JP6058935B2 - 繊維導体、及び電線の製造方法 - Google Patents
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Description
(1) 少なくとも2本の樹脂から成る繊維と、
前記少なくとも2本の繊維が導電性金属により一体にメッキされて、前記繊維の外周面に形成されたメッキ層と、
を備えること。
(2) (1)の構成の繊維導体であって、
前記メッキ層は、第1のメッキ層と、第2のメッキ層と、を有し、
前記第1のメッキ層が、前記繊維の外周面を覆って、前記繊維毎に形成され、
前記第2のメッキ層が、前記第1のメッキ層によって外周面が覆われた、少なくとも2本の前記繊維が内側に位置する状態で、該第1のメッキ層の外周面を更に覆う、
こと。
(3) (1)又は(2)の構成の繊維導体であって、
前記少なくとも2本の繊維が、平行に配置されている、
こと。
(4) (2)の構成の繊維導体であって、
前記第1のメッキ層が、前記第2のメッキ層よりも導電性が高い導電性金属により形成されている、
こと。
(5) (2)又は(4)の構成の繊維導体であって、
前記第1のメッキ層が、前記第2のメッキ層よりもイオン化傾向が小さい導電性金属により形成されている、
こと。
(6) (2)の構成の繊維導体であって、
前記第1のメッキ層が銅により形成され、前記第2のメッキ層が錫により形成されている、
こと。
(7) 少なくとも2本の樹脂から成る繊維と、前記少なくとも2本の繊維が導電性金属によりそれぞれメッキされて、前記繊維の外周面に形成されたメッキ層と、該メッキ層によって外周面が覆われ、束ねられた前記少なくとも2本の繊維が内側に位置する状態で、該メッキ層の外周面を覆う絶縁性材料により形成された被覆層と、を備える電線を形成する電線形成工程と、
前記電線の一端部における前記被覆層を除去して、該一端部における前記繊維の外周面を覆う前記メッキ層を露出させる除去工程と、
露出した前記一端部における前記メッキ層を、該メッキ層を形成する前記導電性金属の融点よりも高い温度環境下に配置して溶融させる溶融工程と、
溶融した前記メッキ層を固化させて前記一端部における前記少なくとも2本の繊維を一体にメッキする固化工程と、
を含むこと。
(8) (7)の構成の電線の製造方法であって、
前記電線形成工程では、前記メッキ層が、前記少なくとも2本の繊維それぞれの外周面を覆う、第1の導電性金属により形成された第1のメッキ層と、該第1のメッキ層それぞれの外周面を更に覆う、前記第1の導電性金属よりも融点が低い第2の導電性金属により形成された第2のメッキ層と、を有する前記電線を形成し、
前記溶融工程では、前記メッキ層を、第1の導電性金属の融点よりも低く前記第2の導電性金属の融点よりも高い温度環境下に配置して、前記第2のメッキ層を溶融させる、
こと。
(9) 少なくとも2本の繊維と、前記少なくとも2本の繊維が導電性金属によりそれぞれメッキされて、前記繊維の外周面に形成されたメッキ層と、該メッキ層によって外周面が覆われ、束ねられた前記少なくとも2本の繊維が内側に位置する状態で、該メッキ層の外周面を覆う絶縁性材料により形成された被覆層と、を備える電線を形成する電線形成工程と、
前記電線の一端部における前記被覆層を除去して、該一端部における前記繊維の外周面を覆う前記メッキ層を露出させる除去工程と、
露出した前記一端部における前記メッキ層を、該メッキ層を形成する前記導電性金属の融点よりも高い温度環境下に配置して溶融させる溶融工程と、
溶融した前記メッキ層を固化させて前記一端部における前記少なくとも2本の繊維を一体にメッキする固化工程と、
前記除去工程と前記溶融工程との間に、前記メッキ層を形成する導電性金属の融点よりも融点が低い第3の導電性金属により形成された付着部材を、露出した前記一端部における前記メッキ層に付着させる付着工程と、
を含み、
前記溶融工程では、前記付着部材を、前記メッキ層を形成する導電性金属の融点よりも低く前記第3の導電性金属の融点よりも高い温度環境下に配置して溶融させ、
前記固化工程では、溶融した前記付着部材を固化させる、
こと。
(10) 少なくとも2本の繊維と、前記少なくとも2本の繊維が導電性金属によりそれぞれメッキされて、前記繊維の外周面に形成されたメッキ層と、該メッキ層によって外周面が覆われ、束ねられた前記少なくとも2本の繊維が内側に位置する状態で、該メッキ層の外周面を覆う絶縁性材料により形成された被覆層と、を備える電線を形成する電線形成工程と、
前記電線の一端部における前記被覆層を除去して、該一端部における前記繊維の外周面を覆う前記メッキ層を露出させる除去工程と、
前記メッキ層を形成する導電性金属よりも融点が低い第4の導電性金属により形成された付着剤を、該メッキ層を形成する導電性金属の融点よりも低く該第4の導電性金属の融点よりも高い温度環境下に配置して溶融させ、溶融した該付着剤を、露出した前記一端部における前記メッキ層に付着させる付着工程と、
前記メッキ層に付着させた前記付着剤を固化させて前記一端部における前記少なくとも2本の繊維を一体にメッキする固化工程と、
を含むこと。
(11) (7)又は(8)の構成の電線の製造方法であって、
前記固化工程では、一体にメッキされた前記一端部における前記少なくとも2本の繊維の外形が平型となるように前記メッキ層を固化する、
こと。
上記(2)の構成の繊維導体では、メッキ層が第1のメッキ層と第2のメッキ層とにより構成されているため、引張強度が高い。このため、繊維導体に引張応力が作用した場合に、短い繊維が長い繊維よりも先に破断しにくい。
上記(3)の構成の繊維導体では、少なくとも2本の繊維が平行に配置されているため、繊維が撚られて構成された従来の繊維導体と比較して繊維の長さにバラつきが生じにくい。このため、繊維導体に引張応力が作用した場合に、短い繊維が長い繊維よりも先に破断しにくい。特に、一本一本の繊維が導電性金属によって覆われている場合には、繊維の剛性が上昇して繊維を扱い易くなるため、平行に配置し易い。
上記(4)の構成の繊維導体では、導電性が高い金属により形成されたメッキ層が内側に配置されているため、繊維に良好な導電性が付加される。また、例えば比較的安価な金属により更にその外周面を覆うことによって、少ないコストで引張強度の高い繊維導体が得られる。
上記(5)の構成の繊維導体では、イオン化傾向が小さい金属により形成された第1のメッキ層が内側に配置され、該第1のメッキ層よりもイオン化傾向が大きい金属により形成された第2のメッキ層がその外周面を覆うように配置されているため、繊維導体の使用時において、第1のメッキ層及び第2のメッキ層よりもイオン化傾向が更に大きい金属により形成された端子が繊維導体の端部に取付けられた場合に、端子と繊維導体との電位差を小さくでき、端子と繊維導体との間に電食が生じることを抑制できる。
上記(6)の構成の繊維導体では、第1のメッキ層が銅により形成され、前記第2のメッキ層が錫により形成されている。銅は錫よりも導電性が高くイオン化傾向が小さい。このため、繊維に良好な導電性を付加し、且つ、端子と繊維導体との間に電食が生じることを抑制できる。
上記(8)の構成の電線の製造方法では、メッキ層が、少なくとも2本の繊維それぞれの外周面を覆う、第1の導電性金属により形成された第1のメッキ層と、該第1のメッキ層それぞれの外周面を更に覆う、第1の導電性金属よりも融点が低い第2の導電性金属により形成された第2のメッキ層と、を有する電線に基づいて、少なくとも2本の繊維が第1のメッキ層と第2のメッキ層とにより一体にメッキされた電線が得られる。こうして得られた電線では、メッキ層が第1のメッキ層と第2のメッキ層とにより構成されているため、引張強度が高い。このため、繊維導体に引張応力が作用した場合に、短い繊維が長い繊維よりも先に破断しにくい。
上記(9)の構成の電線の製造方法では、電線とは別個に用意された付着部材を該電線の一端部におけるメッキ層に付着させた後で、該付着部材を溶融及び固化させることにより、少なくとも2本の繊維が導電性金属により一体にメッキされた電線が得られる。このため、溶融及び固化して各繊維を一体にメッキするためのメッキ層を予め電線に形成しておく必要がなく、作業工程を簡素化して低コスト化を図ることができる。
上記(10)の構成の電線の製造方法では、電線とは別個に用意されて溶融された付着剤を該電線の一端部におけるメッキ層に付着し、その後、固化させることにより、少なくとも2本の繊維が導電性金属により一体にメッキされた電線が得られる。このため、溶融及び固化して各繊維を一体にメッキするためのメッキ層を予め電線に形成しておく必要がなく、作業工程を簡素化して低コスト化を図ることができる。
上記(11)の構成の電線の製造方法では、少なくとも2本の繊維の外形が平型であるため、繊維が撚られて構成された従来の繊維導体と比較して繊維の長さにバラつきが生じにくい。このため、繊維導体に引張応力が作用した場合に、短い繊維が長い繊維よりも先に破断しにくい。
はじめに、本発明に係る繊維導体を創出する以前に、本願の発明者らが創出した繊維導体を参考例として説明する。図1は、参考例に係る電線1を示す図であり、図1(a)は電線1の側面図、図1(b)は電線1の正面図、図1(c)は導体13の斜視図である。
次に、以上説明した、本願の発明者らが創出した参考例に係る繊維導体11から更なる引張強度の向上を図った、本発明に係る繊維導体の第1の実施形態を説明する。図3は、第1の実施形態に係る電線3を示す斜視図である。概略的には、従来の電線2における繊維導体21及び参考例に係る繊維導体11は、外周面にメッキ層が形成された複数の導体が撚られて構成されていたのに対して、第1の実施形態に係る繊維導体31は、外周面にメッキ層が形成された複数の繊維を一体にメッキして構成されている点で相違する。
次に、本発明に係る繊維導体の第2の実施形態を説明する。図6は、第2の実施形態に係る電線4を示す斜視図である。電線4は、概略的には、繊維34の配置が第1の実施形態に係る電線3とは異なる。以下、第2の実施形態の説明に関して、第1の実施形態に係る電線3と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。尚、図6では、被覆層の図示を省略して電線4を示している。
以下に説明する第2の実施形態に係る電線4の製造方法では、図1に示した参考例に係る電線1と同様の構成を有する、図7に示す電線5を順に加工することによって、電線4を製造する例について説明する。即ち、電線5は、図7に示すように、複数の導電性の繊維導体51と、当該繊維導体51の外周面を被覆する絶縁性の被覆層52と、を備えている。繊維導体51は、複数の繊維54が束ねられて(撚られて)構成されている。繊維54は、導電性金属により形成されたメッキ層55により外周面がそれぞれ覆われている。換言すれば、電線5は、複数の繊維54と、繊維54が導電性金属によりそれぞれメッキされて、繊維54の外周面に形成されたメッキ層55と、メッキ層55によって外周面が覆われ、束ねられた繊維55が内側に位置する状態で、メッキ層55の外周面を覆う絶縁性材料により形成された被覆層52と、を有している。メッキ層55は、図7(c)に示すように、繊維54それぞれの外周面を覆う銅(第1の導電性金属)により形成された銅メッキ層55Aと、繊維54の外周面を覆う銅メッキ層55Aそれぞれの外周面を更に覆う錫(第2の導電性金属)により形成された錫メッキ層55Bと、を有している。第1の導電性金属としての銅の融点は、約1000℃であり、約400℃である第2の導電性金属としての錫の融点よりも高い。
次に、第2の実施形態に係る電線4の製造方法の第1の変形例を説明する。
以下に説明する第1の変形例では、図5に示した従来例に係る電線2と同様の構成を有する、図10に示す電線6を順に加工することによって、電線4を製造する例について説明する。即ち、電線6は、図10に示すように、導電性の繊維導体61と、絶縁性の被覆層62と、を備えている。繊維導体61は、複数の導体63が撚られて構成されている。この導体23は、繊維64と、この繊維64の表面にメッキされて形成された導電性金属である銅から成る単層のメッキ層65と、から構成されている。換言すれば、電線6は、複数の繊維64と、繊維64が導電性金属によりそれぞれメッキされて、繊維64の外周面に形成されたメッキ層65と、メッキ層65によって外周面が覆われ、束ねられた繊維64が内側に位置する状態で、メッキ層65の外周面を覆う絶縁性材料により形成された被覆層62と、を有している。
次に、第2の実施形態に係る電線4の製造方法の第2の変形例を説明する。
以下に説明する第2の変形例では、第1の変形例の場合と同様に、繊維64に単層のメッキ層が形成された、図10に示した電線6を順に加工することによって、電線4を製造する例について説明する。
これにより、複数の繊維34が錫により一体にメッキされているため、繊維導体31に引張応力が作用した際に、各繊維34に対して均等に力が加わり易い。このため、各繊維34の長さにバラつきが存在する場合において、繊維導体31に引張応力が作用しても、短い繊維が長い繊維よりも先に破断しにくい。
したがって、実施形態に係る繊維導体31によれば、引張強度を向上した繊維導体を提供できる。
これにより、メッキ層35が第1のメッキ層と第2のメッキ層とにより構成されているため、引張強度が高い。このため、繊維導体31に引張応力が作用した場合に、短い繊維が長い繊維よりも先に破断しにくい。
これにより、複数の繊維34が平行に配置されているため、繊維34が撚られて構成された従来の繊維導体と比較して繊維34の長さにバラつきが生じにくい。このため、繊維導体31に引張応力が作用した場合に、短い繊維が長い繊維よりも先に破断しにくい。
これにより、導電性が高い金属である銅により形成されたメッキ層が内側に配置されているため、繊維34に良好な導電性が付加される。また、比較的安価な金属である錫により更にその外周面を覆うことによって、少ないコストで引張強度の高い繊維導体が得られる。
これにより、イオン化傾向が小さい金属である銅により形成された第1のメッキ層が内側に配置され、該第1のメッキ層よりもイオン化傾向が大きい金属である錫により形成された第2のメッキ層がその外周面を覆うように配置されているため、繊維導体31の使用時において、第1のメッキ層及び第2のメッキ層よりもイオン化傾向が更に大きい金属(例えば、アルミ。)により形成された端子が繊維導体31の端部に取付けられた場合に、端子と繊維導体31との電位差を小さくでき、端子と繊維導体31との間に電食が生じることを抑制できる。
このため、実施形態に係る繊維導体31によれば、繊維に良好な導電性を付加し、且つ、端子と繊維導体との間に電食が生じることを抑制できる。
これにより、繊維54(64)と、該繊維54(64)の外周面に導電性金属により形成されたメッキ層55(65)と、該メッキ層55(65)の外周面を覆う絶縁性材料により形成された被覆層52(62)と、を備える電線5(6)に基づいて、繊維34が導電性金属により一体にメッキされた電線4が得られる。こうして得られた電線4では、少なくとも2本の繊維34が導電性金属により一体にメッキされているため、該電線4に引張応力が作用した際に、各繊維34に対して均等に力が加わり易い。このため、各繊維34の長さにバラつきが存在する場合において、該電線4に引張応力が作用しても、短い繊維が長い繊維よりも先に破断しにくい。
これにより、メッキ層55が、繊維54それぞれの外周面を覆う、銅により形成された第1のメッキ層55Aと、該第1のメッキ層55Aそれぞれの外周面を更に覆う、銅よりも融点が低い錫により形成された第2のメッキ層55Bと、を有する電線5に基づいて、第1のメッキ層35Aと第2のメッキ層35Bとにより一体にメッキされた電線4が得られる。こうして得られた電線4では、メッキ層35が第1のメッキ層35Aと第2のメッキ層35Bとにより構成されているため、引張強度が高い。このため、繊維導体31に引張応力が作用した場合に、短い繊維が長い繊維よりも先に破断しにくい。
これにより、電線6とは別個に用意された錫テープ71を該電線6の一端部におけるメッキ層65に付着して錫テープ層を形成した後で溶融及び固化させることにより、少なくとも2本の繊維34が導電性金属により一体にメッキされた電線4が得られる。このため、溶融及び固化して各繊維64を一体にメッキするためのメッキ層を予め電線6に形成しておく必要がなく、作業工程を簡素化して低コスト化を図ることができる。
これにより、電線6とは別個に用意されて溶融された錫ペースト73を該電線の一端部におけるメッキ層65に付着し、その後、固化させることにより、繊維34が導電性金属により一体にメッキされた電線4が得られる。このため、溶融及び固化して各繊維64を一体にメッキするためのメッキ層を予め電線4に形成しておく必要がなく、作業工程を簡素化して低コスト化を図ることができる。
これにより、得られた電線4における繊維34の外形が平型であるため、繊維が撚られて構成された従来の繊維導体と比較して繊維の長さにバラつきが生じにくい。このため、繊維導体31に引張応力が作用した場合に、短い繊維が長い繊維よりも先に破断しにくい。
図12は、端子180と繊維導体111の接続形態を示す説明図であり、図12(a)は一段接続の場合を、図12(b)は二段接続の場合を、図12(c)は三段接続の場合を、図12(d)は四段接続の場合を、図12(e)は実際の圧着時における接続形態の例を示す断面図である。図13は、端子と繊維導体の接続形態と、端子と繊維導体との間の接続抵抗と、の関係を示す説明図であり、各グラフは、左から順に、一段接続の場合における端子芯線間抵抗、二段接続の場合における端子芯線間抵抗及び芯線間抵抗、四段接続の場合における端子芯線間抵抗及び芯線間抵抗、実際の圧着時における端子芯線間抵抗及び芯線間抵抗、をそれぞれ示している。
これにより、各繊維34が一体にメッキされており、予め繊維34の配置を定めることができるため、圧着時の段数を容易に管理することができる。また、繊維導体31に接続される端子80により圧着される、メッキ層35により被覆された繊維34の段数を従来よりも少なく設定できるため、芯線間抵抗を小さくでき、端子80と繊維導体31との間に生じる接続抵抗の増加を抑制できる。
これにより、各繊維には均等に圧着荷重が作用するため、繊維導体31に接続される端子80と繊維導体31との間の接触荷重にバラつきが生じることを抑制でき、繊維導体31の引張強度の低下を防止できる。また、複数の繊維34が一体にメッキされているため、繊維導体31のほつれを防止できる。
また、配置に関して、本実施形態に係る繊維導体31では、複数の繊維34が、平行に配置されている構成としたが、略平行に配置されている構成でも構わない。より具体的には、例えば複数の繊維34が互いに交差しないように並列して配置されている構成としてもよい。この構成によっても、複数の繊維34が略平行に配置されているため、繊維34が撚られて構成された従来の繊維導体と比較して繊維34の長さにバラつきが生じにくい。
また、第2の実施形態に係る電線4の製造方法の第1の変形例及び第2の変形例では、単層のメッキ層の材料として銅を用いる場合を説明したが、この導電性金属の種類は、本発明の技術的範囲内で変更可能であり、例えば、ニッケル(融点約1500℃)や銀等を用いても構わない。
11 繊維導体
12 被覆層
13 導体
14 繊維
15 メッキ層
15A 銅メッキ層
15B 錫メッキ層
3 電線
31 繊維導体
32 被覆層
34 繊維
35 メッキ層
35A 銅メッキ層
35B 錫メッキ層
2 電線
21 繊維導体
22 被覆層
23 導体
24 繊維
25 メッキ層
Claims (8)
- 少なくとも2本の樹脂から成る繊維と、
前記少なくとも2本の繊維が導電性金属により一体にメッキされて、前記繊維の外周面に形成されたメッキ層と、
を備えることを特徴とする繊維導体。 - 前記メッキ層は、第1のメッキ層と、第2のメッキ層と、を有し、
前記第1のメッキ層が、前記繊維の外周面を覆って、前記繊維毎に形成され、
前記第2のメッキ層が、前記第1のメッキ層によって外周面が覆われた、少なくとも2本の前記繊維が内側に位置する状態で、該第1のメッキ層の外周面を更に覆う、
ことを特徴とする請求項1に記載の繊維導体。 - 前記少なくとも2本の繊維が、平行に配置されている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の繊維導体。 - 少なくとも2本の樹脂から成る繊維と、前記少なくとも2本の繊維が導電性金属によりそれぞれメッキされて、前記繊維の外周面に形成されたメッキ層と、該メッキ層によって外周面が覆われ、束ねられた前記少なくとも2本の繊維が内側に位置する状態で、該メッキ層の外周面を覆う絶縁性材料により形成された被覆層と、を備える電線を形成する電線形成工程と、
前記電線の一端部における前記被覆層を除去して、該一端部における前記繊維の外周面を覆う前記メッキ層を露出させる除去工程と、
露出した前記一端部における前記メッキ層を、該メッキ層を形成する前記導電性金属の融点よりも高い温度環境下に配置して溶融させる溶融工程と、
溶融した前記メッキ層を固化させて前記一端部における前記少なくとも2本の繊維を一体にメッキする固化工程と、
を含むことを特徴とする電線の製造方法。 - 前記電線形成工程では、前記メッキ層が、前記少なくとも2本の繊維それぞれの外周面を覆う、第1の導電性金属により形成された第1のメッキ層と、該第1のメッキ層それぞれの外周面を更に覆う、前記第1の導電性金属よりも融点が低い第2の導電性金属により形成された第2のメッキ層と、を有する前記電線を形成し、
前記溶融工程では、前記メッキ層を、第1の導電性金属の融点よりも低く前記第2の導電性金属の融点よりも高い温度環境下に配置して、前記第2のメッキ層を溶融させる、
ことを特徴とする請求項4に記載の電線の製造方法。 - 少なくとも2本の繊維と、前記少なくとも2本の繊維が導電性金属によりそれぞれメッキされて、前記繊維の外周面に形成されたメッキ層と、該メッキ層によって外周面が覆われ、束ねられた前記少なくとも2本の繊維が内側に位置する状態で、該メッキ層の外周面を覆う絶縁性材料により形成された被覆層と、を備える電線を形成する電線形成工程と、
前記電線の一端部における前記被覆層を除去して、該一端部における前記繊維の外周面を覆う前記メッキ層を露出させる除去工程と、
露出した前記一端部における前記メッキ層を、該メッキ層を形成する前記導電性金属の融点よりも高い温度環境下に配置して溶融させる溶融工程と、
溶融した前記メッキ層を固化させて前記一端部における前記少なくとも2本の繊維を一体にメッキする固化工程と、
前記除去工程と前記溶融工程との間に、前記メッキ層を形成する導電性金属の融点よりも融点が低い第3の導電性金属により形成された付着部材を、露出した前記一端部における前記メッキ層に付着させる付着工程と、
を含み、
前記溶融工程では、前記付着部材を、前記メッキ層を形成する導電性金属の融点よりも低く前記第3の導電性金属の融点よりも高い温度環境下に配置して溶融させ、
前記固化工程では、溶融した前記付着部材を固化させる、
ことを特徴とする電線の製造方法。 - 少なくとも2本の繊維と、前記少なくとも2本の繊維が導電性金属によりそれぞれメッキされて、前記繊維の外周面に形成されたメッキ層と、該メッキ層によって外周面が覆われ、束ねられた前記少なくとも2本の繊維が内側に位置する状態で、該メッキ層の外周面を覆う絶縁性材料により形成された被覆層と、を備える電線を形成する電線形成工程と、
前記電線の一端部における前記被覆層を除去して、該一端部における前記繊維の外周面を覆う前記メッキ層を露出させる除去工程と、
前記メッキ層を形成する導電性金属よりも融点が低い第4の導電性金属により形成された付着剤を、該メッキ層を形成する導電性金属の融点よりも低く該第4の導電性金属の融点よりも高い温度環境下に配置して溶融させ、溶融した該付着剤を、露出した前記一端部における前記メッキ層に付着させる付着工程と、
前記メッキ層に付着させた前記付着剤を固化させて前記一端部における前記少なくとも2本の繊維を一体にメッキする固化工程と、
を含むことを特徴とする電線の製造方法。 - 前記固化工程では、一体にメッキされた前記一端部における前記少なくとも2本の繊維の外形が平型となるように前記メッキ層を固化する、
ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の電線の製造方法。
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