JP6049339B2 - 車両用空調装置 - Google Patents

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本発明は、車両に搭載される車両用空調装置に関するものである。
従来から、例えば、ハイブリッド車や電気自動車等に搭載される空調装置として、ヒートポンプ装置を備えた空調装置が知られている。これら車両用のヒートポンプ装置は、電動コンプレッサと、車室外に配設される車室外熱交換器と、膨張弁と、車室内に配設される車室内熱交換器とを冷媒配管によって順に接続して構成されている。
例えば、特許文献1の車両用空調装置は、車室内熱交換器として、空気流れ方向上流側に配設される上流側車室内熱交換器と、下流側に配設される下流側車室内熱交換器とを備えている。下流側車室内熱交換器は、暖房運転モード及び冷房運転モードの両モードで放熱器として作用する。また、上流側車室内熱交換器は、暖房運転モード及び冷房運転モードの両モードで吸熱器として作用する。
また、例えば特許文献2に開示されているように、暖房運転モードで上流側車室内熱交換器も放熱器として作用させる構成も知られている。すなわち、コンプレッサから吐出した冷媒を下流側車室内熱交換器に流した後、上流側車室内熱交換器に流すように冷媒配管を接続する。これにより、上流側車室内熱交換器によって加熱した空気を下流側車室内熱交換器で再加熱することができるので、暖房能力を向上させることが可能になるという利点がある。一方、冷房運転モードでは、減圧後の冷媒を上流側車室内熱交換器に供給することによって上流側車室内熱交換器を吸熱器として作用させるようにしているので、冷房も行うことができる。
特開平9−240266号公報 特開2011−255735号公報
ところで、例えば、冬季のように外気温度が低く、かつ、長時間放置されてヒートポンプ装置の高圧側の冷媒が外気温度近傍となるまで冷えている状況で車両の暖房を開始する場合がある。
しかしながら、そのような状況で暖房運転を開始すると、車室内熱交換器に送風される空気温度が低い状態であるため、コンプレッサから吐出された冷媒が車室内熱交換器を流通する間に空気と熱交換して温度低下してしまい、その温度低下した冷媒が再びコンプレッサに吸入されることになる。その結果、暖房立ち上げ時に冷媒の圧力及び温度が上昇しにくく、暖房の立ち上がりが遅くなって車室に温風を供給するまでに要する時間が長時間化してしまい、乗員の快適性が損なわれるという問題がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ヒートポンプ装置の暖房の立ち上がりを速くして乗員の快適性を向上させることにある。
上記目的を達成するために、本発明では、暖房立ち上げ時には、放熱器となる車室内熱交換器への送風量を低下させるようにした。
第1の発明は、冷媒を圧縮する圧縮機と、車室内に配設される第1車室内熱交換器及び第2車室内熱交換器と、車室外に配設される車室外熱交換器とを含むヒートポンプ装置と、
上記第1車室内熱交換器及び第2車室内熱交換器を収容するとともに、該第1車室内熱交換器及び第2車室内熱交換器に空調用空気を送風する送風機を有し、調和空気を生成して車室に供給するように構成された車室内空調ユニットと、
上記ヒートポンプ装置及び上記車室内空調ユニットを制御する空調制御装置とを備えた車両用空調装置であって、
上記車室内空調ユニットは、上記第1車室内熱交換器への送風量を変更するエアミックスドアを備え、該エアミックスドアは上記空調制御装置により制御され、
上記ヒートポンプ装置は、上記空調制御装置により、上記第1車室内熱交換器及び上記第2車室内熱交換器を放熱器とし、上記車室外熱交換器を吸熱器として作用させる暖房運転モードとされるように構成されるとともに、暖房開始時から暖房開始後所定時間経過するまでは、上記第1車室内熱交換器及び上記第2車室内熱交換器を放熱器とし、上記車室外熱交換器を吸熱器とし、
上記空調制御装置は、暖房開始時には、暖房開始後所定時間経過した場合に比べて上記第1車室内熱交換器への送風量が少なくなるように、上記エアミックスドアを制御する暖房立ち上げ制御を行うように構成されていることを特徴とするものある。
この構成によれば、暖房開始時には第1車室内熱交換器への送風量が少なくなるので、圧縮機から吐出した冷媒が第1及び第2車室内熱交換器を流通する際に外部空気と熱交換する量を、第1及び第2車室内熱交換器の両方に多くの外部空気を送風する場合に比べて低減することが可能になる。したがって、冷媒の温度低下が抑制されるので、ヒートポンプ装置の高圧側の冷媒圧力及び温度の上昇が速くなり、暖房の立ち上がりが速くなる。
また、暖房運転モードでは、第1及び第2車室内熱交換器の両方を放熱器としているので、高い暖房能力が得られる。
の発明は、冷媒を圧縮する圧縮機と、車室内に配設される第1車室内熱交換器及び第2車室内熱交換器と、車室外に配設される車室外熱交換器とを含むヒートポンプ装置と、
上記第1車室内熱交換器及び第2車室内熱交換器を収容するとともに、該第1車室内熱交換器及び第2車室内熱交換器に空調用空気を送風する送風機を有し、調和空気を生成して車室に供給するように構成された車室内空調ユニットと、
上記ヒートポンプ装置及び上記車室内空調ユニットを制御する空調制御装置とを備えた車両用空調装置であって、
上記車室内空調ユニットは、上記第1車室内熱交換器への送風量を変更するエアミックスドアを備え、該エアミックスドアは上記空調制御装置により制御され、
上記ヒートポンプ装置は、上記空調制御装置により、上記第1車室内熱交換器及び上記第2車室内熱交換器を放熱器とし、上記車室外熱交換器を吸熱器として作用させる暖房運転モードとされるように構成されるとともに、暖房開始時から暖房開始後所定時間経過するまでは、上記第1車室内熱交換器及び上記第2車室内熱交換器を放熱器とし、上記車室外熱交換器を吸熱器とし、
上記空調制御装置は、上記ヒートポンプ装置の高圧側の冷媒温度が所定の低温度以下であるか否かを推定し、所定の低温度以下であると推定される場合には、所定の低温度よりも高いと推定される場合に比べて上記第1車室内熱交換器への送風量が少なくなるように、上記エアミックスドアを制御する暖房立ち上げ制御を行うように構成されていることを特徴とするものである。
この構成によれば、ヒートポンプ装置の高圧側の冷媒温度が所定の低温度以下であると推定される場合には、上記第1車室内熱交換器への送風量が少なくなる。よって、圧縮機から吐出した冷媒が第1及び第2車室内熱交換器を流通する際に外部空気と熱交換する量を、第1及び第2車室内熱交換器の両方に多くの外部空気を送風する場合に比べて低減することが可能になる。したがって、冷媒の温度低下が抑制されるので、ヒートポンプ装置の高圧側の冷媒圧力及び温度の上昇が速くなり、暖房の立ち上がりが速くなる。
また、暖房運転モードでは、第1及び第2車室内熱交換器の両方を放熱器としているので、高い暖房能力が得られる。
の発明は、第1または2の発明において、車室外の気温を検出する外気温度センサを備え、
上記空調制御装置は、上記外気温度センサにより検出された車室外の気温に基づいて、車室外の気温が所定温度よりも低い場合には、上記ヒートポンプ装置の高圧側の冷媒温度が所定の低温度以下であると推定するように構成されていることを特徴とするものである。
すなわち、車室外の気温とヒートポンプ装置の高圧側の冷媒温度とは関連しており、車室外の気温が低ければヒートポンプ装置の高圧側の冷媒温度も低くなる。従って、車室外の気温を検出してヒートポンプ装置の高圧側の冷媒温度を推定することで、推定結果が正確なものとなる。
の発明は、第1または2の発明において、
冷媒温度を検出する冷媒温度センサを備え、
上記空調制御装置は、暖房立ち上げ制御後に、上記冷媒温度センサで検出された冷媒温度が所定温度よりも高くなったと判定した場合に、上記ヒートポンプ装置及び上記車室内空調ユニットを通常暖房制御に切り替えるように構成されていることを特徴とするものである。
この構成によれば、実際の冷媒温度を検出し、それに基づいて通常暖房に切り替えるようにしたので、暖房の立ち上げを終えた適切なタイミングで通常暖房を行えるようになる。
の発明は、第1または2つの発明において、
冷媒圧力を検出する冷媒圧力検出センサを備え、
上記空調制御装置は、暖房立ち上げ制御後に、上記冷媒圧力検出センサで検出された冷媒圧力が所定圧力よりも高くなったと判定した場合に、上記ヒートポンプ装置及び上記車室内空調ユニットを通常暖房制御に切り替えるように構成されていることを特徴とするものである。
この構成によれば、実際の冷媒温度を圧力し、それに基づいて通常暖房に切り替えるようにしたので、暖房の立ち上げを終えた適切なタイミングで通常暖房を行えるようになる。
の発明は、第1または2の発明において、
車室内熱交換器を通過した後の空気温度を検出する空気温度センサを備え、
上記空調制御装置は、暖房立ち上げ制御後に、上記空気温度センサで検出された空気温度が所定温度よりも高くなったと判定した場合に、上記ヒートポンプ装置及び上記車室内空調ユニットを通常暖房制御に切り替えるように構成されていることを特徴とするものである。
この構成によれば、車室内熱交換器を通過した後の空気温度を検出することで、冷媒温度が上昇しているか否かを的確に推定することが可能になる。そして、車室内熱交換器を通過した後の空気温度に基づいて通常暖房に切り替えるようにしたので、暖房の立ち上げを終えた適切なタイミングで通常暖房を行えるようになる。
の発明は、第1または2の発明において、
上記空調制御装置は、暖房立ち上げ制御を開始してから所定時間経過後に、上記ヒートポンプ装置及び上記車室内空調ユニットを通常暖房制御に切り替えるように構成されていることを特徴とするものである。
この構成によれば、暖房立ち上げ制御を開始してから経過した時間に基づいて通常暖房に切り替えるようにしたので、シンプルな制御としながら、適切なタイミングで通常暖房を行えるようになる。
の発明は、第の発明において、
上記空調制御装置は、暖房立ち上げ制御を開始してから通常暖房制御に切り替える間の時間を、車室外の気温に応じて変化させるように構成されていることを特徴とするものである。
例えば、極寒期のように外気温度が低い場合には、暖房の立ち上げに要する時間が長時間化することが考えられる。この場合には、暖房立ち上げ制御を開始してから通常暖房運転に切り替える間の時間を長くすることで、適切なタイミングで通常暖房を行えるようになる。
の発明は、第の発明において、
上記空調制御装置は、暖房立ち上げ制御を開始してから通常暖房制御に切り替える間の時間を、高圧側の冷媒圧力に応じて変化させるように構成されていることを特徴とするものである。
すなわち、暖房の立ち上げに要する時間が長時間化する場合には、暖房立ち上げ制御を開始してから通常暖房運転に切り替える間の時間を冷媒圧力に応じて長くすることで、適切なタイミングで通常暖房を行えるようになる。
第1の発明によれば、暖房開始時に第1車室内熱交換器への送風量を低減することができるので、暖房の立ち上がりを速くすることができ、よって、乗員の快適性を向上させることができる。また、暖房運転モード時には、第1及び第2車室内熱交換器の両方を放熱器として作用させることで高い暖房能力を得ることができ、このことによっても乗員の快適性を向上させることができる。
の発明によれば、ヒートポンプ装置の高圧側の冷媒温度が所定の低温度以下と推定される場合に、第1車室内熱交換器への送風量を低減することができるので、暖房の立ち上がりを速くすることができ、よって、乗員の快適性を向上させることができる。また、暖房運転モード時には、第1及び第2車室内熱交換器の両方を放熱器として作用させることで高い暖房能力を得ることができ、このことによっても乗員の快適性を向上させることができる。
の発明によれば、車室外の気温に基づいてヒートポンプ装置の高圧側の冷媒温度を推定するようにしたので、正確な推定結果を得ることができ、これにより適切な制御を行うことができる。
の発明によれば、冷媒温度を検出し、その冷媒温度に基づいて暖房立ち上げ制御から通常暖房制御に切り替えるようにしているので、適切なタイミングで通常暖房を行うことができ、乗員の快適性をより一層向上させることができる。
の発明によれば、冷媒圧力を検出し、その冷媒圧力に基づいて暖房立ち上げ制御から通常暖房制御に切り替えるようにしているので、適切なタイミングで通常暖房を行うことができ、乗員の快適性をより一層向上させることができる。
の発明によれば、車室内熱交換器を通過した後の空気温度を検出し、その空気温度に基づいて暖房立ち上げ制御から通常暖房制御に切り替えるようにしているので、適切なタイミングで通常暖房を行うことができ、乗員の快適性をより一層向上させることができる。
の発明によれば、暖房立ち上げ制御を開始してから所定時間経過後に通常暖房制御に切り替えるようにしたので、シンプルな制御としながら、適切なタイミングで通常暖房を行うことができ、乗員の快適性をより一層向上させることができる。
の発明によれば、暖房立ち上げ制御を開始してから通常暖房制御に切り替える間の時間を外気温度に応じて変化させるようにしたので、外気温度に応じた適切なタイミングで通常暖房を行うことができ、乗員の快適性をより一層向上させることができる。
の発明によれば、暖房立ち上げ制御を開始してから通常暖房制御に切り替える間の時間を高圧側の冷媒圧力に応じて変化させるようにしたので、適切なタイミングで通常暖房を行うことができ、乗員の快適性をより一層向上させることができる。
実施形態1にかかる車両用空調装置の概略構成図である。 車両用空調装置のブロック図である。 下流側車室内熱交換器を空気流れ方向上流側から見た斜視図である。 車室外熱交換器の正面図である。 暖房立ち上げ運転モードにある場合の図1相当図である。 暖房運転モードにある場合の図1相当図である。 冷房運転モードにある場合の図1相当図である。 除霜運転モードにある場合の図1相当図である。 空調制御装置による制御手順を示すフローチャートである。 実施形態1にかかる暖房サブルーチン制御手順を示すフローチャートである。 実施形態2にかかる暖房サブルーチン制御手順を示すフローチャートである。 実施形態3にかかる暖房サブルーチン制御手順を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1にかかる車両用空調装置1の概略構成図である。車両用空調装置1が搭載された車両は、走行用蓄電池及び走行用モーターを備えた電気自動車である。
車両用空調装置1は、ヒートポンプ装置20と、車室内空調ユニット21と、ヒートポンプ装置20及び車室内空調ユニット21を制御する空調制御装置22(図2に示す)とを備えている。
ヒートポンプ装置20は、冷媒を圧縮する電動コンプレッサ30と、車室内に配設される下流側車室内熱交換器(第1車室内熱交換器)31と、車室内において下流側車室内熱交換器31の空気流れ方向上流側に配設される上流側車室内熱交換器(第2車室内熱交換器)32と、車室外に配設される車室外熱交換器33と、アキュムレータ34と、これら機器30〜34を接続する第1〜第4主冷媒配管40〜43と、第1〜第3分岐冷媒配管44〜46とを備えている。
電動コンプレッサ30は、従来から周知の車載用のものであり、電動モーターによって駆動される。電動コンプレッサ30の回転数を変更することによって単位時間当たりの吐出量を変化させることができる。電動コンプレッサ30は、空調制御装置22に接続されてON及びOFFの切り替えと、回転数が制御されるようになっている。電動コンプレッサ30には、走行用蓄電池から電力が供給される。
下流側車室内熱交換器31は、図3に示すように、上側ヘッダタンク47と、下側ヘッダタンク48と、コア49とを備えている。コア49は、上下方向に延びるチューブ49aとフィン49bとを交互に左右方向(図3の左右方向)に配列して一体化したものであり、空調用空気がチューブ49a間を通過するようになっている。空調用空気の流れ方向を白抜きの矢印で示している。チューブ49aは、空気流れ方向に2列並んでいる。
空気流れ上流側のチューブ49a及び下流側のチューブ49aの上端部は、上側ヘッダタンク47に接続されて連通している。上側ヘッダタンク47の内部には、該上側ヘッダタンク47を空気流れ方向上流側と下流側とに仕切る第1仕切部47aが設けられている。第1仕切部47aよりも空気流れ方向上流側の空間が上流側のチューブ49aの上端に連通し、第1仕切部47aよりも空気流れ方向下流側の空間が下流側のチューブ49aの上端に連通している。
また、上側ヘッダタンク47の内部には、該上側ヘッダタンク47を左右方向に仕切る第2仕切部47bが設けられている。第1仕切部47aにおける第2仕切部47bよりも右側には、連通孔47eが形成されている。
上側ヘッダタンク47の左側面の空気流れ下流側には冷媒の流入口47cが形成され、また、上流側には冷媒の流出口47dが形成されている。
下側ヘッダタンク48の内部には、上側ヘッダタンク47の第1仕切部47aと同様に、空気流れ方向上流側と下流側とに仕切る仕切部48aが設けられている。仕切部48aよりも空気流れ方向上流側の空間が上流側のチューブ49aの下端に連通し、仕切部48aよりも空気流れ方向下流側の空間が下流側のチューブ49aの下端に連通している。
この下流側車室内熱交換器31は、上記のように構成したことで合計4つのパスを有している。すなわち、流入口47cから流入した冷媒は、まず、上側ヘッダタンク47の第1仕切部47aよりも空気流れ方向下流側で、かつ、第2仕切部47bよりも左側の空間R1に流入し、空間R1に連通するチューブ49a内を下へ向かって流れる。
その後、下側ヘッダタンク48の仕切部48aよりも空気流れ方向下流側の空間S1に流入して右側へ流れてチューブ49a内を上へ向かって流れた後、上側ヘッダタンク47の第1仕切部47aよりも空気流れ方向下流側で、かつ、第2仕切部47bよりも右側の空間R2に流入する。
次いで、空間R2内の冷媒は第1仕切部47aの連通孔47eを通り、上側ヘッダタンク47の第1仕切部47aよりも空気流れ方向上流側で、かつ、第2仕切部47bよりも右側の空間R3に流入し、空間R3に連通するチューブ49a内を下へ向かって流れる。
しかる後、下側ヘッダタンク48の仕切部48aよりも空気流れ方向上流側の空間S2に流入して左側へ流れてチューブ49a内を上へ向かって流れた後、上側ヘッダタンク47の第1仕切部47aよりも空気流れ方向上流側で、かつ、第2仕切部47bよりも左側の空間R4に流入し、流出口47dから外部へ流出する。
上流側車室内熱交換器32は、大きさが下流側車室内熱交換器31よりも大きいだけであり、下流側車室内熱交換器31と同様な構造を有しているので詳細な説明は省略する。
車室外熱交換器33は、車両の前部に設けられたモータルーム(エンジン駆動車両におけるエンジンルームに相当)において該モータルームの前端近傍に配設され、走行風が当たるようになっている。車室外熱交換器33は、図4に示すように、上側ヘッダタンク57と、下側ヘッダタンク58と、コア59とを備えている。コア59は、上下方向に延びるチューブ59aとフィン59bとを交互に左右方向に配列して一体化したものであり、空調用空気がチューブ59a間を通過するようになっている。
チューブ59aの上端部は上側ヘッダタンク57に接続されて連通している。また、チューブ59aの下端部は下側ヘッダタンク58に接続されて連通している。
下側ヘッダタンク58の内部には、該下側ヘッダタンク58の内部を左右方向に仕切る仕切部58aが設けられている。下側ヘッダタンク58の左側には冷媒が流入する流入管58bが設けられ、右側には冷媒が流出する流出管58cが設けられている。
従って、この車室外熱交換器33では、流入管58bから流入した冷媒は、下側ヘッダタンク58の仕切部58aよりも左側の空間T1に流入した後、該空間T1に連通するチューブ59aを上へ向かって流れた後、上側ヘッダタンク57に流入して右側へ流れてから、チューブ59aを下へ向かって流れる。その後、下側ヘッダタンク58の仕切部58aよりも右側の空間T2に流入した後、流出管58cから外部へ流出する。
図1に示すように、車両にはクーリングファン37が設けられている。このクーリングファン37は、ファンモーター38によって駆動され、車室外熱交換器33に空気を送風するように構成されている。ファンモーター38は、空調制御装置22に接続されてON及びOFFの切り替えと、回転数が制御されるようになっている。ファンモーター38にも走行用蓄電池から電力が供給される。
尚、クーリングファン37は、例えば走行用インバーター等を冷却するためのラジエータに空気を送風することもできるものであり、空調の要求時以外にも作動させることが可能である。
第1主冷媒配管40は、電動コンプレッサ30の吐出口と下流側車室内熱交換器31の冷媒流入口とを接続するものである。また、第2主冷媒配管41は、下流側車室内熱交換器31の冷媒流出口と車室外熱交換器33の冷媒流入口とを接続するものである。第3主冷媒配管42は、車室外熱交換器33の冷媒流出口と上流側車室内熱交換器32の冷媒流入口とを接続するものである。第4主冷媒配管43は、上流側車室内熱交換器32の冷媒流出口と電動コンプレッサ30の吸入口とを接続するものである。
また、第1分岐冷媒配管44は、第2主冷媒配管41から分岐しており、第3主冷媒配管42に接続されている。第2分岐冷媒配管45は、第2主冷媒配管41から分岐しており、第4主冷媒配管43に接続されている。第3分岐冷媒配管46は、第3主冷媒配管42から分岐しており、第4主冷媒配管43に接続されている。
アキュムレータ34は、第4主冷媒配管43の中途部において電動コンプレッサ30の吸入口近傍に配設されている。
また、ヒートポンプ装置20は、高圧側流路切替装置50、低圧側流路切替装置51、第1膨張弁52、第2膨張弁53、第1逆止弁54及び第2逆止弁55を備えている。
高圧側流路切替装置50は、本発明の流路切替装置を構成するものであり、空調制御装置22によって制御される電動タイプの三方弁である。高圧側流路切替装置50の配設位置は、第2主冷媒配管41の中途部であり、第1分岐冷媒配管44が接続されている。
高圧側流路切替装置50には、図示しないが切替弁が内蔵されている。この切替弁を作動させることにより、冷媒の流れを変えたり、各配管への冷媒流入量を変更することができるようになっている。
低圧側流路切替装置51も上記高圧側流路切替装置50と同様な電動タイプの三方弁で構成されており、空調制御装置22によって制御される。低圧側流路切替装置51は、第4主冷媒配管43の中途部に設けられており、第3分岐冷媒配管46が接続されている。
第1膨張弁52及び第2膨張弁53は、電動タイプのものであり、流路を絞って冷媒を膨張させる膨張状態と、流路を開放して冷媒を膨張させずに流す非膨張状態とに切り替えられるようになっている。第1膨張弁52及び第2膨張弁53は空調制御装置22によって制御される。膨張状態では、空調負荷の状態に応じて開度が設定される。
第1膨張弁52は、第2主冷媒配管41の高圧側流路切替装置50よりも車室外熱交換器33側に配設されている。第2膨張弁53は、第3主冷媒配管42の第3分岐冷媒配管46よりも車室外熱交換器33側に配設されている。
第1逆止弁54は、第3主冷媒配管42に配設されており、第3主冷媒配管42の車室外熱交換器33側から上流側車室内熱交換器32側へ向けての冷媒を流れを許容し、逆方向への冷媒の流れを阻止するように構成されている。
第2逆止弁55は、第2分岐冷媒配管45に配設されており、第2分岐冷媒配管45の主冷媒配管43側から第2主冷媒配管41側へ向けての冷媒を流れを許容し、逆方向への冷媒の流れを阻止するように構成されている。
また、車室内空調ユニット21は、下流側車室内熱交換器31及び上流側車室内熱交換器32を収容するケーシング60と、ケーシング60に収容される空気加熱器61と、ケーシング60内部(車室内空調ユニット21内部)の空気流れ方向を切り替えるためエアミックスドア(温度調節ドア)62と、エアミックスドア62を駆動するエアミックスドアアクチュエータ63と、吹出モード切替ドア64と、送風機65とを備えている。エアミックスドア62が送風量変更手段を構成している。
送風機65は、車室内の空気(内気)と車室外の空気(外気)との一方を選択してケーシング60内に空調用空気として送風するためのものである。送風機65は、シロッコファン65aと、シロッコファン65aを回転駆動する送風モーター65bとを備えている。送風モーター65bは、空調制御装置22に接続されてON及びOFFの切り替えと、回転数が制御されるようになっている。送風モーター65bにも走行用蓄電池から電力が供給される。
ケーシング60は、車室内においてインストルメントパネル(図示せず)の内部に配設されている。ケーシング60には、デフロスタ吹出口60a、ベント吹出口60b及びヒート吹出口60cが形成されている。これら吹出口60a〜60cはそれぞれ吹出モード切替ドア64によって開閉される。吹出モード切替ドア64は、図示しないが、空調制御装置22に接続されたアクチュエータによって動作するようになっている。吹出モードとしては、例えば、デフロスタ吹出口60aに空調風を流すデフロスタモード、ベント吹出口60bに空調風を流すベントモード、ヒート吹出口60cに空調風を流すヒートモード、デフロスタ吹出口60a及びヒート吹出口60cに空調風を流すデフ/ヒートモード、ベント吹出口60b及びヒート吹出口60cに空調風を流すバイレベルモード等である。
ケーシング60内に導入された空調用空気は、全量が上流側車室内熱交換器32を通過するようになっている。
また、ケーシング60内部には、バイパス通路60dが形成されている。このバイパス通路60dは、上流側車室内熱交換器32を通過した空気を下流側車室内熱交換器31側に流さないようにして、該下流側車室内熱交換器31を迂回させて下流側へ流すためのものである。
エアミックスドア62は、ケーシング60内において、上流側車室内熱交換器32と下流側車室内熱交換器31との間に収容されている。エアミックスドア62は、上流側車室内熱交換器32を通過した空気のうち、下流側車室内熱交換器31を通過する空気量を変更することによって、上流側車室内熱交換器32を通過した空気と、下流側車室内熱交換器31を通過した空気との混合割合を決定して吹出空気の温度調節を行うためのものである。
エアミックスドア62の開度は、下流側車室内熱交換器31への空気流れを遮断する開度(バイパス通路60dを全開とする開度)と、上流側車室内熱交換器32を通過した空気の全量を下流側車室内熱交換器31に流す開度(バイパス通路60dを全閉とする開度)との間で任意の開度に切り替えられるようになっている。
下流側車室内熱交換器31を通過した空気及びバイパス通路60dを流通した空気は、ケーシング60内部におけるエアミックスドア62よりも下流側の領域で混合して所望温度の調和空気となる。
ケーシング60における下流側車室内熱交換器31の下流側には、上記空気加熱器61が収容されている。空気加熱器61は、例えば電流を流すことによって発熱するPTC素子を用いたPTCヒータで構成することができる。空気加熱器61は空調制御装置22に接続され、ON及びOFFの切り替えと、発熱量(電力供給量)が制御されるようになっている。空気加熱器61にも走行用蓄電池から電力が供給される。
さらに、車両用空調装置1は、外気温度センサ70と、車室外熱交換器温度センサ71と、高圧側冷媒圧力検出センサ72と、上流側車室内熱交換器温度センサ73と、下流側車室内熱交換器温度センサ74と、吹出空気温度センサ75と、上流側車室内熱交換器センサ(冷媒圧力センサ、冷媒温度センサ)77とを備えている。これらセンサ70〜75、77は空調制御装置22に接続されている。
外気温度センサ70は、車室外熱交換器33よりも空気流れ方向上流側に配設されており、車室外熱交換器33に流入する前の外部空気の温度(外気温度TG)を検出するためのものである。車室外熱交換器温度センサ71は、車室外熱交換器33の空気流れ方向下流側の面に配設されており、車室外熱交換器33の表面温度を検出するためのものである。
高圧側冷媒圧力検出センサ72は、第1主冷媒配管40における電動コンプレッサ30の吐出口側に配設されており、ヒートポンプ装置20の高圧側の冷媒圧力、即ち、下流側車室内熱交換器31を流通する冷媒の圧力を検出する。
上流側車室内熱交換器温度センサ73は、上流側車室内熱交換器32の空気流れ方向下流側に配設されており、上流側車室内熱交換器32の表面温度を検出することによって上流側車室内熱交換器32を通過した外部空気の温度を得るためのものである。
下流側車室内熱交換器温度センサ74は、下流側車室内熱交換器31の空気流れ方向下流側に配設されており、下流側車室内熱交換器31の表面温度を検出することによって下流側車室内熱交換器31を通過した外部空気の温度を得るためのものである。
吹出空気温度センサ75は、ケーシング60から吹き出す吹出空気の温度、即ち、車室内へ吹き出す調和空気の温度を検出するためのものであり、車室の所定箇所に配設されている。
上流側車室内熱交換器センサ77は、上流側車室内熱交換器32を流通する冷媒の圧力及び温度を個別に検出するためのものである。
さらに、空調装置1には、車室内の温度(TR)を検出するための車室内温度センサ76が設けられており、このセンサ76も空調制御装置22に接続されている。
空調制御装置22は、例えば、乗員による設定温度や外気温、車室内温度、日射量等の情報に基づいてヒートポンプ装置20の運転モードを設定し、送風機65の風量(送風モーター65bの回転数)やエアミックスドア62の開度を設定するとともに、高圧側流路切替装置50のモードも設定する。
そして、その設定した運転モードとなるようにヒートポンプ装置20を制御し、さらに、設定風量や設定開度となるように送風機65及びエアミックスドアアクチュエータ63を制御するものであり、周知の中央演算装置やROM、RAM等によって構成されている。
また、空調の負荷に応じて電動コンプレッサ30やファンモーター38を制御し、また、必要に応じて空気加熱器61も制御する。
空調制御装置22は、通常のオートエアコン制御と同様に後述するメインルーチンにおいて、ヒートポンプ装置20の運転モードの切り替え、送風機65の風量、エアミックスドア62の開度、吹出モードの切り替え、電動コンプレッサ30、送風モーター65bの制御を行い、例えば、ファンモーター38は、基本的には電動コンプレッサ30の作動中には作動するが、電動コンプレッサ30が停止状態であっても、走行用インバーター等の冷却が必要な場合には作動する。
ヒートポンプ装置20の運転モードは、暖房立ち上げ運転モード、通常暖房運転モード、冷房運転モード、除霜運転モードの4種類ある。
図5に示す暖房立ち上げ運転モードは、例えば外気温度が0℃よりも低く(極低外気時)で、かつ、車両が長時間放置された場合のように、ヒートポンプ装置20の高圧側の冷媒温度が外気温程度(所定の低温度)以下となるまで低下していると推定される状況で選択される運転モードである。暖房立ち上げ運転モードでは、下流側車室内熱交換器31及び上流側車室内熱交換器32を放熱器とし、車室外熱交換器33を吸熱器として作用させる。図中、破線は冷媒の流れが無い冷媒配管を示している。
この暖房立ち上げ運転モードでは、高圧側流路切替装置50は、下流側車室内熱交換器31から流出した冷媒を上流側車室内熱交換器32に流入させるように流路を切り替える。また、低圧側流路切替装置51は、車室外熱交換器33から流出した冷媒をアキュムレータ34に流入させるように流路を切り替える。第1膨張弁52は膨張状態にし、第2膨張弁53は非膨張状態にする。
また、暖房立ち上げ運転モードでは、車室内空調ユニット21のエアミックスドア62の開度を、バイパス通路60dが全開となるように制御する。これが暖房立ち上げ制御である。したがって、暖房立ち上げ運転モードでは、上流側車室内熱交換器32を通過した空気が下流側車室内熱交換器31を通過することはない。
尚、エアミックスドア62の周縁部のシール性の問題等によって多少の空気が下流側車室内熱交換器31を通過することはあるが、この状態も、エアミックスドア62の開度がバイパス通路60dを全開とする開度にあるとする。
この状態で電動コンプレッサ30を作動させると、電動コンプレッサ30から吐出された高圧冷媒が第1主冷媒配管40を流れて下流側車室内熱交換器31に流入し、下流側車室内熱交換器31を循環する。下流側車室内熱交換器31を循環した冷媒は、第2主冷媒配管41から高圧側流路切替装置50に流入する。高圧側流路切替装置50に流入した冷媒は、第1分岐冷媒配管44を流れて上流側車室内熱交換器32に流入し、上流側車室内熱交換器32を循環する。
上流側車室内熱交換器32を循環した冷媒は、第4主冷媒配管43から第2分岐冷媒配管45を通って第2主冷媒配管41に流入する。第2主冷媒配管41に流入した冷媒は、第1膨張弁52を通過することで膨張し、車室外熱交換器33に流入する。車室外熱交換器33に流入した冷媒は、外部空気から吸熱して第3主冷媒配管42、第3分岐冷媒配管46を順に通ってアキュムレータ34を経て電動コンプレッサ30に吸入される。
この暖房立ち上げ運転モードでは、電動コンプレッサ30から吐出された冷媒は、下流側車室内熱交換器31を循環するが、下流側車室内熱交換器31には空調用空気が流れないようにエアミックスドア62の開度が設定されているので、下流側車室内熱交換器31を循環する冷媒と外部空気との熱交換は殆ど行われない。よって、ヒートポンプ装置20の高圧側の冷媒の温度及び圧力上昇が速くなる。
図6に示す通常暖房運転モードは、例えば外気温度が0℃よりも低く(極低外気時)、かつ、ヒートポンプ装置20の高圧側の冷媒温度が外気温度よりも高い場合等のように、暖房立ち上げ運転モードが不要であると推定される状況で選択される運転モードである。
通常暖房運転モードでは、下流側車室内熱交換器31及び上流側車室内熱交換器32を放熱器とし、車室外熱交換器33を吸熱器として作用させる。
また、通常暖房運転モードでは、車室内空調ユニット21のエアミックスドア62の開度を、乗員の設定温度等から求めた開度となるように制御する。これが通常暖房制御である。したがって、通常暖房運転モードでは、一般に、上流側車室内熱交換器32を通過した空気が下流側車室内熱交換器31を通過することになるので、上記暖房立ち上げ運転モードに比べて下流側車室内熱交換器31を通過する空気量が多くなる。
すなわち、高圧側流路切替装置50及び低圧側流路切替装置51は、上記暖房運転モードと同様にする。第1膨張弁52は膨張状態にし、第2膨張弁53は非膨張状態にする。
この状態で電動コンプレッサ30を作動させると、電動コンプレッサ30から吐出された高圧冷媒は上記暖房運転モードと同様に流れるので、下流側車室内熱交換器31及び上流側車室内熱交換器32に高温状態の冷媒が流入することになる。空調用空気は、下流側車室内熱交換器31及び上流側車室内熱交換器32の両方によって加熱されることになり、よって、高い暖房能力が得られる。
図7に示す冷房運転モードは、例えば外気温度が25℃よりも高い場合に選択される運転モードである。冷房運転モードでは、下流側車室内熱交換器31を放熱器とし、上流側車室内熱交換器32を吸熱器とし、車室外熱交換器33を放熱器として作用させる。
すなわち、高圧側流路切替装置50は、下流側車室内熱交換器31から流出した冷媒を上流側車室内熱交換器32の流入口に流入しないように、第1膨張弁52側へ流すように流路を切り替える。また、低圧側流路切替装置51は、上流側車室内熱交換器32から流出した冷媒をアキュムレータ34に流入させるように流路を切り替える。第1膨張弁52は非膨張状態にし、第2膨張弁53は膨張状態にする。
また、冷房運転モードでは、車室内空調ユニット21のエアミックスドア62の開度を、乗員の設定温度等から求めた開度となるように制御する。
この状態で電動コンプレッサ30を作動させると、電動コンプレッサ30から吐出された高圧冷媒が第1主冷媒配管40を流れて下流側車室内熱交換器31に流入し、下流側車室内熱交換器31を循環する。下流側車室内熱交換器31を循環した冷媒は、第2主冷媒配管41を通って膨張することなく、車室外熱交換器33に流入する。車室外熱交換器33に流入した冷媒は放熱して第3主冷媒配管42を通って第2膨張弁53を通過することで膨張し、上流側車室内熱交換器32に流入する。上流側車室内熱交換器32に流入した冷媒は、上流側車室内熱交換器32を循環して空調用空気から吸熱する。上流側車室内熱交換器32を循環した冷媒は、第4主冷媒配管43を通ってアキュムレータ34を経て電動コンプレッサ30に吸入される。
エアミックスドア62の開度によって下流側車室内熱交換器31を通過する空気量と、上流側車室内熱交換器32を通過する空気量とが変更されて所望温度の調和空気が生成される。
図8に示す除霜運転モードは、車室外熱交換器33に霜が付着した場合に選択される運転モードである。除霜運転モードでは、下流側車室内熱交換器31、上流側車室内熱交換器32及び車室外熱交換器33を放熱器として作用させる。
すなわち、高圧側流路切替装置50は、下流側車室内熱交換器31を流通した冷媒を、上流側車室内熱交換器32及び車室外熱交換器33に流すように流路を切り替える。また、低圧側流路切替装置51は、車室外熱交換器33から流出した冷媒をアキュムレータ34に流入させるように流路を切り替える。第1膨張弁52は膨張状態にし、第2膨張弁53は非膨張状態にする。
この状態で電動コンプレッサ30を作動させると、電動コンプレッサ30から吐出された高圧冷媒が第1主冷媒配管40を流れて下流側車室内熱交換器31に流入し、下流側車室内熱交換器31を循環する。下流側車室内熱交換器31を循環した冷媒は、第2主冷媒配管41から高圧側流路切替装置50に流入する。高圧側流路切替装置50から流出した冷媒は、第1分岐冷媒配管44を流れて上流側車室内熱交換器32に流入し、上流側車室内熱交換器32を循環する。上流側車室内熱交換器32を循環した冷媒は、第4主冷媒配管43から第2分岐冷媒配管45を通って第2主冷媒配管41に流入する。また、高圧側流路切替装置50から流出した他の冷媒は、上流側車室内熱交換器32を循環せずに、第2主冷媒配管41に流入する。
第2主冷媒配管41で合流した冷媒は、車室外熱交換器33に流入する。車室外熱交換器33に流入した冷媒は、外部空気から吸熱した後、第3主冷媒配管42、第3分岐冷媒配管46を順に通ってアキュムレータ34を経て電動コンプレッサ30に吸入される。
暖房立ち上げ運転モード、通常暖房運転モード、冷房運転モード、除霜運転モードのいずれの運転モードであっても、下流側車室内熱交換器31は放熱器として作用する。
また、いずれの運転モードであっても、車室外熱交換器33に対して冷媒を流入させる冷媒配管は第2主冷媒配管41であり、また、車室外熱交換器33から冷媒を流出させる冷媒配管は第3主冷媒配管42である。従って、車室外熱交換器33では、常に同一方向に冷媒が流れることなり、冷媒が逆方向にも流れる構成のヒートポンプ装置と比較した場合に、冷媒の分流性について同方向の分流性をのみを考慮した車室外熱交換器33とすればよく、車室外熱交換器33の熱交換性能を比較的容易に高めることができる。
また、いずれの運転モードであっても、下流側車室内熱交換器31の空気流れ方向下流側のチューブ49aに冷媒を流通させた後、上流側のチューブ49aに冷媒を流通させてから排出するようにできる。これにより、下流側車室内熱交換器31の冷媒の流れを外部空気の流れ方向と対向させる、対向流配置となるように下流側車室内熱交換器31を配置することができる。また、いずれの運転モードであっても、同様に、上流側車室内熱交換器32の空気流れ方向下流側のチューブ(図示せず)に冷媒を流通させた後、上流側のチューブ(図示せず)に冷媒を流通させてから排出するようにできるので、上流側車室内熱交換器32も対向流配置が可能となる。
下流側車室内熱交換器31を対向流配置とすることで、特に通常暖房モードにおいてより高温の冷媒が下流側車室内熱交換器31における空気流れ方向下流側を流れることになるので、効率よく暖房を行うことができ、暖房性能が向上する。
また、上流側車室内熱交換器32を対向流配置とすることで、特に冷房モードにおいてより低温の冷媒が上流側車室内熱交換器32における空気流れ方向下流側を流れることになるので、効率よく冷房を行うことができ、冷房性能が向上する。
図2に示すように、空調制御装置22は、車室外熱交換器33に霜が付着しているか否かを判定する着霜判定部22aを有している。着霜判定部22aは、外気温度センサ70で検出された外気温度(TG)から、車室外熱交換器温度センサ71で検出された車室外熱交換器33の表面温度を差し引いて、その値が例えば20(℃)よりも大きな値である場合には、着霜していると判定する。すなわち、車室外熱交換器33に霜が付着していると、車室外熱交換器33において冷媒が吸熱できず、冷媒温度が上昇しないことを利用して着霜判定を行っている。従って、上記の20という値は、車室外熱交換器33が着霜しているか否かを判定できる値であればよく、他の値であってもよい。
次に、図9及び図10に基づいて空調制御装置22による制御手順を説明する。図9はメインルーチンを示すものである。スタート後のステップSA1では外気温度センサ70で検出された外気温度(TG)を読み込む。ステップSA1に続くステップSA2では、外気温度(TG)が0℃よりも低いか、0℃以上であるか判定する。
ステップSA2で外気温度(TG)が0℃よりも低いと判定された場合には、ステップSA3に進み、図10に示す暖房サブルーチン制御を行い、メインルーチンのエンドに進む。暖房サブルーチン制御では、車室内空調ユニット21の吹出モードは主にヒートモードが選択される。また、吹出空気の温度が目標温度となるように、エアミックスドア62を動作させる。
ステップSA2で外気温度(TG)が0℃以上であると判定された場合には、ステップSA4に進み、ヒートポンプ装置20を冷房運転モードに切り替えてメインルーチンのエンドに進む。
また、車室外熱交換器33に霜が付着している場合には、除霜運転モードを選択する。
図10に示すフローチャートに示す暖房サブルーチン制御について説明する。スタート後のステップSB1では、外気温度センサ70で検出された外気温度(TG)を読み込む。
ステップSB1に続くステップSB2では、外気温度(TG)が−10℃よりも高いか否かを判定する。ステップSB2でNOと判定されて外気温度(TG)が−10℃以下である場合には、車両が冷間始動状態であるとして、ステップSB3に進み、運転モードを暖房立ち上げ運転モードとする。尚、−10という値は、ヒートポンプ装置20の高圧側の冷媒温度が低い状態か否かを判定できる値であればよいので、他の値を用いてもよい。
暖房立ち上げ運転モードでは、エアミックスドア62がバイパス通路60dを全開とするので、下流側車室内熱交換器31を通過する空気量は、通常暖房運転モードに比べて少なくなる。
その後、ステップSB4に進み、高圧側冷媒圧力検出センサ72の出力値、即ち、ヒートポンプ装置20の高圧側の冷媒圧力(P)を読み込む。冷媒圧力(P)を読み込んだ後、ステップSB5に進み、冷媒圧力(P)が1.0MPaよりも高いか否かを判定する。ステップSB5でNOと判定され、冷媒圧力(P)が1.0MPa以下である場合には、ステップSB4に戻り、再度、ヒートポンプ装置20の高圧側の冷媒圧力(P)を読み込み、ステップSB5で同様な判定を行う。つまり、高圧側の冷媒圧力が1.0MPaよりも高くなるまではヒートポンプ装置20の高圧側の冷媒温度が低い状態であると推定して、暖房立ち上げ運転モードを継続する。
尚、上記判定圧力値である1.0MPaは、外気温度に応じて変化させてもよい。例えば外気温度が低くなるほど、ヒートポンプ装置20の高圧側の冷媒温度の上昇速度が遅くなるので、判定圧力値を小さくする。
ステップSB5でYESと判定されてヒートポンプ装置20の高圧側の冷媒圧力が1MPaよりも高くなった場合には、冷媒温度も高くなっていると推定され、暖房立ち上げ運転が不要であると考えられる。この場合、ステップSB6に進み、通常暖房運転モードに切り替える。
ステップSB2でYESと判定されて外気温度(TG)が−10℃よりも高い場合には、ヒートポンプ装置20の高圧側の冷媒温度が高く、暖房立ち上げ運転が必要ないと推定できるので、ステップSB6に進み、ヒートポンプ装置20の運転モードを通常暖房運転モードとする。
したがって、空調制御装置22は、ステップSB2、SB5においてヒートポンプ装置20の高圧側の冷媒温度が所定の低温度以下であるか否かを推定している。そして、ヒートポンプ装置20の高圧側の冷媒温度が所定の低温度以下と推定する(ステップSB4でNO、ステップSB5でNO)と、暖房立ち上げ運転モードで運転する。一方、ヒートポンプ装置20の高圧側の冷媒温度が所定の低温度よりも高いと推定する(ステップSB2でYES、ステップSB5でYES)と、通常暖房運転モードとする。
つまり、空調制御装置22は、ヒートポンプ装置20の高圧側の冷媒温度が所定の低温度以下であると推定される場合には、所定の低温度よりも高いと推定される場合に比べて下流側車室内熱交換器31への送風量が少なくなるように、エアミックスドア62を制御している。
暖房運転モード中に着霜判定部22aによって車室外熱交換器33に霜が付着していると判定された場合には、ヒートポンプ装置20の運転モードは除霜運転モードに切り替える。除霜が終了したら暖房運転モードに切り替える。
以上説明したように、この実施形態1によれば、例えば冬季のように外気温度が低く、かつ、長時間放置されてヒートポンプ装置20の高圧側の冷媒が外気温度近傍となるまで冷えている状況では、高圧側の冷媒温度が所定の低温度以下であると推定される。この場合は、エアミックスドア62によってバイパス通路60dを全開とするので、下流側車室内熱交換器31への送風量が通常暖房運転モード時に比べて少なくなる。これにより、電動コンプレッサ30から吐出した冷媒が下流側車室内熱交換器31を流通する際に外部空気と熱交換する量を低減することが可能になる。よって、ヒートポンプ装置20の高圧側の冷媒の温度低下が抑制されるので冷媒圧力及び温度の上昇が速くなって暖房の立ち上がりが速くなり、乗員の快適性を向上できる。
また、下流側車室内熱交換器31への送風量の切り替えをエアミックスドア62で行うようにしているので、送風量の切り替えを容易に、かつ、確実に行うことができる。
また、暖房立ち上げ運転モード後に、冷媒圧力が所定圧力よりも高くなったと判定した場合に、ヒートポンプ装置20及び車室内空調ユニット21を通常暖房モードに切り替えるようにしたので、実際の冷媒温度に基づいて通常暖房に切り替えることができる。これにより、暖房の立ち上げを終えた適切なタイミングで通常暖房を行えるようになる。
また、車室外の気温である外気温度(TG)とヒートポンプ装置20の高圧側の冷媒温度とは関連しており、外気温度(TG)が低ければヒートポンプ装置20の高圧側の冷媒温度も低くなっていると考えられる。本実施形態では、外気温度(TG)を検出してヒートポンプ装置20の高圧側の冷媒温度を推定するようにしているので、推定結果が正確なものとなり、適切な制御を行うことができる。
また、上記実施形態では、ステップSB4で暖房立ち上げ運転モードの後に高圧側の冷媒圧力(P)を読み込み、その後、ステップSB5で暖房の立ち上げ運転を継続すべきか、それとも終了して通常暖房運転モードとすべきかを判定するようにしているが、これに限らず、例えば、暖房立ち上げ運転モードを開始した後に、ステップSB4で上流側車室内熱交換器センサ77で検出された冷媒温度が所定温度よりも高くなったと判定した場合に、ヒートポンプ装置20及び車室内空調ユニット21を通常暖房運転モード(通常暖房制御)に切り替えるように構成してもよい。この場合、実際の冷媒温度を検出し、それに基づいて通常暖房に切り替えることができるので、暖房の立ち上げを終えた適切なタイミングで通常暖房を行うことができ、乗員の快適性を向上できる。
また、上流側車室内熱交換器32を通過した後の空気温度を上流側車室内熱交換器温度センサ73により検出し、暖房立ち上げ制御を開始した後に、上流側車室内熱交換器温度センサ73で検出された空気温度が所定温度よりも高くなったと判定した場合に、ヒートポンプ装置20及び車室内空調ユニット21を通常暖房運転モードに切り替えるようにしてもよい。
この場合、上流側車室内熱交換器32を通過した後の空気温度に基づいて暖房立ち上げ運転モードから通常暖房運転モードに切り替えることができる。よって、適切なタイミングで通常暖房を行うことができ、乗員の快適性をより一層向上させることができる。
尚、上記判定に用いる温度は、外気温度に応じて変化させてもよい。例えば外気温度が低くなるほど、高圧側の冷媒温度の上昇速度が遅くなるので、判定に用いる温度を低くする。
(実施形態2)
図11は、本発明の実施形態2にかかる暖房サブルーチン制御手順を示すフローチャートである。実施形態2は、暖房サブルーチン制御手順が実施形態1のものと異なるだけであり、他の部分は実施形態1と同じである。以下、実施形態1と異なる部分について詳細に説明する。
図11に示すフローチャートのステップSC1では、外気温度センサ70で検出された外気温度(TG)を読み込む。
ステップSC1に続くステップSC2では、外気温度(TG)が−10℃よりも高いか否かを判定する。ステップSC2でNOと判定されて外気温度(TG)が−10℃以下である場合には、車両が冷間始動状態であるとして、ステップSC3に進み、運転モードを暖房立ち上げ運転モードとする。
その後、ステップSC4に進み、タイマーを0にセットして計時を開始する。タイマーにより、暖房立ち上げ運転モードによる運転を開始してからの経過時間を得ることができる。
その後、ステップSC5に進み、タイマーが60秒を越えたか否か、即ち、暖房立ち上げ運転モードによる運転を開始してから所定時間経過したか否かを判定する。ステップSC5でNOと判定されてタイマーが60秒を経過していない場合には、ステップSC5の判定をもう一度行い、60秒経過するまで待つ。
ステップSC5でYESと判定されてタイマーが60秒を経過した場合には、ステップSC6に進み、通常暖房運転モードに切り替える。
つまり、この実施形態2では、暖房立ち上げ運転モードによる運転を開始してから所定時間経過後に、ヒートポンプ装置20及び車室内空調ユニット21を通常暖房運転モードに切り替えるように構成されている。ヒートポンプ装置20の高圧側の冷媒温度が所定の低温度以下であるか否かを推定するステップは、ステップSC2、SC5である。
したがって、この実施形態2によれば、実施形態1と同様に、ヒートポンプ装置20の高圧側の冷媒が外気温度近傍となるまで冷えている状況では、エアミックスドア62によってバイパス通路60dを全開とするので、下流側車室内熱交換器31への送風量が通常暖房運転モード時に比べて少なくなる。これにより、冷媒の温度低下が抑制されるので、ヒートポンプ装置20の高圧側の冷媒圧力及び温度の上昇が速くなって暖房の立ち上がりが速くなり、乗員の快適性を向上できる。
また、暖房立ち上げ運転モードによる運転を開始してから経過した時間に基づいて通常暖房運転モードに切り替えるようにしたので、シンプルな制御としながら、適切なタイミングで通常暖房を行えるようになる。
また、暖房立ち上げ運転モードによる運転を開始してから通常暖房運転モードに切り替える間の時間(所定時間)を、外気温度に応じて変化させるようにしてもよい。具体的には、外気温度が低ければ低いほど、所定時間を長くする。極寒期で外気温度が低い場合には、暖房の立ち上げに要する時間が長時間化することが考えられるが、このような場合に、暖房立ち上げ制御を開始してから通常暖房運転に切り替える間の時間を長くすることで、適切なタイミングで通常暖房を行うことができるようになる。
また、暖房立ち上げ運転モードによる運転を開始してから通常暖房運転モードに切り替える間の時間(所定時間)を、高圧側の冷媒圧力に応じて変化させるようにしてもよい。具体的には、高圧側の冷媒圧力が低ければ低いほど、所定時間を長くする。極寒期で外気温度が低い場合には、高圧側の冷媒圧力が低く、暖房の立ち上げに要する時間が長時間化することが考えられるが、このような場合に、暖房立ち上げ制御を開始してから通常暖房運転に切り替える間の時間を長くすることで、適切なタイミングで通常暖房を行うことができるようになる。
(実施形態3)
図12は、本発明の実施形態3にかかる暖房サブルーチン制御手順を示すフローチャートである。実施形態3は、暖房サブルーチン制御手順が実施形態1のものと異なるだけであり、他の部分は実施形態1と同じである。以下、実施形態1と異なる部分について詳細に説明する。
図12に示すフローチャートのステップSD1では、外気温度センサ70で検出された外気温度(TG)を読み込む。
ステップSD1に続くステップSD2では、外気温度(TG)が−10℃よりも高いか否かを判定する。ステップSD2でNOと判定されて外気温度(TG)が−10℃以下である場合には、車両が冷間始動状態であるとして、ステップSD3に進み、運転モードを暖房立ち上げ運転モードとする。
その後、ステップSD4に進み、高圧側冷媒圧力検出センサ72の出力値、即ち、ヒートポンプ装置20の高圧側の冷媒圧力(P)を読み込む。冷媒圧力(P)を読み込んだ後、ステップSD5に進み、冷媒圧力(P)が0.5MPaよりも高いか否かを判定する。ステップSD5でNOと判定され、冷媒圧力(P)が0.5MPa以下である場合には、ステップSD4に戻り、再度、ヒートポンプ装置20の高圧側の冷媒圧力(P)を読み込み、ステップSD5で同様な判定を行う。この間、暖房立ち上げ運転モードが継続される。
ステップSD5でYESと判定されて高圧側の冷媒圧力が0.5MPaよりも高くなった場合には、冷媒の温度が上昇していると推定できる。この場合、ステップSD6に進んでエアミックスドア62を1/2開状態とする。すなわち、上流側車室内熱交換器32を通過した空気を、下流側車室内熱交換器31及びバイパス通路60dの両方に流すことで、下流側車室内熱交換器31によっても加熱する。尚、エアミックスドア62は1/3開状態にしてもよいし、2/3開状態にしてもよい。
その後、ステップSD7に進み、ヒートポンプ装置20の高圧側の冷媒圧力(P)を読み込む。冷媒圧力(P)を読み込んだ後、ステップSD8に進み、冷媒圧力(P)が1.0MPaよりも高いか否かを判定する。ステップSD8でNOと判定され、冷媒圧力(P)が1.0MPa以下である場合には、ステップSD7に戻り、再度、ヒートポンプ装置20の高圧側の冷媒圧力(P)を読み込み、ステップSD8で同様な判定を行う。この間、暖房立ち上げ運転モードが継続される。
尚、上記判定圧力値である1.0MPaは、外気温度に応じて変化させてもよい。例えば外気温度が低くなるほど、高圧側の冷媒温度の上昇速度が遅くなるので、判定圧力値を小さくする。
また、上記判定圧力値1.0MPaの変更に伴い、ステップSD5(0.5MPa)の判定圧力値を変化させてもよい。
ステップSD8でYESと判定されて高圧側の冷媒圧力が1.0MPaよりも高くなった場合には、ステップSD9に進み、通常暖房運転モードに切り替える。これにより、下流側車室内熱交換器31への送風量が増加する。下流側車室内熱交換器31への送風量が増加すると、高圧側の冷媒圧力が低下してしまうことがある。
これに対応するために、ステップSD10では、ヒートポンプ装置20の高圧側の冷媒圧力(P)が0.5MPaよりも高いか否かを再度判定する。
ステップSD10でNOと判定されて高圧側の冷媒圧力(P)が0.5MPa以下となるまで低下している場合には、ステップSD6に戻り、エアミックスドア62を1/2開状態として下流側車室内熱交換器31への送風量を低下させる。そして、ステップSD7、SD8を経て高圧側の冷媒圧力が上昇するのを待つ。
ステップSD10でYESと判定されて高圧側の圧力(P)が0.5MPaよりも高い場合にはエンドに進む。
したがって、この実施形態3によれば、実施形態1と同様に、ヒートポンプ装置20の高圧側の冷媒が外気温度近傍となるまで冷えている状況では、エアミックスドア62によってバイパス通路60dを全開とするので、下流側車室内熱交換器31への送風量が通常暖房運転モード時に比べて少なくなる。これにより、冷媒の温度低下が抑制されるので、ヒートポンプ装置20の高圧側の冷媒圧力及び温度の上昇が速くなって暖房の立ち上がりが速くなり、乗員の快適性を向上できる。
また、上記実施形態1〜3では、車両用空調装置1を電気自動車に搭載する場合について説明したが、これに限らず、例えばエンジンと走行用モーターとを備えたハイブリッド自動車に車両用空調装置1を搭載することも可能である。
また、エアミックスドア62の形式は板状のものであってもよいし、フィルム状のものであってもよく、特に限定されない。
また、上記実施形態では、放熱器となる車室内熱交換器が下流側車室内熱交換器31と上流側車室内熱交換器32との2つある場合について説明したが、これに限らず、本発明は、放熱器となる車室内熱交換器が1つの場合(上記特許文献1の空調装置)にも適用することができる。すなわち、暖房運転モード及び冷房運転モードの両モードで放熱器として作用する車室内熱交換器に対する送風量を、ヒートポンプ装置20の高圧側の冷媒温度が所定の低温度以下であると推定される場合に、所定の低温度よりも高いと推定される場合に比べて少なくなるようにエアミックスドア62を制御する。
この場合も、上記実施形態のものと同様な作用効果を奏することができる。
また、ヒートポンプ装置20の高圧側の冷媒温度が所定の低温度以下であるか否かを推定するにあたっては、高圧側の冷媒温度を検出する温度センサの出力値から推定するようにしてもよいし、高圧側の冷媒圧力を検出して推定するようにしてもよいし、暖房開始時からの経過時間に基づいて推定するようにしてもよく、推定方法は特に限定されない。
また、上記実施形態では、ヒートポンプ装置20の高圧側の冷媒温度が所定の低温度以下であるか否かを推定し、所定の低温度以下であると推定される場合に暖房立ち上げ制御を行うようにしているが、これに限らず、例えば、暖房開始時には、高圧側の冷媒温度に関わらず、暖房立ち上げ制御を行い、その後、通常暖房運転に切り替えるようにしてもよい。通常暖房運転に切り替えるタイミングは、例えば、暖房開始から所定時間経過したタイミングであってもよい。
以上説明したように、本発明にかかる車両用空調装置は、例えば電気自動車やハイブリッド車に搭載することができる。
1 車両用空調装置
20 ヒートポンプ装置
21 車室内空調ユニット
22 空調制御装置
22a 着霜判定部
30 電動コンプレッサ(圧縮機)
31 下流側車室内熱交換器(第1車室内熱交換器)
32 上流側車室内熱交換器(第2車室内熱交換器)
33 車室外熱交換器
40〜43 第1〜第4主冷媒配管
44〜46 第1〜第3分岐冷媒配管
50 高圧側流路切替装置(流路切替装置)
61 空気加熱器
62 エアミックスドア(温度調節ドア)
65 送風機
70 外気温度センサ
72 高圧側冷媒圧力検出センサ
73 上流側車室内熱交換器温度センサ
74 下流側車室内熱交換器温度センサ
77 上流側車室内熱交換器センサ(冷媒圧力センサ、冷媒温度センサ)

Claims (9)

  1. 冷媒を圧縮する圧縮機と、車室内に配設される第1車室内熱交換器及び第2車室内熱交換器と、車室外に配設される車室外熱交換器とを含むヒートポンプ装置と、
    上記第1車室内熱交換器及び第2車室内熱交換器を収容するとともに、該第1車室内熱交換器及び第2車室内熱交換器に空調用空気を送風する送風機を有し、調和空気を生成して車室に供給するように構成された車室内空調ユニットと、
    上記ヒートポンプ装置及び上記車室内空調ユニットを制御する空調制御装置とを備えた車両用空調装置であって、
    上記車室内空調ユニットは、上記第1車室内熱交換器への送風量を変更するエアミックスドアを備え、該エアミックスドアは上記空調制御装置により制御され、
    上記ヒートポンプ装置は、上記空調制御装置により、上記第1車室内熱交換器及び上記第2車室内熱交換器を放熱器とし、上記車室外熱交換器を吸熱器として作用させる暖房運転モードとされるように構成されるとともに、暖房開始時から暖房開始後所定時間経過するまでは、上記第1車室内熱交換器及び上記第2車室内熱交換器を放熱器とし、上記車室外熱交換器を吸熱器とし、
    上記空調制御装置は、暖房開始時には、暖房開始後所定時間経過した場合に比べて上記第1車室内熱交換器への送風量が少なくなるように、上記エアミックスドアを制御する暖房立ち上げ制御を行うように構成されていることを特徴とする車両用空調装置。
  2. 冷媒を圧縮する圧縮機と、車室内に配設される第1車室内熱交換器及び第2車室内熱交換器と、車室外に配設される車室外熱交換器とを含むヒートポンプ装置と、
    上記第1車室内熱交換器及び第2車室内熱交換器を収容するとともに、該第1車室内熱交換器及び第2車室内熱交換器に空調用空気を送風する送風機を有し、調和空気を生成して車室に供給するように構成された車室内空調ユニットと、
    上記ヒートポンプ装置及び上記車室内空調ユニットを制御する空調制御装置とを備えた車両用空調装置であって、
    上記車室内空調ユニットは、上記第1車室内熱交換器への送風量を変更するエアミックスドアを備え、該エアミックスドアは上記空調制御装置により制御され、
    上記ヒートポンプ装置は、上記空調制御装置により、上記第1車室内熱交換器及び上記第2車室内熱交換器を放熱器とし、上記車室外熱交換器を吸熱器として作用させる暖房運転モードとされるように構成されるとともに、暖房開始時から暖房開始後所定時間経過するまでは、上記第1車室内熱交換器及び上記第2車室内熱交換器を放熱器とし、上記車室外熱交換器を吸熱器とし、
    上記空調制御装置は、上記ヒートポンプ装置の高圧側の冷媒温度が所定の低温度以下であるか否かを推定し、所定の低温度以下であると推定される場合には、所定の低温度よりも高いと推定される場合に比べて上記第1車室内熱交換器への送風量が少なくなるように、上記エアミックスドアを制御する暖房立ち上げ制御を行うように構成されていることを特徴とする車両用空調装置。
  3. 請求項1または2に記載の車両用空調装置において、
    車室外の気温を検出する外気温度センサを備え、
    上記空調制御装置は、上記外気温度センサにより検出された車室外の気温に基づいて、車室外の気温が所定温度よりも低い場合には、上記ヒートポンプ装置の高圧側の冷媒温度が所定の低温度以下であると推定するように構成されていることを特徴とする車両用空調装置。
  4. 請求項1または2に記載の車両用空調装置において、
    冷媒温度を検出する冷媒温度センサを備え、
    上記空調制御装置は、暖房立ち上げ制御後に、上記冷媒温度センサで検出された冷媒温度が所定温度よりも高くなったと判定した場合に、上記ヒートポンプ装置及び上記車室内空調ユニットを通常暖房制御に切り替えるように構成されていることを特徴とする車両用空調装置。
  5. 請求項1または2に記載の車両用空調装置において、
    冷媒圧力を検出する冷媒圧力検出センサを備え、
    上記空調制御装置は、暖房立ち上げ制御後に、上記冷媒圧力検出センサで検出された冷媒圧力が所定圧力よりも高くなったと判定した場合に、上記ヒートポンプ装置及び上記車室内空調ユニットを通常暖房制御に切り替えるように構成されていることを特徴とする車両用空調装置。
  6. 請求項1または2に記載の車両用空調装置において、
    車室内熱交換器を通過した後の空気温度を検出する空気温度センサを備え、
    上記空調制御装置は、暖房立ち上げ制御後に、上記空気温度センサで検出された空気温度が所定温度よりも高くなったと判定した場合に、上記ヒートポンプ装置及び上記車室内空調ユニットを通常暖房制御に切り替えるように構成されていることを特徴とする車両用空調装置。
  7. 請求項1または2に記載の車両用空調装置において、
    上記空調制御装置は、暖房立ち上げ制御を開始してから所定時間経過後に、上記ヒートポンプ装置及び上記車室内空調ユニットを通常暖房制御に切り替えるように構成されていることを特徴とする車両用空調装置。
  8. 請求項に記載の車両用空調装置において、
    上記空調制御装置は、暖房立ち上げ制御を開始してから通常暖房制御に切り替える間の時間を、車室外の気温に応じて変化させるように構成されていることを特徴とする車両用空調装置。
  9. 請求項に記載の車両用空調装置において、
    上記空調制御装置は、暖房立ち上げ制御を開始してから通常暖房制御に切り替える間の時間を、高圧側の冷媒圧力に応じて変化させるように構成されていることを特徴とする車両用空調装置。
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