JP6061094B2 - 車両用シートの支持構造 - Google Patents
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Description
また、後席サブマリン現象を防止しながら車幅方向の車体剛性を高くすることを目的として、リヤフロアパネルの上部に車幅方向に延びる閉断面状のクロスメンバを設け、リヤシートのシートクッションの前部をクロスメンバに被せるように嵌め込む構成も知られている。
しかし、車幅方向全幅に亙ってクロスメンバを設けているため、車両の車体重量が増加し、その結果、車両全体として生産コストの増加や燃費の悪化を招く虞がある。
しかし、クロスメンバは、リヤフロアパネルと協働して車幅方向剛性に寄与する閉断面部を構成しているため、車幅方向の耐力が低下し、車体剛性が悪化する虞がある。
また、レイアウト上、リヤシートの前端部を支持するブラケットの前壁部をリヤフロアパネルの前端に連なるキックアップ部に鉛直状に接合する可能性があるため、車両の急停止時や前突時、乗員による下方向への荷重によってブラケットの接合が外れることが懸念され、乗員のサブマリン現象を十分に抑制できない虞もある。
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記段差部の車幅方向の両端部が、前記フロントフロアパネルの車幅方向の両端部に接合された1対のサイドシルに夫々接合されたことを特徴としている。
請求項3の発明によれば、段差部及び段差部の稜線部が一方のサイドシルと他方のサイドシルとを連結するため、一方のサイドシルに作用した側突荷重を他方のサイドシルに効率よく分散伝達することができ、車幅方向剛性を一層増加することができる。
図1,図2に示すように、本実施例では、フロントフロアパネル1の後端から上方へ立ち上がるキックアップ部2と、フロントフロアパネル1からキックアップ部2を介して車体後方に延びるリヤフロアパネル3と、リヤフロアパネル3上に取付けられたリヤシート4等を備えた車両Vのリヤシート4の支持構造を例として説明する。
フロントフロアパネル1は、左右1対のフロントシート(図示略)が支持される車室床面を形成している。鋼板製のフロントフロアパネル1は、前後方向に延びる左右1対のサイドシル5に架設され、その左右両端部が1対のサイドシル5のサイドシルインナ5aに夫々接合されている。サイドシル5の上方には、リヤドア(図示略)によって開閉されるドア開口部6が形成され、このドア開口部6の後方にはリヤピラー7とリヤホイールハウス8が形成されている。
図2〜図6,図11に示すように、段差部9は、ドア開口部6の下端部に向かって車幅方向外側程下方に移行するように緩やかな円弧形状に形成され、その左右両端部が1対のサイドシル5に夫々接合されている。段差部9は、側面視にて略水平状の水平面部9aと、この水平面部9aの後端部から上方へ立ち上がる鉛直面部9bとを備えている。
水平面部9aと鉛直面部9bは、連結部分において正面視にて上方突状の稜線部9cを備え、この稜線部9cの左右両端部が1対のサイドシル5のサイドシルインナ5aに夫々当接されている。
鋼板製のリヤフロアパネル3は、前後方向に延びる左右1対のリヤサイドフレーム(図示略)に架設され、その左右両端部が1対のリヤサイドフレームに夫々接合されている。
荷室床面を形成するリヤフロアパネル3の車幅方向中央部には、スペアタイヤを収容するために下方へ凹入したスペアタイヤパン(図示略)が設けられている。
図5,図6に示すように、段差部9の下側には、車幅方向に延びる下部クロスメンバ11が設けられている。下部クロスメンバ11は、断面略クランク状に形成され、キックアップ部2、リヤフロアパネル3及び段差部9と協働して車幅方向に亙って閉断面部を構成している。
図1,図2,図5に示すように、リヤシート4は、乗員が着座するシートクッション21と、シートバック22とを備えている。
シートクッション21は、平面視にて略長方形状に一体形成され、クッションスプリング(図示略)が張設されたクッションフレーム21aと、発泡樹脂製のクッションフォーム(図示略)とを備え、これらの表面がクッションカバー21bによって被覆されている。
図1に示すように、段差部9が車幅方向外側程下方へ移行しているため、シートクッション21の下端部と段差部9の車幅方向外側部分との間に空間部Sが形成されている。
シートクッション21の前端側下端部には、シートクッション21の装着時、中央ブラケット30と左右1対の側部ブラケット40を収容可能な車幅方向に略直線状に延びる凹入部21cが形成されている。(図5参照)
前壁部31には、複数の開口部31aと、複数の鉛直方向に延びるビード部31bとが形成されている。後壁部32にも、前壁部31と同様に、複数の開口部(図示略)と、複数の鉛直方向に延びるビード部(図示略)とが形成されている。上壁部33には、複数の開口部33aが形成されている。
中央ブラケット30を段差部9の水平面部9a及びリヤフロアパネル3に固定したとき、上壁部33が略水平状に配設され、ビード部31bが略鉛直状に配設されている。
図9,図10〜図12に示すように、側部ブラケット40は、略四角錐状に形成され、前壁部41と、後壁部42と、上壁部43と、右側側壁部44と、左側側壁部45と、右側前脚部46と、右側後脚部47と、左側前脚部48と、左側後脚部49とを一体的に備えている。側部ブラケット40は、段差部9の車幅方向右端側部分に凹入部21cに覆われた状態で固定されている。
前壁部41には、複数、例えば3つの開口部41aと、各開口部41aの間に複数の鉛直方向に延びるビード部41bとが形成されている。後壁部42にも、前壁部41と同様に、複数の開口部42aと、複数の鉛直方向に延びるビード部42bとが形成されている。上壁部43には、複数、例えば車幅方向外側から3つの開口部43a,43b,43cが順に形成されている。
右側前脚部46の下端から上壁部43までの長さは、右側後脚部47の下端から上壁部43までの長さよりも長くなるように形成され、接合部46aは段差部9の水平面部9aの上面に溶接によって固定されている。同様に、左側前脚部48の下端から上壁部43までの長さは、左側後脚部49の下端から上壁部43までの長さよりも長くなるように形成され、接合部48aは段差部9の水平面部9aの上面に溶接によって固定されている。
右側後脚部47及び左側後脚部49の接合部47a,49aは、段差部9の鉛直面部9bよりも後方のリヤフロアパネル3に溶接によって固定されている。側部ブラケット40を段差部9の水平面部9a及びリヤフロアパネル3に固定したとき、上壁部43が略水平状に配設され、ビード部41bが略鉛直状に配設されている。
図2,図11,図12に示すように、上壁部43の3つの開口部43a,43b,43cのうち車幅方向中央の開口部43bには、シートクッション取付機構51が設けられている。シートクッション取付機構51は、クッションフレーム21aの前端部分から下方へ突出するように形成された凸部21dに係合可能な係合部52と、この係合部52を係合方向に付勢する付勢部(図示略)と、係合部52を付勢部の付勢力に反して係合解除方向へ回動するための操作部53等を備えている。
図1,図2に示すように、シートバック22は、右側乗員用の第1シートバック23と、中央及び左側乗員用の第2シートバック24とに2分割形成され、夫々のシートバック23,24は独立して倒伏可能に構成されている。第1,第2シートバック23,24は、バックスプリング(図示略)が張設された第1,第2バックフレーム23a,24aと、発泡樹脂製のバックフォーム(図示略)とを備え、これらの表面が第1,第2バックカバー23b,24bによって被覆されている。
下部シートバック取付機構55は、リヤピラーインナ7aと上部クロスメンバ10の前側端部とに接合され車体前方へ張り出した外側ブラケット58と、上部クロスメンバ10の上壁部の車幅方向中間部分に接合され車体前方へ張り出した内側ブラケット59とを備え、両ブラケット58,59は、第1バックフレーム23aを回動可能に支持している。それ故、第1シートバック23は、ストライカ56とラッチ機構57との係合が解除されたとき、車体前方に倒伏させることができる。尚、内側ブラケット59は、第2シートバック24の内側ブラケットに兼用されている。
この車両用シートの支持構造によれば、板厚増加や補強部材を追加することなく、キックアップ部2の上端部分の形状変更によって車体の左右両端部を荷重伝達可能な段差部で連結するため、車体重量の増加をすることなく、車体剛性の向上を図ることができる。また、リヤシート4の前端部を支持する各ブラケット30,40がリヤシート4のシートクッション21に形成された凹入部21cに収容されて段差部9の水平面部9aに固定されるため、車両Vの急停止時や前突時、慣性力による乗員の下方への潜り込みを各ブラケット30,40によって防止でき、サブマリン現象の抑制を図ることができる。
1〕前記実施例においては、段差部が水平面部と稜線部を介して連続する鉛直面部とを備えた例を説明したが、少なくとも水平面部を備えていれば良く、鉛直面部と稜線部とを省略することができる。また、車幅方向に延びる鉛直面部と稜線部とを複数設けることも可能である。
2 キックアップ部
3 リヤフロアパネル
3a 支持部
4 リヤシート
5 サイドシル
6 ドア開口部
9 段差部
9a 水平面部
21 シートクッション
21c 凹入部
30 中央ブラケット
31b ビード部
40 側部ブラケット
41b ビード部
S 空間部
V 車両
Claims (4)
- 車室床面を形成するフロントフロアパネルの後端から上方へ立ち上がるキックアップ部を介して車体後方に延びるリヤフロアパネル上にリヤシートが配設された車両用シートの支持構造において、
前記キックアップ部の上端部分に側面視にて略水平状の水平面部を備え且つ車幅方向に延びる段差部を設け、
前記リヤシートの前端部が前記段差部にブラケットを介して支持されると共にリヤシートの後端部が前記リヤフロアパネルに設けられた支持部に支持され、
前記ブラケットが前記リヤシートのシートクッションに形成された凹入部に収容されて前記段差部の水平面部に固定されたことを特徴とする車両用シートの支持構造。 - 前記ブラケットの前壁部に鉛直方向に延びるビード部が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の車両用シートの支持構造。
- 前記段差部の車幅方向の両端部が、前記フロントフロアパネルの車幅方向の両端部に接合された1対のサイドシルに夫々接合されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用シートの支持構造。
- 前記段差部が車室側部のドア開口の下端部に向かって車幅方向外側程下方に移行するように形成され、
前記段差部の車幅方向外端部分と前記リヤシートのシートクッションとの間に空間部が形成されたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車両用シートの支持構造。
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