JP6060034B2 - タッチスイッチおよび操作パネル - Google Patents

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Description

本発明は、人体などの導電体によるタッチ操作を静電容量の変化により検出する静電容量式のタッチスイッチおよびそのタッチスイッチを複数備えた操作パネルに関する。
車両の空調操作のための操作パネルでは、スイッチに割り当てられた機能を表す文字やシンボルを見易くしたり、スイッチの操作状態を表示するために、発光ダイオードを備えている。この発光ダイオードの輝度を夜間時に下げるなどのための輝度調整機能が知られている。そして、輝度調整機能の実現のために、部品点数が少なく安価なPWM(pulse width modulation:パルス幅変調)制御が一般的に用いられている。
ところで、近年、凹凸がないすっきりとしたデザインが実現できることや、スイッチ接点の摩耗による故障がないことなどの理由で、静電容量タイプのタッチスイッチが広く使われている。
静電容量タイプのタッチスイッチは、タッチ操作の対象となる操作部に近接して配置した電極を有する。そして、この電極に人体等の導電体が近接することに応じての静電容量の変化に基づいてタッチ操作を検知する。
具体的には、電極の静電容量に応じた大きさの検出値を一定の時間間隔で検出回路により得る。そして、最新の検出値と基準値との差が規定差値Δa未満である場合に、タッチ操作がなされていないと判定するとともに、基準値を最新の検出値に更新する。最新の検出値と基準値との差が規定差値Δa以上である場合には、タッチ操作がなされていると判定するとともに、基準値は更新しない。
図9は検出値の変化の一例を示すタイムチャートである。
この場合、時点T11までは、基準値が最新の検出値により置き換えられてゆくが、検出値がRaで一定であるために、基準値もRaに一定となる。
時点T12においては、最新の検出値と基準値との差が規定差値Δa以上になるために、基準値は更新されず、Raのままとなる。従って、その後の時点T13までの期間には、いずれも最新の検出値と基準値との差が規定差値Δa以上になるために、基準値は更新されず、Raのままとなる。
時点T14においては、最新の検出値と基準値Raとの差が規定差値Δa未満となるために基準値が更新されるが、最新の検出値がRaであるために基準値はRaで変わらない。
このように、基準値はRaにほぼ一定となり、時点T12から時点T14までの期間P11においてタッチ操作が検知される。
特開2011−51427号公報
上記のような静電容量タイプのタッチスイッチを車両の空調操作パネルに用いた場合、タッチスイッチの電極に近接して発光ダイオードが配置されることになる。そして、このような構成において発光ダイオードの輝度調整をPWM制御で行うと、それによって生じるノイズにより電極の静電容量の変動が大きくなり、タッチ操作の誤判定が起こる恐れがある。
発光ダイオードを電極から離して配置する方法や、発光ダイオードの電流量を制御して輝度調整を行う方法により、上記のノイズの影響を低減することも考えられるが、いずれの方法も部品点数が増加してコストがアップしてしまう。
そこで本発明は、電極に近接して配置した発光ダイオードの輝度調整にPWM制御を用いながらも、PWM制御に伴うノイズの影響による誤判定が生じる危険性を低減することを目的としている。
前記の目的を達成するために第1の発明は、導電体によるタッチ操作の対象となる操作部と、前記操作部に近接して配置された電極と、前記操作部を照明する発光素子と、前記発光素子の輝度調整をPWM(パルス幅変調)制御にて行う輝度調整手段と、基準値を記憶する記憶デバイスと、前記電極の静電容量に応じた検出値を出力する検出回路と、前記検出値と前記記憶デバイスにより記憶された基準値との差が規定値以上の場合に前記タッチ操作があると判定する判定手段とを具備したタッチスイッチに、前記輝度調整手段による前記PWM制御の実施状態が遷移したのちに前記検出回路が最初に検出する検出値を前記基準値として前記記憶デバイスに記憶させ、その他のタイミングで検出された検出値に変化が生じても前記記憶デバイスに記憶された前記基準値は更新させない基準値変更手段を備えた。
前記の目的を達成するために第2の発明は、前記第1の発明における前記基準値変更手段を、前記調整手段による前記PWM制御の実施状態が遷移したのちに前記検出回路が最初に検出する際に前記判定手段が前記タッチ操作があると判定している場合には、その後に前記判定手段が前記タッチ操作がないと判定するようになったのちに前記検出回路が最初に検出する検出値を前記基準値として前記記憶デバイスに記憶させるものとした。
前記の目的を達成するために第3の発明は、複数のタッチスイッチと、制御ユニットとを備えた操作パネルにおいて、前記複数のタッチスイッチのそれぞれに、導電体によるタッチ操作の対象となる操作部と、前記操作部に近接して配置された電極と、前記操作部を照明する発光素子と、前記発光素子の輝度調整をPWM(パルス幅変調)制御にて行う輝度調整手段と、前記電極の静電容量に応じた検出値を出力する検出回路とを具備し、前記制御ユニットに、前記複数のタッチスイッチのそれぞれに対する基準値を記憶する記憶デバイスと、前記複数のタッチスイッチのそれぞれに関して、該当するタッチスイッチが備える前記検出回路による検出値と該当するタッチスイッチに対して前記記憶デバイスにより記憶された基準値との差が規定値以上の場合に該当するタッチスイッチについてのタッチ操作があると判定する判定手段と、前記輝度調整手段による前記PWM制御の実施状態が遷移したのちに前記検出回路が最初に検出する検出値をその検出回路を備える前記タッチスイッチに対しての前記基準値として前記記憶デバイスに記憶させ、その他のタイミングで検出された検出値に変化が生じても前記記憶デバイスに記憶された前記基準値は更新させない基準値変更手段とを備えた。
前記の目的を達成するために第4の発明は、前記第3の発明における前記基準値変更手段を、前記調整手段による前記PWM制御の実施状態が遷移したのちに前記検出回路が最初に検出する際に前記判定手段が前記複数のタッチスイッチのいずれかについて前記タッチ操作があると判定している場合には、その後に前記判定手段が前記複数のタッチスイッチの全てについて前記タッチ操作がないと判定するようになったのちに前記検出回路が最初に検出する検出値を前記基準値として前記記憶デバイスに記憶させるものとした。
前記の目的を達成するために第5の発明は、前記第3の発明における前記基準値変更手段を、前記複数のタッチスイッチのそれぞれに関して、個々のタッチスイッチに対して予め定められた別の一部のタッチスイッチのいずれかについて前記タッチ操作があると前記判定手段が判定している周辺タッチ状態にあるか否かを確認し、周辺タッチ状態にあるタッチスイッチについては、その後に周辺タッチ状態ではなくなったのちに前記検出回路が最初に検出する検出値を前記基準値として前記記憶デバイスに記憶させるものとした。
本発明によれば、PWM制御に伴うノイズの影響による誤判定が生じる危険性を低減できる。
第1の実施形態に係る操作パネルの操作面の外観を示す平面図。 操作部と電極および発光ダイオードとの位置関係を表す分解斜視図。 第1の実施形態に係る操作パネルの電気的な要素の一部を示す図。 図3中のCPUによるタッチ判定処理のフローチャート。 図3中のCPUによる基準値更新処理のフローチャート。 図5中の検出回路による検出値の変化の一例を示す図。 第2の実施形態における1つのタッチスイッチの電極の構造を示す平面図。 第2の実施形態に係る操作パネルの電気的な要素の一部を示す図。 従来のタッチ操作の検出処理を説明するタイムチャート。
以下、図1〜8を参照して本発明の実施形態について説明する。
なおここでは、車両の空調操作のための操作パネルに本発明を適用した実施形態について説明するが、他の用途の操作パネルにおいても本発明を同様に適用可能である。
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態に係る操作パネル100の操作面の外観を示す平面図である。
操作パネル100は、その操作面に外部に露出する状態で、表示デバイス1および操作部2a,2b,2c,2d,2e,2f,2g,2h,2i,2j,2k,2m,2n,2p,2r,2sを備える。
表示デバイス1は、例えば液晶表示デバイスであり、車両の空調装置の動作状態を表した画像を表示する。
操作部2a〜2sは、操作面のうちで操作者がタッチ操作すべき部分である。操作部2a〜2sは、その一部は透光性の材料を用いて文字やシンボルを形成しており、その他の部分は遮光性の材料を用いて形成される。
操作パネル100の内部には、操作部2a〜2sのそれぞれに対向した状態で1つずつの電極および少なくとも1つずつの発光ダイオードが配置される。
図2は操作部2jと電極3および発光ダイオード4a,4bとの位置関係を表す分解斜視図である。
操作部2jには、シンボル21および状態表示窓22が透光性の材料を用いて形成されている。シンボル21は、自動車の輪郭およびU字の矢印を含み、操作部2jが内気循環モードを選択するためのものであることを表す。状態表示窓22は、内気循環モードの設定/非設定を発光/非発光により表す。
電極3は、導電材料を用いて薄板状または薄膜状に形成される。電極3は、その前面が操作部2jに対向している。電極3の中央には、開口3aが形成されている。
発光ダイオード4aは、開口3aの内部に、発光面を操作部2jに向けて配置されている。発光ダイオード4aは、シンボル21に対向している。かくして、発光ダイオード4aは、シンボル21を照明する。この発光ダイオード4aが、発光素子の一例である。なお別種の発光素子を発光ダイオード4aの代わりに用いても良い。
発光ダイオード4bは、電極3の側方に、発光面を操作部2jに向けて配置されている。発光ダイオード4bは、状態表示窓22に対向している。かくして、発光ダイオード4bは、状態表示窓22を照明する。
図示は省略するが、操作パネル100は、他の操作部についても図2に示すのと同様な構造を持つ。ただし、他の操作部における状態表示窓22に相当する表示窓は、その形状が状態表示窓22とは異なる。また、操作部2a,2b,2c,2d,2e,2f,2g,2nは状態表示窓22に相当する表示窓が形成されず、かつこれらの操作部に対向しては、発光ダイオード4bに相当する発光ダイオードを備えない。
図3は操作パネル100の電気的な要素の一部を示す図である。
なお、図3において図2に示されるのと同一の要素には同一の符号を付している。
図3に示すように操作パネル100は、検出回路5、駆動回路6a,6bおよび制御ユニット7を含む。なお、電極3、発光ダイオード4a、検出回路5および駆動回路6aは操作部2a〜2sのそれぞれに対するものを個別に含み、駆動回路6bは操作部2h,2i,2j,2k,2m,2r,2sのそれぞれに対するものを個別に含むが、図3ではこのうちの操作部2jに対するもののみを図示している。
検出回路5は、抵抗器51,52,53、比較器54および積分回路55を含んだ周知の回路であり、電極3の静電容量の大きさに応じた検出値を得て、当該検出値を制御ユニット7へ送る。
駆動回路6a,6bはそれぞれ、抵抗器61,62,63およびトランジスタ64を含んだ周知の回路である。駆動回路6aは、制御ユニット7による制御の下に発光ダイオード4aを駆動する。駆動回路6bは、制御ユニット7による制御の下に発光ダイオード4bを駆動する。
制御ユニット7は、CPU(central processing unit)71、ROM(read-only memory)72、RAM(random-access memory)73、インタフェースユニット74およびバスライン75を含む。そしてCPU71、ROM72、RAM73およびインタフェースユニット74は、いずれもバスライン75に接続されている。つまり制御ユニット7としては、例えばマイクロコンピュータが利用できる。
CPU71は、ROM72に記憶されたプログラムに従って、操作部2a〜2sのそれぞれへのタッチ操作の有無の判定のためや、発光ダイオードの点灯/非点灯の切り替えのためや、発光ダイオードの輝度調整のための処理を行う。
ROM72は、上記のプログラムや、CPU71が各種の処理を行う上で参照する各種のデータを記憶する。
RAM73は、CPU71が各種の処理を行う上での一時的なデータ保存のためのワークエリアとして利用される。
インタフェースユニット74は、検出回路5の抵抗器51の一端に矩形波を供給する。インタフェースユニット74は、検出回路5の積分回路55から出力される検出値を取り込む。インタフェースユニット74は、スイッチング信号を駆動回路6へと出力する。なお、他の操作部に対する検出回路および駆動回路も、インタフェースユニット74に接続される。そしてインタフェースユニット74は、これらの検出回路および駆動回路に関しても上記と同様な動作を行う。
以上のように、操作部2j、電極3、発光ダイオード4a,4b、検出回路5、駆動回路6a,6bおよび制御ユニット7を含んで1つのタッチスイッチが構成される。他の操作部2a〜2i,2k〜2sについても、同様にタッチスイッチが構成される。ただし、操作部2a〜2g,2n,2pに関するタッチスイッチは、発光ダイオード4bおよび駆動回路6bを備えない。かくして操作パネル100は、16個のタッチスイッチを備える。
次に以上のように構成された操作パネル100の動作について説明する。
CPU71は、一定の時間間隔で図4に示すタッチ判定処理を繰り返し開始する。
ステップSa1においてCPU71は、操作パネル100が備える全てのタッチスイッチのうちで今回のタッチ判定処理においてはまだ選択していない1つをチェックスイッチとして選択する。
ステップSa2においてCPU71は、チェックスイッチについての検出値差ΔVが規定差値Δa以上であるか否かを確認する。ここで検出値差ΔVは、チェックスイッチに含まれる検出回路5がこの時点で出力する検出値と、後述する基準値更新処理によりチェックスイッチに関して定められた基準値との差である。なお、基準値は、複数のタッチスイッチのそれぞれに関してRAM73に記憶される。かくしてRAM73は、記憶デバイスの一例である。RAM73の他に、EEPROMなどを備えて、ここに基準値を記憶しても良い。
ところで、検出回路5は、原理的には電極3に関係する静電容量に応じた大きさの検出値を出力する。電極3に関係する静電容量としては、プリント基板に形成されたグランドパターンとの間に生じる寄生容量(浮遊容量)PCが常に存在している。電極3に人体などの導電体が近接すると、この導電体と電極3との間に静電容量が生じる。このようにして生じる静電容量は、寄生容量PCに比べて大きいために、電極3に関する静電容量は導電体の近接の有無に応じて大きく変化する。なお、導電体と電極3との間に生じる静電容量の大きさは、導電体の導電率や、導電体と電極3との位置関係などによって変化するが、その変化量は、導電体の近接の有無に応じた静電容量の変化量に比べれば小さい。また、検出値は周囲温度や湿度などによっても変化するが、その変化量は、導電体の近接の有無に応じた検出値の変化量に比べれば小さい。規定差値Δaは、タッチ操作の有無による検出値の変化量と、その他の要因による検出値の変化量との中間的な値として、設計者などにより予め定められる。
チェックスイッチについての検出値差ΔVが規定差値Δa以上であるためにステップSa2にてYESと判定したならばCPU71は、ステップSa3へと進む。
ステップSa3においてCPU71は、チェックスイッチ用のカウント値を1つ増加させる。カウント値は、RAM73に記憶されるものであって、全てのタッチスイッチのそれぞれに関連付けられて16個が用意されている。なお、このカウント値は、操作パネル100の起動時などに全てが0にクリアされる。
ステップSa4においてCPU71は、チェックスイッチ用のカウント値が規定値以上であるか否かを確認する。規定値は、設計者などにより適宜に定められる。そして該当するカウント値が規定値以上であるためにYESと判定したならばCPU71は、ステップSa5へと進む。
ステップSa5においてCPU71は、チェックスイッチ用のオンフラグをセットする。オンフラグは、RAM73に記憶される1ビットのデータであって、全てのタッチスイッチのそれぞれに関連付けられて16個が用意されている。オンフラグは、関連付けられたタッチスイッチがタッチ操作がなされた状態にあるか否かを表すフラグであって、セット状態がタッチ操作がなされた状態を表す。つまりCPU71はこのとき、チェックスイッチがタッチ操作がなされた状態にあると判定し、それに応じてオンフラグをセット状態とするのである。そしてこののちにCPU71は、ステップSa7へ進む。
ところで、チェックスイッチについての検出値差ΔVが規定差値Δa未満であるためにステップSa2にてNOと判定したならばCPU71は、ステップSa6へと進む。
ステップSa6においてCPU71は、チェックスイッチ用のオンフラグをリセットする。ただし、このときにはチェックスイッチ用のオンフラグは既にリセット状態である場合もあり、必ずしもオンフラグの状態を更新する訳ではない。そしてこののちにCPU71は、ステップSa7へと進む。
ステップSa7においてCPU71は、チェックスイッチ用のカウント値を0にクリアする。つまりCPU71は、オンフラグをセットまたはリセットした場合には、カウント値をクリアする。そしてこののちにCPU71は、ステップSa8へ進む。
なお、チェックスイッチ用のカウント値が規定値未満であるためにステップSa4にてNOと判定したならばCPU71は、ステップSa5,6をパスしてステップSa8へと進む。つまりこの場合にCPU71は、チェックスイッチ用のオンフラグの状態を変更しないし、チェックスイッチ用のカウント値はステップSa3にて更新された値のままとする。
ステップSa8においてCPU71は、操作パネル100が備える全てのタッチスイッチのうちで今回のタッチ判定処理においてはまだ選択していないタッチスイッチがもう無いか否かを確認する。そして、未選択のタッチスイッチが残っているためにNOと判定したならばCPU71は、ステップSa1に戻り、別のタッチスイッチをチェックスイッチとして上記の処理を繰り返す。そして、未選択のタッチスイッチがもう無いためにステップSa8にてYESと判定したならばCPU71は、今回のタッチ判定処理を終了する。
以上のように、1回のタッチ判定処理において、全てのタッチスイッチのそれぞれに関して、検出値差ΔVが規定差値Δa以上であるか否かを確認し、検出値差ΔVが規定差値Δa以上であるタッチスイッチ用のカウント値を1つ増加し、この増加後のカウント値が規定値以上になったタッチスイッチがタッチ操作がなされた状態であると判定する。なお、カウント値は、検出値差ΔVが規定差値Δa以上である状態の継続回数を表すことになるため、検出値差ΔVが規定差値Δa以上である状態が規定回数に渡って継続した場合にタッチスイッチがタッチ操作がなされた状態であると判定することになる。
一方でCPU71は、一定の時間間隔で図5に示す基準値更新処理を繰り返し開始する。なお、基準値更新処理を開始するタイミングは、タッチ判定処理を開始するタイミングとは無関係であってよく、典型的には基準値更新処理の実行間隔はタッチ判定処理の実行間隔に比べて大きい。基準値更新処理の実行間隔およびタッチ判定処理の実行間隔は、設計者などによって予め適宜に定められる。
ステップSb1においてCPU71は、発光ダイオード4a,4bのいずれかの制御に関してPWM制御モードを適用中であるか否かを確認する。なお、PWM制御モードの適用/不適用や、PWM制御におけるデューティ比は、複数の発光ダイオード4aの間、および複数の発光ダイオード4bの間でそれぞれ共通である。そしてPWM制御モードを適用中であるためにYESと判定したならばCPU71は、ステップSb2へと進む。
ステップSb2においてCPU71は、基準値更新処理を前回実行した際に今回と同様にPWM制御モードを適用中であったか否かを確認する。そして、前回も今回と同様にPWM制御モードを適用中であったためにYESと判定したならばCPU71は、ステップSb3へ進む。
ステップSb3においてCPU71は、現状におけるPWM制御におけるデューティ比が基準値更新処理を前回実行した際におけるデューティ比と異なるか否かを確認する。そして、両デューティ比が互いに異なるためにYESと判定したならばCPU71はステップSb5へと進む。
なお、基準値更新処理を前回実行した際に今回と同様にPWM制御モードが適用されていなかったためにステップSb2にてNOと判定したならばCPU71は、ステップSb2からステップSb3をパスしてステップSb5へと進む。
さて、今回においてPWM制御モードが適用されていないためにステップSb1にてNOと判定したならばCPU71は、ステップSb4へと進む。
ステップSb4においてCPU71は、基準値更新処理を前回実行した際に発光ダイオード4a,4bのいずれかの制御に関してPWM制御モードを適用中であったか否かを確認する。そして、前回にはPWM制御モードを適用中であったためにYESと判定したならばCPU71は、ステップSb5へ進む。
以上のようにしてCPU71は、次の3つのケースのいずれかにおいてステップSb5へと移行する。
(1) 前回から今回にかけてPWM制御モードが同様に継続しているものの、デューティ比が変更されている場合。
(2) 前回から今回にかけて発光ダイオード4a,4bの少なくともいずれか一方の制御に関してのPWM制御モードが終了されていた場合。
(3) 前回から今回にかけて発光ダイオード4a,4bの少なくともいずれか一方の制御に関してのPWM制御モードが開始されていた場合。
つまり、前回から今回にかけてPWM制御に関する状態遷移が生じていた場合に、CPU71はステップSb5へと移行する。
なお、PWM制御は、CPU71による別タスクの処理によって実現される。つまり、CPU71は輝度調整手段として機能する。従って、CPU71は、PWM制御の状態を管理しており、そのための情報を参照することによってステップSb1〜4の判定が行える。
操作パネル100を自動車に搭載する場合の具体例につき以下に記す。
(第1の具体例)
CPU71は、LED4aを、自動車のライトスイッチがメータ照明をオフとする状態(以下、ライトオフ状態と称する)にあるときに非発光(非通電)とし、メータ照明をオンとする状態(以下、ライトオン状態と称する)にあるときに最大光量での発光(常時通電)とする。
またCPU71は、LED4bを、割り付けられたモードが設定状態にあるときに発光(通電)とし、非設定状態にあるときに非発光(非通電)とする。ただしLED4bの発光状態における発光量は、ライトオフ状態では最大光量とし、ライトオン状態では最大光量よりも低い低減光量とする。低減光量は、最大光量を100%とすると、例えば20%程度とすることが想定される。
CPU71が上記のような条件でLED4a,4bを制御する場合、LED4bが低減光量で発光するとき、つまりライトオン状態であり、かつLED4bに割り付けられたモードが設定状態である場合に、PWM制御が適用され、それ以外ではPWM制御は適用されない。
このため、LED4bに割り付けられたモードが設定状態であるときにライトオフ状態とライトオン状態との切り換えが行われた場合と、ライトオン状態であるときにLED4bに割り付けられたモードの設定/非設定が切り換えられた場合とにおいてPWM制御に関する状態遷移が生じる。
なお、この具体例においては、PWM制御におけるデューティ比の変更は生じない。従ってステップSb3においては、必ずNOと判定することになる。このため、ステップSb3を省略し、ステップSb2にてYESと判定した場合には、ステップSb6へと進むようにしても良い。
(第2の具体例)
CPU71は、LED4a,4bの発光/非発光は第1の具体例と同様に制御するが、ライトオン状態におけるLED4aの発光量を調光ツマミなどの操作に応じて変化させる。
このようにしてCPU71がLED4a,4bを制御する場合、ライトオン状態であり、かつLED4bに割り付けられたモードが設定状態である場合に加えて、ライトオン状態であり、かつLED4aの発光量が最大光量以外に設定されている場合に、PWM制御が適用される。
かくして、次のいずれかの場合においてPWM制御に関する状態遷移が生じる。
(1) LED4bに割り付けられたモードが設定状態であるときにライトオフ状態とライトオン状態との切り換えが行われた場合。
(2) ライトオン状態であるときにLED4bに割り付けられたモードの設定/非設定が切り換えられた場合。
(3) LED4aの発光量が最大光量以外に設定されている状態にあるときにライトオフ状態とライトオン状態との切り換えが行われた場合。
(4) ライトオン状態にあるときにLED4aの発光量が変更された場合。
ステップSb5においてCPU71は、条件成立フラグをセットする。条件成立フラグは、RAM73に記憶される1ビットのデータである。そしてこののちにCPU71は、ステップSb6へと進む。
なお、前回から今回にかけてPWM制御モードが継続中であり、かつデューティ比が変更されていないためにステップSb3にてNOと判定した場合と、前回および今回においていずれもPWM制御モードが適用されていないためにステップSb4にてNOと判定した場合とにおいてCPU71は、ステップSb5を行うことなしにステップSb6へと進む。つまり、前述した(1)〜(3)のいずれかのケースのみにおいて条件成立フラグがセットされる。
ステップSb6においてCPU71は、条件成立フラグがセット状態であるか否かを確認する。そして、セット状態であるためにYESと判定したならばCPU71は、ステップSb7へと進む。
ステップSb7においてCPU71は、タッチスイッチのそれぞれに対応したオンフラグのうちにセット状態であるものが1つでもあるか否かを確認する。そして全てのオンフラグがリセット状態であるためにNOと判定したならばCPU71は、ステップSb8へと進む。
ステップSb8においてCPU71は、RAM73に記憶された基準値を更新する。CPU71は、各タッチスイッチの検出回路5がこの時点において出力する検出値をインタフェースユニット74を介して順次に取得し、この検出値によって該当するタッチスイッチについての基準値を書き換えて行く。
ステップSb9においてCPU71は、条件成立フラグをリセットする。そしてこれをもってCPU71は、基準値更新処理を終了する。
なお、条件成立フラグがリセット状態であるためにステップSb6にてNOと判定した場合と、条件成立フラグはセット状態であるものの、セット状態にあるオンフラグが1つでもあるためにステップSb7にてYESと判定した場合とにおいてCPU71は、ステップSb8,9を行うことなしに基準値更新処理を終了する。
以上のような基準値更新処理により、PWM制御の開始時、終了時や、PWM制御のデューティ比の変更時などでPWM制御に関する状態遷移が生じていた場合に、その後に最初に検出された検出値によって基準値を更新する。その他のタイミングで検出された検出値に変化が生じても、基準値は更新されない。つまりCPU71は、基準値更新処理の実行により基準値変更手段として機能する。
図6は検出値の変化の一例を示す図である。
図6における太線が検出値として検出されるべき値の変化を表し、黒点が検出回路5が検出する値を表す。
図6に示される初期の時点においては、基準値aとなっている。
時点T21においてPWM制御に関する状態遷移が生じている。そして、次に検出回路5にて検出値が検出される時点T22において検出された検出値によって基準値bに更新される。かくして、時点T22を挟んで、期間P21においては基準値aに、また期間P22においては基準値bに固定される。
時点T23においてタッチ操作が開始されている。この結果として検出値が低下し、時点T24,T25,T26における検出値と基準値bとの差が規定差値Δa以上となっている。
時点T27においてタッチ操作が終了されている。この結果として検出値が上昇し、時点T28における検出値と基準値bとの差が規定差値Δa未満となっている。かくして時点T24から時点T28までの期間P23において、CPU71がタッチ操作がなされていると判定することとなる。
かくして本実施形態によれば、PWM制御の状態が同一である状態が継続する期間における基準値は、その期間の当初における検出値に固定される。従って、PWM制御に伴うノイズの影響によって検出値が頻繁に変動してしまったとしても、それによりタッチ操作の有無を誤検出してしまうことが防止される。
ところで、条件成立フラグがセット状態であるものの、タッチスイッチのそれぞれに対応したオンフラグのうちにセット状態であるものが1つでもあるならば、CPU71はステップSb7にてYESと判定し、ステップSb8,9を行うことなしに基準値更新処理を終了する。そしてこの場合には、条件成立フラグがセット状態のままで次回の基準値更新処理が開始されることになる。従って、次回の基準値更新処理においては、ステップSb1〜5が如何にして行われようとも、CPU71はステップSb6でYESと判定し、ステップSb7の判断を行うことになる。つまり、ステップSb7にて全てのオンフラグがリセット状態であるためにNOと判定できるまで待ち受けられることになる。
そして、全てのオンフラグがリセット状態となったならば、つまり全てのタッチスイッチに関してタッチ操作がなされていない状態となったならば、そのときにPWM制御の状態遷移が生じたか否かに拘わらずに、基準値を更新する。
1つのタッチスイッチに関する静電容量は、そのタッチスイッチに対するタッチ操作が行われていない場合であっても、近隣の別のタッチスイッチに対するタッチ操作が行われている場合にも変化する場合がある。そこで、上記のように操作パネル100に含まれる複数のタッチスイッチの1つでもタッチ操作が行われている状態にてPWM制御に関する状態遷移が生じたとしても、その状態における検出値は基準値としない。そして、全てのタッチスイッチに対するタッチ操作が行われない状態になるのを待ち、その状態における検出値を遷移後の状態における基準値とするように更新するのである。
これにより、タッチ操作による影響を受けない状態における検出値を基準値として設定することとし、タッチ操作の検出のために適正な基準値を設定可能である。
(第2の実施形態)
図2に示す構造は、いわゆる自己キャパシタンス方式を採用する例であるが、相互キャパシタンス方式を採用する場合でも上記実施形態をほぼそのまま利用できる。
図7は第2の実施形態における1つのタッチスイッチの電極の構造を示す平面図である。なお、図7において図2に示されるものと同一の要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図7に示すように、相互キャパシタンス方式を採用する場合には、1つのタッチスイッチに複数の受信電極31と少なくとも1つの送信電極32とを含む。なお、図7においては、4つの受信電極31と1つの送信電極32とを備える場合を図示している。
図8は第2の実施形態に係る操作パネル200の電気的な要素の一部を示す図である。なお、図8において図3,7に示されるものと同一の要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図8に示す操作パネル200は、図7に示す電極構造を採用するものである。操作パネル200は、電極構造を上記のように変更するとともに、検出回路5に代えて検出回路8を備える。検出回路8へは、インタフェースユニット74が出力する矩形波は供給されず、従って抵抗器51を含まない。
インタフェースユニット74が出力する矩形波は、送信電極32へと供給される。複数の受信電極31は、いずれも比較器54の非反転入力端へと接続される。
このような構成においては、送信電極32への矩形波の供給によって送信電極32と受信電極31との間に電界が生成される。指などの導電体が受信電極31に近接したときには、その導電体によって上記の電界のエネルギの一部が吸収されることとなり、上記の電界は減少する。電界が減少することにより受信電極31に関する静電容量も減少することから、検出回路8によって得られる検出値の変化として第1の実施形態と同様にしてタッチ操作の有無を判定することができる。
ただし、第1の実施形態においては、タッチ操作が行われたことに応じて静電容量が増加するのに対し、第2の実施形態においては、タッチ操作が行われたことに応じて静電容量が減少する。CPU71によるタッチ判定処理および基準値更新処理は、第1の実施形態と同様の処理をそのまま適用できる。ただし、タッチ操作の有無での検出値の変化量に差異が生じる可能性があるため、それに応じて規定差値Δaの値を適正に定めておくべきである。
このように相互キャパシタンス方式を採用することにより、第1の実施形態に比べてノイズ耐性を高めることが可能である。
なお、本発明は前記第1および第2の実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような変形実施が可能である。
操作パネルが備えるタッチスイッチの数や配置は任意であって良い。
操作パネルとしてではなく、独立したタッチスイッチとして実現することも可能である。
基準値更新処理は、複数のタッチスイッチのそれぞれについて個別に行い、ステップSb7においては対象とするタッチスイッチにおけるタッチ操作がなされているか否かを確認しても良い。つまり、別のタッチスイッチに対するタッチ操作がなされている状態であっても基準値の更新を行うようにしても良い。
基準値更新処理は、複数のタッチスイッチのそれぞれについて個別に行い、ステップSb7においては、他のタッチスイッチのうちで影響のある一部のタッチスイッチにおけるタッチ操作がなされているか否かを確認しても良い。つまり、複数のタッチスイッチの配置によっては、あるタッチスイッチに関して、遠くに離れた別のタッチスイッチにおけるタッチ操作は何ら影響しないことも考えられる。そこでこのような場合においては、影響のないタッチスイッチにおけるタッチ操作の有無は無視することによって、速やかな基準値の更新を行える可能性を高めることができる。具体的には、例えば操作部2kを含むタッチスイッチに関しては、操作部2e,2f,2mのいずれかにおけるタッチ操作がなされているか否かをステップSb7にて確認することとすることが考えられる。
この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論である。
2a〜2s…操作部、3…電極、4a,4b…発光ダイオード、5,8…検出回路、6a,6b…駆動回路、7…制御ユニット、71…CPU、72…ROM、73…RAM、74…インタフェースユニット、31…受信電極、32…送信電極、100,200…操作パネル。

Claims (5)

  1. 導電体によるタッチ操作の対象となる操作部と、
    前記操作部に近接して配置された電極と、
    前記操作部を照明する発光素子と、
    前記発光素子の輝度調整をPWM(パルス幅変調)制御にて行う輝度調整手段と、
    基準値を記憶する記憶デバイスと、
    前記電極の静電容量に応じた検出値を出力する検出回路と、
    前記検出値と前記記憶デバイスにより記憶された基準値との差が規定値以上の場合に前記タッチ操作があると判定する判定手段とを具備したタッチスイッチにおいて、
    前記輝度調整手段による前記PWM制御の実施状態が遷移したのちに前記検出回路が最初に検出する検出値を前記基準値として前記記憶デバイスに記憶させ、その他のタイミングで検出された検出値に変化が生じても前記記憶デバイスに記憶された前記基準値は更新させない基準値変更手段を備えることを特徴とするタッチスイッチ。
  2. 前記基準値変更手段は、前記輝度調整手段による前記PWM制御の実施状態が遷移したのちに前記検出回路が最初に検出する際に前記判定手段が前記タッチ操作があると判定している場合には、その後に前記判定手段が前記タッチ操作がないと判定するようになったのちに前記検出回路が最初に検出する検出値を前記基準値として前記記憶デバイスに記憶させることを特徴とする請求項1に記載のタッチスイッチ。
  3. 複数のタッチスイッチと、制御ユニットとを備えた操作パネルにおいて、
    前記複数のタッチスイッチはそれぞれ、
    導電体によるタッチ操作の対象となる操作部と、
    前記操作部に近接して配置された電極と、
    前記操作部を照明する発光素子と、
    前記発光素子の輝度調整をPWM(パルス幅変調)制御にて行う輝度調整手段と、
    前記電極の静電容量に応じた検出値を出力する検出回路とを具備し、
    前記制御ユニットは、
    前記複数のタッチスイッチのそれぞれに対する基準値を記憶する記憶デバイスと、
    前記複数のタッチスイッチのそれぞれに関して、該当するタッチスイッチが備える前記検出回路による検出値と該当するタッチスイッチに対して前記記憶デバイスにより記憶された基準値との差が規定値以上の場合に該当するタッチスイッチについてのタッチ操作があると判定する判定手段と、
    前記輝度調整手段による前記PWM制御の実施状態が遷移したのちに前記検出回路が最初に検出する検出値をその検出回路を備える前記タッチスイッチに対しての前記基準値として前記記憶デバイスに記憶させ、その他のタイミングで検出された検出値に変化が生じても前記記憶デバイスに記憶された前記基準値は更新させない基準値変更手段とを具備することを特徴とする操作パネル。
  4. 前記基準値変更手段は、前記輝度調整手段による前記PWM制御の実施状態が遷移したのちに前記検出回路が最初に検出する際に前記判定手段が前記複数のタッチスイッチのいずれかについて前記タッチ操作があると判定している場合には、その後に前記判定手段が前記複数のタッチスイッチの全てについて前記タッチ操作がないと判定するようになったのちに前記検出回路が最初に検出する検出値を前記基準値として前記記憶デバイスに記憶させることを特徴とする請求項3に記載の操作パネル。
  5. 前記基準値変更手段は、前記複数のタッチスイッチのそれぞれに関して、個々のタッチスイッチに対して予め定められた別の一部のタッチスイッチのいずれかについて前記タッチ操作があると前記判定手段が判定している周辺タッチ状態にあるか否かを確認し、周辺タッチ状態にあるタッチスイッチについては、その後に周辺タッチ状態ではなくなったのちに前記検出回路が最初に検出する検出値を前記基準値として前記記憶デバイスに記憶させることを特徴とする請求項3に記載の操作パネル。
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