以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されている。そのため、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
〔第1の実施の形態〕
図1は本発明の実施形態に係る車両用前照灯1の正面図である。図1に示す車両用前照灯1は車両の左前部に取り付けられる多灯式ヘッドランプである。
この車両用前照灯1は左通行用の車両用前照灯である。従って、自車線側とは左側をいい、対向車線側とは右側をいう。また、以下の説明において、前後(車長方向)を軸とした回転をローリングといい、左右(車幅方向)を軸とした回転をピッチングといい、上下(車高方向)を軸とした回転をヨーイングという。
この車両用前照灯1は複数の車両用灯具2〜9及びハウジング10を有する。ハウジング10の前面に開口が形成され、透明なアウターレンズがその開口を閉塞するようにしてハウジング10の前部に取り付けられている。車両用灯具2〜9はハウジング10内に取り付けられている。また、車両用灯具2〜9は左右方向に配列されている。
車両用灯具2は、光源としての発光素子(具体的には、発光ダイオード)を有するとともに、リフレクタ20を有する。車両用灯具2の発光素子は基板に搭載されており、その基板が伏せた状態で設けられ、発光素子が下に向けられており、発光素子の光軸が発光素子から下方に延びている。リフレクタ20はその後部を頂点として前側で開口した放物面系マルチリフレクタであり、リフレクタ20の前側の反射面(凹面)が回転放物面又は放物柱面に形成されているか、回転放物面又は放物柱面を基調とした自由曲面に形成されている。リフレクタ20の前側反射面が複数の領域に区分けされ、各領域に放物柱面等の小反射面が形成されている。車両用灯具2の発光素子から発せられた光がリフレクタ20によって前方に反射され、各小反射面によって反射光が偏向される。その反射光の進行方向は水平面に沿って前方であり、水平よりも上向きの光が殆ど存在しない。
車両用灯具3〜9も車両用灯具2と同様に設けられており、リフレクタ30,40,50,60,70,80,90がそれぞれ車両用灯具3,4,5,6,7,8,9のリフレクタである。これら車両用灯具2〜9の配光が車両用前照灯1に正対する仮想スクリーンに合成され、その合成された配光パターンがすれ違い用配光パターンである。なお、リフレクタ20,30,40,50,60,70,80,90の反射面の形状は、それぞれ個別の配光特性を得るように個別に設定されるものである。
図2は、車両用前照灯1によって仮想スクリーンに形成された配光パターンを示した図である。図2において、原点Oは車両用前照灯1の光軸と仮想スクリーンの交点であり、V線は車両用前照灯1の光軸に直交して仮想スクリーンに沿って鉛直方向に延びた線であり、H線は車両用前照灯1の光軸に直交して仮想スクリーンに沿って水平方向に延びた線である。図2に示すように、明部B1が車両用灯具6によって形成されたものであり、明部B2が車両用灯具2〜5及び車両用灯具7〜9によって形成されたものである。
明部B1,B2を合成した明部B0の上縁には、明部B0とその明部B0よりも上の暗部Dとを区切るカットオフライン(明暗境界線)が形成される。明部B0は左右非対称であり、その上縁のカットオフラインが左右段違いに形成されている。つまり、自車線側の水平カットオフラインCL1が対向車線側の水平カットオフラインCL2よりも上にずれており、水平カットオフラインCL1の対向車線側端と水平カットオフラインCL2の自車線側端とを結ぶ斜めカットオフラインCL3が水平カットオフラインCL1,CL2に対して傾斜する。水平カットオフラインCL1はV線よりも自車線側であってH線よりも上側においてH線に沿って水平に形成され、水平カットオフラインCL2はV線よりも対向車線側であってH線よりも下側においてH線に沿って水平に形成され、斜めカットオフラインCL3は左上がり(自車線側上がり)に傾斜する。斜めカットオフラインCL3の傾斜角はH線に対して15°又は45°であることが好ましい。
車両用灯具2〜5及び車両用灯具7〜9によって形成される明部B2はV線を中心にして左右に広がっている。
車両用灯具6は、斜めカットオフラインCL3の下側に光を集中的に照射することによって斜めカットオフラインCL3を明瞭に形成する。
車両用灯具6は、光を左右に広げるようにしてその光を水平カットオフラインCL2の下側に照射することによって水平カットオフラインCL2を形成する。水平カットオフラインCL2は明部B2と明部B1の合成によって明瞭に表れる。
車両用灯具6は、光を左右に広げるようにしてその光を水平カットオフラインCL1の下側に照射することによって水平カットオフラインCL1を形成する。水平カットオフラインCL1は車両用灯具6単独によって形成されてもよいし、車両用灯具6のみならず車両用灯具2〜5,7〜9のうち少なくとも1つによっても形成されてもよい。
この車両用前照灯1は欧州規格の逆通行帯向けへの要件に適合する。つまり、この車両用前照灯1は左側通行の国(例えば英国)向けヘッドランプであるが、この車両用前照灯1を利用して右側通行の国(欧州大陸の国)でも走行することができる。
図3は車両用灯具6の斜視図である。図4は車両用灯具6の平面図である。図5は車両用灯具6の正面図である。図6は車両用灯具6の側面図である。
この車両用灯具6の光軸(灯具光軸)は前後に延びている。この車両用灯具6はリフレクタ60、発光素子61及び基板62等を備える。
発光素子(LED)61が基板62に表面実装されている。発光素子61及び基板62が車両用前照灯1のハウジング10(図1参照)内に収容されている。基板62が水平になった状態でそのハウジング10(図1参照)内に取り付けられている。発光素子61が基板62の下面に実装され、発光素子61の発光面61a(図7参照)が下へ向き、発光素子61の光軸が発光素子61から下へ鉛直に延びる。発光素子61の光軸とは光度が最大となる向きに発光素子61から延びる仮想的な線であり、発光素子61の光軸が発光素子61の発光面に対して直交する。なお、基板62が水平面からピッチングして、基板62が後ろ上がり・前下がりに傾斜してもよい。その場合、発光素子61の光軸が発光素子61から下斜め後ろに延び、発光素子61の光軸が上下前後に沿った鉛直面に対して平行である(又は、発光素子61の光軸がその鉛直面に沿う)。
図7は発光素子61を上から見て示した平面図である。図7に示すように、発光素子61の発光面61aは、4つの角が全て等しい四角形に成している。より具体的には、発光素子61の発光面61aは正方形(例えば、1mm四方の正方形)に成しており、その発光面61aが4つの辺61b〜61eを有する。第一辺61bが前の辺であり、第二辺61cが自車線側の辺であり、第三辺61dが対向車線側の辺であり、第四辺61eが後ろの辺である。
第一辺61bは、左右(車幅方向)に沿う水平線HLからヨーイングして、水平線HLに対してヨー方向に傾斜する。第一辺61bは、第一辺61bの対向車線寄りの部位が自車線寄りの部位よりも前になるように水平線HLに対してヨー方向に傾斜する。第一辺61bと水平線HLとの成す角(ヨー角)ψは15〜20°であることが好ましい。
発光素子61の発光面61aの単位面積当たりの光束は200lm/mm2であることが好ましい。
図3〜図6に示すように、リフレクタ60は放物面系マルチリフレクタである。基板62がリフレクタ60の上端の上を前後に跨ぐように設けられており、発光素子61が基板62の下面のうちリフレクタ60の上端よりも前に配置されている。リフレクタ60は、発光素子61の後ろからその発光素子61の下までの範囲にかけて発光素子61を囲うように設けられている。
リフレクタ60の前面には、凹面状の第一反射面60a、第二反射面60b及び第三反射面60cが形成されている。前後上下に沿う鉛直面でリフレクタ60の前面を三分割すると、第一反射面60aがリフレクタ60の前面の中央の領域であり、第二反射面60bがリフレクタ60の前面の対向線側の領域であり、第三反射面60cがリフレクタ60の前面の自車線側の領域である。従って、正面から見て、反射面60b,60cはこれらの間に第一反射面60aを置くように配置されている。
発光素子61は、リフレクタ60(反射面60a〜60cの全体)を左右に二等分して前後上下に沿う鉛直面又はその近傍に位置する。好ましくは、発光素子61は、リフレクタ60(反射面60a〜60cの全体)を左右に二等分して前後上下に沿う鉛直面に交差する。なお、発光素子61がリフレクタ60(反射面60a〜60cの全体)を左右に二等分して前後上下に沿う鉛直面から自車線側又は対向車線側に僅かにずれてもよい。
第一反射面60aは発光素子61の光軸に交差する。好ましくは、第一反射面60aを左右に二等分して前後上下に沿う鉛直面が発光素子61に交差する。なお、発光素子61の光軸とリフレクタ60の前面との交点の近傍に第一反射面60aが位置し、第一反射面60aが発光素子61を通って前後上下に沿う鉛直面から対向車線側又は自車線側へ僅かにずれてもよい。
第一反射面60aの左右幅が5〜10mmであることが好ましい。
第一反射面60aは回転放物面に形成されている。つまり、第一反射面60aは、放物線の対称軸が前後に延びたその放物線をその対称軸回りに回転することで得られた面を一部切り出したものである。その対称軸上に反射面60aの焦点F1が設定されている。
図7に示すように、第一反射面60aの焦点F1は第一辺61bに設定されている。より具体的には、焦点F1は、第一辺61bのうち、発光面61aの重心61pを通って前後に沿った線61mと第一辺61bとの交点61nよりも自車線側に設定されている。つまり、焦点F1は、第一辺61bと第二辺61cの交点から交点61nまでの範囲61w内に設定されている。
図3〜図6に示すように、第二反射面60bは、回転放物面を基調とした自由曲面に形成されているか、放物柱面又はそれを基調とした自由曲面に形成されている。
第二反射面60bが回転放物面を基調とした自由曲面に形成されている場合、第二反射面60bが基調とする回転放物面は、放物線の対称軸が前後方向に延びたその放物線をその対称軸回りに回転することで得られた面を一部切り出したものである。その対称軸上に第二反射面60bの焦点F2が設定されている。
第二反射面60bが放物柱面又はそれを基調とする自由曲面に形成されている場合、第二反射面60bが基調とする放物柱面は、放物線の対称軸が前後方向に延びたその放物線を左右に平行移動することで得られた面である。第二反射面60bが放物柱面又はそれを基調とする自由曲面に形成されている場合、第二反射面60bの焦点F2は左右方向に延びた焦線である。
図7に示すように、第二反射面60bの焦点F2は発光素子61又はその近傍に設定されている。
図3〜図6に示すように、第三反射面60cは、回転放物面を基調とした自由曲面に形成されているか、放物柱面又はそれを基調とした自由曲面に形成されている。
第三反射面60cが回転放物面を基調とした自由曲面に形成されている場合、第三反射面60cが基調とする回転放物面は、放物線の対称軸が前後方向に延びたその放物線をその対称軸回りに回転することで得られた面を一部切り出したものである。その対称軸上に第三反射面60cの焦点F3が設定されている。
第三反射面60cが放物柱面又はそれを基調とする自由曲面に形成されている場合、第三反射面60cが基調とする放物柱面は、放物線の対称軸が前後方向に延びたその放物線を左右に平行移動することで得られた面である。第三反射面60cが放物柱面又はそれを基調とする自由曲面に形成されている場合、第三反射面60cの焦点F3は左右方向に延びた焦線である。
反射面60a〜60cは、焦点距離(頂点から焦点までの距離)が互いに異なる回転放物面を基調としてもよい。
発光素子61が発光すると、発光素子61によって発せられた光が反射面60a〜60cによって前方へ反射される。
図8に示すように、第一反射面60aによって反射された光が仮想スクリーンのうち斜めカットオフラインCL3の下側に集中的に照射され、斜めカットオフラインCL3を上縁に有する第一明部B3が第一反射面60aによって仮想スクリーンに形成される。つまり、第一反射面60aが発光素子61の発光面61aの光源像を前方の仮想スクリーンに投影することによって第一明部B3が形成される。
第一反射面60aが回転放物面に形成されているため、第一明部B3の広がりが小さく、その第一明部B3がスポット的な明部になる。また、発光素子61の発光面61aが1mm四方の正方形であってそのサイズが小さいため、第一明部B3の広がりが小さくなる。そのため、第一明部B3が自車線側の水平カットオフラインCL1より上にはみ出て形成されるようなことを抑えることができ、水平カットオフラインCL1が第一明部B3によって不明瞭になることを防止することができる。
第一反射面60aが発光素子61の光軸に交差するか、又は発光素子61の光軸とリフレクタ60の前面との交点の近傍に位置するので、発光素子61の光束を第一反射面60aによって多く捉えることができる。よって、第一明部B3がより明るくなって、スポット的な第一明部B3の形成が容易になる。また、原点O近傍に形成された第一明部B3が明るいので、車両用前照灯1の照明による遠方視認性が向上する。
発光素子61の第一辺61bが第一反射面60aによって仮想スクリーンのうち原点O近傍に投影されることによって、斜めカットオフラインCL3が第一明部B3の上縁に形成される。発光素子61の第一辺61bが左右に沿う水平線HLに対してヨー方向に傾斜しているので、斜めカットオフラインCL3がH線に対して傾斜する。また、第一反射面60aの左右幅(5〜10mm)が狭いので、発光素子61の第一辺61bが第一反射面60aによって回転投影されることを低減することができ、H線に対して傾斜した斜めカットオフラインCL3が明瞭に表れる。
第一反射面60aの焦点F1が第一辺61b上に設定されているため、斜めカットオフラインCL3が仮想スクリーン中の原点O近傍に形成され、その斜めカットオフラインCL3が明瞭に表れる。また、焦点F1が第一辺61bのうち発光面61aの重心61pを通って前後に沿った線61mよりも自車線側に設定されているため、第一明部B3及び斜めカットオフラインCL3の形成位置が下がり過ぎず、第一明部B3及び斜めカットオフラインCL3をH線から上にはみ出るように形成することができる。
第二反射面60bによって反射された光は仮想スクリーンのうちV線の自車線側且つ水平カットオフラインCL1の下側に照射され、水平カットオフラインCL1を上縁に有する第二明部B4が仮想スクリーンに形成される。この水平カットオフラインCL1は、斜めカットオフラインCL3の自車線側の端部から自車線側へ延びる。
第二反射面60bが自由曲面(その自由曲面は回転放物面又は放物柱面を基調とする)又は放物柱面に形成されているため、その第二反射面60bは発光素子61によって発せられた光を前方に反射しつつ左右に広げる。そのため、発光素子61の第一辺61bが水平線HLに対してヨー方向に傾斜していても、水平なカットオフラインCL1が形成される。
第二反射面60bによって形成される第二明部B4と第一反射面60aによって形成される第一明部B3は一部重なっている。
第二明部B4は斜めカットオフラインCL3を左右に跨がっておらず、水平カットオフラインCL1は斜めカットオフラインCL3の左端(自車線側端部)よりも左側(自車線側)に形成される。そのため、斜めカットオフラインCL3が第二明部B4によって不明瞭になることを抑制するでき、斜めカットオフラインCL3の左端と水平カットオフラインCL1の右端が繋がる。また、第二反射面60bによって反射される光が左右に広げられるので、第二明部B4が第一明部B3ほど明るくなく、斜めカットオフラインCL3が第二明部B4(主に第二明部B4の右部)によって不明瞭になること抑制することができる。
第二明部B4の上縁に水平カットオフラインCL1が形成され、第一明部B3及び斜めカットオフラインCL3が水平カットオフラインCL1より上にはみ出ていないので、水平カットオフラインCL1の上側が暗くなる。そのため、車両用灯具6及び車両用前照灯1が左通行用のものであっても、車両用灯具6及び車両用前照灯1を右側通行の国に利用することができる。
第三反射面60cによって反射された光は仮想スクリーンのうち水平カットオフラインCL2の下側に照射され、水平カットオフラインCL2を上縁に有する第三明部B5が仮想スクリーンに形成される。第三反射面60cは発光素子61によって発せられた光を前方に反射しつつ左右に広げるので、発光素子61の第一辺61bが水平線HLに対してヨー方向に傾斜していても、水平なカットオフラインCL2が形成される。
第三反射面60cによって形成される第三明部B5と第一反射面60aによって形成される第一明部B3は一部重なっている。また、第三反射面60cによって形成される第三明部B5と第二反射面60bによって形成される第二明部B4は一部重なっている。
第三明部B5はV線を左右に跨がるように形成されており、水平カットオフラインCL2と斜めカットオフラインCL3が交差する。斜めカットオフラインCL3が第三明部B5よりも上に形成されているため、斜めカットオフラインCL3が第三明部B5によって不明瞭になることを抑制することができる。第三明部B5の上縁の水平カットオフラインCL2がV線の自車線側において明部B3,B4に重なっているため、V線の自車線側では水平カットオフラインCL2がかき消される。
図8に示す明部B3,B4,B5を合成したものが図2に示す明部B1である。
第一反射面60aの左右両側に反射面60b,60cが設けられているので、光束利用効率を高くすることができる。つまり、発光素子61から対向車線側へ発する光は第二反射面60bによって反射されることにより第二明部B4の形成に利用され、発光素子61から自車線側へ発する光は第三反射面60cによって反射されることにより第三明部B5の形成に利用される。
本発明を適用可能な実施形態は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下に幾つかの変形例について説明する。以下の説明する変形例は、変更箇所を除いて上述の実施形態と同じである。以下の変形例を組み合わせてもよい。
<第1の実施の形態の変形例1>
第三反射面60cが第二反射面60bよりも対向線側に配置されていてもよいし(この場合、反射面60a〜60cは自車線から対向車線に向けて第一反射面60a、第二反射面60b、第三反射面60cの順に配列されている。)、第二反射面60bが第三反射面60cよりも自車線側に配置されていてもよい(この場合、反射面60a〜60cは対向車線から自車線に向けて第一反射面60a、第三反射面60c、第二反射面60bの順に配列されている。)。何れの場合でも、第一反射面60aの反射光によって第一明部B3及び斜めカットオフラインCL3が形成され、第二反射面60bの反射光によって第二明部B4及び水平カットオフラインCL1が形成され、第三反射面60cの反射光によって第三明部B5及び水平カットオフラインCL2が形成される。また、何れの場合でも、発光素子61がリフレクタ60(反射面60a〜60cの全体)を左右に二等分して前後上下に沿う鉛直面又はその近傍に位置するか、第一反射面60aが発光素子61の光軸に交差するか、又は第一反射面60aが発光素子61の光軸とリフレクタ60の前面との交点近傍に位置することが好ましい。
<第1の実施の形態の変形例2>
第二反射面60bと第三反射面60cの何れかが形成されていなくてもよい。第二反射面60bが省略されると、第二明部B4が形成されず、第三反射面60cが省略されると、第三明部B5が形成されない。
<第1の実施の形態の変形例3>
第二明部B4を形成する第二反射面60bが第一反射面60aの自車線側に形成され、第三明部B5を形成する第三反射面60cが第一反射面60aの対向車線側に形成されていてもよい。
<第1の実施の形態の変形例4>
車両用灯具6の配光が図9,図10に示すような配光である。つまり、図9に示すように車両用灯具6によって形成される明部B1は主にV線よりも対向車線側に形成されている。明部B1は自車線側の水平カットオフラインCL1及び原点近傍の斜めカットオフラインCL3を上縁に有するが、対向車線側の水平カットオフラインCL2を有さない。
第一反射面60a、第二反射面60b及び発光素子61が上述の実施形態と同様に設けられている。そのため、図10に示すように明部B1のうち第一明部B3が第一反射面60aの反射光によって形成されることは上述の実施形態と同様であり、第二明部B4が第二反射面60bの反射光によって形成されることは上述の実施形態と同様である。
第三反射面60cは、上述の実施形態の場合よりも僅かに自車線側及び上側に向けられている。そのため、第三反射面60cによって反射された光は仮想スクリーンのうち水平カットオフラインCL1の下側に照射され、水平カットオフラインCL1を上縁に有する第三明部B5が仮想スクリーンに形成される。第三反射面60cは発光素子61によって発せられた光を前方に反射しつつ左右に広げるので、第三明部B5が左右に広がっている。
第三明部B5が第二明部B4に重なっている。また、第三明部B5は斜めカットオフラインCL3を左右に跨がっておらず、第三明部B5の上縁の水平カットオフラインCL1は斜めカットオフラインCL3の左端(自車線側端部)から左方(自車線側)へ水平に延びる。そのため、斜めカットオフラインCL3が第三明部B5によって不明瞭になることはない。
<第1の実施の形態の変形例5>
車両用灯具6を右通行用の車両用前照灯に用いる場合には、図11及び図12に示すように車両用灯具6全体を左右反転させるように設ける。つまり、右側通行用の車両用灯具6と左側通行用の車両用灯具6は、鏡像の関係にある。この場合、左側が対向車線側であり、右側が自車線側である。右側通行用の車両用灯具6によって形成される配光パターンは、図8に示す配光パターンを左右反転させたものである。右側通行用の車両用灯具6は右側通行の国向けのものであるが、左側通行の国にも利用することができる。
<第2の実施の形態>
図13は左通行用の車両用前照灯101の正面図である。この車両用前照灯101は多灯式ヘッドランプである。つまり、車両用前照灯101は複数の車両用灯具102〜109からなる。これら車両用灯具102〜109は正面から見て左右の水平線に対して斜めな線に沿って配列されている。これら車両用灯具102〜109は発光素子(LED)を光源としたリフレクタランプであり、リフレクタ120,130,140,150,160,170,180,190がそれぞれ車両用灯具102〜109のリフレクタである。車両用灯具102〜109の配光が仮想スクリーンに合成され、その合成された配光パターンがすれ違い用配光パターンである(図2参照)。
図14は車両用灯具106の正面図である。
この車両用灯具106の光軸は前後に延びている。この車両用灯具106はリフレクタ160、発光素子161及び基板162等を備える。
基板162が水平面からローリングして水平面に対して傾斜する。具体的には、基板162が右下がり(対向車線側下がり)・左上がり(自車線側上がり)に傾斜する。発光素子(LED)161が基板162の下面に表面実装されている。発光素子161の発光面161a(図15参照)が下斜め左へ向き、発光素子161の光軸161axが発光素子161から下斜め左へ延びる。車両用灯具106の基板162が傾斜しているので、車両用灯具102〜109が斜めに配列されている場合でも(図13参照)、この基板162を車両用灯具102〜109に共通化することができ、車両用灯具102〜105,107〜109の発光素子も共通の基板162に搭載することができる。
図15は、発光素子161の光軸161axに平行な矢印C方向に発光素子161を見て示した平面図である。図15に示すように、発光素子161の発光面161aは4つの角が全て等しい四角形(好ましくは、正方形、より好ましくは1mm四方の正方形)に成している。発光面161aの4つの辺161b〜161eのうち第一辺161bが前の辺であり、第二辺161cが自車線側の辺であり、第三辺161dが対向車線側の辺であり、第四辺161eが後ろの辺である。
第一辺161bは、左右(車幅方向)に沿う水平線HLからローリングして、その水平線HLに対してロール方向に傾斜する。具体的には、第一辺161bが右下がり(対向車線側下がり)・左上がり(自車線側上がり)に傾斜する。第一辺161bが左右に沿う水平線HLに対して傾斜するのは、基板162がロール方向に傾斜するためである(図14参照)。
第一辺161bが上下左右に沿う鉛直面VPと平行であるか、又は発光素子161及び第一辺161bが光軸161ax回りに回転して、第一辺161bがその鉛直面VPから光軸161ax回りに傾斜する。第一辺161bが鉛直面VPに対して傾斜する場合、第一辺161bは第一辺161bの対向車線寄りの部位が自車線寄りの部位よりも後ろになるように光軸161ax回りに傾斜する。基板162が水平面に対してロール方向に15°傾斜する場合、鉛直面VPに対する第一辺161bの光軸161ax回りの傾斜角θは0〜5°であることが好ましい。なお、傾斜角θが0°であれば、第一辺161bが鉛直面VPに対して平行である。
発光素子161の発光面161aの単位面積当たりの光束は200lm/mm2であることが好ましい。
図14に示すように、リフレクタ160は放物面系マルチリフレクタである。リフレクタ160は、発光素子161の後ろからその発光素子161の下までの範囲にかけて発光素子161を囲うように設けられている。
リフレクタ160の前面には、凹面状の第一反射面160a、第二反射面160b及び第三反射面160cが形成されている。前後上下に沿う鉛直面でリフレクタ160の前面を三分割すると、第一反射面160aがリフレクタ160の前面の中央の領域であり、第二反射面160bがリフレクタ160の前面の対向線側の領域であり、第三反射面160cがリフレクタ160の前面の自車線側の領域である。従って、正面から見て、反射面160b,160cはこれらの間に第一反射面160aを置くように配置されている。
発光素子161は、リフレクタ160(反射面160a〜160cの全体)を左右に二等分して前後上下に沿う鉛直面から対向車線側にずれて配置されている。
第一反射面160aは、発光素子161の光軸161axと交差するか、発光素子161の光軸161axとリフレクタ160の前面との交点近傍に位置する。発光素子161の光軸161axが第一反射面160aに交差する場合、その交点を通って前後上下に沿う鉛直面が第一反射面160aを左右に二等分することが好ましい。
第一反射面160aの左右幅が5〜10mmであることが好ましい。
第一反射面160aは回転放物面に形成されている。つまり、第一反射面160aは、放物線の対称軸が前後に延びたその放物線をその対称軸回りに回転することで得られた面を一部切り出したものである。その対称軸上に反射面160aの焦点F11が設定されている。
図15に示すように、第一反射面160aの焦点F11は第一辺161bに設定されている。より具体的には、焦点F11は、第一辺161bのうち、発光面161aの重心161pを通って前後に沿った線161mと第一辺161bとの交点161nよりも自車線側に設定されている。つまり、焦点F11は、第一辺161bと第二辺161cの交点から交点161nまでの範囲161w内に設定されている。
図14に示すように、第二反射面160bは、回転放物面を基調とした自由曲面に形成されているか、放物柱面又はそれを基調とした自由曲面に形成されている。
第二反射面160bが回転放物面を基調とした自由曲面に形成されている場合、第二反射面160bが基調とする回転放物面は、放物線の対称軸が前後方向に延びたその放物線をその対称軸回りに回転することで得られた面を一部切り出したものである。その対称軸上に第二反射面160bの焦点F12が設定されている。
第二反射面160bが放物柱面又はそれを基調とする自由曲面に形成されている場合、第二反射面160bが基調とする放物柱面は、放物線の対称軸が前後方向に延びたその放物線を左右に平行移動することで得られた面である。第二反射面160bが放物柱面又はそれを基調とする自由曲面に形成されている場合、第二反射面160bの焦点F12は左右方向に延びた焦線である。
第二反射面160bの焦点F12は発光素子161又はその近傍に設定されている。
第三反射面160cは、回転放物面を基調とした自由曲面に形成されているか、放物柱面又はそれを基調とした自由曲面に形成されている。
第三反射面160cが回転放物面を基調とした自由曲面に形成されている場合、第三反射面160cが基調とする回転放物面は、放物線の対称軸が前後方向に延びたその放物線をその対称軸回りに回転することで得られた面を一部切り出したものである。その対称軸上に第三反射面160cの焦点F13が設定されている。
第三反射面160cが放物柱面又はそれを基調とする自由曲面に形成されている場合、第三反射面160cが基調とする放物柱面は、放物線の対称軸が前後方向に延びたその放物線を左右に平行移動することで得られた面である。第三反射面160cが放物柱面又はそれを基調とする自由曲面に形成されている場合、第三反射面160cの焦点F13は左右方向に延びた焦線である。
発光素子161が発光すると、発光素子161によって発せられた光が反射面160a〜160cによって前方へ反射される。
第一反射面160aによって反射された光が仮想スクリーンのうち斜めカットオフラインCL3(図8参照)の下側に集中的に照射され、斜めカットオフラインCL3を上縁に有する第一明部B3が第一反射面160aによって仮想スクリーンに形成される。第一反射面160aが回転放物面に形成されているため、第一明部B3の広がりが小さく、その第一明部B3がスポット的な明部になる。また、発光素子161の発光面161aのサイズが小さいため、第一明部B3の広がりが小さくなる。そのため、第一明部B3が自車線側の水平カットオフラインCL1より上にはみ出て形成されるようなことを抑えることができ、水平カットオフラインCL1が第一明部B3によって不明瞭になることを防止することができる。
第一反射面160aが発光素子161の光軸161axに交差するか、リフレクタ160の前面と光軸161axの交点近傍にあるので、発光素子161の光束を第一反射面160aによって多く捉えることができる。よって、第一明部B3がより明るくなって、スポット的な第一明部B3の形成が容易になる。また、原点O近傍に形成された第一明部B3が明るいので、車両用前照灯1の照明による遠方視認性が向上する。
発光素子161の第一辺161bが第一反射面160aによって仮想スクリーンに投影されることによって、斜めカットオフラインCL3が第一明部B3の上縁に形成される。発光素子161の第一辺161bが左上がり(自車線側上がり)に傾斜し、且つ、上下左右に沿う鉛直面VPと第一辺161bの成す角θが0〜5°であるので、斜めカットオフラインCL3がH線に対して傾斜する。
第一反射面160aの焦点F11が第一辺161b上に設定されているため、斜めカットオフラインCL3が仮想スクリーン中の原点O近傍に形成され、その斜めカットオフラインCL3が明瞭に表れる。また、焦点F11が第一辺161bのうち発光面161aの重心161pを通って前後に沿った線161mよりも自車線側に形成されているため、第一明部B3及び斜めカットオフラインCL3の形成位置が下がり過ぎず、第一明部B3及び斜めカットオフラインCL3をH線から上にはみ出るように形成することができる。
第二反射面160bによって反射された光は仮想スクリーンのうちV線の自車線側且つ水平カットオフラインCL1の下側に照射され、水平カットオフラインCL1を上縁に有する第二明部B4が仮想スクリーンに形成される。水平カットオフラインCL1よりも上側が暗くなるので、車両用灯具106及び車両用前照灯101が左通行用のものであっても、車両用灯具106及び車両用前照灯101を右側通行の国に利用することができる。
第三反射面160cによって反射された光は仮想スクリーンのうち水平カットオフラインCL2の下側に照射され、水平カットオフラインCL2を上縁に有する第三明部B5が仮想スクリーンに形成される。
本発明を適用可能な実施形態は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下に幾つかの変形例について説明する。以下の説明する変形例は、変更箇所を除いて上述の実施形態と同じである。以下の変形例を組み合わせてもよい。
<第2の実施の形態の変形例>
車両用灯具106を右通行用の車両用前照灯に用いる場合には、図16及び図17に示すように車両用灯具106全体を左右反転させるように設ける。つまり、右側通行用の車両用灯具106と左側通行用の車両用灯具106は、鏡像の関係にある。この場合、左側が対向車線側であり、右側が自車線側である。右側通行用の車両用灯具106によって形成される配光パターンは、図8に示す配光パターンを左右反転させたものである。右側通行用の車両用灯具106は右側通行の国向けのものであるが、左側通行の国にも利用することができる。
また、第1実施形態の変形例1〜4と同様な変更を第2実施形態に対して行ってもよい。
<第3の実施の形態>
図18は左通行用の車両用灯具206の正面図である。
この車両用灯具206の光軸は前後に延びている。この車両用灯具206はリフレクタ260、発光素子261及び基板262等を備える。
基板262が水平面からローリングして水平面に対して傾斜する。具体的には、基板262が左下がり(自車線側下がり)・左上がり(対向車線側上がり)に傾斜する。発光素子(LED)261が基板262の下面に表面実装されている。発光素子261の発光面261a(図19参照)が下斜め左へ向き、発光素子261の光軸261axが発光素子261から下斜め左へ延びる。
図19は、発光素子261の光軸261axに平行な矢印E方向に発光素子261を見て示した平面図である。図19に示すように、発光素子261の発光面261aは4つの角が全て等しい四角形(好ましくは、正方形、より好ましくは1mm四方の正方形)に成している。発光面261aの4つの辺261b〜261eのうち第一辺261bが前の辺であり、第二辺261cが自車線側の辺であり、第三辺261dが対向車線側の辺であり、第四辺261eが後ろの辺である。
第一辺261bは、左右(車幅方向)に沿う水平線HLからローリングして、その水平線HLに対してロール方向に傾斜する。具体的には、第一辺261bが右下がり(自車線側下がり)・左上がり(対向車線側上がり)に傾斜する。
発光素子261及び第一辺261bが光軸261ax回りに回転して、第一辺261bがその鉛直面VPから光軸261ax回りに傾斜する。第一辺261bは、第一辺261bの自車線寄りの部位が対向車線寄りの部位よりも後ろになるように光軸261ax回りに傾斜する。基板262が水平面に対してロール方向に15°傾斜する場合、鉛直面VPに対する第一辺261bの光軸261ax回りの傾斜角θは30〜35°であることが好ましい。
発光素子261の発光面261aの単位面積当たりの光束は200lm/mm2であることが好ましい。
図18に示すように、リフレクタ260は放物面系マルチリフレクタである。リフレクタ260は、発光素子261の後ろからその発光素子261の下までの範囲にかけて発光素子261を囲うように設けられている。
リフレクタ260の前面には、凹面状の第一反射面260a、第二反射面260b及び第三反射面260cが形成されている。前後上下に沿う鉛直面でリフレクタ260の前面を三分割すると、第一反射面260aがリフレクタ260の前面の中央の領域であり、第二反射面260bがリフレクタ260の前面の対向線側の領域であり、第三反射面260cがリフレクタ260の前面の自車線側の領域である。従って、正面から見て、反射面260b,260cはこれらの間に第一反射面260aを置くように配置されている。
発光素子261は、リフレクタ260(反射面260a〜260cの全体)を左右に二等分して前後上下に沿う鉛直面から自車線側にずれて配置されている。
第一反射面260aが発光素子261の光軸261axと交差するか、又は発光素子261の光軸261axとリフレクタ260の前面との交点近傍に位置する。好ましくは、第一反射面160aを左右に二等分して前後上下に沿う鉛直面が発光素子161に交差する。
第一反射面260aの左右幅が5〜10mmであることが好ましい。
第一反射面260aは回転放物面に形成されている。第一反射面260aは、放物線の対称軸が前後に延びたその放物線をその対称軸回りに回転することで得られた面を一部切り出したものである。その対称軸上に反射面260aの焦点F21が設定されている。
図19に示すように、第一反射面260aの焦点F21は第一辺261bに設定されている。より具体的には、焦点F21は、第一辺261bのうち、発光面261aの重心261pを通って前後に沿った線261mと第一辺261bとの交点261nよりも自車線側に設定されている。つまり、焦点F21は、第一辺261bと第二辺261cの交点から交点261nまでの範囲261w内に設定されている。
図18に示すように、第二反射面260bは、回転放物面を基調とした自由曲面に形成されているか、放物柱面又はそれを基調とした自由曲面に形成されている。
第二反射面260bが回転放物面を基調とした自由曲面に形成されている場合、第二反射面260bが基調とする回転放物面は、放物線の対称軸が前後方向に延びたその放物線をその対称軸回りに回転することで得られた面を一部切り出したものである。その対称軸上に第二反射面260bの焦点F22が設定されている。
第二反射面260bが放物柱面又はそれを基調とする自由曲面に形成されている場合、第二反射面260bが基調とする放物柱面は、放物線の対称軸が前後方向に延びたその放物線を左右に平行移動することで得られた面である。第二反射面260bが放物柱面又はそれを基調とする自由曲面に形成されている場合、第二反射面260bの焦点F22は左右方向に延びた焦線である。
第二反射面260bの焦点F22は発光素子261又はその近傍に設定されている。
第三反射面260cは、回転放物面を基調とした自由曲面に形成されているか、放物柱面又はそれを基調とした自由曲面に形成されている。
第三反射面260cが回転放物面を基調とした自由曲面に形成されている場合、第三反射面260cが基調とする回転放物面は、放物線の対称軸が前後方向に延びたその放物線をその対称軸回りに回転することで得られた面を一部切り出したものである。その対称軸上に第三反射面260cの焦点F23が設定されている。
第三反射面260cが放物柱面又はそれを基調とする自由曲面に形成されている場合、第三反射面260cが基調とする放物柱面は、放物線の対称軸が前後方向に延びたその放物線を左右に平行移動することで得られた面である。第三反射面260cが放物柱面又はそれを基調とする自由曲面に形成されている場合、第三反射面260cの焦点F23は左右方向に延びた焦線である。
発光素子261が発光すると、発光素子261によって発せられた光が反射面260a〜260cによって前方へ反射される。
第一反射面260aによって反射された光が仮想スクリーンのうち斜めカットオフラインCL3(図8参照)の下側に集中的に照射され、斜めカットオフラインCL3を上縁に有する第一明部B3が第一反射面260aによって仮想スクリーンに形成される。第一反射面260aが回転放物面に形成されているため、第一明部B3の広がりが小さく、その第一明部B3がスポット的な明部になる。また、発光素子261の発光面261aのサイズが小さいため、第一明部B3の広がりが小さくなる。そのため、第一明部B3が自車線側の水平カットオフラインCL1より上にはみ出て形成されるようなことを抑えることができる。
第一反射面260aが発光素子261の光軸261axに交差するか、リフレクタ260と光軸261axの交点近傍にあるので、発光素子261の光束を第一反射面260aによって多く捉えることができる。よって、第一明部B3がより明るくなって、スポット的な第一明部B3の形成が容易になる。また、原点O近傍に形成された第一明部B3が明るいので、車両用前照灯1の照明による遠方視認性が向上する。
発光素子261の第一辺261bが第一反射面260aによって仮想スクリーンに投影されることによって、斜めカットオフラインCL3が第一明部B3の上縁に形成される。発光素子261の第一辺261bが対向車線側上がりに傾斜し、且つ、上下左右に沿う鉛直面VPと第一辺261bの成す角θが30〜35°であるので、斜めカットオフラインCL3がH線に対して傾斜する。
第一反射面260aの焦点F21が第一辺261b上に設定されているため、斜めカットオフラインCL3が仮想スクリーン中の原点O近傍に形成され、その斜めカットオフラインCL3が明瞭に表れる。また、焦点F21が第一辺261bのうち発光面261aの重心261pを通って前後に沿った線261mよりも自車線側に形成されているため、第一明部B3及び斜めカットオフラインCL3の形成位置が下がり過ぎず、第一明部B3及び斜めカットオフラインCL3をH線から上にはみ出るように形成することができる。
第二反射面260bによって反射された光は仮想スクリーンのうちV線の自車線側且つ水平カットオフラインCL1の下側に照射され、水平カットオフラインCL1を上縁に有する第二明部B4が仮想スクリーンに形成される。
第三反射面260cによって反射された光は仮想スクリーンのうち水平カットオフラインCL2の下側に照射され、水平カットオフラインCL2を上縁に有する第三明部B5が仮想スクリーンに形成される。
本発明を適用可能な実施形態は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下に幾つかの変形例について説明する。以下の説明する変形例は、変更箇所を除いて上述の実施形態と同じである。以下の変形例を組み合わせてもよい。
<第3の実施の形態の変形例>
車両用灯具206を右通行用の車両用前照灯に用いる場合には、図20及び図21に示すように車両用灯具206全体を左右反転させるように設ける。つまり、右側通行用の車両用灯具206と左側通行用の車両用灯具206は、鏡像の関係にある。この場合、左側が対向車線側であり、右側が自車線側である。右側通行用の車両用灯具206によって形成される配光パターンは、図8に示す配光パターンを左右反転させたものである。右側通行用の車両用灯具206は右側通行の国向けのものであるが、左側通行の国にも利用することができる。
また、第1実施形態の変形例1〜4と同様な変更を第3実施形態に対して行ってもよい。