以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態の力覚付与型多方向入力装置511を説明する斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態の力覚付与型多方向入力装置511を説明する上面図である。図3は、本発明の第1実施形態の力覚付与型多方向入力装置511を説明する構成図であって、図3(a)は、図1に示すY2側から見た正面図であり、図3(b)は、図1に示すX1側から見た側面図である。図4は、本発明の第1実施形態の力覚付与型多方向入力装置511を説明する分解斜視図である。
本発明の第1実施形態の力覚付与型多方向入力装置511は、図1ないし図3に示すような外観を呈しており、図4に示すように、収納空間(11s、21s)を有するベース体1と、スライド移動可能にベース体1に支持されたスライダ2と、ベース体1の上側に露出する操作部材3と、操作部材3に駆動力を付与可能な力覚付与ユニットU4と、操作部材3のスライド操作を検出する検出手段M5と、ユーザによる押下操作を受けて上下方向(図1に示すZ方向)に移動可能な押下部材16と、押下部材16への押下操作を受けて下方向(図1に示すZ2方向)に移動する駆動部17と、押下操作されたことを検出する押動検出手段M8と、力覚付与ユニットU4が設置された基台9と、を備えて構成されている。他に、本発明の第1実施形態の力覚付与型多方向入力装置511では、操作部材3とベース体1との間に配設される目隠し板53と、検出手段M5及び押動検出手段M8が搭載される回路基板10と、基台9と係合される下カバー59と、を有している。そして、ユーザにより、操作部材3へのスライド操作と押下部材16への押下操作とが行われるようになっている。
次に、各構成部材について詳細に説明する。
先ず、操作部材3のスライド操作に係わる構成部材について説明する。図5は、本発明の第1実施形態の力覚付与型多方向入力装置511を説明する図であって、図2に示すV−V線における断面図である。図6は、本発明の第1実施形態の力覚付与型多方向入力装置511を説明する図であって、図2に示すVI−VI線における断面図である。図7は、本発明の第1実施形態の力覚付与型多方向入力装置を説明する図であって、ベース体1及びスライダ2の部分における斜視図である。図8は、本発明の第1実施形態の力覚付与型多方向入力装置を説明する図であって、図7の分解斜視図である。
ベース体1は、図4及び図8に示すように、外縁部に起立壁11aが立設された矩形状の下部ベース11と、起立壁11aの上方空間を覆う矩形状の上部ベース21とからなり、これら下部ベース11と上部ベース21は、図7に示すように、対角に位置する2ヶ所をねじNJ1により止められて一体化されている。また、ベース体1の下部ベース11の起立壁11aで囲まれた内底面11fは、図6に示すように、一方向(図6に示すZ1方向)に膨らんだアーチ形状となっているとともに、上部ベース21の上面21fも内底面11fに沿ったアーチ形状となっており、内底面11fと上面21fとが、アーチ形状が同一方向に倣うように対向して配設されている。そして、この内底面11f、上面21f及び起立壁11aとで、収納空間21sを形成している。
ベース体1の収納空間21sには、図5及び図6に示すように、スライダ2が収容されている。他に、ベース体1の収納空間21sには、スライダ2の上方(図5に示すZ1方向)に配設される付勢部材F2と、スライダ2の下方(図5に示すZ2方向)に配設される被摺動部材S2と、が収容されている。また、ベース体1の上部ベース21には、図7に示すように、上面21fの中央部に貫通孔21hを有し、スライダ2の軸部2jが挿通され、ベース体1の上方側に露出している。
また、ベース体1は、図1に示すように、2ヶ所をねじNJ2により止められて基台9に固定されている。ここで図1には、X2とY1の間の方向に配置されたNJ2は隠れて図示されていないが、ねじNJ2は対角に位置する2ヶ所に存在している。そして、下部ベース11の内底面11fと基台9との間に形成された収納空間11sには、図5及び図6に示すように、押下部材16が収容されている。また、下部ベース11の内底面11fには、押下部材16の突起部16jが挿通される貫通孔11hを有しており、この貫通孔11hは、押下部材16の横方向のスライド移動を許容する形状で形成されている。
スライダ2は、図4、図6及び図8に示すように、下部ベース11の内底面11fの形状に沿ったアーチ形状で平板状のスライダ基部2kと、スライダ基部2kの中央部から上方側に突設して設けられた軸部2jと、から構成され、前述したように、スライダ2のスライダ基部2kがベース体1の収納空間21sに収容されるとともに、スライダ2の軸部2jが上部ベース21の貫通孔21hに挿通されて、ベース体1の上方側に露出するように配設されている。
スライダ2のスライダ基部2kの底面側(図5に示すZ2方向側)には、下部ベース11の内底面11fの形状に沿ったアーチ形状の被摺動部材S2が配設され、この被摺動部材S2の上面側をスライダ2が摺動して、収納空間21s内を下部ベース11の内底面11fに沿って平行にスライド移動するようになっている。この被摺動部材S2には、T字形状の貫通穴S2hが設けられており、押下部材16の突起部16jが貫通穴S2hに挿通され、この貫通穴S2hは、押下部材16の横方向のスライド移動を許容する形状で形成されている。
また、スライダ2のスライダ基部2kの上面側(図5に示すZ1方向側)には、コイルばねである付勢部材F2が4つ配設され、この付勢部材F2により、スライダ2が、被摺動部材S2を介して下部ベース11の内底面11fに押し付けられている。これにより、ユーザによるスライド操作が行われていない際には、下部ベース11に安定的に保持されており、ユーザによるスライド操作が行われた際には、スライダ2はベース体1の下部ベース11にスライド移動可能に支持されるようになる。
また、スライダ2のスライダ基部2k及び軸部2jには、図8に示すように、貫通孔2hを有しており、図5及び図6に示すように、この貫通孔2hに押下部材16の突起部16jが挿通される。そして、押下部材16の突起部16jは、上下方向に移動可能な構成となっている。
操作部材3は、図1及び図3に示すように、平板状の操作部3tと、操作部3tの中心部から下方に延設された筒状の装着部3jとから構成され、上部ベース21の貫通孔21hを覆う位置に配設されている。また、図5及び図6に示すように、操作部材3の装着部3jとスライダ2の軸部2jとが係合され、スライダ2に一体化されている。そして、操作部材3は、ベース体1の上方側に露出されている。
操作部材3の操作部3tには、図1及び図2に示すように、貫通孔3hを有しており、図1及び図3に示すように、押下部材16の突起部16jの先端が、この貫通孔3hから突出し、操作部材3の上面に露出するようになっている。これにより、ユーザは、この押下部材16の突起部16jの先端を押圧操作することができ、押下部材16を下方向に押し下げることができる。
また、本発明の第1実施形態では、操作部材3とベース体1の上部ベース21との間には、図1及び図3に示すように、矩形状の外形を有する目隠し板53が介設されており、目隠し板53の中央部に設けられた貫通穴53h(図4を参照)にスライダ2の軸部2jが挿通され、スライダ2に係合されて、スライダ2と一体となってスライド移動するように構成されている。そして、この目隠し板53の大きさが上部ベース21の貫通孔21hに比して充分に大きく設定されているため、操作部材3がどの方向へスライド操作されても、貫通孔11hは目隠し板53から露出しないようになっている。これにより、ベース体1の収納空間21sにゴミ等の異物が侵入することを防止している。
次に、操作部材3への力覚付与に係わる構成部品について説明する。図9は、本発明の第1実施形態の力覚付与型多方向入力装置を説明する図であって、力覚付与ユニットU4の部分における斜視図である。図10は、本発明の第1実施形態の力覚付与型多方向入力装置を説明する図であって、図9の分解斜視図である。図11は、本発明の第1実施形態の力覚付与型多方向入力装置を説明する図であって、図11(a)は、図9をY2側から見た正面図であり、図11(b)は、図9をX2側から見た側面図である。
操作部材3への力覚を付与する力覚付与ユニットU4は、図9に示すように、駆動力を発生させる駆動源である回転モータ(14、24)と、操作部材3に駆動力を伝達する駆動力伝達手段(34、44)と、を備えて構成されており、他に、駆動源(14、24)及び駆動力伝達手段(34、44)を軸支する支持板74と、上部軸受(84a、84b)及び下部軸受(94a、94b)と、を有している。
力覚付与ユニットU4の駆動源である回転モータ(14、24)は、一般的な電磁モータを2つ用いており、図9及び図10に示すように、回転モータ(14、24)の駆動軸の一端側には、歯車(14g,24g)がそれぞれ設けられており、この歯車(14g,24g)が支持板74の貫通穴74h(図10を参照)に挿通され、支持板74の上面側に露出している。また、それぞれの回転モータ(14、24)の上端は、図示はしていないが、支持板74とねじ止めされて、支持板74に固定されている。
力覚付与ユニットU4の駆動力伝達手段(34、44)は、図9に示すように、一方の回転モータ14と噛合いしている第1駆動力伝達手段34と、他方の回転モータ24と噛合いしている第2駆動力伝達手段44と、から構成されている。また、第1駆動力伝達手段34は、板状で係合溝34rが形成されたギア部G34と、ギア部G34から上方に突出した突設部T34とから構成されている。同様にして、第2駆動力伝達手段44も、板状で係合溝44rが形成されたギア部G44と、ギア部G44から上方に突出した突設部T44とから構成されている。
そして、第1駆動力伝達手段34は、図9に示すように、支持板74に載置され、ギア部G34に設けられた貫通穴G34h(図10を参照)と支持板74に設けられた貫通穴74k(図10を参照)とが重ね合わせられた後、この貫通穴74k及び貫通穴G34hに下部軸受94aが挿通されて、上部軸受84aが下部軸受94aに嵌合されて止められる。これにより、第1駆動力伝達手段34は、上部軸受84a及び下部軸受94aを軸中心として、回動駆動が可能になる。同様にして、第2駆動力伝達手段44も、貫通穴G44hと貫通穴74kとが重ね合わせられた後、上部軸受84b及び下部軸受94bにより止められて、上部軸受84b及び下部軸受94bを軸中心として、回動駆動が可能となるように支持板74に載置される。
また、第1駆動力伝達手段34及び第2駆動力伝達手段44が支持板74に載置された際には、図9に示すように、第1駆動力伝達手段34の係合溝34rと回転モータ14の歯車14gとが噛合うとともに、第2駆動力伝達手段44の係合溝44rと回転モータ24の歯車24gとが噛合うようになる。これにより、第1駆動力伝達手段34及び第2駆動力伝達手段44が回動駆動されると、第1駆動力伝達手段34及び第2駆動力伝達手段44に連動して歯車14g及び歯車24gが回転し、それとは逆に、回転モータ(14、24)の歯車(14g、24g)を回転駆動すると、第1駆動力伝達手段34及び第2駆動力伝達手段44が連動して回動するようになっている。
また、力覚付与型多方向入力装置511が組立てられた際には、図示はしていないが、第1駆動力伝達手段34の突設部T34及び第2駆動力伝達手段44の突設部T44がスライダ2のスライダ基部2kの底面側と係合するようになる。そして、スライダ2のスライド移動に伴って、第1駆動力伝達手段34の突設部T34及び第2駆動力伝達手段44の突設部T44が回動するようになり、第1駆動力伝達手段34のギア部G34及び第2駆動力伝達手段44のギア部G44が回動駆動される。つまり、ユーザによりスライド操作がされると、操作部材3がスライド移動し、操作部材3のスライド移動によってスライダ2がスライド移動し、ギア部G34及びギア部G44が回動駆動されるようになる。従って、ユーザによるスライド操作が、ギア部G34及びギア部G44を介して、回転モータ(14、24)の歯車(14g、24g)に伝わるようになる。それとは逆に、回転モータ(14、24)を回転させると、歯車(14g、24g)を介して、第1駆動力伝達手段34及び第2駆動力伝達手段44に駆動力が伝わるようになり、この駆動力は、スライダ2を介して、操作部材3に伝達することができる。
また、力覚付与型多方向入力装置511が組立てられた際には、図示はしていないが、支持板74は、基台9の台座部9d(図4を参照)に載置され、ねじ止め等により基台9に固定される。すなわち、力覚付与ユニットU4は基台9に設置される。
検出手段M5は、図10に示すように、リング状の永久磁石15と、永久磁石15と対向して配設された磁気センサ25と、から構成され、図11に示すように、回転モータ14及び回転モータ24にそれぞれ1組ずつ配設されている。
検出手段M5の永久磁石15は、回転モータ(14、24)の駆動軸の他端側に係合されて、回転モータ(14、24)の回転に合わせて回転するようになっており、検出手段M5の磁気センサ25は、回路基板10に搭載されている。また、検出手段M5は、永久磁石15が駆動軸の回転と同時に回転することによる磁界の変化を、磁気センサ25で検出することにより、駆動軸の回転角度を検出できるようになっている。そして、検出手段M5は、この回転角度と第1駆動力伝達手段34及び第2駆動力伝達手段44の回動角度との相関を取ることにより、スライダ2の横方向のスライド位置を算出している。これにより、ユーザによる操作部材3のスライド操作の入力が行えるようになる。
また、このようにして、検出手段M5により、スライダ2の横方向のスライド位置を検出できるので、スライダ2の横方向のスライド位置に基づく駆動力を任意に発生させるため、力覚付与ユニットU4は、駆動力を発生させる駆動源である回転モータ(14、24)の回転を制御している。つまり、力覚付与ユニットU4により、スライダ2の横方向のスライド位置に基づく駆動力を、スライダ2を介して、操作部材3に付与することができる。なお、本発明の第1実施形態では、検出手段M5として、永久磁石15と磁気センサ25を組み合わせて用いたが、これに限るものではなく、例えば、駆動軸の回転方向と回転角度を個別に検出するロータリエンコーダ等であっても良い。
最後に、押下操作に係わる構成部品について説明をする。図12は、本発明の第1実施形態の力覚付与型多方向入力装置を説明する図であって、押下部材16及び駆動部17の部分における斜視図である。図13は、本発明の第1実施形態の力覚付与型多方向入力装置を説明する図であって、図12の分解斜視図である。図14は、本発明の第1実施形態の力覚付与型多方向入力装置を説明する図であって、図14(a)は、図12をY2側から見た正面図であり、図14(b)は、図12をX2側から見た側面図である。図15は、本発明の第1実施形態の力覚付与型多方向入力装置を説明する図であって、駆動部17及び基台9の部分における斜視図である。図16は、本発明の第1実施形態の力覚付与型多方向入力装置を説明する図であって、図16(a)は、図15をZ1側から見た上面図であり、図16(b)は、図15をZ2側から見た底面図である。なお、図15及び図16は、力覚付与ユニットU4、検出手段M5及び回路基板10は省略している。
押下部材16は、図12及び図13に示すように、一方向(図13に示すZ1方向)に膨らんだアーチ形状で平板形状の基体16bと、基体16bの中央部分から上方側に延出して設けられた突起部16jと、から構成されている。そして、力覚付与型多方向入力装置511が組立てられた際には、前述したように、この突起部16jは、図4に示す下部ベース11の貫通孔11h、被摺動部材S2の貫通穴S2h、スライダ2の貫通孔2h、上部ベース21の貫通孔21h、目隠し板53の貫通穴53h及び操作部材3の貫通孔3hに挿通され、それぞれの貫通孔(11h、2h、21h、3h)内及び貫通穴(S2h、53h)内を上下方向への移動が可能なように配設されている。その際には、前述したように、押下部材16の上端部16aは、図1に示すように、操作部材3の上面に突出している。
また、押下部材16の基体16bには、Y方向に長尺の開口16hとX方向に長尺の開口16kとが設けられている。この開口16hでは、図示はしていないが、第1駆動力伝達手段34の突設部T34が挿通されて、突設部T34が挿通された状態で突設部T34とスライダ2のスライダ基部2kの底面側と係合されている。同様にして、この開口16kでは、図示はしていないが、第2駆動力伝達手段44の突設部T44が挿通されて、突設部T44が挿通された状態で突設部T44とスライダ2のスライダ基部2kの底面側と係合されている。そして、開口16hは、第1駆動力伝達手段34の突設部T34のY方向への移動を許容しているともに、開口16kは、第2駆動力伝達手段44の突設部T44のX方向への移動を許容している。
駆動部17は、図12及び図13に示すように、平面状の基部K17kを有した被動作部K17と、被動作部K17を支持する連動部R17と、から構成されている。そして、力覚付与型多方向入力装置511が組立てられた際には、駆動部17は、図12及び図14に示すように、押下部材16の下方に配設され、押下部材16が駆動部17の被動作部K17に載置され、押下部材16の下端部16dに位置する基体16bの下面と駆動部17の被動作部K17とが接触するようになる。これにより、押下部材16への押下操作を受けて、駆動部17の被動作部K17が下方向に移動するとともに、被動作部K17を支持する連動部R17も下方向に移動するようになる。このため、ベース体1、スライダ2及び操作部材3と連動せずに、ユーザによる押下操作を行うことができる。
駆動部17の被動作部K17は、押下部材16の基体16bの形状に沿ったアーチ形状の基部K17kと、基部K17kの対向する1組の辺部に設けられた鍔部K17vと、から構成されている。そして、押下部材16が駆動部17の被動作部K17に載置された際には、被動作部K17が押下部材16を横方向にスライド移動可能に支持しており、操作部材3の横方向のスライド移動に伴って、押下部材16の下端部16dが被動作部K17の基部K17kの上面を摺動するように構成されている。このため、押下部材16の下端部16dと被動作部K17の基部K17kの上面とが常に接触しているので、操作部材3がどのスライド位置であっても、押下部材16の押下操作を行うことができる。
また、駆動部17の被動作部K17には、図13に示すように、大口径の開口部K17hを有しており、図6に示すように、開口部K17hには、被動作部K17の下方に配設されたギア部(図6ではギア部G44)から上方に突出した突設部(図6では突設部T44)が挿通され、この開口部K17hは、突設部(突設部T44)の横方向の移動を許容している。このため、力覚付与ユニットU4の駆動力伝達手段(図6では第2駆動力伝達手段44)が押下操作のための被動作部K17と干渉することがない。なお、突設部(T34、T44)は、被動作部K17の開口部K17hに挿通された状態で、スライダ2のスライダ基部2kの底面側と係合している。
駆動部17の連動部R17は、図13に示すように、矩形状で板状の基体R17kと、基体R17kの4辺にそれぞれ設けられたガイド部(R17a、R17b、R17c、R17d)と、基体R17kの対向する角部に設けられた1組の立設部R17tと、から構成されている。そして、連動部R17は、図14(b)に示すように、立設部R17tの上端(図14に示すZ1側)と被動作部K17の鍔部K17vとが当接されて、被動作部K17を支持している。
連動部R17の基体R17kには、図13に示すように、2つの開口R17hが設けられており、駆動源である回転モータ(14、24)の一部分が収容される。
連動部R17のガイド部(R17a、R17b、R17c、R17d)には、図13に示すように、上下方向(図13に示すZ方向)に延びる凹溝R17rがそれぞれ設けられており、この凹溝R17rは、図16(b)に示すように、基台9の内壁面に設けられた凸状のレール部9rに摺動自在に凹凸嵌合させている。これにより、駆動部17の連動部R17は、上下方向への移動に対して、基台9のレール部9rに案内されるとともに、基台9に対して上下方向へスライド可能に支持されるようになる。このことにより、ユーザによる押下操作の際に、連動部R17のガタツキやふらつきの発生を低減することができ、押下操作における操作感触を良好にすることができる。
また、被動作部K17の基部K17kの下面側には、図13及び図14に示すように、下方に延設された下垂部K17dが、連動部R17のガイド部(R17a、R17b、R17c、R17d)に対応して4ヶ所設けられており、図14に示すように、この下垂部K17dも連動部R17のガイド部(R17a、R17b、R17c、R17d)の上部と係合するようになっている。これにより、連動部R17のガイド部(R17a、R17b、R17c、R17d)が被動作部K17を固定し、被動作部K17のガタツキやふらつきの発生を低減することができる。
押動検出手段M8は、一般に広く用いられているプッシュスイッチであり、図14に示すように、回路基板10に搭載され、駆動部17の連動部R17の下方に配設されている。特に、本発明の第1実施形態では、連動部R17のガイド部(R17a、R17c)の直下に2つ配設され、連動部R17のガイド部(R17a、R17c)の下端である、接触部R17pと対向させている。そして、ユーザによる押下操作による押下部材16の押下動作に伴って、駆動部17の被動作部K17が下方向に移動するとともに、被動作部K17を支持する連動部R17も下方向に移動し、連動部R17のガイド部(R17a、R17c)の接触部R17pが、押動検出手段M8の上面に接触し押動検出手段M8を押圧するようになる。そして、押動検出手段M8の検出動作が行われ、操作部材3に対する押下操作を検出するようになる。なお、押動検出手段M8は、検出手段M5の磁気センサ25とともに、コネクタCN(図1を参照)を介して外部の図示せぬ制御部に接続されている。
基台9は、図1、図4、図15及び図16に示すように、箱状形状に形成され、力覚付与型多方向入力装置511の外殻の一部をなす中空構造で構成されている。また、基台9は、図4に示すように、中空構造の四角筒状空間が台座部9dで上下に仕切られており、台座部9dの上方でベース体1の下部ベース11とで形成された収納空間11sと、台座部9dの下方に形成された収容空間11uとを有している。そして、基台9の下部開放端を蓋閉する下カバー59が、基台9にねじNJ3(図1を参照)で固定されている。下カバー59には、回路基板10が載置されて固定されているので、前述した押動検出手段M8は基台9に設置されたようになる。
なお、収納空間11sには、主に、押下部材16の基体16b、駆動部17の被動作部K17、力覚付与ユニットU4の駆動力伝達手段(34、44)及び支持板74が収納され、収容空間11uには、主に、駆動部17の連動部R17、力覚付与ユニットU4の駆動源(14、24)、検出手段M5、押動検出手段M8及び回路基板10が収容されている。
次に、このように構成された力覚付与型多方向入力装置511の動作について、模式化した図面を用いて改めて説明を行う。また、説明を分かり易くするために、従来例と同じ構成を比較例P50として模式化した図面も用いることとした。図17は、本発明の第1実施形態の力覚付与型多方向入力装置511における動作を説明する模式図であって、押下部材16が押される前の状態を示した縦断面図である。図18は、本発明の第1実施形態の力覚付与型多方向入力装置511における動作を説明する模式図であって、押下部材16が押された後の状態を示した縦断面図である。図19は、本発明の第1実施形態の力覚付与型多方向入力装置における動作を説明する模式図であって、操作部材3がスライド移動された後の状態を示した縦断面図である。図26は、本発明の第1実施形態の力覚付与型多方向入力装置と比較した比較例P50を説明する模式図であって、図17と比較した縦断面図である。図27は、本発明の第1実施形態の力覚付与型多方向入力装置と比較した比較例P50を説明する模式図であって、図18と比較した縦断面図である。図28は、本発明の第1実施形態の力覚付与型多方向入力装置と比較した比較例P50を説明する模式図であって、図19と比較した縦断面図である。
先ず、図17に示す初期状態から、ユーザにより押下部材16への押下操作が行われると、押下部材16が下方向(図17示すZ2方向)に移動し、押下部材16の基体16bの下端部16dと常に接している被動作部K17の基部K17kの上面が押されて、被動作部K17が下方向に移動する。そして、被動作部K17の下方向への移動に伴って、被動作部K17を支持する連動部R17も下方向に移動し、連動部R17の接触部R17pが押動検出手段M8の上面に接触するようになる。更に、ユーザにより押下部材16への押下操作が行われると、図18に示すように、連動部R17の接触部R17pが押動検出手段M8を押圧するようになり、押動検出手段M8の検出動作が行われる。この際に、押下部材16は、ベース体1、スライダ2及び操作部材3と係合していないので、ベース体1、スライダ2及び操作部材3に影響を及ぼさずに、押下部材16は下方向に移動することができる。これにより、スライダ2をスライド移動可能に支持しているベース体1を基台9に確実に固定することができる。
一方、比較例P50では、図26に示す初期状態から、ユーザにより操作ノブP02への押下操作が行われると、操作ノブP02と係合され一体化されたスライダP03が下方向(図26示すZ2方向)に移動し、スライダP03をスライド移動可能に支持した支持ベース(下部ベースに相当)P11がスライダP03に押されて、支持ベースP11が下方向に移動する。そして、支持ベースP11の下方向への移動に伴って、支持ベースP11に一体化された縦動部材P12も下方向に移動し、縦動部材P12の接触部P12pが押動検出手段P06の上面に接触するようになる。更に、ユーザにより操作ノブP02への押下操作が行われると、図27に示すように、縦動部材P12の接触部P12pが押動検出手段P06を押圧するようになり、押動検出手段P06の検出動作が行われる。このように、スライダP03をスライド移動可能に支持した支持ベースP11は、上下方向に移動可能なように、筐体P07に支持される。
次に、図17に示す初期状態から、ユーザにより操作部材3へのスライド操作が行われると、図19に示すように、操作部材3が横方向(図17に示すX方向)にスライド移動するとともに、操作部材3と係合しているスライダ2及び押下部材16が横方向にスライド移動するようになる。その際には、スライダ2は、被摺動部材S2の上面側を摺動して、収納空間21s内を下部ベース11の内底面11fに沿って平行にスライド移動する。また、押下部材16は、押下部材16の基体16bの下端部16dが被動作部K17の基部K17kの上面を摺動して、収納空間11s内を基台9の台座部9dに沿って平行にスライド移動する。これにより、ユーザによるスライド操作時においても、押下部材16がスライド動作を妨げることがなく、操作感触を良好に保つことができる。また、スライド移動が行われた状態でも、押下部材16の下端部16dが被動作部K17の基部K17kの上面と常に接触しているので、押下操作が行われた際に、押下部材16の押下動作に伴って、被動作部K17が確実に押下されるようになる。このことにより、被動作部K17を支持する連動部R17の接触部R17pが押動検出手段M8を押圧することができ、どのスライド位置であっても、押下操作を行うことができる。
以上のように構成された本発明の第1実施形態の力覚付与型多方向入力装置511における、効果について、以下に説明する。
本発明の第1実施形態の力覚付与型多方向入力装置511は、ユーザによる押下部材16への押下操作を受けて、ベース体1、スライダ2及び操作部材3と係合させずに、押下部材16が駆動部17とともに下方向に移動して押動検出手段M8の検出動作が行われるように構成したので、スライダ2をスライド移動可能に支持しているベース体1を基台9に固定することができる。このことにより、押下操作以外の操作、例えばスライド操作時に、ベース体1が確実に基台9に固定されているので、ガタツキやふらつきの発生を低減することができる。
また、操作部材3の横方向のスライド移動に伴って、押下部材16の下端部16dが被動作部K17の基部K17kの上面を摺動するので、ユーザによるスライド操作時においても、押下部材16がスライド動作を妨げることがなく、操作感触を良好に保つことができる。
また、スライド移動が行われた状態でも、押下部材16の下端部16dが被動作部K17の基部K17kの上面と常に接触しているので、押下操作が行われた際に、押下部材16の押下動作に伴って、被動作部K17が確実に押下されるようになる。このことにより、被動作部K17を支持する連動部R17の接触部R17pが押動検出手段M8を押圧することができ、どのスライド位置であっても、押下操作を行うことができる。
また、駆動部17の被動作部K17には、突設部(T34、T44)の横方向の移動を許容する開口部K17hを有しているので、操作部材3のスライド移動時において、力覚付与ユニットU4の駆動力伝達手段(34、44)が被動作部K17と干渉することがない。このことにより、押下操作またはスライド操作における操作感触を良好にすることができる。
[第2実施形態]
図20は、本発明の第2実施形態の力覚付与型多方向入力装置522を説明する斜視図である。図21は、本発明の第2実施形態の力覚付与型多方向入力装置における駆動部27を説明する模式図であって、図21(a)は、上面図であり、図21(b)は、側面図である。なお、図21では、押下部材26と連動部R27の一部を省略している。また、第2実施形態の力覚付与型多方向入力装置522は、第1実施形態に対し、主に、駆動部27の構成が異なる。なお、第1実施形態と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
本発明の第2実施形態の力覚付与型多方向入力装置522は、図20に示すような外観を呈しており、収納空間を有するベース体A1と、スライド移動可能にベース体A1に支持されたスライダ2(図示していない)と、ベース体A1の上側に露出する操作部材A3と、操作部材A3に駆動力を付与可能な力覚付与ユニットU4(図示していない)と、操作部材A3のスライド操作を検出する検出手段M5(図示していない)と、ユーザによる押下操作を受けて上下方向に移動可能な押下部材26(図21を参照)と、押下部材26への押下操作を受けて下方向に移動する駆動部27(図21を参照)と、押下操作されたことを検出する押動検出手段M8(図示していない)と、力覚付与ユニットU4が設置された基台A9と、を備えて構成されている。他に、本発明の第2実施形態の力覚付与型多方向入力装置522では、図示はしていないが、検出手段M5及び押動検出手段M8が搭載される回路基板10と、基台A9と係合される下カバーA59と、を有している。そして、ユーザにより、操作部材A3へのスライド操作と押下部材26への押下操作とが行われるようになっている。
次に、第1実施形態と違う構成について詳細に説明する。
ベース体A1は、図20に示すように、第1実施形態と同様に、下部ベースA11と、上部ベースA21とからなり、これら下部ベースA11と上部ベースA21は、対角に位置する2ヶ所をねじにより止められて一体化されている。
また、ベース体A1の下部ベースA11及び上部ベースA21は、第1実施形態の下部ベース11及び上部ベース21のアーチ形状と違い、平面形状になっている。また、図示はしていないが、下部ベースA11の起立壁で囲まれた内底面は、平面形状になっており、この内底面と上部ベースA21とで収納空間が形成されている。また、この収納空間に収納されたスライダ2(図示していない)は、内底面に載置された被摺動部材S2の上面側を摺動して、収納空間の内底面に沿って、平行にスライド移動するようになっている。
操作部材A3は、図20に示すように、手で把持される操作ノブA3tと、操作ノブA3tの中心部から下方に延設された筒状の装着部A3jとから構成されている。また、図示はしていないが、操作ノブA3tの装着部A3jとスライダ2の軸部2jとが係合され、スライダ2に一体化されている。そして、操作ノブA3tは、ベース体A1の上方側に露出されている。
ここで、スライダ2、力覚付与ユニットU4、検出手段M5及び押動検出手段M8に付いては、本発明の第1実施形態と同様な構成なので、詳細な説明を省略する。
押下部材26は、図21に示すように、平板形状の基体26bと、基体26bの中央部分から上方側に延出して設けられた突起部26jと、図20に示す突起部26jと係合した操作ボタン26tと、から構成されている。そして、力覚付与型多方向入力装置522が組立てられた際には、図示はしていないが、第1実施形態と同様に、この突起部26jは、下部ベースA11の貫通孔、被摺動部材S2の貫通穴、スライダ2の貫通孔、上部ベースA21の貫通孔及び操作部材A3の貫通孔に挿通され、それぞれの貫通孔内及び貫通穴内を上下方向への移動が可能なように配設されている。その際には、押下部材26の上端部26aは、図20に示すように、操作ボタン26tが装着され、操作部材A3の上面側に突出している。
また、押下部材26の基体26bには、Y方向に長尺の開口26hとX方向に長尺の開口26kとが設けられている。この開口26hでは、図示はしていないが、第1駆動力伝達手段34の突設部T34が挿通されて、突設部T34が挿通された状態で突設部T34とスライダ2のスライダ基部2kの底面側と係合されている。同様にして、この開口26kでは、図示はしていないが、第2駆動力伝達手段44の突設部T44が挿通されて、突設部T44が挿通された状態で突設部T44とスライダ2のスライダ基部2kの底面側と係合されている。そして、開口26hは、第1駆動力伝達手段34の突設部T34のY方向への移動を許容しているともに、開口26kは、第2駆動力伝達手段44の突設部T44のX方向への移動を許容している。
駆動部27は、図21に示すように、平面状の基部K27kを有した被動作部K27と、被動作部K27を支持する連動部R27と、から構成されている。そして、力覚付与型多方向入力装置522が組立てられた際には、駆動部27は、図21に示すように、押下部材26の下方に配設され、押下部材26が駆動部27の被動作部K27に載置され、押下部材26の下端部26dに位置する基体26bの下面と駆動部27の被動作部K27とが接触するようになる。これにより、押下部材26への押下操作を受けて、駆動部27の被動作部K27が下方向に移動するとともに、被動作部K27を支持する連動部R27も下方向に移動するようになる。このため、ベース体A1、スライダ2及び操作部材A3と連動せずに、ユーザによる押下操作を行うことができる。
駆動部27の被動作部K27は、第1実施形態とは違い、図21に示すように、平面状で平板形状の基部K27kと、基部K27kの側面に回動可能に支持された一対のレバー部(A217、A227)と、一対のレバー部(A217、A227)の一方と係合する第1穴部F27aを有した第1連結部材F27と、一対のレバー部(A217、A227)の他方と係合する第2穴部G27bを有した第2連結部材G27と、を備えて構成され、一対のレバー部(A217、A227)、第1連結部材F27及び第2連結部材G27は、基部K27kの側面のうち、互いに対向する側面のそれぞれに設けられている。そして、押下部材26が駆動部27の被動作部K27に載置された際には、被動作部K27が押下部材26を横方向にスライド移動可能に支持しており、操作部材A3の横方向のスライド移動に伴って、押下部材26の下端部26dが被動作部K27の基部K27kの上面を摺動するように構成されている。このため、押下部材26の下端部26dと被動作部K27の基部K27kの上面とが常に接触しているので、操作部材A3がどのスライド位置であっても、押下部材26の押下操作を行うことができる。
被動作部K27の基部K27kは、平板形状に構成されており、上面及び下面が平面状に形成されている。この基部K27kには、前述したように、図21(b)に示すように、押下部材26が横方向にスライド移動可能に載置されるとともに、連動部R27の上面と接触し、連動部R27に支持されている。また、基部K27kの長辺側の対向する側面には、側面から延出した第1突部K217tがそれぞれ設けられているとともに、基部K27kの側面から延出した第2突部K227tがそれぞれ設けられている。
被動作部K27の一対のレバー部(A217、A227)は、図21(a)に示すように、ベース部A7bと、ベース部A7bの一端側から垂直に一方向に延びた第1腕部A7aと、ベース部A7bの他端側から一方向とは反対方向に垂直に延びた第2腕部A7cと、から構成され、基部K27kの側面のうち、互いに対向する側面のそれぞれに設けられている。そして、レバー部(A217、A227)の第1腕部A7aの一端側が基部K27kの側面に回転可能に支持されるとともに、レバー部(A217、A227)の第2腕部A7cの他端側が第1連結部材F27または第2連結部材G27と摺動可能に係合している。
被動作部K27の第1連結部材F27は、図21(b)に示すように、平板状で長尺形状をしており、一端側に設けられた第1穴部F27aと、他端側に設けられた凸部F27tと、中央部分に設けられた第1貫通孔F27hと、を有して構成されており、基部K27kの側面にそれぞれ1個ずつ配設されている。そして、第1連結部材F27の第1貫通孔F27hに基部K27kの側面から延出した第1突部K217tが挿通され、第1連結部材F27が回動可能に第1突部K217tに支持されるとともに、前述したように、第1連結部材F27の第1穴部F27aが一方のレバー部A217の第2腕部A7cに摺動可能に係合している。
被動作部K27の第2連結部材G27は、図21(b)に示すように、平板状で長尺形状をしており、一端側に設けられた第2穴部G27bと、他端側に設けられた第3穴部G27cと、中央部分に設けられた第2貫通孔G27hと、を有して構成されており、基部K27kの側面にそれぞれ1個ずつ配設されている。そして、第2連結部材G27の第2貫通孔G27hに基部K27kの側面から延出した第2突部K227tが挿通され、第2連結部材G27が回動可能に第2突部K227tに支持されるとともに、前述したように、第2連結部材G27の第2穴部G27bが他方のレバー部A227の第2腕部A7cに摺動可能に係合している。更に、第1連結部材F27の凸部F27tと第2連結部材G27の第3穴部G27cとが摺動可能に係合されている。
次に、このように構成された駆動部27の動作について、模式化した図面を用いて説明を行う。図22は、本発明の第2実施形態の力覚付与型多方向入力装置における駆動部27の移動状態を説明する側面模式図である。なお説明を分かり易くするため、連動部R27は省略している。
先ず、図22(a)に示す初期状態から、ユーザにより図示しない押下部材26への押下操作が行われると、押下部材26が下方向DR1に移動し、押下部材26の基体26bの下端部26dと常に接している被動作部K27の基部K27kの上面が押されて、被動作部K27の基部K27kが下方向DR1に移動する。そして、被動作部K27の基部K27kの下方向DR1への移動に伴って、被動作部K27を支持する図示しない連動部R27も下方向DR1に移動し、連動部R27の接触部が図示しない押動検出手段M8の上面に接触するようになる。
その際に、図22(b)に示すように、レバー部(A217、A227)が回動し、レバー部(A217、A227)の第2腕部A7cに係合している第1連結部材F27の一端側に力が加わるとともに、レバー部(A217、A227)の第2腕部A7cに係合している第2連結部材G27の一端側に同等の力が加わるようになる。そして、レバー部(A217、A227)の回動に伴って、第1連結部材F27は、第1突部K217tを支点として回転するとともに、第2連結部材G27も、第2突部K227tを支点として回転するようになる。そして、第1連結部材F27の第1穴部F27aとレバー部A217の第2腕部A7cと、第2連結部材G27の第2穴部G27bとレバー部A227の第2腕部A7cと、第1連結部材F27の凸部F27tと第2連結部材G27の第3穴部G27cと、が摺動可能に係合されているので、第1連結部材F27と第2連結部材G27とが連動して回動するようになる。これにより、被動作部K27の基部K27kは、水平を保ったまま下方向DR1に対して平行に移動することができる。更に、被動作部K27を上記のように構成すると、被動作部K27の基部K27kの何れの位置を押したとしても、被動作部K27の基部K27kは、水平を保ったまま下方向DR1に対して平行に移動するようになる。
更に、ユーザにより押下部材26への押下操作が行われると、図22(c)に示すように、被動作部K27の基部K27kは、更に下方向DR1に対して平行に下方向DR1に移動するようになる。これにより、図示しない連動部R27の接触部が押動検出手段M8を押圧するようになり、押動検出手段M8の検出動作が行われる。この際に、押下部材26は、ベース体A1、スライダ2及び操作部材A3と係合していないので、ベース体A1、スライダ2及び操作部材A3に影響を及ぼさずに、押下部材26は下方向DR1に移動することができる。これにより、スライダ2をスライド移動可能に支持しているベース体A1を基台A9に確実に固定することができる。
以上のように被動作部K27を構成することで、ユーザによる押下操作がされた際に、被動作部K27の下方向DR1の移動をバランス良く行うことができる。このため、スライダ2(押下部材26)がどのスライド位置であっても、例えば被動作部K27の基部K27kの端部分であっても、被動作部K27の基部K27kが水平を保ったまま下方向DR1に移動することとなる。このことにより、押下操作における操作感触をより良好にすることができる。
以上のように構成された本発明の第2実施形態の力覚付与型多方向入力装置522における、効果について、以下に説明する。
本発明の第2実施形態の力覚付与型多方向入力装置522は、ユーザによる押下部材26への押下操作を受けて、ベース体A1、スライダ2及び操作部材A3と係合させずに、押下部材26が駆動部27とともに下方向DR1に移動して押動検出手段M8の検出動作が行われるように構成したので、スライダ2をスライド移動可能に支持しているベース体A1を基台A9に固定することができる。このことにより、押下操作以外の操作、例えばスライド操作時に、ベース体A1が確実に基台A9に固定されているので、ガタツキやふらつきの発生を低減することができる。
また、操作部材A3の横方向のスライド移動に伴って、押下部材26の下端部26dが被動作部K27の基部K27kの上面を摺動するので、ユーザによるスライド操作時においても、押下部材26がスライド動作を妨げることがなく、操作感触を良好に保つことができる。
また、スライド移動が行われた状態でも、押下部材26の下端部26dが被動作部K27の基部K27kの上面と常に接触しているので、押下操作が行われた際に、押下部材26の押下動作に伴って、被動作部K27が確実に押下されるようになる。このことにより、被動作部K27を支持する連動部R27の接触部が押動検出手段M8を押圧することができ、どのスライド位置であっても、押下操作を行うことができる。
また、ユーザによる押下操作がされた際に、被動作部K27の下方向DR1の移動をバランス良く行うことができる。このため、スライダ2(押下部材26)がどのスライド位置であっても、例えば被動作部K27の基部K27kの端部分であっても、被動作部K27の基部K27kが水平を保ったまま下方向DR1に移動することとなる。このことにより、押下操作における操作感触をより良好にすることができる。
[第3実施形態]
図23は、本発明の第3実施形態の力覚付与型多方向入力装置533を説明する斜視図である。図24は、本発明の第3実施形態の力覚付与型多方向入力装置における駆動部37を説明する模式図であって、図24(a)は、上面図であり、図24(b)は、側面図である。なお、図24では、押下部材36と連動部R37の一部を省略している。また、第3実施形態の力覚付与型多方向入力装置533は、第1実施形態に対し、主に、駆動部37の構成が異なる。なお、第1実施形態及び第2実施形態と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
本発明の第3実施形態の力覚付与型多方向入力装置533は、図23に示すように、第1実施形態と同様な外観を呈しており、収納空間を有するベース体1と、スライド移動可能にベース体1に支持されたスライダ2(図示していない)と、ベース体1の上側に露出する操作部材3と、操作部材3に駆動力を付与可能な力覚付与ユニットU4(図示していない)と、操作部材3のスライド操作を検出する検出手段M5(図示していない)と、ユーザによる押下操作を受けて上下方向に移動可能な押下部材36(図24を参照)と、押下部材36への押下操作を受けて下方に移動する駆動部37(図24を参照)と、押下操作されたことを検出する押動検出手段M8(図示していない)と、力覚付与ユニットU4が設置された基台9と、を備えて構成されている。他に、本発明の第3実施形態の力覚付与型多方向入力装置533では、操作部材3とベース体1との間に配設される目隠し板53と、図示はしていないが、検出手段M5及び押動検出手段M8が搭載される回路基板10と、基台9と係合される下カバー59と、を有している。そして、ユーザにより、操作部材3へのスライド操作と押下部材36への押下操作とが行われるようになっている。
次に、第1実施形態と違う構成について詳細に説明する。なお、ベース体1、スライダ2、操作部材3、力覚付与ユニットU4、検出手段M5及び押動検出手段M8に付いては、本発明の第1実施形態と同様な構成なので、詳細な説明を省略する。
押下部材36は、図24に示すように、平板形状の基体36bと、基体36bの中央部分から上方側に延出して設けられた突起部36jと、から構成されている。そして、力覚付与型多方向入力装置533が組立てられた際には、第1実施形態と同様に、この突起部36jは、図示はしていないが、下部ベース11の貫通孔11h、被摺動部材S2の貫通穴S2h、スライダ2の貫通孔2h、上部ベース21の貫通孔21h、目隠し板53の貫通穴53h及び操作部材3の貫通孔3hに挿通され、それぞれの貫通孔(11h、2h、21h、3h)内及び貫通穴(S2h、53h)内を上下方向への移動が可能なように配設されている。その際には、前述したように、押下部材36の上端部36aは、図23に示すように、操作部材3の上面に突出している。
また、押下部材36の基体36bには、Y方向に長尺の開口36hとX方向に長尺の開口36kとが設けられている。この開口36hでは、図示はしていないが、第1駆動力伝達手段34の突設部T34が挿通されて、突設部T34が挿通された状態で突設部T34とスライダ2のスライダ基部2kの底面側と係合されている。同様にして、この開口36kでは、図示はしていないが、第2駆動力伝達手段44の突設部T44が挿通されて、突設部T44が挿通された状態で突設部T44とスライダ2のスライダ基部2kの底面側と係合されている。そして、開口36hは、第1駆動力伝達手段34の突設部T34のY方向への移動を許容しているともに、開口36kは、第2駆動力伝達手段44の突設部T44のX方向への移動を許容している。
駆動部37は、図24に示すように、平面状の基部K37kを有した被動作部K37と、被動作部K37を支持する連動部R37と、から構成されている。そして、力覚付与型多方向入力装置533が組立てられた際には、駆動部37は、図24に示すように、押下部材36の下方に配設され、押下部材36が駆動部37の被動作部K37に載置され、押下部材36の下端部36dに位置する基体36bの下面と駆動部37の被動作部K37とが接触するようになる。これにより、押下部材36への押下操作を受けて、駆動部37の被動作部K37が下方向(図24に示すZ2方向)に移動するとともに、被動作部K37を支持する連動部R37も下方向に移動するようになる。このため、ベース体1、スライダ2及び操作部材3と連動せずに、ユーザによる押下操作を行うことができる。
駆動部37の被動作部K37は、第1実施形態とは違い、図24に示すように、平面状で平板形状の基部K37kと、基部K37kに回動可能に支持された一対のレバー部(B317、B327)と、一対のレバー部(B317、B327)に係合する連結部材H37と、を備えて構成されている。そして、押下部材36が駆動部37の被動作部K37に載置された際には、被動作部K37が押下部材36を横方向にスライド移動可能に支持しており、操作部材3の横方向のスライド移動に伴って、押下部材36の下端部36dが被動作部K37の基部K37kの上面を摺動するように構成されている。このため、押下部材36の下端部36dと被動作部K37の基部K37kの上面とが常に接触しているので、操作部材3がどのスライド位置であっても、押下部材36の押下操作を行うことができる。
被動作部K37の基部K37kは、平板形状に構成されており、上面及び下面が平面状に形成されている。この基部K37kには、前述したように、図24(b)に示すように、押下部材36が横方向にスライド移動可能に載置されるとともに、連動部R37の上面と接触し、連動部R37に支持されている。
被動作部K37の一対のレバー部(B317、B327)は、図24(a)に示すように、ベース部B7bと、ベース部B7bの一端側から垂直に一方向に延びた第1腕部B7aと、ベース部B7bの他端側から一方向とは反対方向に垂直に延びた第2腕部B7cと、から構成され、基部K37kの側面のうち、互いに対向する側面のそれぞれに設けられている。そして、レバー部(B317、B327)の第1腕部B7aの一端側が基部K37kの側面に回転可能に支持されるとともに、レバー部(B317、B327)の第2腕部B7cの他端側が連結部材H37と遊嵌されて係合している。
被動作部K37の連結部材H37は、図24(b)に示すように、平板状で長尺形状をしており、一端側に設けられた第1孔部H37hと、他端側に設けられた第2孔部H37kと、を有して構成されており、基部K37kの側面の側面にそれぞれ1個ずつ配設されている。そして、連結部材H37の第1孔部H37hに一方のレバー部B317の第2腕部B7cに遊嵌されて係合しているとともに、連結部材H37の第2孔部H37kに他方のレバー部B327の第2腕部B7cに遊嵌されて係合している。
次に、このように構成された駆動部37の動作について、模式化した図面を用いて説明を行う。図25は、本発明の第3実施形態の力覚付与型多方向入力装置における駆動部37の移動状態を説明する側面模式図である。なお説明を分かり易くするため、連動部R37は省略している。
先ず、図25(a)に示す初期状態から、ユーザにより図示しない押下部材36への押下操作が行われると、押下部材36が下方向DR1に移動し、押下部材36の基体36bの下端部36dと常に接している被動作部K37の基部K37kの上面が押されて、被動作部K37の基部K37kが下方向DR1に移動する。そして、被動作部K37の基部K37kの下方向DR1への移動に伴って、被動作部K37を支持する図示しない連動部R37も下方向DR1に移動し、連動部R37の接触部が図示しない押動検出手段M8の上面に接触するようになる。
その際に、図25(b)に示すように、レバー部(B317、B327)が回動し、レバー部(B317、B327)の第2腕部B7cのそれぞれに係合している連結部材H37の一端側及び他端部側に同等の力が加わるようになる。そして、連結部材H37の第1孔部H37h及び第2孔部H37kとレバー部(B317、B327)の第2腕部B7cとが遊嵌されて係合しているので、レバー部(B317、B327)の回動に伴って、連結部材H37の基部K37kが下方向DR1に移動する。これにより、被動作部K37の基部K37kは、水平を保ったまま下方向DR1に対して平行に移動することができる。更に、被動作部K37を上記のように構成すると、被動作部K37の基部K37kの何れの位置を押したとしても、被動作部K37の基部K37kは、水平を保ったまま下方向DR1に対して平行に移動するようになる。
更に、ユーザにより押下部材36への押下操作が行われると、図25(c)に示すように、被動作部K37の基部K37kは、更に下方向DR1に対して平行に下方向DR1に移動するようになる。これにより、図示しない連動部R37の接触部が押動検出手段M8を押圧するようになり、押動検出手段M8の検出動作が行われる。この際に、押下部材36は、ベース体1、スライダ2及び操作部材3と係合していないので、ベース体1、スライダ2及び操作部材3に影響を及ぼさずに、押下部材36は下方向DR1に移動することができる。これにより、スライダ2をスライド移動可能に支持しているベース体1を基台9に確実に固定することができる。
以上のように被動作部K37を構成することで、ユーザによる押下操作がされた際に、被動作部K37の下方向DR1の移動をバランス良く行うことができる。このため、スライダ2(押下部材36)がどのスライド位置であっても、例えば被動作部K37の基部K37kの端部分であっても、被動作部K37の基部K37kが水平を保ったまま下方向DR1に移動することとなる。このことにより、押下操作における操作感触をより良好にすることができる。
以上のように構成された本発明の第3実施形態の力覚付与型多方向入力装置533における、効果について、以下に説明する。
本発明の第3実施形態の力覚付与型多方向入力装置533は、ユーザによる押下部材36への押下操作を受けて、ベース体1、スライダ2及び操作部材3と係合させずに、押下部材36が駆動部37とともに下方向DR1に移動して押動検出手段M8の検出動作が行われるように構成したので、スライダ2をスライド移動可能に支持しているベース体1を基台9に固定することができる。このことにより、押下操作以外の操作、例えばスライド操作時に、ベース体1が確実に基台9に固定されているので、ガタツキやふらつきの発生を低減することができる。
また、操作部材3の横方向のスライド移動に伴って、押下部材36の下端部36dが被動作部K37の基部K37kの上面を摺動するので、ユーザによるスライド操作時においても、押下部材36がスライド動作を妨げることがなく、操作感触を良好に保つことができる。
また、スライド移動が行われた状態でも、押下部材36の下端部36dが被動作部K37の基部K37kの上面と常に接触しているので、押下操作が行われた際に、押下部材36の押下動作に伴って、被動作部K37が確実に押下されるようになる。このことにより、被動作部K37を支持する連動部R37の接触部が押動検出手段M8を押圧することができ、どのスライド位置であっても、押下操作を行うことができる。
また、ユーザによる押下操作がされた際に、被動作部K37の下方向DR1の移動をバランス良く行うことができる。このため、スライダ2(押下部材36)がどのスライド位置であっても、例えば被動作部K37の基部K37kの端部分であっても、被動作部K37の基部K37kが水平を保ったまま下方向DR1に移動することとなる。このことにより、押下操作における操作感触をより良好にすることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば次のように変形して実施することができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属する。
<変形例1>
上記実施形態では、ベース体1の内底面11fやスライダ2のスライダ基部2k等をアーチ形状の平板状で構成したが、第2実施形態と同様な平面形状に構成しても良い。
<変形例2>
上記実施形態では、スライダ移動を円滑にさせるため、被摺動部材S2を好適に用いたが、被摺動部材S2を用いない構成であっても良い。
<変形例3>
上記実施形態では、押下部材(16、26、36)の突起部(16j、26j、36j)がスライダ2の軸中心の貫通孔2h及び操作部材(3、A3)の軸中心の貫通孔に挿通した構成に好適にしたが、これに限らず、スライダ2及び操作部材(3、A3)と係合させない構成であれば良い。例えば、スライダ及び操作部材の軸と隣り合わせに押下部材の突起部を配設しても良いし、スライダ及び操作部材の軸を取り囲む筒状の突起部にしても良い。
本発明は上記実施の形態に限定されず、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更することが可能である。