JP6045102B2 - コイル部品ユニット、その放熱構造、及びコイル部品ユニットの製造方法 - Google Patents
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そこで、従来では、例えば特許文献1のように、コイル部品を収容ケースに収容すると共に、充填樹脂を収容ケース内に充填してコイル部品を埋設することが考えられている。この構成では、コイル部品の熱を充填樹脂側に拡散することを図っている。
また、熱伝導部材をインサート成形した収容ケースは、収容ケースを熱伝導率の高い樹脂で成形する場合、及び、熱伝導部材と収容ケースとを別個に形成して相互に固定する場合と比較して、より安価に製造することができる。さらに、熱伝導部材と収容ケースとを別個に形成して相互に固定する場合と比較すると、収容ケースの構成部品点数が少ないため、コイル部品ユニットの製造効率向上を図ることもできる。
また、上記コイル部品ユニットでは、その製造に際して、収容ケース内に溶融状態の充填樹脂(溶融樹脂)を流し込んだ後、コイル部品を収容ケース内に挿入したときに、溶融樹脂が収容空間から樹脂流入空間に流れ込むことで、溶融樹脂が収容ケース外部に溢れることを防止することができる。
また、基板の搭載面に加熱されることが好ましくない電子部品が搭載されていても、この電子部品がコイル部品の熱によって加熱されることを抑制できる。
さらに、上記放熱構造を製造する際に、各種部品の寸法誤差等によってコイル部品ユニットの底壁部と放熱部材との間に隙間が生じていたり、底壁部の外面がコイル部品ユニットに対向する放熱部材の平坦面に対して傾いていても、放熱シートあるいは放熱グリスによってこの隙間を埋めることができる。したがって、コイル部品の熱を熱伝導部材から放熱部材に効率よく伝えることができる。
上記コイル部品ユニットでは、その製造に際して、溶融樹脂を収容ケース内に流し込んだ後にコイル部品を収容ケース内に挿入すると、溶融樹脂が収容空間から樹脂流入空間に流れ込んだ後、収容ケースの底壁部側に向けて流れるよりも収容ケースの開口端側に位置するコイル部品の外周面に向けて流れやすくなる。このため、溶融樹脂(充填樹脂)をコイル部品の外周面全体に付着させることが可能となる。
上記コイル部品ユニットによれば、コイル部品を収容ケースに収容する際に、コイル部品の軸線方向が収容ケースの軸線方向に対して傾くことを抑制できる。このようにコイル部品と収容ケースとの相対的な傾きを抑えることで、前述した放熱構造を構成する際に、収容ケースの底壁部の外面が放熱部材の平坦面に対して傾くことを抑制して、コイル部品の熱を熱伝導部材から放熱部材に効率よく伝えることが可能となる。
また、上記コイル部品ユニットでは、収容ケースとコイル部品との相対的な周方向位置を容易に位置決めできる。
上記コイル部品ユニットによれば、本体部を収容ケースに収容した状態で、コイル部品の軸線方向が、収容ケースの軸線方向に対して傾くことを抑制できる。このようにコイル部品と収容ケースとの相対的な傾きを抑えることで、前述した放熱構造を構成する際に、収容ケースの底壁部の外面が放熱部材の平坦面に対して傾くことを抑制して、コイル部品の熱を熱伝導部材から放熱部材に効率よく伝えることが可能となる。
上記製造方法によれば、収容ケースの底壁部と収容ケース内に収容されたコイル部品との隙間が狭くても、また、溶融樹脂の粘度が高くても、コイル部品と底壁部との間に確実に充填樹脂を介在させることができる。
上記製造方法によれば、キュア工程における充填樹脂の膨張に伴って台座部が収容ケースの開口端から浮き上がることを防止できる。すなわち、キュア工程においてコイル部品の軸線方向が、収容ケースの軸線方向に対して傾くことを抑制できる。このようにコイル部品と収容ケースとの相対的な傾きを抑えることで、前述した放熱構造を構成する際に、収容ケースの底壁部の外面が放熱部材の平坦面に対して傾くことを抑制して、コイル部品の熱を熱伝導部材から放熱部材に効率よく伝えることが可能となる。
図1〜3に示すように、この実施形態に係るコイル部品ユニット1は、コイル部品2と、収容ケース3と、充填樹脂4とを備えている。なお、図1は図2におけるA−A矢視断面図となっている。
コイル部品2は、通電により発熱するものであり、本体部11と台座部12とを備える。本体部11は、例えば例えばコモンモードチョークコイル等のように、磁性体からなるコア(磁芯)に導線を巻回して構成されている。なお、図示例では本体部11が円柱状に形成されているがこれに限ることはない。
以上のように構成される本体部11は、後述する収容ケース3内に収容される。
そして、軸線L1に直交する台座部12の端面には、本体部11の導線に電気接続された端子13が突出している。
なお、収容ケース3の軌道24は、周壁部22の軸線L2方向の一端(底壁部21側の端部)から他端(収容ケース3の開口端)まで延びて形成されることに限らず、少なくともコイル部品2の本体部11を収容ケース3内に収容する際にコイル部品2の摺動突起14が軌道24の長手方向に摺動するように形成されていればよい。例えば、軌道24は周壁部22の軸線L2方向の中途部や一端部、他端部のみに形成されてもよい。
本実施形態の収容ケース3には、その外周面から突出すると共に収容ケース3の開口端側及び収容空間E1側に開口する樹脂流入槽25が形成されており、この樹脂流入槽25の内部空間が上記樹脂流入空間E2となっている。この樹脂流入槽25は、周壁部22の周方向に等間隔で複数配列されている。本実施形態では、樹脂流入槽25が二つ配列され、二つの樹脂流入槽25は収容ケース3の軸線L2を中心に互い対向するように配されている。
また、本実施形態の樹脂流入槽25は、平面視で樹脂流入槽25の突出方向の先端側から基端側に向かうにしたがって広がるように形成されている。特に、本実施形態の樹脂流入槽25では、周壁部22の周方向の第一方向側に偏るように広がっている。なお、樹脂流入槽25の周方向の第二方向側(図示例で時計回りの方向側)には、前述した軌道24が隣り合うように位置している。
以上のように構成されるコイル部品ユニット1では、通電により発熱したコイル部品2の熱が充填樹脂4側に拡散し、さらに、充填樹脂4から収容ケース3の底壁部21に設けられた熱伝導部材23に伝達されることで、収容ケース3の外部に放熱できる。
コイル部品ユニット1を製造する際には、予め前述したコイル部品2、収容ケース3及び溶融した充填樹脂4(溶融樹脂)を用意しておき、はじめに、収容ケース3内に溶融樹脂を流し込む(流入工程)。この流入工程において収容ケース3内に流し込む溶融樹脂の量は、後述する挿入工程後において溶融樹脂が収容ケース3外に溢れ出さないように設定される。
また、本実施形態の収容ケース3では、樹脂流入空間E2のうち収容ケース3の開口端側の空間が、収容ケース3の底壁部21側の空間よりも大きいため、樹脂流入空間E2に流れ込んだ溶融樹脂は、収容ケース3の底壁部21側に向けて流れるよりも、収容ケース3の開口端側に位置する本体部11の外周面に向けて流れやすくなる。これにより、溶融樹脂を本体部11のうち収容ケース3の開口端側の端部に付着させることが可能となる。
上記キュア工程を行うことで、コイル部品ユニット1の製造が完了する。
本実施形態の放熱構造は、図5に示すように、上述したコイル部品ユニット1と、基板5と、放熱部材6とを備える。
基板5には配線パターン(不図示)が形成されており、この配線パターンにコイル部品ユニット1のコイル部品2や他の電子部品が電気接続されることで回路が形成されている。コイル部品ユニット1等は基板5の搭載面5aに搭載されている。本実施形態では、コイル部品2の台座部12の端面が基板5の搭載面5aに接触するようにコイル部品2の端子13を基板5のスルーホール5bに挿通させた上で、端子13を基板5にはんだ付けしている。
このように基板5に搭載されたコイル部品ユニット1の軸線L1(L2)は、基板5の搭載面5aに直交していることが好ましい。
これら収容ケース3の底壁部21と放熱部材6との間には、放熱シート7が介在している。放熱シート7は熱伝導率が高く、かつ、弾性変形可能な材料によって構成されている。この放熱シート7は、収容ケース3の底壁部21と放熱部材6との隙間を埋めることで、コイル部品ユニット1の熱を放熱部材6側に逃がす役割を果たす。すなわち、コイル部品ユニット1の放熱構造では、通電により発熱したコイル部品2の熱を、前述したように充填樹脂4から熱伝導部材23に伝達した後、さらに、放熱シート7を介して放熱部材6に効率よく逃がすことができる。
コイル部品ユニット1の放熱構造を製造する際には、コイル部品ユニット1を基板5の搭載する搭載工程を実施した後、基板5の搭載面5aが放熱部材6の平坦面6aに間隔をあけて対向するように基板5及び放熱部材6を相互に固定する基板固定工程を実施すればよい。
基板固定工程においては、放熱シート7が収容ケース3の底壁部21と放熱部材6との間に介在するように、放熱シート7を予め収容ケース3の底壁部21の外面あるいは放熱部材6の平坦面6aに配した上で、基板5及び放熱部材6を相互に固定すればよい。
また、本実施形態の放熱構造によれば、基板5の搭載面5aに加熱されることが好ましくない電子部品が搭載されていても、この電子部品がコイル部品2の熱によって加熱されることも抑制できる。
また、コイル部品2を収容ケース3に収容する際に、コイル部品2の台座部12を収容ケース3の開口端に当接させることでも、コイル部品2の軸線L1方向が収容ケース3の軸線L2方向に対して傾くことを抑制できる。
以上のようにコイル部品2と収容ケース3との相対的な傾きを抑えることで、前述した放熱構造を構成する際に、収容ケース3の底壁部21の外面が放熱部材6の平坦面6aに対して傾くことを抑制することができる。したがって、放熱部材6の平坦面6aに対する底壁部21の外面の傾きによって、底壁部21の外面や放熱部材6の平坦面6aと放熱シート7との間に隙間が生じることを抑制し、コイル部品2の熱を熱伝導部材23から放熱部材6に効率よく伝えることができる。
例えば、上記実施形態のコイル部品ユニット1では、樹脂流入槽25の内面が傾斜内面25aを有して構成されているが、少なくとも樹脂流入空間E2のうち収容ケース3の開口端側の空間が、収容ケース3の底壁部21側の空間よりも大きくなっていればよく、例えば樹脂流入槽25の内面が階段状に形成されてもよい。また、上記実施形態のコイル部品ユニット1では、樹脂流入空間E2が収容ケース3の底壁部21側から開口端側にわたって形成されているが、例えば収容ケース3の開口端側のみに形成されてもよい。
2 コイル部品
11 本体部
12 台座部
14 摺動突起
3 収容ケース
21 底壁部
22 周壁部
23 熱伝導部材
24 軌道
25 樹脂流入槽
E1 収容空間
E2 樹脂流入空間
4 充填樹脂
5 基板
5a 搭載面
6 放熱部材
Claims (7)
- 軸線方向の一方側に開口する有底筒状に形成された樹脂製の収容ケースと、該収容ケース内に収容されるコイル部品と、前記収容ケース内に充填されて前記コイル部品を埋設する充填樹脂と、を備え、
前記収容ケースの底壁部の一部に、該収容ケースよりも熱伝導率の高い熱伝導部材がインサート成形され、
該熱伝導部材が前記収容ケースの内側及び外側の両方に露出し、
前記コイル部品と前記熱伝導部材との間に前記充填樹脂が介在し、
前記収容ケースの内周面のうちその周方向の一部が該内周面の径方向外側に窪むことで、前記内周面によって形成される前記コイル部品の収容空間の径方向外側に、樹脂流入空間が形成され、
前記樹脂流入空間が、前記収容ケースの内周面の径方向外側に向かうにしたがって前記内周面の周方向の第一方向側に向かうように窪むことで形成されると共に、前記樹脂流入空間の窪み方向の先端側から基端側に向かうにしたがって前記第一方向側に偏るように広がっていることを特徴とするコイル部品ユニット。 - 前記樹脂流入空間のうち前記収容ケースの開口端側の空間が、前記収容ケースの底壁部側の空間よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のコイル部品ユニット。
- 前記収容ケースの内周面に、前記収容ケースの軸線方向に延びる軌道が形成され、
前記内周面に対向する前記コイル部品の外周面に、前記軌道の長手方向に摺動する摺動突起が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコイル部品ユニット。 - 前記コイル部品が、前記収容ケース内に収容される本体部と、該本体部の軸線方向端部に設けられて前記本体部の外周面よりも径方向外側に突出する台座部と、を備え、
前記本体部を前記収容ケース内に収容した状態で、前記台座部が前記収容ケースの開口端に当接することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコイル部品ユニット。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のコイル部品ユニットと、前記コイル部品ユニットを搭載する搭載面を有する基板と、前記搭載面に間隔をあけた位置に配された放熱部材と、を備え、
相互に対向する前記コイル部品ユニットの底壁部と前記放熱部材との間に、弾性変形可能な放熱シートあるいは放熱グリスが介在していることを特徴とするコイル部品ユニットの放熱構造。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のコイル部品ユニットを製造する方法であって、
前記収容ケース内に溶融状態の充填樹脂を流し込む流入工程の後に、前記コイル部品を収容ケース内に挿入する挿入工程を実施することを特徴とするコイル部品ユニットの製造方法。 - 請求項4に記載のコイル部品ユニットを製造する方法であって、
前記収容ケース内に、前記コイル部品を挿入すると共に溶融状態の充填樹脂を流し込んだ後に、前記溶融状態の充填樹脂をキュアして硬化させるキュア工程を実施し、
該キュア工程において、治具により前記台座部が前記収容ケースの開口端に接触した状態に保持することを特徴とするコイル部品ユニットの製造方法。
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