JP2014010278A - ホログラム記録用感光性基板、及びホログラム記録体 - Google Patents

ホログラム記録用感光性基板、及びホログラム記録体 Download PDF

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Abstract

【課題】複屈折性が抑制され、且つ、基材の白化を抑えることが可能であり、光学素子用途に好適に適用可能なホログラム記録用感光性基板、及びホログラム記録用感光性基板を用いた、光学性能に優れたホログラム記録体を提供する。
【解決手段】光学的等方性の透明樹脂基材1と、透明樹脂基材1の少なくとも一方の面に設けられた、水溶性高分子を主成分として含有する層2と、透明樹脂基材1の一方の面に設けられた水溶性高分子を主成分として含有する層2の透明樹脂基材1とは反対側の面に隣接して設けられた、ホログラムを記録するためのホログラム記録層3とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ホログラム記録用感光性基板、及びホログラム記録体に関する。
ロールツーロール技術を用いて生産される体積型ホログラムの基材は、安価で、耐久性に優れた2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)基材が一般的であった。しかしながら2軸延伸PETは屈折率異方性(複屈折性)を有するため、当該PETを透過した光は複屈折を生じ得る。さらに近年、2軸延伸PETのらせん構造が、旋光性(円複屈折)を発現している可能性が報告されている(非特許文献1)。このような基材を用いたホログラム記録用感光性基板では、入射光の偏光状態を変化させるので、ホログラムの干渉縞の生成に悪影響を与え、所望のホログラムを精密に記録できない場合があった。また、複屈折性を有する基材を含んで作製されたホログラム記録体を光学素子としてデバイス等に搭載した場合、ホログラムから再現される光線の偏光状態が変化してしまい、所望の性能が得られない恐れがあった。
このような問題は、特に、高い精度が要求される光学素子用途において、看過できないものとなってきた。
複屈折を生じない、光学的等方性を有する基材としては、トリアセチルセルロース(TAC)や、シクロオレフィンポリマー(COP)等が挙げられる。しかしながら、TACやCOPは、耐溶剤性や耐薬品性が不十分であり、例えば、ホログラム記録層形成用樹脂組成物を塗布した際、白化してしまう問題があった。
TAC等の光学的等方性を有する基材を用いたホログラム記録体として、特許文献1では、フォトポリマー層の両主面側に、ポリエステル系樹脂フィルムからなるバリア層を具備し、少なくとも一方のバリア層に粘着層を介して、光学的に透明で等方な非晶性の支持体が配されているホログラム記録媒体が記載されている。特許文献1では、PETフィルムからなるバリア層により、フォトポリマー層に含有されている溶剤成分を遮断して支持体との化学反応を回避することが記載されている。また、特許文献1では、PETフィルムからなるバリア層の厚みを薄くし、膜厚方向の位相差を小さくすることで、ホログラム記録時の複屈折の影響を低減化させることを試みている。
しかしながら、特許文献1の手法は、バリア層にPETフィルムを用いるものであり、当該PETフィルムが延伸処理を行って分子を配向させている基材である以上、膜厚が薄くても複屈折性を有する基材を含むホログラム記録体となるため、当該ホログラム記録体を光学素子としてデバイス等に搭載した場合の複屈折の問題を解決するものではなかった。
光学素子用途のホログラム記録体においては、複屈折性が抑制され、且つ、白化の問題のないホログラム記録用感光性基板が求められていた。
特許第4239599号公報
"PETフィルムの光学特性に関する新たな知見"、[online]、2009年7月、王子計測機器株式会社、[平成2009年10月13日検索]、インターネット<URL:http://www.oji-keisoku.co.jp/products/kobra/img/gijutu20.pdf>
本発明は、このような状況下になされたものであり、複屈折性が抑制され、且つ、基材の白化を抑えることが可能であり、光学素子用途に好適に適用可能なホログラム記録用感光性基板、及び当該ホログラム記録用感光性基板を用いた、光学性能に優れたホログラム記録体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、光学的等方性の透明樹脂基材と、ホログラム記録層との間に、水溶性高分子を主成分として含有する層を配置することにより、基材の光学的等方性を保持しながら、基材の白化を抑えることが可能であるとの知見を得た。
本発明は、係る知見に基づいて完成したものである。
本発明に係るホログラム記録用感光性基板は、光学的等方性の透明樹脂基材と、前記透明樹脂基材の少なくとも一方の面に設けられた、水溶性高分子を主成分として含有する層と、前記透明樹脂基材の一方の面に設けられた前記水溶性高分子を主成分として含有する層の前記透明樹脂基材とは反対側の面に隣接して設けられた、ホログラムを記録するためのホログラム記録層とを有することを特徴とする。
本発明に係るホログラム記録用感光性基板においては、前記水溶性高分子を主成分として含有する層は、波長550nmで測定した面内位相差Reが50未満、及び波長550nmで測定した厚み方向位相差Rthが100未満であることが、複屈折を抑制し、ホログラムの記録精度及び再現性を向上する点から好ましい。
本発明に係るホログラム記録用感光性基板においては、前記透明樹脂基材の両面に、水溶性高分子を主成分として含有する層を有することが、耐熱性を向上する点から好ましい。
また、本発明は、光学的等方性の透明樹脂基材と、
前記透明樹脂基材の少なくとも一方の面に設けられた、水溶性高分子を主成分として含有する層と、
前記透明樹脂基材の一方の面に設けられた前記水溶性高分子を主成分として含有する層の前記透明樹脂基材とは反対側の面に隣接して設けられた、ホログラムを記録するためのホログラム記録層に、ホログラムが記録されたホログラム層とを有する、ホログラム記録体を提供する。
本発明によれば、複屈折性が抑制され、且つ、基材の白化を抑えることが可能であり、光学素子用途に好適に適用可能なホログラム記録用感光性基板、及び当該ホログラム記録用感光性基板を用いた、光学性能に優れたホログラム記録体を提供することができる。
本発明のホログラム記録用感光性基板の一例を示す概略図である。 本発明のホログラム記録用感光性基板の別の一例を示す概略図である。 本発明のホログラム記録体の一例を示す概略図である。 本発明のホログラム記録体の別の一例を示す概略図である。
以下、本発明に係るホログラム記録用感光性基板、及びホログラム記録体について順に説明する。
なお、本発明において光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波、さらには放射線が含まれ、放射線には、例えばマイクロ波、電子線が含まれる。具体的には、波長5μm以下の電磁波、及び電子線のことを言う。
また本発明において、nは基材乃至層の面内の遅相軸方向の屈折率、nは基材乃至層の面内の進相軸方向の屈折率、nは基材乃至層の厚さ方向の屈折率であり、dは基材乃至層の厚みとした時に、面内位相差Reは下記式(1)、厚み方向位相差Rthは下記式(2)で表される。
式(1):Re=|n−n|×d(nm)
式(2):Rth=|(n+n)/2−n|×d(nm)
1.ホログラム記録用感光性基板
本発明に係るホログラム記録用感光性基板は、光学的等方性の透明樹脂基材と、前記透明樹脂基材の少なくとも一方の面に設けられた、水溶性高分子を主成分として含有する層と、前記透明樹脂基材の一方の面に設けられた前記水溶性高分子を主成分として含有する層の前記透明樹脂基材とは反対側の面に隣接して設けられた、ホログラムを記録するためのホログラム記録層とを有することを特徴とする。
図1は、本発明のホログラム記録用感光性基板の一例を示す概略図である。図1に例示するように、上記本発明に係るホログラム記録用感光性基板10は、透明樹脂基材1の一方の面に、水溶性高分子を主成分として含有する層2が設けられ、当該水溶性高分子を主成分として含有する層2の前記透明樹脂基材1とは反対側の面に隣接して、ホログラム記録層3が設けられている。
本発明に係るホログラム記録用感光性基板においては、光学的等方性の透明樹脂基材1を用いながら、ホログラム記録層3は、水溶性高分子を主成分として含有する層2に隣接して設けられる。そのため、透明樹脂基材1は、ホログラム記録層形成時にホログラム記録層用樹脂組成物に含まれる有機溶剤等の影響を受けず、白化の問題を抑えることができる。
また、本発明のホログラム記録用感光性基板においては、透明樹脂基材1として光学的等方性の透明樹脂基材を用い、水溶性高分子を主成分として含有する層も光学的等方性とし得るため、ホログラム記録用感光性基板の複屈折性を抑制することができる。
その結果、本発明のホログラム記録用感光性基板は、ホログラム記録時の干渉性ホログラム縞の形成に悪影響を与えることなく、所望のホログラムを精密に記録できる。得られたホログラムは不要な方向へ回折光が逃げることなく、回折効率が向上する。また、本発明のホログラム記録用感光性基板にホログラムが記録されてなるホログラム記録体を光学素子としてデバイス等に搭載した場合、ホログラムの再現性が良好で、複屈折による光線の変化は抑制されるため、デバイスにおいて所望の良好な性能が得られる。このようなことから、本発明のホログラム記録用感光性基板は、高い精度が要求される光学素子用途においても好適に用いることができる。
また、図2は、本発明のホログラム記録用感光性基板の別の一例を示す概略図である。図2に例示するように、別の一例の本発明に係るホログラム記録用感光性基板10は、前記透明樹脂基材1の両面に設けられた、水溶性高分子を主成分として含有する層2a及び2bを有し、更に、前記透明樹脂基材1の一方の面に設けられた前記水溶性高分子を主成分として含有する層2aの前記透明樹脂基材1とは反対側の面に隣接して設けられた、ホログラム記録層3を有する。
このように、透明樹脂基材1の両面に、水溶性高分子を主成分として含有する層2a及び2bを配置することによって、加熱時における透明樹脂基材の歪みを抑制することができ、その結果、ホログラムの歪みが抑制され、ホログラムの記録精度がより向上する。
本発明のホログラム記録用感光性基板は、少なくとも、光学的等方性の透明樹脂基材と、水溶性高分子を主成分として含有する層と、ホログラム記録層とを有するものであり、本発明の効果が損なわれない限り、必要に応じて、更に他の層を有していてもよいものである。
以下、ホログラム記録用感光性基板を構成する各層について順に説明する。
[透明樹脂基材]
本発明に係るホログラム記録用感光性基板においては、光学的等方性の透明樹脂基材を用いる。
本発明において「光学的等方性」の基材とは、複屈折性の発現が全体として非常に小さく抑えられた基材をいい、前記屈折率n、n及びnの各々の屈折率が、相互にほぼ等しい特性を有する基材をいう。
ここで相互にほぼ等しいとしているのは、「光学的等方性」の基材は、理想的にはn=n=nであるが、完全にn=n=nである透明樹脂基材は通常入手困難であり、透明樹脂基材として用いられる場合に完全に等方である必要はないからである。基材の複屈折が及ぼす影響の度合い、またその許容範囲は用途によって大きく異なる。そのため、正確にそれらを数値化して把握するために、実使用の光学系にて実使用の偏光状態の光を入射し、前後の光量変化・偏光状態の変化を評価して判断している。その結果、ホログラム記録用感光性基板の透明樹脂基材として用いる場合には、波長550nmで測定した面内位相差Reが50未満、及び波長550nmで測定した厚み方向位相差Rthが100未満の基材であれば、前後の光量変化・偏光状態の変化が光学素子用途の「光学的等方性」の基材として適用可能なレベルであるという結果を得た。
中でも、「光学的等方性」の基材の波長550nmで測定した面内位相差Reは20未満、更に10未満であることが好ましい。また、「光学的等方性」の基材の波長550nmで測定した厚み方向位相差Rthは60未満、更に50未満であることが好ましい。
また、本発明において透明とは、可視光領域における透過率が80%以上であることをいい、90%以上であることが好ましい。ここで、透明樹脂基材の透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
光学的等方性の透明樹脂基材の具体例としては、例えば、酢酸セルロース系樹脂基材;環状オレフィン系樹脂基材;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂基材などが挙げられる。
基材に用いられる酢酸セルロース系樹脂としては、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂、二酢酸セルロース樹脂が挙げられる。また、基材に用いられる環状オレフィン系樹脂としては、環状オレフィンの開環(共)重合体を必要に応じ水素添加した重合体、環状オレフィンの付加(共)重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレン等α−オレフィンとのランダム共重合体、或いは、これら(共)重合体を不飽和カルボン酸やその誘導体等で変性したグラフト変性体などを例示することができる。環状オレフィンは、ノルボルネン、テトラシクロドデセンや、それらの誘導体、例えば、カルボキシル基やエステル基を有するものなどを例示することができる。
また、光学的等方性の透明樹脂基材としては、例えば特許第4140884号公報に記載の非複屈折性光学樹脂材料のような、外部からの作用、例えば、射出成形時、押し出し成形時等に作用する応力の履歴によって高分子結合鎖に配向が生じているにも拘らず、複屈折性の発現が全体として非常に小さく抑えられた樹脂基材を用いることもできる。更に、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン等の固有複屈折値が大きい素材であっても製膜時に分子配向を制御することによって光学的等方性の基材を形成することも可能であり、それらも利用可能である。
中でも、本発明に用いられる光学的等方性の透明樹脂基材としては、酢酸セルロース系樹脂基材;シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー等の環状オレフィン系樹脂基材が、屈折率が1.49〜1.53と1.5付近であり、後述する水溶性高分子やホログラム記録層との屈折率差の小さくできる点から好適に用いられる。隣接する各層の屈折率差が小さいと、各層の界面における光反射が抑制され、ホログラムの記録特性の向上を図ることができる。
本発明において、透明樹脂基材の厚みは、要求される強度などに応じて、適宜設定すればよいが、通常、2〜200μmであることが好ましく、10〜150μmとすることがより好ましい。
本発明に用いられる透明樹脂基材は、従来公知の方法により、親水処理されていてもよい。親水処理することにより、後述する水溶性高分子を主成分として含有する層との密着性が向上する。親水処理法の具体例としては、基材表面にプライマー層として易接着層(ゼラチン等)を設けたり、紫外線等の表面照射を行うことが挙げられる。
[水溶性高分子を主成分として含有する層]
水溶性高分子を主成分として含有する層は、前記透明樹脂基材の少なくとも、ホログラム記録層を積層する側の面に設けられる層である。透明樹脂基材とホログラム記録層の間に、当該水溶性高分子を主成分として含有する層を設けることにより、後述するホログラム記録層形成時に、前記透明樹脂基材がホログラム記録層用樹脂組成物に含まれる有機溶剤と接触することが避けられ、白化することを抑制することができる。
なお、本発明において水溶性高分子を主成分として含有する層とは、当該層中の全成分のうち、少なくとも70質量%以上が水溶性高分子であることをいい、90質量%以上が水溶性高分子であることが、充分な耐溶剤性を付与する点から好ましい。
水溶性高分子を主成分として含有する層は、前記透明樹脂基材の両面に設けることが、ホログラム記録用感光性基板の耐熱性を向上する点から好ましい。
水溶性高分子を主成分として含有する層を透明基材の両面に設けることにより、後述するホログラム記録工程やその他の工程において、加熱工程が含まれる場合においても、前記透明樹脂基材の変形を抑えることができ、ホログラムの歪みが抑制され、ホログラムの記録精度が向上する。
なお、加熱工程や高い耐熱性が不要な場合のホログラム記録用感光性基板の場合には、必ずしも水溶性高分子を主成分として含有する層が、前記透明樹脂基材の両面に設けられていなくても良い。
水溶性高分子を主成分として含有する層は、光学的等方性乃至低複屈折性とすることが好ましい。具体的には、水溶性高分子を主成分として含有する層は、複屈折を抑制し、ホログラムの記録精度及び再現性を向上する点から、波長550nmで測定した面内位相差Reが50未満、及び波長550nmで測定した厚み方向位相差Rthが100未満であることが好ましく、更に、波長550nmで測定した面内位相差Reが20未満、及び波長550nmで測定した厚み方向位相差Rthが60未満であることが好ましい。
水溶性高分子を主成分として含有する層は、容易に光学的等方性乃至低複屈折性とする点から、水溶性高分子を含有する塗工液を前記透明樹脂基材に塗布して、少なくとも乾燥することにより形成することが好ましい。
水溶性高分子を含有する塗工液は、少なくとも、水溶性高分子と、当該水溶性高分子を溶解するための水を含有するものであり、必要に応じて各種添加剤等、更に他の成分を有していてもよいものである。水溶性高分子は1種単独でも2種以上混合して用いても良い。当該塗工液は溶媒として水を用いるため、前記透明樹脂基材を白化することなく、水溶性高分子を主成分として含有する層を形成することができる。
本発明において水溶性高分子とは、25℃の水100gに対して1g以上溶解する高分子をいう。
また、本発明において用いられる水溶性高分子は、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールジアセテート、トルエン、キシレ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メタノール、エタノール、プロパノール、1−ブタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロメタン、及びクロロホルムよりなる群から選択される少なくとも1種の有機溶剤に対して、25℃で0.1(g/100g溶媒)以下の溶解度であることが好ましい。
水溶性高分子の具体例としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。また、天然高分子を用いてもよい。
中でも、屈折率が1.49〜1.53と1.5付近である点、後述するホログラム記録層に用いられる材料と接着性が良好になり易い点、及び、安価である点から、ポリビニルアルコールを用いることが好ましい。
上記水溶性高分子を含有する塗工液の塗布方法は、従来公知の方法から、適宜選択すればよい。例えば、グラビアコート法、リバースコート法、ナイフコート法、ディップコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、カーテンコート法、ダイコート法、キャスティング法、バーコート法、エクストルージョンコート法、E型塗布法などが挙げられる。
水溶性高分子を主成分として含有する層の乾燥後の膜厚は、本発明の効果を損なわない範囲で、適宜設定すればよいが、基材の白化を防ぎ、耐熱性を向上する点から、0.5〜5μmであることが好ましい。
[ホログラム記録層]
本発明のホログラム記録用感光性基板において、ホログラム記録層は、ホログラフィを利用して情報が記録され得る層であり、所定の波長の光を照射すると、その強度に応じて吸光係数や屈折率などの光学特性が変化する材料が用いられる。
本発明のホログラム記録用感光性基板において、ホログラム記録層は、特に限定されることなく、従来公知のホログラム記録層用の材料を適宜選択して用いることができる。
本発明のホログラム記録用感光性基板において、ホログラム記録層は、例えば、体積型ホログラムが記録される層であることが、銀塩材料と比較して現像処理が不要であるなど作製工程が簡単で扱いが易しく、回折効率や回折性能が優れる点から好ましい。
ホログラム記録層を構成する成分としては、フォトポリマー及び必要に応じて適宜選択したその他の成分が含まれる。
フォトポリマーとしては、光照射で重合反応が起こり高分子化するものや、光照射で分解するものなどが挙げられ、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、光重合性化合物と、光重合開始剤系を含有してなり、更に必要に応じて、増感剤、バインダー樹脂等のその他の成分を含有してなる。
ホログラム記録層の構成成分は、公知の材料を任意に用いることができ、より好ましくは体積型ホログラムに用いられる公知の材料を任意に用いることができる。例えば特許第1990893号公報、特許第2849021号公報、特許第2873126号公報、特開2010−191427号公報等に記載されている材料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
以下、ホログラム記録層の構成成分の例として、光重合性化合物、光重合開始剤系、増感剤、バインダー樹脂、その他任意成分について具体的に挙げるが、これらに限定されるものではない。
(光重合性化合物)
光重合性化合物としては、ラジカル重合性化合物及びカチオン重合性化合物の少なくとも1種が好適に用いられ、対応する光ラジカル重合開始剤及び光カチオン重合開始剤の少なくとも1種が組み合わせて用いられる。ラジカル重合性化合物及びカチオン重合性化合物を組み合わせて用いる場合、ホログラム記録層に体積型ホログラムを記録する方法としては、上記ラジカル重合開始剤系が感光するレーザー光又はコヒーレンス性に優れた光の照射によって、ラジカル重合性化合物を重合させた後、カチオン重合開始剤系が感光する上記レーザー光とは別の波長の光を照射する方法が用いられる。
(ラジカル重合性化合物)
上記ラジカル重合性化合物としては、分子中に少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有するものが好適に用いられる。また、ラジカル重合性化合物及びカチオン重合性化合物を組み合わせて用いる場合には、ラジカル重合性化合物の平均屈折率は、後述のカチオン重合性化合物の平均屈折率より大きいことが好ましく、0.02以上大きいことがより好ましい。
ラジカル重合性化合物の具体例としては、例えば、アクリルアミド、2−ブロモスチレン、2−フェノキシエチルアクリレート、2,3−ナフタレンジカルボン酸(アクリロキシエチル)モノエステル、2,4,6−トリブロモフェニルアクリレート、N−ビニルカルバゾール、2−(9−カルバゾリル)エチルアクリレート、トリフェニルメチルチオアクリレート、S−(1−ナフチルメチル)チオアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、メチレンビスアクリルアミド、ジフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジフェン酸(2−アクリロキシエチル)(3−アクリロキシプロピル−2−ヒドロキシ)ジエステル、2,3−ナフタリンジカルボン酸(2−アクリロキシエチル)(3−アクリロキシプロピル−2−ヒドロキシ)ジエステル、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ビス(4−アクリロキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)スルホン、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート及び上記におけるアクリレートをメタクリレートに変えた化合物、更には特開平2−247205号公報や特開平2−261808号公報に記載されているような分子内に少なくともS原子を2個以上含む、エチレン性不飽和二重結合含有化合物が挙げられ、これらの1種以上を使用してよい。
(カチオン重合性化合物)
上記カチオン重合性化合物としては、ラジカル重合性化合物及びカチオン重合性化合物を組み合わせて用いる場合には、ラジカル重合性化合物の重合が比較的低粘度の組成物中で行われることが好ましいという点から、室温で液状のものが好適に用いられる。このようなカチオン重合性化合物の具体例としては、例えば、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、1,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシパーフルオロイソプロピル)シクロヘキサン、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、1,6−ジメチロールパーフルオロヘキサンジグリシジルエーテル、4,4'−ビス(2,3−エポキシプロポキシパーフルオロイソプロピル)ジフェニルエーテル、ビニル−2−クロロエチルエーテル、トリメチロールエタントリビニルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、及び、下記式(1)、下記式(2)で表される化合物等が挙げられ、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Figure 2014010278
(化学式(1)及び化学式(2)中、nは1〜5の整数、mは3又は4であり、Rはエチル基又はヒドロキシメチル基を表す。)
(光重合開始剤系)
本発明において光重合開始剤系とは、単独で光重合開始剤として機能する化合物だけでなく、増感剤と、活性ラジカル発生化合物及び/又は酸発生化合物との組み合わせとしてもよいことを意味する。
(光ラジカル重合開始剤系)
光ラジカル重合開始剤系としては、体積型ホログラムを記録する際に、露光によって活性ラジカルを生成し、該活性ラジカルが前記ラジカル重合性化合物を重合させることができるものであれば特に限定されるものではない。
一般的に用いられる光ラジカル重合開始剤の他、増感剤と、活性ラジカル発生化合物との組み合わせであっても良い。光ラジカル重合開始剤系における増感剤は可視レーザー光を吸収するために色素のような有色化合物が用いられる場合が多いが、無色透明ホログラムとする場合には、シアニン系色素の使用が好ましい。
増感剤と組み合わせて用いてもよい活性ラジカル発生化合物としては、特開昭58−29803号公報、特開平1−287105号公報、特願平3−5569号に記載されているようなジアリールヨードニウム塩類、あるいは2,4,6−置換−1,3,5−トリアジン類が挙げられる。高い感光性が必要なときは、ジアリールヨードニウム塩類の使用が特に好ましい。
(光カチオン重合開始剤系)
光ラジカル重合開始剤系及び光カチオン重合開始剤系が組み合わせて用いられる場合、本発明に用いられる光カチオン重合開始剤系としては、ラジカル重合性化合物を重合させる露光に対しては低感光性で、当該露光と異なる波長の光を照射する後露光に感光してブレンステッド酸あるいはルイス酸を発生し、カチオン重合性化合物を重合させるような開始剤系であれば特に限定されるものではない。なかでも好適な光カチオン重合開始剤系としては、例えばジアリールヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類、鉄アレン錯体類等が挙げられる。
(増感剤)
本発明に用いられる増感剤としては、増感色素が挙げられ、例えば、チオピリリウム塩系色素、メロシアニン系色素、キノリン系色素、スチリルキノリン系色素、ケトクマリン系色素、チオキサンテン系色素、キサンテン系色素、オキソノール系色素、シアニン染料、ローダミン染料、チオピリリウム塩系色素、ピリリウムイオン系色素、ジフェニルヨードニウムイオン系色素等を挙げることができる。
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂は、ホログラム形成前の組成物の成膜性、膜厚の均一性を改善する場合や、光ラジカル重合及び光カチオン重合を組み合わせて用いる場合にレーザー光あるいはコヒーレンス性の優れた光の照射による重合で形成された干渉縞を後露光までの間、安定に存在させるために使用される。本発明に用いられるバインダー樹脂としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、またはその部分加水分解物、ポリ酢酸ビニルまたはその加水分解物、アクリル酸、アクリル酸エステル等の共重合可能なモノマー群の少なくとも1つを重合成分とする共重合体、またはそれらの混合物や、ポリイソプロピレン、ポリブタジエン、ポリクロロピレン、ポリビニルアルコールの部分アセタール化物であるポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等、またはそれらの混合物などを挙げることができる。中でも、加熱時にモノマー移動が容易に移動でき、記録された体積型ホログラムを安定化しやすい点から、バインダー樹脂のガラス転移温度が比較的低いことが好ましい。
(その他の成分)
ホログラム記録層には、必要に応じて熱重合防止剤、シランカップリング剤、可塑剤、着色剤、微粒子などを併用してよい。
ホログラム記録層において、各構成成分は、適宜選択されれば良い。また、ホログラム記録層において、各構成成分の含有割合は、適宜選択されれば良い。
中でも、ホログラム記録層の屈折率が1.45〜1.55と1.5付近とすることが、前述の水溶性高分子を主成分として含有する層や透明樹脂基材との屈折率差を小さくできる点から好ましい。
ホログラム記録層は、通常、後述するような有機溶剤に各成分を溶解乃至分散したホログラム記録層用組成物を調製し、当該ホログラム記録層用組成物を、前記水溶性高分子を主成分として含有する層上に塗布することにより形成される。
ホログラム記録層用組成物に用いられる溶剤は、ホログラム記録層用組成物の各成分と反応せず、各成分を均一に溶解乃至分散し得るものの中から適宜選択すればよい。このような溶剤の具体例としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールジアセテートなどのエステル系溶媒;トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、1−ブタノールなどのアルコール系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒等が挙げられる。本発明においては、このような溶剤の中から、前述の水溶性高分子を主成分として含有する層に用いられた水溶性高分子の溶解度が、25℃で0.1(g/100g溶剤)以下となるように1種以上の溶剤を選択すればよい。
上記ホログラム記録層用組成物の塗布方法は、従来公知の方法から、適宜選択すればよい。具体的には、前記水溶性高分子を含有する塗工液の塗布方法と同様の方法が挙げられる。
ホログラム記録層の膜厚は、所望のホログラムを記録できる範囲で適宜設定すればよいものであり、例えば、0.1〜100μm、好ましくは1〜50μmの範囲で適宜設定すればよい。
[剥離可能な保護層]
本発明に係るホログラム記録用感光性基板においては、乾燥後のホログラム記録層に粘着性がある場合、剥離可能な保護層として、ポリエステルフィルムやポリエチレンフィルム等、通常、例えば基材フィルムとして用いられるようなフィルムをラミネートすることができる。
2.ホログラム記録体
本発明に係るホログラム記録体は、光学的等方性の透明樹脂基材と、
前記透明樹脂基材の少なくとも一方の面に設けられた、水溶性高分子を主成分として含有する層と、
前記透明樹脂基材の一方の面に設けられた前記水溶性高分子を主成分として含有する層の前記透明樹脂基材とは反対側の面に隣接して設けられた、ホログラムを記録するためのホログラム記録層に、ホログラムが記録されたホログラム層とを有することを特徴とする。
前記本発明に係るホログラム記録体は、光学性能に優れたホログラム記録体を得ることができる。
図3は、本発明のホログラム記録体の一例を示す概略図である。図3に例示するように、上記本発明に係るホログラム記録体20は、透明樹脂基材1の一方の面に、水溶性高分子を主成分として含有する層2が設けられ、当該水溶性高分子を主成分として含有する層2の前記透明樹脂基材1とは反対側の面に隣接したホログラム記録層にホログラムが記録されたホログラム層4を備えたものである。
図4は、本発明のホログラム記録体の別の一例を示す概略図である。図4に例示するように、上記本発明に係るホログラム記録体20は、前記透明樹脂基材1の両面に設けられた、水溶性高分子を主成分として含有する層2a及び2bを有し、更に、前記透明樹脂基材1の一方の面に設けられた前記水溶性高分子を主成分として含有する層2aの前記透明樹脂基材1とは反対側の面に隣接したホログラム記録層にホログラムが記録されたホログラム層4を備えたものである。
このように、透明樹脂基材1の両面に、水溶性高分子を主成分として含有する層2a及び2bを配置することによって、加熱時における透明樹脂基材の歪みを抑制することができ、その結果、ホログラムの歪みが抑制され、ホログラムの記録精度がより向上したホログラム記録体を得ることができる。
本発明に係る体積型ホログラム記録体における、透明樹脂基材、水溶性高分子を主成分として含有する層、及び、ホログラム記録層については、上記本発明に係るホログラム記録用感光性基板と同様の構成とすることができるので、ここでの説明を省略する。本発明に係るホログラム記録体は、上記本発明に係るホログラム記録用感光性基板のホログラム記録層に、ホログラムが記録されてなるものであって良い。
[ホログラム記録方法]
ホログラム記録方法としては、特に限定されることなく、公知の方法を適宜選択して用いればよい。例えば、ホログラム記録層は、レーザー光やコヒーレンス性の優れた光、例えば波長300〜1200nmの光による通常のホログラフィー露光装置によって前記光重合性化合物を重合させてその内部に干渉縞が記録される。
なお、記録層を熱や赤外線で処理することで回折効率、回折光のピーク波長、半値巾などを変化させることも出来る。
本発明のホログラム記録体は、従来公知の用途に適用可能であるとともに、特に光学素子用途において好適に用いることができる。光学素子用途としては、例えば、レンズ、回折格子、干渉フィルター、ヘッドアップディスプレイ、三次元ディスプレイ、ヘッドマウントディスプレイ、レーザーディスプレイ、スキャナ、照明装置、光ピックアップ用途等が挙げられる。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
(実施例1:ホログラム記録用感光性基板、及びホログラム記録体の製造)
(1)水溶性高分子を主成分として含有する層の形成
トリアセチルセルロース(TAC)フィルム(商品名:TACクリアフィルム、IPI社製、厚さ130μm)上に、ワイヤーバーを用いて10重量%ポリビニルアルコール(PVA)(商品名:ゴーセノール、日本合成化学社製)水溶液を塗布し、基材をテープ等で固定しながら、100℃で5分間乾燥し、膜厚が1μmのPVA層を形成した。
TACフィルムの他方の面も同様にして、PVA層を形成し、両面にPVA層が設けられたTACフィルムを得た。
なお、当該両面にPVA層が設けられたTACフィルムの波長550nmで測定した面内位相差Reは3nm、波長550nmで測定した厚み方向位相差Rthは46nmであった。これにより、TACフィルムもPVA層のいずれも光学的等方性であると判断される。
なお、上記面内位相差及び厚み方向位相差は、偏光位相差解析システムAxoscan(オプトサイエンス社)を用いて測定した。
(2)ホログラム記録層の形成
上記(1)で得られた両面にPVA層が設けられたTACフィルムの一方の面に、下記ホログラム記録層形成用組成物1を、アプリケーターを用いて、乾燥後の膜厚が10μmとなるように塗工した後、製版ガラスにラミネートして、ホログラム記録層とし、実施例1のホログラム記録用感光性基板を得た。
<ホログラム記録層形成用組成物1の組成>
・ポリ酢酸ビニル(ポリスチレン換算重量平均分子量:10万):100重量部
・1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス製EX−212):70重量部
・ジフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート(大阪ガス製、BPEFA):80重量部
・ジアリールヨードニウム塩(ローディア製、PI2074):5重量部
・2,5−ビス−(4−ジエチルアミノベンジリデン)シクロペンタノン:1重量部
・1−ブタノール:30重量部
・メチルエチルケトン:30重量部
(3)ホログラム記録体の製造
(2)で得られた実施例1のホログラム記録用感光性基板に対して、波長532nmのDPSSレーザーを用いて、各光束の強度を1mW/cmとして、50秒間干渉露光を行った。その際、光線の入射角は、各ホログラム記録用感光性基板の基板面の法線方向から30度の角度とした。次いで、紫外線全面照射により、ホログラム記録層を固定し、干渉縞が記録されたホログラム記録層を有する実施例1のホログラム記録体を得た。
(実施例2:ホログラム記録用感光性基板、及びホログラム記録体の製造)
実施例1の水溶性高分子を主成分として含有する層の形成において、膜厚が0.5μmのPVA層を形成した以外は、実施例1と同様にして、ホログラム記録用感光性基板、及びホログラム記録体の製造を行った。
(実施例3:ホログラム記録用感光性基板、及びホログラム記録体の製造)
実施例1の水溶性高分子を主成分として含有する層の形成において、膜厚が2μmのPVA層を形成した以外は、実施例1と同様にして、ホログラム記録用感光性基板、及びホログラム記録体の製造を行った。
(実施例4:ホログラム記録用感光性基板、及びホログラム記録体の製造)
実施例1の水溶性高分子を主成分として含有する層の形成において、膜厚が5μmのPVA層を形成した以外は、実施例1と同様にして、ホログラム記録用感光性基板、及びホログラム記録体の製造を行った。
(実施例5:ホログラム記録用感光性基板、及びホログラム記録体の製造)
(1)水溶性高分子を主成分として含有する層の形成
実施例1の(1)において、TACフィルムの代わりに、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルムを用いた以外は、実施例1の(1)と同様にして、両面にPVA層が設けられたCOPフィルムを得た。
なお、当該両面にPVA層が設けられたCOPフィルムの波長550nmで測定した面内位相差Reは6nm、波長550nmで測定した厚み方向位相差Rthは8nmであった。これにより、COPフィルムもPVA層のいずれも光学的等方性であると判断される。
(2)ホログラム記録層の形成
実施例1の(2)において、両面にPVA層が設けられたTACフィルムの代わりに、(1)で得られた両面にPVA層が設けられたCOPフィルムを用いた以外は、実施例1の(2)と同様にして、実施例5のホログラム記録用感光性基板を得た。
(3)ホログラム記録体の製造
実施例1の(3)において、実施例1のホログラム記録用感光性基板の代わりに、実施例5のホログラム記録用感光性基板を用いた以外は、実施例1の(3)と同様にして、実施例5のホログラム記録体を得た。
(実施例6:ホログラム記録用感光性基板、及びホログラム記録体の製造)
(1)水溶性高分子を主成分として含有する層の形成
実施例1の(1)と同様の方法により、片面のみにPVA層が設けられたTACフィルムを得た。
(2)ホログラム記録層の形成
実施例1の(2)において、両面にPVA層が設けられたTACフィルムの代わりに、(1)で得られた片面のみにPVA層が設けられたTACフィルムを用い、PVA層が設けられた側の面に、上記ホログラム記録層形成用組成物1を塗工した以外は、実施例1の(2)と同様にして、実施例6のホログラム記録用感光性基板を得た。
(3)ホログラム記録体の製造
実施例1の(3)において、実施例1のホログラム記録用感光性基板の代わりに、実施例6のホログラム記録用感光性基板を用いた以外は、実施例1の(3)と同様にして、実施例6のホログラム記録体を得た。
(比較例1:比較ホログラム記録用感光性基板、及び比較ホログラム記録体の製造)
(1)比較ホログラム記録用感光性基板の製造
実施例1の(2)において、両面にPVA層が設けられたTACフィルムの代わりに、PVA層が設けられていないTACフィルムを用いた以外は、実施例1の(2)と同様にして、比較例1の比較ホログラム記録用感光性基板を得た。
(2)比較ホログラム記録体の製造
実施例1の(3)において、実施例1のホログラム記録用感光性基板の代わりに、比較例1の比較ホログラム記録用感光性基板を用いた以外は、実施例1の(3)と同様にして、比較例1の比較ホログラム記録体を得た。
[白化の評価]
実施例1〜6及び比較例1で得られたホログラム記録体の透明樹脂基材を、目視で観察した。結果を表1に示す。
<白化の評価基準>
○:白化が認められなかった。
×:白化が認められた。
[耐熱性の評価]
上記白化の評価において白化が認められなかった、実施例1〜6のホログラム記録体を100℃で15分間加熱した。放冷後、ホログラム面を目視で観察した。結果を表1に示す。
なお、耐熱性がなくても実用上問題なく使用することが可能であるが、加熱により、ホログラム記録層中の未反応モノマーの重合を促進することができるため、ホログラム記録体が耐熱性を有することは実用上好ましい。
<耐熱性の評価基準>
○:ホログラム面の歪みが認められなかった。
×:ホログラム面の歪みが認められた。
[屈折率変調量(Δn)評価]
実施例1〜5の100℃で15分間加熱したホログラム記録体について、それぞれ、屈折率変調量(Δn)を以下のようにして求めた。結果を表1に示す。
なお、実施例6は、100℃で15分間加熱後、ホログラム面のひずみが認められたため、加熱前の屈折率変調量を示す。また、比較例1のホログラムは、白化が認められたため、屈折率変調量を測定することができなかった。
<Δnの計算方法>
実施例1〜6及び比較例1のホログラム記録体それぞれについて、分光光度計((株)島津製作所製、UV−2450)を用いて透過率を測定し、300−800nmの範囲で分光透過率曲線を得た。得られた分光透過率曲線において、ピーク透過率A及びベース透過率Bを求め、下記式(1)により、回折効率ηを得た。
回折効率η = |B−A|/B 式(1)
次いで、式(1)で得られた回折効率ηの値を用いて、Kogelnik理論式(下記式(2))によりΔnを算出した。
η = tanh(π(Δn)d/λcosθ) 式(2)
(式(2)中、dはホログラム記録層の膜厚(μm)、λは記録レーザー波長(nm)、θは記録レーザー光のホログラム記録層への入射角度である。)
Figure 2014010278
水溶性高分子を主成分として含有する層上にホログラム記録層が設けられた、実施例1〜6のホログラム記録用感光性基板は、基材が白化せず、ホログラムの記録精度に優れることが明らかとなった。また、水溶性高分子を主成分として含有する層を透明樹脂基材の両面に設けた実施例1〜5は、片面にのみ有する実施例6と比較して、耐熱性にも優れていることが明らかとなった。
1 透明樹脂基材
2 水溶性高分子を主成分として含有する層
2a及び2b 水溶性高分子を主成分として含有する層
3 ホログラム記録層
4 ホログラム層
10 ホログラム記録用感光性基板
20 ホログラム記録体

Claims (4)

  1. 光学的等方性の透明樹脂基材と、
    前記透明樹脂基材の少なくとも一方の面に設けられた、水溶性高分子を主成分として含有する層と、
    前記透明樹脂基材の一方の面に設けられた前記水溶性高分子を主成分として含有する層の前記透明樹脂基材とは反対側の面に隣接して設けられた、ホログラムを記録するためのホログラム記録層とを有する、ホログラム記録用感光性基板。
  2. 前記水溶性高分子を主成分として含有する層は、波長550nmで測定した面内位相差Reが50未満、及び波長550nmで測定した厚み方向位相差Rthが100未満である、請求項1に記載のホログラム記録用感光性基板。
  3. 前記透明樹脂基材の両面に、水溶性高分子を主成分として含有する層を有する、請求項1又は2に記載のホログラム記録用感光性基板。
  4. 光学的等方性の透明樹脂基材と、
    前記透明樹脂基材の少なくとも一方の面に設けられた、水溶性高分子を主成分として含有する層と、
    前記透明樹脂基材の一方の面に設けられた前記水溶性高分子を主成分として含有する層の前記透明樹脂基材とは反対側の面に隣接して設けられた、ホログラムを記録するためのホログラム記録層に、ホログラムが記録されたホログラム層とを有する、ホログラム記録体。
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