JP3274224B2 - プラスチック光学素子の成形金型およびそのプラスチック光学素子 - Google Patents

プラスチック光学素子の成形金型およびそのプラスチック光学素子

Info

Publication number
JP3274224B2
JP3274224B2 JP11943193A JP11943193A JP3274224B2 JP 3274224 B2 JP3274224 B2 JP 3274224B2 JP 11943193 A JP11943193 A JP 11943193A JP 11943193 A JP11943193 A JP 11943193A JP 3274224 B2 JP3274224 B2 JP 3274224B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
optical element
rough
mirror
plastic optical
mold
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP11943193A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06328522A (ja
Inventor
明 福島
英徳 伊藤
久秋 小瀬古
寿治 畠山
彰士 平野
和彦 熊谷
拓也 若山
恭吾 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Optical Industries Co Ltd
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Optical Industries Co Ltd
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=14761269&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP3274224(B2) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by Ricoh Optical Industries Co Ltd, Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Optical Industries Co Ltd
Priority to JP11943193A priority Critical patent/JP3274224B2/ja
Publication of JPH06328522A publication Critical patent/JPH06328522A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3274224B2 publication Critical patent/JP3274224B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プラスチック光学素子
の成形金型およびその光学素子に関し、詳しくは、ミラ
ー、プリズム等の少なくとも鏡面が2面以上形成された
プラスチック光学素子の成形金型および成形金型によっ
て成形されたプラスチック光学素子に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、プラスチック射出成形加工の高精
度化により、厚肉や偏肉で大口径のミラーやレンズある
いはプリズム等の高精度成形品が得られるようになって
きた。このような厚肉や偏肉の光学素子を得るために
は、成形金型の形状転写精度を高めるために、プラスチ
ック材料が固化するまでに適当な圧力を加え続けること
が必要である。ところが、このような圧力を加えること
は成形品内部に残留歪を残すことになり、以下のような
不具合を発生させてしまうことになる。残留歪が経時
的に開放されることで成形品の形状精度等が変化し、光
学特性を満たさなくなる。特にレンズやプリズム等の
ように光が成形品内部を通過する光学素子の場合、残留
歪が局部的な屈折率の変化の原因となり、光学特性を満
たさなくなる。
【0003】このように成形品に残留する歪みを少なく
するには、金型のキャビティ内へのプラスチック材料の
充填量を少なくすることが考えられるが、このようにす
ると成形金型の形状転写精度を低下させる、いわゆるひ
けの発生の原因となってしまい、光学素子としての機能
を満たさなくなってしまう。すなわち、プラスチック材
料の充填量を少なくし、かつ形状転写精度を満たすため
の射出充填条件の幅は狭く、これを満たして安定的に成
形品を量産するためには、高精度な成形機が必要である
ばかりでなく、金型の温度制御も厳密に行なわなければ
ならないことから、何れも成形設備が高価となってしま
い、成形品のコストを増大させてしまう。
【0004】このような不具合を解消するために、従来
では、一面が光学的鏡面からなり、その反対側の面が微
小な凹凸の粗面に形成された成形金型を用い、粗面に比
べて放熱作用の高い鏡面からプラスチック材料を固化さ
せ、粗面近傍の材料を鏡面側に引張ることにより、ひけ
を粗面部分に誘導することにより、材料の充填量を少な
くして光学的鏡面の転写精度を向上させることができる
とともに、残留歪の少ないプラスチック光学素子を得る
ことができる。
【0005】このような従来例としては、例えば、特開
平3−128218号公報、特開平3−151218号
公報、特開平3−281213号公報、あるいは特開平
4−83621号公報に記載されたようなものがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のプラスチック光学素子の成形金型にあって
は、一面が光学的鏡面からなり、その反対側の面が微小
な凹凸の粗面に形成された成形金型を用いていたため、
光学的鏡面を1面だけ有する反射ミラー等には効果があ
るものの、少なくとも2面以上の鏡面を有するレンズや
プリズムには適用することができないという問題があっ
た。
【0007】そこで請求項1、2記載の発明は、キャビ
ティ内へのプラスチック材料の充填量を少なくしてひけ
を光学的鏡面以外に誘導することができ、鏡面の転写精
度を向上させることができるとともに残留歪の少ない2
面以上の光学的鏡面を有するプラスチック光学素子を成
形することができるプラスチック光学素子の成形金型を
提供することを目的としている。
【0008】請求項3記載の発明は、粗面の表面粗さを
Rmaxで0.5〜20μmにすることにより、ひけを粗面に容
易に誘導することができるとともに、金型に対する離型
の向上および金型の型開き性を向上させることができる
プラスチック光学素子の成形金型を提供することを目的
としている。請求項4記載の発明は、分割金型の粗面が
形成された対向面を多孔質材料から構成することによ
り、プラスチック材料と多孔質材料との密着性(ぬれ
性)を調整して密着性を低下させて、最終固化部分を粗
面に容易に誘導することができ、より一層鏡面の転写精
度を向上させることができるとともに、より一層残留歪
の少ない2面以上の光学的鏡面を有するプラスチック光
学素子を成形することができるプラスチック光学素子の
成形金型を提供することを目的としている。
【0009】請求項5記載の発明は、請求項1記載の成
形金型を用いて少なくとも2面以上の表面に鏡面を形成
するとともに、該鏡面以外の表面を粗面に形成すること
により、複屈折等が生じるのを防止して光学的特性の高
いプラスチック光学素子を提供することを目的としてい
る。請求項6記載の発明は、請求項2記載の形成金型を
用いて少なくとも2面以上の表面に鏡面を形成するとと
もに、該鏡面以外の表面の一部を粗面に形成することに
より、粗面に成形されていない部分の反対側の面を紫外
線硬化型接着剤によって支持体に取付け、粗面の形成さ
れていない部分から接着剤に紫外線照射を行なう際、該
部分に対する紫外線の透過率を向上させて接着性を向上
させることができるとともに、接着面を基準にしたとき
の位置決め精度を向上させることができるプラスチック
光学素子を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
上記課題を解決するために、互いの対向面によりキャビ
ティが画成された複数の分割金型を有し、キャビティ内
にプラスチック材料を充填することにより、プラスチッ
ク光学素子を成形するプラスチック光学素子の成形金型
において、前記分割金型の対向面のうちの少なくとも2
面以上が光学的鏡面を有し、該鏡面以外の対向面が粗面
に形成されることを特徴としている。
【0011】請求項2記載の発明は、上記課題を解決す
るために、互いの対向面によりキャビティが画成された
複数の分割金型を有し、キャビティ内にプラスチック材
料を充填することにより、プラスチック光学素子を成形
するプラスチック光学素子の成形金型において、前記分
割金型の対向面のうちの少なくとも2面以上が光学的鏡
面を有し、該鏡面以外の対向面が一部が粗面に形成され
ることを特徴としている。
【0012】請求項3記載の発明は、上記課題を解決す
るために、請求項1または2記載の発明において、前記
粗面の表面粗さがRmaxで0.5〜20μmであることを特徴
としている。請求項4記載の発明は、上記課題を解決す
るために、請求項1〜3何れかに記載の発明において、
前記分割金型の粗面が形成された対向面の材質が多孔質
材料から構成されることを特徴としている。
【0013】請求項5記載の発明は、上記課題を解決す
るために、請求項1記載の成形金型によって成形された
プラスチック光学素子において、少なくとも2面以上の
表面に鏡面が形成されるとともに、該鏡面以外の表面が
粗面に形成されることを特徴としている。請求項6記載
の発明は、上記課題を解決するために、請求項2記載の
成形金型によって成形されたプラスチック光学素子にお
いて、少なくとも2面以上の表面に鏡面が形成されると
ともに、該鏡面以外の表面の一部が粗面に形成されるこ
とを特徴としている。
【0014】
【作用】請求項1記載の発明では、分割金型の対向面の
うちの少なくとも2面以上が光学的鏡面を有し、該鏡面
以外の対向面が粗面に形成されている。したがって、粗
面部分のプラスチック材料と粗面の間に空気層が介在さ
れて粗面と材料の密着性が光学的鏡面に比べて低下す
る。
【0015】そして、この空気層が断熱層として作用
し、材料の固化が断熱層の存在しない鏡面部分から開始
される。一方、溶融体が固化される際に体積の収縮が生
じるので、粗面の部分の材料の固化が空気層(断熱層)
の存在のために遅れてこの部分の材料が鏡面側に引張ら
れ、ひけが粗面部分に誘導される。この結果、キャビテ
ィへの材料の充填量を少なくしても、鏡面の転写精度が
向上されるとともに残留歪みの少ない2面以上の光学的
鏡面を有するプラスチック光学素子が成形される。
【0016】請求項2記載の発明では、分割金型の対向
面のうちの少なくとも2面以上が光学的鏡面を有し、該
鏡面以外の対向面が一部が粗面に形成される。したがっ
て、ひけが粗面に誘導され、請求項1記載の発明と同様
のプラスチック素子が容易に成形される。請求項3記載
の発明では、粗面の表面粗さがRmaxで0.5〜20μmにな
るように構成される。このような範囲に構成するのは、
実験の結果、表面粗さが0.5以下の場合には空気層が形
成されにくく粗面に形成された分割金型の対向面にひけ
が誘導できなかったからであり、20μm以上の場合に
は、例えば、光学素子の鏡面の隣接する面に粗面を形成
するような場合に、成形品を金型から取り出す際にアン
ダーカットとなるとともに、離型抵抗が増大して光学素
子に変形が生じてしまうことに加えて、分割金型を型開
きする際の抵抗が増大してしまうからである。
【0017】したがって、表面粗さがRmaxで0.5〜20μ
mになるように構成すれば、このような不具合が発生せ
ず、ひけが粗面に容易に誘導されるとともに、金型に対
する離型の向上および金型の型開き性がを向上する。請
求項4記載の発明では、分割金型の粗面が形成された対
向面の材質が多孔質材料から構成される。したがって、
プラスチック材料と多孔質材料との密着性(ぬれ性)が
調整されて密着性を低下され、最終固化部分が粗面に容
易に誘導される。このため、より一層鏡面の転写精度を
向上させることができるとともに、より一層残留歪の少
ない2面以上の光学的鏡面を有するプラスチック光学素
子が成形される。
【0018】請求項5記載の発明では、請求項1記載の
発明の成形金型により、少なくとも2面以上の表面に鏡
面が形成されるとともに、該鏡面以外の表面が粗面に形
成される。したがって、複屈折等が生じることがなく、
光学的特性の高いプラスチック光学素子が得られる。請
求項6記載の発明では、請求項2記載の発明の成形金型
より、少なくとも2面以上の表面に鏡面が形成されると
ともに、該鏡面以外の表面の一部が粗面に形成される。
したがって、複屈折等が生じることがなく、光学的特性
の高いプラスチック光学素子が得られる。
【0019】これに加えて、粗面に成形されていない部
分の反対側の面を紫外線硬化型接着剤によって支持体に
取付け、粗面の形成されていない部分から接着剤に紫外
線照射を行なう際、該部分に対する紫外線の透過率を向
上させて接着性を向上させることができる。すなわち、
粗面の部分を通して紫外線硬化型接着剤に紫外線を透過
して粗面の部分を支持体に取付ける場合には、紫外線が
散乱して紫外線透過率が低下してしまい、接着が不完全
になる。これに対して、本発明では、鏡面以外の表面の
一部が粗面に形成されるので、粗面が形成されていない
部分に紫外線を照射して接着することにより紫外線透過
率を向上させて接着性能を向上させることができる。ま
た、接着基準面は、通常、鏡面側になることがなく粗面
部分が基準になることが多い。このため、接着基準面と
なる部分を粗面化しないようにすれば、接着基準面とし
て面精度を向上させることができる。
【0020】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
図1〜4は請求項1、3、4、5何れかに記載の発明に
係るプラスチック光学素子の成形金型およびその成形金
型によって成形されたプラスチック光学素子の一実施例
を示す図である。図1は成形金型を示す図であり、図2
はその金型によって形成されたプラスチック光学素子と
しての矩形状レンズを示す図である。
【0021】まず、構成を説明する。図1において、1
は上型であり、この上型1は分割金型2〜4を有してい
る。この上型1にはパーティング面PLを介して下型5
が対向しており、この下型5は分割金型6〜8によって
構成されている。また、分割金型2〜4の対向面2a、
3a、4aおよび分割金型6〜8の対向面6a、7a、
8aに囲まれる空間部の間にはキャビティ9が画成され
ており、このキャビティ9には図示しないスプールおよ
びランナーから図示しない射出成形機によって溶融され
たプラスチック材料10が射出充填されるようになってい
る。
【0022】また、分割金型3の対向面3aおよび分割
金型7の対向面7aには光学的鏡面(以下、この対向面
3a、7aを単に鏡面という)に仕上げられているとと
もに、分割金型2、4の対向面2a、4aおよび分割金
型6、8の対向面6a、8aは微小な凹凸状の粗面(以
下、これら対向面2a、4aおよび6a、8aを単に粗
面という)に形成されており、粗面の表面粗さがRmax
0.5〜20μmになるように構成されている。
【0023】次に、作用を説明する。射出成形機からス
プール、ランナーを通してキャビティ9内に溶融樹脂が
射出充填されると、プラスチック材料10は各分割金型2
〜4のおよび6〜8に熱伝導によって熱を奪われるて冷
却、固化される。このとき、粗面2a、4aおよび6
a、8aと材料10の密着性は鏡面3a、7aにおける樹
脂とこの鏡面3a、7aとの密着性に比べて低くなる。
すなわち、粗面2a、4aおよび6a、8a側の材料10
と粗面2a、4aおよび6a、8aの間に空気層が介在
されて粗面2a、4aおよび6a、8aと材料10の密着
性が鏡面3a、7aに比べて低下する。
【0024】そして、この空気層が断熱層として作用
し、材料10の固化が断熱層の存在しない鏡面3a、7a
部分から開始される。一方、溶融体が固化される際に体
積の収縮が生じるので、粗面2a、4aおよび6a、8
aの部分の材料10の固化が空気層(断熱層)の存在のた
めに遅れてこの部分の材料10が鏡面3a、7a側に引張
られ、ひけが粗面2a、4aおよび6a、8a部分に誘
導される。
【0025】次いで、上型1および下型5を型開きして
キャビティ10内から成形品を取り出すと、図2に示すよ
うな矩形状レンズ11が得られる。このレンズ11は粗面2
a、4aおよび6a、8aに相当する部分にそれぞれ粗
面12〜17が転写されているとともに、鏡面3a、7aに
相当する部分に鏡面18、19が転写されており、各粗面12
〜17は図示しないハウジング等の支持体に取付けられる
際に取付け基準面a〜cを構成している。そして、ハウ
ジングに取付ける際にはこの粗面12〜17に接着剤を塗付
して容易に取付けることができる。
【0026】このように本実施例では、分割金型3、7
に鏡面3a、7aを成形するとともに、この鏡面3a、
7aを有する分割金型3、7以外の分割金型2、4、
6、8に粗面2a、4a、6a、8aを形成しているた
め、粗面2a、4a、6a、8a部分のプラスチック材
料10と粗面2a、4a、6a、8aの間に空気層を介在
させて粗面2a、4a、6a、8aと材料10の密着性を
鏡面3a、7aに比べて低下させることができる。この
結果、キャビティ9への材料の充填量を少なくしても、
鏡面3a、7aの転写精度を向上させることができると
ともに残留歪みの少ない2面以上の光学的鏡面を有する
矩形状レンズ11を得ることができる。
【0027】また、粗面2a、4a、6a、8aの表面
粗さをRmaxで0.5〜20μmになるように構成しているの
で、ひけを粗面2a、4a、6a、8aに容易に誘導す
ることができるとともに、上型1および下型5から容易
に離型させることができるとともに、上型1および下型
5の型開き性を向上させることができる。すなわち、実
験の結果、表面粗さが0.5μm以下の場合には空気層が形
成されにくく粗面2a、4a、6a、8aにひけが誘導
できなかったからであり、20μm以上の場合には、レン
ズ11を上型1および下型5から離型させる際に鏡面18の
隣接する粗面13、14、16、17がアンダーカットとなると
ともに、離型抵抗が増大してレンズ11が変形してしまう
上に、上型1および下型2を型開きする際の抵抗が増大
してしまうという不具合が発生してしまうからである。
【0028】したがって、表面粗さをRmaxで0.5〜20μ
mになるように構成すれば、このような不具合が発生せ
ず、ひけを粗面2a、4a、6a、8aに容易に誘導す
ることができるとともに、上型1および下型5に対する
離型の向上および型開き性のを向上を図ることができ
る。また、上述した成形金型により、レンズ11の少なく
とも2面以上の表面に鏡面18、19を形成するとともに、
該鏡面18、19以外の表面を粗面14〜17に形成しているた
め、複屈折等が生じるのを防止して、光学的特性の高い
レンズ11を得ることができる。
【0029】また、本実施例では、分割金型2、4、
6、8の粗面2a、4a、6a、8a部分の材質を多孔
質材料から構成しても良い。このようにすれば、プラス
チック材料10と多孔質材料との密着性(ぬれ性)を調整
して密着性を低下させることができ、最終固化部分を粗
面2a、4a、6a、8aに容易に誘導することができ
る。このようにすれば、より一層鏡面の転写精度を向上
することができるとともに、より一層残留歪の少ない2
面以上の光学的鏡面を有するレンズ11を成形することが
できる。
【0030】また、本実施例のレンズ11は、鏡面18が凹
状の球面に形成され、鏡面19が凸状の球面に形成されて
いるが、これに限らず、非球面でも良く、凸面、凹面、
平面を自由に選択して組合せても良い。また、プラスチ
ック光学素子としては、矩形状のレンズ11に限定される
ものではなく、また、成形金型も図1のものに限定され
るものでもなく、図3に示すように丸形状のレンズ21を
成形する場合にも適用することができる。すなわち、本
実施例の主旨に沿って図3に示すように球状の鏡面22、
23とこの球面22、23に隣接する粗面24、25とからなるレ
ンズ21を成形しても同様の効果を得ることができる。
【0031】また、レンズ11、21に限らず、図4に示す
ように3つの鏡面31〜33およびこの鏡面31〜33に隣接す
る粗面34、35を有する三角柱状のプリズム36を製造して
も良い。すなわち、何れの場合も鏡面が少なくとも2つ
以上あるものに本実施例は効果的に適用できるからであ
る。図5は請求項2、6記載の発明に係るプラスチック
光学素子の成形金型およびその成形金型によって成形さ
れたプラスチック光学素子の一実施例を示す図である。
【0032】図5において、41はプラスチック光学素子
としての矩形状のレンズであり、該レンズ41は一面側と
反対面側に2つの鏡面42、43を有するとともに、この鏡
面42、43以外の面に粗面44〜47を有している。また、粗
面47の長手方向略中央部の破線で囲む領域48は粗面に形
成されていない。すなわち、本実施例は、鏡面42、43以
外の表面の一部が粗面44〜47に形成されることを特徴と
している。
【0033】なお、このように領域48を粗面に形成しな
いようにするには、図1に示す成形金型の分割金型2、
4、6、8の何れか1つの一部を粗面化しないようにす
れば良い。したがって、この形成金型を用いて上記実施
例と同様の方法を用いれば、本実施例のレンズ41を成形
することができる。また、49はレンズ41取付け用の光学
ハウジングであり、この光学ハウジング49は3つの位置
決め部49a〜49cを有している。このレンズ41を光学ハ
ウジング49に取付けるには、まず、位置決め部49bに紫
外線硬化型接着剤を塗付した後、レンズ41を位置決め部
49bに載置し、この状態でレンズ49の長手方向両端部を
位置決め部49a、49cに突き当てて位置決めする。
【0034】次いで、紫外線ランプ50によって粗面44の
上方から領域48を通して接着剤に紫外線を照射し、紫外
線を硬化させることにより、レンズ41を光学ハウジング
49に固定する。このように本実施例では、レンズ41の少
なくとも2面以上の表面に鏡面42、43を形成するととも
に、該鏡面42、43以外の領域48を除く表面を粗面44〜47
に成形しているため、複屈折等が生じるのを防止して、
光学的特性の高いレンズ41を得ることができる。
【0035】これに加えて、粗面に成形されていない領
域48の反対側の粗面46を紫外線硬化型接着剤によって位
置決め部材49bに取付け、粗面の形成されていない領域
48から接着剤に紫外線照射を行なう際、該領域48に対す
る紫外線の透過率を向上させて接着性を向上させること
ができる。すなわち、粗面の部分を通して紫外線硬化型
接着剤に紫外線を透過して粗面46部分を位置決め部材49
bに取付ける場合には、紫外線が散乱して紫外線透過率
が低下してしまい、接着が不完全になるのである。これ
に対して、本実施例では、鏡面42、43以外の表面の一部
を粗面44〜47に形成しているので、粗面44〜47の形成さ
れていない領域48に紫外線を照射して接着することによ
り紫外線透過率を向上させて接着性能を向上させること
ができる。これに加えて、取付け部49bに取付けられる
レンズ41の面を粗面46にしているため、接着面積を増大
させることができる。
【0036】また、本実施例では、位置決め部49aに取
付けられる面を粗面46に形成しているが、この部分を粗
面から形成しなくともに良い。このようにすれば、接着
基準面として面精度を向上させることができる。
【0037】
【発明の効果】請求項1、2記載の発明によれば、キャ
ビティ内へのプラスチック材料の充填量を少なくしてひ
けを光学的鏡面以外に誘導することができ、鏡面の転写
精度を向上させることができるとともに残留歪の少ない
2面以上の光学的鏡面を有するプラスチック光学素子を
成形することができる。
【0038】請求項3記載の発明によれば、ひけを粗面
に容易に誘導することができるとともに、金型に対する
離型の向上および金型の型開き性を向上させることがで
きる。請求項4記載の発明によれば、プラスチック材料
と多孔質材料との密着性(ぬれ性)を調整して密着性を
低下させて、最終固化部分を粗面に容易に誘導すること
ができ、より一層鏡面の転写精度を向上させることがで
きるとともに、より一層残留歪の少ない2面以上の光学
的鏡面を有するプラスチック光学素子を成形することが
できる。
【0039】請求項5記載の発明によれば、請求項1記
載の成形金型を用いて少なくとも2面以上の表面に鏡面
を形成するとともに、該鏡面以外の表面を粗面に形成す
ることにより、複屈折等が生じるのを防止して光学的特
性の高いプラスチック光学素子を得ることができる。請
求項6記載の発明によれば、請求項2記載の形成金型を
用いて少なくとも2面以上の表面に鏡面を形成するとと
もに、該鏡面以外の表面の一部を粗面に形成することに
より、粗面に成形されていない部分の反対側の面を紫外
線硬化型接着剤によって支持体に取付け、粗面の形成さ
れていない部分から接着剤に紫外線照射を行なう際、該
部分に対する紫外線の透過率を向上させて接着性を向上
させることができるとともに、接着面を基準にしたとき
の位置決め精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1、3、4、5何れかに記載のプラスチ
ック光学素子の成形金型の一実施例を示す図である。
【図2】(a)はその金型によって成形されたプラスチ
ックレンズの構成図、(b)は(a)のA−A方向矢視
断面図である。
【図3】他の態様として丸形状のレンズを示す図であ
る。
【図4】他の態様として三角柱状のプリズムを示す図で
ある。
【図5】請求項2、6何れかに記載のプラスチック光学
素子の成形金型の一実施例を示す図であり、(a)はそ
の成形金型によって成形されたプラスチックレンズと光
学ハウジングとの分解斜視図、(b)はその上面図であ
る。
【符号の説明】 1 上型(成形金型) 2〜4、6〜8 分割金型 3a、7a 対向面(鏡面) 2a、4a、6a、8a 対向面(粗面) 5 下型(成形金型) 9 キャビティ 10 プラスチック材料 11 矩形状レンズ(プラスチック光学素子) 12〜17、24、25、34、35、44〜47 粗面 18、19、22、23、31、32、33、42、43 鏡面 21 レンズ(プラスチック光学素子) 36 プリズム(プラスチック光学素子) 41 レンズ(プラスチック光学素子)
フロントページの続き (72)発明者 小瀬古 久秋 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 畠山 寿治 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 平野 彰士 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 熊谷 和彦 岩手県花巻市大畑第10地割109番地 リ コー光学株式会社内 (72)発明者 若山 拓也 岩手県花巻市大畑第10地割109番地 リ コー光学株式会社内 (72)発明者 高橋 恭吾 岩手県花巻市大畑第10地割109番地 リ コー光学株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−189121(JP,A) 特開 平3−281213(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 45/00 - 45/84 G02B 1/04

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】互いの対向面によりキャビティが画成され
    た複数の分割金型を有し、キャビティ内にプラスチック
    材料を充填することにより、プラスチック光学素子を成
    形するプラスチック光学素子の成形金型において、 前記分割金型の対向面のうちの少なくとも2面以上が光
    学的鏡面を有し、該鏡面以外の対向面が粗面に形成され
    ることを特徴とするプラスチック光学素子の成形金型。
  2. 【請求項2】互いの対向面によりキャビティが画成され
    た複数の分割金型を有し、キャビティ内にプラスチック
    材料を充填することにより、プラスチック光学素子を成
    形するプラスチック光学素子の成形金型において、 前記分割金型の対向面のうちの少なくとも2面以上が光
    学的鏡面を有し、該鏡面以外の対向面が一部が粗面に形
    成されることを特徴とするプラスチック光学素子の成形
    金型。
  3. 【請求項3】前記粗面の表面粗さがRmaxで0.5〜20μm
    であることを特徴とする請求項1または2記載のプラス
    チック光学素子の成形金型。
  4. 【請求項4】前記分割金型の粗面が形成された対向面の
    材質が多孔質材料から構成されることを特徴とする請求
    項1〜3何れかに記載のプラスチック光学素子の成形金
    型。
  5. 【請求項5】請求項1記載の成形金型によって成形され
    たプラスチック光学素子において、 少なくとも2面以上の表面に鏡面が形成されるととも
    に、該鏡面以外の表面が粗面に形成されることを特徴と
    するプラスチック光学素子。
  6. 【請求項6】請求項2記載の成形金型によって成形され
    たプラスチック光学素子において、 少なくとも2面以上の表面に鏡面が形成されるととも
    に、該鏡面以外の表面の一部が粗面に形成されることを
    特徴とするプラスチック光学素子。
JP11943193A 1993-05-21 1993-05-21 プラスチック光学素子の成形金型およびそのプラスチック光学素子 Expired - Fee Related JP3274224B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11943193A JP3274224B2 (ja) 1993-05-21 1993-05-21 プラスチック光学素子の成形金型およびそのプラスチック光学素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11943193A JP3274224B2 (ja) 1993-05-21 1993-05-21 プラスチック光学素子の成形金型およびそのプラスチック光学素子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06328522A JPH06328522A (ja) 1994-11-29
JP3274224B2 true JP3274224B2 (ja) 2002-04-15

Family

ID=14761269

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11943193A Expired - Fee Related JP3274224B2 (ja) 1993-05-21 1993-05-21 プラスチック光学素子の成形金型およびそのプラスチック光学素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3274224B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4057385B2 (ja) * 2002-09-27 2008-03-05 株式会社リコー プラスチック成形品の成形方法および射出成形用金型
JP2006051822A (ja) * 2005-08-22 2006-02-23 Ricoh Co Ltd プラスチック成形品およびその成形方法
EP2977168A1 (en) 2013-03-21 2016-01-27 Konica Minolta, Inc. Optical element, and method for producing optical element
JP6326790B2 (ja) * 2013-12-03 2018-05-23 凸版印刷株式会社 プリフォームおよびプリフォーム成形金型
JP6821402B2 (ja) * 2016-11-15 2021-01-27 株式会社エンプラス 光学部品、光学部品の射出成形金型、及び光学部品の射出成形方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06328522A (ja) 1994-11-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5046800A (en) Article comprising a passive optical waveguide
EP0610002B1 (en) Mold for injection molding of thermoplastic resin
US7914273B2 (en) Optical component molding apparatus
US7234881B2 (en) Molding apparatus for a reinforcement resin coating of glass optical fiber exposing portion of an optical fiber junction, method for molding reinforcement resin coating of a glass optical fiber exposing portion of an optical fiber junction, and optical fiber cable
TW346442B (en) Composite plastic optical quality lenses and method for making same
CA2178068A1 (en) Photochromic lenses and method for manufacturing
US5718850A (en) Method and device for manufacturing optical elements
US5002706A (en) Injection molding process of a plastic substrate for an optical disk
JP3274224B2 (ja) プラスチック光学素子の成形金型およびそのプラスチック光学素子
EP0860723A2 (en) Plastic Ferrule for optical connector and method for production thereof
JP2007152704A (ja) 偏光レンズの製造方法
NL194413C (nl) Samengesteld optisch element van het reflectietype.
US6034827A (en) Optical lens
US11801626B2 (en) Resin part and its manufacturing method
JP2004114628A (ja) プラスチック成形品の成形方法および射出成形用金型
JPH06238711A (ja) プラスチックの射出成形方法および装置
JP3433586B2 (ja) 光導波路及びその製造方法
JP3279859B2 (ja) プラスチック成形品の製造方法
JP3325935B2 (ja) プラスチックファイバーオプテックプレート
US8824035B2 (en) Molded plastic part, method for molding plastic part, and optical scanning device using the molded plastic part
US11964416B2 (en) Resin part and its manufacturing method
JPS63266405A (ja) 光回路板およびその製法
JPH01297601A (ja) 光回路板の製法
JPH0114010B2 (ja)
JPS6353522B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080201

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090201

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100201

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110201

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120201

Year of fee payment: 10

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees