この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
(実施の形態1)
図1は、内燃機関−ダンパ装置−トランスアクスルにより構成されるねじり振動系を示す図である。図2は、図1中のダンパ装置を示す断面図である。
図1および図2を参照して、本実施の形態におけるダンパ装置100は、内燃機関110と、動力伝達装置120との間の動力伝達経路上に設けられる。ダンパ装置100は、内燃機関110から動力伝達装置120に伝達されるトルクの変動を吸収するトルク変動吸収装置として機能する。
一例として、ダンパ装置100は、ハイブリッド車両に搭載されたエンジンと、電動機と車軸側出力軸とに動力を分割する動力分割機構を備えたトランスアクスルとの間に設けられる。
内燃機関110−ダンパ装置100−動力伝達装置120により構成されるねじり振動系において、ダンパ装置100は、内燃機関110の出力軸115に連結されるダンパ本体180と、動力伝達装置120の入力軸125に連結されるハブ170とを有する。ダンパ本体180とハブ170とは、バネ部150と、ヒステリシス部140と、リミッタ部160とを介して接続されている。
ダンパ本体180は、内燃機関110の出力軸115からの動力が伝達されるように設けられている。ハブ170は、ダンパ本体180を通じて伝えられた動力を動力伝達装置120の入力軸125に伝達するように設けられている。ハブ170は、ダンパ本体180に対してバネ部150を介して相対回転可能に接続されている。ダンパ本体180とハブ170とは、仮想上の中心軸101を中心とする所定角度範囲内において相対回転可能に設けられている。ダンパ本体180とハブ170とは、バネ部150の弾性力によって、ダンパ本体180およびハブ170の回転方向において弾性的に支持されている。
バネ部150は、ダンパ本体180とハブ170との間で相対回転が生じた時に弾性変形することによって、内燃機関110の出力軸115から伝えられる回転トルクの変動を吸収する。ヒステリシス部140は、ダンパ本体180とハブ170との間に相対回転が生じた時に、摩擦等によってヒステリシストルクを発生する。
リミッタ部160は、内燃機関110の出力軸115から動力伝達装置120の入力軸125への動力伝達経路上に設けられている。リミッタ部160は、内燃機関110の出力軸115から伝わる回転トルクが所定値に達すると、内燃機関110の出力軸115から動力伝達装置120の入力軸125への動力伝達を制限するように構成されている。
より具体的には、リミッタ部160は、摩擦材161および摩擦材162と、皿バネ163とを有する。
摩擦材161および摩擦材162は、ダンパ本体180とハブ170との間に介挿されている。皿バネ163は、ダンパ本体180とハブ170とが摩擦材161および摩擦材162を介して摩擦係合するように弾性力を作用させている。内燃機関110の出力軸115から伝わる回転トルクが所定値に達すると、ダンパ本体180とハブ170との間の摩擦係合部に滑りが生じることによって、内燃機関110の出力軸115から動力伝達装置120の入力軸125への動力伝達が制限される。
図3は、図2中のダンパ装置をその回転軸に直交する平面により切断した場合の断面図である。図1から図3を参照して、ダンパ本体180は、その構成部位として、環状部181と、複数のストッパ部182(ストッパ部182A、ストッパ部182Bおよびストッパ部182C)とを有する。
環状部181は、中心軸101を中心に環状に周回する形状を有する。ストッパ部182は、環状部181から中心軸101を中心とする径方向内側に突出するように設けられている。複数のストッパ部182は、中心軸101を中心とする周方向において互いに離間して設けられている。
ハブ170は、環状部181の内側に配置されている。ハブ170は、その構成部位として、複数のストッパ部171(ストッパ部171A、ストッパ部171Bおよびストッパ部171C)を有する。
複数のストッパ部171は、中心軸101を中心とする周方向において互いに離間して設けられている。ストッパ部171は、中心軸101を中心とする周方向においてストッパ部182と隙間210を設けて配置されている。ストッパ部171は、中心軸101を中心とする径方向においてダンパ本体180(環状部181)と隙間220を設けて配置されている。
ストッパ部171Aは、ストッパ部182Cとストッパ部182Aとの間に配置されている。ストッパ部171Bは、ストッパ部182Aとストッパ部182Bとの間に配置されている。ストッパ部171Cは、ストッパ部182Bとストッパ部182Cとの間に配置されている。
ダンパ装置100は、回転規制機構190をさらに有する。回転規制機構190は、バネ部150が所定以上、弾性変形した場合に、ダンパ本体180とハブ170との間の相対回転を規制するように設けられている。
回転規制機構190は、ダンパ本体180に設けられたストッパ部182と、ハブ170に設けられたストッパ部171とから構成されている。バネ部150が所定以上、弾性変形した場合に、ストッパ部182とストッパ部171とが、中心軸101を中心とする周方向において当接する。これにより、ダンパ本体180とハブ170との間の相対回転が規制される。
なお、ストッパ部182およびストッパ部171の組みが設けられる数は、本実施の形態のような3つに限られず、適宜変更されてもよい。
複数のストッパ部182と、複数のストッパ部171との少なくともいずれか一方が、中心軸101を中心とする周方向において不等間隔に設けられることにより、ストッパ部182と、そのストッパ部182と周方向に隣り合うストッパ部171との間の隙間210の大きさが、ストッパ部182およびストッパ部171の組み合わせの間で不均一とされている。
本実施の形態における回転規制機構190においては、複数のストッパ部182が周方向において等間隔に設けられる一方、複数のストッパ部171が周方向において不等間隔で設けられている。ストッパ部171Aの中心線とストッパ部171Bの中心線とがなす角度θ1と、ストッパ部171Bの中心線とストッパ部171Cの中心線とがなす角度θ2と、ストッパ部171Cの中心線とストッパ部171Aの中心線とがなす角度θ3とが、θ1<θ2<θ3の関係を満たす。
複数のストッパ部171が周方向において不等間隔で設けられることにより、ストッパ部182Aと、ストッパ部182Aと周方向に沿った一方向(R1方向)に隣り合うストッパ部171Bとの間の隙間210Aの大きさL1と、ストッパ部182Bと、ストッパ部182Bと周方向に沿った一方向に隣り合うストッパ部171Cとの間の隙間210Bの大きさL2と、ストッパ部182Cと、ストッパ部182Cと周方向に沿った一方向に隣り合うストッパ部171Aとの間の隙間210Cの大きさL3とが、L1<L2<L3の関係となるように、隙間210の大きさが不均一とされている。
また、ストッパ部182Aと、ストッパ部182Aと周方向に沿った他方方向(R2方向)に隣り合うストッパ部171Aとの間の隙間210Dの大きさL4と、ストッパ部182Bと、ストッパ部182Bと周方向に沿った他方方向に隣り合うストッパ部171Bとの間の隙間210Eの大きさL5と、ストッパ部182Cと、ストッパ部182Cと周方向に沿った他方方向に隣り合うストッパ部171Cとの間の隙間210Fの大きさL6とが、L4<L5<L6の関係となるように、隙間210の大きさが不均一とされている。
なお、以上に説明した構成に限られず、隙間210の大きさを不均一とするための手段として、複数のストッパ部171が周方向において不等間隔となるようにハブ170に設けられてもよいし、複数のストッパ部182が周方向において不等間隔となるようにダンパ本体180に設けられ、複数のストッパ部171が周方向において不等間隔となるようにハブ170に設けられてもよい。
複数のストッパ部182が周方向において不等間隔に設けられた場合、ダンパ本体180の重心が、ダンパ本体180の中心位置(中心軸101)からずれる。複数のストッパ部171が周方向において不等間隔に設けられた場合、ハブ170の重心が、ハブ170の中心位置(中心軸101)からずれる。
径方向におけるストッパ部171とダンパ本体180(環状部181)との間の隙間220の大きさは、ストッパ部171の中心位置とダンパ本体180の中心位置とを合わせた時の、ダンパ本体180の重心とハブ170の重心との間の長さよりも大きくなるように設定されている。
ダンパ本体180およびハブ170の重心の位置を特定するための代表的な方法として、ダンパ本体180およびハブ170の形状をコンピュータに入力し、FEM(Finite Element Method)解析によりそれぞれの重心の位置を特定する方法が挙げられる。また、ダンパ本体180およびハブ170の中心位置とは、それぞれ、ダンパ本体180およびハブ170の形状を定めるに際して基準となった設計上の中心位置であって、中心軸101に一致する。
続いて、本実施の形態におけるダンパ装置100において奏される作用効果について説明する。
本実施の形態におけるダンパ装置100においては、ストッパ部182と、そのストッパ部182と周方向に隣り合うストッパ部171との間の隙間210の大きさが、ストッパ部182およびストッパ部171の組み合わせの間で不均一とされている。このような構成により、回転規制機構190の作動時に、ストッパ部182とストッパ部171とが当接するタイミングを周方向においてずらすことができる。
より具体的に説明するために、図3中の回転規制機構190において、内燃機関110から回転トルクが伝達される時のダンパ本体180の回転方向をR1方向とし、そのダンパ本体180に対してハブ170がR2方向に相対回転する(捩れる)場合を想定する。
この場合に、ダンパ本体180およびハブ170が所定量相対回転すると、最初に、最小の隙間L1が設定されたストッパ部182Aとストッパ部171Bとが当接する。次に、隙間L1よりも大きい隙間L2が設定されたストッパ部182Bとストッパ部171Cとが当接する。このとき、先に当接したストッパ部182Aおよびストッパ部171Bの間では、ハブ170が弾性変形する。
最後に、隙間L2よりも大きい隙間L3が設定されたストッパ部182Cとストッパ部171Aとが当接する。このとき、先に当接したストッパ部182Aおよびストッパ部171Bの間ならびにストッパ部182Bおよびストッパ部171Cの間では、ハブ170が弾性変形する。これにより、全てのストッパ部182およびストッパ部171が当接した状態となり、ダンパ本体180とハブ170との間の相対回転が規制される。
次に、ダンパ本体180に対してハブ170がR1方向に相対回転する(捩れる)場合を想定する。
この場合に、ダンパ本体180およびハブ170が所定量相対回転すると、最初に、最小の隙間L4が設定されたストッパ部182Aとストッパ部171Aとが当接する。次に、隙間L4よりも大きい隙間L5が設定されたストッパ部182Bとストッパ部171Bとが当接する。このとき、先に当接したストッパ部182Aおよびストッパ部171Aの間では、ハブ170が弾性変形する。
最後に、隙間L5よりも大きい隙間L6が設定されたストッパ部182Cとストッパ部171Cとが当接する。このとき、先に当接したストッパ部182Aおよびストッパ部171Aの間ならびにストッパ部182Bおよびストッパ部171Bの間では、ハブ170が弾性変形する。これにより、全てのストッパ部182およびストッパ部171が当接した状態となり、ダンパ本体180とハブ170との間の相対回転が規制される。
このように、回転規制機構190の作動時に、ストッパ部182とストッパ部171とが当接するタイミングを周方向においてずらすことにより、ダンパ本体180からハブ170を介して動力伝達装置120の入力軸125に伝達される回転トルクを分散させることができる。これにより、動力伝達装置120の入力軸125に過大な回転トルクが加わることを防止できる。
一方、上記のとおり、ストッパ部182および/またはストッパ部171が不等間隔で設けられることによって、ダンパ本体180および/またはハブ170の重心が設計上の中心位置からずれる。このような偏芯状態でダンパ装置100が運転されると、動力伝達装置120においてギヤ鳴りが発生するなどしてNV特性が悪化する場合がある。
これに対して、内燃機関110からの回転トルクを受けたダンパ本体180およびハブ170が、それぞれの重心を中心軸101に合わせて回転しようとする自動調芯作用を利用して、ダンパ本体180および/またはハブ170を調芯する。この際、本実施の形態におけるダンパ装置100では、径方向におけるストッパ部171とダンパ本体180との間の隙間220の大きさが、ダンパ本体180の重心とハブ170の重心との間の長さよりも大きく設定されているため、ストッパ部171およびダンパ本体180を相互に干渉させることなく調芯することができる。
また、本実施の形態では、ダンパ本体180およびハブ170がリミッタ部160において摩擦係合されている。このような構成により、調芯に際してダンパ本体180およびハブ170間に相対移動が生じる場合であっても、円滑な調芯を実現することができる。
なお、本実施の形態では、ストッパ部182およびストッパ部171が当接するタイミングが、ストッパ部182およびストッパ部171が設けられた全ての位置でずれる構成としたが、本発明はこのような構成に限られない。ダンパ本体180とハブ170との間で相対回転が生じた場合に、あるタイミングで当接するストッパ部182およびストッパ部171の組み合わせに対して、それとは異なるタイミングで当接するストッパ部182およびストッパ部171の組み合わせが1つ以上存在すれば、動力伝達装置120の入力軸125に過大な回転トルクが加わることを防止する上記効果は奏される。
以上に説明した、この発明の実施の形態1におけるダンパ装置100の構造についてまとめて説明すると、本実施の形態におけるダンパ装置100は、内燃機関110の出力軸115から動力が伝達される第1回転体としてのダンパ本体180と、ダンパ本体180に対して弾性体としてのバネ部150を介して相対回転可能に接続され、動力伝達装置120の入力軸125に動力を伝達する第2回転体としてのハブ170と、バネ部150が所定以上、弾性変形した場合に、ダンパ本体180およびハブ170の相対回転を規制する回転規制機構190とを備える。回転規制機構190は、ダンパ本体180に設けられ、周方向において互いに離間して配置される複数の第1ストッパ部としてのストッパ部182と、ハブ170に設けられ、周方向においてストッパ部182と隙間210を設けて配置されるとともに、径方向においてダンパ本体180と隙間220を設けて配置される複数の第2ストッパ部としてのストッパ部171とを有する。
複数のストッパ部182と、複数のストッパ部171との少なくともいずれか一方が周方向において不等間隔に設けられることにより、ストッパ部182と、そのストッパ部182と周方向に隣り合うストッパ部171との間の隙間210の大きさが、ストッパ部182およびストッパ部171の組み合わせの間で不均一となる。径方向におけるストッパ部171とダンパ本体180との間の隙間220の大きさは、ダンパ本体180の中心とハブ170の中心とを合わせた時の、ダンパ本体180の重心とハブ170の重心との間の長さよりも大きい。
このように構成された、この発明の実施の形態1におけるダンパ装置100によれば、周方向におけるストッパ部182とストッパ部171との間の隙間210の大きさを不均一とすることにより、動力伝達装置120の入力軸125の耐久性を向上させることができる。この際、隙間210の大きさを不均一としたことによって、ダンパ本体180および/またはハブ170の重心がこれら部品の中心からずれ、NV特性が低下するという背反が生じる。これに対して、径方向におけるストッパ部171とダンパ本体180との間の隙間220の大きさを、ダンパ本体180の重心とハブ170の重心との間の長さよりも大きく設定することによって、このような背反を解消することができる。
(実施の形態2)
図4は、この発明の実施の形態2におけるダンパ装置を示す正面図である。図5は、図4中のV−V線上に沿ったダンパ装置を示す断面図である。図6は、図4中のダンパ装置において、ハブプレートとクッショニングプレートとの位置関係を示す正面図である。
本実施の形態では、ダンパ装置のより具体的な装置構成に照らしながら、本発明の実施形態について説明する。
図4から図6を参照して、本実施の形態におけるダンパ装置10は、ダンパ機構22およびリミッタ部23を有する。リミッタ部23は、支持部材24を介してフライホイール25に連結されている。
支持部材24は、後述する皿バネ45を支持する部材であり、駆動源である内燃機関のクランクシャフト26に連結されたフライホイール25と一体に回転する。
ダンパ機構22は、フライホイール25の回転トルクの変動を吸収する機構である。リミッタ部23は、ダンパ機構22と、フライホイール25との間の回転トルクが所定値に達すると、クランクシャフト26から動力伝達装置の入力軸27への動力伝達を制限する。
ダンパ機構22は、ハブプレート31と、ディスクプレート32,33と、スラスト部材34と、複数のコイルスプリング35と、クッショニングプレート36と、摩擦材37a,37bと、リベット38とを有する。
ハブプレート31は、その構成部位として、ボス39およびハブフランジ40を有する。ボス39は、動力伝達装置の入力軸27の外周面にスプライン嵌合されている。ハブフランジ40には、ボス39から径方向外側に延出し、切り欠き40aを介して周方向に離間する複数の突出部40A,40B,40C,40Dが形成されている。切り欠き40aは、周方向において隣り合う突出部40A〜40Dの間の部位である。ハブプレート31は、入力軸27と一体に回転する。
ハブフランジ40の切り欠き40aには、コイルスプリング35が装着されている。コイルスプリング35の一方端は、スプリングシート41を介して突出部40A〜40Dの周方向一側面(正側当接面40b)に当接し、コイルスプリング35の他方端は、スプリングシート42を介して突出部40A〜40Dの周方向他側面(負側当接面40c)に当接している。
なお、本実施の形態において、「周方向」とは、ハブプレート31およびディスクプレート32,33の回転方向と同方向であり、「径方向」とは、ハブプレート31およびディスクプレート32,33の放射方向と同方向である。
スプリングシート41およびスプリングシート42の間には、トーションダンパ50が設けられている。トーションダンパ50は、コイルスプリング35が所定量以上圧縮した状態にあるときに、スプリングシート41,42に当接して弾性変形する。トーションダンパ50がコイルスプリング35とともに弾性変形するとき、ハブプレート31とディスクプレート32,33との捩れ剛性が高くなる。
ディスクプレート32およびディスクプレート33は、ハブプレート31の軸線方向における両側に設けられている。ディスクプレート32およびディスクプレート33は、ハブプレート31を挟み込むように設けられている。ディスクプレート32およびディスクプレート33は、ハブプレート31に対して、同軸かつ相対回転可能に設けられている。
ディスクプレート32およびディスクプレート33には、それぞれ、収容孔32Aおよび収容孔33Aが形成されている。収容孔32Aおよび収容孔33Aは、切り欠き40aと向かい合わせとなる位置に設けられている。コイルスプリング35は、切り欠き40aおよび収容孔32A,33Aに装着されている。周方向におけるスプリングシート41,42の両端部は、周方向における収容孔32A,33Aの両端部に当接している。
このような構成により、ハブプレート31とディスクプレート32,33とは、コイルスプリング35を介して相対回転可能に接続されている。ハブプレート31とディスクプレート32,33との間に相対回転が生じると、コイルスプリング35が弾性変形しながら、ハブプレート31とディスクプレート32,33との間で回転トルクを伝達する。
スラスト部材34は、略環状の摩擦部材から形成されている。スラスト部材34は、ハブフランジ40とディスクプレート33との接触面の間に介挿される第1のスラスト部材34aと、ハブフランジ40とディスクプレート32との接触面の間に介挿される第2のスラスト部材34bと、第1のスラスト部材34aとディスクプレート33との間に介挿される皿バネ34cとから構成されている。
皿バネ34cは、第1のスラスト部材34aをハブフランジ40側に付勢することによって、ディスクプレート32,33をハブフランジ40に摩擦接触させる。これにより、ハブプレート31のハブフランジ40とディスクプレート32,33との間にヒステリシストルクを発生させる。
クッショニングプレート36は、環状のディスクであり、ディスクプレート32,33の外周縁よりも径方向外側に延在している。クッショニングプレート36の内周縁の近傍では、その両側からディスクプレート32,33により挟持されており、リベット38によってディスクプレート32,33に連結されている。
摩擦材37a,37bは、クッショニングプレート36の軸方向両側に接着剤等によって固定されている。摩擦材37a,37bの摩擦面は、第1のプレート43および第2のプレート44によって挟持されている。
リミッタ部23は、第1のプレート43と、第2のプレート44と、皿バネ45と、リベット46とを含んで構成されている。
第1のプレート43は、支持部材24を介してフライホイール25にボルト47によって固定されている。第2のプレート44は、支持部材24側からダンパ機構22の摩擦材37aと摩擦係合している。皿バネ45は、支持部材24と第2のプレート44との間に介挿され、支持部材24から離間する方向に第2のプレート44を付勢している。
このような構成により、ダンパ機構22の摩擦材37a,37bが第1のプレート43と第2のプレート44とによって挟持され、支持部材24とダンパ機構22との間が摩擦係合されている。
リミッタ部23は、クランクシャフト26とディスクプレート32,33との間の動力伝達経路上に配置されており、ディスクプレート32,33とハブプレート31との間の回転トルク変動が所定値に達すると滑りを生じるように構成されている。
クッショニングプレート36には、ストッパ部48が設けられている。ストッパ部48は、周方向に離間して設けられている。ストッパ部48は、突出部40A〜40Dの回転軌跡上に重なるように設けられている。突出部40A〜40Dは、周方向に隣り合うストッパ部48の間に設けられている。
ストッパ部48は、ハブプレート31とディスクプレート32,33との間で相対回転が生じた時に、突出部40A〜40Dの正側当接面40bが当接する正側当接面48aと、突出部40A〜40Dの負側当接面40cが当接する負側当接面48bとを有する。突出部40A〜40Dとストッパ部48とが当接することによって、ハブプレート31およびディスクプレート32,33の間の相対回転が規制される。
突出部40Aの中心線O1に対して、突出部40Dの中心線O4までの角度θ1は、たとえば、88°に設定されている。突出部40Aの中心線O1に対して、突出部40Bの中心線O2までの角度θ2は、たとえば、89°に設定されている。突出部40Bの中心線O2に対して、突出部40Cの中心線O3までの角度θ3は、たとえば、91°に設定されている。突出部40Cの中心線O3に対して、突出部40Dの中心線O4までの角度θ4は、たとえば、92°に設定されている。
一方、複数のストッパ部48は、周方向において等間隔となるようにクッショニングプレート36に設けられている。
このような構成により、本実施の形態では、突出部40Aとストッパ部48の正側当接面48aとの間隔L1に対して、突出部40Bとストッパ部48の正側当接面48aとの間隔L2は、大きくなっている。突出部40Bとストッパ部48の正側当接面48aとの間隔L2に対して、突出部40Cとストッパ部48の正側当接面48aとの間隔L3は、大きくなっている。突出部40Cとストッパ部48の正側当接面48aとの間隔L3に対して、突出部40Dとストッパ部48の正側当接面48aとの間隔L4は、大きくなっている。
また、突出部40Dとストッパ部48の負側当接面48bとの間隔L11に対して、突出部40Aとストッパ部48の負側当接面48bとの間隔L12は、大きくなっている。突出部40Aとストッパ部48の負側当接面48bとの間隔L12に対して、突出部40Bとストッパ部48の負側当接面48bとの間隔L13は、大きくなっている。突出部40Bとストッパ部48の負側当接面48bとの間隔L13に対して、突出部40Cとストッパ部48の負側当接面48bとの間隔L14は、大きくなっている。
このように、ディスクプレート32,33およびハブプレート31が中立位置に位置した状態において、ストッパ部48と、ストッパ部48に対して周方向に対向する突出部40A〜40Dとの間隔L1〜L4、L11〜L14が全て不均一となっている。
このような構成を備える本実施の形態におけるダンパ装置10において、径方向における突出部40A〜40Dとクッショニングプレート36との間の隙間220の大きさは、ハブプレート31の中心位置とクッショニングプレート36の中心位置とを合わせた時の、クッショニングプレート36の重心とハブプレート31の重心との間の長さよりも大きくなるように設定されている。
このように構成された、この発明の実施の形態2におけるダンパ装置10によれば、実施の形態1に記載の効果を同様に奏することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。