JP6326790B2 - プリフォームおよびプリフォーム成形金型 - Google Patents
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Description
従って、ブロー金型内部で膨らませる前の工程で製造するパリソンは、大きく膨らんだ最終形状ではなく、筒状、又は試験管形状のパリソンである。
筒状のパリソンの場合、口部近傍の形状はブロー金型の口部近傍の所で支え、ブローピンを打ち込むことで、口部近傍が圧縮成形される。底部は、底部金型の圧縮によって融着し、かつ、押し切られ、ピンチオフ部が形成される。
ピンチオフ部が形成されたパリソンは、有底パリソンと言い、通常のブロー成形ではそのまま、口部と底部の間のパリソン内部に、高圧空気などがブローピン先端から噴出し、パリソンは膨らんでブロー金型の内面に押し付けられ、冷却され、最終形状に成形される。延伸ブローの場合は、図6で示すように、パリソン200は結晶性の樹脂で製造し、ガラス転移点以上でかつ融点以下の温度範囲に加熱保持した状態で、口部型3に対し、コア延伸部42が伸びて縦延伸型43が縦方向にパリソンを底型51の位置まで縦延伸する(図6−1)。
それから、ブロー口41から超高圧ガス、あるいは超高圧空気等6を注入して、横延伸をしながら縦延伸パリソン201を横方向にも面で膨らませる(図6−2)。
その後、ブロー金型5の内壁にまでパリソンを押し広げ、最終形状に延伸ブローする(図6−3)。
以上のような、口部近傍が筒状のパリソンを圧縮するだけの工程では、密閉性が低い圧縮なので、複雑な形状も、精度の高い寸法も出しにくい問題があった。
プリフォームを射出成形で製造すれば、フランジを設けることで、胴部を薄くして腰の強度が弱い容器であっても、充填が可能な容器にすることもできるし、成形される口元の精度が高く、カプラ構造部を設けることでブリッジバンドを有し、バージン性の高いキャップで密封することが可能になる。
しかし、射出成形で製造されるプリフォームは、非常にテーパーが小さく、細長いので、冷却が難しく、プリフォームのコアから製品を抜きにくい問題があった。
その対策として、単にコアから抜けやすくするようにプリフォームのコア表面を鏡面磨きしても、空気の逃げができず、封入された空気溜り跡が発生する問題があった。
していた。
このプリフォーム成形金型の場合、ウエルドが発生しないようにするため、底部をゲートにするのが一般的である。そのため、口元側はゲートから離れてしまうので、樹脂圧力が掛かりにくい射出成形になってしまう問題があった。特に、結晶性樹脂であるポリエチレンテレフタレートなどの樹脂を用いた延伸ブロー成形用のプリフォーム成形の場合、射出成形における流動性が低く、流れる温度の低下によって、粘度が著しく増大し、凝固に対する収縮率も大きいので、フランジ14やカプラ構造部13など根元では、局所的に成形品の肉が厚くなってしまい、その肉厚部内面に著しいヒケが発生する問題があった。
前記口元の先端近傍のプリフォーム内面に対応する部位の表面と、前記突起に対向するプリフォーム内面に対応する部位の表面とが鏡面加工面であり、それ以外の表面がシボ加工面であることを特徴とするプリフォーム成形金型である。
前記口元の先端近傍の内面の表面と、前記突起に対向する内面の表面が鏡面加工面であり、それ以外の表面がシボ加工面であることを特徴とするプリフォームである。
に記載のプリフォームである。
しかも、単に金型の表面加工だけで対応できるので、成形のサイクル時間の変化もなく、安定してヒケを発生させないので、生産性が高く、安価に品質を向上できた。
実施例に使用されて製造される容器は、図1に示すようなプラスチック製の射出延伸ブロー成形したボトルや、射出ブロー成形ボトルである。すなわち、射出成形でプリフォームを成形し、それを延伸ブロー成形、又は、単なるブロー成形して得られる容器である。
この容器の口元は、充填などに容器を支えるフランジ14などがあって、その先にはネジ部12があり、その先に口先11が形成されている。この部分は射出成形で成形されたそのままの形状を持ち、精度の高い形状と寸法を有する容器になっている。
また、胴部は、口元のフランジ14から首部22を経て、ブロー成形により膨らんで、薄肉に成形されている。
図2−2で示すブロー成形された容器の口元1は、図2−1のプリフォームで射出成形されたままの形状である。
しかし、プリフォームの胴部2は、ブロー成形された胴部(容器)20に容量が大きく膨張・拡大し、肉厚は非常に薄く変化している。
そして、このプリフォームの底部21部分は下側に突き出して凸形状になっているが、容器では座りを良くする為に凹に形成された底部(容器)210に成形されている。
図3−1で示すように、プリフォームには、容器の注出口になる口先11の下側にネジ部12やカプラ構造部13、フランジ14などの突起が設けられている。
図3−2で、その口元近傍を断面で現したが、特にカプラ構造部13、フランジ14など
の根元部分は溶融樹脂の熱が逃げにくい厚肉構造になっていることがわかる。
なお、胴部2は、通常、口元から離れるに従って徐々に肉厚を上げ、口元から充分離れると、一定の肉厚を確保するように設計している。
ところで、一般的に、射出成形された溶融樹脂が冷却する時の凝固による収縮では、その凝固が最後になる部分に集中してヒケが発生するという特徴がある。
早く冷却された部分も収縮するが、その収縮する変化量分は、まだ溶融している部分から流れて補充される。その為、最後に冷却される部分では、収縮される量と、早くに冷却されて補充した量が集積され、全体の多くの収縮した分の容量に相当する減少した容量分が、ヒケとして、外観になって発生する。
プリフォームの射出成形でも同じである。口先11のようなゲートから離れた所は溶融樹脂が冷え始め粘度が上昇しているのでヒケやすく、また、カプラ構造部13、フランジ14などの根元部分は溶融樹脂の熱が逃げにくい厚肉構造になっている。図4−1では外側にネジを持つプリフォーム、図4−2では打栓式容器のプリフォームであるが、口先(ネジ式)11や口先(打栓式)112と共に、カプラ構造部13や、フランジ14の内側は冷却が遅く、それらの内側に口先ヒケ部(ネジ式)110、口先ヒケ部(打栓式)113、カプラヒケ部130フランジヒケ部140ができていて、大きくヒケていることがわかる。
ここで、ネジ部を有する口元を持つプリフォームの金型では、図5−1で示すように、口先内面111、カプラ構造部内面131、フランジ部内面141の金型表面を鏡面にする。そして、その他のプリフォーム金型のコア表面はシボ加工又はブラスト加工した細かいシボのある表面にする。
ネジ部がない打栓式口元を持つプリフォームの金型では、図5−2で示すように、口先内面部114、カプラ構造部内面131、フランジ部内面141の金型表面を鏡面にする。そして、その他のプリフォーム金型のコア表面はエッチング方式のシボ加工又はサンドブラスト加工などを施した細かいシボ表面にする。
図7−1は、ネジ部を有するプリフォームで、口先11やカプラ構造部13や、フランジ14以外の内面を形成する通常コア型表面44をシボ加工又はブラスト加工などの凹凸表面150にした金型と溶融樹脂の断面を示した。
この部分の通常コア型表面44は微細な凹凸を付けているので、溶融樹脂7は表面しか接しないで、シボの底部には空気層70が存在している。その為、この部分において溶融樹脂7と通常コア型表面44との間の熱伝導率は低く、冷却されにくい。
図7−2は、口先やカプラ構造部13や、フランジ14における内面を形成する鏡面コア型表面45にした金型と溶融樹脂の断面を示した。
この部分の鏡面コア型表面45は鏡面で凹凸がないので、溶融樹脂7は金型に密着して、金型と溶融樹脂との間には空気層70がなく、密着している。その為、この部分において溶融樹脂7と鏡面コア型表面45との間の熱伝導率は高く、非常に冷却しやすい。
このように、冷却されにくく、ヒケ易い口先11やカプラ構造部13や、フランジ14における内面を形成する部分は鏡面コア型表面45とし、その他の金型表面をシボにすることによって、プリフォームは均一に冷却され、ヒケを発生させないで成形が可能である。また、大部分はコア金型表面に細かいシボがあり、空気層があるので、コアからプリフォームが抜けやすく、傷になりにくい。
さらに、容器口先内部のヒケが発生しにくいので、容器の密封性も向上し、かつ、安定した品質の製品が量産できる。
コア金型表面は、あらかじめ鏡面に磨いておく。口先やカプラ構造部13や、フランジ14など、鏡面のままにする部分にはマスキング46を行い、投射材が当たっても削れないようにする。
図7−3は、グリーンカーボランダムと言われる炭素珪素系投射材441を使用した例で、この炭素珪素系投射材は角がある粒子であり、これを高圧空気や水などの高圧液体と共に、金型表面に吹き付ける。口先やカプラ構造部13や、フランジ14など、鏡面にする部分にはマスキング46を行い、炭素珪素系投射材441が当たっても削れないようにする。
投射材は、炭素珪素系投射材に限らない。鉄系投射材、アモルファス投射材、ステンレス系投射材、セラミックス系投射材、ガラス系投射材なども使用できるが、黒色炭化珪素投射材、緑色炭化珪素投射材などの炭素珪素系投射材は、先端が尖っていて、空気層が作りやすいので好ましい。他の投射材は、表面の粗さ調整に使用すると良い。
凹凸のシボを型表面に形成するには、ブラストシボ加工する以外、エッチング加工しても良い。エッチングはマスキング用の塗料をまばらに噴霧して、そのマスキングできなかった部分を腐食で金型表面を侵食する方法である。エッチングでは表面が傷つきにくく、鏡面性の高い内面を得やすい。
これらシボにする金型表面の粗さは、最大高さ(Ry)で50s(50マイクロメーター)(JIS B 0601(1994)以下略す)以上にする。
また、鏡面にする金型表面部分の粗さは、最大高さ(Ry)で3.2s(3.2マイクロメーター)以下にする。
これは、プリフォームとしては、シボにするプリフォーム内面の表面粗さは、最大高さ(Ry)で35s(35マイクロメーター)以上になる。
また、鏡面にするプリフォーム内面の表面粗さは、最大高さ(Ry)で6.3s(6.3マイクロメーター)以下になる。
このように、金型表面の粗さが、溶融樹脂では完全に追随せず、なだらかになっている差が生じているのは、そこに、空気層が存在し、点状でしか金型と溶融樹脂が接していない為である。
上記のように、冷却しにくい部分の鏡面粗さに対して、冷却しやすい凹凸にする金型部の表面の粗さを、最大高さ(Ry)で50s(50マイクロメーター)以上と、極端に大きな差にすることで、冷却する金型表面積の冷却時間が近づくようになり、プリフォームは均一に冷却され、ヒケがなく成形出来る。
非晶性の材料で成形するのは、同じ機械で加工できるが、結晶性でないので結晶が並ぶような延伸成形品にはならない。しかし、工程や機械は同じように加工できる。
このことによって、容器口元の形状が安定し、密封性が高まり、高圧の炭酸ガス入りの延伸ボトルなどでは、保存可能期間が長く設定可能になるなど、密封性の効果が高まった。しかも、この、部分的な表面加工の追加だけで、生産の工程も変化せずに対応できるので、本発明の効果は非常に高い。
11・・・・・・・・口先(ネジ式)
111・・・・・・・口先内面(ネジ式)
112・・・・・・・口先(打栓式)
113・・・・・・・口先内面部(打栓式)
114・・・・・・・口先内面
12・・・・・・・・ネジ部
13・・・・・・・・カプラ構造部
130・・・・・・・カプラヒケ部
131・・・・・・・カプラ構造部内面
14・・・・・・・・フランジ
140・・・・・・・フランジヒケ部
141・・・・・・・フランジ部内面
15・・・・・・・・シボ加工面
150・・・・・・・シボ表面
2・・・・・・・・・胴部
20・・・・・・・・胴部(容器)
201・・・・・・・縦延伸パリソン
21・・・・・・・・底部(プリフォーム)
210・・・・・・・底部(容器)
22・・・・・・・・首部
3・・・・・・・・・口部型
4・・・・・・・・・コア型
41・・・・・・・・ブロー口
42・・・・・・・・コア延伸部
43・・・・・・・・縦延伸型
44・・・・・・・・通常コア型表面
441・・・・・・・炭素珪素系投射材
45・・・・・・・・鏡面コア型表面
46・・・・・・・・マスキング
5・・・・・・・・・ブロー型
51・・・・・・・・底型
6・・・・・・・・・超高圧空気
7・・・・・・・・・溶融樹脂
70・・・・・・・・空気層
Claims (6)
- 胴部と前記胴部より細径の口元とを有する容器の延伸ブロー成形又は射出ブロー成形に用いるプリフォームの射出成形用金型であり、前記口元の外面に突起を有するプリフォームの射出成形に用いる金型であって、プリフォームの内面側に位置させるコア側成形金型において、
前記口元の先端近傍のプリフォーム内面に対応する部位の表面と、前記突起に対向するプリフォーム内面に対応する部位の表面とが鏡面加工面であり、それ以外の表面がシボ加工面であることを特徴とするプリフォーム成形金型。 - コア外面の鏡面加工面の表面粗さを最大高さ3.2s(JIS B 0601(1994))以下としたことを特徴とする請求項1に記載のプリフォーム成形金型。
- コア外面のシボ加工面の表面粗さを最大高さ50s(JIS B 0601(1994))以上としたことを特徴とする請求項1又は2に記載のプリフォーム成形金型。
- 胴部とこの胴部より細径の口元とを有する容器の延伸ブロー成形又は射出ブロー成形に用いるプリフォームであり、前記口元の外面に突起を有するプリフォームにおいて、
前記口元の先端近傍の内面の表面と、前記突起に対向する内面の表面が鏡面加工面であり、それ以外の表面がシボ加工面であることを特徴とするプリフォーム。 - プリフォーム内面の鏡面加工面表面粗さを最大高さ6.3s(JIS B 0601(1994))以下としたことを特徴とする請求項4に記載のプリフォーム。
- プリフォーム内面のシボ加工面表面粗さを最大高さ35s(JIS B 0601(1994))以上としたことを特徴とする請求項4又は5に記載のプリフォーム。
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