JP6064631B2 - 体積型ホログラム記録用感光性組成物、体積型ホログラム記録体、及び体積型ホログラム記録体の製造方法 - Google Patents

体積型ホログラム記録用感光性組成物、体積型ホログラム記録体、及び体積型ホログラム記録体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6064631B2
JP6064631B2 JP2013019429A JP2013019429A JP6064631B2 JP 6064631 B2 JP6064631 B2 JP 6064631B2 JP 2013019429 A JP2013019429 A JP 2013019429A JP 2013019429 A JP2013019429 A JP 2013019429A JP 6064631 B2 JP6064631 B2 JP 6064631B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hologram recording
volume
hologram
volume hologram
cyanine dye
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013019429A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014149495A (ja
Inventor
夏織 中津川
夏織 中津川
牧夫 倉重
牧夫 倉重
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2013019429A priority Critical patent/JP6064631B2/ja
Publication of JP2014149495A publication Critical patent/JP2014149495A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6064631B2 publication Critical patent/JP6064631B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Holo Graphy (AREA)
  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)
  • Optical Head (AREA)

Description

本発明は、体積型ホログラム記録用感光性組成物、体積型ホログラム記録体、及び体積型ホログラム記録体の製造方法に関する。
体積型ホログラム記録体は、近年、光学素子としての応用が期待され、実用化され始めている。例えば特許文献1では、ホログラム記録体を用いることにより、コヒーレント光源を用いた場合であってもスペックル(speckle)の発生を効率的かつ十分に抑制された投射型映像表示装置が開示されている。ここでスペックルとは、レーザー光などのコヒーレント光を拡散面に照射したときに現れる斑点状の模様であり、スクリーン上に発生すると斑点状の輝度ムラとして観察され、観察者に対して生理的な悪影響を及ぼす要因となるものである。特許文献1の技術によれば、散乱板を振動させたり回転させたりする従来の技術と比較して、装置を小型化でき、省電力で、且つ、効率的にスペックルの発生を抑えることができる。
このような体積型ホログラム記録体を用いた素子に光を照射すると、当該素子が発熱することがあった。特に、高出力のレーザー光を照射した場合、長時間使用した場合等では、当該素子の発熱により、素子が変質したり、記録されたホログラム縞が歪んで、再生波長での回折効率が低下するという問題が顕在化してきた。
このように光学素子用途に用いられる体積型ホログラム記録体は、従来よりも高い耐熱性や耐光性が要求される。特に、高出力のレーザー光を照射した場合や、長時間使用した場合において、ホログラム記録が安定して保持されていることが求められる。
特許文献2には、特定の樹脂と、特定の重合性モノマーと、露光されると特定のラジカル種と特定の酸とを発生する1種又は2種以上の光開始剤と、当該光開始剤を増感しかつアミノ基を有する増感色素と、前記特定の酸の作用によりスルホン酸誘導体を発生して、前記増感色素を退色若しくは消色させる化合物を主成分とする透明ホログラム用感光性記録材料が開示されている。当該透明ホログラム用感光性記録材料によれば、高感度で、耐候性及び保存安定性に優れ、且つ解像度、回折効率、透明性が良好となるとされている。
しかしながら、特許文献2の透明ホログラム用感光性記録材料は、ホログラム記録露光時に酸を発生させ、当該酸の作用により発生させたスルホン酸誘導体を用いて増感色素を退色若しくは消色されているものであるため、ホログラム記録中にも増感色素が退色し易く、反応系の感度が下がり、重合が加速されない結果、回折効率が低下するという問題があった。
特許第4688980号公報 特開平8−305262号公報
本発明は、このような状況下においてなされたものであり、透過率が高く、高出力レーザー光に対してもホログラムが劣化しにくい耐光性を有するホログラム記録体を、ホログラム記録能を低下させることなく得ることが可能な体積型ホログラム記録用感光性組成物、透過率が高く耐光性に優れた体積型ホログラム記録体、及び、透過率が高く耐光性に優れた体積型ホログラム記録体が得られる体積型ホログラム記録体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定のシアニン色素と、特定の塩基発生剤とを組み合わせて用いることにより、ホログラム記録能を低下させることなく、透過率が高く、耐光性に優れたホログラム記録体が得られるとの知見を得た。
本発明は、係る知見に基づいて完成したものである。
本発明に係る体積型ホログラム記録用感光性組成物は、ホログラム記録波長に吸収を持ち、励起して光重合開始剤にエネルギーを渡し得る増感色素であるシアニン系色素と、光重合開始剤と、少なくともラジカル重合性化合物を含む光重合性化合物と、ホログラム記録波長光照射に不活性であり熱により塩基を発生する塩基発生剤とを含有することを特徴とする。
本発明に係る体積型ホログラム記録体は、シアニン系色素の共役電子系の一部が切断され、塩基発生剤の分解物が結合している反応結果物と、少なくともラジカル重合性化合物を含む光重合性化合物の重合物とを含み、ホログラムが記録されたホログラム層を、基材上に備えたことを特徴とする。
本発明に係る体積型ホログラム記録体の製造方法は、ホログラム記録波長に吸収を持ち、励起して光重合開始剤にエネルギーを渡し得る増感色素であるシアニン系色素と、光重合開始剤と、少なくともラジカル重合性化合物を含む光重合性化合物と、ホログラム記録波長光照射に不活性であり熱により塩基を発生する塩基発生剤とを含有する、ホログラムを記録するためのホログラム記録層を基材上に備えた、体積型ホログラム記録用感光性基板を準備する工程と、
前記ホログラム記録層に、少なくとも、ホログラム記録波長光を照射することにより、体積型ホログラムを記録するホログラム記録工程と、
前記ホログラム記録工程後に、前記ホログラム記録層を加熱することにより、前記シアニン系色素の電子共役系の一部を切断する消色工程とを有する、
シアニン系色素の共役電子系の一部が切断され、塩基発生剤の分解物が結合している反応結果物と、少なくともラジカル重合性化合物を含む光重合性化合物の重合物とを含み、ホログラムが記録されたホログラム層を、基材上に備えたことを特徴とする。
本発明によれば、透過率が高く、高出力レーザー光に対してもホログラムが劣化しにくい耐光性を有するホログラム記録体を、ホログラム記録能を低下させることなく得ることが可能な、体積型ホログラム記録用感光性組成物、透過率が高く耐光性に優れた体積型ホログラム記録体、及び、透過率が高く耐光性に優れた体積型ホログラム記録体が得られる体積型ホログラム記録体の製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の体積型ホログラム記録体の一例を示す概略図である。 図2は、本発明の体積ホログラム積層体の製造方法について、その一例を示す概略図である。
次に、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
以下、本実施形態に係る体積型ホログラム記録用感光性組成物、体積型ホログラム記録体、及び、体積型ホログラム記録体の製造方法について、順に説明する。
なお、本実施形態において光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波、さらには放射線が含まれ、放射線には、例えばマイクロ波、電子線が含まれる。具体的には、波長5μm以下の電磁波、及び電子線のことをいう。
[体積型ホログラム記録用感光性組成物]
本実施形態に係る体積型ホログラム記録用感光性組成物は、ホログラム記録波長に吸収を持ち、励起して光重合開始剤にエネルギーを渡し得る増感色素であるシアニン系色素と、光重合開始剤と、光重合性化合物と、ホログラム記録波長光照射に不活性であり熱により塩基を発生する塩基発生剤とを含有することを特徴とする。
本実施形態の体積型ホログラム記録用感光性組成物を用いることにより、透過率が高く、高出力レーザー光に対しても記録されたホログラムが劣化しにくい体積型ホログラム記録体を、ホログラム記録能を低下させることなく得ることができる。
上記特定の組み合わせにより、上記のような効果を発揮する作用としては、未解明の部分もあるが、以下のように推測される。
従来の体積型ホログラム記録用感光性組成物を用いると、ホログラム記録後に、ホログラム層中に増感色素が残留するため、ホログラムの再生時等に照射される光を吸収し、ホログラム層中の成分が副反応を起こしたり、発熱することがあった。その熱の影響でホログラム記録体が変質したり、記録したホログラム縞が歪んで再生波長での回折効率が低下するという問題が発生した。このような劣化の問題は、高出力レーザーが用いられる用途において大きな問題となってきた。
増感色素を退色させる方法として、特許文献2の技術では、上述のようにホログラム記録中にも増感色素が退色し易く、反応系の感度が下がり、重合が加速されないという問題があった。
このような問題を解決する方法として、消色しやすいシアニン系色素を用いることを検討した。シアニン系色素は、残存光重合開始剤や不純物等でも消色反応を開始し得るので、塩基を用いなくても消色し得るが、所望の透過率に至るまで消色するにはホログラム記録後に例えば3〜4日等の長時間の光照射が必要である。それ故、シアニン系色素を消色させるために照射される長時間の光照射により、ホログラム中の色素以外の材料も劣化するという問題があった。
これらの問題に対して、本実施形態の体積型ホログラム記録用感光性組成物は、増感色素として塩基により消色しやすいシアニン系色素を用い、更に、ホログラム記録波長光に対して不活性であり熱により塩基を発生する塩基発生剤とを組み合わせている。このような体積型ホログラム記録用感光性組成物を用いることにより、ホログラム記録時にはシアニン系色素が増感色素として作用する一方、塩基の発生は抑制されているため、ホログラム記録感度を低下することなくホログラムを記録することができる。更にホログラム記録後に、加熱することによって、塩基発生剤から塩基が発生するため、短時間の加熱でシアニン系色素を消色することができる。また系中を塩基性にすることにより消色した色素の色戻り(逆反応)を阻止できる。このため、ホログラム層中の色素以外の材料の劣化を抑制しながら、ホログラム記録体の透過率を上げることができる。得られたホログラム記録体は、高出力レーザー等の照射光を吸収し難くなるため、発熱によるホログラム記録体中の各成分や部材の劣化を抑制することができる。
本実施形態の体積型ホログラム記録用感光性組成物は、少なくとも、上記シアニン系色素と、光重合開始剤と、光重合性化合物と、上記塩基発生剤とを含有するものであり、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて更に他の成分を含有してもよいものである。
以下、このような体積型ホログラム記録用感光性組成物の各成分について、順に説明する。
<シアニン系色素>
本実施形態において用いられるシアニン系色素は、ホログラム記録波長に吸収を持ち、励起して後述する光重合開始剤にエネルギーを渡し得る増感色素として作用するシアニン系色素である。
本実施形態においてシアニン系色素とは、2つ以上の窒素原子がポリメチン鎖によって繋がれている構造を有する色素をいう。シアニン系色素は、ポリメチン鎖を有することから骨格に共役電子系を有する。典型的なシアニン系色素としては、例えば、2個の含窒素複素環を奇数個のメチン基(−CH=)で結合し、一方の窒素原子は3級アミン、他方のアミンは4級アンモニウム構造を有し、下記化学式(1)で表わされる共役電子系を有する基本骨格をもつ色素が挙げられる。
(化学式(1)中、nは0又は正の整数である。)
シアニン系色素は、塩基存在下で、例えば下記スキーム(1)のように反応し、窒素原子間の電子共役系の一部が切断されて消色する。
(ここで、:Nuは、塩基を示す。)
ホログラム記録波長とは、ホログラム記録時に用いられる光の波長をいい、用途等に応じて適宜調整されるものである。本実施形態のシアニン系色素は、当該ホログラム記録波長を吸収し、励起するものであればよく、具体的には、波長200〜2000nmの光を吸収して励起するものであることが好ましく、300〜700nmの光を吸収して励起するものであることがより好ましく、400〜700nmの可視光を吸収して励起するものであることが更により好ましい。
シアニン系色素が有する含窒素複素環は特に限定されない。具体例としては、例えば、キノリン、チアゾール、ピリジン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール等が挙げられ、2つの含窒素複素環は同一であっても異なっていてもよい。
また、化学式(1)におけるnは、用途に応じて適宜選択すればよい。nが大きいほど、シアニン系色素の吸収極大波長が長波長側に移動する。中でもnが0〜3であることが好ましい。
シアニン系色素の具体例としては、アンヒドロ−3,3’−ジカルボキシメチル−9−エチル−2,2’チアカルボシアニンベタイン、アンヒドロ−3−カルボキシメチル−3’,9’−ジエチル−2,2’チアカルボシアニンベタイン、3,3’,9−トリエチル−2,2’−チアカルボシアニン・ヨウ素塩、3,9−ジエチル−3’−カルボキシメチル−2,2’−チアカルボシアニン・ヨウ素塩、3,3’,9−トリエチル−2,2’−(4,5,4’,5’−ジベンゾ)チアカルボシアニン・ヨウ素塩、2−〔3−(3−エチル−2−ベンゾチアゾリデン)−1−プロペニル〕−6−〔2−(3−エチル−2−ベンゾチアゾリデン)エチリデンイミノ〕−3−エチル−1,3,5−チアジアゾリウム・ヨウ素塩、2−〔〔3−アリル−4−オキソ−5−(3−n−プロピル−5,6−ジメチル−2−ヘンゾチアゾリリデン)−エチリデン−2−チアゾリニリデン〕メチル〕3−エチル−4,5−ジフェニルチアゾリニウム・ヨウ素塩、1,1’,3,3,3’,3’−ヘキサメチル−2,2’−インドトリカルボシアニン・ヨウ素塩、3,3’−ジエチル−2,2’−チアトリカルボシアニン・過塩素酸塩、アンヒドロ−1−エチル−4−メトキシ−3’−カルボキシメチル−5’−クロロ−2,2’−キノチアシアニンベタイン、アンヒドロ−5,5’−ジフェニル−9−エチル−3,3’−ジスルホプロピルオキサカルボシアニンヒドロキシド・トリエチルアミン塩等が挙げられる。
<光重合開始剤>
本実施形態において光重合開始剤は、後述する光重合性化合物の種類に応じて、従来公知のラジカル重合開始剤及びカチオン重合開始剤の中から適宜選択して使用することができる。
(光ラジカル重合開始剤)
光ラジカル重合開始剤としては、体積型ホログラムを記録する際に、露光によって活性ラジカルを生成し、該活性ラジカルがラジカル重合性化合物を重合させることができるものであれば特に限定されるものではない。
光ラジカル重合開始剤としては、イミダゾール誘導体、ビスイミダゾール誘導体、N−アリールグリシン誘導体、有機アジド化合物、チタノセン類、アルミナート錯体、有機過酸化物、N−アルコキシピリジニウム塩、チオキサントン誘導体等が挙げられ、更に具体的には、1,3−ジ(tert−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラキス(tert−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3−フェニル−5−イソオキサゾロン、2−メルカプトベンズイミダゾール、ビス(2,4,5−トリフェニル)イミダゾール、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名イルガキュア651、BASF製)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名イルガキュア184、BASF製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン(商品名イルガキュア369、BASF製)、ビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム)(商品名イルガキュア784、BASF製)、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(光カチオン重合開始剤)
光ラジカル重合開始剤及び光カチオン重合開始剤が組み合わせて用いられる場合、本実施形態に用いられる光カチオン重合開始剤としては、ラジカル重合性化合物を重合させる露光に対しては低感光性で、当該露光と異なる波長の光を照射する後露光に感光してブレンステッド酸あるいはルイス酸を発生し、カチオン重合性化合物を重合させるような開始剤であれば特に限定されるものではない。光ラジカル重合開始剤としても、光カチオン重合開始剤としても機能するものも好適に用いられる。なかでも好適な光カチオン重合開始剤としては、例えばジアリールヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類、鉄アレン錯体類等が挙げられる。
また、本実施形態に用いられる光カチオン重合開始剤が発生する酸は、ホログラム記録時に増感色素を消色させないように、通常酸性度が比較的低いものである。目安として光カチオン重合開始剤が発生する酸のpKaは、5〜10である。
<光重合性化合物>
光重合性化合物としては、ラジカル重合性化合物及びカチオン重合性化合物の少なくとも1種が好適に用いられ、対応する光ラジカル重合開始剤及び光カチオン重合開始剤の少なくとも1種が組み合わせて用いられる。ラジカル重合性化合物及びカチオン重合性化合物を組み合わせて用いる場合、ホログラム記録層に体積型ホログラムを記録する方法としては、上記ラジカル重合開始剤系が感光するレーザー光又はコヒーレンス性に優れた光の照射によって、ラジカル重合性化合物を重合させた後、カチオン重合開始剤系が感光する上記レーザー光とは別の波長の光を照射する方法が用いられる。
(ラジカル重合性化合物)
上記ラジカル重合性化合物としては、分子中に少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有するものが好適に用いられる。また、ラジカル重合性化合物及びカチオン重合性化合物を組み合わせて用いる場合には、ラジカル重合性化合物の平均屈折率は、後述のカチオン重合性化合物の平均屈折率より大きいことが好ましく、0.02以上大きいことがより好ましい。
ラジカル重合性化合物の具体例としては、例えば、アクリルアミド、2−ブロモスチレン、2−フェノキシエチルアクリレート、2,3−ナフタレンジカルボン酸(アクリロキシエチル)モノエステル、2,4,6−トリブロモフェニルアクリレート、N−ビニルカルバゾール、2−(9−カルバゾリル)エチルアクリレート、トリフェニルメチルチオアクリレート、S−(1−ナフチルメチル)チオアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、メチレンビスアクリルアミド、ジフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジフェン酸(2−アクリロキシエチル)(3−アクリロキシプロピル−2−ヒドロキシ)ジエステル、2,3−ナフタリンジカルボン酸(2−アクリロキシエチル)(3−アクリロキシプロピル−2−ヒドロキシ)ジエステル、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ビス(4−アクリロキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)スルホン、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート及び上記におけるアクリレートをメタクリレートに変えた化合物、更には特開平2−247205号公報や特開平2−261808号公報に記載されているような分子内に少なくともS原子を2個以上含む、エチレン性不飽和二重結合含有化合物が挙げられ、これらの1種以上を使用してよい。
(カチオン重合性化合物)
上記カチオン重合性化合物としては、ラジカル重合性化合物及びカチオン重合性化合物を組み合わせて用いる場合には、ラジカル重合性化合物の重合が比較的低粘度の組成物中で行われることが好ましいという点から、室温で液状のものが好適に用いられる。このようなカチオン重合性化合物の具体例としては、例えば、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、1,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシパーフルオロイソプロピル)シクロヘキサン、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、1,6−ジメチロールパーフルオロヘキサンジグリシジルエーテル、4,4'−ビス(2,3−エポキシプロポキシパーフルオロイソプロピル)ジフェニルエーテル、ビニル−2−クロロエチルエーテル、トリメチロールエタントリビニルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、及び、下記式(2)、下記式(3)で表される化合物等が挙げられ、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(化学式(2)及び化学式(3)中、nは1〜5の整数、mは3又は4であり、Rはエチル基又はヒドロキシメチル基を表す。)
<塩基発生剤>
本実施形態においては、塩基発生剤として、ホログラム記録波長光照射に不活性であり熱により塩基を発生する塩基発生剤が用いられる。
当該塩基発生剤は、ホログラム記録波長光照射に対して不活性であるため、ホログラム記録時においては実質的に塩基を発生せず、前記シアニン系色素を消色しない。一方、当該塩基発生剤は、ホログラム記録後に加熱することにより、塩基を発生するため、短時間でシアニン系色素の消色を実現する。その結果、得られる体積型ホログラム記録体は、高透過率で、且つ色素以外の材料の劣化が抑制されたホログラム層を備えたものとなる。
なお、塩基発生剤から塩基を発生させるための熱は、常温(25℃)よりも高温で熱が加えられれば良く、通常40℃以上であり、好ましくは60℃以上である。中でも、100〜180℃であることが好ましい。
本実施形態において、塩基発生剤は、重合性化合物の重合開始や重合促進のために用いられるものではなく、増感色素であるシアニン系色素を短時間で消色するために用いられるものである。
そのため、本実施形態において用いられる塩基発生剤は、ホログラム記録波長光照射に不活性であり、塩基性度の高い塩基が発生するものであることが好ましい。なお、本実施形態において、ホログラム記録波長光照射に不活性とは、ホログラム記録波長の光を照射しても実質的に塩基を発生しないことをいい、ホログラム記録波長の光を照射しても塩基を発生しないか、発生しても、シアニン系色素を消色しない程度にしか塩基を発生しないことをいう。不活性とは、ホログラム記録波長の光を1000mJ/cm照射した場合に、塩基発生剤から塩基が発生する割合が1モル%以下を目安とすることができる。
熱により塩基を発生する塩基発生剤としては、特に限定されず、加熱により脱炭酸して分解する有機酸と塩基の塩、分子内求核置換反応、ロッセン転位、ベックマン転位等の反応により分解してアミン類を放出する化合物や、加熱により何らかの反応を起こして塩基を放出する化合物が好ましく用いられる。
例えば、塩化モノアルキルトリメチルアンモニウム、塩化モノアルキルベンジルジメチルアンモニウム、ジアルキルエチルメチルアンモニウムエトサルフェート、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化アルキルジアンモニウムなどのアンモニウム塩;モノアルキルアミン類、ジアルキルアミン類、トリアルキルアミン類、芳香族アミン類、アルカノールアミン類などのアミン類;同一分子内に窒素原子を2個有するジアミノ化合物、窒素原子を3個以上有するジアミノ重合体、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等が挙げられ、好ましく用いられる。
その他にも、1−メチル−1−(4−ビフェニルイル)エチルカルバメート、1,1−ジメチル−2−シアノエチルカルバメート等のカルバメート誘導体、尿素やN,N−ジメチル−N’−メチル尿素等の尿素誘導体、1,4−ジヒドロニコチンアミド等のジヒドロピリジン誘導体、有機シランや有機ボランの四級化アンモニウム塩、ジシアンジアミド、トリクロロ酢酸グアニジン、トリクロロ酢酸メチルグアニジン、トリクロロ酢酸カリウム、フェニルスルホニル酢酸グアニジン、p−クロロフェニルスルホニル酢酸グアニジン、p−メタンスルホニルフェニルスルホニル酢酸グアニジン、フェニルプロピオール酸カリウム、フェニルプロピオール酸グアニジン、フェニルプロピオール酸セシウム、p−クロロフェニルプロピオール酸グアニジン、p−フェニレン−ビス−フェニルプロピオール酸グアニジン、N−(4−ジエチルアミノベンジリデンアミノ)グアニジン、フェニルスルホニル酢酸テトラメチルアンモニウム、フェニルプロピオール酸テトラメチルアンモニウム等が挙げられる。
特に、特開2011−084562号公報で示されるヒドロキシ桂皮酸アミド誘導体のような分子内環化反応を起こし塩基を発生させる化合物は、脱炭酸等のアウトガスを発生させないので耐久性が向上すると予想されさらに有用である。当該ヒドロキシ桂皮酸アミド誘導体の具体例としては、(E)−1−[3−(2−ヒドロキシフェニル)−2−プロペノイル)ピペリジン、(E)−1−[3−(2−ヒドロキシ−1−ナフタレニル)−2−プロペノイル)ピペリジン等が挙げられる。
本実施形態に用いられる塩基発生剤は、中でも発生する塩基のpKbが6以下であることが好ましく、更に4以下であることが好ましい。
このような場合には、より塩基性度の高い塩基を発生するため、より短時間の加熱処理でシアニン系色素を消色可能になり、ホログラム層を構成する各成分の劣化をより抑制することが可能になる。
なお、pKbは、例えば25℃でアセトニトリル中での値とすることができる。
また、本実施形態に用いられる塩基発生剤は、ホログラム記録波長光において不活性になり易い点から、可視光領域で感光し難いことが好ましく、例えば、塩基発生剤は、そのモル吸光係数が、電磁波の波長400nmにおいて50以下、又は700nmにおいて50以下であることが好ましい。
なお、本実施形態に用いられる塩基発生剤のモル吸光係数は、当該波長領域に吸収をもたない溶媒(例えば、アセトニトリル)に、塩基発生剤を1×10−4mol/L以下の濃度(通常、1×10−4mol/L〜1×10−5mol/L程度。適度な吸収強度となるように、適宜、調節してもよい。)で溶解し、紫外可視分光光度計(例えば、UV−2550(株)島津製作所製))により吸光度を測定することにより明らかにすることができる。
また、本実施形態に用いられる塩基発生剤は、可視光領域で感光し難い点から、例えば、電子共役系を構成する炭素鎖が短いことが好ましく、例えば、電子共役系を構成する炭素数が15以下であることが好ましい。
また、本実施形態に用いられる塩基発生剤は、熱で分解する必要がある点から、例えば、分子内にシアノ基、アシル基などの電子求引性基と、アミノ基、アルコキシ基、水酸基などの電子供与性基とを有しているような分極構造を有していることが好ましい。
また、本実施形態に用いられる塩基発生剤は、金属イオンを含むと増感色素が反応してブリーチングしにくくなる点から、金属を含まないことが好ましい。
<他の成分>
本実施形態の体積型ホログラム記録用感光性組成物は、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて更に他の成分を含有してもよい。他の成分としては、バインダー樹脂、熱重合防止剤、シランカップリング剤、可塑剤、着色剤、微粒子、熱可塑性樹脂、界面活性剤等が挙げられる。
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂は、ホログラム形成前の組成物の成膜性、膜厚の均一性を改善する場合や、光ラジカル重合及び光カチオン重合を組み合わせて用いる場合にレーザー光あるいはコヒーレンス性の優れた光の照射による重合で形成された干渉縞を後露光までの間、安定に存在させるために使用される。本実施形態に用いられるバインダー樹脂としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、またはその部分加水分解物、ポリ酢酸ビニルまたはその加水分解物、アクリル酸、アクリル酸エステル等の共重合可能なモノマー群の少なくとも1つを重合成分とする共重合体、またはそれらの混合物や、ポリイソプロピレン、ポリブタジエン、ポリクロロピレン、ポリビニルアルコールの部分アセタール化物であるポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等、またはそれらの混合物などを挙げることができる。中でも、加熱時にモノマー移動が容易に移動でき、記録された体積型ホログラムを安定化しやすい点から、バインダー樹脂のガラス転移温度が比較的低いことが好ましい。
体積型ホログラム記録用感光性組成物は、通常、溶媒に溶解されて塗布液として用いられる。溶媒としては、上記各成分と反応せず、上記各成分を溶解乃至均一に分散できるもの中から適宜選択すればよい。このような溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、酢酸エチル、1,4−ジオキサン、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルム、メタノール、エタノール、イソプロパノール等が挙げられる。溶媒は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
<体積型ホログラム記録用感光性組成物中の各成分の含有割合>
本実施形態の体積型ホログラム記録用感光性組成物中の各成分の含有割合は適宜調整されれば良い。例えば、以下の含有割合が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本実施形態の体積型ホログラム記録用感光性組成物中のシアニン系色素の含有割合は、体積型ホログラム記録用感光性組成物中の固形分100重量部に対して、0.005〜2重量部が好ましく、0.02〜1重量部がより好ましい。
光重合開始剤の含有量は、体積型ホログラム記録用感光性組成物中の固形分100重量部に対して、0.05〜5重量部が好ましく、0.2〜3重量部がより好ましい。
光重合性化合物の含有量は、体積型ホログラム記録用感光性組成物中の固形分100重量部に対して、10〜98重量部が挙げられ、10〜80重量部が好ましく、20〜70重量部がより好ましい。
塩基発生剤の含有量は、体積型ホログラム記録用感光性組成物中の固形分100重量部に対して、0.005〜5重量部が好ましく、0.01〜5重量部がより好ましい。
必要に応じて用いられるバインダー樹脂の含有量は、体積型ホログラム記録用感光性組成物中の固形分100重量部に対して、10〜80重量部が好ましく、20〜70重量部がより好ましい。
なお、固形分とは、溶媒以外の全ての成分をいう。
[体積型ホログラム記録体]
本実施形態に係る体積型ホログラム記録体は、シアニン系色素の共役電子系の一部が切断され、塩基発生剤の分解物が結合している反応結果物と、光重合性化合物の重合物とを含み、ホログラムが記録されたホログラム層を、基材上に備えたことを特徴とする。
図1は、本実施形態の体積型ホログラム記録体の一例を示す概略図である。図1に例示するように、上記本実施形態に係る体積型ホログラム記録体20は、基材1上に、ホログラム記録層にホログラムが記録されたホログラム層3を備えたものである。
体積型ホログラム記録体20は、通常、ホログラムを記録するためのホログラム記録層を基材上に備えた体積型ホログラム記録用感光性基板に、ホログラムを記録することにより得られる。
本実施形態の体積型ホログラム記録体は、ホログラムが記録されたホログラム層において、ホログラム記録前に存在したシアニン系色素の電子共役系の一部が切断されて消色した反応結果物と、光重合性化合物の重合物とを含む。前記シアニン系色素の電子共役系の一部が切断されて消色した反応結果物は、光を吸収しにくいため、高出力レーザーのような光を照射してもホログラム層が発熱せず、ホログラム記録体が劣化しにくい。
シアニン系色素の共役電子系の一部が切断され、塩基発生剤の分解物が結合している反応結果物における、塩基発生剤の分解物とは、上述したスキームIに示したように、通常、発生した塩基に相当する。
なお、体積型ホログラム記録体のホログラム層において、シアニン系色素の共役電子系の一部が切断され、塩基発生剤の分解物が結合している反応結果物が含まれることは、例えば、IR、NMR、MS等の分析を行うことにより確認できる。共役電子系の一部が切断されたことは、例えばIR測定により、シアニン系色素由来のメチン鎖のピークが、シアニン系色素由来の他の構造部分のピークと比較して割合が減少又は消失していることにより確認できる。また反応結果物のモル吸光定数測定により直接的にシアニン色素の失活を確認することもできる。
また、当該ホログラム層は、シアニン系色素の共役電子系の一部が切断され、塩基発生剤の分解物が結合している反応結果物を必須成分とするが、シアニン系色素の電子共役系の一部が切断された反応結果物であって、塩基発生剤の分解物が結合していない反応結果物が含まれていても良いものである。
<基材>
本実施形態に係る体積型ホログラム記録体において、基材は、用途に応じて従来公知の基材を適宜選択して用いることができる。
体積型ホログラム記録体を光学素子用途に用いる場合には、上記基材としては、通常、透明樹脂基材又はガラス基材を用いる。
なお、本実施形態において透明とは、可視光領域における透過率が80%以上であることをいい、90%以上であることが好ましい。ここで、透明樹脂基材の透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
上記透明樹脂基材は、公知の透明樹脂基材を適宜選択して用いることができる。透明樹脂基材としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリフッ化エチレン系フィルム、ポリフッ化ビニリデンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、エチレン−ビニルアルコールフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリアミドフィルム、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合フイルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム等を挙げることができる。
透明基材はガラス基材であっても良く、ロール状薄型を用いても良い。
本実施形態において、基材の厚みは、要求される強度などに応じて、適宜設定すればよいが、通常、2〜200μmであることが好ましく、10〜150μmとすることがより好ましい。
本実施形態に係る体積型ホログラム記録体を製造する方法は、特に限定されないが、中でも後述する本実施形態に係る体積型ホログラム記録体の製造方法を用いることが好ましい。
本実施形態の体積型ホログラム記録体は、従来公知の用途に適用可能であるとともに、特に光学素子用途において好適に用いることができる。光学素子用途としては、例えば、レンズ、回折格子、干渉フィルター、ヘッドアップディスプレイ装置、三次元ディスプレイ、ヘッドマウントディスプレイ、レーザーディスプレイ、スキャナ、照明装置、光ピックアップ用途等が挙げられる。
[体積型ホログラム記録体の製造方法]
本実施形態に係る体積型ホログラム記録体の製造方法は、シアニン系色素の共役電子系の一部が切断され、塩基発生剤の分解物が結合している反応結果物と、光重合性化合物の重合物とを含み、ホログラムが記録されたホログラム層を、基材上に備えた、体積型ホログラム記録体の製造方法であって、
ホログラム記録波長に吸収を持ち、励起して光重合開始剤にエネルギーを渡し得る増感色素であるシアニン系色素と、光重合開始剤と、光重合性化合物と、ホログラム記録波長光照射に不活性であり熱により塩基を発生する塩基発生剤とを含有する、ホログラムを記録するためのホログラム記録層を基材上に備えた、体積型ホログラム記録用感光性基板を準備する工程と、
前記ホログラム記録層に、少なくとも、ホログラム記録波長光を照射することにより、体積型ホログラムを記録するホログラム記録工程と、
前記ホログラム記録工程後に、前記ホログラム記録層を加熱することにより、前記シアニン系色素の電子共役系の一部を切断する消色工程とを有することを特徴とする。
このような本実施形態の体積ホログラム記録体の製造方法について図を参照しながら説明する。図2は本発明の体積ホログラム積層体の製造方法について、その一例を示す概略図である。図2に例示するように本発明の体積ホログラム積層体の製造方法は、前記ホログラムを記録するためのホログラム記録層2を基材1上に備えた、体積型ホログラム記録用感光性基板10を準備する工程(図2(A))と、前記ホログラム記録層2に、少なくとも、ホログラム記録波長光を照射5することにより、体積型ホログラムを記録するホログラム記録工程(図2(B))と、前記ホログラム記録工程後に、体積型ホログラムが記録された前記ホログラム記録層2’を加熱6することにより、前記シアニン系色素の電子共役系の一部を切断する消色工程(図2(C))とを有することにより、シアニン系色素の共役電子系の一部が切断され、塩基発生剤の分解物が結合している反応結果物と、光重合性化合物の重合物とを含み、ホログラムが記録されたホログラム層3を、基材1上に備えた、体積型ホログラム記録体20を得る(図2(D))ことを特徴とするものである。
本実施形態によれば、ホログラム記録時においては、ホログラム記録能を低下させることなく感度良くホログラムが記録されるとともに、得られたホログラム記録体は、ホログラム層の透過率が高く、高出力レーザーのような光を照射してもホログラム層が発熱せず、劣化しにくい。
以下、本実施形態に係る体積型ホログラム記録体の製造方法の各工程について順に説明する。
<ホログラム記録用感光性基板を準備する工程>
まず、基材上にホログラム記録層を備えたホログラム記録用感光性基板を準備する。ホログラム記録層は、例えば、前記本実施形態に係る体積型ホログラム記録用感光性樹脂組成物を溶媒に溶解乃至分散して塗布液として、基材上に塗工し、溶媒を乾燥除去することにより、形成することができる
上記ホログラム記録層を形成する各成分については、前記体積型ホログラム記録用感光性樹脂組成物において説明したものと同様のものとすることができるのでここでの説明は省略する。また、上記基材としては、前記体積型ホログラム記録体において説明したものと同様のものとすることができるのでここでの説明は省略する。
上記ホログラム記録層用組成物の塗布方法は、従来公知の方法から、適宜選択すればよい。具体的には、例えば、スピンコーター、グラビアコーター、コンマコーター、バーコーター等の方法が挙げられる。
ホログラム記録層の膜厚は、所望のホログラムを記録できる範囲で適宜設定すればよいものであり、例えば、1〜100μm、好ましくは5〜40μmの範囲で適宜設定すればよい。
<ホログラム記録工程>
前記ホログラム記録層に、ホログラム記録波長光を照射することにより、体積型ホログラムを記録する。ホログラム記録波長光の照射方法は、従来公知の方法の中から適宜選択して用いることができる。例えば、ホログラム記録層はレーザー光やコヒーレンス性の優れた光、例えば波長300〜1200nmの光による通常のホログラフィー露光装置によって前記光重合性化合物を重合させてその内部に干渉縞が記録される。
ホログラムの記録に用いられる記録波長光の光源としては、コヒーレンス性に優れる可視光レーザー光を用いることが好ましく、例えばアルゴンイオンレーザー(458nm、488nm、514.5nm)、クリプトンイオンレーザー(647.1nm)、ヘリウム−ネオンレーザー(633nm)、YAGレーザー(532nm)等を使用することができる。
また、干渉露光による屈折率変調量を促進し、重合反応を完結させるために、干渉露光後に紫外線による全面露光や加熱等の処理を適宜行うことができる。
前記ホログラム記録層を熱や赤外線で処理することで回折効率、回折光のピーク波長、半値巾などを変化させることも出来る。
なお、ホログラム記録工程において加熱処理を用いる場合には、当該加熱処理においては前記塩基発生剤が塩基を発生しないように、加熱温度及び塩基発生剤を適宜選択する。
当該加熱処理に必要な温度は、通常40〜150℃であり、好ましくは60〜100℃である。後述の消色工程の加熱温度より低温で加熱し、塩基発生剤が塩基を発生しない温度に設定する。
<消色工程>
前記ホログラム記録工程後に、前記ホログラム記録層を加熱することにより、塩基発生剤から塩基を発生させて、当該塩基存在下で前記シアニン系色素の電子共役系の一部を切断して、当該シアニン系色素を消色する。
加熱温度は、前記塩基発生剤が塩基を発生し得る温度であればよく、適宜調整されるものであるが、具体的には60〜200℃であることが好ましく、100〜180℃であることがより好ましい。加熱時間は、特に限定されないが、5分〜3時間であることが好ましく、10分〜1時間であることがより好ましい。
このようにして得られた体積型ホログラム記録体においては、ホログラム記録層に含まれていたシアニン系色素が、ホログラム記録後の加熱によって、前記塩基発生剤から発生した塩基の作用により、シアニン系色素の電子共役系の一部が切断された反応結果物となり、当該反応結果物には、塩基発生剤の分解物が結合し得る。また、ホログラム記録層に含まれていた光重合性化合物は、ホログラム記録波長光を照射することにより、シアニン系色素と光重合開始剤の作用によって、重合されて光重合性化合物の重合物となる。ホログラム記録層に含まれていた光重合開始剤は、通常、分解されるか、重合物の末端に結合する。そのため、このようにして得られた体積型ホログラム記録体においては、シアニン系色素の共役電子系の一部が切断され、塩基発生剤の分解物が結合している反応結果物と、光重合性化合物の重合物とを含み、ホログラムが記録されたホログラム層を有し、当該ホログラム層は、透過率が高く、光照射によっても各成分が劣化しにくく、記録されたホログラムの劣化が抑制される。
当該ホログラム層は、シアニン系色素の共役電子系の一部が切断され、塩基発生剤の分解物が結合している反応結果物を必須成分とするが、シアニン系色素の電子共役系の一部が切断された反応結果物であって、塩基発生剤の分解物が結合していない反応結果物が含まれていても良い。通常、塩基発生剤は相対的に少量添加して消色反応を行うため、シアニン系色素の電子共役系の一部が切断された反応結果物であって、塩基発生剤の分解物が結合していない反応結果物が含まれる。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
(実施例1)
(1)体積型ホログラム記録用感光性組成物の製造
下記組成の体積型ホログラム記録用感光性組成物1を作製した。なお、下記熱塩基発生剤Aは可視光に対して不活性であり、熱により塩基を発生する。
<体積型ホログラム記録用感光性組成物1の組成>
・ポリ酢酸ビニル(ポリスチレン換算重量平均分子量10万):100重量部
・ジフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート(大阪ガス製、BPEFA):80重量部
・1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス製、EX212):70重量部
・ジアリールヨードニウム塩(ローディア製、PI2074):5重量部
・下記化学式(5)で表わされるシアニン色素(A−1):0.5重量部
・塩基発生剤A(N−(4−ジエチルアミノベンジリデンアミノ)グアニジン酢酸塩、和光純薬製):0.05重量部
・メチルエチルケトン(MEK):50重量部
・1−ブタノール:50重量部
(2)体積型ホログラム記録用感光性基板の製造
(1)で得られた体積型ホログラム記録用感光性組成物1を、38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ製ルミラーT−60)上にアプリケーターを用いて、乾燥後の膜厚が20μmとなるように塗工及び乾燥してホログラム記録層とし、実施例1の体積型ホログラム記録用感光性基板1を得た。
(3)体積型ホログラム記録体の製造
(2)で得られた実施例1の体積型ホログラム記録用感光性基板のホログラム記録層側をミラーにラミネートし、体積型ホログラム記録用感光性基板のPET側から600nmのレーザー光を60mJ/cm入射して、干渉露光を行い、体積型ホログラムを記録した。その際、光線の入射角は、ホログラム記録用感光性基板の基板面の法線方向から45度の角度とした。
次いで、紫外線全面照射を行って、ホログラム記録層を固定し、干渉縞が記録されたホログラム記録層を有する体積型ホログラム記録体を得た。
得られた体積型ホログラム記録体を120℃で1時間、オーブンで加熱して、実施例1の体積型ホログラム記録体を得た。
(実施例2)
(1)体積型ホログラム記録用感光性組成物の製造
実施例1の体積型ホログラム記録用感光性組成物において、シアニン色素(A−1)を用いる代わりに、下記化学式(6)で表わされるシアニン色素(A−2)を用いた以外は、実施例1の体積型ホログラム記録用感光性組成物と同様にして、体積型ホログラム記録用感光性組成物2を作製した。
(2)体積型ホログラム記録用感光性基板の製造
実施例1の体積型ホログラム記録用感光性組成物1の代わりに、(1)で得られた体積型ホログラム記録用感光性組成物2を用い、600nmのレーザー光の代わりに、532nmのレーザー光を用いてホログラム記録層を形成した以外は、実施例1と同様にして、体積型ホログラム記録用感光性基板2の製造を行った。
(3)体積型ホログラム記録体の製造
実施例1の体積型ホログラム記録用感光性基板1の代わりに、(2)で得られた体積型ホログラム記録用感光性基板2を用いて、体積型ホログラムを記録した以外は、実施例1と同様にして、体積型ホログラム記録体2を得た。
(実施例3)
(1)体積型ホログラム記録用感光性組成物の製造
実施例1の体積型ホログラム記録用感光性組成物において、シアニン色素(A−1)を用いる代わりに、下記化学式(7)で表わされるシアニン色素(A−3)を用いた以外は、実施例1の体積型ホログラム記録用感光性組成物と同様にして、体積型ホログラム記録用感光性組成物3を作製した。
(2)体積型ホログラム記録用感光性基板の製造
実施例1の体積型ホログラム記録用感光性組成物1の代わりに、(1)で得られた体積型ホログラム記録用感光性組成物3を用い、600nmのレーザー光の代わりに、460nmのレーザー光を用いてホログラム記録層を形成した以外は、実施例1と同様にして、体積型ホログラム記録用感光性基板3の製造を行った。
(3)体積型ホログラム記録体の製造
実施例1の体積型ホログラム記録用感光性基板1の代わりに、(2)で得られた体積型ホログラム記録用感光性基板3を用いて、体積型ホログラムを記録した以外は、実施例1と同様にして、体積型ホログラム記録体3を得た。
(実施例4)
(1)体積型ホログラム記録用感光性組成物の製造
実施例1の体積型ホログラム記録用感光性組成物において、塩基発生剤Aを用いる代わりに、下記化学式(8)で表わされる塩基発生剤B((E)−1−[3−(2−ヒドロキシフェニル)−2−プロペノイル)ピペリジン、和光純薬製)を用いた以外は、実施例1の体積型ホログラム記録用感光性組成物と同様にして、体積型ホログラム記録用感光性組成物4を作製した。なお、下記熱塩基発生剤Bは可視光に対して不活性であり、熱により塩基を発生する。
(2)体積型ホログラム記録用感光性基板の製造
実施例1の体積型ホログラム記録用感光性組成物1の代わりに、(1)で得られた体積型ホログラム記録用感光性組成物4を用いた以外は、実施例1と同様にして、体積型ホログラム記録用感光性基板4の製造を行った。
(3)体積型ホログラム記録体の製造
実施例1の体積型ホログラム記録用感光性基板1の代わりに、(2)で得られた体積型ホログラム記録用感光性基板4を用いて、体積型ホログラムを記録した以外は、実施例1と同様にして、体積型ホログラム記録体4を得た。
(実施例5)
(1)体積型ホログラム記録用感光性組成物の製造
実施例2の体積型ホログラム記録用感光性組成物において、塩基発生剤Aの代わりに前記塩基発生剤Bを用いた以外は、実施例2の体積型ホログラム記録用感光性組成物と同様にして、体積型ホログラム記録用感光性組成物5を作製した。
(2)体積型ホログラム記録用感光性基板の製造
実施例2の体積型ホログラム記録用感光性組成物2の代わりに、(1)で得られた体積型ホログラム記録用感光性組成物5を用いた以外は、実施例2と同様にして、体積型ホログラム記録用感光性基板5の製造を行った。
(3)体積型ホログラム記録体の製造
実施例2の体積型ホログラム記録用感光性基板2の代わりに、(2)で得られた体積型ホログラム記録用感光性基板5を用いて、体積型ホログラムを記録した以外は、実施例2と同様にして、体積型ホログラム記録体5を得た。
(実施例6)
(1)体積型ホログラム記録用感光性組成物の製造
実施例3の体積型ホログラム記録用感光性組成物において、塩基発生剤Aの代わりに前記塩基発生剤Bを用いた以外は、実施例3の体積型ホログラム記録用感光性組成物と同様にして、体積型ホログラム記録用感光性組成物6を作製した。
(2)体積型ホログラム記録用感光性基板の製造
実施例3の体積型ホログラム記録用感光性組成物3の代わりに、(1)で得られた体積型ホログラム記録用感光性組成物6を用いた以外は、実施例3と同様にして、体積型ホログラム記録用感光性基板6の製造を行った。
(3)体積型ホログラム記録体の製造
実施例3の体積型ホログラム記録用感光性基板3の代わりに、(2)で得られた体積型ホログラム記録用感光性基板6を用いて、体積型ホログラムを記録した以外は、実施例3と同様にして、体積型ホログラム記録体6を得た。
(比較例1)
(1)体積型ホログラム記録用感光性組成物の製造
実施例1の(1)において、熱塩基発生剤を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、比較体積型ホログラム記録用感光性組成物1を得た。
(2)体積型ホログラム記録用感光性基板の製造
実施例1の体積型ホログラム記録用感光性組成物1の代わりに、(1)で得られた比較体積型ホログラム記録用感光性組成物1を用いて、ホログラム記録層を形成した以外は、実施例1と同様にして、比較体積型ホログラム記録用感光性基板1の製造を行った。
(3)体積型ホログラム記録体の製造
実施例1の体積型ホログラム記録用感光性基板1の代わりに、(2)で得られた比較体積型ホログラム記録用感光性基板1を用いて、体積型ホログラムを記録した以外は、実施例1と同様にして、比較体積型ホログラム記録体1を得た。
(比較例2)
(1)体積型ホログラム記録用感光性組成物の製造
実施例2の(1)において、熱塩基発生剤を用いなかった以外は、実施例2と同様にして、比較体積型ホログラム記録用感光性組成物2を得た。
(2)体積型ホログラム記録用感光性基板の製造
実施例2の体積型ホログラム記録用感光性組成物2の代わりに、(1)で得られた比較体積型ホログラム記録用感光性組成物2を用いて、ホログラム記録層を形成した以外は、実施例2と同様にして、比較体積型ホログラム記録用感光性基板2の製造を行った。
(3)体積型ホログラム記録体の製造
実施例2の体積型ホログラム記録用感光性基板2の代わりに、(2)で得られた比較体積型ホログラム記録用感光性基板2を用いて、体積型ホログラムを記録した以外は、実施例2と同様にして、比較体積型ホログラム記録体2を得た。
(比較例3)
(1)体積型ホログラム記録用感光性組成物の製造
実施例3の(1)において、熱塩基発生剤を用いなかった以外は、実施例3と同様にして、比較体積型ホログラム記録用感光性組成物3を得た。
(2)体積型ホログラム記録用感光性基板の製造
実施例3の体積型ホログラム記録用感光性組成物3の代わりに、(1)で得られた比較体積型ホログラム記録用感光性組成物3を用いて、ホログラム記録層を形成した以外は、実施例3と同様にして、比較体積型ホログラム記録用感光性基板3の製造を行った。
(3)体積型ホログラム記録体の製造
実施例3の体積型ホログラム記録用感光性基板3の代わりに、(2)で得られた比較体積型ホログラム記録用感光性基板3を用いて、体積型ホログラムを記録した以外は、実施例1と同様にして、比較体積型ホログラム記録体3を得た。
[屈折率変調量(Δn)評価、及び透過率評価]
実施例1〜6及び比較例1〜3で得られた体積型ホログラム記録体の両面に、それぞれ接着剤(アロニックスLCR0628A(東亞合成製))を用いてガラスを接着し、またその周囲もUV硬化剤(アロニックスLCR0628A(東亞合成製))で封止し、素子を作製した。得られた素子について、分光光度計(島津製作所製UVPC−3100)を用いて、透過率測定を行い、分光透過率曲線を得た。得られた分光透過率曲線から、用いたシアニン系色素のピーク波長における透過率を求め、透過率の評価に用いた。また、得られた分光透過率曲線から下記の方法により屈折率変調量(Δn)を算出した。結果を表1〜3に示す。
<Δnの計算方法>
上記により得られた分光透過率曲線において、ピーク透過率Tp及びベース透過率Tbを求め、下記式(1)により、回折効率ηを得た。
回折効率η = (Tb−Tp)/Tb (%) 式(1)
次いで、式(1)で得られた回折効率ηの値を用いて、Kogelnik理論式(下記式(2))によりΔnを算出した。
η = tanh(π(Δn)d/λcosθ) 式(2)
(式(2)中、dはホログラム記録層の膜厚(μm)、λは記録レーザー波長(nm)、θは記録レーザー光のホログラム記録層への入射角度である。)
[レーザー照射試験]
実施例2及び5、並びに比較例2で得られた体積型ホログラム記録体の素子に、高出力(2W/mm)のレーザーを照射しながらサーモグラフィー(NEC AVIO 赤外線テクノロジー社製、サーモギアG100)で素子の温度を観察した。もっとも高温となった部分の温度を表4に示す。
[結果のまとめ]
実施例1及び4と比較例1を比較すると、屈折率変調量(Δn)はほぼ同等であった。これは、ホログラム記録波長光照射に不活性であり熱により塩基を発生する塩基発生剤の有無が、ホログラム記録時の感度に影響しないことを示している。一方、波長620nmの光の透過率は実施例1及び4のほうが高かった。これは、ホログラム記録層を加熱したことにより発生した塩基によりシアニン色素が消色したものと推測される。実施例2及び5と比較例2との比較や、実施例3及び6と比較例3との比較においてもシアニン色素と、ホログラム記録波長光照射に不活性であり熱により塩基を発生する塩基発生剤との組み合わせにより、Δnを低下させることなく、ホログラム記録体中のシアニン色素残留量を低下させることが可能であることが明らかとなった。
シアニン色素の残留量が少ない実施例2及び5のホログラム記録体は、比較例2と比較して、レーザー照射時においても温度上昇が抑制されることが明らかにされた。実施例2及び5のホログラム記録体は、光を吸収しにくく、耐光性に優れていることが明らかとなった。
1 基材
2 ホログラム記録層
3 ホログラムが記録されたホログラム層
10 体積型ホログラム記録用感光性基板
20 体積型ホログラム記録体

Claims (5)

  1. ホログラム記録波長に吸収を持ち、励起して光重合開始剤にエネルギーを渡し得る増感色素であるシアニン系色素と、光重合開始剤と、少なくともラジカル重合性化合物を含む光重合性化合物と、ホログラム記録波長光照射に不活性であり熱により塩基を発生する塩基発生剤とを含有する、体積型ホログラム記録用感光性組成物。
  2. 前記シアニン系色素の含有割合が、体積型ホログラム記録用感光性組成物中の固形分100重量部に対して0.005〜2重量部であり、前記塩基発生剤の含有割合が、体積型ホログラム記録用感光性組成物中の固形分100重量部に対して0.005〜5重量部である、請求項1に記載の体積型ホログラム記録用感光性組成物。
  3. シアニン系色素の共役電子系の一部が切断され、塩基発生剤の分解物が結合している反応結果物と、少なくともラジカル重合性化合物を含む光重合性化合物の重合物とを含み、ホログラムが記録されたホログラム層を、基材上に備えた、体積型ホログラム記録体。
  4. ホログラム記録波長に吸収を持ち、励起して光重合開始剤にエネルギーを渡し得る増感色素であるシアニン系色素と、光重合開始剤と、少なくともラジカル重合性化合物を含む光重合性化合物と、ホログラム記録波長光照射に不活性であり熱により塩基を発生する塩基発生剤とを含有する、ホログラムを記録するためのホログラム記録層を基材上に備えた、体積型ホログラム記録用感光性基板を準備する工程と、
    前記ホログラム記録層に、少なくとも、ホログラム記録波長光を照射することにより、体積型ホログラムを記録するホログラム記録工程と、
    前記ホログラム記録工程後に、前記ホログラム記録層を加熱することにより、前記シアニン系色素の電子共役系の一部を切断する消色工程とを有する、
    シアニン系色素の共役電子系の一部が切断され、塩基発生剤の分解物が結合している反応結果物と、少なくともラジカル重合性化合物を含む光重合性化合物の重合物とを含み、ホログラムが記録されたホログラム層を、基材上に備えた、体積型ホログラム記録体の製造方法。
  5. 前記体積型ホログラム記録用感光性基板において、前記シアニン系色素の含有割合が、前記ホログラム記録層の固形分100重量部に対して0.005〜2重量部であり、前記塩基発生剤の含有割合が、前記ホログラム記録層の固形分100重量部に対して0.005〜5重量部である、請求項4に記載の体積型ホログラム記録体の製造方法。
JP2013019429A 2013-02-04 2013-02-04 体積型ホログラム記録用感光性組成物、体積型ホログラム記録体、及び体積型ホログラム記録体の製造方法 Active JP6064631B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013019429A JP6064631B2 (ja) 2013-02-04 2013-02-04 体積型ホログラム記録用感光性組成物、体積型ホログラム記録体、及び体積型ホログラム記録体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013019429A JP6064631B2 (ja) 2013-02-04 2013-02-04 体積型ホログラム記録用感光性組成物、体積型ホログラム記録体、及び体積型ホログラム記録体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014149495A JP2014149495A (ja) 2014-08-21
JP6064631B2 true JP6064631B2 (ja) 2017-01-25

Family

ID=51572496

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013019429A Active JP6064631B2 (ja) 2013-02-04 2013-02-04 体積型ホログラム記録用感光性組成物、体積型ホログラム記録体、及び体積型ホログラム記録体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6064631B2 (ja)

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4365494B2 (ja) * 1999-10-27 2009-11-18 日本ペイント株式会社 体積ホログラム記録用感光組成物およびこれから得られるホログラム
JP2005017354A (ja) * 2003-06-23 2005-01-20 Fuji Photo Film Co Ltd ホログラム記録材料用組成物、ホログラム記録材料及びホログラム記録方法。
JP4411153B2 (ja) * 2003-07-18 2010-02-10 富士フイルム株式会社 2光子吸収色素消色材料、3次元的屈折率変調材料、3次元吸収率変調材料及び3次元光記録材料
JP2005099416A (ja) * 2003-09-25 2005-04-14 Fuji Photo Film Co Ltd ホログラム記録方法及びホログラム記録材料
JP2006227403A (ja) * 2005-02-18 2006-08-31 Fuji Photo Film Co Ltd ホログラム記録材料、ホログラム記録方法、ホログラム記録再生方法、光記録媒体、光記録媒体への記録再生方法、3次元ディスプレイホログラム、3次元ディスプレイホログラムの製造方法、ホログラフィック光学素子及びホログラフィック光学素子の製造方法
JP2006235386A (ja) * 2005-02-25 2006-09-07 Fuji Photo Film Co Ltd ホログラム記録材料およびこれを用いた光記録媒体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014149495A (ja) 2014-08-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6064607B2 (ja) 体積型ホログラム記録用感光性組成物、体積型ホログラム記録体、及び体積型ホログラム記録体の製造方法
JP2873126B2 (ja) 体積ホログラム記録用感光性組成物
JP4155771B2 (ja) 体積型ホログラム記録用感光性組成物及びそれを用いた体積型ホログラム記録用感光性媒体
Guo et al. A review of the optimisation of photopolymer materials for holographic data storage
JP5942736B2 (ja) ホログラム記録材料およびホログラム記録媒体
JP3075090B2 (ja) ホログラム感光性記録材料およびホログラム感光性記録媒体並びにそれを用いたホログラム製造方法
JP5803401B2 (ja) ホログラム記録材料及びホログラム記録媒体
JP2009048066A (ja) ホログラフィック記録媒体およびホログラフィック記録装置
JP4365494B2 (ja) 体積ホログラム記録用感光組成物およびこれから得られるホログラム
JP2005309359A (ja) ホログラム記録材料、ホログラム記録方法、光記録媒体、3次元ディスプレイホログラムおよびホログラフィック光学素子。
JPH08305262A (ja) 透明ホログラム用感光性記録材料と透明ホログラム用感光性記録媒体及びこの感光性記録媒体を用いた透明ホログラムの製造方法
Blaya et al. Pyrromethene-HEMA-based photopolymerizable holographic recording material
JPH08101501A (ja) 体積ホログラム記録用感光性組成物、及びそれを用いた記録媒体ならびに体積ホログラム形成方法
JP6064631B2 (ja) 体積型ホログラム記録用感光性組成物、体積型ホログラム記録体、及び体積型ホログラム記録体の製造方法
JP3532621B2 (ja) 体積ホログラム記録用感光性組成物、及びそれを用いた記録媒体ならびに体積ホログラム形成方法
JP4177867B2 (ja) 体積ホログラム記録用感光性組成物、及びそれを用いた記録媒体ならびに体積ホログラム形成方法
JP3180566B2 (ja) ホログラム感光性記録材料およびホログラム感光性記録媒体並びにそれを用いたホログラム製造方法
JP2005275389A (ja) 体積ホログラム記録用感光性組成物およびそれを用いる体積ホログラム記録媒体の製造方法
JP2014010278A (ja) ホログラム記録用感光性基板、及びホログラム記録体
WO2020050321A1 (ja) トリアジン環含有ハイパーブランチポリマーを含む体積ホログラム記録材料用組成物
JP2010134259A (ja) 体積ホログラム記録用感光性組成物
JP4615754B2 (ja) 体積型ホログラム記録用感光性組成物及び体積型ホログラム記録用感光性媒体
JP2000310932A (ja) ホログラム記録材料およびホログラム記録媒体
JP3877189B2 (ja) 乾式ホログラム及び乾式ホログラム形成方法
JPH06175565A (ja) ホログラム記録材料及びそれを用いた体積位相型ホログラムの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20151208

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160826

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160830

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161024

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20161122

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161205

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6064631

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150