JP6044144B2 - プリフォーム射出成形金型の製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、ブロー成形容器に対し、透明性や、形状が細長い、軽量で肉厚の均一的な容器をより求められて来るようになると、プリフォームも細長く、抜きテーパーの少ない形状が必要になって来た。
そこで、硬度の高い材質で、かつ、鏡面に磨き上げて、金型から抜き易くした金型を製造し、プリフォームの射出成形に使用されて来た。
しかし、そのようなプリフォームの射出成形では、金型表面に成形樹脂に含まれる低重合成分であるオリゴマーが、樹脂を溶融したり射出したりする時に、ガス化して分離し、キャビティに付着、堆積する現象が発生する。この堆積したオリゴマーがキャビティに付着した状態では、金型からプリフォームを抜く時、擦られ、表面に傷が発生し、不良の大きな原因になっている。傷が付いたプリフォームを使用して延伸ブロー成形すると、その傷が拡大し、より大きな傷に拡大し、内容物の異物検査が正常に出来ない問題が発生する。そして、これをそのまま放置すると、堆積したオリゴマーはより厚くなり、時として、金型から外すのにクラックが生じる場合もある。しかも、この堆積したオリゴマーは、特殊な洗浄剤と超音波洗浄機で毎日頻繁に洗浄する必要があるので、プリフォームを射出成形する事には、大きな障害になっていた。
しかし、この方法では、最終的に鏡面状態を作り出す方法で、処理後の表面の粗さがより小さくなるようになっているが、あまり表面の平滑性が高いと、滑り性も持たす為に必要な空気の流動が抑えられ、返って表面に抵抗が生じてしまい、傷、クラックなどの問題が発生する問題を抱えていた。
金型表面を、鏡面仕上げする第一工程、
金型表面の変質部を除去する第二工程、
金型表面を高密度化する第三工程、
金型表面を、算術平均粗さ(Ra)0.03ミクロンメーターから0.1ミクロンメーターの範囲で、かつ、最大高さ(Rz)0.5ミクロンメーターから1.5ミクロンメーターの範囲の粗さの微細な凹凸のある表面に作り上げる第四工程、
を含む事を特徴とするプリフォーム射出成形金型の製造方法である。
本発明は、図1に示したような延伸ブロー成形容器の製造に用いられるプリフォームの射出金型に関するものである。口部2にはキャップと嵌合するネジ部3とキャッピングする時や内容物を充填する時に容器を支える鍔4があり、この部分は射出成形で一体で成形されている。胴部1は、口部2と首部5で繋がっており、反対側は底部6になっている。
口部2のネジ部3は、キャップとして打栓式のキャップを使用する場合は、ネジではなく、リング状になっている。
図2の(2−1)で示すプリフォームとは、最終的な容器形状にする前の、中間成形形状の部材である。口部近傍は最終的な形状や寸法にしているが、容器の胴部1になるプリフォーム7の胴部は、肉厚になっている。
この容器を成形する工程は、図2の(2−1)で示すような、プリフォーム7を射出成形し、これを使用される樹脂のガラス転移点以上、融点未満の温度に保って、縦に延伸した後、横延伸と縦延伸を伴う延伸ブロー成形を行い、(2−2)に示すような本容器を製造する。通常、プリフォームが膨らみ易いように、融点より20〜30℃低い温度で延伸ブロー成形する。
溶融樹脂は供給され、キャビティ数は8個取りなどのように、多数個取りしている。
プリフォーム専用射出成形の場合のコア8は、単純なコア形状になっている。ゲート部分は射出成形性を重視し、通常わずかに冷却固化するので、ホットランナー形式の射出成形金型であっても、ゲート自体は冷却され、仕上げ加工するように設計されている。
射出成形後、引き続き、次の延伸ブロー成形に連続して成形される場合、コア8には、先端が突き出す、突き出しコア81が付属された金型になる。その突き出しコア81の内部には、980キロパスカル(kPa)程の高圧ブロー成形圧を送り込む為の高圧ブロー管82が通っている。
図4で示すように、射出成形用のキャビティ9は、単純にコアの反対方向に開き、プリフォームを抜く。プリフォームは長く、厚肉の試験管形状をしており、次の工程の為に、均一で、かつ、表面の損傷が無い事が求められるので、射出成形用のキャビティ9は、割型にはしない。
プリフォーム7は、一旦、射出成形金型から抜く為に低温に冷却して、射出成形金型から離型するが、次工程の図6では、延伸する為、プリフォーム7を構成する樹脂のガラス転移点以上で、融点未満になるよう、加熱する。通常は、肉厚であるプリフォーム7の内部と外部の温度差が出にくいよう、遠赤外線の加熱ヒーター12で加熱する。
図7で、ガラス転移点以上で、融点未満の温度に加熱されたプリフォーム7に対し、口元部分を押さえたまま、突き出しコア81を伸ばし、縦延伸を掛ける。この時、プリフォーム7を構成する樹脂は、分子が自由には動きにくいが、ガラス転移点以上の温度の為、結晶化している分子間の力は強固ではないので、高分子である樹脂の分子は縦方向に無理やり伸ばされ、同じ向きに揃わされる。この為、傷や異物の存在など、何か欠陥があると、それが拡大される問題がある。従って、プリフォームの表面、内部共、均一で欠陥がないものである必要がある。
プリフォーム7の温度がガラス転移点以上とはいえ、融点以下なので、粘性は高く、この高圧の窒素ガス、又は高圧空気などの高圧気体822の圧力は、9.8×105Pa程の高圧をかけないと膨らまない。
図9の矢印で示すように、ブロー金型のキャビティ10部分と、ネジ部分の金型31は分割され、図10の製品が取り出される。
従来は、単に磨くだけか、鏡面性の高い放電研磨を掛けるか、のいずれであった。しかし近年、文献1にあるように、図13で示すように、キャビティ形状を出した後の金型内部の微細な表面は、(13−1)のように加工による損傷や金型材料中の欠陥として、クラック、バリ、返りの他、球状の空洞、表面まで孔の開いたビットなどの欠陥が発生している。それを(13−2)のようにショートピーリングして、欠陥を塞ぎ、その上で(13−3)のように磨き、さらに(13−4)で示すようにラップ処理で平滑性を出していた。しかし、ショートピーリングした場合、微小クラックの欠陥を閉鎖したり、バリの除去、返りの除去、などは行われるが、それによって全体的な面の平面性までは大幅には改善できない。金型から成形品が抜ける際、平滑性が高いだけで、空気のような流動性を補助するものが製品と金型の間にないと、滑ったように、抜けていかない。そして、そこに析出物91が形成され、傷やクラックなどの原因になっていた。
リアクリルアミドとダイヤモンド砥粒を使用した自動ラップ盤などの研磨でも可能である。また、粉末放電加工や、カーボンや銅をマスターに使用した鏡面に加工できる放電加工条件を選定するなどの方法でもかまわない。
この最初の研磨の段階で、主要な凹凸を小さくし、欠陥の大きさを小さくする。粗さとして、算術平均粗さRaで0.1〜0.5ミクロンメーター、最大高さRzで1〜5ミクロンメーターにまで研磨する。このような粗さにすると、光反射で磨き面の状態を目視でも確認しやすくなり、欠陥部分が分りやすくなるし,可視光の波長の関係から、鏡面加工の境界値として利用できる。
使用される金型の材質は、ステンレス鋼、プリハードン鋼、合金工具鋼、高速度工具鋼、超硬工具鋼を使用する。このような硬度の高い鋼を使用しないと、研磨によって充分な鏡面が得られないし、鏡面が出ないと磨きでの問題部分を判断できないし、磨きの調整ができなくなってしまう。その為、形状を切削し、研磨して切削目を取り除いた後、焼入れすべき金型材料の場合は焼入れしたりして、充分硬度を高くした状態にしてから、鏡面研磨を行う。
この粒体13は、場合によってはブラスト材を空加工によって不完全な角を落とした非球面体にしても可能であるし、大きさ、当てる速度や圧縮空気の圧力は、金型の硬度などにより調整する。場合によっては、圧縮空気ではなく、窒素ガスや水などの液体にしても良い。
このような粗さの表面にすると、接する樹脂は平滑で鏡面性の高い容器になるが、微細な凹凸があるので、樹脂と金型の間に空気層が存在し、それが離型性を向上させ、傷の付かない、スムースな製品の取り出しを確保させる。
これを昼夜連続して成形したところ、文献1の方式(図13参照)によるキャビティの場合、一日で2回停止して、洗浄した予備金型との交換が必要であったが、本発明の方式によるキャビティの場合、2日間連続して成形しても、傷やクラックなどの発生もなく、成形が出来た。
2・・・・・・・・・口部
3・・・・・・・・・ネジ部
31・・・・・・・・ネジ部キャビティ(割型)
4・・・・・・・・・鍔
5・・・・・・・・・首部
6・・・・・・・・・底部
7・・・・・・・・・プリフォーム
71・・・・・・・・ゲート
72・・・・・・・・回転刃
8・・・・・・・・・コア
81・・・・・・・・突き出しコア
82・・・・・・・・高圧ブロー管
821・・・・・・・吹き出し孔
822・・・・・・・高圧気体
9・・・・・・・・・キャビティ(射出成形用)
91・・・・・・・・析出物
910・・・・・・・キャビティ表面(切削面)
911・・・・・・・キャビティ表面(変質部除去のショートピーニング面)
912・・・・・・・キャビティ表面(高密度化のショートピーニング面)
913・・・・・・・キャビティ表面(研磨面)
914・・・・・・・キャビティ表面(ラップ処理面)
92・・・・・・・・欠陥部
920・・・・・・・キャビティ表面(研磨面)
921・・・・・・・キャビティ表面(変質部除去のショートピーニング面)
922・・・・・・・キャビティ表面(高密度化のショートピーニング面)
924・・・・・・・キャビティ表面(表面粗し面)
93・・・・・・・・かすり傷
931・・・・・・・拡大傷(延伸による拡大傷)
10・・・・・・・・キャビティ(ブロー成形用)
11・・・・・・・・粒体(高密度化する粒体)
12・・・・・・・・加熱ヒーター
13・・・・・・・・粒体(切削性のある粒体)
Claims (4)
- 延伸ブロー成形に用いられるプリフォームを成形する射出成形金型の製造方法であって、
金型表面を、鏡面仕上げする第一工程、
金型表面の変質部を除去する第二工程、
金型表面を高密度化する第三工程、
金型表面を、算術平均粗さ(Ra)0.03ミクロンメーターから0.1ミクロンメーターの範囲で、かつ、最大高さ(Rz)0.5ミクロンメーターから1.5ミクロンメーターの範囲の粗さの微細な凹凸のある表面に作り上げる第四工程、
を含む事を特徴とするプリフォーム射出成形金型の製造方法。 - 第三工程で高密度化するのに、直径20ミクロンメーターから60ミクロンメーターのガラス粒、鉄粒、水晶粒、大理石粒から一以上を組み合わせた粒体を使用し、ブラスト処理する事を特徴とする請求項1に記載のプリフォーム射出成形金型の製造方法。
- 金型の表面材質が、ステンレス鋼、プリハードン鋼、合金工具鋼、高速度工具鋼、超硬工具鋼から一以上の組み合わせからなる事を特徴とする請求項1又は2に記載のプリフォーム射出成形金型の製造方法。
- 第二工程で金型表面の変質部を除去する研削性のある粒体として、酸化アルミニウム、又は、炭化珪素である事を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプリフォーム射出成形金型の製造方法。
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