JP6061983B2 - 放電装置 - Google Patents
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Description
従って、放電装置は蓄電素子の電荷を放電させる際には、スイッチ素子の通電電流を抑制しスイッチ素子が熱破壊に至ることを回避しなければならない。
また、特許文献1に記載の放電装置の実施の形態では、放電制御時に、通常時と比較して、スイッチ素子の通電電流の限界電流Icmaxよりも低くなる領域(電流の飽和領域)のスイッチ素子駆動電圧を供給(スイッチ素子駆動電圧の低減を行い供給)することで、スイッチ素子の通電電流を抑制することができる。従って、蓄電素子を放電させる際に、スイッチ素子の通電電流を抑制し、スイッチ素子が熱破壊に至ることを回避している。
この特許文献1においては、電圧駆動型のスイッチ素子(例えばMOSFETやIGBT)が示されており、この場合、オン時間(電流上昇時間)trは、スイッチ素子入力抵抗Rg、スイッチ素子入力容量Ciss、スイッチ素子駆動電圧Vg、スイッチ素子オン電圧閾値Vth、スイッチ素子通電電流Ic、スイッチ素子伝達係数gmとすれば、式1にて表すことができ、任意の電流値をIcに入力すれば、電流上昇時間trを求めることが出来る。
一方、スイッチ素子には、個体差やスイッチ素子駆動電圧電源回路の部品のバラつきにより、オン電圧閾値およびスイッチ素子駆動電圧は一般的にバラつくことになる。
このため、特許文献1記載の放電装置では、予め設定したスイッチ素子オン電圧閾値Vthが大きい場合、もしくはスイッチ素子駆動電圧Vgが小さい場合、規定したオン時間trが大きくなり、想定していたスイッチ素子通電電流よりも大きくなる。結果として、オン電圧閾値Vthおよびスイッチ素子駆動電圧Vgにバラつきがある場合、蓄電素子を放電させる際にスイッチ素子通電電流を抑制できず、スイッチ素子が想定以上に加熱するという問題が生じる。
また、前述のバラつきにより、スイッチ素子駆動電圧Vgを低く設定する場合、オン電圧閾値Vthが高く、スイッチ素子駆動電圧Vgが任意に設定したスイッチ素子駆動電圧Vgよりもさらに低い場合、(オン電圧閾値Vth)>(スイッチ素子駆動電圧Vg)となりスイッチ素子が駆動せず、放電ができない可能性もある。
前記制御手段は、前記スイッチ素子の通電電流が前記スイッチ素子の限界電流になるまでの前記電流上昇時間trの間、オンの指示を前記定電流出力手段に出力し、前記蓄電素子を短絡状態として放電させるようにし、前記電流上昇時間trに達したら、オフ信号を前記定電流出力手段に出力し、前記スイッチ素子をオフすることによって、前記蓄電素子の放電を停止するようにしたものである。
図1は、本発明の実施の形態1に係る放電装置の一例を説明する回路図である。本実施の形態1における放電装置は、蓄電素子4に対して、制御手段1、定電流出力手段2、およびスイッチ素子3により構成されている。
(1)蓄電素子4は、エネルギーが充電された状態である。
(2)定電流出力手段2は、制御手段1から制御信号を受け、出力をしていない。
(3)スイッチ素子3は、定電流出力手段2からの電流出力がないためオフ状態である。
(手順1)
まず、制御手段1は、定電流出力手段2へオン制御信号を出力する。
次に、制御手段1は、電流上昇時間trの時間に達したら、オフ信号を定電流出力手段2へ出力する。定電流出力手段2は、制御手段1から制御信号を受け、スイッチ素子3への電流出力を停止する。スイッチ素子3は、定電流出力手段2からの電流出力がなくなり、スイッチ素子3の駆動電圧がオン電圧閾値より低くなり、オフとなって、蓄電素子4の放電を停止する。
手順1および手順2を繰り返すことで、蓄電素子4に充電されたエネルギーを放電することができる。
図2は、本発明の実施の形態1に係るスイッチ素子のゲートチャージ量Qgに対するスイッチ素子駆動電圧Vgの関係を示す図である。図2において、横軸はスイッチ素子のゲートチャージ量Qg、縦軸はスイッチ素子駆動電圧Vgを示す。
これは、スイッチ素子3のバラつきによりオン電圧閾値Vthのバラつき(ゲートチャージ量閾値Qgthのバラつき)が生じている場合であっても関係なく、ゲートチャージ時間t経過すれば、確実にスイッチ素子3を駆動できることを意味する。
なお、スイッチ素子3がオン(通電)するためには、オン電圧閾値Vth以上必要となるため、スイッチ素子3の通電電流であるスイッチ素子3の限界電流Icmaxとなるためには、ゲートチャージ量閾値Qgthで規定されるゲートチャージ時間tよりも確実に長い時間となるため、スイッチ素子3の限界電流Icmaxになるまでの時間であれば確実にスイッチ素子3を駆動することができる。
以下に詳細を説明する。
つまりスイッチ素子3のオン・オフはゲートチャージ量Qgで制御される。また、前記で説明した通りスイッチ素子3の入力電流Igが低い場合、電流の急峻な上昇を抑えることができる。
また、スイッチ素子3の短絡時には、スイッチ素子3の通電電流値は、短時間で非常に大きくなる。そこで、スイッチ素子3へ通電する時間(=ゲートチャージ時間t)を短くしたいところであるが、制御手段1の計算能力が低い場合には、スイッチ素子3のオフが間に合わずスイッチ素子3の限界電流Icmaxを超える可能性もある。
しかしながら、本発明の実施の形態1では、スイッチ素子3に流れる電流上昇時間(=ゲートチャージ時間t)を任意に決定することができるため、制御手段1の計算能力が低い場合でも蓄電素子4の放電が可能である。
この場合、前述した実施の形態よりもスイッチ素子3の損失を過度に大きくせずに温度上昇を抑制させながら、蓄電素子4に蓄積されたエネルギーを確実に放電させることのできる放電装置を得ることができる。
なお、実施の形態1の制御手段1の制御信号のオン時間は、スイッチ素子3の温度情報を用いても構わない。
スイッチ素子温度検出手段5にて、スイッチ素子3のスイッチ素子温度を検出する。
(手順2)
制御手段1は、スイッチ素子温度検出手段5にて検出したスイッチ素子温度が、スイッチ素子3の限界温度(例えばスイッチ素子3のジャンクション限界温度Tjmax)か否かを判断する。
このとき、スイッチ素子温度がスイッチ素子3の限界温度でなければ制御信号をオンとし定電流出力手段2へ出力する。
スイッチ素子温度がスイッチ素子3の限界温度であるならば制御信号をオフとし定電流出力手段2へ出力する。制御信号のオフを受けた定電流出力手段2は、出力をオフとするため、スイッチ素子3はオフになる。
手順1および手順2を繰り返すことで、蓄電素子4に充電されたエネルギーを放電することができる。
このように、スイッチ素子3の温度を検出し、検出したスイッチ素子3の温度を制御手段1へ出力するスイッチ素子温度検出手段5を用いれば、制御手段1は、スイッチ素子3のオン電圧閾値、スイッチ素子駆動電圧のバラつきに関係なく、スイッチ素子3の損失による温度上昇をスイッチ素子3の限界温度に抑制させながら、蓄電素子4に蓄積されたエネルギーを確実に放電させることができる。
スイッチ素子電流検出手段6にてスイッチ素子3のスイッチ素子電流を検出する。
(手順2)
制御手段1は、スイッチ素子電流検出手段6にて検出したスイッチ素子電流がスイッチ素子3の限界電流Icmaxか否かを判断する。
このとき、スイッチ素子電流がスイッチ素子3の限界電流でなければ、制御手段1は、制御信号をオンとし定電流出力手段2へ出力する。スイッチ素子電流がスイッチ素子3の限界電流であれば、制御手段1は、制御信号をオフとし、定電流出力手段2へ出力する。制御信号のオフを受けた定電流出力手段2は、出力をオフとするため、スイッチ素子3は、オフとなる。
手順1および手順2を繰り返すことで、蓄電素子4に充電されたエネルギーを放電することができる。
次に、本実施の形態2について説明する。図5は、本発明の実施の形態2に係る放電装置の一例を説明する回路図である。図5に示した構成は、先の実施の形態1における図1に示した構成と比較すると、スイッチ素子3を含むスイッチング部7が追加された構成となる点が異なっている。
従って複数の直列体を同時に動作させなくてもよいため、各直列体が短絡する時間が重ならないように制御し、発熱箇所と時間を分散させることもできる。
次に、本実施の形態3について説明する。図6は、本発明の実施の形態3に係る放電装置の一例を説明する回路図である。図6に示した構成は、先の実施の形態2における図5に示した構成と比較すると、スイッチング部7の構成において、放電の対象となる第2の蓄電素子8が追加された点が異なっている。そこで、相違点であるスイッチング部7および第2の蓄電素子8の構成・働きを中心に、以下に説明する。
5 スイッチ素子温度検出手段、6 スイッチ素子電流検出手段、
7 スイッチング部、8 第2の蓄電素子、
21 通常制御時定電流出力手段、22 放電制御時定電流出力手段、
31 第2のスイッチ素子、32 第3のスイッチ素子、33 第4のスイッチ素子、
34 第5のスイッチ素子、35 第6のスイッチ素子、36 第7のスイッチ素子、
37 第8のスイッチ素子
Claims (12)
- 蓄電素子に対して並列に接続されたスイッチ素子と、前記スイッチ素子に定電流を供給する定電流出力手段と、前記定電流出力手段にオンまたはオフの指示を行う制御手段を備え、前記スイッチ素子の電流上昇時間trが、前記スイッチ素子の入力容量をCiss、前記スイッチ素子の駆動電流をIg、前記スイッチ素子の通電電流をIc、および前記スイッチ素子の伝達係数をgmとして、次の式から求められ、
前記制御手段は、前記スイッチ素子の通電電流が前記スイッチ素子の限界電流になるまでの前記電流上昇時間trの間、オンの指示を前記定電流出力手段に出力し、前記蓄電素子を短絡状態として放電させるようにし、前記電流上昇時間trに達したら、オフ信号を前記定電流出力手段に出力し、前記スイッチ素子をオフすることによって、前記蓄電素子の放電を停止するようにしたことを特徴とする放電装置。 - 前記スイッチ素子の温度を検出し、検出した前記スイッチ素子の温度情報を前記制御手段へ出力するスイッチ素子温度検出手段を備え、前記制御手段は前記スイッチ素子の温度状態によって前記スイッチ素子のオン時間を制御することを特徴とする請求項1に記載の放電装置。
- 前記スイッチ素子の電流を検出し、検出した前記スイッチ素子の電流情報を前記制御手段へ出力するスイッチ素子電流検出手段を備え、前記制御手段は前記スイッチ素子の電流状態によって前記スイッチ素子のオン時間を制御することを特徴とする請求項1に記載の放電装置。
- 前記スイッチ素子が複数であって、前記複数のスイッチ素子によってスイッチング部を構成し、前記蓄電素子と前記スイッチング部とが並列に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の放電装置。
- 前記制御手段が、前記複数のスイッチ素子の少なくとも1つをオン・オフ制御し、他のスイッチ素子をオン制御することを特徴とする請求項4に記載の放電装置。
- 前記制御手段が、前記複数のスイッチ素子の全てをオン・オフ制御することを特徴とする請求項4に記載の放電装置。
- 前記スイッチ素子がオフする時間が他のスイッチ素子がオフする時間と重ならないように、前記制御手段が制御することを特徴とする請求項6に記載の放電装置。
- 前記スイッチング部が、前記スイッチ素子に対して別のスイッチ素子を直列に接続してなる直列体によって構成されていることを特徴とする請求項4に記載の放電装置。
- 前記スイッチング部が、前記直列体を複数、並列に接続して構成されていることを特徴とする請求項8に記載の放電装置。
- 前記スイッチング部が、第1のスイッチ素子と、第2のスイッチ素子と、第3のスイッチ素子と、第4のスイッチ素子の直列接続された構成を有し、前記蓄電素子が前記スイッチング部に並列になるように、前記スイッチング部の両端に接続され、第2の蓄電素子が、前記第2のスイッチ素子と前記第3のスイッチ素子の直列体に並列になるように、前記第2のスイッチ素子と前記第3のスイッチ素子の直列体の両端に接続されたことを特徴とする請求項4に記載の放電装置。
- 前記定電流出力手段が、通常制御時定電流出力手段と放電制御時定電流出力手段から構成され、前記通常制御時定電流出力手段は、前記制御手段が前記蓄電素子の放電制御を行っていない場合の電流値を前記スイッチ素子に出力し、前記放電制御時定電流出力手段は、放電制御時の電流値を前記スイッチ素子に出力することを特徴とする請求項1に記載の放電装置。
- 前記蓄電素子と並行に放電抵抗が接続され、前記蓄電素子の放電時に、前記放電抵抗を併用しながら放電を行うことを特徴とする請求項1に記載の放電装置。
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