22が山形状に形成され、この山形状の一方の傾斜部が第1傾斜部23に形成され、他方の傾斜部が第2傾斜部24に形成されている。図6(b)に示すように、電子機器2を保持部本体3に装着させる際の第1のスライド方向Saに対する第1傾斜部23の傾斜角度θaが、電子機器2を保持部本体3から取り外す際の第2のスライド方向Sbに対する第2傾斜部24の傾斜角度θbよりも、小さく形成されている。
すなわち、このフック部18は、図4〜図6、図11および図12に示すように、第1傾斜部23が電子機器2を装着し易すい傾斜角度に形成され、第2傾斜部24が電子機器2の抜け難い傾斜角度に形成されている。これにより、このフック部18は、第1傾斜部23の傾斜長さが第2傾斜部24の傾斜長さよりも長く形成された形状になっている。
この場合、第2傾斜部24は、図11および図12に示すように、保持部側接続部8の後述する複数の接点ピン8aによる反発力によって、フック部18によるロックが解除されない程度のロック力を有するように、その傾斜角度が設定されている。このため、フック部18は、電子機器2が軽い力で装着し、かつその装着する際の力よりも少し強い力で電子機器2が取り外せるように構成されている。
ところで、電子機器2の機器係合部17は、図10〜図12に示すように、バンド12の端部に設けられている。すなわち、この機器係合部17は、ロック部材6のフック部18におけるヘッド部22の先端部22aが係脱可能に係合するV字形状の凹部であり、ヘッド部22の第1傾斜部23に対応する第3傾斜部17aと、ヘッド部22の第2傾斜部24に対応する第4傾斜部17bとを有し、バンド12の端部にV字形状に食い込んで設けられている。
これにより、フック部18は、図11および図12に示すように、電子機器2の機器ケース11が保持部本体3の前面に沿って上側から下側に向けて第1のスライド方向Saにスライドして、電子機器2を保持部本体3に装着する際に、ヘッド部22の第1傾斜部23が機器係合部17に隣接するバンド12の接触部12aによって押されて、ばね部材20のばね力に抗して徐々に押し込まれるように構成されている。
また、このフック部18は、図11および図12に示すように、機器ケース11が保持部本体3の前面に沿って上側から下側に向けて第1のスライド方向Saにスライドして、ヘッド部22の先端部22aがバンド12の端部における接触部12aから機器係合部17に向けて相対的に移動した際に、ヘッド部22がばね部材20のばね力によって、機器係合部17内にPb方向に押し込まれて係合するように構成されている。
これにより、フック部18は、図12に示すように、ヘッド部22の先端部22aがばね部材20のばね力で機器係合部17内に押し込まれて係合した際に、ヘッド部22の第1傾斜部23が機器係合部17の第3傾斜部17aに当接すると共に、ヘッド部22の第2傾斜部24が機器係合部17の第4傾斜部17bに当接することにより、保持部本体3に対して機器ケース11をロックするように構成されている。
さらに、このフック部18は、図11および図12に示すように、機器ケース11を保持部本体3の前面に沿って下側から上側に向けて第2のスライド方向Sbにスライドさせて、電子機器2を保持部本体3から取り外す際に、ヘッド部22の第2傾斜部24がばね部材20のばね力に抗して機器係合部17の第4傾斜部17bに沿って保持部本体3側に押し込まれるPa方向に向けて移動することにより、ヘッド部22の先端部22aが機器係合部17内から押し出され、保持部本体3に対する機器ケース11のロックを解除するように構成されている。
一方、保持部本体3の機器ガイド部7は、図4〜図6、図11、図14に示すように、フロントケース4の前側取付部4bにおけるロック部材6の下側に位置する左右の両側から側方に突出して設けられている。この機器ガイド部7は、図10〜図12、および図14に示すように、電子機器2が保持部本体3に対してスライドする際に、電子機器2のガイド溝部26に挿入した状態となって、機器ケース11が保持部本体3のケース部3bの面に直交する、ケース部3bの面から離れる方向への動きを規制する。これにより、電子機器2の上下方向へのスライドに応じて機器ケース11をガイドするように構成されている。
この場合、電子機器2のガイド溝部26は、図9〜図12に示すように、バンド12の端部における機器係合部17の下側に、これに隣接する接触部12aを隔てて設けられている。すなわち、このガイド溝部26は、電子機器2の機器ケース11を保持部本体3の前面に沿って上下方向にスライドさせる際に、ロック部材6のフック部18におけるヘッド部22の先端部22aが挿入してガイドされると共に、機器ガイド部7が挿入してガイドされるように構成されている。
これにより、保持部本体3の機器ガイド部7と電子機器2のガイド溝部26とは、図11および図12に示すように、ガイド溝部26内に機器ガイド部7が挿入して移動することにより、機器ケース11が保持部本体3のケース部3bの面に直交する方向、すなわちケース部3bの面から離れる方向へ動くことが規制されて、保持部本体3に対する電子機器2のガタツキを防ぐように構成されている。また、この機器ガイド部7とガイド溝部26とは、電子機器2が保持部本体3に装着されてロックされた際に、ガイド溝部26の上端部に機器ガイド部7の上端部が当接することにより、保持部本体3に対する電子機器2の取付位置を下限位置に規制するように構成されている。
また、保持部本体3における前側ベース部4aと後側ベース部5aとの内部には、図3および図5に示すように、回路基板27がビス27aによって取り付けられている。この回路基板27の右側上部には、保持部側接続部8が設けられている。この保持部側接続部8は、複数の接点ピン8aがばね部材(図示せず)によってそれぞれ弾力的に押し上げられる方向に付勢されて設けられた構成になっている。
これら複数の接点ピン8aは、図3〜図5に示すように、その上端部が保持部本体2の前側ベース部4aの上面から上方に弾力的に突出し、この突出した上端部に電子機器2の機器側接続部14が接触するように構成されている。この場合、電子機器2の機器側接続部14は、図8に示すように、複数の接点部14aが機器ケース11の下部側に位置する側面に設けられた構成になっている。
これにより、保持部本体3と電子機器2とは、図3に示すように、機器ケース11が保持部本体3に装着された際に、機器ケース11の機器側接続部14における複数の接点部14aが保持部本体3の保持部側接続部8における複数の接点ピン8aにそれぞれ弾接して電気的に接続されることにより、電子機器2の充電や、電子機器2と保持部本体3との間での通信が行われるように構成されている。
この場合、保持部本体3のフロントケース4における前側ベース4a上には、図4および図5に示すように、クッション材28が設けられている。このクッション材28は、保持部側接続部8における複数の接点ピン8aに機器ケース11の機器側接続部14における複数の接点部14aが弾接する際に、機器ケース11の下部に位置する側面が弾接するように構成されている。
また、回路基板27の右側下部には、図5に示すように、コネクタ29が設けられている。このコネクタ29は、例えばUSBコネクタであり、図4および図5に示すように、USBケーブルである接続ケーブル10のコネクタ10aが接続され、この接続ケーブル10によって回路基板27と外部機器(図示せず)とを電気的に接続し、その両者の間で通信が行なわれるように構成されている。
さらに、保持部本体3の前面における左下部には、図4および図5に示すように、検出スイッチ9が設けられている。この検出スイッチ9は、回路基板27とリード線(図示せず)によって電気的に接続され、電子機器2が保持部本体3に装着された際にスイッチ動作して、検出信号を回路基板27に出力するように構成されている。
次に、この保持装置1の作用について説明する。
まず、保持装置1の保持部本体3に電子機器2を装着する場合には、電子機器2の機器ケース11を立てた状態で保持部本体3の上方に配置し、この状態で機器ケース11の裏面を保持部本体3のフロントケース4における前側機器取付部4bの前面に対応させて、機器ケース11の裏面を前側機器取付部4bの一対の摺動リブ4cに沿って上側から下側に向けて第1のスライド方向Saにスライドさせる。
すると、まず、機器ケース11のバンド取付部11aに取り付けられたバンド12の端部のガイド溝部26にロック部材6のフック部18におけるヘッド部22の先端部22aが挿入され、このヘッド部22の先端部22aによって機器ケース11がガイドされる。このときには、フック部18がばね部材20のばね力によって弾力的に押し出されているので、機器ケース11が左右方向に少し位置がずれていても、このフック部18のヘッド部22の先端部22aがバンド12のガイド溝部26内に確実に挿入して機器ケース11をガイドする。
この状態で、機器ケース11が保持部本体3に対して下側に向けてスライドすると、機器ケース11のバンド12のガイド溝部26内に保持部本体3の機器ガイド部7が挿入され、機器ケース11は、この機器ガイド部7によって、左右方向に横振れすることなく、かつ前後方向(つまり機器ケース11の厚み方向に)にもガタツクことなく、ガイドされながら下側に移動する。そして、ヘッド部22がガイド溝部26の上端部に到達すると、ガイド溝部26の上端部に位置するバンド12の接触部12aがヘッド部22の第1傾斜部23に沿って移動を開始する。
このときには、第1傾斜部23の傾斜角度θaが第2傾斜部24の傾斜角度θbよりも小さく緩やかであるから、ガイド溝部26の上端部に位置するバンド12の接触部12aが第1傾斜部23に沿って円滑に移動する。すると、図11に示すように、バンド12の接触部12aが第1傾斜部23をばね部材20のばね力に抗して保持部本体3内に向けて徐々にPa方向に押し込みながら移動する。このため、機器ケース11が軽い力で下側にスライドする。
そして、ガイド溝部26の上端部に位置するバンド12の接触部12aがヘッド部22の先端部22aに到達して乗り越えると、図12に示すように、ヘッド部22の先端部22aがバンド12の接触部12aから離れて機器係合部17に対応する。すると、フック部18がばね部材20のばね力によってPb方向に押し出され、このフック部18のヘッド部22の先端部22aが電子機器2の機器係合部17内に押し込まれて係合する。
このように、フック部18のヘッド部22がばね部材20のばね力で機器係合部17内に押し込まれて係合した際には、図12に示すように、ヘッド部22の第1傾斜部23が機器係合部17の第3傾斜部17aに当接すると共に、ヘッド部22の第2傾斜部24が機器係合部17の第4傾斜部17bに当接することにより、保持部本体3に対して機器ケース11がロックされる。
この状態では、フック部18のヘッド部22の先端部22aが電子機器2の機器係合部17に係合し、保持部本体3の機器ガイド部7が電子機器2のガイド溝部26に挿入しているので、電子機器2が保持部本体3に対してガタツクことなく装着される。また、この状態では、電子機器2のガイド溝部26の上端部が保持部本体3の機器ガイド部7の上端部に当接するので、電子機器2の取付位置が下限位置に規制され、保持部本体3に対する正確な位置に電子機器2が位置規制される。
このため、機器ケース11の機器側接続部14における複数の接点部14aが、保持部本体3の保持部側接続部8における複数の接点ピン8aに、それぞれ正確にかつ良好に弾接する。これにより、電子機器2の電子回路(図示せず)と保持部本体3の回路基板27とが電気的に接続されるので、電子機器2の充電や、電子機器2と保持部本体3との間での通信が可能になる。
また、このときには、電子機器2の下部側に位置する側面が、クッション材28に弾接するので、このクッション材28および保持部側接続部8の複数の接点ピン8aによって電子機器2が保持部本体3に安定した状態で良好に保持される。さらに、このときには、保持部本体3の前面における左下部に設けられた検出スイッチ9が、機器ケース11の裏面で押されてスイッチ動作して、検出信号を回路基板27に出力する。
この状態では、機器ケース11の機器側接続部14における複数の接点部14aが保持部本体3の保持部側接続部8における複数の接点ピン8aにそれぞれ弾接して電気的に接続されていることにより、保持部本体3内の回路基板27と外部機器(図示せず)とが接続ケーブル10によって電気的に接続されていることにより、保持部本体3内の回路基板27を介して、電子機器2の充電や、電子機器2と外部機器との間での通信を行うことができる。
また、このように電子機器2が保持部本体3に装着された際には、電子機器2の複数の接点部14aが保持部本体3の複数の接点ピン8aに弾力的に接触して、電子機器2が複数の接点ピン8aによって押し上げられていても、ロック部材6によって電子機器2が保持部本体3に対して離脱することなく、確実にロックされる。
すなわち、ロック部材6は、フック部18の第2傾斜部24が第1傾斜部23よりも急な傾斜角度を有しているから、フック部18のヘッド部22が電子機器2の機器係合部17から抜け難く、電子機器2が複数の接点ピン8aによって押し上げられても、ロック部材6によるロックが解除されることがなく、電子機器2を保持部本体3に確実にロックした状態を維持する。
一方、電子機器2を保持部本体3から取り外す際には、電子機器2の機器係合部17に対するヘッド部22の係合力に抗して、電子機器2を保持部本体3の下側から上側に向けて第1のスライド方向Saに対して逆方向の第2のスライド方向Sbにスライドさせれば良い。このときには、フック部18の第2傾斜部24が第1傾斜部23よりも急な傾斜角度であるから、電子機器2を保持部本体3に装着してロックするのに要するロック力よりも、強い力で電子機器2を引き上げる方向にスライドさせれば良い。
すなわち、電子機器2をロックするのに要するロック力よりも強い力で引き上げると、ヘッド部22の第2傾斜部24がばね部材20のばね力に抗して機器係合部17の第4傾斜部17bに沿って保持部本体3内に押し込まれるPa方向に向けて移動する。これにより、ヘッド部22の先端部22aが機器係合部17内から押し出され、保持部本体3に対する電子機器2のロックが解除されるので、電子機器2を保持部本体3の上側に向けてスライドさせることにより、容易に電子機器2を取り外すことができる。
このように、この電子機器2の保持装置1によれば、電子機器2がスライド可能に配置される保持部本体3と、電子機器2に係脱可能に係合して電子機器2を保持するロック部材6とを備え、このロック部材6が、電子機器2に向けて弾力的に押し出されて電子機器2に設けられた機器係合部17に係合するフック部18を有し、このフック部18は、電子機器2を保持部本体3に装着してロックするのに要するロック力が、電子機器2を保持部本体3から取り外すのに要するロック解除力よりも、小さく設定されていることにより、電子機器2を装着し易く、かつ抜け難くすることができると共に、着脱作業性の向上を図ることができる。
すなわち、この電子機器2の保持装置1では、電子機器2を保持部本体3に装着する際に、電子機器2を保持部本体3に沿って第1のスライド方向Saにスライドさせると、ロック部材6のフック部18を電子機器2の機器係合部17に弾力的に係合させることができると共に、電子機器2を保持部本体3から取り外す際に、電子機器2の機器係合部17に対するフック部18の係合力に抗して電子機器2を第1のスライド方向Saに対して逆方向の第2のスライド方向Sbにスライドさせるだけで、フック部18による係合を弾力的に解除することができる。
また、この電子機器2の保持装置1では、電子機器2に対するフック部18のロック力を保持部本体3から取り外すのに要するロック解除力よりも小さくすることができるので、電子機器2を装着し易くすることができると共に、電子機器2を抜け難くすることができ、これにより電子機器2を傷つけずに、確実にロックすることができると共に、良好に取り外すことができるので、着脱作業性の向上を図ることができる。
この場合、フック部18は、電子機器2が保持部本体3に対してスライドする際に、電子機器2の一部である接触部12aに接触しながら押し込まれてフック部18を電子機器2の機器係合部17に導く第1傾斜部23と、電子機器2が保持部本体3に対してスライドする際に、電子機器2の機器係合部17の内面である第4傾斜部17bに接触しながら押し込まれてフック部18を機器係合部17から離脱させる第2傾斜部24とを有していることにより、電子機器2を保持部本体3に対してスライドさせるだけで、電子機器2のロック動作およびロック解除動作を容易にかつ確実に行うことができる。
また、このフック部18は、そのヘッド部22が山形状に形成され、この山形状の一方の傾斜部が第1傾斜部23に形成され、他方の傾斜部が第2傾斜部24に形成され、電子機器2の第1のスライド方向Saに対する第1傾斜部23の傾斜角度θaが、電子機器2の第2のスライド方向Sbに対する第2傾斜部24の傾斜角度θbよりも、小さく形成されていることにより、電子機器2を装着し易くすることができると共に、電子機器2を抜け難くすることができる。
すなわち、フック部18は、第1傾斜部23のその傾斜長さが第2傾斜部24の傾斜長さよりも長く形成され、これにより第1傾斜部23が電子機器2を装着し易すい傾斜角度に形成され、かつ第2傾斜部24が電子機器2の抜け難い傾斜角度に形成されていることにより、電子機器2を装着し易くすることができると共に、電子機器2を抜け難くすることができる。
これにより、この保持装置1では、電子機器2の機器ケース11を保持部本体3の前面に沿って上側から下側に向けてスライドさせて、電子機器2を保持部本体3に装着する際に、機器係合部17に隣接するバンド12の接触部12aがフック部18の第1傾斜部23に沿って移動することにより、フック部18を保持部本体3内に向けて徐々に押し込むことができ、このため電子機器2を保持部本体3に装着する際に、軽い力で円滑にフック部18を機器係合部17に係合させることができ、これにより保持部本体3に対して電子機器2を確実にロックすることができ、かつ抜け難くすることができる。
また、この保持装置1では、電子機器2を保持部本体3の前面に沿って下側から上側に向けてスライドさせて、保持部本体3から取り外す際に、フック部18の第2傾斜部24が機器係合部17の内面である第4傾斜部17bに沿って移動するのであるが、第2傾斜部24の傾斜角度θbが第1傾斜部23の傾斜角度θaよりも急な角度であるから、電子機器2を保持部本体3に装着するのに要するロック力よりも、強い力で電子機器2をスライドさせることにより、フック部18を機器係合部17内から離脱させることができ、これにより保持部本体3に対する電子機器2のロックを良好に解除することができる。
また、この保持装置1では、ロック部材6が、保持部本体3に対する電子機器2のスライド方向と直交する方向に向けてフック部18をスライド可能にガイドするフックガイド部19と、フック部18を保持部本体3から押し出す方向に向けて弾力的に付勢するばね部材20とを備えていることにより、フックガイド部19によってフック部18を電子機器2のスライド方向と直交する方向に向けて円滑にかつ良好にガイドすることができ、またばね部材20のばね力によってフック部18を最適な力で弾力的に押し出すことができる。
さらに、この保持装置1によれば、電子機器2を保持部本体3に対してスライドさせる際に、電子機器2をスライド方向に沿ってガイドする機器ガイド部7を備えていることにより、電子機器2をスライドさせて保持部本体3に装着する際に、機器ガイド部7によって電子機器2を確実にかつ良好にガイドすることができ、これにより電子機器2をロック部材6によってロックさせることができる。
また、この保持装置1では、電子機器2をスライドさせて保持部本体3から取り外す際にも、機器ガイド部7によって電子機器2をガイドすることができ、これにより電子機器2をガタ付かせることなく円滑にスライドさせることができるので、ロック部材6によるロックを良好に解除することができる。このため、保持部本体3に対する電子機器2の着脱作業性が良く、電子機器2を保持部本体3に対して円滑にかつ良好に着脱することができる。
この場合、機器ガイド部7は、電子機器2のバンド12に設けられたガイド溝部26に挿入した状態で、電子機器2のスライド動作に応じてガイド溝部26内を相対的に移動する構成であるから、電子機器2を保持部本体3に対してスライドさせる際に、電子機器2が保持部本体3に対してガタツクことなく、電子機器2を安定した状態で円滑にかつ良好にスライドさせることができるほか、機器ガイド部7が電子機器2の前面に被さることがないので、画面表示に影響を及ぼすことがなく、デザイン的に好ましいものを提供することができる。
また、この機器ガイド部7は、電子機器2を保持部本体3に対してスライドさせて装着した際に、電子機器2のガイド溝部26の上端部が保持部本体3の機器ガイド部7の上端部に当接することにより、電子機器2の取付位置を下限位置に規制することができ、これにより保持部本体3に対して電子機器2を正確な位置に規制することができる。
さらに、この保持装置1では、電子機器2が保持部本体3に装着した際に、電子機器2に設けられた機器側接続部14と電気的に接続される保持部側接続部8を備えていることにより、電子機器2を保持部本体3に装着するだけで、電子機器2の機器側接続部14と保持部本体3の保持部側接続部8とを電気的に接続することができ、これにより電子機器2の充電や、電子機器2と保持部本体3との間での通信を行うことができる。
すなわち、保持部本体3の保持部側接続部8は、複数の接点ピン8aがばね部材(図示せず)によってそれぞれ弾力的に押し上げる方向に付勢され、保持部本体3の上方に弾力的に突出した構成であり、電子機器2の機器側接続部14は、複数の接点部14aが機器ケース11の下部側に位置する側面に設けられた構成であることにより、電子機器2を保持部本体3に装着した際に、電子機器2の複数の接点部14aを保持部本体3の複数の接点ピン8aに弾力的に接触させることができるので、複数の接点部14aと複数の接点ピン8aとを確実にかつ良好に接続することができる。
この場合、ロック部材6は、フック部18の第2傾斜部24が第1傾斜部23よりも急な傾斜角度であり、フック部18のヘッド部22が電子機器2の機器係合部17から抜け難いので、電子機器2が複数の接点ピン8aによって弾力的に押し上げられても、ロック部材6によるロックが解除されることがなく、電子機器2を保持部本体3に対して確実にロックした状態を維持することができる。
また、この保持装置1では、電子機器2が保持部本体3にロック部材5によってロックされて装着された際に、スイッチ動作する検出スイッチ9を備えていることにより、電子機器2を保持部本体3に装着するだけで、自動的に検出スイッチ9を動作させて、電子機器2と保持部本体3との間での通信を可能な状態にすることができ、これにより使い勝手の良いものを提供することができる。
なお、上述した実施形態では、ロック部材6の付勢部材として、コイルばねなどのばね部材20を用いた場合について述べたが、これに限らず、板ばねなどのばね部材を用いても良く、またばね部材に限らず、ゴムやエラストマなどの弾性部材を用いても良い。
また、上述した実施形態では、電子機器2のバンド12に保持部本体3の機器ガイド部7が挿入して電子機器2をガイドするためのガイド溝部26を設けた場合について述べたが、これに限らず、図15(a)に示す第1変形例のように、電子機器2の機器ケース11におけるバンド取付部11aに保持部本体3の機器ガイド部7が挿入するガイド溝部26を設けても良い。
また、保持部本体3の機器ガイド部7は、電子機器2のガイド溝部26に挿入する形状である必要はなく、例えば図15(b)に示す第2変形例のように、電子機器2のガイド溝部26に挿入し、かつガイド溝部26が挿入することにより、保持部本体3の機器ガイド部7が電子機器2のガイド溝部26を挟んだ状態でスライドするような形状に形成しても良い。
さらに、上述した実施形態では、保持装置1の保持部本体3を起立させた状態で使用する場合について述べたが、これに限らず、例えば図16(a)および図16(b)に示すように、横に倒した状態、つまり保持部本体3における平板状のケース部3bの裏面を載置面上に配置した状態で使用するようにしても良い。
また、上述した実施形態では、電子機器2が保持部本体3に装着した際に、その両者を電気的に接続する接続部材として、保持部本体3の保持部側接続部8を複数の接点ピン8aで構成し、電子機器2の機器側接続部14を複数の接点部14aで構成した場合について述べたが、これに限らず、例えば図16(a)に示す第3変形例のように、保持部側接続部8を雄コネクタ30で構成し、機器側接続部14を雌コネクタ31で構成しても良い。
また、上述した実施形態では、電子機器2を保持部本体3から取り外す際に、電子機器2を引き上げてロック部材6によるロックを解除するように構成した場合について述べたが、これに限らず、例えば図16(b)に示す第4変形例のように、保持部本体3にイジェクト釦32を設け、このイジェクト釦32でロック部材6によるロックを解除するように構成しても良い。
なおまた、上述した実施形態およびその各変形例では、保持部本体3に腕時計タイプの電子機器2を装着する場合について述べたが、必ずしも腕時計タイプの電子機器2である必要はなく、例えば電子腕時計、携帯電話機、携帯情報端末機などの各種の電子機器に広く適用することができる。
以上、この発明の一実施形態およびその各変形例について説明したが、この発明は、これらに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記)
請求項1に記載の発明は、電子機器を着脱可能に保持する電子機器の保持装置において、前記電子機器がスライド可能に配置される保持部本体と、前記保持部本体に設けられ、前記電子機器が前記保持部本体に沿って第1のスライド方向にスライドされたときに該電子機器に係合して前記電子機器を保持し、前記電子機器が前記保持部本体に沿って前記第1のスライド方向に対して逆方向の第2のスライド方向にスライドされたときに該電子機器との係合が解除されるロック部材と、を備え、前記ロック部材は、前記電子機器に向けて弾力的に押し出されて前記電子機器に設けられた機器係合部に係合して前記電子機器を保持するフック部を有し、前記フック部は、該フック部を前記電子機器の前記機器係合部に係合させるのに要する第1の力を、前記電子機器の前記機器係合部との係合を解除するのに要する第2の力よりも小さくする形状に設定されていることを特徴とする電子機器の保持装置である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電子機器の保持装置において、前記フック部は、前記電子機器が前記保持部本体に対して前記第1のスライド方向にスライドする際に、前記電子機器の一部に接触しながら押し込まれて前記フック部を前記電子機器の前記機器係合部に導く第1傾斜部と、前記電子機器が前記保持部本体に対して前記第2のスライド方向にスライドする際に、前記電子機器の前記機器係合部の内面に接触しながら押し込まれて前記フック部を前記機器係合部から離脱させる第2傾斜部とを有していることを特徴とする電子機器の保持装置である。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の電子機器の保持装置において、前記フック部は、山形状に形成され、この山形状の一方の傾斜部が前記第1傾斜部に形成され、他方の傾斜部が前記第2傾斜部に形成され、前記電子機器の前記第1のスライド方向に対する前記第1傾斜部の傾斜角度が、前記電子機器の前記第2のスライド方向に対する前記第2傾斜部の傾斜角度よりも、小さく形成されていることを特徴とする電子機器の保持装置である。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずかに記載の電子機器の保持装置において、前記ロック部材は、前記保持部本体に対する前記電子機器の前記第1および第2のスライド方向と直交する方向に向けて前記フック部をスライド可能にガイドするフックガイド部と、前記フック部を前記保持部本体から押し出す方向に向けて弾力的に付勢する付勢部材とを備えていることを特徴とする電子機器の保持装置である。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の電子機器の保持装置において、前記電子機器を前記保持部本体に対してスライドさせる際に、前記電子機器が前記保持部本体から離れる方向に動くことを規制して、前記電子機器をスライド方向に沿ってガイドする機器ガイド部を備えていることを特徴とする電子機器の保持装置である。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の電子機器の保持装置において、前記電子機器が前記保持部本体に保持された際に、前記電子機器に設けられた機器側接続部と電気的に接続される保持部側接続部を備えていることを特徴とする電子機器の保持装置である。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の電子機器の保持装置において、前記電子機器が前記保持部本体に保持された際に、スイッチ動作する検出スイッチを備えていることを特徴とする電子機器の保持装置である。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7のいずれかに記載の電子機器の保持装置において、前記電子機器は、腕に装着して使用する腕時計タイプの電子機器であることを特徴とする電子機器の保持装置である。