JP6051704B2 - モータ制御装置 - Google Patents

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本発明は、三相同期モータの電機子巻線に通電する電流をフィードバック制御するモータ制御装置に関し、より詳細には、dq座標軸上における電機子巻線のインダクタンス値の調整手段に関する。
近年、三相同期モータの制御装置にインバータを適用する技術が普及し、旧態と比較して格段に制御性能が向上している。インバータを適用したモータ制御装置では、外部からの指令トルクに基づくとともに、電機子巻線に流れる各相の電流を検出してフィードバックすることで、印加する矩形波電圧の位相を制御したり、パルス幅変調(PWM)方式により電圧実効値を制御したりして電流を制御する場合が多い。この種の制御では、回転子の位相角を検出して角速度を演算し、回転子の磁石の位相角を基準とするdq座標軸上で制御演算を行うことが一般的になっている。
dq座標軸を用いて電機子巻線の電圧方程式を表すと、電機子巻線のインダクタンス値は相互干渉成分として作用する。つまり、角速度とd軸インダクタンス値とd軸電流とを乗算した電圧がq軸電圧の一部として作用するように、d軸とq軸との間で相互干渉が起きる。また、インダクタンス値の大きさは、電流の振幅および位相に依存して変化し得る。インダクタンス値の変化は、指令トルクが変化したときの過渡応答特性や、電源電圧変動や負荷変動などに対する安定性に大きな影響を及ぼす。インダクタンス値を考慮したモータ制御装置の技術例が、特許文献1〜3に開示されている。
特許文献1に開示されたモータの駆動装置は、d軸電流偏差およびq軸電流偏差が零になるように制御し、かつ、d軸電流およびq軸電流の相互干渉を除去する非干渉制御部を備えたことを特徴としている。さらに、非干渉制御部は、d軸電圧指令補正値およびq軸電圧指令補正値をロータの回転速度に基づいて演算する態様が開示されている。これにより、制御動作の安定性を保ちながら制御の応答性が向上する、と記載されている。
特許文献2に開示された交流電動機の制御装置は、インバータと制御手段とからなり、制御手段は電流指令値生成手段、干渉成分算出手段、および干渉成分誤差補正手段を有している。さらに、干渉成分誤差補正手段は、d軸電流指令値およびq軸電流指令値の位相と振幅の関数としてd軸インダクタンスおよびq軸インダクタンスを設定したマップを用いて干渉成分の誤差を算出する態様が開示されている。これにより、トルク指令値が急峻に変化した場合においても電流応答性の劣化を抑制でき、かつ、過変調領域でも安定で高い電流応答性を確保できる、と記載されている。
特許文献3に開示された電動機制御装置は、電流指令生成部と制御部とを備え、電流指令生成部は電動機の振動を抑制するようにトルク毎に予め決定された電流位相を有する電流指令を生成するようになっている。さらに、電流指令の具体的な生成手段として、トルク毎に電流位相が予め決定された電流マップを用いる態様が開示されている。これにより、ハード的な振動対策や騒音対策を伴うことなく、電動機の静粛性を向上できる、と記載されている。
特開2004−40861号公報 特開2010−119245号公報 特開2008−17660号公報
ところで、特許文献1では、実施形態の説明にあるように、インダクタンスLd、Lqは予め決められた定数とされている。したがって、突極型同期モータのようにインダクタンス値が電流の振幅および位相に依存して変化する場合には、相互干渉成分に誤差が生じてしまう。また、特許文献2では、電流指令値をパラメータとしたマップを用いて干渉成分の誤差を算出している。この方法では、モータの個体差や経年特性変化などに起因してインダクタンス値の想定値と実際の値との間にずれが生じると、干渉成分の誤差を正確に求められなくなる。このように、インダクタンス値の変化に追従しなかったり、変化を正確に算出できなかったりすると、電流のフィードバック制御性能が低下して、応答性や安定性が改善しないという問題点がある。
また、特許文献3では、トルク指令値と電流指令値との対応関係が予め決定された電流マップにより固定的に定められている。したがって、経年特性変化などに起因してインダクタンス値が変化した場合には、トルク指令値と電流指令値との対応関係が成り立たなくなり、実際の出力トルクがトルク指令値から外れてしまう。
さらに、特許文献2や3で用いるマップは、事前の適合作業で予め実験的に求めておく必要があり、手間がかかって煩わしい。また、事前の適合作業を行っても、経年特性変化には対応できない。加えて、モータの個体差に対応するためには、事前の適合作業を全数で実施することになるため、大変な手間がかかる。
本発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたもので、電機子巻線のインダクタンス値をフィードバック制御することで事前の適合作業を不要とすること、また、電流の変化やモータの個体差または経年特性変化に対応して電流制御の応答性および安定性を改善したモータ制御装置を提供することを解決すべき課題とする。
上記課題を解決する請求項1に係るモータ制御装置の発明は、回転子に磁石を有し固定子に電機子巻線を有する三相同期モータの前記電機子巻線に流れる三相電流を検出する電流検出部と、前記回転子が回転する位相角を検出し、角速度を演算する回転検出部と、検出した三相電流を、前記回転子の磁石の位相角を基準とするdq座標軸上のd軸電流およびq軸電流に変換する検出電流変換部と、外部からの指令トルクに基づいて、前記dq座標軸上の指令d軸電流および指令q軸電流を算出する電流指令演算部と、前記d軸電流、前記q軸電流、前記指令d軸電流、および前記指令q軸電流に基づいて、前記dq座標軸上の指令d軸電圧および指令q軸電圧を演算する電圧ベクトル演算部と、前記指令d軸電圧および前記指令q軸電圧を指令三相電圧に変換する指令電圧変換部と、前記指令三相電圧に基づき、実際の三相電圧を生成して前記電機子巻線に印加する電力変換部と、を備えるモータ制御装置であって、前記電圧ベクトル演算部は、前記指令d軸電流および前記指令q軸電流に基づき、前記電機子巻線のインダクタンス値を含んだ電圧方程式を用いて目標電圧を算出する目標電圧制御器と、前記指令d軸電流から前記d軸電流を減算したd軸電流偏差、および前記指令q軸電流から前記q軸電流を減算したq軸電流偏差に基づき、積分項を含んだ制御演算により補正電圧を算出する補正電圧制御器と、前記目標電圧と前記補正電圧とを加算して前記指令d軸電圧および前記指令q軸電圧を算出する電圧加算器と、前記補正電圧制御器の積分項の値をゼロに近づけるように前記インダクタンス値をフィードバック制御して前記目標電圧制御器に受け渡すインダクタンス制御器とを含む
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記インダクタンス制御器は、前記補正電圧制御器の積分項の正負の符号を反転した入力に基づき、比例項および積分項を用いた制御演算により前記インダクタンス値を算出する比例積分制御器である。
請求項3に係る発明は、請求項1または2において、前記補正電圧制御器は、前記d軸電流偏差および前記q軸電流偏差に基づき、比例項および積分項を用いた制御演算により前記補正電圧を算出する比例積分制御器である。
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか一項において、前記電流指令演算部は、最大トルク/電流制御法を用いて前記指令d軸電流および前記指令q軸電流を算出する。
請求項1に係るモータ制御装置の発明では、電圧ベクトル演算部は、指令d軸電流からd軸電流を減算したd軸電流偏差、および指令q軸電流からq軸電流を減算したq軸電流偏差に基づいて、電機子巻線のインダクタンス値を可変にフィードバック制御する。つまり、モータの運転中にインダクタンス値の変化を逐次推定してゆくので、予めインダクタンス値を求めてマップなどの形態で保持する事前の適合作業が不要となる。また、電流の変化やモータの経年特性変化などの要因でインダクタンス値が変化したり、モータの個体差によってインダクタンス値がばらついていたりしても、フィードバック制御による推定によってインダクタンス値の誤差が低減される。したがって、電流制御の応答性および安定性を改善できる。
さらに、電圧ベクトル演算部は、目標電圧制御器、補正電圧制御器、電圧加算器、およびインダクタンス制御器を含んでいる。目標電圧制御器は指令トルクおよび指令電流を実現するための目標電圧を算出し、補正電圧制御器は電流偏差を無くすための補正電圧を算出し、電圧加算器は目標電圧と補正電圧とを加算して指令電圧を算出する。一方、インダクタンス制御器は、電流偏差の一因となるインダクタンス値の誤差を低減するように動作する。これらの制御器の協調制御により、インダクタンス値の誤差および電流偏差を無くすフィードバック制御を実現でき、電流制御の応答性および安定性を改善できる。
請求項2に係る発明では、インダクタンス制御器は、補正電圧制御器の積分項の正負の符号を反転した入力に基づく比例積分制御器とされている。補正電圧制御器の積分項はインダクタンス値の誤差に対応して増減する項であるので、比例積分型のインダクタンス制御器を用いてインダクタンス値をフィードバック制御することにより、インダクタンス値の誤差を低減することができる。また、インダクタンス制御器が補正電圧制御器から独立して動作するのでなく、積分項の値を受け取って動作するので、協調制御により確実にインダクタンス値の誤差を低減することができる。仮に、インダクタンス制御器が電流偏差に基づいてインダクタンス値を独立に制御すると、補正電圧制御器との協調制御が難しくなり、例えば、指令電圧が細かく上下動して安定制御できなくなるおそれが生じる。
請求項3に係る発明では、補正電圧制御器は、電流偏差に基づく比例積分制御器とされている。これにより、確実に電流偏差をなくして、実際の出力トルクを指令トルクに一致させることができる。また、積分項の出力をインダクタンス制御器に受け渡して、インダクタンス値の誤差の低減に寄与できる。
請求項4に係る発明では、電流指令演算部は、最大トルク/電流制御法を用いて指令d軸電流および前記指令q軸電流を算出する。したがって、指令トルクに対して電流を最小にしつつ、請求項1〜3の各効果を得ることができる。
実施形態のモータ制御装置の全体構成を示すブロック図である。 実施形態のモータ制御装置の電圧ベクトル演算部の内部構成を示すブロック図である。 インダクタンス制御器の内部構成の一例を示すブロック図である。 実施形態において、インダクタンス制御器を省略したときの電圧ベクトル演算部内部構成を示すブロック図である。
本発明の実施形態のモータ制御装置1について、図1〜図4を参考にして説明する。図1は、実施形態のモータ制御装置1の全体構成を示すブロック図である。モータ制御装置1は、ソフトウェアで動作するコンピュータを含んで構成されており、制御対象は三相同期モータ9の三相電流Iu、Iv、Iw、制御量はモータ9に印加する三相電圧Vu、Vv、Vwである。
三相同期モータ9は、図略の回転子コアに磁石を埋め込み、図略の固定子コアに電機子巻線を巻回して構成した埋込磁石同期モータであり、これに限定されない。モータ制御装置1は、外部から受け取った指令トルクTqに等しいトルクをモータ9から出力すべく、制御演算を行って三相電圧Vu、Vv、Vwを制御する。指令トルクTqの符号に付された上付きの*は、制御目標となる指令値を意味し、以下、他の符号でも同様に*は指令値を意味する。モータ制御装置1は、2個の電流検出部2v、2w、回転検出部3、検出電流変換部4、電流指令演算部5、電圧ベクトル演算部6、指令電圧変換部7、および電力変換部8で構成されている。
2個の電流検出部2v、2wは、モータ9の電機子巻線に接続された三相の入力線91u、91v、91wのうちのV相入力線91vおよびW相入力線91wにそれぞれ設けられている。電流検出部2v、2wは、例えば周知の変流器や分路抵抗器などを用いて構成でき、V相電流IvおよびW相電流Iwを検出して、その検出信号を検出電流変換部4に出力する。なお、検出電流変換部4は、三相電流Iu、Iv、Iwのベクトル和がゼロであることを利用して、三相目のU相電流Iuを演算する。
回転検出部3は、三相同期モータ9の回転子が回転する位相角θを検出し、角速度ωを演算する部位である。回転検出部3は、位相角θを検出する角度センサ31、および位相角θを電気角の角速度ωに変換する角速度変換部32で構成されている。角度センサ31には、例えば公知のレゾルバなどを用いることができ、これに限定されない。角度センサ31は、検出した位相角θを角速度変換部32、検出電流変換部4、および指令電圧変換部7に送出する。角速度変換部32は、時間微分に相当する制御演算として、2回の検出で求めた位相角θの変化量を経過時間で除算して角速度ωを算出し、電圧ベクトル演算部6に送出する。
検出電流変換部4は、検出した三相電流Iu、Iv、Iwをdq座標軸上のd軸電流Idおよびq軸電流Iqに変換する部位である。検出電流変換部4は、位相角θを用いた公知の変換式により、三相電流Iu、Iv、Iwからd軸電流Idおよびq軸電流Iqを算出して、電圧ベクトル演算部6に送出する。
電流指令演算部5は、外部から受け取った指令トルクTqを指令d軸電流Idおよび指令q軸電流Iqに変換して、電圧ベクトル演算部6に指令する。この変換処理は、例えば、最大トルク/電流制御法を用いて行うことができ、これに限定されない。また、電流指令演算部5は、変換処理に用いるd軸インダクタンス値ldおよびq軸インダクタンス値lqを電圧ベクトル演算部6から受け取る。
電圧ベクトル演算部6は、d軸電流Id、q軸電流Iq、指令d軸電流Id、および指令q軸電流Iqに基づいて、指令d軸電圧Vdおよび指令q軸電圧Vqを演算し、指令電圧変換部7に指令する。電圧ベクトル演算部6は、制御演算に用いる角速度ωを角速度変換部32から受け取り、内部で使用しているd軸インダクタンス値ldおよびq軸インダクタンス値lqを電流指令演算部5に受け渡す。電圧ベクトル演算部6の詳細な内部構成については後述する。
指令電圧変換部7は、位相角θを用いた公知の変換式により、指令d軸電圧Vdおよび指令q軸電圧Vqを指令三相電圧Vu、Vv、Vwに変換し、電力変換部8に指令する。
電力変換部8は、指令三相電圧Vu、Vv、Vwに基づき、実際の三相電圧Vu、Vv、Vwを生成して電機子巻線に印加する。電力変換部8は公知の回路構成とすることができ、例えば、図略のバッテリ、インバータ回路、および制御回路で構成できる。
次に、電圧ベクトル演算部6の詳細な内部構成について説明する。図2は、実施形態のモータ制御装置1の電圧ベクトル演算部6の内部構成を示すブロック図である。電圧ベクトル演算部6は、図2の上半分に示されたd軸演算部6d、および図2の下半分に示されたq軸演算部6qで構成されている。d軸演算部6dは、目標電圧制御器61d、補正電圧制御器62d、電圧加算器67d、およびインダクタンス制御器69dなどで構成されている。同様に、q軸演算部6qは、目標電圧制御器61q、補正電圧制御器62q、電圧加算器67q、およびインダクタンス制御器69qなどで構成されている。
d軸演算部6dの目標電圧制御器61dは、指令トルクTq、指令d軸電流Id、および指令q軸電流Iqを実現するために目標d軸電圧Vd1を制御演算する部位である。目標電圧制御器61dは、q軸インダクタンス値Lqを含んだ次の電圧方程式(1)を用いて、目標d軸電圧Vd1を算出する。
目標d軸電圧Vd1=R・Id−ω・Lq・Iq………(1)
ここで、Rは、電機子巻線の既知の抵抗値である。また、q軸インダクタンス値Lqには、インダクタンス制御器69dから受け取った値を用いる。
補正電圧制御器62dは、d軸電流偏差ΔIdを無くすために、補正d軸電圧Vd2を制御演算する部位である。補正電圧制御器62dには比例積分制御器が採用されており、具体的には、偏差演算器63d、比例制御器64d、積分制御器65d、および加算器66dで構成されている。偏差演算器63dは、d軸指令電流Idからd軸電流Idを減算してd軸電流偏差ΔIdを算出し、比例制御器64dおよび積分制御器65dに送出する。
比例制御器64dは、d軸電流偏差ΔIdにd軸比例項定数KdPを乗算し、d軸比例項補正電圧VdPを算出する。積分制御器65dは、d軸電流偏差ΔIdを時間積分した後にd軸積分項定数KdIを乗算し、d軸積分項補正電圧VdIを算出する。加算器66dは、d軸比例項補正電圧VdPとd軸積分項補正電圧VdIとを加算して補正d軸電圧Vd2とし、電圧加算器67dに送出する。
電圧加算器67dは、目標d軸電圧Vd1と補正d軸電圧Vd2とを加算して、指令d軸電圧Vdを算出する。また、反転器68dは、d軸積分項補正電圧VdIの正負の符号を反転して、インダクタンス制御器69dに送出する。
インダクタンス制御器69dは、d軸電流偏差ΔIdの一因となるq軸インダクタンス値Lqの誤差を低減するための部位である。インダクタンス制御器69dは、d軸積分項補正電圧VdIの符号反転値(―VdI)に基づき、制御演算fdを行ってq軸インダクタンス値Lqを算出し、目標電圧制御器61dに受け渡す。図3は、インダクタンス制御器69d、69qの内部構成の一例を示すブロック図である。図示されるように、インダクタンス制御器69dの制御演算fdには比例積分制御器が採用されており、具体的には、比例制御器691d、積分制御器692d、および加算器693dで構成されている。
インダクタンス制御器69dの比例制御器691dは、前述の符号反転値(―VdI)を入力として比例項定数K1を乗算し、q軸比例項インダクタンス値LqPを演算する。積分制御器692dは、符号反転値(―VdI)を時間積分した後に積分項定数K2を乗算し、q軸積分項インダクタンス値LqIを算出する。加算器693dは、q軸比例項インダクタンス値LqPとq軸積分項インダクタンス値LqIとを加算してq軸インダクタンス値Lqを算出する。
図2に戻り、q軸演算部6qの内部構成は、電圧方程式が異なることを除いてd軸演算部6dに類似している。q軸演算部6qの目標電圧制御器61qは、指令トルクTq、指令d軸電流Id、および指令q軸電流Iqを実現するために、目標q軸電圧Vq1を制御演算する部位である。目標電圧制御器61qは、d軸インダクタンス値Ldを含んだ次の電圧方程式(2)を用いて、目標q軸電圧Vq1を算出する。
目標q軸電圧Vq1=ω・Ψ+R・Iq−ω・Ld・Id………(2)
ここで、Ψは電機子巻線の既知の誘起電圧定数である。また、d軸インダクタンス値Ldには、インダクタンス制御器69qから受け取った値を用いる。
補正電圧制御器62qは、q軸電流偏差ΔIqを低減するために、補正q軸電圧Vq2を制御演算する部位である。補正電圧制御器62qには比例積分制御器が採用されており、具体的には、偏差演算器63q、比例制御器64q、積分制御器65q、および加算器66qで構成されている。偏差演算器63qは、q指令電流Iqからq軸電流Iqを減算してq軸電流偏差ΔIqを算出し、比例制御器64qおよび積分制御器65qに送出する。
比例制御器64qは、q軸電流偏差ΔIqにq軸比例項定数KqPを乗算し、q軸比例項補正電圧VqPを算出する。積分制御器65qは、d軸電流偏差ΔIqを時間積分した後にq軸積分項定数KqIを乗算し、q軸積分項補正電圧VqIを算出する。加算器66qは、q軸比例項補正電圧VqPとq軸積分項補正電圧VqIとを加算して補正q軸電圧Vq2とし、電圧加算器67qに送出する。
電圧加算器67qは、目標q軸電圧Vq1と補正q軸電圧Vq2とを加算して、指令q軸電圧Vqを算出する。また、反転器68qは、q軸積分項補正電圧VqIの正負の符号を反転して、インダクタンス制御器69qに送出する。
インダクタンス制御器69qは、q軸電流偏差ΔIqの一因となるd軸インダクタンス値Ldの誤差を低減するための部位である。インダクタンス制御器69qは、q軸積分項補正電圧VqIの符号反転値(―VqI)に基づき、制御演算fqを行ってd軸インダクタンス値Ldを算出し、目標電圧制御器61qに受け渡す。図3に示されるように、インダクタンス制御器69qの制御演算fqには比例積分制御器が採用されており、具体的には、比例制御器691q、積分制御器692q、および加算器693qで構成されている。
インダクタンス制御器69qの比例制御器691qは、前述の符号反転値(―VqI)を入力として比例項定数K3を乗算し、d軸比例項インダクタンス値LdPを算出する。積分制御器692qは、符号反転値(―VqI)を時間積分した後に積分項定数K4を乗算し、d軸積分項インダクタンス値LdIを算出する。加算器693qは、d軸比例項インダクタンス値LdPとd軸積分項インダクタンス値LdIとを加算してd軸インダクタンス値Ldを算出する。
次に、実施形態のモータ制御装置1の作用について説明する。実施形態において、指令トルクTqが一定で、d軸電流Idおよびq軸電流Iqが定常値に落ち着いた場合を考える。この場合、指令d軸電流Idおよび指令q軸電流Iqと実際のd軸電流Idおよびq軸電流Iqとの間に電流偏差ΔId、ΔIqが無くなる。さらに、d軸インダクタンス値Ldおよびq軸インダクタンス値Lqの誤差が無ければ、補正d軸電圧Vd2および補正q軸電圧Vq2はゼロになり、目標d軸電圧Vd1および目標q軸電圧Vq1だけで指令d軸電圧Vdおよび指令q軸電圧Vqを算出できる。式で表せば、次の数式(3)(4)が成り立つ。
指令d軸電圧Vd=R・Id−ω・Lq・Iq………(3)
指令q軸電圧Vq=ω・Ψ+R・Iq−ω・Ld・Id………(4)
ここで、インダクタンス制御器69d、69qを省略した構成を仮想する。図4は、実施形態において、インダクタンス制御器69d、69qを省略したときの電圧ベクトル演算部6Aの内部構成を示すブロック図である。加えて、モータ制御装置1の内部で扱うd軸インダクタンス値Ldおよびq軸インダクタンス値Lqがそれぞれ、真値LdT、LqTに対して誤差ΔLd、ΔLqを有している場合、換言すれば、次の数式(5)(6)の場合を考える。
Ld=LdT+ΔLd………(5)
Lq=LqT+ΔLq………(6)
数式(6)を数式(3)に代入すれば数式(7)が得られる。
Vd=R・Id−ω・(LqT+ΔLq)・Iq
={R・Id−ω・LqT・Iq}+{−ω・ΔLq・Iq}……(7)
ここで、数式(7)の右辺第1項{R・Id−ω・LqT・Iq}は、目標d軸電圧Vd1に相当する。したがって、右辺第2項{−ω・ΔLq・Iq}を補正d軸電圧Vd2に対応する量と見なすことができ、補正電圧制御器62dによりフィードバック制御できる。
さらに、d軸電流偏差ΔIdが無い状態であるので、補正電圧制御器62dの中のd軸比例項補正電圧VdPはゼロになっている。結局、d軸積分項補正電圧VdIが補正d軸電圧Vd2となり、右辺第2項{−ω・ΔLq・Iq}に対応している。よって、インダクタンス制御器69pを設けてd軸積分項補正電圧Vd2をゼロに近づけるように制御することは、右辺第2項{−ω・ΔLq・Iq}をゼロに近づけることになる。したがって、誤差ΔLqを低減することができる。
同様に、数式(5)を数式(4)に代入すれば数式(8)が得られる。
Vq=ω・Ψ+R・Iq−ω・(LdT+ΔLd)・Id
={ω・Ψ+R・Iq−ω・LdT・Id
+{−ω・ΔLd・Id}………(8)
ここで、数式(8)の右辺第1項{ω・Ψ+R・Iq−ω・LdT・Id}は、目標q軸電圧Vq1に相当する。したがって、右辺第2項{−ω・ΔLd・Id}を補正q軸電圧Vq2に対応する量と見なすことができ、補正電圧制御器62qによりフィードバック制御できる。
さらに、q軸電流偏差ΔIqが無い状態であるので、補正電圧制御器62qの中のq軸比例項補正電圧VqPはゼロになっている。結局、q軸積分項補正電圧VqIが補正q軸電圧Vq2となり、右辺第2項{−ω・ΔLd・Id}に対応している。よって、インダクタンス制御器69qを設けてq軸積分項補正電圧Vq2をゼロに近づけるように制御することは、右辺第2項{−ω・ΔLd・Id}をゼロに近づけることになる。したがって、誤差ΔLdを低減することができる。
次に、実施形態において、電流偏差ΔId、ΔIqが生じている一般的な場合を考える。この場合、電流偏差ΔId、ΔIqを低減するように、補正電圧制御器62d、62q内で比例項補正電圧VdP、VqPおよび積分項補正電圧VdI、VqIが発生する。これに重畳して、d軸インダクタンス値Ldおよびq軸インダクタンス値Lqの変化を調整するように、インダクタンス制御器69d、69qが作用する。したがって、補正電圧制御器62d、62qおよびインダクタンス制御器69d、69qの協調制御により、電流偏差ΔId、ΔIqは急峻に低減される。
なお、指令トルクTqの変更により指令d軸電流Idおよび指令q軸電流Iqが変化した場合には、必ず電流偏差ΔId、ΔIqが生じて、上述の低減作用が発生する。この場合には、目標電圧制御器61d、61qによる目標d軸電圧Vd1および目標q軸電圧Vq1の変更制御も併せて行われる。
実施形態のモータ制御装置1の電圧ベクトル演算部6は、目標電圧制御器61d、61q、補正電圧制御器62d、62q、電圧加算器67d、67q、およびインダクタンス制御器69d、69qを含み、d軸電流偏差ΔIdおよびq軸電流偏差ΔIqに基づいて、電機子巻線のd軸およびq軸インダクタンス値Lp、Lqを可変にフィードバック制御する。つまり、モータ9の運転中にインダクタンス値Lp、Lqの変化を逐次推定してゆくので、予めインダクタンス値を求めてマップなどの形態で保持する事前の適合作業が不要となる。また、電流の変化やモータ9の経年特性変化などの要因でインダクタンス値Lp、Lqが変化したり、モータ9の個体差によってインダクタンス値Lp、Lqがばらついていたりしても、フィードバック制御による推定によってインダクタンス値Lp、Lqの誤差が低減される。したがって、電流制御の応答性および安定性を改善できる。
さらに、インダクタンス制御器69d、69qは、補正電圧制御器62d、62qの積分項の符号を反転した入力値(−VdI、−VqI)に基づく比例積分制御器とされている。このため、インダクタンス制御器69d、69qは、補正電圧制御器62d、62qと、協調して制御を行うことができる。これらの総合的な作用により、確実にインダクタンス値Ld、Lqの誤差が低減される。仮に、インダクタンス制御器が電流偏差に基づいてインダクタンス値を独立に制御すると、補正電圧制御器との協調制御が難しくなり、例えば、指令電圧が細かく上下動して安定制御できなくなるおそれが生じる。
さらに、補正電圧制御器62d、62qは、電流偏差ΔId、ΔIqに基づく比例積分制御器とされている。これにより、確実に電流偏差をなくして、実際の出力トルクを指令トルクTqに一致させることができる。また、電流指令演算部4は、最大トルク/電流制御法を用いて指令d軸電流Idおよび指令q軸電流Iqを算出する。したがって、指令トルクTqに対して電流を最小にできる。
なお、補正電圧制御器62d、62qやインダクタンス制御器69d、69qは、比例積分制御器に限定されず、その他の制御方式を用いることもできる。本発明は、その他にも様々な応用や変形が可能である。
1:モータ制御装置
2v、2w:電流検出部
3:回転検出部 31:角度センサ 32:角速度変換部
4:検出電流変換部
5:電流指令演算部
6:電圧ベクトル演算部 6d:d軸演算部 6q:q軸演算部
61d、61q:目標電圧制御器 62d、62q:補正電圧制御器
63d、63q:偏差演算器 64d、64q;比例制御器
65d、65q:積分制御器 66d、66q:加算器
67d、67q:電圧加算器 68d、68q:反転器
69d、69q:インダクタンス制御器 691d、691q:比例制御器
692d、692q:積分制御器 693d、693q:加算器
7:指令電圧変換部
8:電力変換部
9:三相同期モータ
Tq:指令トルク Id:指令d軸電流 Iq:指令q軸電流
Vd:指令d軸電圧 Vq:指令q軸電圧
Vu、Vv、Vw:三相電圧 Iv、Iw:V相およびW相電流
θ:位相角 ω:角速度
Ld:d軸インダクタンス値 Lq:q軸インダクタンス値
Id:d軸電流 ΔId:d軸電流偏差
Iq:q軸電流 ΔIq:q軸電流偏差
Vd1:目標d軸電圧 Vd2:補正d軸電圧
Vq1:目標q軸電圧 Vq2:補正q軸電圧

Claims (4)

  1. 回転子に磁石を有し固定子に電機子巻線を有する三相同期モータの前記電機子巻線に流れる三相電流を検出する電流検出部と、
    前記回転子が回転する位相角を検出し、角速度を演算する回転検出部と、
    検出した三相電流を、前記回転子の磁石の位相角を基準とするdq座標軸上のd軸電流およびq軸電流に変換する検出電流変換部と、
    外部からの指令トルクに基づいて、前記dq座標軸上の指令d軸電流および指令q軸電流を算出する電流指令演算部と、
    前記d軸電流、前記q軸電流、前記指令d軸電流、および前記指令q軸電流に基づいて、前記dq座標軸上の指令d軸電圧および指令q軸電圧を演算する電圧ベクトル演算部と、
    前記指令d軸電圧および前記指令q軸電圧を指令三相電圧に変換する指令電圧変換部と、
    前記指令三相電圧に基づき、実際の三相電圧を生成して前記電機子巻線に印加する電力変換部と、を備えるモータ制御装置であって、
    前記電圧ベクトル演算部は、
    前記指令d軸電流および前記指令q軸電流に基づき、前記電機子巻線のインダクタンス値を含んだ電圧方程式を用いて目標電圧を算出する目標電圧制御器と、
    前記指令d軸電流から前記d軸電流を減算したd軸電流偏差、および前記指令q軸電流から前記q軸電流を減算したq軸電流偏差に基づき、積分項を含んだ制御演算により補正電圧を算出する補正電圧制御器と、
    前記目標電圧と前記補正電圧とを加算して前記指令d軸電圧および前記指令q軸電圧を算出する電圧加算器と、
    前記補正電圧制御器の積分項の値をゼロに近づけるように前記インダクタンス値をフィードバック制御して前記目標電圧制御器に受け渡すインダクタンス制御器とを含むモータ制御装置。
  2. 請求項1において、前記インダクタンス制御器は、前記補正電圧制御器の積分項の正負の符号を反転した入力に基づき、比例項および積分項を用いた制御演算により前記インダクタンス値を算出する比例積分制御器であるモータ制御装置。
  3. 請求項1または2において、前記補正電圧制御器は、前記d軸電流偏差および前記q軸電流偏差に基づき、比例項および積分項を用いた制御演算により前記補正電圧を算出する比例積分制御器であるモータ制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項において、前記電流指令演算部は、最大トルク/電流制御法を用いて前記指令d軸電流および前記指令q軸電流を算出するモータ制御装置。
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