JP6066167B2 - バイオチップの製造方法及びバイオチップ - Google Patents

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Description

本発明は、生体試料中の多数の蛋白質の検出および分析に用いられるバイオチップの製造方法に関する技術であり、さらに詳しくは、抗原抗体反応を用いた免疫分析、プロテオミクス、ならびに遺伝子活性の細胞内蛋白質レベルでの測定に用いられるバイオチップの製造方法に関するものである。
現状のバイオチップの一つであるプロテインチップは一般にDNAチップの延長線上に位置付けられて開発がなされているため、ガラス基板上に蛋白質、またはそれを捕捉する分子をチップ表面に固定化する検討がなされている(例えば特許文献1参照)。
蛋白質、またはそれを捕捉する分子を基板上に固定化した後、該表面上で他の蛋白質(例えば抗原抗体反応では、蛋白質に対してはその抗体、また蛋白質を捕捉する分子に対してはその蛋白質) と反応させて検出機等で検出する場合、蛋白質、またはそれを捕捉する
分子が固定されていない部分に該分子以外の蛋白質が固定されると、検出時にノイズとなり信号対雑音比(S/N 比) を低下させる原因となり、検出精度を低下させる( 例え
ば非特許文献1参照) 。
このため通常は、蛋白質、またはそれを捕捉する分子を固定化した後に、これらの分子が固定されていない部分で他の蛋白質が非特異的に吸着するのを防止するため、吸着防止剤のコーティングが行われるが、これらの非特異吸着防止能は十分でない。また、蛋白質、またはそれを捕捉する分子を固定化した後に吸着防止剤をコーティングするため、固定化した蛋白質、またはそれを捕捉する分子の上に吸着防止剤がコーティングされてしまう場合があり、続く反応、即ち他の蛋白質( 例えば抗原抗体反応では、蛋白質に対してはそ
の抗体、また蛋白質を捕捉する分子に対してはその蛋白質)との反応において、反応性が低下するという問題があった。このため、一次抗体固定化後の吸着防止剤コーティング工程がなく、かつ蛋白質、またはそれを捕捉する分子が固定されていない部分での非特異吸着量の少ないバイオチップが求められている。
また、すべての蛋白質(プロテオーム)の変動をプロファイリングする技術面では、超微量の蛋白質や数ナノリットルというような超微量の溶液の操作を可能とするマイクロフルイディクスの技術や、チップ上での前処理、分離、検出を目標とする「ラボ・オン・チップ」の概念が重要となってくる。この技術においては、サンプルである蛋白質などの生理活性物質が、流路内に固定化されたキャプチャーと特異的に反応し、かつキャプチャー部以外の流路の内壁への非特異吸着を抑制することが必要となる。
例えば、特許文献2や3の発明においては、生理活性物質固定のためのアミノ基含有ポリマーと親水性ポリマーを組み合わせることで、この目的を達成しようとした。基体の親水性を高めることで非特異吸着を抑制することが可能になった。
しかしながら、親水性を高めることは、基体表面に水を落とした時の前進接触角を低くすることでもあり、その結果、生理活性物質を含む水溶液を基体表面にスポットした場合に、スポット面積が広がり、さらにスポット外周部がにじんで真円のスポットにならないなどの問題が生じた。このようにスポットの形状が安定しないと、定量測定は困難である。
特開2001−116750号公報 特開2005−091245号公報 特表2010−008378号広報
「DNAマイクロアレイ実戦マニュアル」、林崎良英、岡崎康司編、羊土社、2000年、p.57
本発明は、吸着防止剤をコーティングすることなしに、蛋白質を基体表面の任意の位置に固定化し、それ以外の部分への不要な生理活性物質の吸着および結合を抑制し、かつ良好なスポット形状を維持することで高感度でハイスループットな生理活性物質の検出ができるバイオチップの製造方法を提供することを目的とする。
(1)基体表面に蛋白質を固定化してなるバイオチップの製造方法であって、(1)基体表面に蛋白質固定用水溶液を点着または塗布し蛋白質を固定化する工程、(2)親水性高分子物質を含む水溶液で蛋白質を被覆する工程、を含むことを特徴とするバイオチップの製造方法。
(2)前記(2)工程の親水性高分子物質が、生体高分子である(1)記載のバイオチップの製造方法。
(3)前記生体高分子が、アルブミン、スキムミルク、カゼインおよび免疫グロブリンを含む群より選択される1種以上の親水性高分子物質である(2)記載のバイオチップの製造方法。
(4)(1)記載の被覆する温度が42℃以下である(1)乃至(3)いずれか1項に記載のバイオチップの製造方法。
(5)(1)記載の蛋白質の点着が基体表面にスポット状に固定化されている(1)乃至(4)いずれか1項に記載のバイオチップの製造方法。
(6)複数種の蛋白質のスポットが基体表面の同一区画中に存在している(5)記載のバイオチップの製造方法。
(7)前記(1)工程の固定化が化学結合または物理吸着により蛋白質が固定化されている(1)乃至(6)いずれか1項に記載のバイオチップの製造方法。
(8)前記蛋白質を固定化する基体にポリマーを塗布する(1)乃至(7)いずれか1項に記載のバイオチップの製造方法。
(9)前記ポリマーがホスホリルコリン基を有する単量体とブチルメタクリレート基を有する単量体と蛋白質を固定化する官能基を有する単量体との共重合体である(1)乃至(8)いずれか1項に記載のバイオチップの製造方法。
(10)前記ホスホリルコリン基が2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン基である(1)乃至(9)いずれか1項に記載のバイオチップの製造方法。
(11)前記の蛋白質を固定化する官能基が活性エステル基である(9)記載のバイオチップの製造方法。
(12)前記活性エステル基がp−ニトロフェニルエステル又はN−ヒドロキシスクシンイミドエステルである(11)記載のバイオチップの製造方法。
(13)基体の形状がスライドガラス状である(1)乃至(12)いずれか1項に記載のバイオチップの製造方法。
(14)基体の材質がプラスチックである(1)乃至(13)いずれか1項に記載のバイオチップの製造方法。
(15)プラスチックがポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、飽和環状ポリオレフィン、ポリペンテン、ポリアミド及びそれらの共重合体よりなる群より少なくとも1種である(14)記載のバイオチップの製造方法。
(16)前記蛋白質が、抗体である(1)乃至(15)いずれか1項に記載のバイオチップの製造方法
(17)(1)乃至(16)いずれか1項に記載の製造方法で作製したことを特徴とするバイオチップ。
本発明により、不要な生理活性物質の吸着および結合を抑制し、かつ良好なスポット形状を維持することで高感度でハイスループットな生理活性物質の検出ができるバイオチップを作製することが可能となる。
実施例1の蛍光測定結果 比較例の蛍光測定結果
本発明における基体表面に蛋白質を固定化したバイオチップの製造方法は、以下の工程より構成される。
(1)基体表面に蛋白質固定用水溶液を点着または塗布し蛋白質を固定化する工程、
(2)親水性高分子物質を含む水溶液で蛋白質を被覆する工程、
まず工程(1)について詳細に説明する。
工程(1)は、基体表面への蛋白質の固定化に関する工程である。
蛋白質は基体表面にスポット状に固定化されていることが好ましい。蛋白質をスポット状に点着させる方法としては、市販のスポッター(例えばAmersham Pharmacia Biotech社製
Microrray system Generation III spotter)を使用することができるが、特にこれに
こだわるものではない。市販のスポッターを用いた場合のスポットのサイズは、直径0.2〜0.5mmである。
用いる蛋白質の種類は1種類以上であればよく、マイクロチップの特性状、複数種の蛋白質のスポットを有する方が、一度に複数の検出が可能であるので効果的である。複数種の蛋白質のスポットが基体表面の同一区画中に存在していても良い。
蛋白質の固定化に関しては、表面に固定化され分析の際の洗浄工程によって蛋白質が表面から脱離しなければ特に限定しない。具体的な固定化の方法としては、共有結合または物理吸着であることが好ましい。
タンパク質を共有結合によって固定化する方法としては、チップ表面に官能基を導入し蛋白質と当該官能基とを反応させる方法が一般的である。
次に工程(2)について説明する。
工程(2)は、工程(1)において作製した蛋白質固定化基板を、親水性高分子物質を含む水溶液で被覆する工程になる。
(親水性高分子物質)
親水性高分子物質は、生体高分子であることが好ましい。生体高分子であれば基板を被覆することで表面が親水性になるため、固定化した蛋白質の安定化に寄与すると考えられる。前記生体高分子は、他の生体高分子物質に不活性なアルブミン、スキムミルク、またはカゼインを含む群より選択される1種以上を用いることが好ましい。また、免疫グロブリンを用いても良いが、この場合、チップを免疫分析に用いる場合には、測定に用いる抗原等と交差反応を惹起しない免疫グロブリンを選択することが重要であるである。
(親水性高分子物質・塗布)
親水性高分子物質の被覆方法として、具体的には、親水性高分子物質を含む溶液を基体表面に塗布することにより親水高分子を被覆することができる。
塗布方法に関しては、チップを親水性高分子物質を含む溶液に浸漬する、親水性高分子物質を含む溶液をチップの蛋白質固定箇所に盛ることにより塗布する方法があり、どちらを用いても良い。
また、塗布後は、そのまま乾燥させても良いし、一定時間溶液に曝露した後、塗布溶液を除去し、遠心乾燥させる。遠心乾燥は、高速回転による遠心力と熱風で部品などを乾燥させるもので、様々な専用機が市販されており、メーカーによって「遠心分離乾燥機」「脱水乾燥機」「スピンドライヤー」と呼ばれている。
または、単純にチップ表面に存在する溶液を遠心操作で除去した後、乾燥させることで遠心乾燥と同じ効果を得ることができる。具体的には、1時間40℃で処理し、チップ表面
に存在する溶液を除去、その後乾燥させる。
親水性高分子物質を含む溶液は、特に限定するものではないが、水性溶媒、特にリン酸緩衝液に代表される水性緩衝液が好ましい。水溶性溶液の溶媒としては、一般的な緩衝液を用いることができる。例えば、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、生理食塩水等が挙げられ、特に限定するものではないが、免疫分析の分野で良く使用される、リン酸緩衝液を好適に使用することができる。
被覆する条件としては、被覆時の溶液温度により固定化した蛋白質が変性してはいけないので、42℃以下、好ましくは40℃以下で処理することが好ましい。
(基板の構成)
本発明によるバイオチップ基板は、基体とその前述のように表面に固定化した蛋白質及び被覆親水性高分子物質を含む。
基体の材質に関しては後述するが、基体は蛋白質を固定化するための表面処理、および非特異吸着を抑制するための表面処理がなされていることが好ましい。
表面処理方法は特に限定しないが、固定化に必要な官能基と非特異吸着を抑制する親水基の導入が同時に実施できれば、性能及び有利である。このためには、官能基と親水性を同時に有するポリマーを基体表面に構築する方法が好適である。
親水性を有するポリマーとしては、例えばポリマー側鎖にホスホリルコリン基を有するポリマーを挙げることができる。
具体的なポリマーの構造は以下に示す。
(ポリマーの構成)
ホスホリルコリン基を有するポリマーは、生体膜(リン脂質二重層膜)類似の構造を有しているポリマーであって、生理活性物質の吸着を抑制する効果を有する( 例えばI s h i
h a r a K , T s u j i T , K u r o s a k i T , N a k a b a y a s h i N ,J o u r n a l o f B i o m e d i c a l M a t e r i a l s R e s e a r c h , 2 8 ( 2 ) , p p . 2 2 5 - 2 3 2 , ( 1 9 9 4 )4 など) 。
ホスホリルコリン基は、例えば2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、2−メタクリロイルオキシエトキシエチルホスホリルコリン、6−メタクリロイルオキシヘキシルホスホリルコリン、10−メタクリロイルオキシエトキシノニルホスホリルコリン、アリルホスホリルコリン、ブテニルホスホリルコリン、ヘキセニルホスホリルコリン、オクテニルホスホリルコリン、デセニルホスホリルコリン等を挙げられるが、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンが好ましい。
さらに、本発明に使用するポリマーは生理活性物質を固定化するための官能基を有するこ
とが好ましい。本発明に用いる生理活性物質を固定化する官能基をとしては、化学的に活性な基、受容体基、リガンド基などがあるが、これらに限定されない。具体的な例としては、アルデヒド基、活性エステル基、エポキシ基、ビニルスルホン基チオール基、アミノ基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、ヒドロキシル基、アクリレート基、マレイミド基、ヒドラジド基、アジド基、アミド基、スルホネート基などがあるがこれらに限定されない。これらの中でも生理活性物質に多く含まれるアミノ基との反応性の点からアルデヒド基、活性エステル基、エポキシ基、ビニルスルホン基が好ましい。特に、活性エステル基が生理活性物質との結合において良く用いられ、実績もあることから最も好ましい。
基体表面とポリマーとの結合は、共有結合、静電的相互作用、水素結合、疎水効果による結合等どのような結合様式であっても良いが、表面処理の簡易性等の観点から、基体表面とポリマーとの疎水効果によって結合していることが好ましい。
また、本発明に使用するポリマーは、ホスホリルコリン基以外に他の基を含んでもよく、ホスホリルコリン基を有する単量体、活性エステル基を有する単量体とブチルメタクリレート基を有する単量体との三元共重合体が好ましい。
(ポリマーのコーティング)
本発明のバイオチップは、基体表面を該ポリマーでコーティングすることにより、生理活性物質の非特異的吸着を抑制する性質、特定の生理活性物質を固定化する性質を容易に付与することが可能である。
基体へのポリマーのコーティングは、例えば有機溶剤に高分子化合物を0.05〜10重量%濃度になるように溶解した高分子溶液を調製し、浸漬、吹きつけなどの公知の方法で基材表面に塗布した後、室温下ないしは加温下にて乾燥させることにより行われる。
有機溶剤としては、2−ブタノン、エタノール、メタノール、t−ブチルアルコール、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトン、メチルエチルケトンなどの単独溶媒またはこれらの混合溶剤が使用される。中でも、エタノール、メタノールがプラスチック基材を変性させず、乾燥させやすいため好ましい。また、溶液中で高分子化合物を加水分解させる場合にも、水と任意の割合で混ざるので好ましい。
本発明の高分子化合物を溶解した溶液を基材表面に塗布した後、溶液を除去し、有機溶媒で洗浄したのち、遠心乾燥するのが好ましい。
(基体の形状)
本発明に使用する基体の形状は、特に限定しないが、スライドガラス状の基板、マルチウェルプレート、ビーズ状の球体等が挙げられる。これらの基体表面に微細な流路を有していてもよく、流路内に抗体を固定化させることも可能である。
特に一般的なスライドガラス状での場合、市販のチップ測定装置(例えばFigen社製GenePix4000B)で測定できるメリットがあり好適である。
(基体の材質)
前記基体の材質は、例えばガラス、プラスチック、金属を用いることが可能である。これらの中で、プラスチック製の基体は、加工性、使用後の焼却処理等の点で最も好適である。
基体に用いるプラスチックの素材は特に限定するものではないが、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、飽和環状ポリオレフィン、ポリペンテン、ポリアミド、及びそれらの共重合体よりなる群より選ばれる少なくとも1種であることが
好ましい。特に、透明性に優れたポリカーボネート、ポリスチレン、環状ポリオレフィンや、自家蛍光発色の少ない環状ポリオレフィンが好適に用いることができる。
バイオチップに固定化する蛋白質は、特に限定するものではないが、生体由来分子を用いることが多く、特に抗体を用いることが多い。抗体を固定化したバイオチップは、ELISA分析に用いることができる。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.ポリマーの調製
(1)ポリマーの合成
2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(以下、「MPC」と記載)、n−
ブチルメタクリレート(以下、「BMA」と記載)、p−ニトロフェニルオキシカルボニル−ポリエチレングリコールメタクリレート(以下、「MEONP」と記載。)を脱水エタノールに溶解させた。
そこに、さらに2、2−アゾビスイソブチロニトリル(以下、「AIBN」と記載、和光純薬工業社製)を添加し、均一になるまで撹拌することで、モノマー混合溶液を作製した。
なお、モノマー混合溶液中における、それぞれのモル比は、MPC、BMA、MEONPの順に70:27:3である。
その後、アルゴンガス雰囲気下、60℃で6時間反応させた後、反応溶液をジエチルエーテル中に滴下し、沈殿を収集することにより第1のポリマーを得た。
なお、上述したMEONPについては、以下の(2)に示すようにして合成した。
(2)p−ニトロフェニルオキシカルボニル−ポリエチレングリコールメタクリレート(MEONP)の合成
0.01molのポリエチレングリコールモノメタクリレート(日本油脂製、「Blenmer PE−200」)を20mLのクロロホルムに溶解させた後、−30℃まで冷却した。
−30℃に保ちながらこの溶液に、予め作製しておいた0.01molのp−ニトロフェニルクロロフォーメート(Aldrich社製)と0.01molのトリエチルアミン(和光純薬工業社製)およびクロロホルム20mLの均一溶液をゆっくりと滴下した。
−30℃にて1時間反応させた後、室温でさらに2時間溶液を攪拌した。その後反応液から塩をろ過により除去し、溶媒を留去してMEONPを得た。
2.抗原の検出
[実施例1](BSAを含む溶液での被覆)
まず、RAT ALBUMINの検出のために、以下の部材および原材料等を用意した。基材:穴部を備えるポリエチレン樹脂基板を用意した。
特異抗体(一次抗体):RABBIT IGG FRACTION TO RAT ALBUMIN(Cappel社製)を用意した。
標識化特異抗体(二次抗体):ビオチン標識 SHEEP IGG FRACTION TO RAT ALBUMIN(Cappel社製)を用意した。
抗原:Albumin ,Rat (-)(Cappel社製)を用意した。
洗浄液:0.05% triton X100 /PBS を用意した。
次に、ポリマーの0.5wt%エタノール溶液を調整し、これを成型品の穴部に点着したのち乾燥させ、エタノール洗浄することで、底面に、ポリマーを導入した。
次に、リン酸バッファー溶液で調整した特異抗体を穴部に点着したのち、50%以下の乾燥状態、室温下で一晩静置し、洗浄液を用いて3回洗浄を行った。
次に、BSAを含むPBS溶液を穴部に浸漬し、37℃の環境下に1時間静置して抗体を被覆し、遠心乾燥した。
次に、抗原の70μg/mLPBS溶液(検体)を調製し、これを穴部に点着したのち、37℃の環境下に1.5時間静置して、抗原抗体反応を実施し、洗浄液を用いて3回洗浄を行った。
次に、標識化特異抗体の1ug/mL PBS溶液(0.05% triton X100)を調製し、こ
れを穴部に点着したのち、37℃の環境下に1時間静置して、抗原抗体反応を実施し、洗浄液を用いて3回洗浄を行った。
次に、Cy3標識されたストレプトアビジンのPBS溶液(0.05% triton X100)を調製し、これを穴部に点着したのち、37℃の環境下に0.5時間静置し、洗浄液を用いて3回洗浄を行った。
その後、穴部について、それぞれ、蛍光測定(励起波長:550nm蛍光波長:570nm)を行った。
その結果、シグナルが検出され、各スポットの形も、図1に示すように形状のよい円を提示した。
[比較例](BSAを含む溶液でRAT ALBUMIN抗体を被覆しない場合)
実施例1と同様にしてポリエチレン樹脂基板にポリマーを導入した。
次に、リン酸バッファー溶液で調整した特異抗体を穴部に点着したのち、50%以下の乾燥状態、室温下で一晩静置し、洗浄液を用いて3回洗浄を行った。
次に、抗原の70μg/mLPBS溶液(検体)を調製し、これを穴部に点着したのち、37℃の環境下に1.5時間静置して、抗原抗体反応を実施し、洗浄液を用いて3回洗浄を行った。
次に、標識化特異抗体の1ug/mL PBS溶液(0.05% triton X100)を調製し、こ
れを穴部に点着したのち、37℃の環境下に1時間静置して、抗原抗体反応を実施し、洗浄液を用いて3回洗浄を行った。
次に、Cy3標識されたストレプトアビジンのPBS溶液(0.05% triton X100)を調製し、これを穴部に点着したのち、37℃の環境下に0.5時間静置し、洗浄液を用いて3回洗浄を行った。
その後、穴部について、それぞれ、蛍光測定(励起波長:550nm蛍光波長:570nm)を行った。
その結果、シグナルが低くスポットの形状も図2に示すように真円ではなく、スポット形も小さくなった。
本特許のバイオチップの製造方法を用いることにより、不要な生理活性物質の吸着および結合を抑制し、かつ良好なスポット形状を有するバイオチップを作製でき、免疫分析反応に良好なバイオチップを得ることができる。

Claims (15)

  1. 基体表面に蛋白質を固定化したバイオチップの製造方法であって、
    (1)基体表面に蛋白質固定用水溶液を点着または塗布し蛋白質を固定化する工程、
    (2)親水性高分子物質を含む水溶液で蛋白質を被覆する工程、
    を含み、前記基体表面は、ポリマー側鎖にホスホリルコリン基を有するポリマーを構築する方法で表面処理されていることを特徴とするバイオチップの製造方法。
  2. 前記(2)工程の親水性高分子物質が、生体高分子である請求項1記載のバイオチップの製造方法。
  3. 前記生体高分子が、アルブミン、スキムミルク、カゼインおよび免疫グロブリンを含む群より選択される1種以上の親水性高分子物質である請求項2記載のバイオチップの製造方法。
  4. 請求項1記載の被覆する温度が42℃以下である請求項1乃至3いずれか1項に記載のバイオチップの製造方法。
  5. 請求項1記載の蛋白質の点着が基体表面にスポット状に固定化されている請求項1乃至4いずれか1項に記載のバイオチップの製造方法。
  6. 複数種の蛋白質のスポットが基体表面の同一区画中に存在している請求項5記載のバイオチップの製造方法。
  7. 前記(1)工程の固定化が化学結合または物理吸着により蛋白質が固定化されている請求項1乃至6いずれか1項に記載のバイオチップの製造方法。
  8. 前記ポリマーがホスホリルコリン基を有する単量体とブチルメタクリレート基を有する単量体と蛋白質を固定化する官能基を有する単量体との共重合体である請求項1乃至いずれか1項に記載のバイオチップの製造方法。
  9. 前記ホスホリルコリン基が2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン基である請求項に記載のバイオチップの製造方法。
  10. 前記の蛋白質を固定化する官能基が活性エステル基である請求項記載のバイオチップの製造方法。
  11. 前記活性エステル基がp−ニトロフェニルエステルである請求項10記載のバイオチップの製造方法。
  12. 基体の形状がスライドガラス状である請求項1乃至11いずれか1項に記載のバイオチップの製造方法。
  13. 基体の材質がプラスチックである請求項1乃至12いずれか1項に記載のバイオチップの製造方法。
  14. プラスチックがポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、飽和環状ポリオレフィン、ポリペンテン、ポリアミド及びそれらの共重合体よりなる群より少なくとも1種である請求項13記載のバイオチップの製造方法。
  15. 前記蛋白質が、抗体である請求項1乃至14いずれか1項に記載のバイオチップの製造方法。
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