以下、本発明の実施形態について説明する。図1に示す通信カラオケシステムは、ホスト装置1とカラオケ装置2とを有している。そして、これらが通信回線4を介して通信可能に接続されている。カラオケ装置2は、例えばカラオケ店KBの各カラオケルームRMに設置されている。そして、通信回線4を通じたデュエット歌唱(以下、通信デュエットという)を行う場合、複数台のカラオケ装置2が通信回線4を介して相互に接続される。以下、通信カラオケシステムを構成する各装置について説明する。
まず、ホスト装置1について説明する。ホスト装置1は、サーバーとして機能し、顧客情報などの各種情報を蓄積して管理する。図2に示すように、ホスト装置1は、ホスト側制御部11と、ホスト側通信部12と、ホスト側記憶部13とを有している。ホスト側制御部11は、ホスト装置1における制御の中心となる部分であり、CPU11aやメモリ11bを有している。CPU11aは、メモリ11bに記憶された動作プログラムに従って各種の制御を実行する。メモリ11bは、CPU11aに実行されるプログラムを記憶したり、プログラムの実行時に各種情報を一時的に記憶したりする記憶素子である。ホスト側通信部12は、ホスト装置1を通信回線4に接続するためのインタフェースを提供する。
ホスト側記憶部13は、大容量の情報を記憶する記憶装置であり、ハードディスクドライブ等によって構成されている。ホスト側記憶部13の一部領域は、利用者(歌唱者)に関する顧客情報が記憶される顧客情報記憶領域として用いられている。この顧客情報記憶領域には、個人情報や歌唱履歴・頻度等の各種データが利用者IDに対応付けられた状態で記憶される。
また、ホスト側記憶部13の一部領域は、候補楽曲テーブルとしても用いられている。ここで、候補楽曲テーブルとは、デュエット歌唱を希望する各歌唱者によって選択されたカラオケ楽曲が不一致の場合に、新たなカラオケ楽曲を提示するための情報が記憶されている。従って、候補楽曲テーブルは、デュエット相手を募集している待機利用者が選択したカラオケ楽曲(第1選択楽曲)と、新たにデュエット歌唱を希望する新規利用者が選択したカラオケ楽曲(第2選択楽曲)とが不一致の場合にホスト側制御部11によって参照される。
候補楽曲テーブルには、各利用者に対して歌唱候補のカラオケ楽曲として提示される候補楽曲が、選択楽曲に対応付けられた状態で記憶される。図3(a)には、或るアーティストAのカラオケ楽曲A1〜A5に対応する候補楽曲が例示されている。同様に図3(a)には、他のアーティストBのカラオケ楽曲B1〜B5に対応する候補楽曲が例示されている。
各候補楽曲は、優先順位が付された状態で記憶されている。例えば、選択楽曲が楽曲A1である場合、第1優先順位の候補楽曲として楽曲A56が設定され、第2優先順位の候補楽曲として楽曲A33が設定されている。同様に、第3〜第5優先順位の候補楽曲として楽曲A42,A25,B11が設定されている。また、選択楽曲が楽曲B1である場合、第1〜第5優先順位の候補楽曲として楽曲B21,B15,B39,B45,B33が設定されている。なお、図示の関係で、一部の楽曲の一部の候補楽曲しか示されていないが、候補楽曲テーブルには、多数の選択楽曲及び候補楽曲が記憶されている。
ここで、優先順位について説明する。本実施形態では、ホスト装置1で集計された統計データに基づいて優先順位を設定している。例えば、選曲楽曲A1の場合には、楽曲A1を歌唱したことのある複数の利用者についての歌唱履歴データを取得し、各利用者が楽曲A1以外で過去に歌唱したカラオケ楽曲の曲目や回数を取得する。そして、取得したカラオケ楽曲の曲目や回数に基づき、最も頻度の高いカラオケ楽曲から順に高い優先順位を付与する。なお、候補楽曲テーブルを備えるホスト側記憶部13は、選曲楽曲に対応する候補楽曲を示す候補楽曲情報を記憶する記憶手段に相当する。
次に、カラオケ装置2について説明する。カラオケ装置2は、カラオケ演奏や歌唱採点を行うものであり、例えば図4に示すように、カラオケ本体21と、スピーカ22と、モニタ23と、マイク24と、ビデオカメラ25と、リモコン装置26と、映像用通信端末27と、音声用通信端末28とを有している。
カラオケ本体21は、選択されたカラオケ楽曲の演奏制御、歌詞及び背景映像の表示制御、マイク24を通じて入力された歌唱音声信号の処理といった、カラオケ歌唱に関する各種の制御を行う部分である。このカラオケ本体21については、後で詳しく説明する。
スピーカ22は、カラオケ本体21に接続されており、カラオケ本体21からの放音信号に基づいて放音する。モニタ23もカラオケ本体21に接続されており、カラオケ本体21からの映像信号に基づいて映像を画面に表示する。マイク24もカラオケ本体21に接続されており、歌唱者の音声をアナログの歌唱音声信号に変換してカラオケ本体21に入力させる。ビデオカメラ25もカラオケ本体21に接続されており、撮影された映像(例えば歌唱中の映像)を歌唱映像データとしてカラオケ本体21に入力させる。
リモコン装置26は、カラオケ本体21との間で情報を送受信するための双方向通信可能な短距離無線通信部を備えており、カラオケ楽曲の予約時などに操作される。カラオケ楽曲の予約時において、リモコン装置26からは、演奏対象の楽曲を識別するための楽曲IDを含んだ操作信号が送信される。これにより、楽曲IDが待ち行列で管理される。また、登録された利用者がリモコン装置26を通じてログインした場合、その利用者の利用者IDがホスト装置1に送信される。この利用者IDに基づき、ホスト装置1は、歌唱を行う利用者(歌唱者)をカラオケ装置2に対応付けた状態で認識できる。
また、本実施形態のリモコン装置26は、アクセスポイント(図示せず)を介して通信回線4(汎用通信回線4A)に接続可能に構成されている。そして、リモコン装置26は、利用者の操作によって通信デュエットにおけるモードを選択するためのモード選択情報をホスト装置1に送信する。また、リモコン装置26は、デュエット楽曲として候補楽曲がホスト装置1から提示された際に、選択された候補楽曲で通信デュエットを行うか否かの意思をホスト装置1に示すための許否情報を送信する。
さらに、リモコン装置26は、歌唱準備が整った場合に、通信デュエットを開始させる開始情報も送信する。詳細は後述するが、この通信カラオケシステムでは、通信デュエットの実行時において、或るカラオケ装置2が親機として機能し、他のカラオケ装置2が子機として機能する。そして、親側のカラオケ装置2が有するリモコン装置26からの開始情報が、親側のカラオケ本体21と子側のカラオケ本体21のそれぞれに送信される。この場合において、親側のカラオケ本体21に対しては開始情報が直接入力され、子側のカラオケ本体21に対しては開始情報が近隣のアクセスポイント及び通信回線4を介して送信される。
映像用通信端末27及び音声用通信端末28は、通信デュエットが行われる際に、相手側のカラオケ装置2と通信回線4を介して接続される部分であり、ビデオカメラ25で撮影された歌唱映像データ、及び、マイク24等を通じて取得された歌唱音声データが送受信される。具体的には、映像用通信端末27は、映像用通信回線4Bを介して歌唱映像データを、相手側のカラオケ装置2が有する映像用通信端末27と送受信する。同様に、音声用通信端末28は、音声用通信回線4Cを介して歌唱音声データを、相手側のカラオケ装置2が有する音声用通信端末28と送受信する。これらの映像用通信回線4B及び音声用通信回線4Cでは、接続先となるカラオケ装置2を電話番号やIPアドレスなどによって選択できる。
映像用通信端末27で受信された相手側のカラオケ装置2からの歌唱映像データは、カラオケ本体21に入力される。同様に、音声用通信端末28で受信された相手側のカラオケ装置2からの歌唱音声データもまた、カラオケ本体21に入力される。なお、カラオケ本体21は、汎用通信回線4Aを介して相手側のカラオケ本体21やホスト装置1と通信可能に接続されており、通信デュエット時の歌唱映像データ及び歌唱音声データを除く各種のデータや情報が汎用通信回線4Aを介して送受信される。
次に、カラオケ本体21について詳細に説明する。図5に示すように、カラオケ本体21は、本体側制御部31と、本体側通信部32と、本体側記憶部33と、音響処理部34と、表示処理部35と、映像入力部36と、操作部37とを有している。そして、これらの各部がバスを介して通信可能な状態に接続されている。
本体側制御部31は、カラオケ本体21における制御の中心となる部分であり、CPU31aやメモリ31bを有している。CPU31aは、メモリ31bに記憶された動作プログラムに従って各種の制御を実行する。例えば、操作部37からの操作を受け付ける操作入力処理やシーケンサとして動作するシーケンサ処理を行う。メモリ31bは、CPU31aに実行されるプログラムを記憶したり、プログラムの実行時に各種情報を一時的に記憶したりする記憶素子である。本体側通信部32は、カラオケ本体21を通信回線4(汎用通信回線4A)に接続するためのインタフェースを提供する。この本体側通信部32は、本体側制御部31によって動作が制御される。
本体側記憶部33は、各種のデータを記憶する大容量の記憶装置であり、例えばハードディスクドライブによって構成されている。この本体側記憶部33には、例えば、楽曲データ記憶領域や背景映像データ記憶領域が設けられる。楽曲データ記憶領域には、リモコン装置26で選択されたカラオケ楽曲を演奏するための楽曲データが記憶され、背景映像データ記憶領域には、モニタ23に背景映像を表示させるための背景映像データが記憶される。
音響処理部34は、カラオケ楽曲に対する演奏の制御を行ったり、マイク24を通じて入力された歌唱音声信号をデジタルの歌唱音声データに変換する等の制御を行ったりする部分である。この音響処理部34では、楽曲データに応じて生成された楽音信号と歌唱音声データとが適当なバランスでミキシングされ、放音信号としてスピーカ22へ出力される。また、音響処理部34は、通信デュエットが行われている際、楽曲データや歌唱音声データに加え、音声用通信端末28を介して受信した相手側の歌唱音声データもミキシングする。これにより、利用者は、相手側の歌唱音声データの再生音声と合唱が行える。
表示処理部35は、カラオケ演奏時における背景映像の表示等の制御を行う。カラオケ演奏時において、表示処理部35には背景映像データが入力されており、この背景映像データのデコードが行われる。そして、表示処理部35は、デコードで生成された背景映像の映像信号に歌詞テロップを合成し、合成後の映像信号をモニタ23に出力する。その結果、モニタ23には、背景映像に歌詞テロップが重ねられた映像が表示される。
また、表示処理部35は、通信デュエットが行われている際、映像用通信端末27を介して受信した相手側の歌唱映像データをモニタ23に表示させる。このとき、モニタ23の所定位置には、ビデオカメラ25から直接入力された映像データに基づく映像、すなわち利用者の歌唱映像が上書き(スーパーインポーズ)される。
映像入力部36は、ビデオカメラ25からの歌唱映像データの取り込み処理を行う部分であり、いわゆるビデオカードで構成されている。この映像入力部36は、例えば、ビデオカメラ25及び映像用通信端末27と接続するための外部インタフェースと、バスを通じて本体側制御部31等と接続するための内部インタフェースと、フレームバッファとしてのビデオメモリを有している(何れも図示せず)。
操作部37は、パネルスイッチやリモコン受信回路などからなっており、利用者によるパネルスイッチやリモコン装置26の操作に応じた操作信号を本体側制御部31に対して出力する。本体側制御部31は、操作入力処理を行うことで操作信号を検出し、対応する処理を実行する。なお、パネルスイッチやリモコン装置26は、操作を選択するための種々のキースイッチ(図示せず)を備えている。そして、リモコン装置26を通じた操作により、通常のカラオケ歌唱や通信デュエットの実行を選択できる。
次に、上記構成を有する通信カラオケシステムの動作について説明する。このカラオケシステムは、通信デュエットの処理に特徴を有している。このため、通信デュエットの動作を中心に説明を行う。
図6は、通信デュエットを行う一対のカラオケ装置2A,2Bが通信回線4(4A〜4C)を介して接続された状態を説明するブロック図である。通信デュエットの実行時には、一方のカラオケ装置2Aが親側となり、他方のカラオケ装置2Bが子側となる。便宜上、以下の説明では、親側のカラオケ装置2を親側カラオケ装置2Aといい、子側のカラオケ装置2を子側カラオケ装置2Bという。そして、親側カラオケ装置2Aが備える各部を「親側」の語を付して示し、子側カラオケ装置2Bが備える各部を「子側」の語を付して示すこととする。
親側リモコン装置26Aや子側リモコン装置26Bの操作によって通信デュエットが選択され、デュエット相手が決定されると、親側映像用通信端末27Aと子側映像用通信端末27Bとが映像用通信回線4Bを介して通信可能に接続され、親側音声用通信端末28Aと子側音声用通信端末28Bとが音声用通信回線4Cを介して通信可能に接続される。これにより、親側ビデオカメラ25Aで撮影された映像が子側モニタ23Bで視認可能となり、親側マイク24Aで集音された音声が子側スピーカ22Bから放音されるようになる。同様に、子側ビデオカメラ25Bで撮影された映像が親側モニタ23Aで視認可能となり、子側マイク24Bで集音された音声が親側スピーカ22Aから放音されるようになる。なお、親側カラオケ本体21Aと子側カラオケ本体21Bとホスト装置1は、汎用通信回線4Aを介して常時通信可能に接続されているので、必要な情報は、汎用通信回線4Aを介して送受信することができる。
また、通信デュエットが選択されると、親側カラオケ本体21Aの本体側制御部31と子側カラオケ本体21Bの本体側制御部31のそれぞれに、通信デュエットの対象となるカラオケ楽曲の楽曲IDが配信され、演奏可能な状態で待機される。その後、各ビデオカメラ25A,25Bの角度や各マイク24A,24Bの入力感度等が調整され、通信デュエットが行える状態になったならば、親側リモコン装置26Aにより、通信デュエットの開始が指示される。
これにより、親側リモコン装置26Aから開始情報が送信され、親側カラオケ本体21Aと子側カラオケ本体21Bに受信される。本実施形態における開始情報は、親側カラオケ本体21Aに対しては直接送信され、子側カラオケ本体21Bに対しては、アクセスポイント及び汎用通信回線4Aを通じて送信される。そして、開始情報が各カラオケ本体21A,21Bで受信されると通信デュエットが開始される。すなわち、親側カラオケ本体21Aと子側カラオケ本体21Bのそれぞれでカラオケ伴奏が開始される。各歌唱者は、カラオケ伴奏にあわせて歌唱を行うことで、デュエット歌唱を行うことができる。
図7は、通信デュエットの様子を説明する図である。同図に示すように、親側カラオケルームRM(親)では、親側モニタ23Aに子側歌唱映像と親側歌唱映像が表示されている。同様に、子側カラオケルームRM(子)では、子側モニタ23Bに親側歌唱映像と子側歌唱映像が表示されている。また、親側カラオケルームRM(親)及び子側カラオケルームRM(子)では、親側歌唱音声と子側歌唱音声とが合成された合成音声が親側スピーカ22A及び子側スピーカ22Bから放音される。このように、通信回線4で接続された一対のカラオケ装置2A,2Bで歌唱映像と歌唱音声が共有されることにより、通信デュエットが実現される。
この通信カラオケシステムでは、通信デュエットに関し、通常モードと募集モードを選択することができる。ここで、通常モードとは、予め決められた相手との間で通信デュエットを行う歌唱モードである。一方、募集モードとは、デュエット歌唱を行うカラオケ楽曲を選択し、デュエット相手が現れるのを待つ歌唱モードである。この募集モードでデュエット相手を決定するためには、例えば、相手を募集している待機利用者を一覧表示し、新規利用者によって待機利用者を選択させる方法がある。また、待機利用者を非公開とし、選択楽曲が一致する新規利用者が現れた場合に、待機利用者と新規利用者とを組にする方法もある。
後者の方法を採る場合、通常は、各利用者が選択した選択楽曲同士を比較し、一致する場合には対応する利用者同士を組にして通信デュエットを行わせ、不一致の場合には新規利用者を新たな待機利用者とし、次の新規利用者が来るまで待機させる。
例えば、図8(a)に示すように、楽曲A1を選択している利用者αと、楽曲A2を選択している利用者βと、楽曲A3を選択している利用者γが待機している状態で、楽曲A2を選択している利用者δが新規にエントリーされた場合には、利用者δと利用者βとが組になって楽曲A2のデュエット歌唱が行われる。一方、図8(b)に示すように、上記の利用者α〜γが待機している状態で、楽曲A4を選択している利用者εが新規にエントリーされた場合には、利用者εも待機利用者に加わる。
このような制御を行ってしまうと、長期間に亘ってデュエット歌唱が行えない利用者が出てしまい、当該利用者の興趣を著しく損ねてしまう可能性がある。そこで、本実施形態のカラオケシステムでは、ホスト側記憶部13(記憶手段)に設けられた候補楽曲テーブルを用い、デュエット相手の検索範囲を候補楽曲まで拡張している。
以下、具体例を挙げて説明する。最初に利用者αがエントリーされると、ホスト側通信部12及びホスト側制御部11(受信手段)は、利用者αが使用しているカラオケ装置2から選択楽曲の情報として「楽曲A1」を受信する。利用者αは最初のエントリーであることから、そのまま待機利用者になる。その後、利用者βがエントリーされると、ホスト側通信部12及びホスト側制御部11(受信手段)は、利用者βが使用しているカラオケ装置2から選択楽曲の情報として「楽曲A2」を受信する。
利用者αの選択楽曲A1と利用者βの選択楽曲A2とが不一致であることから、ホスト側制御部11(楽曲判定手段)は、図3(a)の候補楽曲テーブルを参照し、楽曲A1に対応する候補楽曲として楽曲A56,A33,A42,A25,B11を取得し、楽曲A2に対応する候補楽曲として楽曲A22,B12,A34,A21,B60を取得する。
次に、図9(a)に示すように、ホスト側制御部11(楽曲判定手段)は、選択楽曲A1及び候補楽曲A56,A33,A42,A25,B11の組と、選択楽曲A2及び候補楽曲A22,B12,A34,A21,A60の組との間で、一致する楽曲の有無を判定する。この判定において、ホスト側制御部11は、待機期間の長い利用者(この例では利用者α)を基準に検索を行う。まず、利用者αの選択楽曲A1が、選択楽曲A2及び候補楽曲A22,B12,A34,A21,A60に含まれているかを判定する。次に、優先順位の最も高い候補楽曲A56について、同様の判定を行う。以下、優先順位の高い順から順に判定を行う。そして、利用者βとの間で一致する楽曲がなかったことから、利用者βを待機利用者として次のエントリーを待つ。
その後、利用者γがエントリーされると、ホスト側通信部12及びホスト側制御部11(受信手段)は、利用者γが使用しているカラオケ装置2から選択楽曲の情報として「楽曲A3」を受信する。そして、利用者αの選択楽曲A1と利用者γの選択楽曲A3とが不一致であることから、ホスト側制御部11(楽曲判定手段)は、図3(a)の候補楽曲テーブルを参照し、楽曲A3に対応する候補楽曲として楽曲A10,A17,A37,A25,B11を取得し、楽曲の一致判定を行う。図9(b)に示すように、楽曲A25が一致していることから、ホスト側制御部11(歌唱楽曲設定手段)は、利用者αと利用者γに対して楽曲A25でデュエット歌唱を行うか否かについて確認をし、両者の合意がとれた場合に楽曲A25を待機利用者と新規利用者によるデュエット歌唱の歌唱楽曲に設定する。
さらに、利用者εがエントリーされると、利用者βとの間で楽曲の一致判定が行われる。図9(c)に示すように、この例では楽曲A34が一致していることから、利用者βと利用者εに対して楽曲A34でデュエット歌唱を行うか否かが確認される。そして、両者の合意がとれた場合に、楽曲A34が待機利用者と新規利用者によるデュエット歌唱の歌唱楽曲に設定される。
以上の説明から判るように、この通信カラオケシステムでは、募集モードにおける待機利用者の待ち時間を短くすることが可能になる。
次に、上記の処理を実現するための制御をフローチャートに従って説明する。ここで、図10は、通信デュエット実行時のメインフローチャートである。また、図11は、相手選択処理のフローチャートである。
図10に示すように、通信デュエットを希望する利用者は、リモコン装置26を操作して通信デュエットのモードを選択する(S1)。この例では、通常モードと募集モードの何れかが選択される。そして、募集モードが選択された場合には、相手選択処理(S2)に移行し、デュエット相手が選択される。なお、相手選択処理については後で説明する。
ステップS1で通常モードが選択された場合、或いは、ステップS2の相手選択処理が終了した場合には、通信デュエットの相手が決まっているので、事前準備(S3)が行われる。この事前準備では、親側リモコン装置26Aや子側リモコン装置26Bが操作され、親側映像用通信端末27Aと子側映像用通信端末27Bとの間で歌唱映像データが相互に送受信されるとともに、親側音声用通信端末28Aと子側音声用通信端末28Bとの間で歌唱音声データが相互に送受信される。そして、各ビデオカメラ25A,25B、各スピーカ22A,22B、及び各マイク24A,24Bの調整が行われるとともに、デュエット歌唱されるカラオケ楽曲の楽曲IDがホスト装置1から配信される。
準備ができたならば、親側リモコン装置26Aが操作され、開始情報が送信される。前述したように、開始情報は、親側カラオケ本体21Aと子側カラオケ本体21Bのそれぞれで受信される(S4)。開始情報の受信に伴い、親側カラオケ本体21A及び子側カラオケ本体21Bは、それぞれカラオケ楽曲の演奏を開始する(S5)。カラオケ楽曲の演奏にあわせて歌唱することで、通信デュエットが行われる。そして、カラオケ楽曲の演奏終了(S6)に伴い一連の処理が終了する。
次に、相手選択処理について説明する。図11のフローチャートに示すように、この相手選択処理では、まずカラオケ楽曲の選択が行われる(S11)。この選択は、新規利用者がリモコン装置26を操作することで行われる。そして、カラオケ楽曲の選択情報は、汎用通信回線4Aを介してホスト装置1へ送信される。選択情報の受信に伴ってホスト側制御部11は、デュエット相手を募集している待機利用者の有無を確認する(S12)。ここで、待機利用者がいなかった場合、ホスト側制御部11は、この新規利用者を待機利用者に変更すると共に、メモリ11bに募集中リストを作成して登録する(S13)。この募集中リストには、待機利用者の利用者ID、選択楽曲の楽曲ID、エントリー時刻の時刻情報、及びカラオケ装置2を識別する装置IDといった必要な情報が記録される。なお、募集中リストに登録された待機利用者は、デュエット相手となる新規利用者が現れるまで待機状態とされる。
ステップS12で待機利用者がいた場合、ホスト側制御部11は募集中リストを参照し、選択楽曲が一致する待機利用者の有無を判定する(S14)。ここで、選択楽曲が一致する待機利用者がいた場合、ホスト側制御部11は、当該待機利用者を募集中リストから削除し(S15)、新規利用者のデュエット相手として仮決定する(S16)。そして、仮決定した新規利用者と待機利用者のそれぞれにデュエット歌唱を行うか否かを確認し、両者の合意が得られたならば(S17)、デュエット相手とカラオケ楽曲を本決定する(S18)。これにより、メインフローチャートのS3に復帰し、事前準備以降の処理が行われる。
一方、前述のステップS14にて、選択楽曲が一致する待機利用者がいなかった場合、ホスト側制御部11は、候補楽曲まで検索範囲を拡張し、新規利用者の選択楽曲及び候補楽曲と、待機利用者の選択楽曲及び候補楽曲との間で一致する楽曲があるか否かが判定される(S19)。なお、ここでの判定は、図9で説明した通りである。そして、一致する楽曲があった場合、ホスト側制御部11は、ステップS15に移行し、募集中リストからの削除以降の処理を同様にして行う。また、一致する楽曲がなかった場合、ホスト側制御部11は、ステップS13に移行し、新規利用者を新たな待機利用者として募集中リストに登録する。
また、前述のステップS17にて、両者の合意が得られなかった場合、ステップS20に移行する。ここでは、募集中リストから削除した待機利用者を、再度募集中リストに登録する。また、新規利用者については、未判定の待機利用者との間で選択楽曲及び候補楽曲の一致不一致が判定される。そして、一致する楽曲があった場合、ホスト側制御部11は、ステップS15に移行し、募集中リストからの削除以降の処理を同様にして行う。また、一致する楽曲がなかった場合、ホスト側制御部11は、ステップS13に移行し、新規利用者を新たな待機利用者として募集中リストに登録する。
このように、本実施形態の通信カラオケシステムによれば、待機利用者の選択楽曲と新規利用者の選択楽曲とが不一致であっても(S14でN)、待機利用者の選択楽曲及び候補楽曲の組と、新規利用者の選択楽曲及び候補楽曲の組との間で一致する楽曲があれば(S19,S20でY)、待機利用者と新規利用者によるデュエット歌唱が行われる。このため、デュエット相手を募集した際の待ち時間を短くすることができる。
また、図3で説明したように、複数の候補楽曲が優先順位を付した状態でホスト側記憶部13に記憶されているので、優先順位に基づき、適切なカラオケ楽曲を優先的に選択させることができる。本実施形態では、或る選択楽曲に関し、当該選択楽曲の歌唱経験を有する複数の歌唱者による歌唱頻度が高い他のカラオケ楽曲に、高い優先順位を付しているので、平均的な歌唱者に適した候補楽曲を提示できる。
また、ホスト側制御部11は、図9で説明したように、待機利用者が複数いる場合に、待機時間の長い待機利用者から順に、一致する楽曲の有無を判定しているので、待機時間を短くすることができる。
以上の実施形態の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれる。例えば、次のように構成してもよい。
例えば、候補楽曲テーブルに関し、前述の実施形態では、歌唱経験を有する複数の歌唱者の歌唱履歴に基づいて優先順位を設定していたが、この構成に限定されない。例えば、或る選択楽曲について複数の候補楽曲を用意しておき、待機利用者及び新規利用者の歌唱履歴に基づき、各候補楽曲の優先順位を付すようにしてもよい。
図12は、このように構成された変形例を説明する図である。図12(a)に示すように、変形例の候補楽曲テーブルでは、或る選択楽曲に対応して複数の候補楽曲が設定されている。例えば、楽曲A1に対応する候補楽曲として、楽曲A25,A33,A42,A56,B11が定められ、楽曲A2に対応する候補楽曲として、楽曲A21,A22,A34,A60,B12が定められている。
また、図12(b)に示すように、ホスト側記憶部13の顧客情報記憶領域には、各利用者の利用者IDに関連付けられた状態で、歌唱経験を有する楽曲とその歌唱回数の情報が記憶されている。ホスト側制御部11は、顧客情報記憶領域に記憶された歌唱履歴及び回数の情報に基づき、候補楽曲テーブルに設定された候補楽曲に優先順位を付して並べ替える。例えば、図12(c)に示すように、利用者αが楽曲A1を選択した場合には、図12(b)の歌唱頻度に基づき、最も優先順位の高い候補楽曲として楽曲B11が設定され、2番目に優先順位の高い候補楽曲として楽曲A56が選択される。以下同様に、楽曲A33,A42,A25の順で優先順位が付される。このように構成することで、待機利用者及び新規利用者に特化した候補楽曲を提示できる。