JP6055020B2 - 歩行補助車 - Google Patents

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Description

本開示は歩行補助車に関し、より特定的には、歩行補助車の制御に関する。
歩行補助車が知られている。たとえば、特開平7−87621号公報(特許文献1)は、「走行機体からハンドル杆を立設し、走行機体上に着座用シートを設けた歩行補助車において、シート上に人が座っている場合には、アクセルレバーを回動したり手押しスイッチを押したりしても電磁ブレーキが制動作用して走行機体が停止状態を持続するようにする」電動歩行補助車を開示している([要約]参照)。
特開平7−87621号公報
特開平7−87621号公報に開示された技術によると、センサによる使用者の転倒可能性の判定が行われている。しかしながら、使用者の状態が判別できない場合には、使用者が転倒する危険性がある。使用者の状態とは、たとえば、車体の側方から使用者が車体に体重を預けている状態、車体に体重を預けながら、立ち上がり動作または着座動作を行っている状態等である。したがって、使用者の状態にかかわらず、歩行補助車の転倒を防止する技術が必要とされている。
本開示は上述のような問題点を解決するためになされたものであって、ある局面における目的は、使用者の転倒が防止される歩行補助車を提供することである。
一実施の形態に従う歩行補助車は、歩行補助車を駆動するためのモータと、ブレーキと、歩行補助車の使用者の左手による把持を受ける第1の操作部と、歩行補助車の使用者の右手による把持を受ける第2の操作部と、第1の操作部の近傍に配置され、使用者と歩行補助車との第1の距離を検出するための第1の検出部と、第2の操作部の近傍に配置され、使用者と歩行補助車との第2の距離を検出するための第2の検出部と、歩行補助車を制御するための制御装置とを備える。制御装置は、第1の距離と、第2の距離とに基づいて、歩行補助車の駆動を制御するように構成されている。
好ましくは、歩行補助車は、歩行補助車に作用する力を検出するためのグリップセンサをさらに備える。転倒の可能性を判断することは、第1の距離と、第2の距離と、力が作用する方向とに基づいて、使用者の転倒の可能性を判断することを含む。
好ましくは、力が歩行補助車の前進方向に作用している場合において、第1の距離または第2の距離が、使用者と歩行補助車との間隔として予め定められた標準間隔を下回るとき、制御装置は、モータを制御して歩行補助車を前進させるように構成されている。
好ましくは、力が歩行補助車の前進方向に作用している場合において、第1の距離および第2の距離が、使用者と歩行補助車との間隔として予め定められた標準間隔を上回るとき、制御装置は、モータを制御して歩行補助車を後退させるように構成されている。
好ましくは、第1の操作部および第2の操作部のいずれかが把持されている場合において、第1の距離および第2の距離のいずれかが予め定められた間隔を上回る時、制御装置は、ブレーキを作動させるように構成されている。
好ましくは、第1の操作部および第2の操作部が把持されている場合において、第1の距離および第2の距離が予め定められた間隔を上回る時、制御装置は、ブレーキを作動させるように構成されている。
好ましくは、歩行補助車は、使用者が歩行補助車に座っていることを検出する手段をさらに備える。第1の操作部および第2の操作部が把持されている場合において、使用者が歩行補助車に座っていることが検出された時、制御装置は、グリップセンサからの出力に基づいてモータの駆動を制御する。
好ましくは、第1の検出部によって検出される方向と、第2の検出部によって検出される方向とが内向きとなるように、第1の検出部と第2の検出部とは配置されている。
好ましくは、第1の検出部によって検出される方向と、第2の検出部によって検出される方向とが、使用者の背後で交差するように、第1の検出部と第2の検出部とは配置されている。
この発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解されるこの発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
使用者90が歩行補助車91を使用する態様を表わす図である。 歩行補助車1の外観を表す図である。 歩行補助車1の制御系の構成を表わすブロック図である。 使用者90が歩行補助車1を使用する一態様を表わす図である。 歩行補助車1が使用される状態を表わす図である。 使用者と歩行補助車1との状態と、計測距離と判定距離との関係とを表わす図である。 歩行補助車1が備えるCPU11が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。 歩行補助車の使用の態様を表す図である。 歩行補助車の使用の態様を表す図である。 歩行補助車1のCPU11が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。 歩行補助車の使用の態様を表す図である。 距離センサ7,8により検出される方向が使用者90と歩行補助車1210との間で交差する構成を表す図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
<概要>
まず、本開示に係る技術思想は、以下のとおりである。
駆動機構を備える歩行補助車において、距離センサが左右のグリップの下に取り付けられる。歩行補助車は、車体本体と使用者との間の距離を計測し、計測値をもとに使用者の状態を判別する。当該状態は、使用者が左右のグリップをつかんで歩行しようとしている状態、いずれかのグリップをつかんで歩行補助車の横に立っている状態、歩行補助車に着座している状態、着座から立ち上がる状態等である。
距離センサが左右のグリップの近傍(たとえば、グリップの端部あるいはフレーム)に取り付けられることで、使用者の身長に関係なく同じ部位までの距離を計測できる。また、歩行補助車が旋回する時も、安定した計測を行うことができる。
使用者が歩行補助車の車体の側面によりかかった場合に、若しくは、使用者が起立動作または着座動作を行った場合に、距離センサで計測される距離が最大となる。この場合、歩行補助車は、使用者が歩行動作を行っていないことを判別できる。
歩行以外の動作時にブレーキが作用することで、たとえば、使用者は、車体に寄りかかることができる。あるいは、使用者は、起立動作または着座動作を容易に行うことができる。
別の局面において、歩行補助車は車椅子としても利用可能となる。たとえば、使用者が歩行補助車に座っているとき、歩行補助車は、グリップへの入力に基づいて車体を制御(前進、停止、後退、旋回など)することができる。この場合、歩行補助車は電動車椅子として機能し得る。
[使用態様]
図1を参照して、歩行補助車91の使用態様について説明する。図1は、一実施の形態に従う使用者90が歩行補助車91を使用する態様を表わす図である。
図1(A)に示されるように、ある局面において、使用者90は、歩行補助車91の側面に立っている。図1(B)に示されるように、たとえば、使用者90は、右手で歩行補助車91の操作部(ハンドル)の左側を把持する場合があり得る。この場合、歩行補助車91は、使用者90の右手の力に応じて移動する場合があり得る。
図1(C)に示されるように、歩行補助車91がたとえば椅子としても使用できる場合には、使用者90は、歩行補助車91の左右の操作部の間に座る姿勢を取ることがあり得る。この場合、歩行補助車1は車椅子としても機能し得る。
[ハードウェア構成]
図2を参照して、本実施の形態に係る歩行補助車1の構成について説明する。図2は、歩行補助車1の外観を表す図である。
図2(A)および図2(B)に示されるように、歩行補助車1は、車輪4A,4Bと、モータ5A,5Bと、基体フレーム(以下、単に「基体」ともいう)40と、グリップ2と、傾斜センサ6と、距離センサ7,8と、手動操作用のブレーキレバー9と、スタート/停止スイッチ2Aと、物を収容するためのバッグ26とを備える。基体40は、左フレーム41と、右フレーム42と、フレーム43と、歩行補助車1を制御するための制御部10とを含む。ブレーキレバー9の操作に基づく操作力は、力センサ(図示しない)によって検出され得る。
傾斜センサ6は、歩行補助車1の傾斜の度合いを検出する。距離センサ7,8は、それぞれ、歩行補助車1と、歩行補助車1の使用者との間隔(距離)を検出する。各検出結果は、制御部10に送られる。距離センサ7は、歩行補助車1の左フレーム41に配置されている。距離センサ8は、歩行補助車1の右フレーム42に配置されている。このような配置により、使用者が歩行補助車1の正面に立っている場合には、距離センサ7,8は、いずれも、当該使用者までの距離を計測することができる。なお、距離センサ7,8の位置は、開示された場所に限られない。少なくとも、距離センサ7,8は、使用者が変わった場合や、動作時に体の揺動があった場合でも、安定して計測できる場所に配置され得る。また、距離センサ7,8は、歩行状態/起立状態、転倒可能性がある状態、および、それらの状態以外の状態とが区別できる場所に配置され得る。
また、距離センサ7,8がグリップ2の両端に取り付けられることで、使用者の身長の高低に依存することなく歩行補助車1と使用者との距離が測定される。すなわち、身長の高い使用者が歩行補助車1を使用する場合、グリップ2の高さが調節されて、標準の身長の使用者の場合におけるグリップ2の高さよりも高い位置に、グリップ2の位置が変更される。この場合、距離センサ7,8の高さも、グリップ2の位置の変更に応じて変わる。したがって、身長の高い使用者が歩行補助車1を使用した場合でも、歩行補助車1と使用者との位置関係は大きく変わらなくなるので、使用者の同じ部位と歩行補助車1との間隔を計測することができる。
フレーム43は、左フレーム41と右フレーム42との間にブリッジ状に渡されて、左フレーム41と右フレーム42とを連結している。フレーム43の一部は、着座可能な座部を構成する。左フレーム41および右フレーム42には、それぞれ、歩行時に使用者が握るグリップ2と、車輪3A,3Bと、車輪4A,4Bとが設けられている。車輪4A,4Bは、モータ5A,5Bにより駆動される。グリップ2は、支持部として、歩行補助車1の使用者の身体の少なくとも一部を支持するように構成されている。
バッグ26には、歩行補助車1の各部に電力を供給するための電池部25が配置される。電池部25は、たとえば、充電可能な電池である。なお、制御部10および電池部25の取り付け位置は、歩行時の妨げにならない位置であればよく、図2(A)および図1(B)に示される位置に限定されない。
ある局面において、歩行補助車1は、着座を検知するための構成を備え得る。たとえば、当該構成は、重量センサ、感圧センサ等を含む。
図3を参照して、歩行補助車1の構成についてさらに説明する。図3は、歩行補助車1の制御系の構成を表わすブロック図である。歩行補助車1は、モータ5A,5Bと、距離センサ7,8と、制御部10と、グリップセンサ12と、ホールセンサ30とを備える。制御部10は、CPU(Central Processing Unit)11を含む。距離センサ7,8の出力とグリップセンサ12の出力とホールセンサ30の出力とは、それぞれ制御部10に入力される。制御部10の出力は、モータ5A,5Bに入力される。モータ5A,5Bは、駆動トルクを発生する。
より詳しくは、距離センサ7,8は、歩行補助車1と使用者90との間の距離を示すデータを出力する。グリップセンサ12は、歩行補助車1のグリップ2に対して与えられる力(たとえば押す力または引く力)を示す信号を出力する。ホールセンサ30は、歩行補助車1の速度を出力する。
制御部10は、入力される各データに基づいて歩行補助車1の状態を推定する。また、別の局面において、制御部10は、歩行補助車1の動作を視認するための各種のアシスト機能を実行する。制御部10の出力は、たとえばPWM(Pulse Width Modulation)制御のための信号を含む。
図4を参照して、本実施の形態に係る歩行補助車1における技術思想について説明する。図4は、使用者90が歩行補助車1を使用する一態様を表わす図である。
状態(A)に示されるように、ある局面において、使用者90は、歩行補助車1の左右の2つのグリップのうち1つのグリップのみを把持して立っている場合があり得る。このとき、距離センサ7または8による出力は、当該センサの前方に使用者90がいないため、計測の結果(計測された距離)は最大(無限大)となる。この場合、歩行補助車1は、使用者90が両手で歩行補助車1を掴んでいない状態であると判断する。この場合、歩行補助車1は、使用者90が片手で歩行補助車1を把持することに起因する動作(たとえば歩行補助車1が自然と前進することなど)を防ぐために、ブレーキを作動し得る。
状態(B)に示されるように、別の局面において、使用者90は、歩行補助車1に座る場合があり得る。この場合、歩行補助車1の操作部の近傍に設けられた距離センサ7,8のいずれに対しても使用者90が前方を遮る位置にないため、距離センサ7,8の出力は最大となる。この場合も、歩行補助車1は使用者90がグリップ(操作部)を掴んでいない状態であると判断し、歩行補助車1が自然と動き出すことを防ぐためにブレーキを作動させる。
(実施例1)
図5を参照して、本実施の形態に係る歩行補助車1の使用態様についてさらに説明する。図5は、歩行補助車1が使用される状態を表わす図である。
状態(A)に示されるように、ある局面において、使用者90は、歩行補助車1のグリップを両手で掴んでいる。
状態(B)に示されるように、別の局面において、使用者90よりも背が高い使用者89が歩行補助車1を使用する場合がある。この場合でも、各使用者と歩行補助車1との距離はそれほど大きく変わらないため、たとえば、距離センサ8の出力の値は、使用者90の場合の出力と使用者89の出力とでは大差ない。
状態(C)に示されるように、別の局面において、使用者90は、歩行補助車1を掴んだ状態で時計方向に旋回する場合があり得る。この場合、使用者90と距離センサ7との間隔が使用者90と距離センサ8との間隔よりも多くなるので、距離センサ7の出力は、距離センサ8の出力よりも大きくなる。より詳しくは、距離センサ7の出力は、距離センサ7の前方に遮るものがなくなると、最大値となり得る。
状態(D)に示されるように、別の局面において、使用者90は、歩行補助車1を両手で掴んだ状態で反時計回りに旋回する場合があり得る。この場合、使用者90と距離センサ8との間隔が使用者90と距離センサ7との間隔よりも多くなるので、距離センサ8の出力は、距離センサ7の出力よりも大きくなる。より具体的には、距離センサ8の出力は、その前方に遮るものがなくなると、最大値となり得る。
状態(E)に示されるように、別の局面において、使用者90は、歩行補助車1の左側に立っている場合がある。このとき、使用者90は、たとえば右手で歩行補助車1の左グリップ(操作部の左側)を把持している。
状態(F)に示されるように、別の局面において、使用者90は、歩行補助車1を椅子として使用するために着座しようとする場合がある。このとき、歩行補助車1の左フレーム41および右フレーム42にそれぞれ設けられた距離センサ7,8は、その前方に遮るものがないため、距離センサ7,8からの出力値は最大となり得る。
状態(G)に示されるように、別の局面において、使用者90は、歩行補助車1に座っている場合がある。この場合も、距離センサ7,8の出力は、その前方に遮るものがないため、最大となり得る。
状態(H)に示されるように、さらに別の局面において、歩行補助車1の近傍に使用者がいない場合があり得る。使用者が不在の場合、距離センサ7,8の出力は最大となる。
図6を参照して、本実施の形態に係る歩行補助車1を使用する状態と使用者の状態を判定する距離との関係について説明する。図6は、使用者と歩行補助車1との状態と、計測距離と判定距離との関係とを表わす図である。
場面(1)に示されるように、使用者90が歩行状態または起立状態となる場合があり得る。状態(A)に示されるように、ある局面において、使用者90は歩行補助車1を掴んだ状態で普通に歩行している。
状態(B)に示されるように、別の局面において、使用者90は、歩行補助車1の正面に起立している状態となる場合もある。このような場合、距離センサ7,8は、その前方に遮るもの(すなわち使用者90)が存在していることから、その出力は歩行補助車1の距離センサ7,8と使用者90との間隔を表す。この場合、出力61は、たとえば使用者90が転倒するおそれがあるか否かを判定するための距離D(1)よりも小さくなる。したがって、このような場合、歩行補助車1の制御部10は、使用者90が転倒するおそれはないと判断する。
場面(2)のように、使用者90の状態によっては、転倒する可能性が大きい場合がある。たとえば、使用者90が歩行補助車1に寄りかかって歩行補助車1を掴んでいる状態である。このような場合、歩行補助車1の制御部10は、使用者90が両手で左右のグリップを把持している状態であること、歩行補助車1と使用者90との距離62が判定のための距離D(1)よりも大きいことも検知する。したがって、制御部10は、使用者90が転倒する可能性が大きいと判断し得る。
場面(3)に示されるように、さらに別の局面において、使用者90が起立しあるいは着座するなどの動作を行なう場合があり得る。たとえば、状態(D)に示されるように、使用者90は、歩行補助車1の横に立っている場合がある。状態(E)に示されるように、使用者90が歩行補助車1に座っている状態もあり得る。状態(F)に示されるように、使用者90が歩行補助車1から立ち上がりあるいは座ろうとする動作を行なっている場合もあり得る。状態(G)に示されるように、歩行補助車1の近傍に使用者90がいないこともあり得る。これらの場合には、距離センサ7,8の出力は、他の場合よりも大きくなる。したがって、その場合の距離63は転倒の可能性を判定するための距離D(1)よりも大きく、また、起立あるいは着座動作などを判定する距離D(2)よりも大きくなる。
このような場合、歩行補助車1は、使用者90の状態によっては歩行補助車1の移動により転倒する可能性があると判断し得る。
図7を参照して、本実施の形態に係る歩行補助車1の制御構造について説明する。図7は、歩行補助車1が備えるCPU11が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
ステップ71にて、CPU11は、制御部10に入力される信号に基づいて、歩行補助車1の使用者90の状態を判別する。CPU11は、使用者90が歩行状態であると判断すると、制御をステップ72に切り換える。CPU11は、使用者90が転倒する可能性が大きいと判断すると、制御をステップ73に切り換える。CPU11は、使用者90が着座動作などを行なっていると判断すると、制御をステップ74に切り換える。
ステップ72にて、使用者90が歩行状態であるとき、CPU11は、歩行補助車1の歩行アシスト機能を実行する。たとえば、使用者90の押す力に応じて、CPU11はモータ5A,5Bを駆動する信号を制御し、トルクを大きくし、あるいは小さくし得る。
ステップ73にて、CPU11は、使用者90が転倒することを防止するための機能(たとえばブレーキの作動、使用者90の近傍まで歩行補助車1を近づけるように駆動させること等)を実行する。
ステップ74にて、CPU11は、グリップセンサからの入力があったか否かを判断する。CPU11は、グリップセンサからの入力があったと判断すると(ステップ74にてYES)、制御をステップ100に切り換える。そうでない場合には(ステップ74にてNO)、CPU11は、制御をステップ75に切り換える。
ステップ75にて、CPU11は、ブレーキを作動する。
ステップ100にて、CPU11は、歩行補助車1の動作モードを後述する電動車椅子モードに切り換える。その後、制御はステップ71に戻される。CPU11は、他の割込命令(たとえば電源スイッチのオンなど)が入力されるまで、制御を繰り返し実行する。
(実施例2)
図8を参照して、使用者90と歩行補助車1との状態に基づく歩行制御について説明する。図8は、歩行補助車の使用の態様を表す図である。
状態(1)に示されるように、ある局面において、歩行補助車1は歩行アシスト機能を実現する。この場合、使用者90の歩行速度に応じて歩行補助車1には力81が加えられる。このとき、歩行補助車1はモータにより歩行補助車1を前進させるための駆動力82が作用する。したがって、使用者90が歩行補助車1のグリップを適切に掴んでいる限り、スムーズに歩行を継続できる。
状態(2)に示されるように、別の局面において、歩行補助車1と使用者90との距離がたとえば距離D(1)を超える場合があり得る。このとき、使用者90からは力83が歩行補助車1に作用している。このような場合、歩行補助車1の制御部10は、使用者90が転倒する可能性があると判断する。制御部10は、歩行補助車1の前進を防ぐためにブレーキを作動させて力84を歩行補助車1に与えて、歩行補助車1を停止させる。これにより、歩行補助車1が前進しなくなるので、使用者90が転倒しなくなる。
状態(3)に示されるように、使用者90が歩行補助車1を歩行のために使用せず、使用者90自身を支えるために使用する場合があり得る。たとえば、使用者90が歩行補助車1の横に立っている場合である。このような場合、使用者90は歩行を意図していないため、歩行補助車1はブレーキを作動させ移動しなくなる。その結果、グリップを片手で掴んでいる使用者90が転倒することを防止できる。
(実施例3)
図9を参照して、歩行補助車1がブレーキを作動させる局面について説明する。図9は、一実施の形態に従う歩行補助車の使用の態様を表す図である。
状態(A)に示されるように、ある局面において、使用者90は歩行補助車1に座っている。状態(B)に示されるように、別の局面において、使用者90は歩行補助車1から立ち上がろうとする。このとき、歩行補助車1に対して、歩行補助車1を移動させるための力93が作用し得る。この場合、歩行補助車1はブレーキを作動させ、移動しないように力92(すなわち力93の反対方向に作用する力)を加える。これにより、使用者90が立ち上がっても歩行補助車1が動かないため、使用者90の転倒を防止できる。
(実施例4)
別の局面において、歩行補助車1が着座を受けるように構成されている場合には、歩行補助車1は電動車椅子としても機能し得る。そこで、歩行補助車1が電動車椅子として作動する場合について説明する。
図10を参照して、歩行補助車1の制御構造についてさらに説明する。図10は、歩行補助車1のCPU11が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
ステップ110にて、CPU11は、グリップセンサ12,13からの信号に基づいて、歩行補助車1の左グリップが押されており、かつ右グリップが押されているか否かを判断する。CPU11は、左右のグリップが押されていると判断すると(ステップ110にてYES)、制御をステップ120に切り換える。そうでない場合には(ステップ110にてNO)、CPU11は、制御をステップ130に切り換える。
ステップ120にて、CPU11は、命令をモータ5A,5Bに送ることにより、歩行補助車1を前進させる。より具体的には、CPU11は、歩行補助車1が前進するように左の車輪4Aおよび右の車輪4Bを回転するための信号をモータ5A,5Bにそれぞれ送る。モータ5A,5Bは、この命令に基づいて左の車輪4Aおよび右の車輪4Bを車体の前進方向に回転させる。その結果、歩行補助車1は前進する。
ステップ130にて、CPU11は、グリップセンサ12,13からの信号に基づいて、左グリップが引かれており、かつ右グリップが引かれているか否かを判断する。CPU11は、左右のグリップが引かれていると判断すると(ステップ130にてYES)、制御をステップ140に切り換える。そうでない場合には(ステップ130にてNO)、CPU11は、制御をステップ140に切り換える。
ステップ140にて、CPU11は、歩行補助車1を後退させるための命令を各部に送る。より具体的には、CPU11は、歩行補助車1が後退するように左の車輪4Aおよび右の車輪4Bを回転させる命令をモータ5A,5Bにそれぞれ送る。モータ5A,5Bは、この命令に基づいて左の車輪4Aおよび右の車輪4Bを逆方向に回転させる。その結果、歩行補助車1は後退する。
ステップ150にて、CPU11は、グリップセンサ12,13からの信号に基づいて、左グリップが引かれており、かつ右グリップが押されているか否かを判断する。CPU11は、左グリップが引かれており、かつ右グリップが押されていると判断すると(ステップ150にてYES)、制御をステップ160に切り換える。そうでない場合には(ステップ150にてNO)、CPU11は、制御をステップ170に切り換える。
ステップ160にて、CPU11は、歩行補助車1の車体を右方向(時計回り)に旋回させるための命令を各部に送る。本実施の形態において右方向とは歩行補助車1に座っている使用者が向いている方向を正面とした場合の右方向である。したがって、この場合、歩行アシスト時の正面とは逆になる。より具体的には、たとえばCPU11は、車輪4Aを(使用者から見て後ろ方向に)後退させ、車輪4Bを(使用者から見て前方向に)前進させるための命令をモータ5A,5Bにそれぞれ送る。
ステップ170にて、CPU11は、グリップセンサ12,13からの信号に基づいて、左グリップが押されており、かつ右グリップが引かれているか否かを判断する。CPU11は、左グリップが押されており、かつ右グリップが引かれていると判断すると(ステップ170にてYES)、制御をステップ180に切り換える。そうでない場合には(ステップ170にてNO)、CPU11は、制御をステップ190に切り換える。
ステップ180にて、CPU11は、歩行補助車1の車体を左方向(反時計回り)に回転させるための命令をモータ5A,5Bに送る。より具体的には、CPU11は、たとえば車輪4Aを前進させ、車輪4Bを後退させるための信号をモータ5A,5Bにそれぞれ送る。
ステップ190にて、CPU11は、ブレーキを作動する。歩行補助車1は停止する。
図11を参照して、電動車椅子として機能する歩行補助車1の動作について説明する。図11は、一実施の形態に従う歩行補助車の使用の態様を表す図である。
状態(A)は、歩行補助車1に座った使用者90の操作により、歩行補助車1が電動車椅子として前進する状態を表わしている(ステップ120)。
状態(B)は、歩行補助車1が電動車椅子として使用者90の操作に応じて後退しようとする状態を示している(ステップ140)。
状態(C)は、歩行補助車1が電動車椅子として左方向(反時計回り)に旋回しようとしている状態を表わしている(ステップ180)。
状態(D)は、使用者90の操作により、歩行補助車1が電動車椅子として右方向(時計周り)に旋回しようとする状態を示している(ステップ160)。
なお、距離センサ7,8により検出される方向は、上述の態様に限られない。たとえば、当該方向が使用者90の背後で交差するように、距離センサ7,8が配置されていてもよい。すなわち、ある局面において、使用者90までの距離として検出される方向が進行方向に対して真っ直ぐである場合、あるいは外向きである場合において、使用者90が歩行補助車1の幅よりも細いとき、あるいは、歩行補助車1に対して体を傾けている(歩行補助車1に対して体が左右どちらか方向に向いている)とき、使用者90の体までの正確な距離が計測できなくなる恐れがある。したがって、歩行動作時に体の中心付近の距離を計測するために検出される方向が内向きとなるように、たとえば、角度の調整機能を有するアダプタ(図示しない)によって、距離センサ7,8が歩行補助車1に取り付けられてもよい。
そこで、図12を参照して、さらに別の局面について説明する。図12(A)は、距離センサ7,8により検出される方向が使用者90と歩行補助車1210との間で交差する構成を表す図である。図12(B)は、距離センサ7,8により検出される方向が使用者90の背後で交差する構成を表す図である。
図12(A)に示されるように、2つの距離センサ7,8で検出される方向が使用者90に近い場合がある。たとえば、距離センサ7,8の各検出方向が、使用者90と歩行補助車1210との間で交差するような場合である。このような場合、使用者90に対して歩行補助車1210が少し傾いただけで2つの検出距離(たとえば、距離センサ7から使用者90までの第1の距離と、距離センサ8から使用者90までの第2の距離)が大きく乖離し、頻繁に制御が変わる(制御が不安定となる)恐れがある。したがって、制御が頻繁に変わらないように使用者90までの距離が検出されることが望ましい。
そこで、図12(B)に示されるように、距離センサ7の検出方向と、距離センサ8の検出方向とが、たとえば使用者90の背後で交差するように、距離センサ7,8が配置されていることが好ましい。このような構成によれば、検出される各距離の乖離が小さくなるので不適切な距離が検出されることが防止され、安定した制御が可能となる。より具体的には、たとえば、距離センサ7,8の各検出方向が数度(たとえば、10〜20度程度)内向きとなるように、距離センサ7,8は、正面方向(歩行補助車1の前進または後退方向)に対して配置される。このような配置により、直進時および旋回時でも常に使用者90までの距離を正確に計測できるので、安定した駆動制御が実現され得る。
<実施の形態の効果>
以上のようにして、本実施の形態に係る歩行補助車1によれば、歩行以外の動作時にブレーキが作用する。したがって、使用者は、歩行補助車1に寄りかかることができる。使用者は、歩行補助車1に着座すること、あるいは、座っていた状態から立ち上がることを容易に行なうことができる。別の局面において、使用者が着座状態にあるときに、歩行補助車1は、グリップ操作を入力のトリガとして、歩行補助車1の駆動を制御できる。したがって、歩行補助車1は電動車椅子として機能し得る。
また、左右一対の距離センサ7,8が取り付けられるため、旋回時に使用者の体が歩行補助車1の車体正面から左右にずれた場合でも、使用者と歩行補助車1との位置関係を検出できるので、使用者の状態を容易に把握することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1,91 歩行補助車、2 グリップ、2A スタート/停止スイッチ、3A,3B,,4A,4B 車輪、5 モータ、6 傾斜センサ、7,8 距離センサ、9 ブレーキレバー、10 制御 制御部、12,13 グリップセンサ、25 電池部、26 バッグ、30 ホールセンサ、40 基体、41 左フレーム、42 右フレーム、43 フレーム、90 使用者。

Claims (8)

  1. 歩行補助車であって、
    前記歩行補助車を駆動するためのモータと、
    ブレーキと、
    前記歩行補助車の使用者の左手による把持を受ける第1の操作部と、
    前記歩行補助車の使用者の右手による把持を受ける第2の操作部と、
    前記使用者と前記歩行補助車との距離を検出するための検出部と、
    前記歩行補助車を制御するための制御装置とを備え、
    前記第1の操作部は、前記歩行補助車の使用者の左手によるグリップ力を検出するための第1のグリップセンサを含み、
    前記第2の操作部は、前記歩行補助車の使用者の右手によるグリップ力を検出するための第2のグリップセンサを含み、
    前記制御装置は、
    前記ブレーキを作動させて前記歩行補助車を停止させるブレーキ制動モードと、前記モータを制御して前記歩行補助車を前進させる歩行アシストモードと、前記モータを制御して前記歩行補助車を後退させる転倒防止モードと、をそれぞれ実行可能であり、
    前記第1のグリップセンサと前記第2のグリップセンサのいずれもがグリップ力を検出しない場合には前記ブレーキ制動モードを実行し、
    前記第1のグリップセンサと前記第2のグリップセンサのいずれもがグリップ力を検出した場合であって、かつ前記検出部が検出した距離が第1基準値未満の場合は前記歩行アシストモードを実行し、
    前記第1のグリップセンサと前記第2のグリップセンサのいずれもがグリップ力を検出した場合であって、かつ前記検出部が検出した距離が第1基準値以上であって前記第1基準値よりも大きい第2基準値以下の場合は前記転倒防止モードを実行し、
    前記第1のグリップセンサと前記第2のグリップセンサの少なくとも一方がグリップ力を検出した場合であって、かつ前記検出部が検出した距離が前記第2基準値よりも大きい場合は前記ブレーキ制動モードを実行する、歩行補助車。
  2. 前記検出部は、前記使用者と前記歩行補助車との距離を検出するための第1および第2の検出部を含み、
    前記第1の検出部は、前記第1の操作部の近傍に配置され、前記使用者と前記歩行補助車との第1の距離を検出し、
    前記第2の検出部は、前記第2の操作部の近傍に配置され、前記使用者と前記歩行補助車との第2の距離を検出し、
    前記制御装置は、前記第1および第2の距離と、前記第1および第2のグリップセンサの検出するグリップ力とに基づいて、前記ブレーキ制動モードと、前記歩行アシストモードと、前記転倒防止モードとを切り替える、請求項1に記載の歩行補助車。
  3. 前記第1のグリップセンサと前記第2のグリップセンサの少なくとも一方がグリップ力を検出した場合であって、かつ前記第1および第2の距離が前記第2基準値よりも大きい場合は前記ブレーキ制動モードを実行する、請求項2に記載の歩行補助車。
  4. 前記制御装置は、前記第1のグリップセンサと前記第2のグリップセンサのいずれもが前記歩行補助車の前進方向に作用する力を検出した場合であって、かつ、前記第1および第2の距離の少なくとも一方が前記第1基準値未満の場合に前記歩行アシストモードを実行する、請求項2または3に記載の歩行補助車。
  5. 前記制御装置は、前記第1のグリップセンサと前記第2のグリップセンサのいずれもが前記歩行補助車の前進方向に作用する力を検出した場合であって、かつ、前記第1および第2の距離が前記第1基準値以上であって前記第1基準値よりも大きい第2基準値以下の場合に前記転倒防止モードを実行する、請求項2〜4のいずれか1項に記載の歩行補助車。
  6. 前記使用者が前記歩行補助車に座っていることを検出する手段をさらに備え、
    前記制御装置は、
    前記使用者が前記歩行補助車に座っていることが検出された場合であって、かつ、前記第1のグリップセンサおよび前記第2のグリップセンサのいずれか一方が前記歩行補助車の前進方向または後退方向に作用する力を検出した場合に、前記力の作用する方向と反対方向に前記歩行補助車が進むように前記転倒防止モードまたは前記歩行アシストモードを実行する、請求項2〜5のいずれか1項に記載の歩行補助車。
  7. 前記第1の検出部によって検出される方向と、前記第2の検出部によって検出される方向とが内向きとなるように、前記第1の検出部と前記第2の検出部とは配置されている、請求項からのいずれかに記載の歩行補助車。
  8. 前記第1の検出部によって検出される方向と、前記第2の検出部によって検出される方向とが、前記使用者の背後で交差するように、前記第1の検出部と前記第2の検出部とは配置されている、請求項に記載の歩行補助車。
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