JP6041149B2 - 遠隔切断装置 - Google Patents

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Description

本発明は、遠隔切断装置に関する。
解体作業において鋼材等を切断する作業を行う場合、ガス切断装置や油圧切断装置等の大型重機に接続し切断することが行われている。しかし、大型重機を用いた切断装置は高所や狭い場所では設置場所を確保することが難しい。このような場合、アブレシブジェットを用いた小型の切断装置が使用される。このような切断装置は、切断する鋼材等の場所まで赴き、切断装置を設置してアブレシブジェットを用いて切断を行っている。アブレシブジェットを用いた切断装置は、ウォータージェットの一種であり、研磨剤、水、空気からなる固気液三相噴流をノズルから高速水噴流として噴射することで鋼材等を切断している。
このような切断装置として、例えば、特許文献1から3に記載された装置が挙げられる。特許文献1に記載の切断装置は、ウォータージェットを用いた切断装置であって、水を用いて切断した後に、切断に使用した水を回収する。また、特許文献2及び3には、特に、アブレシブジェットを用いた切断装置に関する技術が開示されている。特許文献2には、水中で使用するために、アブレシブジェットの周りをエアージェットで覆いアブレシブジェットをコーティングする技術が開示されている。特許文献3には、初期条件設定を遠隔操作で行い監視作業を半自動化することで、作業環境を改善し、少ない要員で作業できる技術が開示されている。
特開2004−299042号公報 特開平11−123661号公報 特開平06−145745号公報
ところで、原子炉解体作業のように有害物質の存在下では、切断する鋼材等が配置されている場所まで作業者が進入することが難しく、切断装置の設置等を含めてロボット等を用いての遠隔操作にて切断作業が行われる。
しかしながら、遠隔操作にて切断装置を運搬して設置した場合、切断対象物に対するノズルの位置を一定にするよう固定することが難しい。そのため、切断する方向にノズルを安定して移動させることができずに、ノズルの位置がずれることで安定して切断することができず、切断に時間がかかる等の問題が生じている。
本発明は、上述する問題点を解決するためになされたものであって、遠隔操作であっても確実にノズルの位置を固定させて切断対象物を切断することが可能な遠隔切断装置を提供するものである。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明の遠隔切断装置は、遠隔操作によって移動可能な遠隔移動体と、該遠隔移動体に接続されて先端が移動可能なアーム部と、該アーム部の先端に設けられて切断対象物に対して流体を噴射して切断するノズルと、該アーム部の先端の移動とともに移動する前記ノズルの移動方向を一方向のみに規制する規制部と、該規制部を前記切断対象物に固定する固定部と、前記切断対象物に対する前記ノズルの位置を調整する位置調整部とを備えることを特徴とする。
このような遠隔切断装置によれば、遠隔操作によってノズルを保持するアーム部が接続された遠隔移動体を切断対象物の近くまで移動させることができ、アーム部によってノズルを切断対象物の切断したい部分まで案内することができる。そして、規制部を固定部によって切断対象物に固定することで、ノズルを切断対象物に対して一定の距離を保ったまま一方向に移動させて切断することができる。したがって、ノズルから噴射される流体は、切断対象物に対してノズルの位置がずれることなく一方向に向かって移動しながら噴射されるため、切断面がぶれることなく安定して切断対象物を切断することができる。これにより、遠隔操作であっても切断対象物に確実にノズルの位置を固定させて切断することが可能となる。
また、本発明の他の態様に係る遠隔切断装置は、前記規制部は、予め定めた距離だけ前記ノズルを前記一方向に移動可能とし、前記位置調整部は、前記切断対象物に対する前記ノズルの位置を維持して前記規制部と前記固定部とを前記ノズルに対して移動させることを特徴とする。
このような遠隔切断装置によれば、予め定めた距離だけノズルを移動させた後で、予め定めた距離だけノズルを移動させた後で、位置調整部が切断対象物に対するノズルの位置を維持したまま、切断対象部上を規制部と固定部とをノズルに対して移動させることができる。そのため、規制部によってノズルを固定して移動する距離が予め定められていても、ノズルの位置をずらすことなく切断対象物を広範囲にわたって移動させることができ、切断面がぶれることなく安定して切断対象物を切断することができる。これにより、規制部と固定部とを遠隔移動体が切断対象物まで近づくうえで邪魔にならないよう、コンパクトな形状としても切断対象物を安定して切断することが可能となる。
さらに、本発明の他の態様に係る遠隔切断装置は、前記切断対象物を介して前記ノズルと対向するように配置されて前記ノズルから噴射される前記流体を回収する回収部と、該回収部に接続されて、回収された前記流体を吸引する吸引部とを有することを特徴とする。
このような遠隔切断装置によれば、ノズルから噴射される流体を用いて切断対象物を切断することで生じる流体を、回収部が切断対象物を介してノズルと対向する位置に配置されていることで飛散することなく回収部によって回収することができる。そして、回収部にて回収された処理水を吸引部によって吸引して排出することで、鋼材(切断対象物)周辺を汚すことなく切断を実施でき、周辺の清掃等の追加作業を軽減することが可能となる。
本発明の遠隔切断装置によれば、固定部と規制部とによってノズルを切断対象物に対して一方向のみにしか移動できないようにすることで、遠隔操作であっても確実にノズルの位置を固定させて切断対象物を切断することが可能となる。
本発明の実施形態による遠隔切断装置を説明する模式図である。 本発明の実施形態による遠隔切断装置の要部を説明する模試図である。 本発明の実施形態による遠隔切断装置による切断の様子を説明する模式図であり、同図(a)は切断開始前の様子を表す説明図、同図(b)はノズルが規制部内で移動する様子を表す説明図、同図(c)は規制部及び固定部が移動する様子を表す説明図、同図(d)は規制部及び固定部を移動した後に移動する様子を表す説明図である。
以下、本発明に係る実施形態の遠隔切断装置1について図1から図3を参照して説明する。
本実施形態の遠隔切断装置1は、図1に示すように、有害物質が存在している環境下で、遠隔操作にて切断対象物である鋼材(切断対象物)100まで移動し、鋼材(切断対象物)100をアブレシブジェットFによって切断する装置である。遠隔切断装置1は、鋼材(切断対象物)100まで移動してアブレシブジェットFによって鋼材(切断対象物)100を切断する切断ユニット2と、鋼材(切断対象物)100まで移動してアブレシブジェットFで鋼材(切断対象物)100を切断した際に排出される処理水を回収する回収ユニット3と、切断ユニット2及び回収ユニット3を鋼材(切断対象物)100から離れた場所から操作する操作ユニット4とを備えている。
ここで、アブレシブジェットFとは、圧力を付与した水に研磨剤等が含まれたアブレシブ材23fが混入された流体であり、ノズル24から噴射することで鋼材(切断対象物)100を切断可能とされている。また、処理水とは、アブレシブジェットFを用いて鋼材(切断対象物)100を切断することによって生じる切断粉等が切断後のアブレシブジェットFに混入した汚水である。
切断ユニット2は、遠隔操作によって移動可能な遠隔移動体21と、遠隔移動体21に接続されて先端が移動可能なアーム部22と、アーム部22の先端に設けられてアブレシブジェットFを噴射して鋼材(切断対象物)100を切断するノズル24と、ノズル24に接続されてアブレシブジェットFを供給する供給部23とを備えている。さらに、切断ユニット2は、アーム部22の先端の移動とともに移動するノズル24の移動方向を一方向のみに規制する規制部25と、規制部25を鋼材(切断対象物)100に固定する固定部26とを備えている。
遠隔移動体21は、遠隔操作によって離れた場所から後述する操作ユニット4に指示を与えることによって移動させることが可能な車両である。遠隔移動体21は、後述するアーム部22や供給部23を搭載している。
アーム部22は、遠隔移動体21に接続されるロボットアームであり、先端に保持部22aを有しており、遠隔移動体21に対して保持部22aを自在に移動可能としている。
保持部22aは、円筒状をなしており内部にノズル24を挿入して保持している。
ノズル24は、鋼材(切断対象物)100に対して研磨剤等が含まれた高圧の流体であるアブレシブジェットFを線状に噴射してあてながら移動することで、鋼材(切断対象物)100に線状の切断面Sを形成しながら切断する。ノズル24は、円筒状をなしており、一端が供給部23の耐圧ホース23dにされており、他端が噴射孔となっており流体を噴射している。そして、ノズル24は、アーム部22の先端に設けられる保持部22aに保持されることで、アーム部22の先端の保持部22aの移動とともに移動可能とされている。
供給部23は、圧力を付与した水に研磨剤等が含まれたアブレシブ材23fを混合してノズル24へ供給している。供給部23は、遠隔移動体21に固定されており、遠隔移動体21とともに移動可能とされている。供給部23は、圧力が付与された水である高圧水23eを供給する高圧ポンプ23aと、高圧ポンプ23aから供給される高圧水23eの供給量を調整する流量調節器23bとを備えている。そして、供給部23は、高圧ポンプ23aから供給される高圧水23eの一部が供給され研磨剤等のアブレシブ材23fと高圧水23eとを混合する圧力容器23cと、圧力容器23cでアブレシブ材23fと高圧水23eとが混合された流体と流量調節器23bから供給される高圧水23eを混合してアブレシブジェットFとしてノズル24まで供給する耐圧ホース23dとを有している。
規制部25は、アーム部22の先端の保持部22aを固定しており、保持部22aとともにノズル24の移動方向を一方向のみに規制している。規制部25は、保持部22aを固定する支持部25aと、支持部25aに回転可能に固定されるピニオン部25bと、ピニオン部25bと噛み合って支持部25aを一方向に移動可能とするラック部25cと、ピニオン部25bを外側から覆うように形成されてアーム部22が接続されている外装部25dとを有している。そして、規制部25は、予め定めた距離であるラック部25cの延在方向の長さだけピニオン部25bが噛み合って移動することで、支持部25aに固定された保持部22aを介してノズル24を予め定めた距離だけ一方向に移動可能とさせている。
支持部25aは、円形状に貫通する孔部を中心に有し、孔部の延在方向と直交する断面形状がH形状をなしている。支持部25aの孔部には、保持部22aが挿通されて固定されており、保持部22aを介してノズル24を孔部の延在方向に向けて固定している。
ピニオン部25bは、H形状をなす支持部25aの四カ所の先端部に、支持部25aに保持部22aを介して固定されたノズル24の延在方向(孔部の延在方向)と直交する方向に回転可能に突出して配置される歯車である。ピニオン部25bは図示しない駆動部によって任意の回転方向に回転可能とされている。
ラック部25cは、ノズル24の延在方向と直交する方向に予め定めた距離だけ延びる歯が設けられた平板部材である。ラック部25cは、ピニオン部25bと噛み合うように離間した二カ所に対向して配置されている。ラック部25cは、ピニオン部25bと噛み合うことでラック・アンド・ピニオンのような構造をなしている。
外装部25dは、支持部25a、ピニオン部25b、及びラック部25cを外側から覆うような箱形状をなしている。外装部25dは、内部にラック部25cが移動可能に固定されており、外装部25d内をラック部25cの延在方向に沿って移動可能にピニオン部25b及び支持部25aを保持している。
固定部26は、規制部25の外装部25dの四隅に接続されており、規制部25を鋼材(切断対象物)100に固定する。固定部26は、断面矩形状をなしてノズル24の延在方向に延びて一端が規制部25の外装部25dに接続されている固定支柱と、固定支柱に接続される直方状の電磁石26bとを有している。固定部26は、電磁石26bに電気が供給されて通電状態となることで磁力が生じ鋼材(切断対象物)100に固定される。そして、固定部26は、電磁石26bへの電気の供給を断つことで磁力が無くなり、鋼材(切断対象物)100から離間し固定が解除される。
回収ユニット3は、遠隔操作によって遠隔移動体21とは独立して移動可能な回収遠隔移動体31と、回収遠隔移動体31に固定された回収アーム部32と、回収アーム部32に保持されてノズル24から噴射される水を含む処理水を回収する回収部33と、回収部33に接続されて回収された処理水を吸引する吸引部34とを備えている。
回収遠隔移動体31は、遠隔操作によって離れた場所から後述する操作ユニット4に指示を与えることによって移動させることが可能な車両であり、本実施形態では、遠隔移動体21と同様の車両を用いている。回収遠隔移動体31は、後述する回収アーム部32や、吸引部34を搭載している。
回収アーム部32は、回収遠隔移動体31に接続されるロボットアームであり、先端に回収部33が接続されており、回収遠隔移動体31に対して回収部33を自在に移動可能としている。
回収部33は、回収アーム部32に接続されており、切断ユニット2が鋼材(切断対象物)100を切断する際に、鋼材(切断対象物)100を介してノズル24と対向するように配置されて、ノズル24から噴射されて鋼材(切断対象物)100を切断した後のアブレシブジェットを含む処理水を回収している。回収部33は、処理水を受けて回収する拡径部33aと、拡径部33aを鋼材(切断対象部)に固定する回収固定部33bとを有している。
拡径部33aは、回収アーム部32に接続されている側から先端に向かって漸次拡径するようなテーパ筒状をなしている。拡径部33aは、回収アーム部32が接続されている最も径が小さくなっている側が閉塞されており、中心に貫通孔が設けられている。そして、拡径部33aは、貫通孔を介して吸引部34に接続されている。そして、拡径部33aは、テーパ筒状をなしていることで吸引部34が接続されている貫通孔付近に処理水を集めている。
回収固定部33bは、拡径部33aの最も径が大きくなっている側に配置されており、拡径部33aを鋼材(切断対象物)100に固定する。回収固定部33bは、固定部26と同様に、電磁石で形成されており、電気が供給されて通電状態となることで磁力が生じ鋼材(切断対象物)100に固定される。
吸引部34は、回収部33に接続されており、回収部33によって回収された処理水等を吸引している。吸引部34は、回収部33の拡径部33aに接続される吸引ホース34aと、吸引ホース34aに接続されて処理水等を吸引するウェットバキュームクリーナー34bと、ウェットバキュームクリーナー34bに接続され吸引された処理水等を外部へ排出する排出ポンプ34cとを有している。
吸引ホース34aは、拡径部33aの貫通孔に挿通して固定されており、回収部33に溜まった処理水等をウェットバキュームクリーナー34bに送り出している。
ウェットバキュームクリーナー34bは、吸引ホース34aを介して回収部33に溜まった処理水等を吸引している。
排出ポンプ34cによって、ウェットバキュームクリーナー34bが吸引した処理水を圧送することで外部へ排出している。
操作ユニット4は、遠隔移動体21から離れた場所に配置されており、作業者が遠隔操作によって制御することで切断ユニット2及び回収ユニット3を操作可能としている。操作ユニット4は、操作部41と、操作部41からの信号に基づいて切断ユニット2を操作する切断ユニット制御部42と、操作部41からの信号に基づいて回収ユニット3を操作する回収ユニット制御部43とを有している。
操作部41は、切断ユニット2及び回収ユニット3に移動や動作を実施させるためのデータを手動で入力するインターフェイスであり、入力されたデータに基づいて切断ユニット制御部42や回収ユニット制御部43に信号を出力している。
切断ユニット制御部42は、操作部41からの信号に基づいて切断ユニット2の設置及び撤去や切断ユニット2の運転を制御している。切断ユニット制御部42は、切断ユニット2の設置及び撤去時の鋼材(切断対象物)100に対するノズル24の位置を調整する初期位置調整部42aと、切断中の鋼材(切断対象物)100に対するノズル24の位置を調整する位置調整部42bとを有している。
初期位置調整部42aは、操作部41からの信号に基づいて、鋼材(切断対象物)100に対するノズル24の位置を調整して切断ユニット2を鋼材(切断対象物)100に固定して設置及び鋼材(切断対象物)100から撤去する。
具体的には、設置時には初期位置調整部42aは、操作部41から入力された信号に基づいて、遠隔移動体21を鋼材(切断対象物)100付近まで移動させる。そして、遠隔移動体21を鋼材(切断対象物)100まで移動させた後に、初期位置調整部42aは、アーム部22の位置を調整することで、ノズル24を鋼材(切断対象物)100に近づけ、固定部26を鋼材(切断対象物)100に接する位置に配置させる。固定部26が鋼材(切断対象物)100に接した状態で、初期位置調整部42aは、固定部26へ電気を供給し、固定部26の電磁石26bに磁力を生じさせて鋼材(切断対象物)100へ固定させて切断ユニット2を設置する。
また、撤去時には初期位置調整部42aは、鋼材(切断対象物)100の切断が終了すると、固定部26への電気の供給を停止し、固定部26を鋼材(切断対象物)100から外し、アーム部22を鋼材(切断対象物)100から離れさせてから遠隔移動体21を移動させることで切断ユニット2を鋼材(切断対象物)100付近から撤去する。
位置調整部42bは、初期位置調整部42aによって切断ユニット2が設置された後に、操作部41からの信号に基づいて、鋼材(切断対象物)100に対するノズル24の位置を調整しながら鋼材(切断対象物)100の切断を切断ユニット2に実施させる。
具体的には、位置調整部42bは、供給部23の高圧ポンプ23aを起動させて流量調節器23bに高圧水23eの流量を調整させることで、ノズル24からアブレシブジェットFを噴射させる。そして、ノズル24からアブレシブジェットFを噴射させると、位置調整部42bは、規制部25に信号を入力し、図示しない駆動部によってピニオン部25bを回転させる。ノズル24を保持した保持部22aが固定された支持部25aは、ピニオン部25bがラック部25cと噛み合って回転することで、ラック部25cの延在方向に沿ってノズル24の移動方向が一方向のみに規制された状態で移動する。そして、位置調整部42bは、支持部25aがラック部25cの延在方向の一端から他端まで移動すると、供給部23にアブレシブジェットFの供給を停止させるとともに、固定部26への電気の供給を断つよう信号を出力する。即ち、ノズル24からのアブレシブジェットFの噴射が停止されつつ、固定部26の電磁石26bによる鋼材(切断対象物)100への固定が解除される。固定部26による固定が解除された状態で、位置調整部42bは、アーム部22に先端部分である保持部22aを動かさずにノズル24の位置を固定したまま、規制部25に対してピニオン部25bを逆回転させるようよう信号を出力する。ノズル24を保持した保持部22aが固定されている支持部25aが移動することなくピニオン部25bが逆回転することで、規制部25のラック部25c及び外装部25dが固定部26とともにラック部25cの延在方向の一端に戻るように移動する。そして、位置調整部42bは、固定部26へ電気を供給するよう信号を出力し、固定部26を鋼材(切断対象物)100に固定させる。その後、位置調整部42bは、再び供給部23を駆動させる信号を出力してノズル24からアブレシブジェットFを噴射させて切断を開始し、規制部25にも信号を出力することで図示しない駆動部によってピニオン部25bを回転させる。ピニオン部25bが回転することでノズル24とともに支持部25aは、ラック部25cの延在方向に沿って移動するため、ノズル24も一方向に向かってさらに移動する。即ち、上記のような動きを繰り返すことで、位置調整部42bは、アーム部22にノズル24の位置を維持させて、規制部25と固定部26とをノズル24に対して尺取虫式に相対移動させている。
回収ユニット制御部43は、操作部41からの信号に基づいて回収ユニット3の設置及び撤去や回収ユニット3の駆動を制御している。回収ユニット制御部43は、回収遠隔移動体31を移動させる回収移動体調整部43aと、回収アーム部32の動きを調整する回収位置調整部43bと、回収部33の回収固定部33bへの電気の供給の切り替えを実施する固定切替部43cと、吸引部34の制御を行う吸引調整部43dとを有している。
回収移動体調整部43aは、操作部41からの信号に基づいて、鋼材(切断対象物)100を介して遠隔移動体21と対向する位置付近まで回収遠隔移動体31を移動させるように、回収遠隔移動体31に信号を出力する。
回収位置調整部43bは、操作部41からの信号に基づいて回収移動体調整部43aによって回収遠隔移動体31が移動した後に、回収部33が鋼材(切断対象物)100に近づき、鋼材(切断対象物)100を介してノズル24と対向する位置で回収固定部33bが鋼材(切断対象物)100に接するように回収アーム部32の位置を調整する。
固定切替部43cは、操作部41からの信号に基づいて回収位置調整部43bによって回収固定部33bが鋼材(切断対象物)100に接した状態で、回収固定部33bの電磁石への電気の供給を調整し、回収固定部33bを鋼材(切断対象物)100への固定及び解除を制御している。
吸引調整部43dは、操作部41からの信号に基づいてウェットバキュームクリーナー34bによって吸い出す量や排出ポンプ34cによる排出する量を調整することで回収遠隔移動体31に固定された吸引部34の吸引力を調整している。
次に、上記構成の遠隔切断装置1の作用について説明する。
上記のような本実施形態の遠隔切断装置1では、切断ユニット2と回収ユニット3とを鋼材(切断対象物)100に設置する。
切断ユニット2の設置は、操作ユニット4の操作部41に鋼材(切断対象物)100の位置データを入力して初期位置調整部42aから信号が出力されることで、遠隔移動体21を鋼材(切断対象物)100まで移動させる。遠隔移動体21が指定された鋼材(切断対象物)100の近くまで移動すると、初期位置調整部42aから信号によって、アーム部22が動かされて保持部22aの位置を調整する。そして、アーム部22によってノズル24の噴射孔が鋼材(切断対象物)100の切断する部分と対向し、固定部26が鋼材(切断対象物)100に接する位置まで保持部22aを案内される。固定部26が鋼材(切断対象物)100と接した状態で、初期位置調整部42aからの信号によって、固定部26の電磁石26bに電気が供給される。電磁石26bに電気が供給されると、固定部26の電磁石26bには磁力が生じ鋼材(切断対象物)100に張り付くことで、切断ユニット2が鋼材(切断対象物)100に固定される。
回収ユニット3の設置は、切断ユニット2の設置とともに、操作ユニット4の操作部41に回収移動体調整部43aを移動させたい位置のデータを入力して回収移動体調整部43aに信号が入力されることによって、鋼材(切断対象物)100を介して遠隔移動体21と対向する位置まで回収遠隔移動体31を移動させる。回収遠隔移動体31が指定された位置である鋼材(切断対象物)100の近くまで移動すると、回収位置調整部43bから入力される信号に基づいて、回収アーム部32を動かして鋼材(切断対象物)100を介してノズル24と対向する位置に回収部33が配置されるよう案内する。そして、回収アーム部32によって、回収部33の拡径部33aの最も径の大きい側が鋼材(切断対象物)100を介してノズル24と対向し、回収固定部33bが鋼材(切断対象物)100に接するように回収部33の位置を調整する。回収固定部33bが鋼材(切断対象物)100と接した状態で、固定切替部43cから信号が入力されることによって、回収固定部33bの電磁石へ電気を供給する。固定部26に電気が供給されると、回収固定部33bの電磁石26bに電磁力が生じ鋼材(切断対象物)100に張り付くことで、回収ユニット3が鋼材(切断対象物)100に固定される。
切断ユニット2及び回収ユニット3が鋼材(切断対象物)100に固定されて設置されると、操作部41から切断ユニット制御部42の位置調整部42bと回収ユニット制御部43の吸引調整部43dに信号を入力する。
位置調整部42bから信号が入力されると、供給部23では、高圧ポンプ23aが起動し圧縮した高圧水23eの供給を開始する。高圧ポンプ23aから供給される高圧水23eの一部は圧力容器23cに供給される。圧力容器23cに供給された高圧水23eは、圧力容器23c内に配置されているアブレシブ材23fと混合され混合液として圧力容器23c化から供給される。そして、高圧ポンプ23aから供給される高圧水23eの圧力容器23cに供給されない残分は、流量調節器23bを介して流量を調整されて圧力容器23cから供給される混合液と合流する。流量調節器23bによって高圧ポンプ23aから供給される高圧水23eの流量が増加すると、混合液と高圧水23eは勢いよく耐圧ホース23d内を流通しノズル24からアブレシブジェットFとして噴射され、鋼材(切断対象物)100の切断が開始される。
図3に示すように、鋼材(切断対象物)100の切断が開始されると、位置調整部42bからの信号に基づいて、図示しない駆動部によって規制部25のピニオン部25bが回転する。ピニオン部25bが回転すると、図3(a)及び(b)に示すように、ノズル24を保持した保持部22aが固定された支持部25aはラック部25cの延在方向に沿って移動するため、ノズル24の移動方向がラック部25cの延在方向である一方向のみに規制される。そのため、ノズル24は、アブレシブジェットFを噴射して直線状の切断面Sを形成しながら鋼材(切断対象物)100を切断する。
そして、図3(b)に示すように、支持部25aがラック部25cの延在方向の一端から他端まで予め定めた距離であるラック部25cの長さ分だけを移動すると、ノズル24からのアブレシブジェットFの噴射が停止し切断が一旦停止される。そして。固定部26への電気の供給が断たれることで、固定部26の電磁石26bによる鋼材(切断対象物)100への固定が解除される。固定部26による固定が解除された状態で、アーム部22を保持部22aが動かないように位置を調整することでノズル24の位置を固定し、規制部25のピニオン部25bを逆回転させる。ノズル24の位置が固定されていることで、保持部22aを介してノズル24を固定している支持部25aは移動できず、ピニオン部25bが逆回転し続ける。そのため、図3(c)に示すように、規制部25のラック部25c及び外装部25dが、固定部26とともにラック部25cの延在方向の一端に戻るように移動する。そして、この状態で固定部26の電磁石26bに再び電気を供給することによって、固定部26を鋼材(切断対象物)100に固定させる。その後、再び供給部23を駆動させアブレシブジェットFを噴射させて切断を開始し、アーム部22によってノズル24の位置を移動させながら図示しない駆動部によってピニオン部25bが回転させる。ピニオン部25bが回転することでノズル24を保持した保持部22aが固定された支持部25aは、図3(d)に示すように、ラック部25cの延在方向に沿って再び移動するため、直線状の切断面Sが伸びるように形成されながらノズル24によって鋼材(切断対象物)100が切断される。このようにノズル24が尺取虫式に移動を繰り返しながら鋼材(切断対象物)100を切断することで、鋼材(切断対象物)100を全域にわたって切断している。これにより、例えば、鋼材(切断対象物)100が円柱状をなしている場合では、全周にわたって直線状をなす切断面Sを形成して鋼材(切断対象物)100を切断できる。
一方、切断ユニット2によって鋼材(切断対象物)100の切断を開始すると共に、回収ユニット3は、操作部41に吸引部34を駆動させる信号を入力することで、吸引調整部43dから吸引部34に信号が入力される。信号が入力されると、吸引部34では、排出ポンプ34c及びウェットバキュームクリーナー34bが起動し処理水の吸引を開始する。切断ユニット2のノズル24から噴射されるアブレシブジェットFによって鋼材(切断対象物)100が切断されると、鋼材(切断対象物)100を介してノズル24と対向する側に向かって、切断に使用したアブレシブジェットFや切断によって鋼材(切断対象物)100から生じる切断粉が混在する処理水が排出される。ここで、回収部33は、鋼材(切断対象物)100を介してノズル24と対向する位置に配置されていることで、切断面Sを回収部33が覆うように配置することとなる。そのため、排出された処理水は、回収部33によって飛散せず回収される。回収部33に回収された処理水は、回収部33の拡径部33aに取り付けられた吸引部34である吸引ホース34aを介してウェットバキュームクリーナー34bに吸引される。ウェットバキュームクリーナー34bに吸引された処理水は、排出ポンプ34cによって外部に圧送されて排出される。
上記のような本実施形態の遠隔切断装置1では、遠隔操作によってノズル24を保持するアーム部22が接続された遠隔移動体21を鋼材(切断対象物)100の近くまで移動させることができ、アーム部22によってノズル24を鋼材(切断対象物)100の切断したい部分まで案内することができる。そして、ノズル24を保持する保持部22aを規制部25に固定し、規制部25を固定部26によって鋼材(切断対象物)100に固定することで、ノズル24を鋼材(切断対象物)100に対して一定の距離を保ったまま一方向に移動させて鋼材(切断対象物)100を切断することができる。したがって、ノズル24から噴射されるアブレシブジェットは、鋼材(切断対象物)100に対してずれることなく一方向に向かって噴射されるため、切断面Sがぶれることなく安定して鋼材(切断対象物)100を切断することができる。これにより、遠隔操作であっても切断対象物に確実にノズル24の位置を固定させて切断することが可能となる。
また、予め定めた距離であるラック部25cの長さだけノズル24を移動させた後で、位置調整部42bが鋼材(切断対象物)100に対するノズル24の位置を維持したまま、固定部26の電磁石26bにより固定を解除して規制部25のピニオン部25bを回転させることで、保持部22aを介してノズル24が固定された支持部25aは移動せずに、支持部25aの周りの規制部25であるラック部25c及び外装部25dと固定部26とをラック部25cの延在方向に沿って移動させることができる。つまり、ノズル24の位置を移動させずに、鋼材(切断対象部)上を規制部25のラック部25c及び外装部25dと固定部26とをノズル24を固定した支持部25aに対して移動させることができる。そのため、規制部25のラック部25cの長さによってノズル24を固定して支持部25aの移動する距離が予め定められていても、ノズル24の位置をずらすことなく鋼材(切断対象物)100を広範囲にわたって移動させることができ、切断面Sがぶれることなく安定して鋼材(切断対象物)100を切断することができる。これにより、切断ユニット2の規制部25と固定部26とを遠隔移動体21が鋼材(切断対象物)100まで近づくうえで邪魔にならないよう、コンパクトな形状としても鋼材(切断対象物)100を安定して切断することが可能となる。
さらに、ノズル24から噴射されるアブレシブジェットFを用いて鋼材(切断対象物)100を切断することで生じる処理水を、回収部33が鋼材(切断対象物)100を介してノズル24と対向する位置に配置されていることで飛散することなく回収部33によって内部に回収することができる。そして、回収部33にて回収された処理水を吸引部34によって吸引して排出することで、鋼材(切断対象物)100周辺を汚すことなく切断を実施でき、周辺の清掃等の追加作業を軽減することが可能となる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、クレームの範囲によってのみ限定される。
なお、本実施形態では、規制部25にピニオン部25bとラック部25cとを用いることでノズル24の移動方向を一方向のみに規制しているが、この構造に限定されるものではなく、例えば、規制部25にアーム部22とは異なる第二のアーム部が接続されていてもノズル24とは独立して移動可能としても良い。
また、切断ユニット2と回収ユニット3は、遠隔移動体21と回収遠隔移動体31との異なる車両によって移動可能とされていることに限定されるものではなく、一つの車両に一体として設けてられていても良い。これにより、切断ユニット2と回収ユニット3の位置の調整がより容易となる。
さらに、切断ユニット2や回収ユニット3にカメラ等を用いても良い。カメラを用いることで、切断装置から離れた場所にいながら、鋼材(切断対象物)100付近の様子を確認することができ、より確実に切断ユニット2と回収ユニット3の位置を鋼材(切断対象物)100に対して調整できる。
また、切断対象物は鋼材に限定されるものではなくコンクリート等の他の材質で構成されていても良い。この場合、固定部26には電磁石26bではなく、強力な吸盤を用いることで切断対象物に固定することができる。
100…鋼材(切断対象物) 1…遠隔切断装置 2…切断ユニット 21…遠隔移動体 22…アーム部 22a…保持部 23…供給部 23a…高圧ポンプ 23b…流量調節器 23c…圧力容器 23d…耐圧ホース 23e…高圧水 23f…アブレシブ材 F…アブレシブジェット 24…ノズル 25…規制部 25a…支持部 25b…ピニオン部 25c…ラック部 25d…外装部 26…固定部 26a…支持支柱 26b…電磁石 3…回収ユニット 31…回収遠隔移動体 32…回収アーム部 33…回収部 33a…拡径部 33b…回収固定部 34…吸引部 34a…吸引ホース 34b…ウェットバキュームクリーナー 34c…排出ポンプ 4…操作ユニット 41…操作部 42…切断ユニット制御部 42a…初期位置調整部 42b…位置調整部 43…回収ユニット制御部 43a…回収移動体調整部 43b…回収位置調整部 43c…固定切替部 43d…吸引調整部 S…切断面

Claims (3)

  1. 遠隔操作によって移動可能な遠隔移動体と、
    該遠隔移動体に接続されて先端が移動可能なアーム部と、
    該アーム部の先端に設けられて切断対象物に対して流体を噴射して切断するノズルと、
    該アーム部の先端の移動とともに移動する前記ノズルの移動方向を一方向のみに規制する規制部と、
    該規制部を前記切断対象物に固定する固定部と、
    前記切断対象物に対する前記ノズルの位置を調整する位置調整部とを備えることを特徴とする遠隔切断装置。
  2. 前記規制部は、予め定めた距離だけ前記ノズルを前記一方向に移動可能とし、
    前記位置調整部は、前記切断対象物に対する前記ノズルの位置を維持して前記規制部と前記固定部とを前記ノズルに対して移動させることを特徴とする請求項1に記載の遠隔切断装置。
  3. 前記切断対象物を介して前記ノズルと対向するように配置されて前記ノズルから噴射される前記流体を回収する回収部と、
    該回収部に接続されて、回収された前記流体を吸引する吸引部とを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遠隔切断装置。
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