JP6050685B2 - 吸水性樹脂の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、吸水性樹脂の製造方法、特に、逆相懸濁重合法による吸水性樹脂の製造方法に関する。
紙オムツや生理用ナプキン等の衛生材料や愛玩動物用のいわゆるペットシート等の吸収性物品は、一般的に、トップシート、バックシート、ホットメルト接着剤、伸縮材、吸水性樹脂およびパルプ繊維等、多くの合成樹脂や改質剤を用いて製造されるものであることから、原料成分に由来の臭気を発生することがある。そして、衛生材料は、人体に適用されるものであることから、わずかな臭気であっても使用者に不快感を与える可能性があり、無臭化が望まれている。特に、衛生材料の中心的材料である吸水性樹脂は、その製造過程で使用される物質に由来する臭気がわずかにあり、その臭気は吸水時に発散しやすくなることから、それ自体の臭気の低減が強く望まれる。
衛生材料に用いられる吸水性樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸部分中和物、澱粉−アクリル酸グラフト重合体の中和物、澱粉−アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解物および酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体のケン化物等が知られている。そして、このような吸水性樹脂が臭気を発生する原因は、主としてその製造方法にあるものと考えられている。すなわち、衛生材料に用いられる吸水性樹脂は、一般に粉体状のものであることから、粉体状の吸水性樹脂を製造しやすい逆相懸濁重合法により製造されることが多いが、当該重合法は単量体水溶液を分散媒に懸濁させて重合することから、分散媒が吸水性樹脂に臭気をもたらす一つの原因になり得る。
逆相懸濁重合法による吸水性樹脂の製造方法としては、例えば、石油系炭化水素溶媒中においてα、β−不飽和カルボン酸およびそのアルカリ金属塩の水溶液を架橋剤の存在下または不存在下にラジカル重合開始剤を用いて重合させるに際し、ショ糖脂肪酸エステルを保護コロイド剤として使用する方法(特許文献1)や、石油系炭化水素溶媒中においてα、β−不飽和カルボン酸およびそのアルカリ金属塩の25質量%以上の水溶液を架橋剤の存在下または不存在下にラジカル重合開始剤を用いて重合させるに際し、界面活性剤としてHLBが2〜16のポリグリセリン脂肪酸エステルを使用する方法(特許文献2)等の各種の方法が知られているが、いずれの製造方法も吸水能の改善を目指したもので臭気に着目したものではなく、得られる吸水性樹脂は臭気を抑制したものとはいえないものである。
また、衛生材料には、別の観点に関わる臭気の課題もある。すなわち、衛生材料は、人尿や血液などの体液の吸収を目的としたものであることから、体液の吸収後に経時的に発生する臭気、例えばアンモニア臭の抑制が求められるという課題がある。これについては、殺菌剤を用いて臭気を抑制することも考えられるが、安全性が特に求められる衛生材料においては、吸水性樹脂自体や吸水性樹脂を用いた吸収体のpHを制御することで臭気を抑制するのが一般的である。例えば、特許文献3には、クエン酸やアジピン酸等の有機酸、中和度50%以下のポリアクリル酸またはイオン交換性セルロース層等のpH調節剤を吸収体に含有させる方法が記載されている。また、特許文献4には、中和度70モル%以下の吸水性ポリマーをクエン酸水溶液等の有機酸水溶液からなる酸性成分と接触させてコーティングする方法が記載されている。さらに、特許文献5には、酸基含有吸水性樹脂粒子の表面を酸基含有ラジカル重合性化合物で処理することで微粒子を固着させ、吸水剤表面の酸基中和率を内部の中和率未満とする方法が記載されている。
しかし、特許文献3の方法は、pH調整剤が高価であることから経済性に問題があり、しかも、pH調整剤自体が液体吸収性を有しないことから吸収体の吸収特性を損なう可能性もある。また、特許文献4の方法は、酸性成分が高価であることから経済性に問題があり、また、コーティング工程が煩雑である。さらに、特許文献5の方法は、製造工程が複雑かつ煩雑なことから実用性が低く、しかも、未反応の酸基含有ラジカル重合性化合物が残存するおそれがあることから、衛生材料への適用に安全上の懸念がある。
特開昭61−087702号公報 特開昭62−172006号公報 特開昭62−028402号公報 特表2010−518213号公報 特開2010−094656公報
本発明の目的は、逆相懸濁重合法により製造される吸水性樹脂について、分散媒に由来の臭気および体液等を吸収後に経時的に発生する臭気を簡単な方法で抑制することにある。
本発明者らは、吸水性樹脂を逆相懸濁重合法により製造する場合において、石油系炭化水素分散媒中において分子内に酸基を有する水溶性エチレン性不飽和単量体の部分中和物を含む水溶液を多段で逆相懸濁重合するとともに、各重合段階で用いる水溶液に含まれる部分中和物のモル中和度を制御した場合、得られる吸水性樹脂において石油系炭化水素分散媒の残存量が飛躍的に低減し、そのために吸水性樹脂自体の臭気が有意に抑えられることを見出した。また、このようにして得られた吸水性樹脂は、体液等を吸収したときに、経時的な臭気発生の原因となるアンモニア等の臭気物質の生成が抑制されることを併せて見出した。
本発明は、このような結果に基づいて完成されたものである。すなわち、本発明は、逆相懸濁重合法による吸水性樹脂の製造方法に関するものであり、この製造方法は、高分子系分散剤を含む石油系炭化水素分散媒中において分子内に酸基を有する水溶性エチレン性不飽和単量体の部分中和物Aを含む第1水溶液を分散させ、それにより得られた分散液に界面活性剤をさらに加えて重合し、重合体の1次粒子を含むスラリーを得る工程1と、工程1で得られたスラリーに対して分子内に酸基を有する水溶性エチレン性不飽和単量体の部分中和物Bを含む第2水溶液を添加して重合し、1次粒子が凝集したスラリーを得る工程2とを含む。ここで、部分中和物Aのモル中和度Xを65〜94%に設定し、かつ、部分中和物Bのモル中和度Yを56〜89%に設定するとともに、モル中和度Xをモル中和度Yよりも大きく設定し、かつ、モル中和度Xとモル中和度Yとの差を5%以上に設定する。ここで用いられる分子内に酸基を有する水溶性エチレン性不飽和単量体は、アクリル酸およびメタクリル酸のうちの少なくとも一つである
この製造方法では、工程2において、第2水溶液の添加と重合とを繰り返すことができる。
この製造方法において用いられる界面活性剤は、例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルおよびソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも一種である。また、高分子系分散剤は、例えば、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン共重合体、無水マレイン酸・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン・プロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、酸化型ポリエチレン、酸化型ポリプロピレンおよび酸化型エチレン・プロピレン共重合体からなる群より選ばれた少なくとも一種である。
この製造方法は、通常、工程2により得られた吸水性樹脂を後架橋剤を用いて後架橋する工程3をさらに含む。この場合に用いられる後架橋剤は、通常、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールトリグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ポリグリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ポリグリセリントリグリシジルエーテル、プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテルおよびポリグリセロールポリグリシジルエーテルからなる群より選ばれた少なくとも一種である。
本発明の製造方法は、石油系炭化水素分散媒中において分子内に酸基を有する水溶性エチレン性不飽和単量体の部分中和物を含む水溶液を多段で逆相懸濁重合するとともに、各重合段階で用いる水溶液に含まれる部分中和物のモル中和度を制御しているため、石油系炭化水素分散媒を原因とする臭気が抑えられ、しかも、体液等の吸収後にアンモニア等の臭気物質の生成を抑制可能な吸水性樹脂を製造することができる。
本発明の製造方法により得られる吸水性樹脂と親水性繊維とを含む吸収体および、この吸収体を液体透過性シートと液体不透過性シートとの間に保持した吸収性物品は、それら自体の臭気が有意に抑えられ、さらに、吸収した体液等による臭気物質の生成も抑えることができる。
本発明の他の目的および効果は、以下の詳細な説明において触れる。
実施例において荷重下吸水能の測定のために用いた装置の概略図。
本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、分子内に酸基を有する水溶性エチレン性不飽和単量体の部分中和物を含む水溶液を多段の逆相懸濁重合法に適用するものである。
ここで用いる分子内に酸基を有する水溶性エチレン性不飽和単量体の部分中和物は、分子内に酸基を有する水溶性エチレン性不飽和単量体の酸基の一部を中和したものである。分子内に酸基を有する水溶性エチレン性不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびマレイン酸等の、酸基としてカルボキシル基を有するものを挙げることができる。これらは、それぞれ単独でもちいられてもよく、二種以上のものが併用されてもよい。
なお、工業的に入手が容易であり、しかも得られる吸水性樹脂の吸水性能が良好であることから、通常、分子内に酸基を有する水溶性エチレン性不飽和単量体としては、アクリル酸若しくはメタクリル酸またはこれらの混合物を用いるのが特に好ましい。
分子内に酸基を有する水溶性エチレン性不飽和単量体の部分中和物は、酸基の一部をアルカリ性化合物で中和して塩としたものである。中和のために用いられるアルカリ性化合物としては、通常、リチウム、ナトリウム、カリウムまたはアンモニウム等の各種化合物、例えば、水酸化物、炭酸塩および炭酸水素塩等が挙げられるが、工業的な入手または調製が容易であり、しかも得られる吸水性樹脂の吸水性能が良好であることから、ナトリウムまたはカリウムの化合物を用いるのが好ましい。
本発明の製造方法では、分子内に酸基を有する水溶性エチレン性不飽和単量体の部分中和物(以下、単に「部分中和物」という場合がある。)として、多段の逆相懸濁重合法の段階に応じてモル中和度の異なる少なくとも二種類のものを用いる。すなわち、本発明では、逆相懸濁重合法の最初の重合段階で用いる部分中和物Aと、同重合法の2段階目以降の段階で用いる、部分中和物Aとはモル中和度の異なる部分中和物Bとの少なくとも二種類を用意する。
ここで、部分中和物Aは、そのモル中和度Xを部分中和物Bのモル中和度Yよりも大きく設定したものである。また、部分中和物Aのモル中和度Xと部分中和物Bのモル中和度Yとの差(X−Y)を5%以上に設定する。多段の逆相懸濁重合法においてこのようにモル中和度に差のある異なる部分中和物を使い分けることで、後記する臭気抑制効果を奏する目的の吸水性樹脂を製造することができる。なお、後記する臭気抑制効果をより高める観点から、モル中和度Xとモル中和度Yとの差は10%以上に設定するのが好ましく、15%以上に設定するのがより好ましく、20%以上に設定するのが特に好ましい。
また、部分中和物Aのモル中和度Xは、通常、65〜94%に設定するが、70〜90%に設定するのが好ましく、75〜85%に設定するのがより好ましく、80〜85%に設定するのが特に好ましい。一方、部分中和物Bのモル中和度Yは、通常、56〜89%に設定するが、60〜85%に設定するのがより好ましく、65〜80%に設定するのがさらに好ましく、65〜75%に設定するのがさらに好ましく、65〜70%に設定するのが特に好ましい。
部分中和物Aのモル中和度Xと部分中和物Bのモル中和度Yとの組み合わせは、上述の条件に加えて、通常、多段の逆相懸濁重合法により得られた吸水性樹脂において、部分中和物Aおよび部分中和物Bに由来の酸基のモル中和度Zが60〜90%になるよう選択するのが好ましく、65〜85%になるよう選択するのがより好ましく、70〜80%になるよう選択するのがさらに好ましい。モル中和度Zをこのように選択することで、得られる吸水性樹脂は後記する臭気抑制効果がより達成されやすくなる。また、このモル中和度Zが60%未満の場合、酸基がイオン化されにくいことから、吸水性樹脂の吸水能が低下する可能性がある。逆に、この中和度Zが90%を超えると、その吸水性樹脂を衛生材料用として用いた場合に、皮膚への刺激が生じる可能性がある。
なお、本発明において、各モル中和度は、部分中和物の調製時に用いる原料の種類や使用量から計算により求めた値である。
部分中和物Aまたは部分中和物Bを含む水溶液(以下、「単量体水溶液」という場合がある。)は、部分中和物Aまたは部分中和物Bと共重合可能な他の単量体を含んでいてもよい。このような単量体(以下、「単量体C」という場合がある。)としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミドおよびN−メチロールメタクリルアミド等のノニオン性不飽和単量体、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレートやジエチルアミノプロピルメタクリレート等のアミノ基含有不飽和単量体およびそれらの四級化物等を挙げることができる。
単量体水溶液において、部分中和物Aまたは部分中和物Bに対する単量体Cのモル比率(部分中和物Aまたは部分中和物B:単量体C)は、通常、100:0〜60:40に設定するのが好ましく、100:0〜70:30に設定するのがより好ましく、100:0〜80:20に設定するのがさらに好ましい。
また、単量体水溶液において、部分中和物Aまたは部分中和物Bと単量体Cとの合計濃度は、通常、20質量%以上で飽和濃度以下の範囲に設定するが、30〜55質量%に設定するのがより好ましく、35〜46質量%に設定するのがさらに好ましい。単量体水溶液は、合計濃度をこのように設定することによって、急激な反応を回避しながら吸水性樹脂の高い生産性を保つことができる。
単量体水溶液は、必要に応じて内部架橋剤を含んでいてもよい。内部架橋剤としては、例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリンおよびトリメチロールプロパン等のポリオール類、ポリオール類とアクリル酸やメタクリル酸等の不飽和酸とを反応させて得られる二個以上のビニル基を有するポリ不飽和エステル類、N,N’−メチレンビスアクリルアミド等のビスアクリルアミド類、並びに、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールトリグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ポリグリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ポリグリセリントリグリシジルエーテル、プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテルおよびポリグリセロールポリグリシジルエーテル等の二個以上のグリシジル基を含有するポリグリシジル化合物等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
内部架橋剤の使用量は、通常、単量体水溶液に含まれる部分中和物AまたはBと単量体Cとの合計量100質量部に対して3質量部以下が好ましく、1質量部以下がより好ましく、0.001〜0.1質量部がさらに好ましい。この使用量が3質量部を超えると、架橋が過度になり、得られる吸水性樹脂の吸水性能が損なわれる可能性がある。
さらに、単量体水溶液には、必要に応じて、連鎖移動剤や増粘剤等が含まれていてもよい。利用可能な連鎖移動剤としては、例えば、チオール類、チオール酸類、第2級アルコール類、次亜リン酸および亜リン酸等の化合物が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上が併用されてもよい。利用可能な増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸中和物およびポリアクリルアミド等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
多段の逆相懸濁重合法による単量体水溶液の重合では、先ず、分散剤の存在下において、石油系炭化水素分散媒に部分中和物Aを含む単量体水溶液(以下、「第1水溶液」という場合がある。)を添加して分散させ、1段階目の重合をする(工程1)。ここで用いられる分散剤は、界面活性剤および高分子系分散剤のうちの少なくとも一つのものである。ここで、石油系炭化水素分散媒への第1水溶液の分散は、予め高分子系分散剤を添加した石油系炭化水素分散媒へ第1水溶液を添加して分散させた後、その分散液に界面活性剤をさらに添加して分散させるのが好ましい。このような好ましい1段階目の重合によれば、得られる吸水性樹脂における石油系炭化水素分散媒の残存量が効果的に抑制され、吸水性樹脂自体の臭気をより効果的に抑えることができる。
ここで利用可能な石油系炭化水素分散媒としては、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサンおよびn−オクタン等の炭素数6〜8の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンおよびメチルシクロヘキサン等の炭素数6〜8の脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素並びにこれらの任意の混合物等を挙げることができる。特に、工業的に入手が容易で安価であることから、炭素数6〜7の脂肪族炭化水素および炭素数6〜7の脂環族炭化水素のうちから選ばれた少なくとも一種のものを用いるのが好ましい。
石油系炭化水素分散媒の使用量は、第1水溶液を均一に分散することができるとともに、重合温度の制御が容易であることから、通常、第1水溶液100質量部に対して40〜600質量部に設定するのが好ましく、50〜400質量部に設定するのがより好ましく、60〜200質量部に設定するのがさらに好ましい。
ここで利用可能な界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピルアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、アルキルグルコシド、N−アルキルグルコンアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミドおよびポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン系界面活性剤の他、脂肪酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルメチルタウリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸およびその塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸およびその塩並びにポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸およびその塩等のアニオン系界面活性剤を挙げることができる。これらの界面活性剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上が併用されてもよい。これらの界面活性剤のうち、石油系炭化水素分散媒における第1水溶液の分散安定性の観点から、ノニオン系界面活性剤、特に、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルおよびソルビタン脂肪酸エステルのうちの少なくとも一種を用いるのが好ましい。
界面活性剤のHLB値は、使用する界面活性剤の種類によって1段階目の重合により得られる重合体の1次粒子の形態が異なることから特に特定されるものではないが、例えば、ショ糖脂肪酸エステルまたはソルビタン脂肪酸エステルであれば5以下の範囲のものを用いるのが好ましく、ポリグリセリン脂肪酸エステルであれば10以下の範囲のものを用いるのが好ましい。
界面活性剤の使用量は、第1水溶液100質量部に対して0.01〜5質量部が好ましく、0.05〜3質量部がより好ましい。界面活性剤の使用量が0.01質量部未満の場合は石油系炭化水素分散媒中での第1水溶液の分散安定性が低下する可能性がある。逆に、5質量部を超える場合は、使用量に応じた効果が得られにくく、経済性を損なう可能性がある。
石油系炭化水素分散媒に対する界面活性剤の添加方法は特に限定されるものではなく、第1水溶液に予め添加しておく方法や石油系炭化水素分散媒に対して直接に添加する方法によることができる。後者の場合、短時間で第1水溶液を分散安定化することができることから、界面活性剤を予め少量の石油系炭化水素分散媒により希釈もしくは溶解して使用するのが好ましい。
ここで利用可能な高分子系分散剤としては、例えば、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン共重合体、無水マレイン酸・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン・プロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、酸化型ポリエチレン、酸化型ポリプロピレン、酸化型エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、無水マレイン化ポリブタジエンおよび無水マレイン化EPDM(エチレン/プロピレン/ジエン三元共重合体)等を挙げることができる。これらは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上が併用されてもよい。
特に、これらの高分子系分散剤のうち、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン共重合体、無水マレイン酸・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン・プロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、酸化型ポリエチレン、酸化型ポリプロピレンおよび酸化型エチレン・プロピレン共重合体のうちの少なくとも一種を用いるのが好ましい。
なお、高分子系分散剤は、使用する石油系炭化水素分散媒に溶解もしくは分散させて使用することが好ましいことから、通常、質量平均分子量が20,000以下のものを用いるのが好ましい。特に、質量平均分子量が10,000以下のものが好ましく、5,000以下のものがより好ましい。
高分子系分散剤の使用量は、第1水溶液100質量部に対して5質量部以下に設定するのが好ましい。特に、0.01〜3質量部に設定するのが好ましく、0.05〜2質量部に設定するのがより好ましい。高分子系分散剤の添加量が5質量部を超える場合、それに応じた効果が得られにくく、経済性を損なう可能性がある。
第1水溶液は攪拌することで石油系炭化水素分散媒に分散させながら重合するが、この攪拌において用いられる攪拌翼としては、例えば、プロペラ翼、パドル翼、アンカー翼、タービン翼、ファウドラー翼、リボン翼、フルゾーン翼(神鋼パンテック株式会社の商品名)、マックスブレンド翼(住友重機械工業株式会社の商品名)およびスーパーミックス(佐竹化学機械工業株式会社の商品名)等を挙げることができる。
攪拌条件は、石油系炭化水素分散媒における第1水溶液の所望の分散液滴径に応じて適宜設定することができる。すなわち、攪拌翼の種類、翼径および回転数等は、第1水溶液が所望の分散液滴径になるよう適宜選択することができる。
第1水溶液の重合では、水溶性ラジカル重合開始剤を用いる。水溶性ラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムおよび過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩、過酸化水素等の過酸化物、並びに、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンジアミン]四水塩、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)二塩酸塩および2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]等のアゾ化合物等が挙げられる。
このうち、入手が容易で取り扱いやすいことから、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムおよび2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩が好ましい。なお、水溶性ラジカル重合開始剤は、亜硫酸塩やアスコルビン酸等の還元剤と併用することでレドックス重合開始剤として用いてもよい。
水溶性ラジカル重合開始剤の使用量は、通常、第1水溶液に含まれる単量体の総量(すなわち、部分中和物Aと単量体Cとの合計量)100質量部あたり、0.01〜1質量部に設定するのが好ましい。この使用量が0.01質量部未満の場合は重合率が低くなる可能性があり、また、1質量部を超える場合は急激な重合反応が起こることから安全性の確保に問題がある。
反応系への水溶性ラジカル重合開始剤の添加時期は、特に制限されないが、通常は予め第1水溶液に添加しておくのが好ましい。
第1水溶液の重合時の反応温度は、使用する重合開始剤の種類や量に応じて設定することができ、一概に決定することはできないが、通常、20〜100℃に設定するのが好ましく、40〜90℃に設定するのがより好ましい。反応温度が20℃未満の場合は重合率が低くなる可能性があり、また、100℃を超える場合は急激な重合反応が起こることから安全性の確保に問題がある。
工程1での重合において内部架橋剤を用いる場合、当該内部架橋剤は、上述のように予め第1水溶液に添加しておくのが好ましいが、第1水溶液とは別に石油系炭化水素分散媒に対して添加することもできる。
上述の工程1、すなわち、1段階目の重合工程により、第1水溶液に含まれる部分中和物Aおよび単量体Cの重合による重合体の1次粒子を含むスラリーが得られる。ここで、1次粒子の粒子径(中位粒子径)は、後記する工程2により適度な凝集粒径の吸水性樹脂を得るために、20〜200μmになるよう設定するのが好ましく、30〜150μmになるよう設定するのがより好ましく、40〜100μmになるよう設定するのが特に好ましい。なお、この粒子径は、工程1での重合が終了した後、反応により得られたスラリーの一部を採取して脱水、乾燥することで得られる粒子について測定した値である。このような1次粒子の粒子径は、石油系炭化水素分散媒の攪拌条件や反応温度の選択等により制御することができる。
次に、工程1で得られたスラリーに対して部分中和物Bを含む単量体水溶液(以下、「第2水溶液」という場合がある。)を添加して2段階目の逆相懸濁重合をし、工程1で得られた1次粒子が凝集した所望の粒子径の吸水性樹脂のスラリーを得る(工程2)。
ここでは、第2水溶液が独立した液滴を形成しないよう、通常、工程1で用いた分散剤の作用を低下させる必要がある。このため、工程2の実行前に、工程1で得られたスラリーは、冷却することで分散剤を析出させるのが好ましい。
工程2では、第2水溶液を添加したスラリーを攪拌し、工程1で用いたものと同様の水溶性ラジカル重合開始剤の存在下で反応系の全体を均一に混合しながら反応させる。ここで用いる水溶性ラジカル重合開始剤の使用量は、通常、第2水溶液に含まれる単量体の総量(すなわち、部分中和物Bと単量体Cとの合計量)100質量部あたり、0.01〜1質量部に設定するのが好ましい。この使用量が0.01質量部未満の場合は1次粒子が凝集しにくくなる可能性があり、また、1質量部を超える場合は急激な重合反応が起こることから安全性の確保に問題がある。反応系への水溶性ラジカル重合開始剤の添加時期は、特に制限されないが、通常は予め第2水溶液に添加しておくのが好ましい。
この工程での反応温度は、使用する水溶性ラジカル重合開始剤の種類や量に応じて設定することができ、一概に決定することはできないが、通常、20〜100℃に設定するのが好ましく、40〜90℃に設定するのがより好ましい。反応温度が20℃未満の場合は1次粒子が凝集しにくくなる可能性があり、また、100℃を超える場合は急激な重合反応が起こることから安全性の確保に問題がある。
この工程では、第2水溶液に含まれる単量体が重合することで1次粒子が凝集し、粒径の大きな凝集粒子を含むスラリーが得られる。凝集粒子の中位粒子径は、工程1で得られたスラリーからの分散剤の析出状態や、工程1で用いた第1水溶液に含まれる単量体の総量に対する第2水溶液に含まれる単量体の総量により制御することができる。この観点から、本工程において添加する第2水溶液の量(部分中和物Bと単量体Cとの合計量換算)は、適度な中位粒子径の凝集粒子を得るために、工程1で用いる第1水溶液の量(部分中和物Aと単量体Cとの合計量換算)100質量部に対し、50〜300質量部が好ましく、80〜220質量部がより好ましく、100〜200質量部がさらに好ましく、120〜180質量部が特に好ましい。
工程2では、凝集粒子の中位粒子径の調整や生産性の向上を目的として、得られたスラリーに対してさらに第2水溶液を添加し、重合を繰り返すことができる。また、このような繰り返しの重合を数回実行することもできる。この場合に用いられる第2水溶液に含まれる部分中和物Bのモル中和度Yは、後記する吸水性樹脂自体の消臭効果を損なわないようにするために、2段階目の重合時に用いた第2水溶液に含まれる部分中和物Bのモル中和度Yと同じであるか、或いは、それ未満であることが好ましい。
本発明の製造方法において、目的の吸水性樹脂は、工程2で得られたスラリーに対して石油系炭化水素分散媒および水分を除去する乾燥工程を適用することで粉体状のものとして得られる。乾燥工程は常圧下または減圧下で実施することができ、また、乾燥効率を高めるために窒素等の気流下で行うこともできる。乾燥工程を常圧下で実施する場合、乾燥温度は70〜250℃が好ましく、80〜180℃がより好ましく、80〜140℃がさらに好ましく、90〜130℃が特に好ましい。また、減圧下で実施する場合、乾燥温度は60〜100℃が好ましく、70〜90℃がより好ましい。
工程2により得られた凝集粒子、すなわち、吸水性樹脂粒子は、必要に応じ、架橋剤を用いて後架橋処理が施されてもよい。このような後架橋処理により、吸水性樹脂粒子は、表面層の架橋密度が高まることから、荷重下吸水能、吸水速度およびゲル強度等の諸性能を高めることができ、衛生材料用の吸水性樹脂としての適性が高められる。
後架橋処理のために用いられる架橋剤(以下、「後架橋剤」という場合がある。)は、通常、部分中和物AまたはBに由来の官能基との反応性を有する官能基を2個以上含有するものが好ましく、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコールおよびポリグリセリン等のポリオール類、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールトリグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ポリグリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ポリグリセリントリグリシジルエーテル、プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテルおよびポリグリセロールポリグリシジルエーテル等のポリグリシジル化合物、エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリンおよびα−メチルエピクロルヒドリン等のハロエポキシ化合物、2,4−トリレンジイソシアネートやヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物、3−メチル−3−オキセタンメタノール、3−エチル−3−オキセタンメタノール、3−ブチル−3−オキセタンメタノール、3−メチル−3−オキセタンエタノール、3−エチル−3−オキセタンエタノールおよび3−ブチル−3−オキセタンエタノール等のオキセタン化合物、1,2−エチレンビスオキサゾリン等のオキサゾリン化合物並びにエチレンカーボネート等のカーボネート化合物等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上が併用されてもよい。
後架橋剤としては、吸水性樹脂自体からの臭気の発生をより効果的に抑制するために、それ自体が臭気の発生源となりにくいものを選択するのが特に好ましく、この観点から、上記例示の後架橋剤のうち、反応性に優れたエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールトリグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ポリグリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ポリグリセリントリグリシジルエーテル、プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテルおよびポリグリセロールポリグリシジルエーテルのうちの少なくとも一種を用いるのが特に好ましい。
後架橋剤の使用量は、第1水溶液に含まれる部分中和物Aおよび単量体Cと、第2水溶液に含まれる部分中和物Bおよび単量体Cとの総量100質量部に対し、通常、0.005〜5質量部に設定する。この使用量は、0.01〜3質量部がより好ましく、0.02〜1質量部がさらに好ましく、0.03〜0.5質量部がさらに好ましく、0.04〜0.2質量部が特に好ましい。後架橋剤の添加量が0.005質量部未満の場合、得られる吸水性樹脂の荷重下吸水能、吸水速度およびゲル強度等の諸性能が高まりにくい。逆に、5質量部を超える場合、得られる吸水性樹脂の吸水能が却って損なわれるだけではなく、未反応の後架橋剤が残留する可能性があり、得られた吸水性樹脂が当該未反応の後架橋剤による臭気を発生する可能性がある。
後架橋処理は、工程2の終了後であれば随時実施することができ、実施時期が特に限定されるものではないが、工程2で得られたスラリーの乾燥工程の途上であって、得られた吸水性樹脂100質量部に対して1〜200質量部、より好ましくは5〜100質量部、さらに好ましくは10〜50質量部の範囲の水分の残留下に実施されるのが好ましい。このように制御された水分の存在下で後架橋処理をすることで、目的の諸性能をより効果的に高めることができる。
また、後架橋処理を適用するときには、必要に応じて溶媒として水や親水性有機溶媒を用いることができる。利用可能な親水性有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコールおよびイソプロピルアルコール等の低級アルコール類、アセトンおよびメチルエチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、ジオキサンおよびテトラヒドロフラン等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類並びにジメチルスルホキシド等のスルホキシド類等が挙げられる。これら親水性有機溶媒は、それぞれ単独で使用してもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
なお、ここで用いる溶媒は、吸水性樹脂自体からの臭気の発生の抑制効果を高めるために、臭気の少ないもの、特に、水、メチルアルコールまたはエチルアルコールが好ましく、水が特に好ましい。
後架橋処理時の反応温度は、50〜250℃が好ましく、60〜180℃がより好ましく、60〜140℃がさらに好ましく、70〜120℃が特に好ましい。
本発明の製造方法により得られた吸水性樹脂は、適度な流動性を持たせる観点から、水分率が20%以下、特に、1〜15%または3〜10%になるよう乾燥するのが好ましい。また、得られた吸水性樹脂は、流動性を向上させるために、非晶質シリカ粉末を混合して用いることができる。
本発明の製造方法により得られる吸水性樹脂は、通常、石油系炭化水素分散媒の残存量が2000ppm以下、特に、製造条件によっては1500ppm以下、1000ppm以下、500ppm以下、300ppm以下または100ppm以下の微量に抑制されることから、それ自体の臭気が非常に効果的に抑えられる。特に、衛生材料において用いられる場合、尿等の体液を吸収したときにおいて高まり易い自体の臭気が効果的に抑えられることから、人体に不快感を与えにくい。因みに、石油系炭化水素分散媒の種類によっても異なるが、人間の嗅覚は、一般に、石油系炭化水素分散媒の残存量が2000ppm以下であれば、臭気に着目しなかった従来の製造方法により得られた吸水性樹脂との比較において、有意に臭気が抑制されたと感じることができ、残存量が1000ppm以下であれば、個人差があるものの、臭気を感じにくい。また、残存量が100ppm以下であれば、個人差なく臭気を全く感じないものといえる。
本発明の製造方法により得られる吸水性樹脂は、このように人体へ不快感を与えにくいことから紙オムツや生理用品等の衛生材料への適用に適しているが、衛生材料において用いられた場合、尿や血液等の体液を吸収した後であっても、アンモニア臭のような経時的に発生する臭気を併せて効果的に抑制することができる。
本発明により得られる吸水性樹脂は、特に衛生材料への利用を予定するとき、製造時の各種条件を調整することで、中位粒子径が200〜800μmになるよう制御するのが好ましい。この中位粒子径は、250〜600μmがより好ましく、300〜550μmがさらに好ましく、350〜500μmが特に好ましい。
また、本発明により得られる吸水性樹脂は、後記する吸収体の形態で衛生材料への利用を予定するとき、大きな粒子が多ければ、圧縮後の吸収体が部分的に硬くなるという不具合があり、逆に、小さな粒子が多ければ、吸収体中で粒子が移動しやすくなることから均一性が損なわれるという不具合がある。従って、衛生材料用の吸収体に用いる吸水性樹脂は、狭い粒度分布を持つもの、すなわち、粒子径分布の均一度が小さいものが好ましい。このため、本発明の製造方法では、製造時の各種条件を調整することで、吸水性樹脂の粒子径分布の均一度が1.0〜2.2になるよう制御するのが好ましく、特に、同均一度が1.0〜2.0または1.2〜1.8になるよう制御するのが好ましい。
本発明により得られる吸水性樹脂の吸水能は、通常、ゲルブロッキングを防止しかつ吸収容量を高めることが可能な30g/g以上になる。特に、製造時の各種の条件を調整することで、吸水能は、より好ましい35〜85g/g、さらに好ましい40〜75g/g、または、特に好ましい45〜70g/gの範囲に制御することができる。
また、本発明により得られる吸水性樹脂の荷重下での生理食塩水吸水能は、通常、荷重下(4.14kPa荷重下)での使用時でも液体の吸収特性が損なわれにくい12mL/g以上になる。特に、製造時の各種の条件を調整することで、同荷重下での生理食塩水吸水能は、より好ましい14mL/g以上、さらに好ましい16mL/g以上、または、特に好ましい18mL/g以上に制御することができる。
さらに、本発明により得られる吸水性樹脂のゲルpHは、通常、皮膚への刺激性が低く、しかも、体液の吸収後にアンモニアに代表される臭気の発生をより効果的に抑制可能な3.5〜7.5になる。特に、製造時の各種の条件を調整することで、ゲルpHは、より好ましい4.0〜7.0、さらに好ましい4.5〜6.5、特に好ましい5.0〜6.0の範囲に制御することができる。
本発明の吸収体は、本発明の製造方法により得られる吸水性樹脂と親水性繊維とを含むものであり、例えば、紙オムツや生理用品等の衛生材料において用いられるものである。この吸収体において、吸水性樹脂と親水性繊維とは、例えば、均一にブレンドしたミキシング構造、層状の親水性繊維の間に吸水性樹脂を保持したサンドイッチ構造、吸水性樹脂と親水性繊維との混合物をティッシュペーパーなどの通液性を有する包装シートで包んだ包装構造で用いられる。
親水性繊維としては、例えば、木材から得られる綿状パルプ、メカニカルパルプ、ケミカルパルプおよびセミケミカルパルプ等のセルロース繊維並びにレーヨンおよびアセテート等の人工セルロース繊維等を用いることができる。なお、親水性繊維は、吸収体の補強材として、ポリアミド、ポリエステルまたはポリオレフィン等の合成樹脂からなる繊維を含有してもよい。
吸収体における吸水性樹脂の含有量は、通常、10〜90質量%、好ましくは15〜80質量%、より好ましくは20〜70質量%、さらに好ましくは30〜65質量%である。吸水性樹脂の含有量が10質量%未満の場合、吸収容量が小さくなり、液漏れや逆戻りの増加を招く可能性がある。逆に、90質量%を超える場合は、吸収体がコスト高になるだけではなく、吸収体の感触が硬くなる傾向があることから、その吸収体を衛生材料に用いるのに不都合がある。
本発明の吸収性物品は、水性液体が通過し得る液体透過性シート(トップシート)と、水性液体が通過し得ない液体不透過性シート(バックシート)との間に本発明の吸収体を保持したものであり、例えば、紙オムツや生理用品等の尿や血液等の体液を受けとめるための衛生材料や愛玩動物用のいわゆるペットシート等として用いられるものである。ペットシートの場合、それが吸収する水性液体は、動物の体液の他、流動状の飼料や飲料等が想定される。
ここで利用可能な液体透過性シートとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルおよびポリアミド等からなる不織布並びに多孔質の合成樹脂シート等が挙げられる。一方、液体不透過性シートとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルおよびポリアミド等の合成樹脂からなるフイルム並びにこれらの合成樹脂からなるフイルムと不織布との複合材料からなるシート等が挙げられる。
吸収性物品は、用途に応じて大きさや形状を任意に設定することができ、液体透過性シート側を身体との接触側や動物が伏す側の面として用いられる。
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これら実施例等によってなんら限定されるものではない。なお、実施例1〜4のうち、実施例1〜3は参考例である。
実施例1
(第1水溶液の調製)
500mlの三角フラスコに80.5質量%のアクリル酸水溶液92gをとり、外部より冷却しながら23.4質量%の水酸化ナトリウム水溶液165.3gを滴下して94モル%の中和をした後、室温にて撹拌して完全に溶解させた。これに過硫酸カリウム0.11gおよびN,N’−メチレンビスアクリルアミド9.2mgを加えて溶解し、単量体の第1水溶液を調製した。
(第2水溶液の調製)
500mlの三角フラスコに80.5質量%のアクリル酸水溶液110.4gをとり、外部より冷却しながら23.9質量%の水酸化ナトリウム水溶液115.7gを滴下して56モル%の中和をした。これに過硫酸カリウム0.13gおよびN,N’−メチレンビスアクリルアミド11.0mgを加えて溶解し、単量体の第2水溶液を調製した。この第2水溶液は、温度を約23℃に保持した。
(工程1)
還流冷却器、滴下ロート、窒素ガス導入管および攪拌機(翼径50mmの4枚傾斜パドル翼を2段で有する攪拌翼)を備えた内径100mmの丸底円筒型セパラブルフラスコを準備した。このフラスコにn−ヘプタン500mlを仕込み、これにHLB3のショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ株式会社の商品名「リョートーシュガーエステルS−370」)0.92gおよび無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体(三井化学株式会社の商品名「ハイワックス1105A」)0.92gを添加した。そして、これを80℃まで昇温して溶解した後、50℃まで冷却した。
攪拌機の回転数を450rpmに設定して第1水溶液をセパブルフラスコに添加し、フラスコ内を窒素で置換しながら35℃で30分間保持した。その後、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、重合したところ、球状の1次粒子のスラリーが得られた。このスラリーの一部から120℃の油浴を用いて水とn−ヘプタンとを共沸して水のみを系外へ抜き出し、続いてn−ヘプタンを蒸発させて乾燥することで得られた、球状の1次粒子の中位粒子径は80μmであった。この中位粒子径は、後記する工程2へ適用するスラリーとは別に工程1を実施することで得られたスラリーを利用し、後記の評価において説明の方法(但し、「吸水性樹脂」を「1次粒子」と読替える。)で測定したものである。このような1次粒子の中位粒子径の測定方法は、工程1の再現性が良好であることから採られたものであり、後記する他の実施例および比較例についても同様である。
(工程2)
工程1で得られたスラリーの撹拌回転数を1000rpmに変更して23℃に冷却し、第2水溶液をスラリーに添加した。そして、フラスコ内を窒素で置換しながら30分間保持した後、フラスコを再度70℃の水浴に浸漬して昇温し、重合した。これにより、1次粒子が凝集した2次粒子を含むスラリーを得た。
(後架橋工程)
工程2の後、120℃の油浴を使用してフラスコを加熱し、水とn−ヘプタンとを共沸することで、n−ヘプタンを還流しながら236.8gの水を系外へ抜き出した。そして、フラスコの内容物に後架橋剤であるエチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水溶液8.10gを添加し、80℃で2時間保持した後、n−へプタンを蒸発させて乾燥した。これにより、表面が架橋した2次粒子からなる吸水性樹脂213.7gを得た。
実施例2
500mlの三角フラスコに80.5質量%のアクリル酸水溶液92gをとり、外部より冷却しながら23.7質量%の水酸化ナトリウム水溶液156.2gを滴下して90モル%の中和をした後、室温にて撹拌して完全に溶解させた。これに過硫酸カリウム0.11gおよびN,N’−メチレンビスアクリルアミド9.2mgを加えて溶解し、単量体の第1水溶液を調製した。
また、別の500mlの三角フラスコに80.5質量%のアクリル酸水溶液119.6gをとり、外部より冷却しながら23.0質量%の水酸化ナトリウム水溶液139.5gを滴下して60モル%の中和をした。これに過硫酸カリウム0.14gおよびN,N’−メチレンビスアクリルアミド12.0mgを加えて溶解し、単量体の第2水溶液を調製した。この第2水溶液は、温度を約23℃に保持した。
上述の第1水溶液および第2水溶液を用いて実施例1の工程1および工程2を同様に実施し、1次粒子(中位粒子径80μm)が凝集した2次粒子を含むスラリーを得た。また、このスラリーについて、実施例1の後架橋工程を実施した。但し、後架橋工程において、水とn−ヘプタンとの共沸により系外に抜き出した水は251.3gに、また、エチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水溶液の添加量を8.46gにそれぞれ変更した。これにより、表面が架橋した2次粒子からなる吸水性樹脂222.0gを得た。
実施例3
(第1水溶液の調製)
500mlの三角フラスコに80.5質量%のアクリル酸水溶液92gをとり、外部より冷却しながら24.8質量%の水酸化ナトリウム水溶液141.0gを滴下して85モル%の中和をした後、室温にて撹拌して完全に溶解させた。これに過硫酸カリウム0.11gおよびN,N’−メチレンビスアクリルアミド9.2mgを加えて溶解し、単量体の第1水溶液を調製した。
(第2水溶液の調製)
500mlの三角フラスコに80.5質量%のアクリル酸水溶液128.8gをとり、外部より冷却しながら22.4質量%の水酸化ナトリウム水溶液167.1gを滴下して65モル%の中和をした。これに過硫酸カリウム0.15gおよびN,N’−メチレンビスアクリルアミド12.9mgを加えて溶解し、単量体の第2水溶液を調製した。この第2水溶液は、温度を約22℃に保持した。
(工程1)
還流冷却器、滴下ロート、窒素ガス導入管および攪拌機(翼径50mmの4枚傾斜パドル翼を2段で有する攪拌翼)を備えた内径100mmの丸底円筒型セパラブルフラスコを準備した。このフラスコにn−ヘプタン500mlを仕込み、これにHLB3のショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ株式会社の商品名「リョートーシュガーエステルS−370」)0.92gおよび無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体(三井化学株式会社の商品名「ハイワックス1105A」)0.92gを添加し、80℃まで昇温して溶解した後に50℃まで冷却した。
攪拌機の回転数を500rpmに設定して第1水溶液をセパブルフラスコに添加し、フラスコ内を窒素で置換しながら35℃で30分間保持した。その後、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、重合したところ、球状の1次粒子のスラリーが得られた。このスラリーの一部から120℃の油浴を用いて水とn−ヘプタンとを共沸して水のみを系外へ抜き出し、続いてn−ヘプタンを蒸発させて乾燥することで得られた、球状の1次粒子の中位粒子径は60μmであった。
(工程2)
工程1で得られたスラリーの撹拌回転数を1000rpmに変更して22℃に冷却し、第2水溶液をスラリーに添加した。そして、フラスコ内を窒素で置換しながら30分間保持した後、フラスコを再度70℃の水浴に浸漬して昇温し、重合した。これにより、1次粒子が凝集した2次粒子を含むスラリーを得た。
(後架橋工程)
工程2の後、120℃の油浴を使用してフラスコを加熱し、水とn−ヘプタンとを共沸することで、n−ヘプタンを還流しながら257.3gの水を系外へ抜き出した。そして、フラスコの内容物に後架橋剤であるエチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水溶液8.83gを添加し、80℃で2時間保持した後、n−へプタンを蒸発させて乾燥した。これにより、表面が架橋した2次粒子からなる吸水性樹脂231.1gを得た。
実施例4
(第1水溶液の調製)
500mlの三角フラスコに80.5質量%のアクリル酸水溶液92gをとり、外部より冷却しながら23.7質量%の水酸化ナトリウム水溶液156.2gを滴下して90モル%の中和をした後、室温にて撹拌して完全に溶解させた。これに過硫酸カリウム0.11gおよびエチレングリコールジグリシジルエーテル9.2mgを加えて溶解し、単量体の第1水溶液を調製した。
(第2水溶液の調製)
500mlの三角フラスコに80.5質量%のアクリル酸水溶液128.8gをとり、外部より冷却しながら23.0質量%の水酸化ナトリウム水溶液150.2gを滴下して60モル%の中和をした。これに過硫酸カリウム0.15gおよびN,N’−メチレンビスアクリルアミド12.9mgを加えて溶解し、単量体の第2水溶液を調製した。この第2水溶液は、温度を約23℃に保持した。
(工程1)
還流冷却器、滴下ロート、窒素ガス導入管および攪拌機(翼径50mmの4枚傾斜パドル翼を2段で有する攪拌翼)を備えた内径100mmの丸底円筒型セパラブルフラスコを準備した。このフラスコにn−ヘプタン500mlを仕込み、これに無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体(三井化学株式会社の商品名「ハイワックス1105A」)0.92gを添加した。そして、これを80℃まで昇温して溶解した後、60℃まで冷却した。
撹拌機の回転数を300rpmに設定し、漏斗を用いて第1水溶液をセパラブルフラスコに一括添加した。そして、内温を40℃に設定して10分間攪拌し分散させた。続いて、界面活性剤としてHLB3のショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ株式会社の商品名「リョートーシュガーエステルS−370」)0.92gをn−ヘプタン8.5gに加温溶解することで調製した液をセパラブルフラスコに漏斗を用いて添加し、撹拌速度を500rpmに変更して第1水溶液を更に分散させた。
次に、攪拌機の回転数を450rpmに設定し、セパブルフラスコ内を窒素で置換しながら40℃で30分間保持した。その後、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、重合したところ、球状の1次粒子のスラリーが得られた。このスラリーの一部から120℃の油浴を用いて水とn−ヘプタンとを共沸して水のみを系外へ抜き出し、続いてn−ヘプタンを蒸発させて乾燥することで得られた、球状の1次粒子の中位粒子径は80μmであった。
(工程2)
工程1で得られたスラリーの撹拌回転数を1000rpmに変更して23℃に冷却し、第2水溶液をスラリーに添加した。そして、フラスコ内を窒素で置換しながら30分間保持した後、フラスコを再度70℃の水浴に浸漬して昇温し、重合した。これにより、1次粒子が凝集した2次粒子を含むスラリーを得た。
(後架橋工程)
工程2の後、120℃の油浴を使用してフラスコを加熱し、水とn−ヘプタンとを共沸することで、n−ヘプタンを還流しながら251.7gの水を系外へ抜き出した。そして、フラスコの内容物に後架橋剤であるエチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水溶液8.83gを添加し、80℃で2時間保持した後、n−へプタンを蒸発させて乾燥した。これにより、表面が架橋した2次粒子からなる吸水性樹脂230.9gを得た。
比較例1
(第1水溶液の調製)
500mlの三角フラスコに80.5質量%のアクリル酸水溶液92gをとり、外部より冷却しながら22.2質量%の水酸化ナトリウム水溶液118.6gを滴下して64モル%の中和をした後、室温にて撹拌して完全に溶解させた。これに過硫酸カリウム0.11gおよびN,N’−メチレンビスアクリルアミド9.2mgを加えて溶解し、単量体の第1水溶液を調製した。
(第2水溶液の調製)
500mlの三角フラスコに80.5質量%のアクリル酸水溶液101.2gをとり、外部より冷却しながら22.2質量%の水酸化ナトリウム水溶液130.5gを滴下して64モル%の中和をした。これに過硫酸カリウム0.12gおよびN,N’−メチレンビスアクリルアミド10.1mgを加えて溶解し、単量体の第2水溶液を調製した。この第2水溶液は、温度を約23℃に保持した。
(工程1)
還流冷却器、滴下ロート、窒素ガス導入管および攪拌機(翼径50mmの4枚傾斜パドル翼を2段で有する攪拌翼)を備えた内径100mmの丸底円筒型セパラブルフラスコを準備した。このフラスコにn−ヘプタン500mlを仕込み、これにHLB3のショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ株式会社の商品名「リョートーシュガーエステルS−370」)0.92gおよび無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体(三井化学株式会社の商品名「ハイワックス1105A」)0.92gを添加した。そして、これを80℃まで昇温して溶解した後、50℃まで冷却した。
攪拌機の回転数を450rpmに設定して第1水溶液をセパブルフラスコに添加し、フラスコ内を窒素で置換しながら35℃で30分間保持した。その後、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、重合したところ、球状の1次粒子のスラリーが得られた。このスラリーの一部から120℃の油浴を用いて水とn−ヘプタンとを共沸して水のみを系外へ抜き出し、続いてn−ヘプタンを蒸発させて乾燥することで得られた、球状の1次粒子の中位粒子径は80μmであった。
(工程2)
工程1で得られたスラリーの撹拌回転数を1000rpmに変更して23℃に冷却し、第2水溶液をスラリーに添加した。そして、フラスコ内を窒素で置換しながら30分間保持した後、フラスコを再度70℃の水浴に浸漬して昇温し、重合した。これにより、1次粒子が凝集した2次粒子を含むスラリーを得た。
(後架橋工程)
工程2の後、120℃の油浴を使用してフラスコを加熱し、水とn−ヘプタンとを共沸することで、n−ヘプタンを還流しながら212.3gの水を系外へ抜き出した。そして、フラスコの内容物に後架橋剤であるエチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水溶液7.73gを添加し、80℃で2時間保持した後、n−へプタンを蒸発させて乾燥した。これにより、表面が架橋した2次粒子からなる吸水性樹脂196.3gを得た。
比較例2
500mlの三角フラスコに80.5質量%のアクリル酸水溶液92gをとり、外部より冷却しながら21.3質量%の水酸化ナトリウム水溶液131.4gを滴下して68モル%の中和をした後、室温にて撹拌して完全に溶解させた。これに過硫酸カリウム0.11gおよびN,N’−メチレンビスアクリルアミド9.2mgを加えて溶解し、単量体の第1水溶液を調製した。
上述の第1水溶液および実施例3で用いた第2水溶液と同様にして調製した第2水溶液を用いて実施例3の工程1および工程2を同様に実施し、1次粒子(中位粒子径60μm)が凝集した2次粒子を含むスラリーを得た。また、このスラリーについて、実施例3の後架橋工程を実施した。但し、後架橋工程において、水とn−ヘプタンを共沸により系外に抜き出した水は256.9gに変更した。これにより、表面が架橋した2次粒子からなる吸水性樹脂229.8gを得た。
比較例3
500mlの三角フラスコに80.5質量%のアクリル酸水溶液92gをとり、外部より冷却しながら26.6質量%の水酸化ナトリウム水溶液146.9gを滴下して95モル%の中和をした後、室温にて撹拌して完全に溶解させた。これに過硫酸カリウム0.11gおよびN,N’−メチレンビスアクリルアミド9.2mgを加えて溶解し、単量体の第1水溶液を調製した。
また、別の500mlの三角フラスコに80.5質量%のアクリル酸水溶液101.2gをとり、外部より冷却しながら26.6質量%の水酸化ナトリウム水溶液161.6gを滴下して95モル%の中和をした。これに過硫酸カリウム0.12gおよびN,N’−メチレンビスアクリルアミド10.1mgを加えて溶解し、単量体の第2水溶液を調製した。この第2水溶液は、温度を約23℃に保持した。
上述の第1水溶液および第2水溶液を用いて比較例1の工程1および工程2を同様に実施し、1次粒子(中位粒子径80μm)が凝集した2次粒子を含むスラリーを得た。また、このスラリーについて、比較例1の後架橋工程を実施した。但し、後架橋工程において、水とn−ヘプタンとの共沸により系外に抜き出した水は254.0gに、また、エチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水溶液の添加量を7.73gにそれぞれ変更した。これにより、表面が架橋した2次粒子からなる吸水性樹脂212.1gを得た。
比較例4
比較例1で用いたものと同様の第1水溶液を調製した。また、また、別の500mlの三角フラスコに80.5質量%のアクリル酸水溶液128.8gをとり、外部より冷却しながら26.6質量%の水酸化ナトリウム水溶液205.7gを滴下して95モル%の中和をした。これに過硫酸カリウム0.15gおよびN,N’−メチレンビスアクリルアミド12.9mgを加えて溶解し、単量体の第2水溶液を調製した。この第2水溶液は、温度を約23℃に保持した。
上述の第1水溶液および第2水溶液を用いて比較例1の工程1および工程2を同様に実施し、1次粒子(中位粒子径80μm)が凝集した2次粒子を含むスラリーを得た。また、このスラリーについて、比較例1の後架橋工程を実施した。但し、後架橋工程において、水とn−ヘプタンとの共沸により系外に抜き出した水は269.7gに、また、エチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水溶液の添加量を8.83gにそれぞれ変更した。これにより、表面が架橋した2次粒子からなる吸水性樹脂232.5gを得た。
評価
各実施例および各比較例で得られた吸水性樹脂について、中位粒子径、粒子径分布の均一度、水分率、生理食塩水吸水能、荷重下吸水能、残存分散媒量(吸水性樹脂粒子内部に残存する石油系炭化水素分散媒の量)およびゲルpHを測定し、また、初期臭気および経時的臭気を評価した。測定方法および評価方法は次のとおりである。結果を表2に示す。
(1)中位粒子径
次の二種類の組み合わせの篩を用意した。
(A)JIS標準篩を上から、目開き425μmの篩、目開き250μmの篩、目開き180μmの篩、目開き150μmの篩、目開き106μmの篩、目開き75μmの篩、目開き45μmの篩および受け皿の順に組み合わせたもの。
(B)JIS標準篩を上から、目開き850μmの篩、目開き600μmの篩、目開き500μmの篩、目開き425μmの篩、目開き300μmの篩、目開き250μmの篩、目開き150μmの篩および受け皿の順に組み合わせたもの。
吸水性樹脂50gをJIS標準篩の目開き250μmの篩を用いて通過させ、吸水性樹脂の50質量%以上が通過する場合には上記(A)の組み合わせの篩を用い、また、吸水性樹脂の50質量%以上が篩上に残る場合には上記(B)の組み合わせの篩を用い、次の要領で中位粒子径を測定した。
組み合わせた最上の篩に、吸水性樹脂約50gを入れ、ロータップ式振とう器を用いて20分間振とうさせて分級した。分級後、各篩上に残った吸水性樹脂の質量を全量に対する質量百分率として計算し、粒子径の大きい方から順に積算することにより、篩の目開きと篩上に残った吸水性樹脂の質量百分率の積算値との関係を対数確率紙にプロットした。そして、確率紙上のプロットを直線で結ぶことにより、積算質量百分率50質量%に相当する粒子径を中位粒子径とした。
(2)粒子径分布の均一度
中位粒子径の測定において、積算質量百分率が15.9質量%に相当する粒子径(X1)と、同百分率が84.1質量%に相当する粒子径(X2)とを求め、下記式により粒子径分布の均一度を求めた。この均一度は、粒子径分布が狭い場合に1に近づき、粒子径分布が広くなれば1より大きくなる。
均一度=X1/X2
(3)水分率
吸水性樹脂約2.5gをアルミカップに精秤し(測定質量:Wd)、105℃の熱風乾燥機を用いて2時間乾燥後に再度吸水性樹脂の質量(We)を測定して、下記式により水分率を算出した。なお、アルミカップの乾燥前後の風袋質量は一定とした。
水分率(%)=(Wd−We)÷Wd×100
(4)生理食塩水吸水能
長さ3cmの回転子入り500mlビーカーに0.9質量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)500gを入れ、これをマグネチックスターラーで撹拌しながら、精秤した吸水性樹脂2.0g(Wa)をママコにならないように加えた。そして、撹拌速度600rpmで1時間撹拌した後、生成したゲルを含む水溶液を直径20cmで目開き106μmのJIS標準篩で濾過した。篩上に残ったゲルの余剰水をフッ素樹脂の板でおおよそ水切りした後、篩を傾けて30分放置し、更に水切りをした。篩上に残ったゲルの重さ(Wb)を量り、下記式により生理食塩水吸水能を算出した。
生理食塩水吸水能(g/g)=Wb÷Wa
(5)荷重下吸水能
図1に概略を示した測定装置100を用いて測定した。図において、測定装置100は、ビュレット部1、導管2、測定台3、測定台3上に置かれた測定部4を備えている。ビュレット部1はビュレット10を有している。このビュレット10は、上部がゴム栓14で閉鎖可能であり、下部に空気導入管11とコック12とが連結されている。空気導入管11は、先端にコック13を有している。導管2は、内径が6mmであり、ビュレット部1のコック12と測定台3とを連結している。測定台3は、上下に高さ調整可能なものであって、中央部に直径2mmの穴(導管口)が設けられており、そこに導管2の一端が連結されている。測定部4は、プレキシグラス製の円筒40、この円筒40の底部に接着されたポリアミドメッシュ41および円筒40内で上下に移動可能な重り42を有している。円筒40は、測定台3上に配置可能であり、内径は20mmである。ポリアミドメッシュ41の目開きは、75μm(200メッシュ)である。重り42は、直径19mm、質量119.6gであり、後記するようにポリアミドメッシュ41上に均一に散布した吸水性樹脂5に対して4.14kPaの荷重を加えるためのものである。
この測定装置100による荷重下吸水能の測定は、25℃の室内で行なった。具体的な測定手順は、先ず、ビュレット部1のコック12およびコック13を閉め、25℃に調節された0.9質量%食塩水(生理食塩水)をビュレット10上部から入れた。次に、ゴム栓14でビュレット10の上部に栓をした後、コック12およびコック13を開け、導管2を通じて測定台3の導管口から出てくる生理食塩水の水面と測定台3の上面とが同じ高さになるように測定台3を高さ調整した。一方、測定部4では、円筒40内のポリアミドメッシュ41上に0.10gの吸水性樹脂5を均一に撒布し、この吸水性樹脂5上に重り42を配置した。そして、円筒40を、その軸線が測定台3の導管口と一致するよう測定台3上に配置した。
吸水性樹脂5が導管2からの生理食塩水を吸水し始めた時から60分後のビュレット10内の生理食塩水の減少量(すなわち、吸水性樹脂5が吸水した生理食塩水量)Wc(ml)を読み取り、以下の式により吸水性樹脂5の荷重下吸水能を算出した。
荷重下吸水能(ml/g)=Wc(ml)/0.10(g)
(6)残存分散媒量
吸水性樹脂に残存する石油系炭化水素分散媒の量をヘッドスペース・ガスクロマトグラフを用い、次の要領で測定した。
(a)検量線の作成
50mlスクリューバイアルに測定対象の吸水性樹脂を製造する際に用いた石油系炭化水素分散媒(以下、「分散媒」という場合がある。)を0.1g精秤し、そこにDMF(ジメチルホルムアミド)を加えて全量が40gになるよう調整し、その全量を精秤した後にスターラチップで撹拌して標準試料液とした。そして、20ml容の四つのバイアル瓶(マルエム株式会社社製、No.5)のそれぞれに標準試料液の0.01g、0.04g、0.2gおよび0.5gを精秤し、それぞれにDMFを加えて各バイアル瓶の内容量を0.75gとした。更に各バイアル瓶に蒸留水0.75gを加え、セプタムゴムおよびアルミキャップで栓をして締め付けた。
各バイアル瓶を110℃で2時間加熱し、その気相部を1ml採取してガスクロマトグラフに注入し、クロマトグラムを得た。各バイアル瓶における分散媒の仕込量(すなわち、標準試料液の仕込量)と、そのクロマトグラムのピーク面積とに基づいて検量線を作成した。なお、分散媒として石油系炭化水素分散媒の混合物を用いた場合、複数のピークが表れるため、その面積の総和値と仕込量とに基づいて検量線を作成した。
(b)吸水性樹脂の残存分散媒量の測定
測定対象の吸水性樹脂の約2gをアルミカップに入れ、105℃の熱風乾燥機にて2時間乾燥させ、含有する水分量を調整した。20ml容のバイアル瓶(マルエム株式会社製、No.5)に水分量を調整した吸水性樹脂を0.10g精秤し、これにDMFを0.75g加え、更に蒸留水0.75gを加えて瓶を振り軽く撹拌した後、セプタムゴムおよびアルミキャップで栓をして締め付けた。ここでは、DMF存在下で蒸留水を加えることで、吸水性樹脂をゆっくりと均一に膨潤させ、吸水性樹脂に内包された分散媒を抽出した。そして、バイアル瓶を110℃で2時間加熱し、その気相部を1ml採取してガスクロマトグラフに注入し、クロマトグラムを得た。
得られたクロマトグラムのピーク面積を基に、先に作成した検量線から吸水性樹脂0.10gに含まれる分散媒量を算出し、この数値をサンプル1gあたりに含まれる分散媒量(ppm)に換算した。
なお、この測定において、ガスクロマトグラフの条件は下記のように設定した。
機種:株式会社島津製作所製 GC−14A+HSS2B(ヘッドスペースオートサンプラ)
充填剤:Squalane 25% Shimalite(NAW)(101) 80−100mesh
カラム:3.2mmφ×2m
カラム温度:80℃
注入口温度:180℃
検出器温度:180℃
検出器:FID
ガスキャリア:窒素
バイアル瓶加熱温度:110℃
シリンジ設定温度:110℃
(7)ゲルpH
100mL容のビーカーに生理食塩水49.0gを量り取り、マグネチックスターラーバー(8mmφ×30mmのリング無し)を投入してマグネチックスターラーの上に配置した。そして、マグネチックスターラーバーが600rpmで回転するように調整し、これに吸水性樹脂1.0gを投入して回転渦が消えて液面が水平になるまで攪拌を続け、測定試料となる膨潤ゲルを調製した。
フラット型pH複合電極(株式会社堀場製作所の商品名「6261−10C」)を取り付けたpH測定機(株式会社堀場製作所の商品名「F−24II」)をpH4、7および9の標準液で校正しておき、膨潤後に10分間放置した膨潤ゲルの表面にpH複合電極の先端を軽く接触させ、ゲルpHを測定した。
(8)初期臭気試験
蒸留水1Lに尿素25g、塩化ナトリウム9g、硫酸マグネシウム(7水和物)0.6g、乳酸カルシウム0.7g、硫酸カリウム4gおよび硫酸アンモニウム2.5gを溶解して混合し、人工尿を調製した。また、ウレアーゼ(MERCK社製のタチナタ豆由来50%グリセリン溶液1000U/ml)を蒸留水で1000倍に希釈し、ウレアーゼ液を調製した。
吸水性樹脂の膨潤時の分散媒に由来する臭気を次の方法により比較した。容量140mLの蓋付ガラス瓶(マヨネーズ瓶)に、35℃の人工尿20.0gとウレアーゼ液0.6gとを加え、長さ3cmの回転子を入れて攪拌した。そして、吸水性樹脂4.0gを蓋付ガラス瓶に添加して密閉し、10分経過後に蓋付ガラス瓶中における分散媒に由来の臭気を評価した。ここでは、表1に示す「6段階臭気強度表示法」に準じて5人のパネラーが臭気を判定し、その平均値を初期臭気とした。
Figure 0006050685
(9)経時的臭気試験
(8)初期臭気試験において初期臭気を評価した、吸水性樹脂を添加した蓋付ガラス瓶を続けて35℃の恒温器内に保管した。そして、8時間経過後に蓋付ガラス瓶中の臭気を評価した。ここでは、初期臭気試験と同じく、表1に示す「6段階臭気強度表示法」に準じて5人のパネラーが判定し、その平均値を経時的臭気とした。
Figure 0006050685
表2によると、実施例1〜4において得られた吸水性樹脂は、製造時に使用した分散媒の残存量が非常に少ないことから分散媒の影響による初期臭気が低減されており、アンモニアに代表される経時的な臭気の発生も効果的に抑制されていることがわかる。
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施の形態若しくは実施例はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、請求の範囲によって示すものであって、明細書本文にはなんら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、すべて本発明の範囲内のものである。

Claims (6)

  1. 逆相懸濁重合法による吸水性樹脂の製造方法であって、
    高分子系分散剤を含む石油系炭化水素分散媒中において分子内に酸基を有する水溶性エチレン性不飽和単量体の部分中和物Aを含む第1水溶液を分散させ、それにより得られた分散液に界面活性剤をさらに加えて重合し、重合体の1次粒子を含むスラリーを得る工程1と、
    工程1で得られたスラリーに対して分子内に酸基を有する水溶性エチレン性不飽和単量体の部分中和物Bを含む第2水溶液を添加して重合し、前記1次粒子が凝集したスラリーを得る工程2とを含み、
    分子内に酸基を有する前記水溶性エチレン性不飽和単量体は、アクリル酸およびメタクリル酸のうちの少なくとも一つであり、
    部分中和物Aのモル中和度Xを65〜94%に設定し、かつ、部分中和物Bのモル中和度Yを56〜89%に設定するとともに、モル中和度Xをモル中和度Yよりも大きく設定し、かつ、モル中和度Xとモル中和度Yとの差を5%以上に設定する、
    吸水性樹脂の製造方法。
  2. 工程2において、第2水溶液の添加と重合とを繰り返す、請求項1に記載の吸水性樹脂の製造方法。
  3. 前記界面活性剤が、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルおよびソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも一種である、請求項1または2に記載の吸水性樹脂の製造方法。
  4. 前記高分子系分散剤が、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン共重合体、無水マレイン酸・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン・プロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、酸化型ポリエチレン、酸化型ポリプロピレンおよび酸化型エチレン・プロピレン共重合体からなる群より選ばれた少なくとも一種である、請求項1から3のいずれかに記載の吸水性樹脂の製造方法。
  5. 工程2により得られた吸水性樹脂を後架橋剤を用いて後架橋する工程3をさらに含む、請求項1からのいずれかに記載の吸水性樹脂の製造方法。
  6. 前記後架橋剤がエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールトリグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ポリグリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ポリグリセリントリグリシジルエーテル、プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテルおよびポリグリセロールポリグリシジルエーテルからなる群より選ばれた少なくとも一種である、請求項に記載の吸水性樹脂の製造方法。
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