(第1の実施形態)
以下、本発明にかかる駆動対象スイッチング素子の駆動回路を車載主機として回転機を備える車両(例えば、ハイブリッド車両や電気自動車)に適用した第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、モータジェネレータ10は、車載主機としての多相回転機(3相回転機)であり、図示しない駆動輪に連結されている。モータジェネレータ10は、インバータ11を介して「直流電源」としての高電圧バッテリ12に接続されている。高電圧バッテリ12の出力電圧は、例えば百V以上である。なお、高電圧バッテリ12としては、例えば、リチウムイオン蓄電池やニッケル水素蓄電池を用いることができる。また、本実施形態では、モータジェネレータ10として、同期機(永久磁石同期機)を用いている。
インバータ11は、高電位側(上アーム側)のスイッチング素子S¥p(¥=U,V,W)及び低電位側(下アーム側)のスイッチング素子S¥nの直列接続体を備えている。詳しくは、インバータ11は、3組のスイッチング素子S¥p,S¥nの直列接続体を備え、スイッチング素子S¥p,S¥nの接続点は、モータジェネレータ10の¥相に接続されている。ちなみに、本実施形態では、上記スイッチング素子S¥#(#=p,n)として、電圧制御形の半導体スイッチング素子を用い、より具体的には、IGBTを用いている。そして、スイッチング素子S¥#には、フリーホイールダイオードD¥#が逆並列に接続されている。なお、本実施形態において、スイッチング素子S¥#が「駆動対象スイッチング素子」に相当する。
制御装置14は、低電圧バッテリ16を電源とし、マイコンを主体として構成されている。制御装置14は、モータジェネレータ10の制御量(例えばトルク)をその指令値に制御すべく、インバータ11を操作する。詳しくは、制御装置14は、インバータ11を構成するスイッチング素子S¥#を操作すべく、操作信号g¥#を生成してスイッチング素子S¥#に対応する駆動回路DUに出力する。ここで、高電位側の操作信号g¥pと、対応する低電位側の操作信号g¥nとは、互いに相補的な信号となっている。すなわち、高電位側のスイッチング素子S¥pと、対応する低電位側のスイッチング素子S¥nとは、交互にオン状態とされる。
インターフェース18は、高電圧システムと低電圧システムとの間を電気的に絶縁しつつ、これらシステム間の信号の伝達を行う機能を有する。ここで、高電圧システムは、高電圧バッテリ12、インバータ11及びモータジェネレータ10を備えるシステムである。また、低電圧システムは、低電圧バッテリ16及び制御装置14を備えるシステムである。なお、本実施形態において、インターフェース18は、光絶縁素子(フォトカプラ)を備えている。
続いて、図2を用いて、駆動回路DUの構成について説明する。
図示されるように、駆動回路DUは、1チップ化された半導体集積回路であるドライブIC20、所定の出力電圧Vom(例えば15V)を有する定電圧電源22、及び定電圧電源22を電力供給源とする定電流電源24を備えている。詳しくは、定電流電源24は、ドライブIC20の第1の端子T1を介してPチャネルMOSFET(以下、充電用スイッチング素子26)のドレインに接続されている。充電用スイッチング素子26のソースは、ドライブIC20の第2の端子T2を介してスイッチング素子S¥#の開閉制御端子(ゲート)に接続されている。ここで、本実施形態において、定電流電源24から、第1の端子T1、充電用スイッチング素子26及び第2の端子T2を介してゲートに至るまでの電気経路を「充電経路Lcha」と称すこととする。なお、本実施形態において、定電流電源24が「電流供給手段」を構成する。
充電経路Lchaのうち第2の端子T2よりもゲート側には、ダイオード27が設けられている。ダイオード27は、アノードが第2の端子T2に接続され、カソードがゲートに接続されている。
スイッチング素子S¥#のゲートは、放電用抵抗体28を介してドライブIC20の第3の端子T3に接続されている。第3の端子T3は、NチャネルMOSFET(以下、放電用スイッチング素子30)を介してスイッチング素子S¥#の出力端子(エミッタ)に接続されている。ここで、本実施形態において、ゲートから、放電用抵抗体28、第3の端子T3及び放電用スイッチング素子30を介してエミッタに至るまでの経路を、通常時においてスイッチング素子S¥#をオフ状態に切り替えるために用いられる「通常時放電経路Ldis」と称すこととする。通常時放電経路Ldisは、放電用スイッチング素子30のオン操作(閉操作)によって閉状態とされ、放電用スイッチング素子30のオフ操作(開操作)によって開状態とされる。ここで、上記通常時とは、オン操作指令又はオフ操作指令に基づき後述する充電処理又は放電処理が行われる時のことである。
なお、本実施形態において、スイッチング素子S¥#のエミッタ及び入力端子(コレクタ)が「一対の主端子」に相当する。そして、コレクタが「第1の主端子」に相当し、エミッタが「第2の主端子」に相当する。
スイッチング素子S¥#のゲートは、また、第2の端子T2、ツェナーダイオード32及びNチャネルMOSFET(以下、クランプ用スイッチング素子34)を介してエミッタに接続されている。第2の端子T2及びツェナーダイオード32の接続点は、「比較器」としてのクランプ用コンパレータ36の非反転入力端子に接続され、クランプ用コンパレータ36の反転入力端子は、第1の電源38に接続されている。また、クランプ用コンパレータ36の出力端子は、クランプ用スイッチング素子34の開閉制御端子(ゲート)に接続されている。なお、本実施形態において、ツェナーダイオード32、クランプ用スイッチング素子34、クランプ用コンパレータ36及び第1の電源38が「制限手段」を構成する。
ここで、ツェナーダイオード32のブレークダウン電圧(以下、クランプ電圧Vclamp)は、例えば、スイッチング素子S¥#の信頼性が短時間で過度に低下するような電流が流れない程度の電圧(例えば12V)にスイッチング素子S¥#の開閉制御端子の印加電圧(ゲート電圧)を制限する値に設定されている。本実施形態において、クランプ電圧Vclampは、具体的には、スイッチング素子S¥#がオフ状態からオン状態に切り替わるスレッショルド電圧Vth以上の電圧であってかつ定電圧電源22の出力電圧Vom未満の電圧に設定されている。
ここで、本実施形態において、第2の端子T2、ツェナーダイオード32及びクランプ用スイッチング素子34を介してエミッタに至るまでの経路を「クランプ用経路Lclamp」と称すこととする。すなわち、クランプ用経路Lclampは、充電経路Lchaのうちダイオード27を挟んでゲートとは反対側に接続された電気経路である。クランプ用経路Lclampは、クランプ用スイッチング素子34のオン操作によって閉状態とされ、クランプ用スイッチング素子34のオフ操作によって開状態とされる。
こうした構成によれば、第2の端子T2及びツェナーダイオード32の接続点の電圧がクランプ電圧Vclampを超える場合、クランプ用スイッチング素子34がオン操作される。一方、上記接続点の電圧がクランプ電圧Vclamp未満となる場合、クランプ用スイッチング素子34がオフ操作される。これにより、上記接続点の電圧をクランプ電圧Vclampで制限することができる。
スイッチング素子S¥#のゲートは、さらに、ソフト遮断用抵抗体40、ドライブIC20の第4の端子T4及びNチャネルMOSFET(以下、ソフト遮断用スイッチング素子42)を介してエミッタに接続されている。ここで、本実施形態において、ゲートから、ソフト遮断用抵抗体40、第4の端子T4及びソフト遮断用スイッチング素子42を介してエミッタに至るまでの経路を「ソフト遮断用経路Lcut」と称すこととする。ソフト遮断用経路Lcutは、ソフト遮断用スイッチング素子42のオン操作によって閉状態とされ、ソフト遮断用スイッチング素子42のオフ操作によって開状態とされる。
スイッチング素子S¥#は、コレクタ及びエミッタ間に流れる電流(以下、コレクタ電流Ic)と相関を有する微少電流(例えば、コレクタ電流Icの「1/10000」)を出力するセンス端子Stを備えている。センス端子Stは、抵抗体(センス抵抗44)を介してエミッタに接続されている。これにより、センス端子Stから出力される微少電流によってセンス抵抗44に電圧降下が生じるため、センス抵抗44のうちセンス端子St側の電位(以下、センス電圧Vse)を、コレクタ電流Icと相関を有する電気的な状態量とすることができる。なお、本実施形態において、エミッタ電位を「0」とし、センス抵抗44の両端のうちセンス端子St側の電位がエミッタ電位よりも高い場合のセンス電圧Vseを正と定義する。
センス抵抗44の両端のうちセンス端子St側は、ドライブIC20の第5の端子T5を介して短絡検出用コンパレータ46の非反転入力端子に接続されている。短絡検出用コンパレータ46の反転入力端子は、第2の電源48に接続されている。本実施形態において、第2の電源48の出力電圧(以下、短絡閾値SC)は、スイッチング素子S¥#の信頼性を維持可能なコレクタ電流Icの上限値に対応するセンス電圧Vseに設定されている。なお、短絡検出用コンパレータ46の出力信号Sigは、ドライブIC20の備える駆動制御部50に入力される。
駆動制御部50は、ドライブIC20の第6の端子T6を介して入力される上記操作信号g¥#に基づき、充電用スイッチング素子26及び放電用スイッチング素子30の操作による充電処理及び放電処理を交互に行うことでスイッチング素子S¥#を駆動する。詳しくは、充電処理は、操作信号g¥#がオン操作指令になったと判断された場合、放電用スイッチング素子30をオフ操作し、また、充電用スイッチング素子26をオン操作する処理である。すなわち、充電処理は、ゲートに定電流を供給する定電流制御処理である。これにより、エミッタ電位に対するゲート電位の上昇によってゲート電圧Vgeがスレッショルド電圧Vth以上となることで、スイッチング素子S¥#はオン状態に切り替えられる。
なお、定電流制御処理によれば、後述するクランプ処理に起因したゲート充電電流の減少によってスイッチング素子S¥#のミラー期間が長くなることを回避することができ、スイッチング損失の増大等を回避することができる。
一方、放電処理は、操作信号g¥#がオフ操作指令になったと判断された場合、放電用スイッチング素子30をオン操作に切り替え、また、充電用スイッチング素子26をオフ操作に切り替える処理である。これにより、スイッチング素子S¥#は、オフ状態に切り替えられる。
駆動制御部50は、さらに、短絡検出用コンパレータ46の出力信号Sig等に基づき、過電流保護処理を行う。この処理は、クランプ処理と、ソフト遮断処理とを含む処理である。
まず、クランプ処理について説明すると、この処理は、充電処理が行われる場合において、ゲート電圧Vgeが所定電圧Vαに到達するタイミングからクランプフィルタ時間Tclamp(「所定時間」に相当)に渡って、クランプ用スイッチング素子34をオン操作する処理である。すなわち、クランプ処理は、ゲート電圧Vgeがその上限電圧(定電圧電源22の出力電圧Vom)に到達する前からゲート電圧Vgeをクランプ電圧Vclampで制限する処理である。ここで、本実施形態において、所定電圧Vαは、第1の電源38の出力電圧である。第1の電源38の出力電圧は、スレッショルド電圧Vth及びダイオード27の順方向電圧Vfの加算値以上であってかつクランプ電圧Vclamp未満の電圧に設定されている。より具体的には、所定電圧Vαは、スレッショルド電圧Vthの取り得る範囲「Vthmin〜Vthmax」の最大値Vthmax及び上記順方向電圧Vfの加算値に設定されている。ここで、上記最大値Vthmaxを用いるのは、スイッチング素子S¥#が確実にオン状態に切り替えられてからクランプ処理を開始するための設定である。つまり、スレッショルド電圧Vthは、コレクタ電流Icや、スイッチング素子S¥#の個体差等によってばらつく。このため、所定電圧Vαをスレッショルド電圧Vthとして想定される最大値に設定することで、スイッチング素子S¥#が確実にオン状態に切り替えられてからクランプ処理を開始することができる。
クランプ処理によれば、例えば上下アーム短絡が生じてスイッチング素子S¥#に過電流(短絡電流)が流れる場合において、後述するソフト遮断処理によってスイッチング素子S¥#がオフ状態に切り替えられるまでにスイッチング素子S¥#に流れるコレクタ電流Icを制限することができる。
ちなみに、クランプフィルタ時間Tclampは、ゲート電圧Vgeが所定電圧Vαに到達してからセンス電圧Vseが短絡閾値SCを超えるまでの時間の最大値よりもやや長い時間に設定すればよい。
続いて、ソフト遮断処理について説明すると、この処理は、短絡検出用コンパレータ46の出力信号Sigの論理が短絡フィルタ時間Tsc(「規定時間」に相当)継続して「H」になっていると判断された場合、スイッチング素子S¥#に過電流が流れていると判断する。そして、充電用スイッチング素子26及び放電用スイッチング素子30をオフ操作してかつ、ソフト遮断用スイッチング素子42をオン操作する処理である。上記ソフト遮断処理の実行により、スイッチング素子S¥#が強制的にオフ状態に切り替えられる。なお、本実施形態において、ソフト遮断用抵抗体40、ソフト遮断用スイッチング素子42、短絡検出用コンパレータ46及び第2の電源48が「ソフト遮断手段」を構成する。
ちなみに、短絡フィルタ時間Tscは、短絡検出用コンパレータ46の出力信号Sigにノイズが混入すること等によってソフト遮断処理が誤って実行されるのを回避するために設定されている。また、上記ソフト遮断用抵抗体40は、ゲート電荷の放電経路の抵抗値を大きくするために設けられる。これは、コレクタ電流Icが過大である状況下にあっては、スイッチング素子S¥#をオン状態からオフ状態へと切り替える速度(ゲート電荷の放電速度)を高くすると、サージ電圧が過大となるおそれがあることに鑑みた設定である。本実施形態では、ソフト遮断用抵抗体40の抵抗値Raが、放電用抵抗体28の抵抗値Rbよりも高く設定されている。これにより、ソフト遮断用経路Lcutの抵抗値は、通常時放電経路Ldisの抵抗値よりも大きく設定されることとなる。すなわち、ソフト遮断用経路Lcutによるゲート電荷の放電速度は、通常時放電経路Ldisによるゲート電荷の放電速度よりも低くなる。
また、ソフト遮断処理が行われた場合、駆動制御部50は、フェール信号FLを出力する処理と、充電用スイッチング素子26及び放電用スイッチング素子30の駆動を禁止する処理とを併せて行う。上記フェール信号FLは、ドライブIC20の第7の端子T7を介して低電圧システム(制御装置14)に出力される。このフェール信号FLによって、インバータ11のシャットダウンが行われる。
続いて、図3及び図4に、過電流保護処理の一例を示す。詳しくは、図3は、過電流が流れない通常時における過電流保護処理の一例であり、図4は、上下アーム短絡が生じた場合における過電流保護処理の一例である。
まず、図3を用いて説明する。ここで、図3(a)は、ゲート電圧Vgeの推移を示し、図3(b)は、充電用スイッチング素子26の操作状態の推移を示し、図3(c)は、放電用スイッチング素子30の操作状態の推移を示す。また、図3(d)は、クランプ用スイッチング素子34の操作状態の推移を示し、図3(e)は、ソフト遮断用スイッチング素子42の操作状態の推移を示し、図3(f)は、短絡検出用コンパレータ46の出力信号Sigの推移を示す。
図示される例では、時刻t1において放電用スイッチング素子30がオフ操作に切り替えられ、また、充電用スイッチング素子26がオン操作に切り替えられることで充電処理が開始される。これにより、ゲート電圧Vgeが上昇し始めることで、その後コレクタ電流Ic及びセンス電圧Vseが上昇し始める。なお、図3(a)に示す「Vmil」は、スイッチング素子S¥#のミラー電圧を示す。ミラー電圧Vmilは、スレッショルド電圧Vthと略同一の電圧、又はスレッショルド電圧Vthよりもやや高い電圧となる。
そして、ミラー期間を経過した後、時刻t2において、ゲート電圧Vgeが所定電圧Vαに到達したと判断される。これにより、クランプ用スイッチング素子34がオン操作に切り替えられてクランプ処理が開始される。
そして、時刻t2からクランプフィルタ時間Tclampが経過する時刻t3において、クランプ用スイッチング素子34がオフ操作に切り替えられる。これにより、その後、ゲート電圧Vgeは、定電圧電源22の出力電圧Vomに到達する。
続いて、図4を用いて、上下アーム短絡が生じる場合の一例を示す。ここで、図4(a)〜図4(f)は、先の図3(a)〜図3(f)に対応している。なお、図4は、関連技術にかかる駆動回路を用いた場合の各操作状態等の推移を示す。ここで、関連技術にかかる駆動回路とは、先の図2に示した駆動回路DUからダイオード27を除去した回路のことである。
図示される例では、時刻t1において充電処理が開始されることで、ゲート電圧Vgeが上昇し始める。その後、ミラー期間を経ることなく、時刻t2においてゲート電圧Vgeが所定電圧Vαに到達したと判断される。これにより、クランプ用スイッチング素子34がオン操作に切り替えられてクランプ処理が開始される。
その後、時刻t3において、センス電圧Vseが短絡閾値SCを超えることで、短絡検出用コンパレータ46の出力信号Sigの論理が「H」に反転される。本実施形態では、ゲート電圧Vgeが所定電圧Vαに到達してからクランプフィルタ時間Tclampが経過するまでの期間に、上記出力信号Sigの論理が「H」に反転されたと判断される場合、時刻t2からクランプフィルタ時間Tclampが経過する場合であっても、クランプ用スイッチング素子34のオン操作を継続する処理が行われる。
その後、短絡検出用コンパレータ46の出力信号Sigの論理が短絡フィルタ時間Tsc継続して「H」になっていると判断される時刻t5において、ソフト遮断用スイッチング素子42がオン操作に切り替えられる。これにより、スイッチング素子S*#が強制的にオフ状態とされる。なお、その後、クランプ用スイッチング素子34がオフ操作に切り替えられる。
ここで、図4に示した過電流保護処理は、ゲートに接続された充電経路Lchaと、コレクタ及びエミッタのうち少なくとも一方に接続された主電流流通経路(コレクタ電流Icの流通経路)とが磁気結合されていない駆動回路DUを用いる場合に対応している。これに対し、充電経路Lcha及び上記主電流流通経路とが磁気結合されている駆動回路DUを用いる場合には、ソフト遮断処理によらずにスイッチング素子S¥#がオフ状態に切り替えられるといった問題が生じ得る。以下、磁気結合について説明した後、ソフト遮断処理によらずにオフ状態に切り替えられる問題について説明する。
まず、図5及び図6を用いて、磁気結合のメカニズムについて説明する。ここで、図5及び図6は、関連技術にかかる駆動回路における低電位側のスイッチング素子S¥n周辺の構成を示す図である。なお、図5及び図6では、充電用スイッチング素子26やドライブIC20の端子等の図示を省略している。
図示されるように、コレクタ及びエミッタのうち少なくとも一方に接続された主電流流通経路、及びゲートに接続された充電経路Lchaには、配線インダクタンスが存在する。図5及び図6には、一対の主電流流通経路のうちコレクタに接続された経路に配線インダクタンス「lm」が存在することを示し、充電経路Lchaに配線インダクタンス「lg」が存在することを示した。本実施形態では、これら配線インダクタンスlm,lgが磁気結合されている。詳しくは、図5に示すように、コレクタ電流Icが上昇する(コレクタ電流Icの変化速度が正の値となる)状況下、充電経路Lchaにおいてクランプ用経路Lclamp側からゲートへと電荷が移動するように、これら配線インダクタンスlm,lgが磁気結合されている。ここで、クランプ用経路Lclamp側からゲートへと電荷が移動するのは、スイッチング素子S¥#のゲート及びエミッタ間容量を介してゲート側からエミッタ側へと電流が流れ込むことに起因する。一方、図6に示すように、コレクタ電流Icが減少する(コレクタ電流Icの変化速度が負の値となる)状況下、充電経路Lchaにおいてゲート電荷がクランプ用経路Lclamp側へと移動するように、上記配線インダクタンスlm,lgが磁気結合されている。ここで、ゲート電荷がクランプ用経路Lclamp側へと移動するのは、ゲート及びエミッタ間容量を介してエミッタ側からゲート側へと電流が流れ込むことに起因する。
そして、こうした磁気結合が関連技術にかかる駆動回路で生じることで、ソフト遮断処理によらずにスイッチング素子S¥#がオフ状態に切り替えられる問題が生じる。
図7を用いて、関連技術にかかる駆動回路を用いた場合における上記問題について説明する。ここで、図7は、関連技術にかかる過電流保護処理の一例である。なお、図7(a)〜図7(f)は、先の図4(a)〜図4(f)に対応している。
図示される例では、時刻t1において充電処理が開始されることで、ゲート電圧Vgeが上昇し始める。その後、時刻t2においてゲート電圧Vgeが所定電圧Vαに到達したと判断される。これにより、クランプ処理が開始される。
その後、時刻t3において、センス電圧Vseが短絡閾値SCを超えることで、短絡検出用コンパレータ46の出力信号Sigの論理が「H」に反転される。その後、コレクタ電流Icが上昇する状況下における磁気結合により、ゲート電圧Vgeがクランプ電圧Vclampを一旦大きく上回ることとなる。これにより、ゲート電圧をクランプ電圧Vclampで制限すべく、クランプ用スイッチング素子34がオン状態とされ、クランプ用経路Lclampを介したゲート電荷の放電が開始される。
その後、時刻t4において、ゲート電圧Vgeがクランプ電圧Vclampに向かって低下し始めることで、コレクタ電流Icも減少し始める。ここで、コレクタ電流Icが減少する状況下においては、磁気結合によってゲート電荷が充電経路Lchaをクランプ用経路Lclamp側へと移動する。移動したゲート電荷は、低インピーダンスのクランプ用経路Lclampを介して放電される。その結果、ゲート電圧Vgeは、急峻に落ち込んでクランプ電圧Vclampを大きく下回ることとなる。これにより、その後、短絡フィルタ時間Tscの計時が開始されてからこの時間Tscが経過する前に、ゲート電圧Vgeの低下によってスイッチング素子S¥#がオフ状態に切り替わるといった問題が生じる。したがって、スイッチング素子S¥#がオフ状態に切り替えられる場合に生じるサージ電圧が増大し、スイッチング素子S¥#の信頼性が低下する。
こうした問題に対処すべく、本実施形態では、先の図2に示すように、充電経路Lchaにダイオード27を設けた。ここで、ダイオード27によってゲート電圧Vgeの低下を回避できるのは、コレクタ電流Icが減少する状況下において上記磁気結合が生じる場合であっても、ダイオード27によってゲート電荷の放電を阻止することができるためである。
図8に、磁気結合が生じる場合の本実施形態にかかる過電流保護処理の一例を示す。なお、図8(a)〜図8(f)は、先の図4(a)〜図4(f)に対応している。
図示されるように、時刻t1において充電処理が開始されることで、ゲート電圧Vgeが上昇し始める。その後、時刻t2においてゲート電圧Vgeが所定電圧Vαに到達したと判断されることで、クランプ処理が開始される。
その後、ゲート電圧Vgeがクランプ電圧Vclampを大きく上回る。ここで、本実施形態では、充電経路Lchaにダイオード27を設けていることから、コレクタ電流Icが減少する状況下において上記磁気結合が生じる場合であっても、ゲート電荷の放電を阻止することができる。このため、ゲート電圧Vgeは、急峻に落ち込むことがない。そして、その後、時刻t3においてソフト遮断用スイッチング素子42がオン操作され、ソフト遮断処理によってスイッチング素子S¥#をオフ状態に切り替えることができる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)アノードが第2の端子T2に接続され、カソードがゲートに接続されたダイオード27を充電経路Lchaに設けた。このため、スイッチング素子S¥#に過電流が流れてクランプ処理が行われる状況下、ソフト遮断処理によらずにスイッチング素子S¥#がオフ状態に切り替わることを回避することができる。これにより、スイッチング素子S¥#の信頼性の低下を回避することができる。
特に、本実施形態では、「整流素子」としてダイオード27を用いた。このため、充電処理が行われる場合における定電流制御の制御性の低下を抑制することもできる。
つまり、定電流制御の制御性は、ゲート電圧Vgeが上昇することで低下する。これは、ゲート電圧Vgeが上昇するほど、ゲートに供給可能な定電流の最大値が小さくなるためである。ここで、例えば、ゲート電荷の放電を妨げる手段として、ダイオード27に代えて、抵抗体を用いることも考えられる。ただし、この場合、ゲートに供給する定電流の大きさによっては、抵抗体における電圧降下量が大きくなり、ゲートに供給可能な定電流の最大値が小さくなる。その結果、定電流制御の制御性が低下する懸念がある。
これに対し、ダイオード27は、自身に流れる順方向電流の大きさにかかわらず、順方向電圧が一定であり、また、順方向電圧も小さい。このため、本実施形態によれば、定電流制御の制御性の低下を抑制することができる。
(2)所定電圧Vαを、スレッショルド電圧の最大値Vthmax及びダイオード27の順方向電圧Vfに設定した。スイッチング素子S¥#がオン状態に切り替わる前にゲート電圧Vgeをクランプ電圧Vclampで制限すると、定電流電源24からゲートに供給されるべき電荷がクランプ用経路Lclampを介して放電され、ゲート電圧Vgeが上昇しにくくなる。この場合、スイッチング素子S¥#をオン状態に切り替えることができなかったり、スイッチング損失が増大したりするといった問題が生じ得る。また、スイッチング素子S¥#がハーフオン状態となることによる発熱により、スイッチング素子S¥#の信頼性が低下するといった問題も生じ得る。
ここで、所定電圧Vαの上記設定によれば、スイッチング素子S¥#がオン状態に切り替わってからクランプ処理を開始することができる。このため、上述した問題の発生を回避することができる。なお、スイッチング素子S¥#のハーフオン状態とは、スイッチング素子S¥#がオン操作される場合のゲート電圧Vgeを、飽和領域でスイッチング素子S¥#を駆動させる電圧に設定する状態である。ここで、飽和領域とは、スイッチング素子S¥#のコレクタ及びエミッタ間電圧Vceとコレクタ電流Icとが関係付けられた出力特性において、コレクタ及びエミッタ間電圧Vceの大きさにかかわらずコレクタ電流Icが略一定となる領域のことである。
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図9に示すように、本実施形態では、抵抗体52がダイオード27に並列接続されている。ここで、抵抗体52は、単一の抵抗体であってもよいし、複数の抵抗体の直列接続体であってもよい。なお、図9は、本実施形態にかかる駆動回路DUを示す図である。また、図9において、先の図2に示した部材と同一の部材については、便宜上、同一の符号を付している。
図10に、本実施形態にかかる過電流保護処理の一例を示す。なお、図10(a)〜図10(f)は、先の図8(a)〜図8(f)に対応している。
図示される例では、時刻t1においてゲート電圧Vgeが上昇し始めた後、時刻t2においてクランプ処理が開始される。その後、ゲート電圧Vgeがクランプ電圧Vclampを上回る。ここで、本実施形態では、抵抗体52を備えるため、クランプ処理が行われる場合に抵抗体52を介してクランプ用経路Lclampへとゲート電荷を放電することができる。このため、クランプ処理が行われる場合において、その後ソフト遮断用スイッチング素子42がオン操作される時刻t3までに、ゲート電圧Vgeをクランプ電圧Vclampに収束させることができる。これにより、上記第1の実施形態で得られる(1),(2)の効果に加えて、スイッチング素子S¥#の都度の損失(Ic×Vce)の時間積分値(短絡エネルギ)を低減できるといった効果を得ることもできる。
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態について、先の第2の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、充電経路Lchaのうちゲートから抵抗体52までの経路を、通常時放電経路Ldisとしても用いる。すなわち、抵抗体52は、クランプ処理が行われる場合における上記第2の実施形態で説明したゲート電荷の放電経路、及び放電処理において用いられる放電用抵抗体を兼用する。
図11に、本実施形態にかかる駆動回路DUを示す。なお、図11において、先の図9に示した部材と同一の部材については、便宜上、同一の符号を付している。
図示されるように、本実施形態では、放電用抵抗体28が除去されている。そして、放電処理で用いられる放電用抵抗体を、抵抗体52で代用する。このため、本実施形態では、ゲートから、抵抗体52、第3の端子T3及び放電用スイッチング素子30を介してエミッタに至るまでの経路を「通常時放電経路Ldis」と称すこととする。これにより、充電経路Lchaのうちゲートから抵抗体52までの経路が、通常時放電経路Ldisとしても用いられることとなる。
このように、本実施形態によれば、放電用抵抗体28を除去することができる。このため、上記第2の実施形態で得られる効果に加えて、駆動回路DUの備える素子数の増加を回避できるといった効果を得ることもできる。
(第4の実施形態)
以下、第4の実施形態について、先の第3の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図12に、本実施形態にかかる駆動回路DUを示す。なお、図12において、先の図11に示した部材と同一の部材については、便宜上、同一の符号を付している。また、本実施形態では、抵抗体52を第1の抵抗体と称すこととする。
図示されるように、通常時放電経路Ldisのうち充電経路Lchaとして用いられていない経路には、第2の抵抗体54が設けられている。詳しくは、通常時放電経路Ldisにおいて、第1の抵抗体52の両端のうち第2の端子T2側と、第3の端子T3との間に第2の抵抗体54が設けられている。ここで、ソフト遮断用抵抗体40の抵抗値Raは、第1の抵抗体52及び第2の抵抗体54の抵抗値の加算値「R1+R2」よりも大きく設定されている。なお、第2の抵抗体54は、単一の抵抗体であってもよいし、複数の抵抗体の直列接続体であってもよい。
第1の抵抗体52及び第2の抵抗体54は、放電処理が行われる場合における放電用抵抗体として用いられる。ここで、本実施形態によれば、通常時放電経路Ldisにおける放電用抵抗体を分散配置することができる。このため、放電処理が行われる場合における放電用抵抗体の損失を分散させることができる。これにより、上記第3の実施形態で得られる効果に加えて、放電用抵抗体等が実装される基板の発熱を低減できるといった効果を得ることもできる。
(第5の実施形態)
以下、第5の実施形態について、先の第4の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、放電処理が行われる期間(操作信号g¥#がオフ操作指令とされる期間)において、第2の端子T2の電圧(第1の抵抗体52及び第2の抵抗体54によるゲート電圧Vgeの分圧値Vd)に基づき、ダイオード27にショート故障が生じているか否かを診断する診断処理を行う。この処理は、駆動制御部50によって実行される。なお、本実施形態において、この処理が「診断手段」を構成する。
図13及び図14を用いて、診断処理について説明する。
まず、図13を用いて、ダイオード27が正常な場合における診断処理の一例について説明する。ここで、図13(a)は、ゲート電圧Vge,分圧値Vdの推移を示し、図13(b)は、操作信号g¥#の推移を示し、図13(c)は、診断結果の推移を示す。
図示されるように、時刻t1において、操作信号g¥#がオン操作指令からオフ操作指令に切り替えられる。これにより、所定の遅れ時間の後、時刻t2において、放電用スイッチング素子30がオン状態に切り替えられ、図中実線にて示すように、ゲート電圧Vgeが低下し始める。
ここで、ダイオード27が正常である場合、分圧値Vdは、図中波線にて示すように、ゲート電圧Vgeよりも低くなる。本実施形態では、ゲート電圧Vgeが低下し始めた後、ゲート電圧Vgeがエミッタ電位「0」となる前の時刻t3において、分圧値Vdが判定電圧Vβ未満であると判断される。これにより、ダイオード27が正常である旨診断される。ここで、判定電圧Vβは、第1の抵抗体52の抵抗値「R1」及び第2の抵抗体54の抵抗値「R2」の加算値で第2の抵抗体54の抵抗値「R2」を除算した値と、ショート故障の診断タイミングにおけるゲート電圧Vgeとの乗算値よりも高い電圧であってかつ、ショート故障の診断タイミングにおけるゲート電圧Vge以下の電圧に設定すればよい。なお、本実施形態では、診断タイミングを、放電処理が行われる期間であって、ゲート電圧Vgeが低下し始めた後からゲート電圧Vgeがエミッタ電位「0」となる前までの期間(以下、診断可能期間)における予め定められたタイミングに設定する。
続いて、図14を用いて、ダイオード27にショート故障が生じている場合における診断処理の一例について説明する。ここで、図14(a)〜図14(c)は、先の図13(a)〜図13(c)に対応している。
図示されるように、時刻t1において、操作信号g¥#がオン操作指令からオフ操作指令に切り替えられる。その後時刻t2において、図中実線にて示すように、ゲート電圧Vgeが低下し始める。
ここで、ダイオード27にショート故障が生じている場合、分圧値Vdは、ゲート電圧Vgeと一致する。このため、診断タイミングである時刻t3において、分圧値Vdが判定電圧Vβ以上であると判断され、ダイオード27にショート故障が生じている旨診断される。
このように、本実施形態によれば、上記第4の実施形態で得られる効果に加えて、ダイオード27のショート故障を診断できるといった効果を得ることもできる。
(その他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・「整流素子」としては、ダイオードに限らない。充電経路Lchaに設けられ、定電流電源24からゲートへと向かう方向の電流の流通を許容し、逆方向の電流の流通を阻止する機能を有せば、他の整流素子であってもよい。この場合であっても、コレクタ電流Icが減少する状況下において、クランプ用経路Lclampを介したゲート電荷の放電を阻止できる。
・上記各実施形態では、ダイオード27や放電用抵抗体28等の素子をドライブIC20の外部に設けたがこれに限らず、これら素子をドライブIC20に内蔵してもよい。
・「電流供給手段」としては、ゲートに定電流を供給する定電流制御を行うものに限らない。例えば、先の図2において、定電流電源24を除去してかつ定電圧電源22を第1の端子T1に接続し、ゲートに定電圧を供給する定電圧制御を行うものであってもよい。
・第2の抵抗体54の設置場所としては、上記第4の実施形態に例示したものに限らない。例えば、通常時放電経路Ldisのうち、第3の端子T3からエミッタまでの経路に設けてもよい。
・「比較器」としては、コンパレータに限らず、オペアンプであってもよい。この場合、非反転入力端子の印加電圧が所定電圧Vαよりも高くなる場合にクランプ用スイッチング素子34がフルオン状態となるようにオペアンプの増幅率を設定すればよい。ここで、クランプ用スイッチング素子34のフルオン状態とは、クランプ用スイッチング素子34がオン操作される場合のクランプ用スイッチング素子34のゲート電圧を、非飽和領域でクランプ用スイッチング素子34を駆動させる電圧に設定する状態である。非飽和領域とは、クランプ用スイッチング素子34のドレイン及びソース間電圧Vdsとドレイン電流Idとが関係付けられた出力特性において、ドレイン及びソース間電圧Vdsの上昇に伴ってドレイン電流Idが増大する領域のことである。これにより、クランプ用スイッチング素子34のオン抵抗は、略「0」とされる。
また、「比較器」としてオペアンプを用いる場合、ツェナーダイオード32を除去してもよい。この場合、第1の電源38の出力電圧を、クランプ電圧Vclamp及びダイオード27の順方向電圧Vfの加算値に設定すればよい。
・「ソフト遮断手段」としては、ゲート電荷の放電経路の抵抗値を増大させることで、ゲート電荷の放電速度を低下させるものに限らない。例えば、以下(A),(B)に説明するものであってもよい。
(A)先の図2において、ソフト遮断用抵抗体40、第4の端子T4及びソフト遮断用スイッチング素子42を除去する。そして、第3の端子T3及び放電用スイッチング素子30の接続点にスイッチング素子(例えばMOSFET)を介して電源(定電流電源)を接続する。そして、上記スイッチング素子をオン操作して電源から上記接続点に電荷を供給することで、ソフト遮断処理時におけるゲート電荷の放電速度を通常時の放電速度よりも低くする構成をソフト遮断手段として用いてもよい。これは、上記接続点に電源から電荷を供給することで、ゲート電荷の放電が妨げられることを利用したものである。
(B)先の図2において、ソフト遮断用抵抗体40、第4の端子T4及びソフト遮断用スイッチング素子42を除去する。そして、放電用スイッチング素子30のソースを、スイッチング素子S¥#のエミッタ又はエミッタよりも高電位となる部位(例えば、エミッタ電位よりも高い電位を出力電位とする電源)のうちいずれかとを選択的に接続可能な通電操作式のスイッチング素子(例えばMOSFET)によって接続する。そして、上記スイッチング素子の通電操作により、ソフト遮断処理時において、放電用スイッチング素子30のソース及び上記高電位となる部位を接続することで、ゲート電荷の放電速度を低くする構成をソフト遮断手段として用いてもよい。
・「直流電源」としては、バッテリに限らない。例えば、高電圧バッテリ12及びインバータ11間に昇圧コンバータが設けられる制御システムの場合、昇圧コンバータが「直流電源」となる。
・上記第5の実施形態では、診断可能期間における診断回数を1回としたがこれに限らず、複数回としてもよい。この場合、例えば、複数回の診断のうち、分圧値Vdが判定電圧Vβ以上であると判断された回数が過半数であることをもって、ダイオード27にショート故障が生じている旨診断してもよい。
・「駆動対象スイッチング素子」としては、単一のIGBTに限らず、複数のIGBTの並列接続体であってもよい。詳しくは、複数のIGBTのコレクタ同士を互いに接続し、エミッタ同士を互いに接続すればよい。こうした構成は、駆動対象スイッチング素子に流通可能なコレクタ電流Icの最大値を増大させるために採用される。また、「駆動対象スイッチング素子」としては、IGBTに限らず、例えばMOSFETであってもよい。この場合、第1の端子はドレインとなり、第2の端子はソースとなる。