可動金属片に凸部を設けて、この凸部を変形状態のバイメタルに接触させるブレーカは、凸部を高くして、可動接点と固定接点の接点ギャップを広くできる。しかしながら、凸部を高くすると、バイメタルが変形して可動接点を固定接点から離す温度、すなわちオフ温度を狂わせる等の弊害が発生する。このため、凸部の高さで可動接点の接点ギャップを広くするには制約があって、接点ギャップを充分には大きくできない。
本発明は、この欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、極めて簡単な構造としながら、オフ状態における接点ギャップを大きくできるブレーカを提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明のブレーカは、可動接点7を有する可動金属片6と、固定接点5を有する固定金属片4との間にバイメタル8が配設されており、可動接点7と固定接点5とは互いに対向する位置にある。可動金属片6は、バイメタル8側に突出する一対の凸部6Cを備える。ブレーカは、バイメタル8が熱変形しない非変形状態において、可動接点7が固定接点5に接触してオン状態となり、バイメタル8が熱変形する変形状態において、凸部6Cがバイメタル8に接触して可動接点7が固定接点5から離されてオフ状態となる。さらに、ブレーカは、一対の凸部6Cを、可動金属片6の長手方向に離して配置すると共に、可動金属片6の長手方向に延びる中心線mから側方に離して配置している。
以上のブレーカは、極めて簡単な構造としながら、オフ状態における接点ギャップを大きくできる特徴がある。とくに、以上のブレーカは、オフ温度の変化を少なくしながら、接点ギャップを大きくできる特徴がある。それは、バイメタルが熱変形して変位する量が大きくなる位置に凸部が接触するからである。図11に示すバイメタル8において、反転しない非変形状態から反転する変形状態に変形して変位するストロークは、中心から離れる距離が大きくなるほど、すなわち隅部で最も大きくなる。図21に示す従来のブレーカは、可動金属片206の中心線m上に凸部206Cを設けているので、凸部206Cは図11のA点に接触する。これに対して、図12に示す本発明のブレーカの凸部6Cは、図11のB点に接触する。B点は、A点よりもバイメタルの中心から離れる位置にあって、熱変形して変位するストロークが大きくなる。ストロークの大きい位置に接触する凸部は、可動金属片6を大きく変形させて、接点ギャップを大きくする。したがって、以上のブレーカは、可動金属片に設ける凸部の位置を変更するという極めて簡単な構造としながら、接点ギャップを大きくできる優れた特徴を実現する。
本発明のブレーカは、バイメタル8の外形を四角形とし、可動金属片6が、バイメタル8の隅部と対向する位置に凸部6Cを配置する。
以上のブレーカは、接点ギャップを特に大きくできる特徴がある。
本発明のブレーカは、バイメタル8の外形を四角形として、可動金属片6の凸部6Cをバイメタル8の対角位置に対向して配置することができる。
以上のブレーカは、可動金属片の凸部を、バイメタルの対角位置に接触してオフ状態に切り換えるので、バイメタルがバランスよく可動金属片を押し上げてオフ状態に切り換えできる。
本発明のブレーカは、可動金属片6が両側に突出する突出アーム部6D、6Eを有して、この突出アーム部6D、6Eに凸部6Cを設けている。
以上のブレーカは、可動金属片の横幅を広くすることなく、すなわち可動金属片が弾性変形する特性変化を少なくしながら、接点ギャップを大きくできる特徴がある。
本発明のブレーカは、可動金属片6が、バイメタル8よりも狭い横幅の金属板で、両側部に凸部6Cを設けることができる。
以上のブレーカは、可動金属片を所定の横幅の金属板としながら、凸部の位置を変更して接点ギャップを大きくできる。すなわち、可動金属片を複雑な形状とすることなく、接点ギャップを大きくできる。
本発明のブレーカは、バイメタル8の変形状態でオフ状態に切り換えられる可動接点7と固定接点5との接点ギャップを0.05mm以上であって、0.3mm以下とすることができる。
以上のブレーカは、小型化しながら、オフ状態の接点ギャップを大きくできる。
本発明のブレーカは、凸部6Cの突出高さを、0.01mm以上であって、0.15mm以下とすることができる。
本発明のブレーカは、バイメタル8を加温するヒーター9を備えることができる。
以上のブレーカは、ヒーターでバイメタルを加温して、オフ状態に保持でき、また異常時にヒーターでバイメタルを加温してオフ状態に切り換えできる。
本発明のブレーカは、ヒーター9をPTCヒーター9Aとすることができる。
以上のブレーカは、ヒーターをPTCヒーターとするので、ヒーターの温度を制御する回路を設けることなく、ヒーターの温度を好ましい温度にとして、安定してオフ状態に保持できる。
本発明のブレーカは、パック電池に使用されて、パック電池の電池30、60と直列に接続される保護素子とすることができる。
以上のブレーカは、パック電池に使用されて、小型化しながら、オフ状態における接点ギャップを大きくしてアーク放電による接点の損傷を有効に阻止できる特徴がある。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのブレーカを例示するものであって、本発明はブレーカを以下のものに特定しない。さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
以下のブレーカは、検出温度が設定温度を越えるとバイメタルが熱変形され、熱変形するバイメタルが可動金属片を変形して、可動接点を固定接点から離してオフ状態に切り換えて電流を遮断する。さらに、以下の実施例のブレーカは、バイメタルを加温するヒーターを内蔵している。ヒーターを内蔵するブレーカは、オフ状態において、ヒーターでバイメタルを加温して、電流を遮断する状態に保持できる。オフ状態においてヒーターに通電し、通電されるヒーターでバイメタルを加温して、可動金属片をオフ状態に保持できるからである。このブレーカは、パック電池に使用されて、パック電池の安全性をより向上できる。パック電池が異常な温度になってブレーカで電流を遮断した後、パック電池の電池でヒーターに通電してオフ状態に保持できるので、電池が放電できる限りブレーカをオフ状態に保持して外部に流れる電流を遮断状態に保持できるからである。電池が完全に放電されると、ヒーターに通電できなくなってヒーターがバイメタルを加温できなくなり、ブレーカがオン状態に復帰するが、この状態では電池は放電できなくなっているので、安全性は確保される。また、パック電池を充電器に接続して充電する状態でパック電池が異常な温度になって、ブレーカで電流を遮断する場合においても、充電器から供給される電力でヒーターに通電してオフ状態に保持できるので、ブレーカがオン状態に復帰することなく、充電器から電力が供給される間は電流を遮断する状態に保持できる。したがって、このパック電池は、ブレーカがオフに切り換えられた後は、通電状態が解除されるまでヒーターに通電してブレーカをオフ状態に保持できるので、安全性をより向上できる。さらに、ヒーターを内蔵するブレーカは、電池の異常を検出してヒーターに通電して、ヒーターでバイメタルを加熱して電池の電流を遮断することもできる。ブレーカを使用するパック電池は、電池と直列にブレーカを接続して、ブレーカで電池の電流を遮断する。
図1ないし図10に示すブレーカ40、50は、可動接点7を有する可動金属片6と固定接点5を有する固定金属片4との間にバイメタル8を配設して、可動接点7と固定接点5とを互いに対向する位置に配置している。バイメタル8は、設定温度よりも低い温度帯域では非変形状態にあり、設定温度よりも高くなると反転して変形状態に変形する。バイメタル8の非変形状態において、可動接点7は固定接点5に接触してオン状態となる。バイメタル8が非変形状態から変形状態に反転すると、可動金属片6がバイメタル8に押し上げられて、可動接点7を固定接点5から離してオフ状態となる。
以上のブレーカ40、50は、外装ケース1、51に、固定金属片4と、可動金属片6とを固定して、可動金属片6を変形させるバイメタル8と、このバイメタル8を加温するヒーター9とを外装ケース1、51に内蔵している。
バイメタル8は、温度で変形するように、熱膨張率が異なる金属を積層したものである。バイメタル8は、図において、可動金属片6の下方にあって、反転して可動金属片6を押し上げてオフ状態に切り換える。バイメタル8は、図11に示すように、加熱されると熱変形して、非変形状態から変形状態に反転して変形し、かつ非変形状態と変形状態において位置ずれしないように外装ケース1、51の定位置に配置される。図1ないし図10のブレーカ40、50は、ヒーター9を内蔵するので、バイメタル8をヒーター9と可動金属片6との間に配置している。図示しないが、ヒーターのないブレーカは、可動金属片と外装ケースとの間にバイメタルを配置する。
バイメタル8は、外形を四角形とし、かつ中央凸に湾曲する形状である。このバイメタル8は、検出温度が設定温度よりも低い温度帯域にあって、反転しない非変形状態にあっては、中央部を上方に突出させ、検出温度が設定温度よりも高くなって反転するように熱変形する変形状態にあっては、中央部を下方に突出させる。非変形状態のバイメタル8は、図2と図7に示すように、中央突出部を可動金属片6側に突出させて、可動金属片6を押し上げない。したがって、この状態において、可動金属片6は、その弾性で、可動接点7を固定接点5に接触させて、ブレーカをオン状態とする。温度が高くなって、バイメタル8が熱変形して反転し、変形状態になると、図3と図8に示すように、バイメタル8の外周部が可動金属片6を押し上げて、可動接点7を固定接点5から離してオフ状態とする。
可動金属片6は、弾性変形する金属板で、外装ケース1、51に固定される固定部6Bと、先端に可動接点7を設けている弾性アーム部6Aとを有する。可動金属片6は、図2、図3、図7、及び図8に示すように、固定部6Bを外装ケース1、51に固定して、先端側の弾性アーム部6Aを、外装ケース1、51に設けている収納スペース20に配設している。可動金属片6は、固定部6Bの外側を外装ケース1、51から突出させて外部接続端子6Xとしている。可動金属片6は、外装ケース1、51に設けている第2の外壁11Bの上部に固定部6Bを固定している。
可動金属片6は、収納スペース20に配置される弾性アーム部6Aを、あるいは全体を弾性変形できる金属板としている。さらに、可動金属片6は、この弾性アーム部6Aの先端部であって固定接点5と対向する面に可動接点7を設けている。この可動金属片6は、バイメタル8の非変形状態では、可動接点7を固定接点5に接触させてブレーカをオン状態とし、バイメタル8の変形状態では、バイメタル8に押される弾性アーム部6Aを弾性変形して、可動接点7を固定接点5から離してブレーカをオフ状態とする。
可動金属片6は、図2ないし図5、及び図7ないし図10に示すように、バイメタル8側に凸部6Cを設けている。凸部6Cは変形状態のバイメタル8に接触する。すなわち、変形状態のバイメタル8は、可動金属片6に設けている凸部6Cを押圧し、弾性アーム部6Aを押し上げて、可動接点7を固定接点5から離してオフ状態とする。可動金属片6は、バイメタル8に接触する一対の凸部6Cを、バイメタル8側に突出して設けている。一対の凸部6Cは、図12ないし図14に示すように、可動金属片6の長手方向に離して配置され、かつ可動金属片6の長手方向に延びる中心線mから離れる位置に配置される。中心線mから離れて配置される一対の凸部6Cは、バイメタル8の変形状態において、可動接点7と固定接点5との接点ギャップを、中心線mに配置される凸部よりも広くする。凸部6Cが可動金属片6の中心線mから離れる位置に配置されて、接点ギャップを広くできるのは、バイメタル8が非変形状態から変形状態に変形して変位するストロークが、バイメタル8の中心から離れる距離が大きくなるほど、すなわちバイメタル8の隅部に近づくほど大きくなるからである。外形を四角形とするバイメタル8は、隅部のストロークが大きくなるので、バイメタル8の中心から離れる位置に対向して凸部6Cを配置する可動金属片6は、バイメタル8のストロークの大きい部分に押し上げられた接点ギャップを広くする。バイメタル8の変形状態でオフ状態に切り換えられる可動接点7と固定接点5との接点ギャップは、たとえば、0.05mm以上であって、0.3mm以下とすることができる。可動金属片6に設ける凸部6Cの突出高さは、0.01mm以上であって、0.15mm以下とすることができる。
図12と図13のブレーカ40は、バイメタル8の外形を四角形とし、可動金属片6a、6bに設けている凸部6Cを、バイメタル8の隅部に対向する位置に配置する。このブレーカ40は、検出温度が設定温度よりも高くなり、バイメタル8が反転して非変形状態から変形状態に変形するとき、ストロークの大きいバイメタル8の隅部に凸部6Cを接触させて可動金属片6a、6bを変形させる。このブレーカ40は、可動金属片6a、6bの変形量を大きくして、オフ状態の接点ギャップを大きくする。とくに、図12と図13のブレーカ40は、可動金属片6a、6bに設けている一対の凸部6Cを、バイメタル8の対角位置に対向する位置に配置するので、変形状態のバイメタル8が、バランスよく可動金属片6a、6bの弾性アーム部6Aを押し上げてオフ状態に切り換える。
図12と図13のブレーカ40は、可動金属片6a、6bの横幅をバイメタル8よりも狭くして、可動金属片6a、6bの弾性アーム部6Aに、両側に突出する突出アーム部6D、6Eを設けて、突出アーム部6D、6Eに凸部6Cを設けている。これらのブレーカ40は、可動金属片6a、6bの弾性アーム部6Aの横幅を広くすることなく、すなわち、弾性アーム部6Aの弾性を変更することなく、弾性アーム部6Aに設けた凸部6Cをバイメタル8の隅部に接触させて、接点ギャップを広くできる。図の可動金属片6a、6bは、弾性アーム部6Aの両側に突出するように突出アーム部6D、6Eを設け、その先端部に凸部6Cを設ける構造によって、変形状態のバイメタル8の対角隅部に対向する位置に凸部6Cを配置して、接点ギャップを広くできる。また、バイメタル8はバランスよく弾性アーム部6Aを押し上げてオフ状態に切り換えできる。
さらに、図14のブレーカ40は、可動金属片6cの弾性アーム部6Aの横幅を、バイメタル8よりも狭い横幅の金属板として、可動金属片6cの長手方向に離して配置する一対の凸部6Cを、弾性アーム部6Aの両側部に設けて、可動金属片6cの中心線mから側方に離れる位置に配置する。このブレーカ40は、一対の凸部6Cを、バイメタル8の隅部に接近する位置に接触させて、接点ギャップを広くする。
図1ないし図10に示すブレーカ40、50は、外装ケース1、51を、プラスチック製の本体ケース2とプラスチック部を有する蓋ケース3、53とで形成している。図1ないし図10の外装ケース1、51は、本体ケース2の底部13に固定金属片4をインサート成形して固定して、上面に蓋ケース3、53を固定している。本体ケース2は、両端部分に、第1の外壁11Aと第2の外壁11Bとを突出するように設けて、第1の外壁11Aと第2の外壁11Bとの間に収納スペース20を設けている。収納スペース20は、固定金属片4で底面を閉塞して、蓋ケース3、53で上面を閉塞している。したがって、外装ケース1、51は、底面側の表面には固定金属片4が露出している。
可動金属片6と固定金属片4と蓋ケース3、53は、本体ケース2に固定される。本体ケース2は、バイメタル8やヒーター9を収納する収納スペース20の両側に、第1の外壁11Aと第2の外壁11Bとを設け、さらに第1の外壁11Aと第2の外壁11Bとの間を連結する対向壁12を設けて、一対の対向壁12と、一対の外壁11とで収納スペース20の周囲を囲む外周壁10を構成している。したがって、収納スペース20は、周囲を外周壁10で囲み、底面を固定金属片4で閉塞し、さらに上面を蓋ケース3、53で閉塞して内部を閉塞された中空状としている。
本体ケース2は、第1の外壁11Aに固定金属片4の一部を、図2、図3、図7、及び図8においては固定金属片4の中間部4Bを第1の外壁11Aの途中にインサート成形して固定している。したがって、固定金属片4は、第1の外壁11Aを貫通する状態で本体ケース2に固定され、収納スペース20の内部に露出する部分を固定接点5とし、外部に引き出される部分を外部接続端子4Xとしている。
さらに、本体ケース2は、第2の外壁11Bに可動金属片6の固定部6Bを固定して、可動金属片6の弾性アーム部6Aを収納スペース20に配置している。図2、図3、図7、及び図8のブレーカ40、50は、第2の外壁11Bの上端面に可動金属片6の固定部6Bを固定している。本体ケース2は、図2、図3、図7、図8、及び図12ないし図14に示すように、第2の外壁11B上端面に、外周壁10の上面よりも一段低い段差凹部21を設けており、この段差凹部21に可動金属片6の固定部6Bを嵌合させて定位置に配置している。図の本体ケース2は、この嵌着凹部21の中央部から突出して、可動金属片6の固定部6Bを貫通する連結凸部15を設けている。可動金属片6の固定部6Bには、連結凸部15を貫通させる貫通孔6Fを設けている。図12ないし図14に示す連結凸部15は、水平断面形状を長円形として、可動金属片6の固定部6Bを正確な姿勢で段差凹部21に配置できるようにしている。さらに、図に示す段差凹部21は、可動金属片6の両側部を位置決めする位置決リブ22を第2の外壁11Bの上端部に形成している。図に示す第2の外壁11Bは、その上端面において、位置決リブ22以外の部分を、外周壁10の上面よりも低くして嵌着凹部21を設けることにより、段差形状の位置決リブ22を形成している。可動金属片6は、固定部6Bの両側に位置決リブ22を案内する位置決凹部6Gを設けている。可動金属片6は、固定部6Bに開口された貫通孔6Fに連結凸部15が挿入されると共に、固定部6Bの両側に設けた位置決凹部6Gに位置決リブ22が案内されて、第2の外壁11Bの段差凹部21の定位置に配置される。固定部6Bが段差凹部21に配置された可動金属片6は、接着して第2の外壁11Bに固定され、あるいは本体ケース2に固定される蓋ケース3、53に挟まれて、すなわち、第2の外壁11Bの段差凹部21の底面と蓋ケース3、53の対向面とで上下両面から挟着されて外装ケース1、51の定位置に固定される。
蓋ケース3、53は、図1ないし図10に示すように、本体ケース2の上端開口部側において、可動金属片6の外側に積層される積層金属板25、55と、この積層金属板25、55を固定している連結プラスチック26、56とを備えている。蓋ケース3、53は、内面側、すなわち、本体ケース2側に積層金属板25、55を表出させており、この積層金属板25、55で可動金属片6の上方をカバーする状態で、本体ケース2の開口部側に配置されている。図1ないし図5に示す蓋ケース3は、上面側において積層金属板25の外周部を除く中央部分を連結プラスチック26から露出させている。図6ないし図10に示す蓋ケース53は、上面側において積層金属板55のほぼ全面を連結プラスチック56で被覆して絶縁している。積層金属板25、55は、連結プラスチック26、56にインサート成形して固定される。インサート成形される積層金属板25、55は、連結プラスチック26、56を成形する金型の成形室に仮止めされ、成形室に溶融状態のプラスチックを注入して連結プラスチック26、56に固定される。
図1ないし図5に示す蓋ケース3は、上面側に露出する積層金属板25の露出部を露出端子43としている。図の蓋ケース3は、積層金属板25の露出部と連結プラスチック26の上面を同一平面としている。このブレーカ40は、露出端子43にリードを確実に接触して溶接できる。すなわち、連結プラスチック26が突出して、溶接されるリードを露出端子43から離すことがなく、露出端子43に確実に安定してリードを溶接できる。蓋ケース3は、積層金属板25の露出部と連結プラスチック26の上面を同一平面とするために、図4に示すように、上面の外周部に低くなる段差部25aを設けて、段差部25aに連結プラスチック26を成形している。このブレーカ40は、外装ケース1の底面側の表面に固定金属片4を露出させて露出端子44とし、外装ケース1の上面側の表面に積層金属板25を表出させて露出端子43としている。
以上の蓋ケース3、53は、連結プラスチック26、56の外周縁部を本体ケース2の外周壁10の上面に固定して、本体ケース2に固定している。蓋ケース3、53の連結プラスチック26、56は、図5と図10に示すように、本体ケース2の外周壁10と対向する外周縁部に、本体ケース2側に突出する外周壁27、57を備えており、この外周壁27、57の内側に積層金属板25、55を表出させている。連結プラスチック26、56の外周壁27、57は、本体ケース2の両端部に設けている第1の外壁11Aと第2の外壁11Bに固定され、さらに対向壁12に固定される。
図5と図10に示す外装ケース1、51は、蓋ケース3、53と本体ケース2とを正確に位置決めしながら連結するために、互いに嵌合する連結凸部15、17と連結凹部16、18とを備えている。本体ケース2は、前述のように、第2の外壁11Bの上面において、可動金属片6の固定部6Bを貫通して位置決めする連結凸部15を突出して設けている。蓋ケース3、53は、本体ケース2の第2の外壁11B側の端部において、この連結凸部15と対向する位置に、連結凸部15を案内する連結凹部16を設けている。さらに、図5と図10に示す蓋ケース3、53は、本体ケース2の第1の外壁11A側の端部の両側において、外周壁27、57の下面から本体ケース2に向かって突出する連結凸部17を設けている。本体ケース2は、図12ないし図14に示すように、これらの連結凸部17と対向する対向壁12の上面に、連結凸部17を案内する連結凹部18を設けている。以上の外装ケース1、51は、本体ケース2の第1の外壁11A側の端部において、蓋ケース3、53の両側の連結凸部17が本体ケース2の連結凹部18に案内されると共に、本体ケース2の第2の外壁11B側の端部において、可動金属片6の固定部6Bを貫通する連結凸部15が蓋ケース3、53の連結凹部16に案内されて、蓋ケース3、53が本体ケース2の正確な位置に連結される。
連結凸部15、17と連結凹部16、18を介して定位置に連結される蓋ケース3、53と本体ケース2は、超音波溶着して連結プラスチック26、56が本体ケース2に固定される。図5と図10に示す蓋ケース3、53は、連結プラスチック26、56の外周壁27、57の下面であって、本体ケース2の外周壁10との対向面に位置して、超音波振動で溶融される溶融凸条19を設けている。図の蓋ケース3、53は、外周壁27、57の下面に沿って溶融凸条19を突出して設けている。この蓋ケース3、53は、可動金属板6の固定部6Bと対向する部分を除く外周縁部に、底面視略コ字状の溶融凸条19を設けている。この蓋ケース3、53は、前述の連結凸部15、17と連結凹部16、18とを介して本体ケース2の定位置に連結する状態で、外周部を超音波振動させて、溶融凸条19を摩擦熱で溶融させて本体ケース2の外周壁10に溶着させる。さらに、超音波振動される蓋ケース3、53と本体ケース3は、互いに連結された連結凸部15、17と連結凹部16、18の接触部分も摩擦熱で溶融されて互いに溶着される。ただ、外装ケースは、蓋ケースの連結プラスチックと本体ケースとを接着して、あるいは嵌着構造や係止構造で連結して固定することもできる。
図1ないし図5の外装ケース1は、本体ケース2の第2の外壁11Bと蓋ケース3の積層金属板25とで可動金属片6の固定部6Bを挟着して外装ケース1に固定している。この外装ケース1は、蓋ケース3の積層金属板25の一端部を、可動金属片6の固定部6Bに接触状態に積層して、積層金属板25を可動金属片6に電気接続している。このブレーカ40は、積層金属板25を可動金属片6の外部接続端子として使用することもできる。積層金属板25と可動金属片6は、積層部をレーザー溶接することで、より確実に電気接続される。図に示す積層金属板25は、連結プラスチック26から引き出された突出部25Xを可動金属片6の上面に積層してレーザー溶接している。この構造は、蓋ケース3の積層金属板25を可動金属片6に直接に積層して固定するので、全体をより薄くしながら、積層金属板25を可動金属片6に確実に電気接続できる。図1ないし図5に示すブレーカ40は、蓋ケース3の積層金属板25を可動金属片6に電気接続するので、蓋ケース3の上面から露出する積層金属板25を露出端子43として外部接続し、あるいは可動金属片6に外部接続端子6Xを設けて外部接続することができる。
図6ないし図10に示すブレーカ50は、蓋ケース53から積層金属板55を露出させないので、可動金属片6の固定部6Bに積層金属板55を接触させることなく積層している。さらに、図6と図7に示すブレーカ50は、バイメタル8が熱変形しない状態で、可動接点7を確実に固定接点5に接触できるように、弾性アーム部6Aの後端部を下方に押圧する押圧凸部58を積層金属板25の内面から突出して設けている。この可動金属片6は、弾性アーム部6Aの後端部が押圧凸部58で下向きに押圧されることで、弾性アーム部6Aの先端部が下方に付勢されて、先端の可動接点7を確実に固定接点5に接触させる。
さらに、図2ないし図5、及び図7ないし図10に示す外装ケース1、51は、本体ケース2の収納スペース20の底部にヒーター9を配置するヒーター収納部29を設けている。ヒーター収納部29は収納スペース20の中央部にあって、その底面を固定金属片4の先端部4Aで閉塞している。ヒーター収納部29は、ここにヒーター9を挿入できるように、内形をヒーター9の外形よりもわずかに大きくしている。また、ヒーター収納部29は、外周縁に沿って突出部14を設けている。ヒーター収納部29に挿入されるヒーター9は、突出部14の上面からわずかに突出して、上面に湾曲するバイメタル8を熱結合状態に載せている。
収納スペース20は、ヒーター収納部29の底面を固定金属片4で閉塞し、ヒーター収納部29の外側底面を本体ケース2のプラスチックで閉塞している。本体ケース2は、ヒーター収納部29の外側で収納スペース20の底を閉塞しているプラスチック製の底部13に、固定金属片4をインサート成形して本体ケース2に固定している。
図1ないし図10に示すブレーカ40、50は、本体ケース2の収納スペース20に、底から順番に、ヒーター9とバイメタル8と可動金属片6の弾性アーム部6Aを収納して、本体ケース2の第1の外壁11Aには固定金属片4の中間部4Bを固定して、第2の外壁11Bには可動金属片6の固定部6Bを固定している。
固定金属片4は、インサート成形して本体ケース2に固定している。固定金属片4は、先端部4Aを収納スペース20の底部13に埋設し、中間部4Bを収納スペース20の底部13から本体ケース2の第1の外壁11Aに埋設するようにインサート成形して、本体ケース2に固定している。図2、図3、図7、及び図8の固定金属片4は、ヒーター収納部29の底部を閉塞する部分よりも、第1の外壁11Aに埋設される部分を高くするように段差部4Dを設けて、段差部4Dを本体ケース2の底部13に埋設して、段差部4Dの後端側を底部13の上面に露出させて、この露出部を固定接点5としている。
ヒーター9は、通電されることによって発熱して、バイメタル8を加熱する。ヒーター9は、対向面を円形あるいは長円形とする厚みのあるPTCヒーター9Aで、上面と下面に電極を設けている。ただし、ヒーターには必ずしもPTCヒーターを使用する必要はなく、通電されてバイメタル8を加熱できる全てのヒーターを使用することができる。上下面に電極を設けているヒーター9は、下面を固定金属片4に接触して、上面をバイメタル8を介して可動金属片6に接触できるようにしている。このヒーター9は、可動金属片6の可動接点7が固定接点5に接触するオン状態では、可動金属片6とバイメタル8とが非接触状態となって通電されず、可動金属片6の可動接点7が固定接点5から離れてオフ状態となる状態では、可動金属片6に接触するバイメタル8と固定金属片4とを介して通電されて発熱し、バイメタル8を加熱する。加熱されるバイメタル8は、図3と図8に示すように、可動接点7を固定接点5から離すオフ状態に保持する。
このブレーカ40、50は、オフ状態に切り換えられた状態で、可動接点7をオフ状態に保持するので、パック電池に安全に使用できる。それは、パック電池が異常な状態で使用されて設定温度よりも高くなり、ブレーカ40、50がオフに切り換えられた後は、パック電池の電池からヒーター9に通電され続けてバイメタル8が加熱され、あるいは、充電中のパック電池においては、充電器から供給される電力でヒーター9に通電されてバイメタル8が加熱されるので、ブレーカ40、50がオン状態に復帰することなく、電池が放電されるまで電流を遮断する状態に保持できるからである。
以上のブレーカ40、50は、例えば、パック電池に使用されて、パック電池の電池と直列に接続される保護素子として使用することができる。保護素子であるブレーカは、電池温度や周囲温度を検出して、検出温度が設定温度を越えるとバイメタルを熱変形させて電流を遮断する。以上のブレーカをパック電池に使用する例を以下に示す。
図15ないし図17に示すパック電池は、電池30と、この電池30と直列に接続しているブレーカ40と、このブレーカ40の外部接続端子と電池30とにリード36を介して接続している回路基板35とを備えている。
図15ないし図17のパック電池は、角形電池の電池30を備える。電池30は、金属製の外装缶31の開口部を、金属製の封口板32で閉塞して、内部に電解液と正負の電極を収納している。封口板32はレーザー溶接して外装缶31の開口部を気密に閉塞している。封口板32は、凸部電極33を中央部に設けている。凸部電極33は、絶縁して封口板32に固定される。電池30は、リチウムイオン電池である。ただし、電池には、リチウムイオン電池に代わってニッケル水素電池などの全ての二次電池とすることができる。リチウムイオン電池は、凸部電極33を負極、封口板32と外装缶31を正極とし、ニッケル水素電池は、凸部電極を正極、封口板を負極とする。
パック電池は、電池30と直列にブレーカ40を接続している。ブレーカ40は、電池30の温度が設定温度よりも高くなるとオン状態からオフ状態に切り換えられて、電池30の電流を遮断する。また、過電流が流れる状態にあっても、オフ状態に切り換えられて、電池30の電流を遮断する。図15ないし図17のパック電池は、電池30の凸部電極33と回路基板35との間にブレーカ40を接続している。回路基板35は、電池30の過充電や過放電を防止する保護回路などを実現する回路を実装している。また、回路基板35は、パック電池の出力端子(図示せず)も設けている。この回路基板35は、リード36とブレーカ40を介して電池30に接続している。ここで、図に示すパック電池は、リード36をリード板としているが、リードはリード線とすることもできる。
ブレーカ40は、電池30と回路基板35との間に接続される。図15と図16のパック電池に使用されるブレーカ40は、上面に露出端子43を設けている。露出端子43は、蓋ケース3に固定された積層金属板25の露出部に設けている。この蓋ケース3は、積層金属板25を可動金属片6の固定部6Bに接触状態に積層して本体ケース2に固定され、上側面を露出して露出端子43としている。このパック電池は、ブレーカ40の固定金属片4の外部接続端子4Xを電池30の凸部電極33に溶接して、上面に設けている露出端子43を外部接続端子として、回路基板35に接続しているリード36に溶接している。図において、回路基板35に接続しているリード36はリード板であって、L字状に折曲されて、水平方向に折曲している折曲片36Aをブレーカ40の露出端子43に溶接している。このリード36は、ハンダ付けして回路基板35に接続している。
図15と図16のブレーカ40は、リード37を介して固定金属片4を凸部電極33に接続している。図に示すリード37は、リード板としているが、リード線とすることもできる。固定金属片4を凸部電極33に接続するリード37は、一端を固定金属片4に溶接して、他端を凸部電極33に溶接している。図示しないが、固定金属片は、外部接続端子を本体ケースから長く突出させて、直接に凸部電極に溶接することもできる。さらに、図に示すパック電池は、ブレーカ40と封口板32との間に絶縁層34を設けており、この絶縁層34でブレーカ40を封口板32から絶縁している。
以上のパック電池は、以下の工程で組み立てられる。
(1)固定金属片4を直接あるいはリード37を介して電池30の凸部電極33に溶接する。
(2)回路基板35に接続しているリード36を、電池30の封口板32とブレーカ40上面の露出端子43である外部接続端子とに溶接する。
図17のパック電池は、図15のパック電池のブレーカ40を上下反転して電池30に溶接している。したがって、このブレーカ40は、固定金属片4を上面に、蓋ケース3を下面に配置している。上面に配置している固定金属片4は、両端部分を除く部分を露出させて露出端子44とし、この露出端子44を外部接続端子として、ブレーカ40の上面に配置している。露出端子44は、回路基板35に接続しているL字状のリード板であるリード36の折曲片36Aに溶接している。さらに、ブレーカ40は、可動金属片6を本体ケース2から突出させて外部接続端子6Xとし、この外部接続端子6Xを電池30の凸部電極33に溶接している。さらに、図に示すパック電池は、ブレーカ40と封口板32との間に絶縁層34を設けており、この絶縁層34でブレーカ40を封口板32から絶縁している。
以上のパック電池は、以下の工程で組み立てられる。
(1)可動金属片6の外部接続端子6Xを直接あるいはリード37を介して電池30の凸部電極33に溶接する。
(2)回路基板35に接続しているリード36を、電池30の封口板32とブレーカ40上面の露出端子44である外部接続端子とに溶接する。
以上のパック電池の製造工程において、ブレーカ40と電池30とリード36は、スポット溶接して接続され、あるいはレーザー溶接して接続される。
さらに、パック電池は、図18と図19に示すように、外装をフィルムとするポリマー電池60Aを備えることもできる。図に示すポリマー電池60Aは、正負の出力リード61を外装フィルム62で絶縁状態に挟着して外部に引き出している。ポリマー電池60Aは、一方の出力リード61をブレーカ40の外部接続端子に溶接して、ブレーカ40に直列に接続され、他方の出力リード61を回路基板65に接続している基板リード66に溶接している。
図18と図19のポリマー電池60Aは、出力リード61を引き出している一方の端面から突出する突出壁63を有する。突出壁63は、片方の表面とほぼ同一平面に位置する。突出壁63のあるポリマー電池60Aが、鎖線で示す電池ケース70に収納されて、突出壁63によって空隙64ができる。ブレーカ40は、この空隙64にあって、電池60の端面に接近して熱結合状態に配設される。
さらに、突出壁63によってできる空隙64には、回路基板65を定位置に配置する鎖線で示す絶縁ホルダー68が配置される。絶縁ホルダー68は、空隙64の定位置に配置され、さらに、回路基板65を定位置に配置する形状にプラスチックを成形している。絶縁ホルダー68は、嵌着構造で、あるいは接着されて、あるいはまたパック電池の電池ケース70にネジ止めされて、空隙64の定位置に配置され、また回路基板65を定位置に配置する。
図18のパック電池は、絶縁ホルダー68でもって回路基板65をパック電池の端面に配置している。図示しないが、パック電池は、回路基板を電池の表面側に配置することもできる。以上のパック電池は、回路基板65に、一対の基板リード66の一端をハンダ付けして固定し、この基板リード66の一方をポリマー電池60Aの出力リード61に、他方をブレーカ40を介してポリマー電池60Aの他方の出力リード61に溶接して接続している。回路基板65は、基板リード66や出力リード61であるリード69を折曲して、パック電池の端面又は表面側に配置している。
以上のパック電池は、以下の工程で組み立てられる。
(1)図19に示すように、ブレーカ40の外部接続端子である露出端子43にポリマー電池60Aの一方の出力リード61の先端部を載せてスポット溶接し、ブレーカ40の他方の外部接続端子4Xと回路基板65に接続している基板リード66とを積層して積層部をスポット溶接して接続し、さらに、ポリマー電池60Aの他方の出力リード61と回路基板65に接続している他方の基板リード66とを積層して積層部を溶接して接続する。
以上の工程で、回路基板65の一方の基板リード66はブレーカ40を介して電池60の一方の出力リード61に、他方の基板リード66は電池60の他方の出力リード61に溶接して接続される。
(2)その後、図18に示すように、基板リード66と出力リード61からなるリード69を折曲加工して回路基板65を絶縁ホルダー68の定位置にセットし、絶縁ホルダー68を電池60の定位置にセットして、回路基板65とブレーカ40と電池60を電池ケース70の定位置に配置する。