JP6065997B1 - 溶融亜鉛めっき用無煙フラックス及びそのフラックスを用いた溶融亜鉛めっき方法 - Google Patents

溶融亜鉛めっき用無煙フラックス及びそのフラックスを用いた溶融亜鉛めっき方法 Download PDF

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【課題】塩化アンモニウムやフッ化物を使用せず、溶接部や複雑な構造物の内面角部でも、塩化アンモニウムを用いた従来の溶融亜鉛めっき用のフラックスと同等のめっき品質が得られる上に、溶融亜鉛めっき浴に浸漬した際に煙が発生しない、あるいは煙の発生量を無視できる程度に少なくできる新規な溶融亜鉛めっき用無煙フラックス及びそのフラックスを用いた溶融亜鉛めっき方法を提供する。【解決手段】塩化亜鉛と塩化ナトリウム及び尿素を主成分とし、塩化亜鉛と塩化ナトリウムの和に対する塩化亜鉛のmol比が0.40〜0.90の範囲であり、尿素が1〜18mol%の範囲であるフラックス組成とする。【選択図】 図1

Description

本発明は、溶融亜鉛めっき浴にフラックス処理した鋼材を浸漬した際にほとんど煙が出ない溶融亜鉛めっき用無煙フラックス及びそのフラックスを用いた溶融亜鉛めっき方法に関するものである。
鋼構造物の溶融亜鉛めっき工程におけるフラックス処理は、鋼表面の油脂類及びスケールを除去する前処理工程と、溶融亜鉛めっき工程間の錆の発生を防ぐ一次防錆のためと、溶融亜鉛めっき浴中で鋼と亜鉛の合金反応を活性化させるために行なわれる。従来から、溶融亜鉛めっき処理に用いるフラックスは、塩化亜鉛(ZnCl2)と塩化アンモニウム(NH4Cl)を主成分とするものが一般的であり、特に塩化亜鉛と塩化アンモニウムのモル比が1:3のもの(3号フラックス)が多用されている。塩化アンモニウムは、鋼材表面の錆発生を防ぎ、欠陥なく高品質にめっきができるようにするフラックス本来の優れた作用を発揮するが、めっき時に多量の白煙が発生するという問題がある。ここで、めっき時の白煙は、主に塩化アンモニウムが昇華、或いは分解揮発することによって生じるものである。従来から、無煙フラックスと称する市販品は存在するが、フラックス元来の役割を果たさなくてはならないため、少なくとも塩化アンモニウムが配合されており、完全な無煙化はできていない。
近年は、環境保全が重要視され、製品自体の環境への配慮にとどまらず、製品を作るプロセスも、環境に配慮した地球や人に優しいものにすることが望まれている。従来の溶融亜鉛めっきプロセスは、めっき工程で多くの有害な白煙を生じ、その白煙は作業者への悪影響や作業視認性の低下、工場を汚染する等の悪影響をもたらすばかりでなく、白煙吸引装置の設置、稼動コストも嵩むので、フラックスの無煙化が望まれていた。
そこで、特許文献1には塩化アンモニウムを使わない無煙フラックスとしてZnCl2を55〜86重量%、NaFを5〜38重量%、NaCl、KClの何れか1種類以上を合計で0〜35重量%とからなる代替フラックスが提案された。この代替フラックスは、先ず実績のあるZnCl2を主成分とし、融点を下げ流動性を向上させるためにNaCl又はKClを配合し、加えて化学的洗浄力が要求されるためNH4Cl自体やNH4Clから発生する塩化水素の役割を、フッ化物、特にNaFで代替するという発想で考案された。
しかし、一方で溶融亜鉛めっき業界には強い侵食性や毒性を持つフッ化物に対する根強い抵抗感がある。そこで、特許文献2には、フッ化物を使用せず、ZnCl2とKClを主成分とし、KClを40〜62mol%、好ましくは55〜62mol%、残余をZnCl2とした溶融亜鉛めっき用無煙フラックスが提案された。更に、前記フラックス水溶液に、アルキルスルホン酸ナトリウム系中性洗剤等の中性界面活性剤を添加する点が好ましいとされている。
ところが、特許文献2に記載のフラックスを用いた場合、溶融亜鉛めっき浴に鋼材を浸漬した時に煙の発生が少なく、鋼材の通常部には問題なくめっき皮膜を形成することができ、単純構造物の鋼材には適用できることが確認できるものの、溶接構造物の溶接部に不めっきが発生し、また複雑な構造物では内面角部に多量のフラックス残さの付着することが分かった。ここでは、このフラックス残さをカスと称する。
特開2012−041577号公報 特開2014−201789号公報
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、塩化アンモニウムやフッ化物を使用せず、溶接部や複雑な構造物の内面角部でも、塩化アンモニウムを用いた従来の溶融亜鉛めっき用のフラックスと同等のめっき品質が得られる上に、溶融亜鉛めっき浴に浸漬した際に煙が発生しない、あるいは煙の発生量を無視できる程度に少なくできる新規な溶融亜鉛めっき用無煙フラックス及びそのフラックスを用いた溶融亜鉛めっき方法を提供する点にある。
本発明は、前述の課題解決のために、塩化亜鉛と塩化ナトリウム及び尿素とからなり、塩化亜鉛と塩化ナトリウムの和に対する塩化亜鉛のmol比が0.40〜0.90の範囲であり、塩化亜鉛と塩化ナトリウム及び尿素の合計を100mol%として、尿素が1〜18mol%の範囲であることを特徴とする溶融亜鉛めっき用無煙フラックスを構成した(請求項1)。
表1及び図7に示したように、試験番号1〜4の従来フラックス等に比較し、発煙量の関係から、塩化亜鉛と塩化ナトリウムの和に対する塩化亜鉛のmol比が0.40〜0.80の範囲であることが好ましい(請求項2)。
更に、表1及び図8に示したように、めっきされる構造物内面のカス付着性も考慮すると、尿素が1〜16mol%の範囲であることがより好ましい(請求項3)。
更に、尿素が1〜8mol%の範囲であることが、カス付着が全くなく最も好ましい(請求項4)。
そして、通常よく用いられる全体濃度で調合した前述の溶融亜鉛めっき用無煙フラックスにて処理した鋼材を、一般鋼材及び大型鋼材の場合には430〜460℃に設定した溶融亜鉛めっき浴に、ボルト、ナットをはじめ小型鋼材の場合には480〜550℃に設定した溶融亜鉛めっき浴に、所定時間浸漬して溶融亜鉛めっきを施すことを特徴とする本発明にかかる無煙フラックスを用いた溶融亜鉛めっき方法を構成した(請求項5)。
以上にしてなる本発明の溶融亜鉛めっき用無煙フラックスによれば、塩化アンモニウムやフッ化物を使用せず、溶接部や複雑な構造物の内面角部でも、塩化アンモニウムを用いた従来の溶融亜鉛めっき用のフラックスと同等のめっき品質が得られる上に、溶融亜鉛めっき浴に浸漬した際にフラックス成分に起因する白煙が発生しない、あるいは白煙の発生量を無視できる程度に少なくでき、それによりめっき工場の作業環境が改善されるとともに、最小限の排煙設備で済み、あるいは排煙設備の稼動率を下げることができるので、コスト低減化に寄与する。
尿素を添加することにより、高温の溶融亜鉛めっき浴中で尿素の分解によってフラックスの燃えカスの浮き上がりが良くなり、またフラックス燃えカスの粘着性が低いために、めっき表面に付着し難いということが分かった。すなわち、塩化アンモニウムを用いないで構造物内面のカス付着性が改善される。
NaClとZnCl2の2成分状態図である。 各種フラックスによる煙発生の状況を示す図面代用写真である。 発煙量測定装置の概念図である。 発煙量測定装置の受光素子での出力例を示し、測定時間に対する測定電圧のグラフである。 本発明の無煙フラックスと従来のフラックスの発煙量の測定結果を示すグラフである。 フラックスの尿素添加量による発煙量の変化を示すグラフである。 フラックスの[ZnCl2/(ZnCl2+NaCl)]比を変えた時の発煙量の変化を示すグラフである。 [ZnCl2/(ZnCl2+NaCl)]=0.5と一定とし、尿素量を変えた時の発煙量の変化を示すグラフである。
本発明の溶融亜鉛めっき用無煙フラックスは、白煙発生の原因である塩化アンモニウムや健康阻害が危惧されるフッ化物を使用せず、従来の塩化アンモニウムを使用したフラックスと同等のめっき品質を得ることができるとともに、同時に無煙性若しくは微煙性を有するものである。即ち、本発明の溶融亜鉛めっき用無煙フラックスは、塩化亜鉛(ZnCl)と塩化ナトリウム(NaCl)及び尿素{(NHCO}とからなり、塩化亜鉛と塩化ナトリウムの和に対する塩化亜鉛のmol比(以下、単に「mol比」と表すこともある)が0.40〜0.90の範囲であり、塩化亜鉛と塩化ナトリウム及び尿素の合計を100mol%として、尿素が1〜18mol%の範囲である。
更には、塩化亜鉛と塩化ナトリウムの和に対する塩化亜鉛のmol比が0.40〜0.80の範囲であることがより好ましい実施形態である。そして、塩化亜鉛と塩化ナトリウム及び尿素の合計を100mol%として、尿素が1〜16mol%の範囲であることがより好ましく、尿素が1〜8mol%の範囲であることが最も好ましい実施形態である。尚、本発明において「無煙」とは、文字通り全く白煙が発生しない状態は勿論、若干の白煙が発生する状態をも含む概念であり、従来の塩化アンモニウムを用いたフラックスと比較して無視できる程度の発煙量の状態を言う。
本発明の無煙フラックスにおいて、塩化亜鉛を使用する理由は、塩化亜鉛が溶融亜鉛めっき用のフラックスとして既にいくつかの要求項目を満たしている点と、塩化亜鉛は溶融亜鉛めっきの技術が開発された初期に、それ単体でフラックスとして用いられていた物質であるという点にある。しかし、塩化亜鉛単体では、強い粘性や、潮解性があり、めっき品質が悪くなるので、アルカリ塩を添加して塩化亜鉛の粘性を低減する。低粘性はフラックスとして好ましい。安価なアルカリ塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム(KCl)が挙げられる。両者とも塩化亜鉛に添加して2成分とすることで、融点が低下する。塩化ナトリウムと塩化亜鉛の2成分状態図を図1示す。状態図からわかるように、塩化ナトリウムと塩化亜鉛は複塩を形成するので、塩化亜鉛由来の潮解性も低減されることも期待でき、本発明の組成範囲で、400℃以下の好ましい低融点フラックスが得られる。
そして、本発明の無煙フラックスには、高温の溶融亜鉛めっき浴中で分解し、フラックスの燃えカスの浮き上がりを良くし、フラックスの燃えカスがめっき表面に付着し難いようにするために尿素を添加している。尿素は、下記の化学式(1)、化学式(2)によって、アンモニア(NH3)と二酸化炭素(CO2)を発生する。
NH2CONH2 → HNCO+NH3 (1)
HNCO+H2O → CO2+NH3 (2)
化学式(1)は尿素の熱分解反応を表し、化学式(2)は尿素の分解により生じたイソシアン酸の加水分解反応を表している。ここで、鋼材をフラックス処理して乾燥した後には、水分は殆ど無く、また水分が残っていたとしても、溶融亜鉛めっき浴中に鋼材を浸漬した直後に水分は蒸発するので、化学式(1)の熱分解反応が支配的となり、化学式(2)の加水分解反応は大きくはない。(1)、(2)式で発生したガスがフラックスの燃えカスをめっき表面から追い出す働きをすると考えられる。
前述のように、本発明では尿素を用いるが、塩化カリウムは尿素と相性が悪く、粘度が上昇して流動性が低下するので、塩化ナトリウムを採用する。
以下に、本発明の溶融亜鉛めっき用無煙フラックスを更に詳細に説明する。本発明の無煙フラックスは、塩化亜鉛と塩化ナトリウムを水に溶解し、65〜75℃に加熱した後、尿素を添加し、攪拌溶解後、水を追加して所定濃度の水溶液として使用する。酸洗、水洗した後の鋼材をフラックス処理する場合、通常は鋼材をフラックス水溶液に浸漬して行うが、塗布法や噴霧法で処理しても良い。
そして、フラックス処理後には、乾燥させて水分を除去した後、溶融亜鉛めっき浴に浸漬する。溶融亜鉛めっき浴の組成は、本発明では限定されないが、蒸留亜鉛若しくはPbとCdを100ppm(0.01重量%)以下とした電気亜鉛等に、流動性を高めるために少量のBi等を添加した環境対応のPbフリー溶融亜鉛めっき浴を用いる。
亜鉛の融点は419℃であるので、通常、溶融亜鉛めっき浴の温度は420℃より高い温度に設定される。ボルト等の小物類では皮膜の厚さを抑制するため、めっき温度を比較的高く設定してめっき浴の流動性を高めているが、あまり高くなり過ぎると鋼材の特性に悪影響を及ぼすとともに、エネルギー効率が悪く経済的でないので、通常めっき温度の上限は550℃程度である。例えば、溶融亜鉛めっき浴の温度は、通常の鋼材の場合は430〜460℃に設定し、大型鋼材の場合は450〜460℃に設定し、ボルト、ナット等の小型鋼材の場合は480〜530℃に設定する。
図3に、JIS A1306「減光法による煙濃度の測定方法」に準拠する発煙量測定装置の概念図を示す。発煙量測定装置は、上方が開放された電気炉1の底部にヒーターを備えたルツボ2を設置し、当該ルツボ2の内部には溶融亜鉛を入れており、その上に乾燥させたフラックス3を入れる。ルツボ2内で加熱されたフラックスから白煙が発生すると、前記電気炉1内を上昇するようにしている。前記電気炉1の上部には、筒状容器の対向する位置に一対のスリット4,5を設け、一方のスリット4の外側に波長940nmの発光素子6を4個平行に並べて配置し、他方のスリット5の外側に波長800nmに高感度を持つフォトトランジスタからなる受光素子7を同じく4個平行に並べて配置し、前記発光素子6から放射した光を、前記電気炉1の上部に置いた筒状容器内を通過させて前記受光素子7で検出する。この際に、前記電気炉1内から白煙が発生すると、煙の粒子により光がレイリー散乱若しくは吸収されて透過光量が低下し、前記受光素子7の検出電圧の低下として現れる。煙の量が多くなると、受光素子7の電圧低下は大きくなる。この受光素子7のアナログ出力を検出器8で記録し、それをデータロガー9に保存し、パソコン10でデータ処理する。これらの測定は、発光素子6以外の光が影響されないように暗室で行う。図4に発煙量測定装置による測定例を示している。発煙量は、発煙時間と基準電圧からのズレ(降下電圧)の積で表す。
図5に、本発明の無煙フラックスと従来のフラックスの発煙量測定装置による測定結果を示している。本発明の無煙フラックス(試験番号9)は、塩化亜鉛と塩化ナトリウムの和に対する塩化亜鉛のmol比を0.5とし、尿素を10mol%添加したものである。従来のフラックス(試験番号2:フラックス3号)は、塩化亜鉛と塩化アンモニウムを1:3 mol比で調製したものである。そして、比較のために用いたKClフラックス(試験番号4)は、塩化亜鉛を44mol%、KClを56mol%で調製したものである。それぞれの乾燥フラックスを0.2g用いた。従来のフラックス(試験番号2)は、発煙量が加熱数秒後から急激に増加し、7〜8秒でピークになった後、20秒くらいまで指数関数的に減少した。それに対して、本発明のフラックス(試験番号9)は、最初から20秒を経過するまで零か極僅かの発煙量であった。一方、比較のKClフラックス(試験番号4)は、従来のフラックス(試験番号2)と比べて発煙量は少ないが、本発明のフラックス(試験番号9)より遥かに発煙量は多かった。
次に、複数種類の組成の異なる本発明の無煙フラックスと、従来フラックスとを用いて、実際のめっき工場で試験した結果を表1に示す。試験片は、鋼管(直径20mm、長さ60mm、厚さ1.0mm)である。
次の表1において、試験番号2は従来フラックス3号、試験番号3は塩化亜鉛単体、試験番号4は特許文献2の実施例3に相当するKClフラックスである。試験番号5〜18は、塩化亜鉛、塩化ナトリウム、尿素の配合を変化させたフラックスである。カス付着度の評価基準は表2に示している。表1中の総合評価において、「○」は良好、「△」はやや劣る、「×」は劣る、を示している。
各フラックスについて、発煙具合を目視で観察し、まためっき品質を鋼管の外面と内面のカス付着具合を観察して評価した。その結果、本発明のフラックスは全般的に発煙が無いか、若しくは非常に少なく良好であり、まためっき品質についても課題となっていた内面でのカス付着も無いか、若しくは少なかった。ここで、塩化亜鉛と塩化ナトリウムの和に対する塩化亜鉛のmol比が0.4の試験番号5と7は、尿素が1mol%、8mol%と異なっていても鋼管の内面でのカス付着が有るので、このmol比は0.4より大きいこと、おおよそ0.5以上であることがより好ましいことが分かった。一方、塩化ナトリウムの効果を有意に発揮させるには、このmol比の上限は0.80くらいが適当であると考える。総合的には、試験番号8、9、10、11が良かった。
本発明の範囲外である尿素が0mol%と0.5mol%の試験番号12、13は、何れも鋼管の内面にカス付着があり、めっき品質に劣るものであった。それに対して、試験番号14、15、16及び試験番号8、9は、発煙量も少なく、めっき品質も鋼管の内外面とも良好であった。一方、塩化亜鉛のmol比が上限の0.9で、尿素が下限の1mol%の組成の試験番号17は、発煙量は少量であるが、内面のカス付着がやや多く、総合評価ではやや劣るという結果であった。また、塩化亜鉛のmol比が0.5で、尿素が上限の18mol%の組成の試験番号18も、発煙量は少量であるが、内面のカス付着がやや多く、総合評価ではやや劣るという結果であった。これらの結果より、本発明における尿素の下限は1mol%であり、それより少ないとめっき品質が悪くなり、上限は18mol%程度であり、それよりも多いとめっき品質が低下するとともに、発煙が若干増える傾向にある。好ましくは尿素が1〜16mol%の範囲、更に好ましくは尿素が1〜8mol%の範囲である。
最後に、M16のナットとM12のボルトを試験体とし、本発明の無煙フラックス処理の後、溶融亜鉛めっき処理を行なった結果を簡単に説明する。使用したフラックスは、塩化亜鉛と塩化ナトリウムの和に対する塩化亜鉛のmol比を0.5とし、尿素を約1.5mol%添加したものである。また、溶融亜鉛めっき浴は、蒸留亜鉛にアルミニウムを0.02重量%添加したものを用いた。これらのボルト、ナット約2kgを酸洗、水洗後にフラックス処理して乾燥後、めっき浴温度を520℃として溶融亜鉛めっき処理を施し、水冷若しくは遠心分離、後フラックス、水冷した。めっき処理中の発煙量を目視で観察したが、発煙量は少量であった。また、めっき品質は、遠心分離の有無に係わらず、製品としても問題がない程度であった。
1 電気炉、
2 耐熱ルツボ、
3 フラックス、
4 スリット、
5 スリット、
6 発光素子、
7 受光素子、
8 検出器(電気信号計測器)、
9 データロガー、
10 パソコン。

Claims (5)

  1. 塩化亜鉛と塩化ナトリウム及び尿素とからなり、塩化亜鉛と塩化ナトリウムの和に対する塩化亜鉛のmol比が0.40〜0.90の範囲であり、塩化亜鉛と塩化ナトリウム及び尿素の合計を100mol%として、尿素が1〜18mol%の範囲であることを特徴とする溶融亜鉛めっき用無煙フラックス。
  2. 塩化亜鉛と塩化ナトリウムの和に対する塩化亜鉛のmol比が0.40〜0.80の範囲である請求項1記載の溶融亜鉛めっき用無煙フラックス。
  3. 尿素が1〜16mol%の範囲である請求項1又は2記載の溶融亜鉛めっき用無煙フラックス。
  4. 尿素が1〜8mol%の範囲である請求項1又は2記載の溶融亜鉛めっき用無煙フラックス。
  5. 前記請求項1〜4何れか1項に記載の溶融亜鉛めっき用無煙フラックスにて処理した鋼材を、一般鋼材の場合には430〜460℃に設定した溶融亜鉛めっき浴に、ボルト、ナットをはじめ小型鋼材の場合には480〜550℃に設定した溶融亜鉛めっき浴に、所定時間浸漬して溶融亜鉛めっきを施すことを特徴とする無煙フラックスを用いた溶融亜鉛めっき方法。
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