JP6064468B2 - 光学モジュール及び電子機器 - Google Patents
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Description
このような波長可変干渉フィルターでは、電極間に電圧を印加することで、ダイヤフラムを変形させ、可動部を第一基板に対して進退させることで、ギャップを調整することが可能となる。
したがって、従来、このような波長可変干渉フィルターを用いた分光測定装置では、可動部の振動が静止して目的波長の光が取り出されるまでに待機する必要があるという課題があった。
上記の本発明に係る光学モジュールは、第一基板と、前記第一基板に対向して配置された第二基板と、前記第一基板に設けられた第一反射膜と、前記第二基板に設けられ、前記第一反射膜に対向して配置された第二反射膜と、電圧印加により前記第二基板を前記第一基板側に撓ませて、前記第一反射膜と前記第二反射膜との間のギャップ量を変化させるギャップ量変更部と、前記第一反射膜と前記第二反射膜との間に入射した光を干渉させ、目的波長の光を取り出すための目的電圧として一次遅れ波形の電圧を前記ギャップ量変更部に印加する一次遅れ波形印加部と、を備えたことを特徴とする。
また、目的電圧の印加後に最初に第二基板に作用する作用力は、目的電圧の印加が開始されてからギャップ量変更部の電圧が目的電圧に到達するまでの時間が短いほど、大きくなる。その結果、復元力も大きくなり、第二基板の最初の振幅も大きくなる。
このため、目的電圧の印加が開始されてから、ギャップ量変更部の電圧が目的電圧に到達するまでの時間を、矩形波形の目的電圧を印加する場合と比べて、長くすることができる。したがって、目的電圧の印加後に最初に第二基板に作用する作用力を、矩形波形の目的電圧を印加する場合と比べて小さくすることができ、この作用力に対応する復元力も小さくすることができる。その結果、第二基板の最初の振幅を小さくすることができ、第一反射膜及び第二反射膜から、目的波長の光を安定して取り出せることができるまでの時間(安定化時間)を短くすることができる。
更に、一次遅れ波形印加部としてパッシブ制御を行う一次遅れ回路を用いれば、上記の効果を奏することができる上、アクティブ制御を行う構成と比べて、安価でかつ簡単な構成とすることができる。
本発明では、一次遅れ波形印加部のカットオフ周波数を第二基板の固有振動数の0.065倍以下の周波数に設定し、時定数をカットオフ周波数に基づき設定することで、固有振動数での振動を抑え安定化時間を短縮することができる。
[分光測定装置の構成]
図1は、本発明に係る分光測定装置の概略構成を示すブロック図である。図2は、一次遅れ回路の時定数と波長可変干渉フィルターの安定化時間との関係を示す図である。
分光測定装置1は、測定対象Xで反射された測定対象光における各波長の光強度を分析し、分光スペクトルを測定する電子機器である。
この分光測定装置1は、図1に示すように、波長可変干渉フィルター5と、ディテクター11(検出部)と、I−V変換器12と、アンプ13と、A/D変換器14と、電圧印加部15と、本発明の一次遅れ波形印加部を構成する一次遅れ回路16と、制御部20と、を備えている。
I−V変換器12は、ディテクター11から入力された検出信号を電圧値に変換し、アンプ13に出力する。
アンプ13は、I−V変換器12から入力された検出信号に応じた電圧(検出電圧)を増幅する。
A/D変換器14は、アンプ13から入力された検出電圧(アナログ信号)をデジタル信号に変換し、制御部20に出力する。
電圧印加部15は、制御部20の制御に基づいて、一次遅れ回路16に矩形波形の駆動電圧を印加する。
一次遅れ回路16は、例えば、RC(抵抗−キャパシタンス)回路にて構成されている。一次遅れ回路16は、電圧印加部15から印加される矩形波形の駆動電圧を一次遅れ波形の駆動電圧に変換して、波長可変干渉フィルター5の後述する静電アクチュエーター56に対して印加する。
本実施形態では、可動基板52の固有振動数は、10kHzに設定されている。このため、カットオフ周波数fcは、0.65kHz以下に設定される。
また、カットオフ周波数fcと時定数τとの関係は、以下の式(1)で表される。このことから、時定数τは、0.245ms以上に設定される。
本実施形態では、カットオフ周波数fcは、可動基板52の固有振動数の0.045倍の大きさである0.45kHzに設定されている。また、時定数τは、0.354msに設定されている。
fc=1/(2πτ) … (1)
ここで、分光測定装置1に組み込まれる波長可変干渉フィルター5について、以下説明する。図3は、波長可変干渉フィルターの概略構成を示す平面図である。図4は、図3をIII−III線で断面した際の断面図である。
波長可変干渉フィルター5は、図3に示すように、例えば矩形板状の光学部材である。この波長可変干渉フィルター5は、図4に示すように、固定基板51および可動基板52を備えている。これらの固定基板51及び可動基板52は、それぞれ各種ガラスや水晶等により形成されている。そして、これらの固定基板51及び可動基板52は、固定基板51の第一接合部513及び可動基板の第二接合部523が、例えばシロキサンを主成分とするプラズマ重合膜などにより構成された接合膜53(第一接合膜531及び第二接合膜532)により接合されることで、一体的に構成されている。
また、波長可変干渉フィルター5は、図1に示すように、内部空間が真空環境(又は大気圧よりも減圧された環境)に維持された筐体50内に収納されて、分光測定装置1に組み込まれている。この筐体50は、例えば、波長可変干渉フィルター5に設けられた後述する固定電極パッド563P及び可動電極パッド564Pと接続される内部電極と、内部電極と電気的に接続され、筐体50外部に設けられる外部電極とを備える。これにより、筐体50の外部電極を一次遅れ回路16に接続することで、筐体50内部を真空(減圧)に維持した状態で、波長可変干渉フィルターを駆動させることができる。
また、この筐体50は、波長可変干渉フィルター5の後述する固定反射膜54及び可動反射膜55に対向する位置に、光透過部50Aを有し、この光透過部50Aを介して波長可変干渉フィルター5への入射光の入射、波長可変干渉フィルター5を透過した光に射出が可能となる。
ここで、波長可変干渉フィルター5、一次遅れ回路16及び筐体50により本発明の光学モジュールが構成されている。
また、波長可変干渉フィルター5を固定基板51(可動基板52)の基板厚み方向から見た図3に示すようなフィルター平面視において、固定基板51及び可動基板52の平面中心点Oは、固定反射膜54及び可動反射膜55の中心点と一致し、かつ後述する可動部521の中心点と一致する。
なお、以降の説明に当たり、固定基板51又は可動基板52の基板厚み方向から見た平面視、つまり、固定基板51、接合膜53、及び可動基板52の積層方向から波長可変干渉フィルター5を見た平面視を、フィルター平面視と称する。
固定基板51には、図4に示すように、エッチングにより電極配置溝511および反射膜設置部512が形成されている。この固定基板51は、可動基板52に対して厚み寸法が大きく形成されており、固定電極561および可動電極562間に電圧を印加した際の静電引力や、固定電極561の内部応力による固定基板51の撓みはない。
また、固定基板51の頂点C1には、切欠部514が形成されており、波長可変干渉フィルター5の固定基板51側に、後述する可動電極パッド564Pが露出する。
また、固定基板51には、電極配置溝511から、固定基板51の外周縁の頂点C1,頂点C2に向かって延出する電極引出溝511Bが設けられている。
そして、固定基板51には、固定電極561の外周縁から、頂点C2方向に延出する固定引出電極563が設けられている。この固定引出電極563の延出先端部(固定基板51の頂点C2に位置する部分)は、一次遅れ回路16に接続される固定電極パッド563Pを構成する。
なお、本実施形態では、電極設置面511Aに1つの固定電極561が設けられる構成を示すが、例えば、平面中心点Oを中心とした同心円となる2つの電極が設けられる構成(二重電極構成)などとしてもよい。
この反射膜設置部512には、図4に示すように、固定反射膜54が設置されている。この固定反射膜54としては、例えばAg等の金属膜や、Ag合金等の合金膜を用いることができる。また、例えば高屈折層をTiO2、低屈折層をSiO2とした誘電体多層膜を用いてもよい。更に、誘電体多層膜上に金属膜(又は合金膜)を積層した反射膜や、金属膜(又は合金膜)上に誘電体多層膜を積層した反射膜、単層の屈折層(TiO2やSiO2等)と金属膜(又は合金膜)とを積層した反射膜などを用いてもよい。
可動基板52は、図3に示すようなフィルター平面視において、平面中心点Oを中心とした円形状の可動部521と、可動部521と同軸であり可動部521を保持する保持部522と、保持部522の外側に設けられた基板外周部525と、を備えている。
また、可動基板52には、図3に示すように、頂点C2に対応して、切欠部524が形成されており、波長可変干渉フィルター5を可動基板52側から見た際に、固定電極パッド563Pが露出する。
なお、固定基板51と同様に、可動部521の固定基板51とは反対側の面には、反射防止膜が形成されていてもよい。このような反射防止膜は、低屈折率膜および高屈折率膜を交互に積層することで形成することができ、可動基板52の表面での可視光の反射率を低下させ、透過率を増大させることができる。
可動反射膜55は、可動部521の可動面521Aの中心部に、固定反射膜54とギャップG1を介して対向して設けられる。この可動反射膜55としては、上述した固定反射膜54と同一の構成の反射膜が用いられる。
なお、本実施形態では、上述したように、電極間ギャップG2のギャップ量がギャップG1のギャップ量よりも大きい例を示すがこれに限定されない。例えば、測定対象光として赤外線や遠赤外線を用いる場合等、測定対象光の波長域によっては、ギャップG1のギャップ量が、電極間ギャップG2のギャップ量よりも大きくなる構成としてもよい。
なお、本実施形態では、ダイヤフラム状の保持部522を例示するが、これに限定されず、例えば、平面中心点Oを中心として、等角度間隔で配置された梁状の保持部が設けられる構成などとしてもよい。
図1に戻り、分光測定装置1の制御部20について、説明する。
制御部20は、本発明の処理部に相当し、例えばCPUやメモリー等が組み合わされることで構成され、分光測定装置1の全体動作を制御する。この制御部20は、図1に示すように、フィルター駆動部21と、光量取得部22と、分光測定部23と、を備えている。
また、制御部20は、各種データを記憶する記憶部30を備える。この記憶部30は、波長可変干渉フィルター5の静電アクチュエーター56に印加する駆動電圧に対する、当該波長可変干渉フィルター5を透過する光の波長の関係を示すV−λデータを記憶する。
ここで、フィルター駆動部21は、記憶部30に記憶されたV−λデータから、測定対象である目的波長に対応した駆動電圧を読み出し、読み出した駆動電圧を静電アクチュエーター56に印加する。
分光測定部23は、光量取得部22により取得された光量に基づいて、測定対象光のスペクトル特性を測定する。
以上のような波長可変干渉フィルター5では、固定電極パッド563P及び可動電極パッド564Pがそれぞれ一次遅れ回路16を介して電圧印加部15に接続されている。したがって、電圧印加部15及び一次遅れ回路16により、固定電極561及び可動電極562間に一次遅れ波形の電圧が印加されることで、静電引力により可動部521が固定基板51側に変位する。これにより、ギャップG1のギャップ量を所定量に変更することが可能となる。
図5は、本実施形態において、静電アクチュエーター56に印加された駆動電圧の波形を示す図である。
図5において、V1は、制御部20により設定された第一目的電圧を示す。また、第一目的電圧の値は、静電アクチュエーター56の駆動により、第一波長の光が波長可変干渉フィルター5を透過するような大きさに設定されている。
このとき、静電アクチュエーター56の電圧値は、一次遅れ回路16を介して制御されるため、徐々に小さくなり、時刻T3からτだけ経過した時刻T4において、第一目的電圧V1の0.37倍の大きさとなる。その後、静電アクチュエーター56の電圧値は、徐々に小さくなり、時刻T5において0となる。すなわち、静電アクチュエーター56の電圧値は、一次遅れ波形状に小さくなる。
本実施形態の分光測定装置1では、一次遅れ回路16により、静電アクチュエーター56に対して一次遅れ波形の目的電圧を印加する。
これにより、矩形波形の目的電圧を印加する場合と比べて、目的電圧の印加後に最初に可動基板52に作用する作用力を、矩形波形の目的電圧を印加する場合と比べて小さくすることができ、この作用力に対応する復元力も小さくすることができる。したがって、可動基板52の最初の振幅を小さくすることができ、安定化時間を短くすることができる。
更に、パッシブ制御を行う一次遅れ回路16を設けるだけで上記の効果を奏することができ、アクティブ制御を行う構成と比べて、安価でかつ簡単な構成とすることができる。
これにより、例えば、固有振動数が10kHzの可動基板52に対して、一次遅れ回路16のカットオフ周波数を可動基板52の固有振動数よりも十分に小さい0.45kHzに設定し、時定数τを0.354msに設定することで、可動基板52の共振ピーク周波数における励振を抑制でき、安定化時間を短縮することができる。
これにより、可動部521が変位した際の可動部521の変形を抑制でき、可動部521に設けられる可動反射膜55の撓みを抑制できる。したがって、固定反射膜54及び可動反射膜55の平行度を維持することができ、可動部521が変位した際の分解能の低下を抑制できる。
このような筐体50内に収納した状態、つまり真空下で波長可変干渉フィルター5を駆動させることで、電圧印加時に可動部521に空気抵抗による応力が作用しない。したがって、電圧印加時における応答性を向上させることができる。また、通常は、このように真空下に波長可変干渉フィルター5を配置することで、可動部521に振動が収束しにくくなるが、本発明では、上記のように一次遅れ波形の目的電圧を印加することで、振動を迅速に収束させることができる。したがって、本実施形態では、波長可変干渉フィルター5の応答性の向上と、安定化時間の短縮との双方を図ることができる。
これにより、可動基板52の印加電圧を下げる際に、可動基板52の振動を迅速に収束させることができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
図6は、静電アクチュエーター56に印加された駆動電圧の波形を示す図である。
図6において、Vn(nは、自然数(0を除く))は、制御部20により設定された第n目的電圧を示す。また、第n目的電圧の値は、静電アクチュエーター56の駆動により、第n波長の光が波長可変干渉フィルター5を透過するような大きさに設定されている。
その後、制御部20は、静電アクチュエーター56に印加する電圧を第n目的電圧Vnだけ上げ、一次遅れ波形の第n目的電圧Vnを印加し、第n波長の光を取り出す制御を順次繰り返す。
また、制御部20は、静電アクチュエーター56に印加する電圧を下げる際、上記の電圧を上げるときの制御と逆の制御を行う。これにより、静電アクチュエーター56の電圧値は、一次遅れ波形状に順次小さくなる。
例えば、固定電極561の代わりに、第一誘電コイルを配置し、可動電極562の代わりに第二誘電コイル又は永久磁石を配置した誘電アクチュエーターを用いる構成としてもよい。
更に、静電アクチュエーター56の代わりに圧電アクチュエーターを用いる構成としてもよい。この場合、例えば保持部522に下部電極層、圧電膜、および上部電極層を積層配置させ、下部電極層および上部電極層の間に印加する電圧を入力値として可変させることで、圧電膜を伸縮させて保持部522を撓ませることができる。また、圧電素子を用いたギャップ量の調整では、圧電素子への印加電圧とギャップ量とが比例関係となるため、より容易に波長可変干渉フィルター5を駆動させることができる。
図7は、光学モジュールを構成する波長可変干渉フィルターを備えた測色装置400の一例を示す概略図である。
この測色装置400は、図7に示すように、検査対象Aに光を射出する光源装置410と、測色センサー420(光学モジュール)と、測色装置400の全体動作を制御する制御装置430とを備える。そして、この測色装置400は、光源装置410から射出される光を検査対象Aにて反射させ、反射された検査対象光を測色センサー420にて受光し、測色センサー420から出力される検出信号に基づいて、検査対象光の色度、すなわち検査対象Aの色を分析して測定する装置である。
この制御装置430としては、例えば汎用パーソナルコンピューターや、携帯情報端末、その他、測色専用コンピューターなどを用いることができる。そして、制御装置430は、図7に示すように、光源制御部431、測色センサー制御部432、および測色処理部433などを備えて構成されている。
光源制御部431は、光源装置410に接続され、例えば利用者の設定入力に基づいて、光源装置410に所定の制御信号を出力して、所定の明るさの白色光を射出させる。
測色センサー制御部432は、測色センサー420に接続され、例えば利用者の設定入力に基づいて、測色センサー420にて受光させる光の波長を設定し、この波長の光の受光量を検出する旨の制御信号を測色センサー420に出力する。これにより、測色センサー420の電圧印加部15は、制御信号に基づいて、一次遅れ回路16を介して静電アクチュエーター56に一次遅れ波形の電圧を印加し、波長可変干渉フィルター5を駆動させる。
測色処理部433は、ディテクター11により検出された受光量から、検査対象Aの色度を分析する。
このようなガス検出装置の一例を以下に図面に基づいて説明する。
図9は、図8のガス検出装置の制御系の構成を示すブロック図である。
このガス検出装置100は、図8に示すように、センサーチップ110と、吸引口120A、吸引流路120B、排出流路120C、及び排出口120Dを備えた流路120と、本体部130と、を備えて構成されている。
本体部130は、流路120を着脱可能な開口を有するセンサー部カバー131、排出手段133、筐体134、光学部135、フィルター136、波長可変干渉フィルター5、及び受光素子137(検出部)等を含む検出装置と、検出された信号を処理し、検出部を制御する制御部138、電力を供給する電力供給部139等から構成されている。また、光学部135は、光を射出する光源135Aと、光源135Aから入射された光をセンサーチップ110側に反射し、センサーチップ側から入射された光を受光素子137側に透過するビームスプリッター135Bと、レンズ135C,135D,135Eと、により構成されている。
また、図9に示すように、ガス検出装置100の表面には、操作パネル140、表示部141、外部とのインターフェイスのための接続部142、電力供給部139が設けられている。電力供給部139が二次電池の場合には、充電のための接続部143を備えてもよい。
更に、ガス検出装置100の制御部138は、図9に示すように、CPU等により構成された信号処理部144、光源135Aを制御するための光源ドライバー回路145、波長可変干渉フィルター5を制御するための電圧印加部146A及び一次遅れ回路146B、受光素子137からの信号を受信する受光回路147、センサーチップ110のコードを読み取り、センサーチップ110の有無を検出するセンサーチップ検出器148からの信号を受信するセンサーチップ検出回路149、及び排出手段133を制御する排出ドライバー回路150などを備えている。
本体部130の上部のセンサー部カバー131の内部には、センサーチップ検出器148が設けられており、このセンサーチップ検出器148でセンサーチップ110の有無が検出される。信号処理部144は、センサーチップ検出器148からの検出信号を検出すると、センサーチップ110が装着された状態であると判断し、表示部141へ検出動作を実施可能な旨を表示させる表示信号を出す。
これらのレイリー散乱光やラマン散乱光は、光学部135を通ってフィルター136に入射し、フィルター136によりレイリー散乱光が分離され、ラマン散乱光が波長可変干渉フィルター5に入射する。そして、信号処理部144は、電圧印加部146Aを制御し、一次遅れ回路146Bを介して波長可変干渉フィルター5に印加する一次遅れ波形の電圧を調整し、検出対象となるガス分子に対応したラマン散乱光を波長可変干渉フィルター5で分光させる。この後、分光した光が受光素子137で受光されると、受光量に応じた受光信号が受光回路147を介して信号処理部144に出力される。
信号処理部144は、上記のようにして得られた検出対象となるガス分子に対応したラマン散乱光のスペクトルデータと、ROMに格納されているデータとを比較し、目的のガス分子か否かを判定し、物質の特定をする。また、信号処理部144は、表示部141にその結果情報を表示させたり、接続部142から外部へ出力したりする。
以下に、上記物質成分分析装置の一例として、食物分析装置を説明する。
この食物分析装置200は、図10に示すように、検出器210(光学モジュール)と、制御部220と、表示部230と、を備えている。検出器210は、光を射出する光源211と、測定対象物からの光が導入される撮像レンズ212と、撮像レンズ212から導入された光を分光する波長可変干渉フィルター5と、分光された光を検出する撮像部213(検出部)と、を備えている。
また、制御部220は、光源211の点灯・消灯制御、点灯時の明るさ制御を実施する光源制御部221と、波長可変干渉フィルター5を制御する電圧印加部222A及び一次遅れ回路222Bと、撮像部213を制御し、撮像部213で撮像された分光画像を取得する検出制御部223と、信号処理部224と、記憶部225と、を備えている。
そして、信号処理部224は、上述のようにして得られた検査対象の食物の成分や含有量、カロリーや鮮度等の情報を表示部230に表示させる処理をする。
更には、鉱物の成分分析を実施する鉱物分析装置としても用いることができる。
例えば、各波長の光の強度を経時的に変化させることで、各波長の光でデータを伝送させることも可能であり、この場合、光学モジュールに設けられた波長可変干渉フィルターにより特定波長の光を分光し、受光部で受光させることで、特定波長の光により伝送されるデータを抽出することができ、このようなデータ抽出用光学モジュールを備えた電子機器により、各波長の光のデータを処理することで、光通信を実施することもできる。
図11は、光学モジュールを構成する波長可変干渉フィルターを備えた分光カメラの概略構成を示す模式図である。分光カメラ300は、図11に示すように、カメラ本体310と、撮像レンズユニット320と、撮像部330(検出部)とを備えている。
カメラ本体310は、利用者により把持、操作される部分である。
撮像レンズユニット320は、カメラ本体310に設けられ、入射した画像光を撮像部330に導光する。また、この撮像レンズユニット320は、図11に示すように、対物レンズ321、結像レンズ322、及びこれらのレンズ間に設けられた波長可変干渉フィルター5を備えて構成されている。
撮像部330は、受光素子により構成され、撮像レンズユニット320により導光された画像光を撮像する。
このような分光カメラ300では、波長可変干渉フィルター5により撮像対象となる波長の光を透過させることで、所望波長の光の分光画像を撮像することができる。
また、本発明の光学モジュールを構成する波長可変干渉フィルターを生体認証装置として用いてもよく、例えば、近赤外領域や可視領域の光を用いた、血管や指紋、網膜、虹彩などの認証装置にも適用できる。
Claims (5)
- 第一基板と、
前記第一基板に対向して配置された第二基板と、
前記第一基板に設けられた第一反射膜と、
前記第二基板に設けられ、前記第一反射膜に対向する第二反射膜と、
電圧を印加することにより前記第二基板を前記第一基板の側に撓ませて、前記第一反射膜と前記第二反射膜との間のギャップ量を変化させるギャップ量変更部と、
前記電圧として一次遅れ波形の電圧を前記ギャップ量変更部に印加する一次遅れ波形印加部と、
を含み、
前記一次遅れ波形印加部の時定数は、前記第二基板の固有振動数に基づくことを特徴とする光学モジュール。 - 請求項1に記載の光学モジュールにおいて、
前記一次遅れ波形印加部のカットオフ周波数は、前記第二基板の固有振動数の0.065倍以下の周波数であり、
前記時定数は、前記カットオフ周波数に基づくことを特徴とする光学モジュール。 - 請求項1または請求項2のいずれかに記載の光学モジュールにおいて、
前記第二基板は、前記第一基板側に変位可能な可動部と、前記可動部を保持する保持部と、を有し、
前記第二反射膜は、前記可動部に配置されていることを特徴とする光学モジュール。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の光学モジュールにおいて、
前記第一基板、前記第二基板、前記第一反射膜、前記第二反射膜及び前記ギャップ量変更部を収納する筐体をさらに含み、
前記筐体の内部は、大気圧よりも減圧されていることを特徴とする光学モジュール。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載の光学モジュールと、
前記第一反射膜及び前記第二反射膜からの光に基づいて所定の処理を実施する処理部と、
を含むことを特徴とする電子機器。
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