JP6055237B2 - 湿式内装構造の引張り強度測定方法、湿式内装構造の施工方法、および、湿式内装構造 - Google Patents

湿式内装構造の引張り強度測定方法、湿式内装構造の施工方法、および、湿式内装構造 Download PDF

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Description

本発明は、湿式内装構造の引張り強度測定方法、湿式内装構造の施工方法、および、湿式内装構造に関するものである。
従来、建築構造物の湿式内装工法として、下地に反応硬化型の湿式建材から成る塗り壁材を塗布することにより、または、反応硬化型の湿式建材から成る接着剤により石膏ボードなどの内装建材を貼り付けること(以下、「GL工法」という。)により施工する方法がある。
ここで、建築構造物の下地は主に非吸水性下地と、吸水性下地との2種類に分類できる。
非吸水性下地としては発泡ポリウレタンフォーム等が知られており、建築物等の天井及び内装壁の断熱構造を形成するための断熱工法の一手段として、発泡ポリウレタンフォーム(以下、「現場発泡ウレタン」とも記載する)吹き付け機を用いて天井及び内装壁に吹き付け、発泡させて下地層となる発泡ウレタン層を形成する工法が知られている。
そして、係る工法においては、発泡ウレタン層に塗り壁材を施工すること、または、現場発泡ウレタン層の任意箇所に団子状のGLボンドと称される無機系接着剤を配置し、これに石膏ボードを接着することにより、一体として断熱構造を構成されている。
しかしながら、下地層に非吸水性下地である発泡ウレタンフォームを用いた場合、施工直後の塗り壁材またはGLボンドと現場発泡ウレタンとの間の接着力が弱く、接着力の増強が求められていた。このため、発泡ウレタン層と塗り壁材またはGLボンドとの間にプライマーを塗布することにより接着の増強を行ない、施工されている。
具体的には、特許文献1には、現場発泡型の硬質ウレタンフォームに、ポリマーラテックスを塗布し、II型無水石膏プラスターを塗布することが開示されている。
特許文献2には、GL工法施工時に可燃性のプライマーに難燃性を付加し、接着性を向上させたプライマーを使用する例が開示されている。
また、特許文献3には、現場発泡型の硬質ポリウレタンフォームによる硬質ポリウレタン層にプライマーを介して下地層(反応硬化型湿式建材)を直接塗布する例が開示されている。
なお、現場発泡ウレタンに限らず、非吸水性下地に湿式建材を施工する場合は、接着性又は接着力増強のため同様にプライマー処理を事前に行うことが一般的である。
吸水性下地としては、例えばコンクリートや合板などが知られており、その表面に湿式建材を塗布して湿式内装構造とする構成が知られている。しかしながら、湿式建材の水分が吸水性下地に吸収され、湿式建材の水和反応に必要な水分が不足するドライアウトが発生する場合があり、ドライアウトを起こした部分は湿式建材の水和反応が十分に進んでいないため、ドライアウトが起きていない部分に比べて引張り強度が低下するという問題があった。係る問題を防止するため、吸水性下地の場合についても、下地層の表面にプライマーを塗布してから湿式建材を塗布する方法が行われている。
しかしながら、湿式内装構造を構成する下地プライマー及び湿式建材等の組合せによっては、各層および/または各層間において剥離やクラックを生じる恐れがあった。これは、例えば梅雨時や冬季など、湿式建材の乾燥が不十分な状況においては、例えばプライマーの粘着性の発現が弱くなり、湿式建材が下地から剥離するためと考えられる。
そして、剥離やクラックが判明した段階では施工が完了し、湿式建材も略完全に乾燥しているため補修することが困難になる。このため、下地、プライマー及び湿式建材を適切な組合せとする必要があるが、その選定基準について具体的な指標がなく適切な組合せを選択することは困難であった。
剥離、クラック等の発生を抑制できる湿式内装構造を構成する下地、プライマー及び湿式建材の組合せを選定する際には、湿式内装構造について引張り強度を測定し、選定する基準とすることが考えられる。なお、ここでいう引張り強度とは、湿式内装構造を構成する各材料の層内および/または各層の界面が剥離もしくは破断せず、材料破壊も発生しない範囲での最大引張り強度荷重または応力を意味している。
引張り強度試験の試験方法として、日本工業規格(JISA6909等)で規格化されているのは、湿式建材の養生時間(乾燥時間)を十分に取った条件での測定、規格値(基準値)となっている。
このため、JISにおいて規格化された試験結果を基準に選定した構成であっても施工中または施工後の乾燥が不十分な環境、もしくは湿式建材の含水率が高い状態が維持されたまま施工された場合には、施工後に各層内や各層の界面で剥離する場合や、十分な引張り強度が得られない場合があった。
つまり、湿式建材が十分に乾燥した時の引張り強度のみでは評価の方法としては不十分であり、施工中もしくは施工後において、湿式建材の乾燥が不十分な場合に各層および/または各層間で剥離が起こる可能性について評価できる方法が求められていた。また、施工不良を防止するため、施工直後に施工不良の可能性を判別する方法が求められていた。
特開昭63−261049号公報 特開平06−049267号公報 特開2003−253782号公報
本発明は上記従来技術の問題点に鑑み、湿式内装構造を構成する各層および/または各層間で剥離が起こる可能性について評価することができる湿式内装構造の引張り強度測定方法を提供する。
上記課題を解決するため本発明は、下地層の表面にプライマーを塗布、乾燥してプライマー層を形成し、該プライマー層表面に水で混練した反応硬化型の湿式建材を塗り付ける、湿式内装構造作製工程と、
前記湿式内装構造作製工程において作製した湿式内装構造の前記湿式建材の含水率が8質量%以上40質量%以下の範囲において、前記湿式内装構造を引張り強度試験に供する引張り強度試験工程を有することを特徴とする湿式内装構造の引張り強度測定方法を提供する。
本発明によれば、湿式内装構造を構成する各層および/または各層間で剥離が起こる可能性について評価することができるため、湿式内装構造を構成する下地、プライマー、湿式建材について、剥離等の発生を抑制できる適切な組合せを確実に且つ、施工前に選択することができる。また、施工直後にも評価を行うことができるため施工不良を防止することが可能になる。
本発明の第1の実施形態における引張り強度試験において試験体となる湿式内装構造の模式図 本発明の第1の実施形態における湿式内装構造の引張り強度測定方法の説明図 本発明の第1の実施形態における湿式建材の含水率の調整方法の構成例の説明図 本発明の第2の実施形態における湿式内装構造およびその周辺の部材の模式図 本発明の実施例1における湿式建材の含水率と引張り強度との関係の説明図
以下、本発明を実施するための形態について説明するが、本発明は、下記の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、下記の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
[第1の実施形態]
本実施形態では、本発明の湿式内装構造(湿式仕上げ構造)の引張り強度測定方法について説明する。
本発明の湿式内装構造の引張り強度測定方法は、以下の工程を有している。
下地層の表面にプライマーを塗布、乾燥してプライマー層を形成し、該プライマー層表面に水で混練した反応硬化型の湿式建材を塗り付ける、湿式内装構造作製工程。
前記湿式内装構造作製工程において作製した湿式内装構造の前記湿式建材の含水率が8質量%以上40質量%以下の範囲において、前記湿式内装構造を引張り強度試験に供する引張り強度試験工程。
まず、湿式内装構造作製工程(試験体作製工程)について、図1に示す湿式内装構造の模式図を用いて説明する。
図1に示すように、引張り強度試験において試験体となる湿式内装構造10は下地層11、プライマー層12、湿式建材層13から構成されている。
下地層11としては特に限定されるものではなく、吸水性下地、非吸水性下地いずれであっても用いることができる。
吸水性下地としては、例えばコンクリート、石膏ボード、ガラス繊維不織布入り石膏板、スラグ石膏板、繊維混入石膏板、ALC板、珪酸カルシウム板、合板、セメント板、グラスマット石膏ボード又は押出し成型板等が挙げられる。
非吸水性下地としては、例えば非吸水性コンクリート、現場発泡ウレタン、発泡スチレン板、鉄などの金属、ガラス、プラスチックなどが挙げられる。
特に、非吸水性下地である現場発泡ウレタン(発泡ウレタンフォーム)を下地として用いている場合に、本発明の湿式内装構造の引張り強度測定方法を好ましく用いることができる。
現場発泡ウレタンは既述のように施工現場において吹き付け機を用いて天井や内装壁に吹き付け、発泡させて下地層となる発泡ウレタン層を形成する。従来は発泡する際にフロンガスが用いられていたところ、オゾン層保護の観点から近年は代替フロン(HFC:ハイドロフルオロカーボン)やCOガス(いわゆるノンフロン)が用いられている。しかし、これらフロンガスの代替手段により形成した現場発泡ウレタンを用いた場合、プライマー処理をしても湿式内装構造の引張り強度が十分ではなく、層間剥離する事例が報告されている。
このため、本発明の試験方法により施工を行う前に予め最適なプライマー等を選択したり、実際の施工現場で施工が適切に行われているかを確認したりすることにより上記のような剥離の発生を抑制することが可能になる。
下地層の厚さや、(プライマー層と接する面の)表面形状については、特に限定されるものではなく、要求されている機能等に応じて選択することができる。
例えば、下地層が断熱性を有するものであれば、下地層を構成する材料の断熱性能や、要求される断熱性能に応じて下地層の厚さを選択することができる。また、その表面形状については平坦であることが好ましいが、壁面の種類等に応じて例えば凹凸を有する形状であっても良い。
下地層を形成後、性状が安定していることを確認した後、下地層の表面にプライマーを塗布してプライマー層を形成する。なお、例えば下地層が現場発泡ウレタンの場合、既述の様に代替フロンタイプとノンフロンタイプの現場発泡ウレタンが普及しており、製品によって養生期間が異なる。性状が安定するのはウレタン吹き付け後、1日から1週間程度時間を要する。
プライマーは下地層とその上に塗布される湿式建材層との密着性(接着性)を確保することができるものであれば特に限定されず用いることができる。
プライマーとしては、例えば樹脂(樹脂ポリマー)を水や有機溶媒等(以下「溶媒等」という。)の溶媒中に分散又は溶解したものを用いることができる。溶媒等の種類としては特に限定されるものではないが、下地、湿式建材に対して不活性であり、適度な揮発性を有するものであることが好ましい。
プライマーに含まれる樹脂としては特に限定されるものではない。樹脂としては例えば、酢酸ビニル樹脂系、ポリビニルアルコール系、ポリビニルアセタール系、エチレン・酢酸ビニル樹脂系、塩化ビニル樹脂系、アクリル樹脂系、ポリアミド樹脂、変性脂肪族ポリアミン、セルロース系、α―オレフィン樹脂系、イソシアネート系などのいわゆる熱可塑性樹脂を使用できる。
また、ユリア樹脂系、メラミン樹脂系、フェノール樹脂系、レゾシノール樹脂系、エポキシ樹脂系、構造用アクリル樹脂系、ポリエステル系、ウレタン樹脂系、ポリイミド系、ポリベンズイミダール系などのいわゆる熱硬化性樹脂を使用できる。
またはクロロプレンゴム系、ニトリルゴム系、スチレンブタジエンゴム系、熱可塑性エラストマー(SBS、SIS、SEBS、SEPS)系、ポリサルファイド系、変成ポリサルファイド系、ブチルゴム系、シリコーン系、アクリルゴム系、変成シリコーン系、ウレタンゴム系、シリル化ウレタン系などのいわゆるエラストマー系樹脂の異なる一つ以上樹脂の共重合からなる樹脂を使用できる。
また、変性エポキシ樹脂、変性ポリアミドアミン、変性脂肪族ポリアミン、アクリル共重合樹脂、アクリル変性ウレタン、アクリル・スチレン共重合樹脂、ウレタン・変性エチレン・酢ビ共重合樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂の異なる一つ以上樹脂の共重合からなる樹脂を使用することができる。
プライマーには、作業性や、保存安定性等を高めることを目的として、さらに増粘剤、消泡剤、沈降防止剤等を添加することもできる。
プライマーの粘度は特に限定されるものではなく、下地層上に塗布できる程度のものであれば良い。例えば、プライマーの粘度は1000mPa・s以上5000mPa・s以下であることが好ましく、1500mPa・s以上4000mPa・s以下であることがより好ましく、2000mPa・s以上3000mPa・s以下であることが特に好ましい。
これは、粘度が1000mPa・s未満では、粘度が低いためプライマー塗布時に下地層から下方に流れてしまい、十分な塗布量が確保できない場合がある。十分な塗布量が確保できないと、造膜効果が低減され湿式建材を塗り付けた際、湿式建材中の水分がプライマー層を透過し吸水性下地に吸収されドライアウトが発生したり、非吸水性下地である現場発泡ウレタン層とプライマー層の引張り強度が低下する場合があるため好ましくない。また、粘度が5000mPa・s以上では、下地層の表面上への塗布が困難になる場合があり、作業性の点で好ましくない。
プライマーに含まれる樹脂のサイズについても特に限定されるものではなく、下地層11、湿式建材層13の材料等に応じて選択することができるが、その平均粒子径は0.001μm以上10μm以下であることが好ましい。さらに、0.01μm以上7μm以下であることがより好ましく、0.03μm以上5μm以下であることが特に好ましい。
これは、樹脂の平均粒子径が0.001μm未満の樹脂粒子であっても問題はないと考えられるが、係る平均粒子径を有する粒子を製造するのは、本件出願時では技術的に困難であるためである。また、平均粒子径が10μmより大きい場合は、一般的な下地層(例えば現場発泡ウレタン)の細孔にプライマー粒子が入らずアンカー効果が出ないため、引張り強度を高める効果が発揮されない場合があるためである。
なお、ここでいう平均粒子径とは、レーザー回折・散乱法により求めた粒度分布における積算値50%での粒径を意味している。
前記プライマーの下地層への塗布量は特に限定されるものではなく、プライマーや、下地層、湿式建材の種類により選択することができるが、例えば50g/m以上250g/m以下であることが好ましく、100g/m以上180g/m以下であることがより好ましい。係る範囲の塗布量とすることによって、下地層と湿式建材層との間の密着性を十分に高めることができる。
プライマーの塗布回数については限定されるものではなく、プライマーの塗布量や粘度等によって選択することができる。例えば1回で塗布しても良く、2回またはそれ以上の複数回に分けて塗布してもよい。
塗布の方法についても特に限定されるものではなく、プライマーの粘度や、作業性等を考慮して選択することができる。例えば、刷毛やローラーにより塗布することができる。また、プライマーの粘度が低い場合には吹き付けにより塗布することができる。
プライマー塗布後、温度条件や通風条件に応じて適宜選ばれる乾燥時間によって乾燥することができる。乾燥時間は、プライマーの種類や塗布量等に応じて選択することができるが、通常、夏季には3時間〜24時間、冬季には5時間〜30時間とすることが好ましい。
上記プライマーの乾燥後、プライマー層に粘着性が発揮されているのを確認してから反応硬化型の湿式建材の塗布(塗り付け)を行う。
反応硬化型の湿式建材としては特に限定されるものではなく、湿式内装構造の用途等により選択することができる。例えば、石膏を主材とする接着剤または塗り壁材、もしくは、セメントを主材とする樹脂モルタルを用いることができる。
具体的には、例えば焼石膏、無機質混和材料及び無機系の石膏ボンド(接着剤)や、焼石膏、無機質混和材料及び無機系の石膏塗り壁材や、セメントモルタル、無水石膏及び無機質混和剤を混合した無機系の石膏塗り壁材等が挙げられる。
湿式建材の塗り付け厚さについても特に限定されるものではなく、実際の湿式内装構造に要求されているサイズ等の施工条件に応じてその厚さを選択することができる。湿式建材の厚さとしては例えば、1mm以上50mm以下であることが好ましく、3mm以上30mm以下であることがより好ましく、3mm以上15mm以下であることが特に好ましい。
以上説明してきた手順により、引張り強度試験に供する湿式内装構造の試験体を作製することができる。なお、試験体の形状については引張り強度試験において、引張る方向と垂直な面の断面積が均一であれば特に限定されるものではなく、例えば直方体、立方体や、円柱等の各種形状とすることができる。
次いで、引張り強度試験工程について説明する。
引張り強度試験工程においては、湿式内装構造工法において作製した試験体について引張り強度を測定する工程である。
測定を行うにあたっては、図2に示したように下地層11、プライマー層12、湿式建材層13からなる湿式内装構造10の試験体の上下面に、引張り強度試験機に装着するためのアタッチメント211、212を接着剤(例えばエポキシ系接着剤)221、222により接着、固定する。
接着、固定する際の具体的な方法については図2では接着剤を用いた例を示したが、係る形態に限定されるものではなく、接着剤にかえて例えば両面テープ、ビス等によって接着、固定することもできる。
なお、図2中のアタッチメント211、212の形状については便宜的に記載したものであり、引張り強度試験装置の仕様に応じた形状のものを用いればよい。
次いで、湿式建材の含水率が8質量%以上40質量%以下の範囲にある時に引張り強度試験を行う。これは、本発明の発明者らの検討によると、反応硬化型の湿式建材の含水率が40質量%以下となることにより、試験体を引張り強度試験に供することが可能な強度となり、8質量%以上40質量%以下の範囲においては、略一定の引張り強度を示すためである。さらに、含水率が係る範囲においては、湿式建材の接着増強効果が十分に出ていない状態であり、湿式内装構造を構成する各層の層内および/または層間で剥離やクラックを生じ始めるのは、湿式建材の含水率が係る範囲にある場合と考えられるためである。
引張り強度の測定は、引張り強度試験機の仕様に応じて行うことができる。具体的には例えば、図2に示すようにアタッチメントの一方(図2では212)を固定し、他方のアタッチメント211を図2中Aで示す矢印方向に、例えば1500〜2000N/minで引張り、破壊荷重を求め、引張り強度を以下の式により算出することができる。なお、以下の式中の試験片の断面積とは、測定に供した試験体の引張り方向と垂直な面の断面積を意味している。
引張り強度(N/mm) = 破壊荷重(N) ÷ 試験片の断面積(mm
ここまで説明してきた湿式内装構造作製工程と、引張り強度測定工程については、実験室等で湿式内装構造の各部材を選定するために行う場合と、施工現場において施工状況を評価するために行う場合とで、その手順が一部異なっていてもよい。
具体的には、実験室内等で湿式内装構造の各部材を選定するために行う場合には、まず、予め所定のサイズの下地層を用意する。そして、下地層の1つの面に実験条件(施工条件)に応じてプライマーを塗布してプライマー層を形成し常温(室温)で乾燥させた後、所定の混水量(混水量20質量%〜100質量%)で混練した湿式建材を所定の厚さに塗り付ける。
次いで、これを湿式建材から水分が抜けないように、飽和状態下(相対湿度98〜99%)の容器内に試験体を入れ湿式建材を硬化した後、恒温恒湿器もしくは飽和塩溶液にて湿度を調整した容器に移す。そして、試験体が所定の含水率になるまで養生し、任意の含水率の試験体を取出す。
ここで、飽和塩溶液にて湿度を調整した容器とは、例えば図3に示すような容器であり、密閉容器31内に、飽和塩水溶液を入れた容器32を配置し、密閉容器内の湿度が調整されている。そして、試験体33を係る密閉容器31内に配置することにより、試験体33の含水率を調整するものである。
その後、試験体である湿式内装構造の上下の面(下地、湿式建材がそれぞれ露出している面)にそれぞれアタッチメントを接着、固定し、引張り強度試験機により引張り強度試験を行う。
施工現場において施工状況を評価するために行う場合には、まず、通常の施工を行い、構造物の天井および/または内装壁上に、下地層、プライマー層、湿式建材層を形成することにより湿式内装構造作製工程を行う。次いで、湿式建材の含水率を水分計(例えば高周波容量式水分計)により測定し、所定の含水率になっていることを確認した後、電動カッターにより各層に対して垂直方向に切り込みを入れ、所定のサイズの試験体を切り出す。なおこの際、形成した湿式内装構造を厚さ方向全体に渡って切り出せるように構造物の天井および/又は内装壁との界面まで電動カッターの刃が届くようにして切り出すことが好ましい。
そして、アタッチメントを、切り出した湿式内装構造(試験体)の上下の面(下地層、湿式建材がそれぞれ露出している面)にそれぞれ接着、固定し、引張り強度試験機により引張り強度の測定を行う上記引張り強度試験工程に供することができる。
なお、施工現場で行う場合、実験室等で行う場合のいずれの場合でも引張り強度試験を行う前に水分計により湿式建材の含水率が所定の範囲内にあることを確認してから測定を行うことが好ましい。
以上の手順により測定された試験体は、前記湿式建材の含水率8質量%以上40質量%以下の時、引張り強度(下地層、プライマー層及び湿式建材層の層内および/または層間初期引張り強度)が0.05N/mm以上の強度を有することが好ましい。これは、係る引張り強度が0.05N/mm未満の場合は、湿式建材が乾燥前の状態において、即ち施工中もしくは施工後に、各層内および/または各層間で剥離する可能性があることを本発明者らが見出したためである。さらに、係る引張り強度は0.08N/mm以上であることがより好ましく、0.1N/mm以上であることがより好ましく、0.15N/mm以上であることが特に好ましい。これは、引張り強度がこれらの範囲を充足するように各層の材料を選択するか、これらの範囲を充足するように施工が行われていることを確認することにより、施工中もしくは施工後に、湿式内装構造の各層内および/または各層間で剥離する可能性をより抑制することが可能になるためである。
以上説明してきた湿式内装構造の引張り強度測定方法は、これまで説明してきたように施工前に、施工を行う湿式内装構造について適用し、湿式内装構造を構成する各部材の適切な組合わせを選択するために好ましく用いることができる。また、湿式内装構造の施工後に施工が適切に行われているかを確認するために好ましく用いることができる。
[第2の実施形態]
本発明の実施形態では、湿式内装構造の施工方法について説明する。
本実施形態の湿式内装構造の施工方法は、下地層の表面にプライマーを塗布、乾燥してプライマー層を形成後、該プライマー層表面に水で混練した反応硬化型の湿式建材を塗り付ける湿式内装構造の施工方法であって、第1の実施形態で説明した湿式内装構造の引張り強度測定方法により、湿式内装構造の引張り強度を測定し、引張り強度が0.05N/mm以上であることを特徴とする湿式内装構造の施工方法である。
具体的に本実施形態で施工することにより得られる湿式内装構造および該湿式内装構造周辺部材の構成を図4に示した模式図により説明する。図4中、図1と同じ部材には同じ番号を付している。
図4中、湿式内装構造を施工する建築構造物(その構造躯体の一部を含む。以下同様。)41が配置されている、具体的な建築構造物41としては例えば、家屋、ビルディング、マンション、プラント、トンネル、橋等の天井、内装壁、床、天井、柱、間仕切り壁等が挙げられる。
これらの建築構造物は、平坦であるもののほか、段差又は凹凸があるものであってもよい。なお、本実施形態の施工方法は、天井、内装壁等への部分的な適用や補修にも適用できる。また、これらの建築構造物の材質としても特に限定されるものではなく。金属や、無機材料等各種材料から構成されているものを用いることができる。
そして、建築構造物41には第1の実施形態で説明したように下地層11が形成される。この際、下地層11としては、吸水性下地、非吸水性下地いずれであっても用いることができる。吸水性下地、非吸水性下地としては特に限定されることなく使用することができ、下地層として用いることができる具体的なものの例や、下地層の厚さ等については第1の実施形態で既述の通りであり、ここでは省略する。
特に、非吸水性下地である現場発泡ウレタンを下地として用いている場合に本実施形態の施工方法を好ましく適用することができる。これは、第1の実施形態で既述の様に、近年、下地層として代替フロンやノンフロンを用いて施工した現場発泡ウレタンを用いた場合に、湿式内装構造において層間剥離する事例が報告されており、本発明を適用することにより、剥離の発生を抑制することが可能になるためである。
現場発泡ウレタンの施工方法としては特に限定されるものではないが、例えば以下の方法により施工することができる。イソシアネート成分とポリオール成分を所定配合にて発泡機内で混合、発泡させる。建築構造体(躯体)41に対して、発泡機に取り付けられたノズルから発泡されたウレタンを、所定の厚さになるまで1回または複数回に分けて吹き付けることにより現場発泡ウレタンを形成する。
この際、現場発泡ウレタン(下地層)の厚さは、求められる断熱性等の施工条件に応じて選択すればよく、限定されるものではない。例えば、15mm〜160mmの厚さとなるように施工することができる。高断熱性能が必要な場合は、厚くするのが一般的である。現場発泡ウレタンの養生期間は、厚さや、製品(製品の種類)等により異なるが、現場発泡ウレタン吹き付け後、1日から1週間程度である。
なお、現場発泡ウレタンは表面が平坦になるように吹き付けて現場発泡することが好ましいが、壁面の種類等により、凹凸を有するように形成しても良い。また、建築構造物41に凹部や段差がある場合に、これを埋め込むように現場発泡しても良い。
下地層11を形成後、性状が安定していることを確認した後、下地層の表面にプライマーを塗布してプライマー層12を形成する。
プライマーは下地層11とその上に塗布される湿式建材層13との密着性(接着性)を確保することができるものであれば特に限定されず用いることができる。
プライマーとしては、例えば樹脂を水や有機溶媒等に分散又は溶解したものを用いることができる。溶媒等、樹脂の種類については、第1の実施形態で既述の通りであり、ここでは省略する。
塗布するプライマーの粘度は特に限定されるものではなく、下地層上に塗布できる程度のものであれば良い。例えば、プライマーの粘度は1000mPa・s以上5000mPa・s以下であることが好ましく、1500mPa・s以上4000mPa・s以下であることがより好ましく、2000mPa・s以上3000mPa・s以下であることが特に好ましい。
粘度が1000mPa・s未満では、粘度が低いためプライマー塗り付け時に下地層から下方に流れてしまい、十分な塗布量が確保できない場合がある。十分な塗布量を確保できないと造膜効果が低減され湿式建材を塗り付けた際、湿式建材中の水分がプライマー層を透過し、現場発泡ウレタン層とプライマー層の引張り強度が低下する場合があるため好ましくない。また、粘度が5000mPa・s以上では、下地層の表面への塗布が困難になる場合があり、作業性の点で好ましくない。
プライマーに含まれる樹脂のサイズについても特に限定されるものではなく、下地層11、湿式建材層13の材料等に応じて選択することができるが、その平均粒子径は0.001μm以上10μm以下であることが好ましい。さらに、0.01μm以上7μm以下であることがより好ましく、0.03μm以上5μm以下であることが特に好ましい。
これは、樹脂の平均粒子径が0.001μm未満の樹脂粒子であっても問題はないと考えられるが、係る平均粒子径を有する粒子を製造するのは、本件出願時では技術的に困難であるためである。また、平均粒子径が10μmより大きい場合は、一般的な下地層(例えば現場発泡ウレタン)の細孔にプライマー粒子が入らずアンカー効果が出ないため、引張り強度を高める効果が発揮されないためである。
なお、ここでいう平均粒子径とは、レーザー回折・散乱法により求めた粒度分布における積算値50%での粒径を意味している。
プライマーについてその他の点は第1の実施形態で既述の通りであり、ここでは省略する。
下地層の表面に、プライマーを塗布、乾燥後、プライマー層に粘着性が発揮されているのを確認してから反応硬化型の湿式建材を塗り付け、湿式建材層13を形成する。
湿式建材としては、第1の実施形態で既述の様に、反応硬化型の湿式建材を用いることができる。具体的には、例えば石膏を主材とする接着剤または塗り壁材、もしくは、セメントを主材とする樹脂モルタルを用いることができる。
より具体的には、例えば焼石膏、無機質混和材料及び無機系の石膏ボンド(接着剤)や、焼石膏、無機質混和材料及び無機系の石膏塗り壁材や、セメントモルタル、無水石膏及び無機質混和剤を混合した無機系の石膏塗り壁材等が挙げられる。
その塗布方法としては特に限定されるものではなく、用いる湿式建材の種類に応じて選択すればよい。具体的には例えば既に形成したプライマー層12の全面に塗り付けてもよく、団子状の塊で(所定の間隔で)塗り付けてもよい。
湿式建材の塗布量等その他の条件については第1の実施形態で既述の通りであるのでここでは省略する。
そして、湿式建材層13の表面にはさらに、図4中番号42で表わされる壁紙や石膏ボード等を設けることもできる。これについては任意に設けることができ、用いた湿式建材の種類や、要求される外観等により設けることができる。
以上、本実施形態の湿式内装構造の施工方法により得られる湿式内装構造について説明してきた。
そして、本実施形態の湿式内装構造の施工方法においては、既述のように、第1の実施形態で説明した湿式内装構造の引張り強度測定方法により、湿式内装構造の引張り強度を測定し、引張り強度が0.05N/mm以上であることを確認する工程を有する。
係る湿式内装構造の引張り強度測定方法を行うタイミングとしては特に限定されるものではないが、施工前の予備試験、施工直後の確認試験として、少なくともいずれかのタイミングで行えばよく、施工前、施工直後の両方において行うことがより好ましい。
施工前に湿式内装構造の引張り強度測定を行うとは、第1の実施形態で既述のように、実験室等で、施工を行う湿式内装構造と同じ構造の試験体を作製し、該試験体について引張り強度試験に供し、湿式内装構造の引張り強度が所定の値を有することを確認するものである。これにより、湿式内装構造の最適な部材や施工条件を選択することができ、実際に施工を行った際に層内および/または層間での剥離の発生を抑制することができる。
施工直後に湿式内装構造の引張り強度試験を行うとは、第1の実施形態で既述のように、施工を行った湿式内装構造の一部を切り出して試験体とし、該試験体を引張り強度試験に供し、所定の引張り強度を有することを確認するものである。これにより、適切に施工が行われたかを確認することができ、施工後に剥離が発生することを抑制することができる。
以上に説明してきた湿式内装構造の施工方法により施工し、得られた湿式内装構造は、反応硬化型の湿式建材の含水率が4質量%以下のときの引張り強度が0.08N/mm以上であることが好ましく、0.1N/mm以上であることがより好ましく、0.15N/mm以上であることが特に好ましい。
湿式内装構造の湿式建材の含水率が4質量%以下の時の引張り強度が係る範囲にあることによって、得られる湿式内装構造の耐久性を高いものとすることができる。
湿式内装構造において、湿式建材の含水率が4質量%以下のときの引張り強度を上記範囲とする方法としては、第1の実施形態で説明した湿式内装構造の引張り強度測定方法と同様の手順で、湿式建材の含水率が4質量%以下の場合の引張り強度を測定し、係る引張り強度になるように各層の材料の組合せを選択すればよい。
この際、湿式建材の材料としては、石膏を主材とする接着剤または塗り壁材、もしくは、セメントを主材とする樹脂モルタルであることが好ましい。
以上に説明してきた本実施形態による湿式内装構造の施工方法によれば、施工前に引張り強度測定方法を行うことにより、湿式内装構造の最適な構成を選択することができる。このため、湿式建材施工時の初期段階、すなわち湿式建材の含水率が高い状態で十分な引張り強度を有し、施工中または施工後に湿式内装構造での剥離の発生を抑制することが可能になる。
また、施工直後に引張り強度測定を行うことにより、施工が適切に実施されていることを確認でき、施工が適切ではない場合には湿式建材が乾燥する前であるため、容易に修正することができ、施工後に湿式内装構造での剥離の発生を抑制することが可能になる。
このため、本実施形態で説明してきた湿式内装構造の施工方法により施工し、得られた湿式内装構造においては、該湿式内装構造を構成する各層および/または各層間での剥離の発生を抑制することが可能になる。
以下に具体的な実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
本実施例では、湿式建材の含水率の変化による引張り強度の変化の検討を行った。以下に具体的な実験手順を説明する。本実施例においては、例1−1〜例1−3の試験体について検討を行った。
4cm角に切断した発泡ポリウレタンフォームを下地層として用意した。
次に、例1−1〜例1−3について、以下の表1に主成分として記載した樹脂を主成分として含み、粘度、含まれる樹脂の平均粒子径が所定の特性を有するプライマーを発泡ウレタンフォームの表面にそれぞれ所定の塗布量になるように塗布した。
プライマーを塗布後、室温で24時間乾燥させた後に、含水率が50〜60質量%になるように混練した石膏を主材とする塗り壁材(吉野石膏社製、商品名:K−YNプラスタ)を、プライマーを塗布した面に、10mmの厚さになるように塗布した。
得られた試験体を水分が略飽和状態下(相対湿度99%)の容器内に入れ、2時間半〜4時間放置し、乾燥により水分が抜けない状態を保持しながら硬化させた。
その後、試験体を図3に示した飽和塩溶液にて湿度を調整した容器に入れた(相対湿度20〜99%)。ここで、密閉容器内は予め相対湿度が99%になるようにセットされており、試験体を密閉容器内に設置してから、密閉容器の一部を開放し、密閉容器内の湿度が徐々に低下するように構成した。そして、密閉容器内の湿度が所定の湿度になった時点で測定を行う試験体を取り出し、引張り強度試験に供した。
引張り強度試験を行う際は、図2に示したように、試験体の上下面にアタッチメント211、212を接着剤221、222で接着、固定した。そして、接着剤硬化後に水分計(株式会社ケット科学研究所製 商品名:コンクリート・モルタル・ALC水分計 HI−520)により湿式建材の含水率を測定してから、簡易型引張り強度試験機(サンコーテクノ株式会社製 装置名称:テクノスターR−1000)により引張り強度測定を行った。
試験結果を表1に示す。また、表1中の湿式建材の含水率と、引張り強度との関係を図5に示す。
Figure 0006055237
図5の結果から分かるように、例1−1〜例1−3においては、湿式建材の含水率が8質量%以上40質量%以下の範囲においては、引張り強度は略一定であるのに対して、含水率が8質量%未満になると急に引張り強度が高くなっている。これは、含水率が8質量%未満では乾燥が十分に進み、接着増強効果が急激に生じたためと考えられる。なお、含水率が40質量%よりも大きい場合には、湿式建材は強度がほとんど出ておらず引張り強度試験を行うことはできなかった。
以上の結果から、湿式建材の含水率が8質量%以上40質量%以下の範囲において測定した試験体の引張り強度が、完全に湿式建材が乾燥し接着増強効果が十分に生じる前の状態を評価できていることが確認できた。
[実施例2]
本実施例においては、湿式建材の含水率が8質量%以上40質量%以下の範囲において測定した試験体の引張り強度と、実際に施工を行った際に剥離を生じる湿式内装構造の構成との関係について検討を行った。
まず、実施例1の場合と同様の手順により試験体を作製した。
具体的には、以下の工程により試験体を作製した。
4cm角に切断した発泡ポリウレタンフォームを下地層として用意した。
次に、例2−1〜例2−9について、以下の表2に主成分として記載した樹脂を主成分として含み、粘度、含まれる樹脂の平均粒子径が所定の特性を有するプライマーを発泡ウレタンフォームの表面にそれぞれ所定の塗布量になるように塗布した。
比較の試験体として、プライマーを塗布していない試験体である例2−10も作製した。
プライマーを塗布後、室温で5〜7時間乾燥させた後に、湿式建材である含水率が40〜45質量%になるように混練した石膏を主材とする接着剤(吉野石膏社製、商品名:GLボンド)を、プライマーを塗布した面に、10mmの厚さになるように塗布した。
得られた試験体を飽和状態下(相対湿度99%)の容器内に入れ、5時間放置することにより、湿式建材を硬化させた。
その後、試験体を図3に示した飽和塩溶液にて湿度を調整した容器に入れた(相対湿度20〜99%)。ここで、密閉容器内は予め相対湿度が99%になるようにセットされており、試験体を密閉容器内に設置してから、密閉容器の一部を開放し、密閉容器内の湿度が徐々に低下するように構成した。湿式建材が湿潤時(湿式建材の含水率が20質量%の時)の引張り強度を測定した。
引張り強度試験を行う際は、図2に示したように、まず、試験体の上下面にアタッチメント211、212を接着剤221、222で接着、固定した。そして、接着剤硬化後に水分計(株式会社ケット科学研究所製 商品名:コンクリート・モルタル・ALC水分計 HI−520)により湿式建材の含水率を測定し、所定の含水率であることを確認してから実施例1と同じ引張り強度試験機により引張り強度測定を行った。
また、湿式建材が乾燥時(湿式建材の含水率が0質量%の時)についても同様にして作製した例2−1〜例2−10の試験体について引張り強度の測定を行った。
結果を表2に示す。
Figure 0006055237
表2の結果によると、例2−1〜例2−5については湿潤時の引張り強度が0.07〜0.13N/mmと、0.01〜0.03N/mmに分布している例2−6〜例2−10の場合に比較して大きくなっていることが分かる。
そして、実際の現場では、上記した各例2−1〜例2−10と同様の構成の湿式内装構造になるように下地層、プライマー層、湿式建材層を施工後、電動カッターにて4cm角になるように施工面に対して垂直方向にカットし、試験体を得た。例2−1〜例2−5については施工後に湿式内装構造を構成する層及び層間に剥離は確認されなかった。
これに対して、例2−1〜例2−5よりも湿式建材が湿潤時の引張り強度が低い例2−6〜例2−10については、施工中または施工後に湿式内装構造を形成する層内および/または層間において剥離およびクラックを生じることが確認された。
以上の結果から、湿式建材の含水率が8質量%以上40質量%以下の湿潤状態において引張り強度試験を行い、引張り強度の高い組合せを選択し、これに基づいて実際の施工を行うことによって、施工中または施工後の剥離の発生を抑制できることが分かる。
10 湿式内装構造
11 下地層
12 プライマー層
13 湿式建材層

Claims (8)

  1. 下地層の表面にプライマーを塗布、乾燥してプライマー層を形成し、該プライマー層表面に水で混練した反応硬化型の湿式建材を塗り付ける、湿式内装構造作製工程と、
    前記湿式内装構造作製工程において作製した湿式内装構造の前記湿式建材の含水率が8質量%以上40質量%以下の範囲において、前記湿式内装構造を引張り強度試験に供する引張り強度試験工程を有することを特徴とする湿式内装構造の引張り強度測定方法。
  2. 前記湿式建材は、石膏を主材とする接着剤または塗り壁材、もしくは、セメントを主材とする樹脂モルタルであることを特徴とする請求項1記載の湿式内装構造の引張り強度測定方法。
  3. 前記引張り強度試験工程における引張強度が0.05N/mm 以上の強度であることを確認する工程をさらに有することを特徴とする請求項1または2に記載の湿式内装構造の引張り強度測定方法。
  4. 下地層の表面にプライマーを塗布、乾燥してプライマー層を形成後、該プライマー層表面に水で混練した反応硬化型の湿式建材を塗り付ける湿式内装構造の施工方法であって、
    請求項1記載の湿式内装構造の引張り強度測定方法により、湿式内装構造の引張り強度を測定し、引張り強度が0.05N/mm以上であることを確認することを特徴とする湿式内装構造の施工方法。
  5. 前記プライマーの粘度が1000mPa・s以上5000mPa・s以下であることを特徴とする請求項に記載の湿式内装構造の施工方法。
  6. 前記プライマーに含まれる樹脂の平均粒子径が0.001μm以上10μm以下であることを特徴とする請求項またはに記載の湿式内装構造の施工方法。
  7. 前記湿式建材は、石膏を主材とする接着剤または塗り壁材、もしくは、セメントを主材とする樹脂モルタルであることを特徴とする請求項乃至6のいずれか一項に記載の湿式内装構造の施工方法。
  8. 下地層と、前記下地層の表面にプライマー層と、前記プライマー層の表面に湿式建材層と、を有する湿式内装構造であって、
    請求項1記載の湿式内装構造の引張り強度測定方法により、前記湿式内装構造の引張り強度を測定した場合に、引張り強度が0.05N/mm 以上であることを特徴とする湿式内装構造。
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