<第1実施形態>
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づき説明する。図1から図6において、本実施形態に係るタイヤの製造方法は、円環状のタイヤ骨格部材12を形成し、該タイヤ骨格部材12の外周面12Aに、未加硫ゴムの一例たるクッションゴム14を配置し、更に該クッションゴム14のタイヤ直径方向外側に、加硫済み又は半加硫状態のトレッドゴム16を同軸配置し、トレッドゴム16とタイヤ骨格部材12とを位置合わせしたのち接触させることで仮組品20を構成し、該仮組品20を加熱及び加圧等を行って加硫を行うことで、トレッドゴム16をタイヤ骨格部材12に接着する、というものである。
(タイヤ骨格部材)
図3に示すように、タイヤ骨格部材12は、例えば熱可塑性材料を用いて、仮組品20のクラウン部24となる形状と、該クラウン部24のタイヤ軸方向両側から夫々タイヤ径方向内側に連なるサイド部26となる形状と、該サイド部26のタイヤ径方向内側に連なるビード部28となる形状とを有するように成型される。ビード部28には、ビードコア30が埋設される。このビードコア30の材料には、例えば金属、有機繊維、有機繊維を樹脂で被覆したもの、又は硬質樹脂が用いられる。なお、ビード部28の剛性が確保され、リム(図示せず)との嵌合に問題がなければ、ビードコア30を省略してもよい。
このタイヤ骨格部材12は、まず、例えば仮組品20のタイヤ幅方向の中心部、即ちタイヤ赤道面CL、又はその近傍面を中心とした半割り形状に成型され、クラウン部24の端部同士を接合することにより構成される。この接合には、例えば同種又は異種の熱可塑性材料や接着剤等の接合部材34が用いられる。
クラウン部24には、補強用のコード32が例えば螺旋状に巻回されている。このコード32としては、例えばスチールコードや、金属繊維や有機繊維等のモノフィラメント(単線)又はこれらの繊維を撚ったマルチフィラメント(撚り線)を用いるとよい。コード32としてスチールコードを用いる場合、例えばクラウン部24のタイヤ直径方向外側に、熱可塑性材料からなるシート(図示せず)を貼り付けておき、コード32を加熱しながら、該シートに対してタイヤ周方向に螺旋巻きして埋設して行くことができる。このとき、コード32とシートの双方を加熱するようにしてもよい。
このように、クラウン部24に対して、補強用のコード32を、タイヤ周方向に螺旋巻きすることで、該クラウン部24のタイヤ周方向の剛性を向上させると共に、該クラウン部24の耐破壊性を向上させることができる。またこれによって、仮組品20のクラウン部24における耐パンク性を高めることができる。なお、クラウン部24を補強するに際し、コード32をタイヤ周方向に螺旋状に巻回することが、製造上容易であるため好ましいが、該コード32をタイヤ幅方向において不連続としてもよい。またタイヤ骨格部材12(例えば、ビード部28、サイド部26、クラウン部24等)に、更なる補強材(高分子材料や金属製の繊維、コード、不織布、織布)を埋設配置し、該補強材でタイヤ骨格部材12を補強してもよい。
タイヤ骨格部材12のビード部28のうち、リム(図示せず)に嵌合する部位には、シール層36が設けられる。これにより、ビード部28のリムフィット性を高めることができる。このシール層36としては、タイヤ骨格部材12に用いられる熱可塑性材料よりもシール性の高い、ゴムや樹脂、エラストマー等を用いることができる。なお、タイヤ骨格部材12に用いられる熱可塑性材料のみでリムとの間のシール性が確保できれば、該シール層36を省略してもよい。
(クッションゴム及びトレッドゴムの配置)
図3に示されるように、タイヤ骨格部材12の外周面12Aにクッションゴム14を配置する際、該外周面12Aに例えば1層又は2層の接着剤40を塗布することが好ましい。この接着剤40の塗布は、湿度70%以下の雰囲気で行うことが好ましい。接着剤40は、特定の種類に限定されるものではないが、例えばトリアジンチオール系のものを用いることができ、他には塩化ゴム系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、イソシアネート系接着剤等も用いることができる。
また、外周面12Aに接着剤40を塗布する前に、該外周面12Aをショットブラスト、サンドペーパーやグラインダ等でバフ掛けしておくことが好ましい。外周面12Aに接着剤40が付き易くなるからである。更に、バフ掛け後の外周面12Aをアルコール等で洗浄して脱脂しておくことが好ましい。またバフ掛け後の外周面12Aに対し、コロナ処理や紫外線照射処理を行うことが好ましい。
加硫済み又は半加硫状態のトレッドゴム16を、クッションゴム14のタイヤ直径方向外側に配置する際には、該トレッドゴム16の裏面側や該クッションゴム14の外周面側に、粘着性を有する例えばゴムセメント組成物42を塗布しておくことが好ましい。トレッドゴム16がクッションゴム14に貼り付くことで仮止め状態となり、作業性が向上するからである。
トレッドゴム16の材質として、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)を用いる場合には、ゴムセメント組成物42として、例えばSBR系のスプライスセメントを用いることが好ましい。また、トレッドゴム16の材質として、NR(天然ゴム)の配合比の高いSBR系ゴムを用いる場合には、SBR系のスプライスセメントにBR(ブタジエンゴム)を配合したものを用いることが好ましい。この他、ゴムセメント組成物42として、液状BR等の液状エラストマーを配合した無溶剤セメントや、IR(イソプレンゴム)−SBRのブレンドを主成分とするセメントを用いることが可能である。
トレッドゴム16は、予め踏面16A側に主溝等のトレッドパターンが形成された、所謂PCT(Pre-Cured Tread)である。トレッドパターンを形成するため、未加硫ゴムをPCT用金型内で加硫して、トレッドゴム16を成型する。このとき、トレッドゴム16は、最終製品として必要とされる加硫度に至った加硫済み状態、又は未加硫の状態よりは加硫度が高いが、最終製品として必要とされる加硫度には至っていない半加硫状態とされる。
本実施形態において、トレッドゴム16をクッションゴム14の外周に配置するに際しては、図4から図6にて示されるように、予め円環状に形成されたトレッドゴム16を用いる。
(タイヤ骨格部材とトレッドゴムの接合)
次いで図4から図6において、円環状のトレッドゴム16をクッションゴム14のタイヤ直径方向外側に配置する方法について簡単に説明する。
この方法では、図4に示されるように、環状のトレッドゴム16を治具52によって拡径し、拡径したトレッドゴム16の内周側に、タイヤ骨格部材12を配置するタイヤ組み付け治具11が用いられる。タイヤ骨格部材12の外周面12Aには、図4では図示を省略するが、クッションゴム14(図3参照)が配置されている。
治具52は円盤状の台座54の上面に、円形に配置された複数(本実施形態では合計で8つ)の移動ブロック56を備えている。これらの移動ブロック56は、シリンダやねじ等の送り手段(図示省略)により台座54の直径方向内側(矢印E方向)と直径方向外側(矢印F方向)に同期して移動可能に構成されている。また、各移動ブロック56には、それぞれ複数(本実施形態では合計で2つ)のピン58が立設され、拡縮部材57を形成している。台座54におけるピン58の内周側には、複数のピン60が円形に沿って配置されている。
なお、すべてのピン58は、円形に沿った位置に配置されており、各移動ブロック56の移動によって、台座54の直径方向内側(矢印E方向)と直径方向外側(矢印F方向)へ移動させるようになっている。
従って、環状のトレッドゴム16を各ピン58の外周側に配置し、各移動ブロック56を台座54の直径方向外側(矢印F方向)へ移動させることでトレッドゴム16を拡径する。その後、図5に示されるように、該トレッドゴム16の内周側に、タイヤ骨格部材12を配置する。このとき、タイヤ骨格部材12は、該ピン58と、ピン60との間に配置された状態となる。
その後、ピン58をトレッドゴム16とタイヤ骨格部材12との間から引き抜くことで、図6に示されるように、該トレッドゴム16がクッションゴム14(図示せず)のタイヤ直径方向外側に配置された状態となる。このとき、拡径された環状のトレッドゴム16の張力により、タイヤ骨格部材12の外周面12Aとトレッドゴム16との間にクッションゴム14が挟み込まれた状態となる。
(タイヤ骨格部材とトレッドゴムの位置合わせ)
ここで、本実施形態に係るタイヤ製造方法における、タイヤ骨格部材12とトレッドゴム16の位置合わせ方法について説明する。
上記のように、環状のトレッドゴム16を治具52に配置し、ピン58によって拡径し、その内周側にタイヤ骨格部材12を同軸配置する。このとき、移動ブロック56上のタイヤ骨格部材12の幅方向(上下方向)中央位置と、ピン58に張り渡されたトレッドゴム16の幅方向中央位置とが一致している必要がある。
このため本実施形態では、予めタイヤ骨格部材12の幅方向における中央位置すなわち図3にタイヤ赤道面CLで示す中央位置の、治具52上面52Aからの高さを算出する。
図1に示すように、タイヤ骨格部材12の幅Aを予め算出しておき、移動ブロック56の高さCを加えたA/2+Cを、治具52の上面52Aからの中央位置12Cの高さBとする。次いでトレッドゴム16の幅方向における中央位置を表す目印16Cが、治具52の上面52から高さBの位置にくるように、ピン58に張り渡されたトレッドゴム16の上下方向位置を調節する。
本実施形態では、トレッドゴム16の中央位置を示す指標としての目印16Cを、トレッドゴム16の幅方向中央において、周方向にわたって設けられた略三角断面の突起16Dの頂点としている。なお図1において突起16Dは拡大して表示されているが、実際に突起16Dの突出高さは1mm程度に抑えることで、接地圧が高くならないようしている。
図1に示すように治具52には位置合わせ手段100が設けられている。治具52のタイヤ骨格部材12の内周側に設けられた台座102にはタイヤ幅方向(上下方向)に位置調整可能に支持された支持柱104が設けられている。支持柱104の位置調整方法としては、ヘリコイドやラック&ピニオン、あるいはより単純に締め付けネジを備えた2重パイプ構造など、種々の方法を採用することができる。
支持柱104からタイヤ径方向外側にアーム106が回転可能に延設されている。すなわち支持柱104を中心として、台座54の上面に沿ってアーム106は矢印Rのように回転可能に支持されている。アーム106の先端には支持柱108がタイヤ幅方向(上下方向)に延設され、さらに表示手段110が設けられ、治具52の上面52Aからの中央位置12Cの高さBを指針や光線などの方法でトレッドゴム16の外周面に表示する。このとき表示手段110が示す高さBの位置が、トレッドゴム16の外周面からの距離によって誤差を生じないように、指針や光線などは治具52の上面52Aに沿った方向(この場合は水平)を指すように設けられている。
すなわち支持柱104をタイヤ幅方向(上下方向)に位置調整することにより、表示手段110のタイヤ幅方向(上下方向)に沿った設置位置を調整することができる。表示手段110としては、光源からのレーザー光線を目印16Cの表面へ照射することにより基準位置を非接触で示すことができるレーザーマーカーなどを好適に使用できる。治具52の上面52Aからの中央位置12Cの高さBは前述のようにA/2+Cと規定されているので、表示手段110を高さBの位置に合わせることで、タイヤ骨格部材12の幅方向中央位置をトレッドゴム16の外周面に表示させることができる。
ここで表示手段110の位置を高さBに合致させる方法としては特に限定されないが、予め支持柱104の表示手段110と同じ高さ位置にケガキ線などの目印を付けておき、治具52の上面52Aからの高さを定規等で計る方法が考えられる。あるいはより単純に表示手段110の上面52Aからの高さを直接、計ってもよい。もしくは表示手段110を支持柱108上で上面52Aに沿って回転可能として、タイヤ幅方向(上下方向)に予め設けた定規を用いて表示手段110の位置を見ながら支持柱104の位置を調整してもよい。あるいは支持柱104を固定し、支持柱108に対して表示手段110を移動可能としてもよいが、タイヤ骨格部材12の幅サイズ変更に対応させるため支持柱104は上下方向に可動としたほうが望ましい。
ここで、アーム106は支持柱104を中心としてタイヤ周方向に回転可能に支持されているので、アーム106を回転させることによって表示手段110はトレッドゴム16の外周面に沿って高さBの位置を表示することができる。この場合に、支持柱104は、タイヤ軸上に配置することが好ましい。これにより、トレッドゴム16の周方向位置によって幅方向位置がずれていても、表示手段110で表示される高さBの位置と目印16Cとの位置ずれとして、検出することができる。
次いでトレッドゴム16をタイヤ幅方向(上下方向)に位置調整することにより、目印16Cの位置を、表示手段110の示す高さBの位置に合致させる。トレッドゴム16は移動ブロック56に設けられたピン58に張り渡されているので、目印16Cを表示手段110の示す高さBに合致するように、全周にわたってトレッドゴム16の高さ方向位置を調整したのち、前述のようにタイヤ骨格部材12を、ピン58とピン60との間に配置する。
これによりタイヤ骨格部材12の中央位置12Cと、トレッドゴム16のタイヤ幅方向中央位置を示す目印16Cとの位置を合わせることができる。
アーム106は支持柱104を中心としてタイヤ周方向に回転可能とされていることに加えて、目印16Cのタイヤ周方向位置にあわせて、表示手段110をタイヤ周方向に首振り移動可能とすることもできる。図1では台座102はタイヤ骨格部材12の内周側に設けられているが、タイヤ軸(径方向中心)に限定せず内周側の任意の位置でよい。ただし支持柱104を中心としてアーム106を回転させる都合上、タイヤ軸に近いことが望ましい。
なお本実施形態では目印16Cを、トレッドゴム16の幅方向中央において、周方向にわたって設けられた略三角断面の突起16Dの頂点としているが、これに限定されず、例えばトレッドゴム16の外周面に刻まれたケガキ線などでもよいし、ペイントで引いた線とされていてもよい。ペイントであれば、目印16Cはトレッドゴム16の形成後に設けることが出来る。
さらに目印16Cはトレッドゴム16の外周面全てにわたって設けられている構成に限定されず、タイヤ周方向の一部のみ、あるいは間隔を置いて間欠的に設けられていてもよい。但し、位置合わせ精度の点から目印16Cはタイヤ周方向にわたって設けられていることが望ましい。
(仮組品の組立て及び加硫)
次に、トレッドゴム16の外周を拘束部材等で覆って仮組品20を構成する(図示せず)。クッションゴム14を介してトレッドゴム16が配置されたタイヤ骨格部材12を、例えば帯状の拘束部材を巻回して締め付けることにより、トレッドゴム16をタイヤ骨格部材12に押し付けることができる。
タイヤ骨格部材12の剛性が、拘束部材による締付けにより変形しない程度の十分な剛性を有している場合には、トレッドゴム16の外周を拘束部材で覆った状態で加硫を行うことができる。またタイヤ骨格部材12の剛性が若干少なく、拘束部材による締付け時にタイヤ骨格部材12の変形が生じる場合には、タイヤ骨格部材12のビード部28を例えば円盤状の支持部材で支持するとよい。更にタイヤ骨格部材12の剛性が少ない場合には、タイヤ半径方向に移動可能な内駒をタイヤ周方向に複数配置した固定治具(図示せず)を用いることができる。
そして仮組品20を適切な容器内に収容し、該容器内にて加熱及び加圧を行って加硫を行う。この容器は所謂加硫缶であるが、仮組品20を収容する容量を有し、加硫時の加熱及び加圧に耐えうる容器であればよく、形式は問わない。加硫条件は、例えば温度が120℃、圧力が2026hPa(2気圧)、時間が1時間である。
<第2実施形態>
以下、本発明の第2実施形態に係るタイヤの製造方法を図面に基づき説明する。なお第1実施形態と同じ内容については同一の符号を付して説明を省略する。
図2に基づいて、本実施形態に係るタイヤ製造方法における、タイヤ骨格部材12とトレッドゴム16の位置合わせ方法について説明する。
本実施形態においては第1実施形態と同様、環状のトレッドゴム16を治具52に配置し、ピン58によって拡径し、その内周側にタイヤ骨格部材12を同軸配置するタイヤ組み付け治具13が用いられる。このとき、移動ブロック56上のタイヤ骨格部材12の幅方向(上下方向)中央位置と、ピン58に張り渡されたトレッドゴム16の幅方向中央位置とが一致している必要がある。
このため本実施形態においては、先ずタイヤ骨格部材12の内周面に、幅方向中央位置を示す指標としての目印12Eを、周方向にわたって設けられた略三角断面の突起12Dの頂点として設けている。なお突起12Dはタイヤ骨格部材の内周面に設けられるため、その突出高さは第1実施形態および本実施形態でトレッドゴム16の外周面に設けられる突起16Dに比較して特に限定されるものではない。
治具52上に設けられた位置合わせ手段120で、径方向内側でタイヤ骨格部材12の幅方向(上下方向)中央位置を目印12Eの高さとして読み込み、かつ径方向外側からトレッドゴム16の外周面に該中央位置を表示し、トレッドゴム16の幅方向中央位置をこれに一致させる。
本実施形態でも、トレッドゴム16の中央位置を示す指標としての目印16Cを、トレッドゴム16の幅方向中央において、周方向にわたって設けられた略三角断面の突起16Dの頂点としている。
図2に示すように、治具52には位置合わせ手段120が設けられている。治具52のタイヤ骨格部材12の内周側に設けられた台座122にはタイヤ幅方向(上下方向)に位置調整可能に支持された支持柱124が設けられている。支持柱124の位置調整方法としては、第1実施形態と同様にヘリコイドやラック&ピニオン、あるいはより単純に締め付けネジを備えた2重パイプ構造など、種々の方法を採用することができる。
支持柱124には、タイヤ骨格部材12の内周面において目印12Eの位置(高さ)を指針や光線などの方法で目印12Eに合致させ読み取る測定手段130Aが設けられている。測定手段130Aは支持柱124に固定されており、支持柱124の上下方向の移動に連れて上下する。この支持柱124を上下動させることによって測定手段130Aもまた上下動し、測定手段130Aのタイヤ幅方向(上下方向)位置を目印12Eに合致させることができる。
また支持柱124からタイヤ径方向外側にアーム126が延設されている。アーム126の先端には支持柱128がタイヤ幅方向(上下方向)に延設され、さらにトレッドゴム16の外周面に対向するように表示手段130Bが設けられている。表示手段130Bもまた測定手段130Aと同様、支持柱128に固定され、支持柱128の上下方向の移動に連れて上下する。かつ、表示手段130Bは常に測定手段130Aと同じ高さ(上面52Aからの距離)を指すように、支持柱124、128およびアーム126で両者は連結されている。
タイヤ骨格部材12を治具52上の移動ブロック56に置いたのち、矢印132のように支持柱124をタイヤ幅方向(上下方向)に位置調整することにより、測定手段130Aのタイヤ幅方向(上下方向)位置を調整する。測定手段130Aとしては、簡易に非接触で位置を表示できるレーザーマーカーなどを好適に使用できる。
支持柱124の位置を調整し、測定手段130Aをタイヤ骨格部材の目印12Eの高さに合致させると、上記のようにこれと連動して表示手段130Bもまた、トレッドゴム16の外周面側から目印12Eの高さを指し示す。
次いでトレッドゴム16をタイヤ幅方向(上下方向)に位置調整することにより、トレッドゴム16の外周面に設けられた目印16Cの位置を、表示手段130Bの示す目印12Eの位置(高さ)に合致させる。
第1実施形態と同様、アーム126は支持柱124を中心として矢印Rのようにタイヤ周方向に回転可能に支持されているので、アーム126を回転させることによって表示手段130A、130Bはタイヤ骨格部材12の内周面、およびトレッドゴム16の外周面に沿って基準位置(幅方向中央)を表示することができる。これにより、トレッドゴム16の周方向位置によって幅方向位置がずれていても、表示手段130Bで表示される基準位置と目印16Cとの位置ずれとして、検出することができる。
トレッドゴム16は移動ブロック56に設けられたピン58に張り渡されているので、目印16Cを表示手段130Bの示す高さ、すなわち目印12Eの高さに、全周にわたって合致するようにトレッドゴム16の高さ方向位置を調整したのち、ピン58を取り除き、タイヤ骨格部材12とトレッドゴム16とを接合する。これによりタイヤ骨格部材12の幅方向中央位置を示す目印12Eと、トレッドゴム16のタイヤ幅方向中央位置を示す目印16Cとの位置を合わせることができる。
本実施形態においては第1実施形態と異なり、予めタイヤ骨格部材12の幅方向サイズを測定する必要はなく、その中心位置を算出する必要もない。移動ブロック56に裁置されたタイヤ骨格部材12に予め設けられている目印12Eに、測定手段130Aの位置を合わせることで、これに連動して表示手段130Bが外周面側からトレッドゴム16の目印16Cを合わせるべき位置を指し示す。これによりトレッドゴム16を上下方向に移動させ目印16Cを表示手段130Bに合わせるだけで、タイヤ骨格部材12とトレッドゴム16とのタイヤ幅方向中心の位置を一致させることができる。
なお本実施形態でも目印16Cを、トレッドゴム16の幅方向中央において、周方向にわたって設けられた略三角断面の突起16Dの頂点としているが、これに限定されず、例えばトレッドゴム16の外周面に刻まれたケガキ線などでもよいし、ペイントで引いた線とされていてもよい。ペイントであれば、目印16Cはトレッドゴム16の形成後に設けることが出来る。
さらに目印16Cはトレッドゴム16の外周面全てにわたって設けられている構成に限定されず、タイヤ周方向の一部のみ、あるいは間隔を置いて間欠的に設けられていてもよい。同様に目印12Eもまたタイヤ骨格部材12の内周面全てにわたって設けられている構成に限定されず、タイヤ周方向の一部のみ、あるいは間隔を置いて間欠的に設けられていてもよい。但し、目印16Cの高さを目印12Eの高さに合わせる都合上、位置合わせ精度の点から目印12E、16Cはタイヤ周方向にわたって設けられていることが望ましい。
以上、実施例を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、上記実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。
例えば、上記実施形態においてはタイヤ骨格部材12およびトレッドゴム16を、回転軸が上下を向くように配置しているが、これに限定せず回転軸が水平方向を向くように配置してもよい。この場合は治具52の上面52Aは垂直面となり、タイヤ幅方向位置は該垂直面からの距離として扱うものとする。
さらに、タイヤ骨格部材12とトレッドゴム16とは、両者のタイヤ幅方向中央を一致させることで位置合わせを行っているが、これに限定せず任意の幅方向位置で行っても良い。すなわち、例として幅方向三分の一の位置を示す目印を一致させてもよい。この場合は、例えば使用されるトレッドゴム16の幅サイズが変更されれば、目印の位置も変更する必要がある。且つ、幅方向中央以外の箇所で位置合わせを行う際はタイヤ骨格部材12とトレッドゴム16を治具52にセットする方向(車体内側と外側など)に留意する必要がある。
また樹脂材料として熱可塑性材料を用いる例を挙げて説明したが、ユリア樹脂、フェノール系樹脂等の熱硬化性樹脂を用いてタイヤを製造してもよく、本発明では用いる樹脂材料は熱可塑性材料には限られない。
すなわち上記各実施形態において、タイヤ骨格部材12は樹脂材料で形成されているが、樹脂材料としては、熱可塑性樹脂(熱可塑性エラストマーを含む)、熱硬化性樹脂、及びその他の汎用樹脂のほか、エンジニアリングプラスチック(スーパーエンジニアリングプラスチックを含む)等が挙げられる。
熱可塑性樹脂(熱可塑性エラストマーを含む)とは、温度上昇と共に材料が軟化、流動し、冷却すると比較的硬く強度のある状態になる高分子化合物をいう。本明細書では、このうち、温度上昇と共に材料が軟化、流動し、冷却すると比較的硬く強度のある状態になり、かつ、ゴム状弾性を有する高分子化合物を熱可塑性エラストマーとし、温度上昇と共に材料が軟化、流動し、冷却すると比較的硬く強度のある状態になり、かつ、ゴム状弾性を有しない高分子化合物をエラストマーでない熱可塑性樹脂として、区別する。
熱可塑性樹脂(熱可塑性エラストマーを含む)としては、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、及び、動的架橋型熱可塑性エラストマー(TPV)、ならびに、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂、ポリスチレン系熱可塑性樹脂、ポリアミド系熱可塑性樹脂、及び、ポリエステル系熱可塑性樹脂等が挙げられる。
また、上記の熱可塑性材料としては、例えば、ISO75−2又はASTM D648に規定されている荷重たわみ温度(0.45MPa荷重時)が78℃以上、JIS K7113に規定される引張降伏強さが10MPa以上、同じくJIS K7113に規定される引張破壊伸び(JIS K7113)が50%以上。JIS K7206に規定されるビカット軟化温度(A法)が130℃であるものを用いることができる。
熱硬化性樹脂とは、温度上昇と共に3次元的網目構造を形成し、硬化する高分子化合物をいう。熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂等が挙げられる。
なお、樹脂材料には、既述の熱可塑性樹脂(熱可塑性エラストマーを含む)及び熱硬化性樹脂のほか、(メタ)アクリル系樹脂、EVA樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂等の汎用樹脂を用いてもよい。なお、ここでの樹脂材料には、加硫ゴムは含まれない。