(本発明の基礎となった知見)
本発明者は、「背景技術」の欄において記載した、電源から複数のコンセントへ電力を供給する電力供給装置に関し、以下の問題が生じることを見出した。
近年、太陽光発電(PV)システム、燃料電池(FC)および蓄電池(SB)等が、一般住宅にも普及し始めている。太陽光発電システム等は、電力会社が提供する系統電源を補助する電源として利用される。あるいは、太陽光発電システム等は、系統電源から自立して電力を供給する電源として利用される。
例えば、系統電源および太陽光発電システム等のそれぞれを電源として利用する電力供給装置は、系統電源からの電力を供給する通常運転モードと、系統電源から自立して電力を供給する自立運転モードとを有する。通常運転モードでは、太陽光発電システム等が、系統電源を補助する電源として利用される。自立運転モードでは、太陽光発電システム等が、系統電源から自立して電力を供給する電源として利用される。
そして、電力供給装置は、系統電源から電力が供給されない停電時に、通常運転モードから自立運転モードに運転モードを切り替える。これにより、停電時においても、太陽光発電システム等から電力が供給される。
しかしながら、自立運転モードで電力供給が開始される際に、過剰な突入電流によって、太陽光発電システム等に障害が発生する場合がある。具体的には、次のような現象が発生する場合がある。
停電が発生した際、系統電源からの電力供給が停止する。これにより、系統電源からの電力で動作していた複数の機器が停止する。その後、電力供給装置は、通常運転モードから自立運転モードへ運転モードを切り替えることにより、太陽光発電システム等からの電力供給を開始する。これにより、停止した複数の機器に電力が供給され、これらの機器が一斉に起動する。
機器の起動時には、突入電流が発生する場合がある。そのため、複数の機器が一斉に起動することにより、過剰な突入電流が発生する可能性がある。そして、太陽光発電システム等の回路に、過剰な突入電流が流れることにより、太陽光発電システム等の回路が破損する可能性がある。
このような問題を解決するために、本発明の一態様に係る電力供給装置は、電源から複数のコンセントへ電力を供給する電力供給装置であって、それぞれが、(i)前記電源と前記複数のコンセントのうちのいずれかのコンセントとの間に設けられるスイッチであり、(ii)オンにされた場合に前記電源と前記コンセントとの間の接続状態を導通に切り替え、オフにされた場合に前記接続状態を非導通に切り替えるスイッチである複数のコンセントスイッチと、電力供給の開始を示す開始信号が検出された場合、前記複数のコンセントスイッチのそれぞれをオンにするタイミングを他のコンセントスイッチをオンにするタイミングからずらして、前記複数のコンセントスイッチのそれぞれをオンにする制御部とを備える。
これにより、電力供給が開始される際、複数のスイッチが、一斉にオンにされず、互いにタイミングをずらしてオンにされる。したがって、電力供給が開始される際に発生する突入電流が分散される。よって、電力供給装置は、過剰な突入電流を低減させることができる。
例えば、前記制御部は、前記複数のコンセントスイッチに前記複数のコンセントを介して接続される複数の負荷の優先順位に従って、優先順位が他の負荷よりも高い負荷が接続されるコンセントスイッチから順に、前記複数のコンセントスイッチをオンにしてもよい。
これにより、電力供給装置は、優先順位の高い負荷(機器)に早く電力を供給することができる。
また、例えば、前記制御部は、前記複数のコンセントスイッチをオフからオンにする順序を前回の前記順序から変更して、前記複数のコンセントスイッチをオンにしてもよい。
これにより、電力供給装置は、複数のコンセントへの電力供給の偏りを緩和することができる。
また、例えば、前記制御部は、前回最初にオンにされたコンセントスイッチをオンにする順番を最後にして、前記複数のコンセントスイッチをオンにしてもよい。
これにより、前回最初に電力が供給されたコンセントには、最後に電力が供給される。したがって、電力供給の偏りが緩和される。
また、例えば、前記電力供給装置は、さらに、前記電源の過負荷を示す過負荷信号を検出する過負荷検出部を備え、前記制御部は、さらに、前記過負荷信号が検出された場合、前記複数のコンセントスイッチのうち少なくとも1つのコンセントスイッチをオフにしてもよい。
これにより、過負荷信号が検出された場合、電力供給装置は、少なくとも1つのコンセントへの電力供給を停止する。したがって、電力供給装置は、過剰な突入電流を低減させることができる。
また、例えば、前記過負荷検出部は、前記電源が供給する電力を直流から交流に変換するインバータにおいて前記インバータの破損を保護するための保護回路が動作する値以下である予め定められた閾値以上の過負荷を示す前記過負荷信号を検出してもよい。
これにより、インバータが保護回路によって動作を停止する前に、電力供給装置は、少なくとも1つのコンセントへの電力供給を停止する。したがって、電力供給装置は、インバータを継続して動作させることができる。
また、例えば、前記制御部は、前記過負荷信号が検出された場合、前記複数のコンセントスイッチのうち、直前にオンにされたコンセントスイッチをオフにしてもよい。
これにより、電力供給装置は、直前にオンにされたスイッチをオフにして、過剰な突入電流を低減させることができる。そして、電力供給装置は、それよりも前にオンにされたスイッチをオンに維持して、電力供給を継続できる。
また、例えば、前記制御部は、さらに、直前にオンにされた前記コンセントスイッチをオフにしてから所定の時間経過後、オフにされた前記コンセントスイッチを再度オンにしてもよい。
これにより、電力供給装置は、再度、コンセントへ電力を供給できる。この場合も、所定の時間が経過しているため、電力供給装置は、過剰な突入電流を低減させることができる。
また、例えば、前記制御部は、前記過負荷信号が検出された場合、前記複数のコンセントスイッチの全てをオフにして、所定の時間経過後、前記複数のコンセントスイッチを再度オンにしてもよい。
これにより、電力供給が再試行される。そして、再試行において、一時的な過負荷が回避される可能性がある。
また、例えば、前記制御部は、前記所定の時間経過後、前記複数のコンセントスイッチをオフからオンにする順序を前回の前記順序から変更して、前記複数のコンセントスイッチをオンにしてもよい。
これにより、複数のスイッチをオンにする順序が前回から変更される。したがって、過負荷が回避される可能性がある。
また、例えば、前記制御部は、前記所定の時間経過後、前記複数のコンセントスイッチのそれぞれをオンにする時間間隔を前回の前記時間間隔よりも長くして、前記複数のコンセントスイッチのそれぞれをオンにしてもよい。
これにより、複数のスイッチのそれぞれをオンにする時間間隔が延ばされる。したがって、過負荷が回避される可能性がある。
また、例えば、前記電源は、系統電源から自立して電力を供給する自立電源を含み、前記電力供給装置は、さらに、(i)前記系統電源と前記複数のコンセントの間に設けられ、(ii)オンにされた場合に前記系統電源と前記複数のコンセントとの間の接続状態を導通に切り替え、オフにされた場合に前記接続状態を非導通に切り替える系統スイッチと、前記系統電源から自立した電力供給の開始を示す前記開始信号を検出する開始検出部と、前記系統電源から自立して前記電力供給装置が動作するための電源である蓄電部とを備え、前記制御部は、前記開始信号が検出された場合、前記蓄電部の電力を用いて前記系統スイッチをオフにして前記複数のコンセントスイッチをオンにすることにより、前記自立電源から前記複数のコンセントへ電力を供給し、前記複数のコンセントスイッチをオンにする際、前記複数のコンセントスイッチのそれぞれをオンにするタイミングを他のコンセントスイッチをオンにするタイミングからずらして、前記複数のコンセントスイッチのそれぞれをオンにしてもよい。
これにより、電力供給装置は、系統電源から自立した電力供給を開始する際に、過剰な突入電流を低減させることができる。
また、例えば、前記電源は、系統電源を含み、前記制御部は、前記系統電源の復電後の電力供給の開始を示す前記開始信号が検出された場合、前記複数のコンセントスイッチのそれぞれをオンにするタイミングを他のコンセントスイッチをオンにするタイミングからずらして、前記複数のコンセントスイッチのそれぞれをオンにすることにより、前記系統電源から前記複数のコンセントへ電力を供給してもよい。
これにより、電力供給装置は、系統電源の復電後の過剰な突入電流を低減させることができる。
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD−ROMなどの非一時的な記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたは記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態に係る電力供給システムを示すブロック図である。図1で示された電力供給システム100に含まれる電力供給装置120は、電源110からコンセント130a、130bへ電力を供給する。電力供給装置120は、制御部121およびスイッチ(コンセントスイッチ)122a、122bを備える。
スイッチ122aは、電源110とコンセント130aとの間に設けられる。そして、スイッチ122aは、オンにされた場合に電源110とコンセント130aとの間の接続状態を導通に切り替え、オフにされた場合に電源110とコンセント130aとの間の接続状態を非導通に切り替える。
スイッチ122bは、電源110とコンセント130bとの間に設けられる。そして、スイッチ122bは、オンにされた場合に電源110とコンセント130bとの間の接続状態を導通に切り替え、オフにされた場合に電源110とコンセント130bとの間の接続状態を非導通に切り替える。
制御部121は、コンセント130a、130bへの電力供給の開始を示す開始信号が検出された場合、スイッチ122a、122bをオンにする。その際、制御部121は、スイッチ122a、122bのそれぞれをオンにするタイミングを他のスイッチをオンにするタイミングからずらして、スイッチ122a、122bのそれぞれをオンにする。
図2は、図1で示された電力供給システム100の動作を示すフローチャートである。まず、制御部121は、開始信号が検出されるまで待機する(S101)。そして、開始信号が検出された場合、制御部121は、タイミングをずらして、スイッチ122a、122bをオンにする(S102)。
これにより、電力供給が開始される際、スイッチ122a、122bが、一斉にオンにされず、互いにタイミングをずらしてオンにされる。したがって、電力供給が開始される際に発生する突入電流が分散される。よって、電力供給装置120は、過剰な突入電流を低減させることができる。
なお、本実施の形態では、2つのスイッチ122a、122b、および、2つのコンセント130a、130bが示されているが、3つ以上のスイッチ、および、3つ以上のコンセントが用いられてもよい。3つ以上のスイッチの少なくとも2つが、互いにタイミングをずらしてオンにされることで、突入電流が分散される。
また、本実施の形態では、電源110およびコンセント130a、130bは、電力供給装置120に含まれていないが、これらが電力供給装置120に含まれてもよい。また、他の実施の形態で示される構成要素が、本実施の形態に係る電力供給装置120に含まれてもよい。本実施の形態で示された構成要素が、他の実施の形態に示される装置等に含まれてもよい。
(実施の形態2)
本実施の形態は、実施の形態1で示された電力供給システム100のより具体的な例を示す。
図3は、本実施の形態に係る電力供給システムを示すブロック図である。図3で示された電力供給システム200は、蓄電装置210、分電盤220およびコンセント205a〜205cを備える。
蓄電装置210は、蓄電池201、開始スイッチ202、DC−ACインバータ203(「DC−ACインバータ」は、単に「インバータ」とも呼ばれる)、および、DC−DCコンバータ207を備える。蓄電装置210は、実施の形態1で示された電源110の一例である。
蓄電池201は、電力が充放電される電池である。例えば、蓄電池201には、系統電源または太陽光発電システム等から電力が供給され充電される。
開始スイッチ202は、蓄電池201からコンセント205a〜205cへの電力供給を開始するためのスイッチである。具体的には、開始スイッチ202は、オンにされた場合、蓄電池201とDC−ACインバータ203との間の接続状態を導通に切り替え、かつ、蓄電池201とDC−DCコンバータ207との間の接続状態を導通に切り替える。一方、開始スイッチ202は、オフにされた場合、これらの接続状態を非導通に切り替える。
DC−ACインバータ203は、蓄電池201から供給される直流電力を交流電力へ変換する。これにより、蓄電池201から供給される直流電力が、家電等で利用可能な交流電力に変換される。
また、DC−ACインバータ203は、保護回路を有する。保護回路は、DC−ACインバータ203を保護するための回路である。過負荷の際に、保護回路が動作することにより、DC−ACインバータ203が停止する。これにより、DC−ACインバータ203の破損および劣化が抑制される。
また、DC−ACインバータ203は、所定の電流閾値以上の電流値、所定の電圧閾値以上の電圧値、または、所定の電力閾値以上の電力値を計測した場合に、過負荷を示す過負荷信号209を制御回路206へ送信する。所定の電流閾値、所定の電圧閾値、および、所定の電力閾値などの所定の閾値は、それぞれ、DC−ACインバータ203の保護回路が動作する値(例えば、保護回路が動作する最小値)以下である。
DC−DCコンバータ207は、蓄電池201から供給される直流電力の電圧を変換する。具体的には、DC−DCコンバータ207は、蓄電池201から供給される直流電力を降圧して、制御回路206で利用可能な電力を出力する。
分電盤220は、リレー204a〜204c、および、制御回路206を備える。そして、分電盤220は、蓄電装置210からコンセント205a〜205cへ電力を供給する。分電盤220は、実施の形態1で示された電力供給装置120の一例である。
リレー204a〜204cは、それぞれ、実施の形態1で示されたスイッチ122a、122bに対応するスイッチの一例である。リレー204a〜204cは、それぞれ、制御回路206の制御に従って、オンまたはオフにされる。
具体的には、リレー204aは、制御回路206から送信されるリレー制御信号208aに従って、オンまたはオフにされる。リレー204aは、オンにされた場合に、DC−ACインバータ203とコンセント205aとの間の接続状態を導通に切り替え、オフにされた場合に、DC−ACインバータ203とコンセント205aとの間の接続状態を非導通に切り替える。
同様に、リレー204bは、制御回路206から送信されるリレー制御信号208bに従って、オンまたはオフにされる。リレー204bは、オンにされた場合に、DC−ACインバータ203とコンセント205bとの間の接続状態を導通に切り替え、オフにされた場合に、DC−ACインバータ203とコンセント205bとの間の接続状態を非導通に切り替える。
同様に、リレー204cは、制御回路206から送信されるリレー制御信号208cに従って、オンまたはオフにされる。リレー204cは、オンにされた場合に、DC−ACインバータ203とコンセント205cとの間の接続状態を導通に切り替え、オフにされた場合に、DC−ACインバータ203とコンセント205cとの間の接続状態を非導通に切り替える。
制御回路206は、分電盤220を制御するコントローラであり、実施の形態1で示された制御部121の一例である。制御回路206は、DC−DCコンバータ207からの電力供給が開始された時に起動し、DC−DCコンバータ207から供給される電力で動作する。 そして、制御回路206は、リレー204a〜204cを制御するためのリレー制御信号208a〜208cをリレー204a〜204cへ送信する。
例えば、開始スイッチ202が手動でオンにされた時に、蓄電池201は制御回路206へDC−DCコンバータ207を介して電力を供給する。これにより、制御回路206が起動する。蓄電池201から供給される電力が、実施の形態1で示された開始信号の一例である。DC−DCコンバータ207または制御回路206が蓄電池201から供給される電力を開始信号として検出する。
その後、制御回路206は、リレー204a〜204cをオンにするためのリレー制御信号208a〜208cをリレー204a〜204cへ送信する。これにより、蓄電池201の電力が、コンセント205a〜205cに供給される。
DC−ACインバータ203が過負荷信号209を制御回路206へ送信した場合、制御回路206は、リレー204a〜204cをオフにするためのリレー制御信号208a〜208cをリレー204a〜204cへ送信する。制御回路206は、リレー制御信号208a〜208cのいずれかのみを送信し、リレー204a〜204cのいずれかのみをオフにしてもよい。
これにより、電力供給システム200は、DC−ACインバータ203の保護回路を動作させずに、DC−ACインバータ203の動作を継続させることができる。また、電力供給システム200は、過剰な突入電流を低減させることができる。
なお、制御回路206は、DC−ACインバータ203から送信された過負荷信号209を検出する過負荷検出部を備えてもよい。
コンセント205a〜205cは、それぞれ、実施の形態1で示されたコンセント130a、130bに対応するコンセントの一例である。コンセント205a〜205cには、それぞれ、家電などの負荷が接続される。そして、蓄電池201の電力が、コンセント205a〜205cに接続された負荷に供給される。
図4は、図3で示された電力供給システム200の第1の動作例を示す図である。図4において、時刻T0は、開始スイッチ202がオンにされる時刻である。時刻Taは、リレー制御信号208aによりリレー204aがオンにされる時刻である。時刻Tbは、リレー制御信号208bによりリレー204bがオンにされる時刻である。時刻Tcは、リレー制御信号208cによりリレー204cがオンにされる時刻である。
時刻T0において、開始スイッチ202がオンにされる。この時、制御回路206は、起動を開始する。そして、制御回路206は、互いに異なる時刻Ta〜Tcを決定する。次に、制御回路206は、時刻Taにおいて、リレー204aをオンにするためのリレー制御信号208aを送信する。これにより、時刻Taにおいて、リレー204aがオンにされる。なお、時刻T0から時刻Taまでの時間は、制御回路206が起動するための時間であり、制御回路206の初期化にかかる時間である。
次に、制御回路206は、時刻Tbにおいて、リレー204bをオンにするためのリレー制御信号208bを送信する。これにより、時刻Tbにおいて、リレー204bがオンにされる。次に、制御回路206は、時刻Tcにおいて、リレー204cをオンにするためのリレー制御信号208cを送信する。これにより、時刻Tcにおいて、リレー204cがオンにされる。
図4の通り、制御回路206は、リレー204a〜204cのそれぞれをオンにするタイミングを他のリレーをオンにするタイミングからずらして決定し、リレー204a〜204cのそれぞれを決定されたタイミングでオンにする。
なお、制御回路206は、リレー204a〜204cにコンセント205a〜205cを介して接続される負荷の優先順位に従って、リレー204a〜204cを順にオンにしてもよい。つまり、制御回路206は、優先順位の低い負荷が接続されたリレーよりも先に、優先順位の高い負荷が接続されたリレーをオンにしてもよい。これにより、優先順位の高い負荷に早く電力が供給される。優先順位は、時間帯、季節、および、ユーザの指定等によって変更されてもよい。
優先順位は、優先順位が最も高い負荷の電源プラグをコンセント205aに差し込み、優先順位が次に高い負荷の電源プラグをコンセント205bに差し込み、優先順位が最も低い負荷の電源プラグをコンセント205cに差し込むことによって、指定されてもよい。つまり、負荷の優先順位は、予め定められたコンセント205a〜205cの優先順位に基づいて特定されてもよい。
また、制御回路206は、リレー204a〜204cをオフからオンにする順序を、前回リレー204a〜204cをオフからオンにした順序から変更して、リレー204a〜204cをオフからオンにしてもよい。例えば、制御回路206は、前回最初にオンにされたリレーをオンにする順番を最後にして、リレー204a〜204cをオフからオンにしてもよい。これにより、電力供給の偏りが軽減される。
図5は、1つの家電に電力を供給する時の突入電流の例を示す図である。図5の例では、時刻Taにおいて、リレー204aがオンにされ、コンセント205aに接続された家電への電力供給が開始される。そして、図5の例では、この時の突入電流は、20A程度である。
図6は、同時に3つの家電に電力を供給する時の突入電流の例を示す図である。図6の例では、時刻Ta〜Tcが互いに同じである。つまり、同一の時刻において、リレー204a〜204cがオンにされ、コンセント205a〜205cに接続された3つの家電への電力供給が開始される。コンセント205a〜205cに接続された3つの家電のそれぞれが、図5の説明で用いられた家電と同等である場合、突入電流は、図5の例の3倍に相当する60A程度に増加する。
図7は、タイミングをずらして3つの家電に電力を供給する時の突入電流の例を示す図である。図7の例では、図4の例に対応し、時刻Ta〜Tcが互いに異なる。時刻Taにおいて、リレー204aがオンにされ、コンセント205aに接続された家電への電力供給が開始される。時刻Tbにおいて、リレー204bがオンにされ、コンセント205bに接続された家電への電力供給が開始される。時刻Tcにおいて、リレー204cがオンにされ、コンセント205cに接続された家電への電力供給が開始される。
図7の通り、コンセント205a〜205cに接続された3つの家電が、図6の説明で用いられた3つの家電と同等である場合でも、突入電流は、分散されることで、図6の例よりも低減する。したがって、分電盤220は、タイミングをずらして、リレー204a〜204cをオンにすることにより、突入電流を低減させることができる。分電盤220は、さらに、任意に追加される以下の制御に基づいて、突入電流をより確実に低減させることができる。
図8は、図3で示された電力供給システム200の第2の動作例を示す図である。図4の例と同様に、時刻T0において、開始スイッチ202がオンにされる。時刻Taにおいて、制御回路206は、リレー204aをオンにするためのリレー制御信号208aを送信する。時刻Tbにおいて、制御回路206は、リレー204bをオンにするためのリレー制御信号208bを送信する。時刻Tcにおいて、制御回路206は、リレー204cをオンにするためのリレー制御信号208cを送信する。
これにより、制御回路206は、タイミングをずらして、リレー204a〜204cをオンにする。さらに、図8の例では、DC−ACインバータ203は、時刻Tcの後、過負荷に応じて、過負荷信号209を制御回路206へ送信する。
制御回路206は、DC−ACインバータ203から送信された過負荷信号209を検出する。そして、制御回路206は、直前にオンにされたリレー204cをオフにするためのリレー制御信号208cを送信する。これにより、リレー204cがオフにされ、突入電流が低減する。また、電力供給システム200は、DC−ACインバータ203の保護回路を動作させずに、DC−ACインバータ203の動作を継続させることができる。
そして、電力供給システム200は、蓄電池201からコンセント205a、205bへの電力供給を継続することができる。すなわち、電力供給システム200は、電力供給の全てを停止せずに、電力供給の一部を継続することができる。
図9は、図3で示された電力供給システム200の第3の動作例を示す図である。図9の例は、制御回路206が過負荷信号209を検出してリレー204cをオフにするためのリレー制御信号208cを送信するまで、図8の例と同様である。図9の例では、時刻Tc’において、制御回路206がリレー204cをオンにするためのリレー制御信号208cを送信する。時刻Tc’は、リレー204cをオフにするためのリレー制御信号208cを送信してから所定の時間経過後の時刻である。
これにより、コンセント205cへの電力供給が再開される。所定の時間が経過しているため、コンセント205a、205bへの電力供給で発生する突入電流が収束している可能性がある。コンセント205cへの電力供給が再開された場合でも、過剰な突入電流の発生が抑制される。これにより、コンセント205a〜205cの全てに電力が供給される。
図10は、図3で示された電力供給システム200の動作を示すフローチャートである。図10は、特に、制御回路206の動作を示す。また、図10は、電力供給システム200が、N個のコンセントを有し、分電盤220が、N個のコンセントに対応するN個のリレーを有している場合の動作を示す。
まず、制御回路206は、開始信号を検出するまで待機する(S201)。そして、開始信号が検出された場合(S201でYes)、序数を示すiは1に設定される(S202)。そして、制御回路206は、i番目のリレーをオンにする(S203)。
次に、過負荷信号209が検出された場合(S204でYes)、制御回路206は、i番目のリレーをオフにする(S205)。
その後、制御回路206は、オンにされていない複数のリレーをオンにする順序を変更してもよい(S206)。また、制御回路206は、オンにされていない複数のリレーのそれぞれをオンにする時間間隔を広げてもよい(S207)。これらの処理(S206、S207)は、任意の処理であって、実行されなくてもよい。
そして、制御回路206は、所定の時間待機する(S208)。その後、制御回路206は、再度、i番目のリレーをオンにする(S203)。
過負荷信号209が検出されなかった場合(S204でNo)、かつ、iがNよりも小さい場合(S209でYes)、iはi+1に設定される(S210)。そして、制御回路206は、所定の時間待機する(S211)。その後、制御回路206は、i番目のリレーをオンにする(S203)。つまり、制御回路206は、次のリレーをオンにする(S203)。
過負荷信号209が検出されなかった場合(S204でNo)、かつ、iがN以上である場合(S209でNo)、制御回路206は処理を終了する。
以上の処理によって、制御回路206は、電力供給の開始において、過剰な突入電流を低減させることができる。
なお、過負荷信号209の検出(S204でYes)が繰り返された場合、i番目のリレーのオフ(S205)とオン(S203)とが繰り返される。この繰り返しが無限に続くことを回避するため、i番目のリレーのオフ(S205)の後に、過負荷信号の検出(S204でYes)が所定回数繰り返された場合に、iをi+1にする処理(S210と同じ処理)が行われてもよい。
図11は、図10で示された動作の変形例を示すフローチャートである。図10では、過負荷信号209が検出された場合(S204でYes)、i番目のリレーがオフにされる(S205)。一方、図11では、過負荷信号209が検出された場合(S204でYes)、制御回路206は、オンにされた全てのリレーをオフにする(S205)。その後、iは1に設定される(S202)。つまり、制御回路206は、最初から処理を再試行する。
制御回路206は、電力供給の全てを停止することにより、回路が初期状態にクリアされる。そのため、制御回路206は、所定の時間経過後の再試行において、異常を発生させずに、電力を供給することができる可能性がある。
また、図11の例では、制御回路206は、順序を変更する処理(S206)、または、時間間隔を広げる処理(S207)を実行した方がよい。これにより、過負荷が改善される可能性がある。
なお、制御回路206は、過負荷信号209を検出し(S204でYes)、全てのリレーをオフにし(S305)、iを1に戻す(S202)ループを終了するため、全てのリレーをオフ(S305)にする前に、このパスを所定回数通ったか否かを判定してもよい。そして、制御回路206は、このパスを所定回数通った場合に、i番目のリレーをオフにし(S205と同じ処理)、処理を終了してもよい。
図12は、図3で示されたリレー204a〜204cをオンにする順序の例を示す図である。図12の小、中、大は、時間の長さを示す。小は、最も短く、大は、最も長い。中は、その間である。
例えば、1回目の試行では、Ta−T0が小であり、Tb−T0が中であり、Tc−T0が大である。つまり、時刻T0において、開始スイッチ202がオンにされる。その後、時刻Taにおいて、リレー204aがオンにされる。その後、時刻Tbにおいて、リレー204bがオンにされる。その後、時刻Tcにおいて、リレー204cがオンにされる。
1回目の試行で過負荷信号209が検出された場合、制御回路206は、リレー204a〜204cの全てをオフにする。そして、制御回路206は、2回目の試行を行う。
2回目の試行では、Ta−T0が小であり、Tb−T0が大であり、Tc−T0が中である。つまり、まず、時刻Taにおいて、リレー204aがオンにされる。その後、時刻Tcにおいて、リレー204cがオンにされる。その後、時刻Tbにおいて、リレー204bがオンにされる。
2回目の試行で過負荷信号209が検出された場合、制御回路206は、リレー204a〜204cの全てをオフにする。そして、制御回路206は、3回目の試行を行う。
3回目の試行では、Ta−T0が中であり、Tb−T0が小であり、Tc−T0が大である。つまり、まず、時刻Tbにおいて、リレー204bがオンにされる。その後、時刻Taにおいて、リレー204aがオンにされる。その後、時刻Tcにおいて、リレー204cがオンにされる。
以降、同様に、3回目の試行で過負荷信号209が検出された場合、制御回路206は、リレー204a〜204cをオフにして、前の順序とは異なる順序で、4回目の試行を行う。4回目の試行で過負荷信号209が検出された場合、制御回路206は、リレー204a〜204cをオフにして、前の順序とは異なる順序で、5回目の試行を行う。5回目の試行で過負荷信号209が検出された場合、制御回路206は、リレー204a〜204cをオフにして、前の順序とは異なる順序で、6回目の試行を行う。
上記の通り、過負荷信号209が検出された場合、制御回路206は、前にリレー204a〜204cをオンにする順序とは異なる順序で、リレー204a〜204cをオンにする。
なお、上述の通り、全てのリレーをオフにする(S305)回数は所定回数に制限されてもよい。ここで所定回数は、リレー204a〜204cをオンにする順序のパターンの数(すなわち、図12の例の場合、6)でもよい。
図13は、リレー204a、204bの順でリレー204a、204bをオンにする場合の電流の例を示す図である。この図において、便宜上、電流を示す曲線は、実際の電流の波形の包絡線(図6の破線で示された曲線)で示されている。突入電流のピークは、負荷(機器または家電等)によって異なる。
例えば、コンセント205aに接続された家電では、突入電流のピークが、比較的遅く発生し、コンセント205bに接続された家電では、突入電流のピークが、比較的早く発生する場合がある。このような場合、図13の通り、コンセント205aの突入電流のピークと、コンセント205bの突入電流のピークとが重なる。よって、このような場合、過剰な突入電流が発生する。そこで、制御回路206は、リレー204b、204aの順でリレー204a、204bをオンにすることにより、このような過剰な突入電流を回避する。
図14は、図13の例と同様の家電がコンセント205a、205bに接続される場合において、リレー204b、204aの順でリレー204a、204bをオンにする場合の電流の例を示す図である。この図においても、便宜上、電流を示す曲線は、実際の電流の波形の包絡線(図6の破線で示された曲線)で示されている。
図14の通り、コンセント205aの突入電流のピークと、コンセント205bの突入電流のピークとは、重ならない。このように、制御回路206は、順序を変更することにより、過剰な突入電流を回避することができる。
図15は、図3で示された3つのリレー204a〜204cをオンにする時間間隔の例を示す図である。図15の通り、2回目、3回目および4回目の試行でのTb−TaおよびTc−Tbは、それぞれ、1回目の試行の2倍、4倍および8倍である。
例えば、1回目の試行では、時刻T0において、開始スイッチ202がオンにされた後、時刻Taにおいて、リレー204aがオンにされる。そして、時刻Taの5秒後の時刻Tbにおいて、リレー204bがオンにされる。そして、時刻Tbの5秒後の時刻Tcにおいて、リレー204cがオンにされる。
1回目の試行で過負荷信号209が検出された場合、制御回路206は、リレー204a〜204cの全てをオフにする。そして、制御回路206は、2回目の試行を行う。
2回目の試行では、まず、時刻Taにおいて、リレー204aがオンにされる。そして、時刻Taの10秒後の時刻Tbにおいて、リレー204bがオンにされる。そして、時刻Tbの10秒後の時刻Tcにおいて、リレー204cがオンにされる。
2回目の試行で過負荷信号209が検出された場合、制御回路206は、リレー204a〜204cの全てをオフにする。そして、制御回路206は、3回目の試行を行う。
3回目の試行では、まず、時刻Taにおいて、リレー204aがオンにされる。そして、時刻Taの20秒後の時刻Tbにおいて、リレー204bがオンにされる。そして、時刻Tbの20秒後の時刻Tcにおいて、リレー204cがオンにされる。
3回目の試行で過負荷信号209が検出された場合、制御回路206は、リレー204a〜204cの全てをオフにする。そして、制御回路206は、4回目の試行を行う。
4回目の試行では、まず、時刻Taにおいて、リレー204aがオンにされる。そして、時刻Taの40秒後の時刻Tbにおいて、リレー204bがオンにされる。そして、時刻Tbの40秒後の時刻Tcにおいて、リレー204cがオンにされる。
すなわち、試行回数が増えるにつれて、制御回路206は、リレー204a〜204cをオンにする時間間隔を延ばす。
なお、上述の通り、全てのリレーをオフにする(S305)回数は所定回数に制限されてもよい。ここで所定回数は、リレー204a〜204cをオンにする時間間隔のパターンの数(すなわち、図15の例の場合、4)でもよい。さらに、制御回路206がリレー204a〜204cをオンにする順序と時間間隔との両方を変化させる場合、所定回数は、それぞれのパターンの組合せの数(すなわち、図12と図15の例の場合、6×4=24)でもよい。
図16は、第1の時間間隔でリレー204a、204bをオンにする場合の電流の例を示す図である。この図において、便宜上、電流を示す曲線は、実際の電流の波形の包絡線(図6の破線で示された曲線)で示されている。
図16の例では、リレー204aをオンにするタイミングと、リレー204bをオンにするタイミングとの間の時間が比較的短い。そのため、コンセント205aの突入電流が収束していない時に、コンセント205bの突入電流が発生する。したがって、コンセント205aの突入電流と、コンセント205bの突入電流とが重なり、過剰な突入電流が発生する。
図17は、第2の時間間隔でリレー204a、204bをオンにする場合の電流の例を示す図である。この図においても、便宜上、電流を示す曲線は、実際の電流波形の包絡線(図6の破線で示された曲線)で示されている。図17の例では、リレー204aをオンにするタイミングと、リレー204bをオンにするタイミングとの間の時間が比較的長い。したがって、コンセント205aの突入電流と、コンセント205bの突入電流との重なりが少ない。よって、過剰な突入電流の発生が抑制される。
このように、過負荷信号209が検出された場合、制御回路206は、リレー204a〜204cをオンにする時間間隔を延ばすことにより、過剰な突入電流を回避することができる。
以上の通り、本実施の形態では、リレー204a〜204cが、一斉にオンにされず、互いにタイミングをずらしてオンにされる。したがって、電力供給が開始される際に発生する突入電流が分散される。よって、過剰な突入電流の発生が抑制される。
また、過負荷信号209が検出された場合、過負荷および突入電流が緩和されるように、リレー204a〜204cが制御される。これにより、DC−ACインバータ203の破損などが回避される。
なお、本実施の形態に係る電力供給システム200は、実施の形態1の電力供給システム100の一例であって、具体的な実装形態は、本実施の形態に係る電力供給システム200に限られない。蓄電装置210の代わりに、太陽光発電装置が用いられてもよい。あるいは、その他の電源が用いられてもよい。
また、制御回路206には、蓄電装置210とは異なる電源から電力が供給されてもよい。電力供給の開始を示す開始信号は、他の操作装置から制御回路206へ送信されてもよい。
ここで、蓄電装置210の代わりに燃料電池(FC)を用いる電力供給システムの例について、説明を補足する。
FCは、天然ガスから水素を取り出し、水素と酸素との反応から電気と熱とを発生させる装置である。天然ガスから水素を取り出すことを、燃料改質と呼ぶ。燃料改質で行なわれる化学反応は、天然ガスの主成分であるメタンと、水蒸気とを触媒上で反応させ、水素と二酸化炭素とに変換する化学反応である。この化学反応は、触媒上での化学反応であるため、水素の発生量を急激に変化させることは困難であり、結果として、発電量を急激に変化させることも困難である。
すなわち、FCの発電量は、FCの起動後にゆっくりと大きくなるという特徴がある。したがって、FCからコンセントへ電力を供給する電力供給システムは、タイミングをずらすことにより、また、特に、図15で示したように時間間隔を延ばすことにより、リレーをオンにするまでに、FCの発電量を上昇させることができる。これにより、より多くのコンセントに電力を供給することができるといった効果も期待できる。
まとめると、このような電力供給システムは、突入電力を下げる効果に加え、電源の発電力の増加後に電力を供給するという効果を有する。
(実施の形態3)
本実施の形態は、実施の形態1の電源110が系統電源である場合の電力供給システムを示す。例えば、停電から復帰する復電時において、系統電源から電源供給が再開される。本実施の形態に係る電力供給システムは、この時の過剰な突入電流を低減させる。
図18は、本実施の形態に係る電力供給システムを示すブロック図である。図18で示された電力供給システム300の電力供給装置320は、系統電源311からコンセント330a〜330cに電力を供給する。
系統電源311は、電力会社が所有する電源であり、電力を需要者へ供給する。系統電源311には、電力会社が所有する発電システム、配電のための電力線、および、変圧器などが含まれてもよい。系統電源311は、実施の形態1で示された電源110に対応する。
電気センサ312は、系統電源311から供給される電流、電圧または電力を測定するためのセンサである。具体的には、電気センサ312は、例えば、変流器(CT)、電圧測定器または電力測定器等で構成される。電気センサ312は、電流値、電圧値または電力値を示す信号を電力供給装置320の制御回路321へ送信する。電気センサ312は、系統電源311に含まれてもよいし、電力供給装置320に含まれてもよいし、独立の装置でもよい。
電力供給装置320は、制御回路321、および、スイッチ(コンセントスイッチ)322a〜322cを備える。電力供給装置320は、実施の形態1で示された電力供給装置120に対応する。電力供給装置320は、分電盤でもよい。
制御回路321は、実施の形態1で示された制御部121に対応する。制御回路321は、電気センサ312で測定された電流、電圧または電力の値に基づいて、停電または復電を検出する。例えば、制御回路321は、停電の際、閾値以下の電流値、電圧値または電力値を示す信号を電力供給の停止を示す停止信号として検出する。また、制御回路321は、復電の際、閾値よりも大きい電流値、電圧値または電力値を示す信号を電力供給の開始を示す開始信号として検出する。ここで、閾値は、0、または、0に近い値である。
スイッチ322a〜322cは、実施の形態1で示されたスイッチ122a、122bに対応する。具体的には、スイッチ322a〜322cのそれぞれは、リレーであり、制御回路321から送信される制御信号によって、オンまたはオフにされる。これにより、系統電源311とコンセント330a〜330cのそれぞれとの間の接続状態が導通または非導通に切り替えられる。
コンセント330a〜330cは、実施の形態1で示されたコンセント130a、130bに対応する。コンセント330a〜330cに供給された電力は、コンセント330a〜330cに接続された家電等に供給される。
例えば、停止信号が検出された場合、制御回路321は、スイッチ322a〜322cをオフにする。仮に、停電時にスイッチ322a〜322cがオンのままである場合、復電時にコンセント330a〜330cへ同時に電力供給が開始され、過剰な突入電流が発生する。制御回路321は、停電時にスイッチ322a〜322cをオフにすることにより、復電時の過剰な突入電流を低減させることができる。
そして、開始信号が検出された場合、制御回路321は、スイッチ322a〜322cをオンにする。その際、制御回路321は、タイミングをずらして、スイッチ322a〜322cをオンにする。これにより、制御回路321は、コンセント330a〜330cへ同時に電力供給が開始されることを防ぎ、過剰な突入電流を低減させることができる。
以上の通り、本実施の形態では、スイッチ322a〜322cが、一斉にオンにされず、互いにタイミングをずらしてオンにされる。したがって、停電後の電力供給の再開において発生する突入電流が分散される。よって、系統電源311に影響を及ぼす過剰な突入電流の発生が抑制される。
特に、大規模停電の後の復電の際、重畳された過剰な突入電流によって、系統電源311に障害が発生する可能性がある。一方、需要者毎に電力供給の開始のタイミングがずらされた場合、需要者間における平等性が損なわれる。
本実施の形態で示された電力供給装置320は、コンセント毎に電力供給の開始のタイミングをずらすことで、需要者毎に電力供給の開始のタイミングをずらすことなく、系統電源311に影響を及ぼす過剰な突入電流を低減させることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態は、通常運転モードと自立運転モードとを有する電力供給装置を示す。本実施の形態に係る電力供給装置は、通常運転モードから自立運転モードへ運転モードを切り替える際の過剰な突入電流を低減させる。
図19は、本実施の形態に係る電力供給装置を備える電力供給システムを示すブロック図である。図19で示された電力供給システム400の電力供給装置420は、系統電源411から供給される電力、自立電源412から供給される電力、または、両方の電力をコンセント430a、430bに供給する。
系統電源411は、電力会社が提供する電源であり、実施の形態3で示された系統電源311に対応する。また、系統電源411は、実施の形態1で示された電源110にも対応する。つまり、実施の形態1で示された電源110は、系統電源411を含んでもよい。
自立電源412は、太陽光発電パネル、蓄電池および燃料電池等であり、系統電源411から自立して電力を供給する電源である。自立電源412は、さらに、系統電源411を補助する電源として用いられてもよい。自立電源412は、実施の形態1で示された電源110に対応する。つまり、実施の形態1で示された電源110は、自立電源412を含んでもよい。
DC−ACインバータ413は、自立電源412から供給される直流電力を交流電力へ変換する。これにより、自立電源412から供給される直流電力が、家電等で利用可能な交流電力に変換される。DC−ACインバータ413は、過負荷時において、過負荷を示す過負荷信号を過負荷検出部426へ送信する。DC−ACインバータ413は、自立電源412に含まれてもよいし、電力供給装置420に含まれてもよいし、独立の装置でもよい。自立電源412が交流電力を供給する場合、DC−ACインバータ413は無くてもよい。
電力供給装置420は、制御部421、コンセントスイッチ422a、422b、電気センサ423、系統スイッチ424、蓄電部425、過負荷検出部426、および、開始検出部427を備える。電力供給装置420は、実施の形態1で示された電力供給装置120に対応する。電力供給装置420は、分電盤でもよい。電力供給装置420は、通常運転モードにおいて、系統電源411を用いて電力を供給し、自立運転モードにおいて、系統電源411から自立して電力を供給する。
制御部421は、実施の形態1で示された制御部121に対応する。制御部421は、コンセントスイッチ422a、422b、および、系統スイッチ424のそれぞれをオンまたはオフに切り替える。
コンセントスイッチ422a、422bは、実施の形態1で示されたスイッチ122a、122bに対応する。具体的には、コンセントスイッチ422a、422bのそれぞれは、リレーであり、制御部421から送信される制御信号によって、オンまたはオフにされる。これにより、接続状態が導通または非導通に切り替えられる。
電気センサ423は、系統電源411から供給される電流、電圧または電力を測定するためのセンサである。電気センサ423は、電流値、電圧値または電力値を示す信号を開始検出部427へ送信する。
系統スイッチ424は、系統電源411と、コンセント430a、430b(より具体的にはコンセントスイッチ422a、422b)との間に設けられるリレーであり、制御部421から送信される制御信号によって、オンまたはオフにされる。系統スイッチ424は、オンにされた場合、これらの間の接続状態を導通に切り替え、オフにされた場合、これらの間の接続状態を非導通に切り替える。
蓄電部425は、系統電源411から電力が供給されない場合に系統電源411から自立して電力供給装置420を動作させるための電源である。蓄電部425は、蓄電池を含む。蓄電部425は、系統電源411または自立電源412から供給される電力を蓄電池に充電する。そして、蓄電部425は、電力供給装置420が動作するための電力を電力供給装置420へ供給する。
過負荷検出部426は、DC−ACインバータ413から送信された過負荷信号を検出する。過負荷検出部426は、常時、DC−ACインバータ413の状態を示すステータス信号を取得し、過負荷の状態を示すステータス信号を過負荷信号として検出してもよい。また、過負荷検出部426は、制御部421に含まれてもよい。
開始検出部427は、電力供給の開始を示す開始信号を検出する。具体的には、開始検出部427は、自立運転モードまたは通常運転モードの電力供給の開始を示す開始信号を検出する。例えば、電気センサ423から送信された信号が閾値以下の電流値、電圧値または電力値を示す場合、開始検出部427は、電気センサ423から送信された信号を自立運転モードの開始信号として検出する。あるいは、開始検出部427は、手動スイッチ(図示せず)に基づいて、開始信号を検出してもよい。開始検出部427は、制御部421に含まれてもよい。
コンセント430a、430bは、実施の形態1で示されたコンセント130a、130bに対応する。コンセント430a、430bに供給された電力は、コンセント430a、430bに接続された家電等に供給される。
例えば、開始検出部427が自立運転モードの開始信号を検出した場合、制御部421は、蓄電部425の電力を用いて系統スイッチ424をオフにしてコンセントスイッチ422a、422bをオンにする。これにより、制御部421は、自立電源412からコンセント430a、430bへ電力を供給する。
そして、制御部421は、コンセントスイッチ422a、422bをオンにする際、コンセントスイッチ422a、422bのそれぞれをオンにするタイミングをずらす。これにより、過剰な突入電流が低減する。
また、例えば、開始検出部427が通常運転モードの開始信号を検出した場合、制御部421は、系統スイッチ424をオンにしてコンセントスイッチ422a、422bをオンにする。これにより、制御部421は、系統電源411からコンセント430a、430bへ電力を供給する。そして、この時も同様に、制御部421は、コンセントスイッチ422a、422bのそれぞれをオンにするタイミングをずらす。これにより、過剰な突入電流が低減する。
なお、コンセントスイッチ422a、422bが既にオンにされている状態で、開始信号が検出された場合、制御部421は、コンセントスイッチ422a、422bをオフにしてから、コンセントスイッチ422a、422bをオンにする。
以上の通り、本実施の形態では、運転モードが自立運転モードまたは通常運転モードに切り替えられる際、コンセントスイッチ422a、422bが、一斉にオンにされず、互いにタイミングをずらしてオンにされる。したがって、運転モードの切り替えにおいて発生する突入電流が分散され、過剰な突入電流が低減する。
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。ここで、上記各実施の形態の電力供給装置などを実現するソフトウェアは、次のようなプログラムである。
すなわち、このプログラムは、コンピュータに、電源から複数のコンセントへ電力を供給する電力供給方法であって、電力供給の開始を示す開始信号を検出し、前記開始信号が検出された場合、それぞれが、(i)前記電源と前記複数のコンセントのうちのいずれかのコンセントとの間に設けられるスイッチであり、(ii)オンにされた場合に前記電源と前記コンセントとの間の接続状態を導通に切り替え、オフにされた場合に前記接続状態を非導通に切り替えるスイッチである複数のコンセントスイッチのそれぞれをオンにするタイミングを他のコンセントスイッチをオンにするタイミングからずらして、前記複数のコンセントスイッチのそれぞれをオンにする電力供給方法を実行させる。
また、このプログラムは、電力供給装置(分電盤等)に、上記の電力供給方法を実行させてもよいし、電力供給装置に含まれるコンピュータに、上記の電力供給方法を実行させてもよい。電力供給装置は、プログラムを実行できてもよいし、プログラムを実行できるコンピュータを備えてもよい。
また、各構成要素は、回路でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
以上、一つまたは複数の態様に係る電力供給装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
例えば、上記各実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。