JP2006247799A - 穴形成装置および穴形成方法 - Google Patents

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剛 木村
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Abstract

【課題】ウォータジェットを用いて比較的深い穴をコンクリート壁に形成することができる穴形成装置および穴形成方法を提供する。
【解決手段】ノズルヘッド20のノズル軸線52が形成すべき穴22の中心軸線24からずれ、ノズルヘッドのノズル軸線が前記中心軸線に対して所定角度α傾斜するとともに前記中心軸線に交差するように、ノズル保持手段64によってノズルヘッドを保持する。このようなノズルヘッドの保持状態を保って、ノズルヘッドを前記中心軸線まわりに回転することで、ウォータジェットは、コンクリート壁28のうち、穴の中心軸線上の部分から穴の周壁部分まで行き届き、ノズルヘッドの前方で、コンクリート壁にノズルヘッドの回転動作領域よりも大きい穴を形成することができる。そしてノズルヘッドを既に形成された穴に挿入させて、中心軸線に沿って直進させることができ、コンクリート壁に深い穴を形成することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ウォータジェットなどの流体ジェットを利用して、コンクリートや岩石などの加工対象物に穴を形成する穴形成装置および穴形成方法に関する。
従来から、岩石コンクリート層の穴あけには、削岩機などが用いられている。削岩機では、ノミの刃先の衝撃力で岩石やコンクリートを部分的に破砕しながら、穴あけを行う。しかしながら、機械的な衝撃力で岩石やコンクリートの破砕を繰り返すので、騒音や振動が大きい。コンクリートに穴あけを行う工事は、たとえば都市部などのコンクリート構造物の補修や改造に伴って行われることが多く、周囲の環境条件から制約を受ける。また、鉄筋コンクリートに削岩機などを用いて穴あけする場合は、コンクリート内部の鉄筋を損傷したり、クラックが発生したりする。
岩石やコンクリート等への穴あけ加工に、ウォータジェットを用いる考え方は、非特許文献1などに開示されている。この従来技術の穴あけ加工では、高速の水を加工対象物に噴射することによって、加工対象物を部分的に破砕して穴あけを行う。コンクリート構造物への穴あけでは、削岩機などを用いる従来法に比較して、騒音、振動および粉塵などの発生が少なくなり、環境や人にとって優しい工法であるばかりではなく、鉄筋を傷つけず、残存する加工部にクラックを残さないので、都市部での補修工事には特に適した工法である。
図37は、従来技術のウォータジェットノズルヘッド101(以下、ノズルヘッドと称する)の基本的な構成を示す断面図である。ノズルヘッド101は、高圧水供給管111と、高圧水供給官111の軸線方向一端部に設けられて所定の径の噴出口であるオリフィスが形成されるノズルチップ109と、ノズルチップ109を高圧水供給官111に固定するカバー部材110とを有する。
ノズルヘッド101には、高圧水供給管111の内部空間に高圧水が供給され、その高圧水がノズルチップ109のオリフィスを通過することによって、ウォータジェット112として噴射される。ウォータジェット112の径dは、たとえば1mm以下であり、カバー部材110の外径Dに比較してかなり小さい。
永井 裕善、池本 善和、辻田 京史、緒方 隆昌、木村 剛、山口 正道、朽木 宏綱、山田 正年、ウォータジェットによるコンクリート建造物のはつりおよび切断技術の開発−鉄筋を傷めないコンクリートはつり法と鉄筋を含めた切断法−、1996年4月20日、川崎重工業株式会社明石技術研究所、[川崎重工技報 129号 別刷]
ウォータジェット112を利用する従来の穴あけ形成装置は、高圧発生装置からの高圧水を単にノズルヘッドの先端からウォータジェット112として噴射するものであるので、浅い穴を形成するときには利用することができるが、たとえば深さ1000mm程度の深い穴を形成する場合には利用することができず、このような深い穴を形成する装置の実現が望まれている。
具体的には、従来技術のノズルヘッド101では、ノズルチップ109の先端と、加工対象物108との間の距離であるスタンドオフSが大きすぎると、加工対象物108を粉砕することができず、加工可能な深さに限界がある。したがって加工対象108の表面に深い穴をあけようとする場合は、ノズルヘッド101を既に形成した穴の中に挿入し、スタンドオフSを縮める必要がある。
しかしながら、従来技術のノズルヘッド101では、全体の外径であるカバー部材110の外径Dが、ウォータジェット112の径dに比較してかなり大きい。ウォータジェット112による穴あけ加工では、加工対象物108にウォータジェット112が噴射される部分のみが加工されるので、ノズルヘッド101で、噴射方向に深い穴をあけようとしても、カバー部材110までを含めてノズルヘッド101を挿入し得るような大きさの穴をあけることができない。ノズルヘッド101を動かしながら穴あけを行えば、ある程度の深さまではカバー部材110の外径Dよりも大きな穴をあけることは可能である。しかしながら、あけられた穴にノズルヘッド101を挿入して、さらに深い穴をあけようとするときには、ノズルヘッド101はあけられた穴の内部空間でしか動かすことができず、穴あけされる穴の大きさはカバー部材110の半径分だけ小さくなってしまう。なお、穴あけ加工において、水以外の流体を加工対象物108に噴射する場合も同様の問題が生じる。
したがって本発明の目的は、流体ジェットを用いて比較的深い穴を形成することができる穴形成装置および穴形成方法を提供することである。
本発明は、流体ジェットを噴射して加工対象物に穴を形成する穴形成装置において、
噴射口から予め定める噴射軸線に沿って流体ジェットを噴出するノズルヘッドと、
前記噴射口を形成すべき穴の中心軸線から半径方向にずらし、前記噴射口よりも噴射方向下流側で前記噴射軸線が、前記中心軸線に交差するように前記ノズルヘッドを保持するノズル保持手段と、
前記噴射軸線が前記中心軸線に交差する状態を保った状態で、前記ノズルヘッドを前記中心軸線まわりに回転させるノズル回転手段と、
前記ノズルヘッドを前記中心軸線に平行な方向に移動させるノズル移動手段とを備えることを特徴とする穴形成装置である。
また本発明は、流体ジェットを噴射して加工対象物に穴を形成する穴形成装置において、
噴射口から予め定める噴射軸線に沿って流体ジェットを噴出するノズルヘッドと、
形成すべき穴の中心軸線に垂直な平面に対して、前記噴射軸線が傾斜するように前記ノズルヘッドを保持するノズル保持手段と、
前記ノズルヘッドを、前記ノズル保持手段による保持状態を保って、前記中心軸線に垂直な任意の方向に移動させ、前記中心軸線に平行な軸線まわりに角変位させ、前記中心軸線に平行な方向に移動させるノズル移動手段とを備えることを特徴とする穴形成装置である。
また本発明は、前記ノズル移動手段は、ノズルヘッドを前記中心軸線に平行な方向に移動させる移動速度を変更可能であることを特徴とする。
また本発明は、前記ノズルヘッドは、高圧流体を噴射口に導く整流部が形成され、前記整流部は、直線状に形成されて、噴射口に達する高圧流体を整流するに必要な長さに設定されることを特徴とする。
また本発明は、流体ジェットを噴射して加工対象物に穴を形成する穴形成装置において、
複数の噴射口から複数の流体ジェットをそれぞれ噴出するノズルヘッドと、
前記ノズルヘッドを保持するノズル保持手段と、
前記ノズルヘッドを形成すべき穴の中心軸線まわりに回転させるノズル回転手段と、
前記ノズルヘッドを前記中心軸線に平行な方向に移動させるノズル移動手段とを備え、
前記複数の流体ジェットのうちの少なくとも1つを、穴が形成されるべき加工対象物の中心軸線近傍の端面に向けて噴出し、複数の流体ジェットのうちの他の少なくとも1つを加工対象物の穴の周壁部分に向けて噴出し、各流体ジェットの噴射軸線が前記中心軸線に対してそれぞれ傾斜し、前記中心軸線に垂直な方向における各流体ジェットの噴射反力の和が予め定める範囲で均衡するように前記ノズルヘッドが形成されることを特徴とする穴形成装置である。
また本発明は、前記噴射反力の均衡範囲は、
ノズルヘッドの中心軸線方向の先端のたわみが予め定める基準値以下となる力の範囲であることを特徴とする。
また本発明は、前記ノズルヘッドは、前記噴射口に高圧流体を導く流路形成部が形成され、流路形成部は、
供給される高圧流体を各噴射口に分岐する分岐部と、
噴射口毎に設けられ、分岐部に連なり、分岐部から前記中心軸線に対して平行に延び、その長さが噴射口に達する高圧流体を整流するに必要な長さに設定される整流部と、
整流部の先端から高圧流体を噴射口に導き、噴射軸線に沿って延びる傾斜部とを含んで構成されることを特徴とする。
また本発明は、前記分岐部は、前記整流部に対して直交することを特徴とする。
また本発明は、流体ジェットによって加工対象物を粉砕した粉砕片を穴から排出する排出手段をさらに備えることを特徴とする。
また本発明は、前記排出手段は、
ノズルヘッドに連結され、前記中心軸線に沿って延びる支持部と、
支持部に形成されて中心軸線に沿って進むにつれて支持部を中心軸線まわりに螺旋状に延びる搬送部材と、
前記搬送部材を前記中心軸線まわりに回転する搬送部材回転手段とを含むことを特徴とする。
また本発明は、前記排出手段は、粉砕片を排出する排出方向に流体を噴出することを特徴とする。
また本発明は、噴射口から予め定める噴射軸線に沿って流体ジェットを噴出するノズルヘッドを用いて加工対象物に穴を形成する穴形成方法において、
前記ノズルヘッドの噴射口を中心軸線から半径方向にずらし、前記噴射口よりも噴射方向下流側で前記噴射軸線が、形成すべき穴の中心軸線に交差する状態を保った状態で、ノズルヘッドを前記中心軸線まわりに回転させながら、前記中心軸線に平行な方向に移動させることを特徴とする穴形成方法である。
また本発明は、前記噴射口よりも噴射方向上流側で前記噴射軸線が前記中心軸線に交差する状態を保った状態で、噴射される流体ジェットが形成すべき穴の周壁部を周回するように、ノズルヘッドを前記中心軸線に平行な軸線まわりに角変位および前記中心軸線に垂直な任意の方向に移動させることを特徴とする。
また本発明は、複数の噴射口から予め定める噴射軸線に沿って複数の流体ジェットをそれぞれ噴射するノズルヘッドを用いて加工対象物に穴を形成する穴形成方法において、
前記複数の流体ジェットのうちの少なくとも1つを、穴が形成されるべき加工対象物の中心軸線近傍の端面に向けて噴出し、複数の流体ジェットのうちの他の少なくとも1つを加工対象物の周壁部分に向けて噴出し、各流体ジェットの噴射軸線が前記中心軸線に対してそれぞれ傾斜し、前記中心軸線に垂直な方向における各流体ジェットの噴射反力の和が予め定める範囲で均衡するように各流体ジェットを噴射させることを特徴とする穴形成方法である。
請求項1記載の本発明によれば、噴射口が形成すべき穴の中心軸線からずれ、噴射軸線が前記中心軸線に対して所定角度傾斜するとともに前記中心軸線に交差するようにノズルヘッドがノズル保持手段に保持される。このような保持状態で、ノズル回転手段によってノズルヘッドを前記中心軸線まわりに回転することで、流体ジェットが、前記中心軸線を中心とする円錐周面に沿って周回移動するように噴射される。前記円錐周面の頂点は、噴射口よりも前方に位置するので、流体ジェットは、加工対象物の前記中心軸線上の部分から穴が形成されるべき周壁部分まで行き届き、ノズルヘッドの前方で形成すべき穴の全域を破砕することができ、流体ジェットの径に比べて大きい穴を形成することができる。またノズルヘッドの前方で、加工対象物にノズルヘッドの回転動作領域よりも大きい穴を形成することで、ノズルヘッドを既に形成された穴に挿入させて、ノズル移動手段によって中心軸線方向に直進させることができ、加工対象物に深い穴を形成することができる。
また請求項2記載の本発明によれば、ノズル移動手段によってノズルヘッドを変位させることで、噴射口が形成すべき穴の中心軸線からずれ、噴射軸線を前記中心軸線に対して所定角度傾斜させることができる。このような状態で、ノズルヘッドを前記中心軸線まわりに回転することで、流体ジェットが、前記中心軸線を中心とする円錐周面に沿って周回移動するように噴射される。前記円錐周面の頂点は、噴射口よりも前方に位置することで、流体ジェットは、加工対象物の前記中心軸線上の部分から穴が形成されるべき周壁部まで行き届き、形成すべき穴の全域を破砕することができる。またノズルヘッドの前方で、加工対象物にノズルヘッドの回転動作領域よりも大きい穴を形成することで、ノズルヘッドを既に形成された穴に挿入させて、中心軸線方向に直進させることができ、加工対象物に深い穴を形成することができる。
さらに既に形成された穴にノズルヘッドを挿入させた状態で、加工対象物の周壁部分に流体ジェットが噴射されるように、ノズル移動手段とノズル角変位手段とを移動させることによって、断面形状が任意の形状および大きさの深い穴を形成することができる。たとえばノズル移動手段は、ロボットアームによって実現することができる。
また請求項3記載の本発明によれば、ノズルヘッドを中心軸線方向に移動させる速度を変化させることで、所定の大きさの穴を効率よく形成することができる。たとえば移動速度を速くすることで、半径の小さな穴を形成することができ、移動速度を遅くすることで半径の大きな穴を形成することができる。なお、本発明ではノズルヘッドを間欠的に移動する場合も、移動速度を変化させることに含められる。
また請求項4記載の本発明によれば、高圧流体が整流部を流れて噴射口に導かれることによって、整流部で高圧流体の流れが整えられ、乱れが少ない状態で噴射口から流体ジェットを噴射することができる。これによって流体ジェットの破砕能力を向上することができ、広い範囲で加工対象物の穴あけを行って噴出口の外径よりも大きな穴を容易に形成することができ、ノズルヘッドが挿入可能な径の穴を加工対象物に形成することができる。
また請求項5記載の本発明によれば、中心軸線に対して傾斜した各噴射軸線に沿って、流体ジェットをそれぞれ噴出する。ノズル回転手段によってノズルヘッドが形成すべき穴の中心軸線まわりに回転することによって、流体ジェットが、前記中心軸線を中心とする円錐周面に沿って周回移動するように噴射される。複数の流体ジェットが、加工対象物の中心軸線付近の部分と、加工対象物の周壁部分とに衝突することによって、形成すべき穴の全域を破砕することができる。またノズルヘッドの前方で、加工対象物にノズルヘッドの回転動作領域よりも大きい穴を形成することで、ノズルヘッドを既に形成された穴に挿入させて、ノズル移動手段によって中心軸線方向に直進させることができ、加工対象物に深い穴を形成することができる。さらに、穴の中心軸線に対して垂直な方向の噴射反力の和が小さくなるように、複数の流体ジェットの噴射方向および噴射流量を設定することで、噴射反力の偏りに起因するノズルヘッドのぶれを防ぐことができ、形成される穴の精度を向上させることができ、穴が深くなったとしても所定の内径に形成することができる。
また請求項6記載の本発明によれば、噴射反力の均衡範囲を、中心軸線方向の先端のたわみが予め定める基準値以下とすることによって、ノズルヘッドが加工対象物に深く挿入された状態であっても、噴射反力の偏りに起因するノズルヘッドのブレをより確実に防ぐことができ、精度よく穴あけを行うことができる。
また請求項7記載の本発明によれば、噴射口に導かれる途中で、高圧流体は、分岐部から整流部を通過する。整流部を通過することによって、分岐部において流体の流れに乱れが発生していても、整流部を流れる間に乱れを解消させることができる。これによって噴射口から噴射する流体ジェットの流れの乱れを少なくすることができ、破砕能力を向上することができる。また分岐部から直接傾斜部に高圧流体を導くと、流体の乱れを解消するためには傾斜部の長さを長くしなければならない。傾斜部の長さが長くなると、ノズルヘッドの外径が大きくなってしまう。このような問題を解消するために本発明では、中心軸線に平行に延びる整流部で整流するので、ノズルヘッドの外径が大きくなることを防いだうえで、強力な流体ジェットを発生させることができる。
また請求項8記載の本発明によれば、分岐部が整流部に対して直交することで、噴射口毎に設けられる各整流部を前記中心軸線に近接した位置に配置することができる。これによって複数の噴出口を中心軸線に近い位置に配置して、ノズルヘッドを小さくすることができ、径が小さい穴を加工対象物に形成することができる。
また請求項9記載の本発明によれば、ノズルヘッドが加工対象物の深い位置に挿入された場合であっても、排出手段によって粉砕片を排出することによって、粉砕片がノズルヘッドの周囲に堆積することを防ぐことができ、穴あけ加工に支障が生じることを防ぐことができる。
また請求項10記載の本発明によれば、搬送部材回転手段によって、搬送部材が中心軸線まわりに回転することによって、あたかもスクリューコンベアのように、粉砕片を機械的に穴の開口に向けて排出することができ、粉砕片が穴の中で詰まることを良好に防ぐことができる。
また請求項11記載の本発明によれば、流体によって粉砕片を穴の開口に向けて排出することで、流体と一緒に粉砕片を排出し、粉砕片が穴の中で詰まることを良好に防ぐことができる。流体は、高圧である必要はないけども多流量であることが好ましく、また複数の箇所から流体を噴出させて、粉砕片を穴の開口に向けて押し出してもよい。
また請求項12記載の本発明によれば、ノズルヘッドを形成されるべき穴の中心軸線まわりに回転させて、流体ジェットが、前記中心軸線を中心とする円錐周面に沿って周回移動するようにする。流体ジェットは、加工対象物の前記中心軸線上の部分から穴が形成されるべき周壁部分まで行き届き、形成すべき穴の全域を破砕することができる。またノズルヘッドよりも噴射方向下流側の加工対象物の部分にノズルヘッドの回転動作領域よりも大きい穴を形成することで、ノズルヘッドを既に形成された穴に挿入させて、中心軸線方向に直進させることができ、加工対象物に深い穴を形成することができる。
また請求項13記載の本発明によれば、流体ジェットが穴の内周面を周回するように、ノズルヘッドを移動させることによって、穴の内径を大きくすることができる。またノズルヘッドの動きを変化させることによって、断面が円形以外の穴、たとえば略四角形の穴を形成することができる。
また請求項14記載の本発明によれば、複数の流体ジェットを、加工対象物の中心軸線付近の部分と、加工対象物の内周面近傍に衝突させて、ノズルヘッドを回転させることによって、形成すべき穴の全域を破砕することができる。またノズルヘッドよりも前方の加工対象物にノズルヘッドの回転動作領域よりも大きい穴を形成することで、ノズルヘッドを既に形成された穴に挿入させて、中心軸線方向に直進させることができ、加工対象物に深い穴を形成することができる。さらに、流体ジェットの噴射反力を小さくすることで、噴射反力の偏りに起因するノズルヘッドのぶれを防ぐことができ、形成される穴の精度を向上させることができ、たとえば穴を所定の内径に形成することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明に従う穴形成装置および穴形成方法について説明する。穴形成装置は、高圧流体をノズルヘッドから加工対象物に噴出することによって、加工対象物を部分的に粉砕して加工対象物に穴を形成する装置である。本実施の形態では、高圧流体は高圧に圧縮されたウォータジェットであって、加工対象物はコンクリート壁である。本発明の穴形成装置および穴形成方法に従えば、コンクリート壁に比較的深い穴、たとえば貫通孔を形成することができる。コンクリート壁に形成された貫通孔は、コンクリート壁を貫通して管部材、たとえば冷暖房用の管部材、給排水用の管部材、電気コード用の保護管部材などを取付けるときに用いられ、建築物を建造した後で必要な際に施工される。
図1は本発明の第1の実施形態である穴形成装置1を示す斜視図であり、図2はノズルヘッド20付近を拡大して示す断面図である。穴形成装置1は、装置本体2を具備し、コンクリート壁28の穴を形成すべき位置に、装置本体2が配置された状態で穴加工が施工される。
装置本体2は、略矩形状のベース部材4と、このベース部材4の両端部に設けられる2つの端壁6,8とを有し、その第1端壁6と第2端壁8との間に軸受10,12を介して回転軸14が回転自在に支持される。回転軸14には、回転軸14の軸線方向に移動可能に移動ブロック16が連結される。前記回転軸14の中間部には雄ねじが形成され、この雄ねじ形成部分には、移動ブロック16の雌ねじ形成部分が螺合される。また、回転軸14には、駆動手段を構成する第1電動モータ18が駆動連結される。
第1電動モータ18、回転軸14および移動ブロック16は、形成すべき穴22の中心軸線に沿う方向にノズルヘッド20を移動させるためのノズル移動手段23を構成する。第1電動モータ18が回転軸14をその軸線14まわりに回転させたときに、移動ブロック16を回転軸14とともに回転させないようにすることで、移動ブロック16が回転軸14の軸線方向に移動する。回転軸14を回転方向一方に回転させると、移動ブロック16は穴を形成すべき壁28に近接する近接方向25に移動し、回転軸14を回転方向他方に回転させると、移動ブロック16は、穴を形成すべき壁28から離反する離反方向26に移動する。これによって移動ブロック16に連結されるノズルヘッド20を直進移動させることができる。なお、移動ブロック16による穴の軸線方向の移動を確実にするために、移動ブロック16を案内する案内部材を装置本体2に設けるようにしてもよい。
移動ブロック16には、支持ブラケット30を介して第2電動モータ32が取付けられる。具体的には、第2電動モータ32は円筒状のモータハウジング34を有し、このモータハウジング34が支持ブラケット30に装着される。第2電動モータ32は、ノズルヘッド20を回転軸線24まわりに回転させるためのノズル回転手段36を構成する。ノズルヘッド20は、第2電動モータ32の出力軸38に連結され、出力軸38が回転駆動されることによって、回転軸線24まわりに回転する。
第2電動モータ32は、軸線方向に貫通する貫通孔40が形成される中空モータであって、貫通孔40は、第2電動モータ32の出力軸38を貫通する。第2電動モータ32の出力軸38は、第2電動モータ32の一端部から他端部まで延びる。そして、出力軸38の両端部に配管42,46がそれぞれ接続され、第2電動モータ32内を高圧水が通過可能に形成される。
出力軸38の両端部に形成される2つの開口形成部38a,38bのうち、形成すべき穴から遠ざかる方向の開口形成部38aには、スイベル継手などの継手を介して、金属製の第1配管42の一端部42aが接続される。この第1配管42の他端部42bは、高圧発生装置44に接続され、高圧発生装置44は、たとえば1000〜4000kgf/cm 程度に圧縮した高圧水を第1配管42に送給する。
図2に示すように、出力軸38の両端部に形成される2つの開口形成部38a,38bのうち、形成すべき穴に近接する方向の開口形成部38bには、第2配管となる支持アーム46が接続される。支持アーム46は中空のパイプ状部材から構成される。その基端部は内径が幾分大きくなっており、この基端部が上記出力軸38の近方側開口形成部38bに嵌合する。支持アーム46の先端部には、チューブ部材48の基端部48aが接続されており、このチューブ部材48の先端部48bに、ノズルヘッド20が接続される。
チューブ部材48は、筒状に形成され、高圧水をノズルヘッド20に供給可能に形成される。チューブ部材48は、金属製であることが好ましい。また、ウォータジェットの噴射方向を変更可能とするために、チューブ部材48は、変形自在に形成されてもよい。
高圧発生装置44から供給される高圧水は、第1配管42を通して第2電動モータ32の回転軸38に送給され、回転軸38から支持アーム46、支持アーム46からチューブ部材48、チューブ部材48からノズルヘッド20に供給され、そしてノズルヘッド20の噴射口から絞られてウォータジェットとして穴をあける壁28に向けて噴射する。
ノズルヘッド20は、ノズル保持手段64に保持され、ノズル保持手段64は、支持アーム46とノズルヘッド20とを連結する。ノズル保持手段64に保持されるノズルヘッド20は、その軸線であるノズル軸線52が第2電動モータ32の回転軸線24から傾斜する。ノズルヘッド20は、第1電動モータ18によって回転軸線24に沿う方向に移動可能であるとともに、第2電動モータ32によって回転軸線24まわりに回転可能である。
ノズル保持手段64は、第1部材66と第2部材68とを含んで構成される。第1部材66の一端部は支持アーム46に固定され、第2部材68の一端部はノズルヘッド20に固定され、第1および第2部材66,68の他端部が、ボルトおよびナットの組合せによって連結される。したがって、ナットを緩めることによって、第1部材66に対する第2部材68の角度、換言すると回転軸線24に対するノズルヘッド20のノズル軸線52の傾斜角度αを調整することができる。
ノズル保持手段64によって、ノズルヘッド20は、先端部が回転軸線24から半径方向にずれ、先端部よりも噴射方向下流側でノズル軸線52が前記回転軸線24に前記傾斜角度αで交差するように配置される。ノズル保持手段64は、支持アーム46とともに前記回転軸線24まわりに回転することによって、ノズル軸線52が前記回転軸線24と交差した状態で、その交差点を頂点とし前記回転軸線24を中心として噴射方向後方に拡がる仮想円錐周面に沿って周回移動するようにノズルヘッド20を保持する。
また、一対の端壁6,8のうち、穴あけ時にコンクリート壁側となる第1端壁6には、貫通孔69が形成される。この貫通孔69は、回転軸線24と同軸に形成される。また貫通孔69は、ノズルヘッド20およびノズル保持手段64が、回転軸線24まわりに回転する回転領域よりも大きく形成され、ノズルヘッド20およびノズル保持手段64が回転した状態で、通過可能な大きさに形成される。
図3は、ノズルヘッド20の内部構造を拡大して示す断面図である。ノズルヘッド20は中空筒状部材から構成されるノズルヘッド本体51を有し、ノズルヘッド本体51の内部空間には送給流路50が形成される。この送給流路50は、ノズルヘッド本体51の基端部から先端部まで直線状に延びる。上述したようにノズル保持手段64によって、ノズル軸線52は、第2電動モータ32の回転軸線24から傾斜するので、ノズル軸線52に沿って延びる送給流路50もまた前記回転軸線24から傾斜し、ウォータジェットもノズル軸線52に沿って噴出する。すなわち第1の実施形態では、ノズル軸線52は、ウォータジェットが噴射する方向に延びる噴射軸線となる。
ノズルヘッド本体51の先端部には、噴射口形成部材56が設けられる。噴射口形成部材56は、筒部56aとこの筒部56aの一端に設けられた端壁部56bを有している。筒部56aの内周面には雌ねじ部が設けられており、この雌ねじ部がノズルヘッド本体51の先端部の外周面に設けられた雄ねじ部に螺着される。噴射口形成部材56の端壁部56bの中央部には、円形状の噴射口58が形成される。
また、ノズルヘッド本体51と噴射口形成部56との間には、ノズルチップ15が挟み込まれる。ノズルチップ15は、ノズルヘッド本体51と、噴射口形成部材56とによって協働して挟持され、挿通孔であるオリフィス17が形成される。このオリフィス17の直径は、噴射口形成部56に形成される噴射口の直径よりも小さく形成される。ノズルヘッド本体51の内部空間と、噴射口形成部材56の噴射口58と、ノズルチップ15のオリフィス17とは、同軸となるように配置され、ノズルヘッド本体51の内部空間は、オリフィス17および噴射口58を介して外部空間と連通する。オリフィス17および噴射口58の軸線方向長さは、ノズルヘッド本体51の軸線方向の長さに比べて、十分短く形成される。また、ノズルヘッド本体51の軸線方向の長さは、たとえば100〜200mm程度に設定するのが望ましく、かく設定することによって、ノズルヘッド20から噴射されるウォータジェットの拡散を防止することができ、破砕能力の低下を防止することができる。
また、ノズルヘッド本体51の基端部には半径方向外方に突出する外フランジ部60が設けられ、チューブ部材48の先端部48bの外周面には雄ねじ部が設けられる。ノズルヘッド本体51とチューブ部材48とは、取付部材62によって連結される。取付部材62は、中空筒部62aを有し、この中空筒部62aの一端に半径方向内方に突出する内フランジ62bが設けられ、また中空筒部62aの内周面には雌ねじ部が設けられる。
取付部材62の内フランジ62bをノズルヘッド本体51の外フランジ60に係合させた状態で、取付部材62の雌ねじ部をチューブ部材48の雄ねじ部に螺着することによって、ノズルヘッド20は、チューブ部材48の先端部48bに着脱自在に装着される。同様にノズルチップは、ノズルヘッド20から着脱自在に装着される。
図2に示すように、上記ノズルヘッド20およびこれに関連する構成要素は、建造物のコンクリート壁28に形成される穴22に対して予め定める位置関係に保持することが重要である。すなわち、出力軸38の回転軸線24と形成すべき穴22の中心軸線とを実質上一致させるとともに、ノズル軸線52を前記回転軸線24に交差させ、さらにノズル軸線52を回転軸線24に対して所定の傾斜角度α傾斜させるようにすることが重要である。以下、回転軸線と穴の中心軸線とが一致するので、それらを同一の参照符号24で表わす。
このように構成することによって、ノズルヘッド20は、上記回転軸線24を中心として所定方向に回転可能となる。また、ウォータジェットは、回転軸線24に沿う方向に進むにつれて、ノズルヘッド20から半径方向に穴22の中心軸線に向かい、そして穴22の中心軸線を通過すると、穴22の中心軸線から半径方向に遠ざかって進む。ウォータジェットを噴出させた状態で、ノズルヘッド20を回転軸線24まわりに回転すると、ウォータジェットが、穴22の中心軸線を中心とする円錐周面に沿って周回移動するように噴射する。
前記円錐周面の頂点は、噴射口58よりも前方に位置するので、ウォータジェットは、コンクリート壁28のうち、形成すべき穴の中心軸線上の部分から穴22が形成されるべき周壁部分まで行き届き、ノズルヘッド20の前方で形成すべき穴22の全域を破砕して、コンクリート壁28に回転軸線24を中心とする円形断面の穴22を形成することができる。
またノズルヘッド20の前方で、コンクリート壁28にノズルヘッド20の回転動作領域よりも大きい穴を形成することで、ノズルヘッド20を既に形成された穴に挿入させて、ノズル移動手段23によって中心軸線方向に直進させることで、コンクリート壁28に深い穴を形成することができる。ノズル軸線52と前記回転軸線24との傾斜角度αは、たとえば100〜300mmの直径の穴を形成する場合には10〜20度程度であるのが望ましい。
次に、上述した穴形成装置の作用について説明する。建造物のコンクリート壁28に貫通孔などの穴22を形成する場合には、装置本体2の片方の端壁6に形成された貫通孔69とコンクリート壁28に形成すべき穴22と同軸となるように位置合わせし、かかる状態で、片方の端壁6をコンクリート壁28の表面に接触させる。このような位置合わせした状態での装置本体2の保持は、たとえば、移動自在なアームに設けられた基台に装置本体2を取付け、上記アームを所要のとおりに移動させることによって達成することができる。
そして、このように位置合わせした状態で、高圧発生装置44によって高圧水を供給するとともに、第2電動モータ32によって出力軸38を所定方向に回転駆動する。高圧発生装置44は、高圧水を、第1配管42、出力軸38の貫通孔40、支持アーム46の内部空間およびチューブ部材48を介してノズルヘッド20に送給し、かく送給された高圧水は、ノズルヘッド20の噴射口58からウォータジェットとしてコンクリート壁28の表面に向けて噴射される。
また、第2電動モータ32によって、その出力軸38が回転駆動されると、これと一体的に支持アーム46、チューブ部材48、ノズル保持手段64およびノズルヘッド20も回転軸線24を中心として回転駆動される。これによってコンクリート壁28に断面形状が円形の穴22を形成することができる。さらにこの状態で、第1電動モータ18によって、予め定める速度で移動ブロック18を回転軸線24に沿う方向に移動させることで、コンクリート壁28に形成した穴22にノズルヘッド20を進入させることができ、深い穴をあけることができる。
図4は、図2のA−A矢視図であり、図5は、穴形成時における壁28の断面図である。ノズルヘッド20から噴射されるウォータジェットは、上述したように、ノズルヘッド20から回転軸線24を通過してその後、壁28の周壁部分に向けて噴射される。ノズルヘッド20の先端が前記回転軸線24まわりを一周する内周部軌跡53bに沿って回転すると、上述したウォータジェットの噴射状態が、上記回転軸線24を中心として360度の全周にわたって行われる。したがって、ノズルヘッド20から噴射されるウォータジェットはコンクリート壁28の中心部を残すことなく粉砕除去し、円形状の穴22を形成する。このようにウォータジェットによって穴22を形成することによって、鉄筋を含むコンクリート壁28であっても、形成される穴22の周囲の鉄筋を損傷することなく、コンクリート壁28に貫通孔を形成することができる。
比較例として、ウォータジェットを単に形成すべき穴の深さ方向に噴射する場合には、コンクリート壁28に形成される穴22はウォータジェットの噴射断面形状に対応した小さい穴となってしまう。これに対して、本発明の実施形態のようにノズルヘッド20を回転軸線24から半径方向にずらすとともに、ノズル軸線52を上記回転軸線24に対して傾斜させることによって、形成される穴22は、ウォータジェットの噴射断面形状に実質上影響を受けない比較的大きな円形状となり、100〜300mm程度の穴22を容易に形成することができる。これによってノズルヘッド20を既に形成された穴22に没入させて深い穴を形成することができる。
穴形成開始時は、容易に理解されるように、ノズルヘッド20からのウォータジェットは、片方の端壁6の貫通孔69を通してコンクリート壁28に噴射され、その後、ノズルヘッド20、ノズル保持手段64および支持アーム46はこの貫通孔69を通してコンクリート壁28に没入させる。
このように高圧発生装置44および第2電動モータ32を動作させながら第1電動モータ18を間欠的に動作すると、回転軸14が所定方向に回転され、これによって移動ブロック16および支持ブラケット30を介して第2電動モータ32およびこれに装着された部材(支持アーム46、チューブ48、ノズル保持手段64およびノズルヘッド20)が矢印25で示す方向、すなわち穴22を深く形成する方向に移動され、ノズルヘッド20から噴射されるウォータジェットの噴射領域がコンクリート壁28の表面側から奥側に移動する。そして、このように第1電動モータ18を間欠的に回転することによって、コンクリート壁28に形成される穴22の深さが深くなり、最終的にコンクリート壁28を貫通する貫通孔が形成される。
なお、容易に理解されるように、第1電動モータ18によるノズルヘッド20の送り速度(間欠送りの場合には、間欠送りをする時間間隔)、ノズルヘッド20から噴射されるウォータジェットの圧力、第2電動モータ32によるノズルヘッド20の回転速度およびノズル軸線52と前記回転軸線24との傾斜角度αの少なくともいずれかを調整することによって、形成される穴22の大きさ(内径)を調整することができる。したがって装置本体2は、上述した送り速度、圧力、回転速度、傾斜角度の少なくともいずれかが調整可能であることが好ましい。
コンクリートをはつる粉砕能力は、ウォータジェットが噴射口からコンクリートに達するまでの距離であるスタンドオフ距離Sと、オリフィス17の内径であるオリフィス径φdと、水圧とによって決定される。有効な粉砕能力となるスタンドオフ距離Sは、実験または予め定められる実験式によって求めることができる。
たとえば噴射水圧が250MPaである場合、有効な粉砕能力となるのは、スタンドオフ距離Sが、オリフィス径φdの500倍以下であり、さらに効果的な粉砕能力となるのは、オリフィス径φdの300倍以下である。この場合で、オリフィス径φdが1mmである場合には、有効なスタンドオフ距離Sは、500mm以下でありさらに好ましくは、300mm以下となる。
前記傾斜角度をαとし、前記スタンドオフ距離をSとすると、形成される穴22の内径φDは、2・S・Sinαで表わされる。高い粉砕能力で破砕するためにスタンドオフ距離Sが300mmであり、傾斜角度αが15度に設定されていると、形成される穴の穴径φDは、厳密には155mmとなるが、回転時にノズルヘッドが若干揺れ動くので、実際には約200mmの穴径の穴を形成することができる。
またノズルヘッド20に送給される水の圧力が決定される場合において、有効または効果的な粉砕能力を得ることができるスタンドオフ距離が、y・φdで表わされる場合、形成される穴22の内径φDは、2・y・φd・Sinαで表わされる。上式においてφdはオリフィス径とし、yは水圧とスタンドオフ距離とによって決定される定数とする。
したがってオリフィス径φdおよび傾斜角度αのいずれか一方を大きくすることによって、穴径の大きい穴22を形成することができる。ただし、傾斜角度αが30度を超えて大きくなると、ウォータジェットの噴流回転半径が大きくなり、回転軸線24付近でのはつり効果が低下して、回転軸線24付近にはつり残しが生じてしまう。また傾斜角度αが10度未満となると、穴22の周壁部分を半径方向に十分にはつることができない。したがって傾斜角度αが10度以上30度以下であることによって、はつり効果を低下させることなく穴を効率よく形成することができる。
図6は、直径の大きい穴22bを形成する場合を説明するための図である。直径の大きい穴22bを形成する場合には、上述したようにしてコンクリート壁28に穴22aを形成した後、ノズル保持手段64によるノズルヘッド20の保持位置を調整して、ノズルヘッド20を回転軸線24から半径方向に遠ざけ、ウォータジェットが回転軸線24を通過せずに、壁28の周壁部分に直接噴射するようにする。ノズルヘッド20から噴射されるウォータジェットは、ノズルヘッド20から回転軸線24を通過せずに壁28の周壁部分に向けて噴射される。ノズルチップ56が前記回転軸線24まわりを一周する外周部軌跡53aに沿って回転すると、上述したウォータジェットの噴射状態が、上記回転軸線24を中心として360度の全周にわたって行われる。既に図4に示すように、コンクリート壁28に穴22が形成されているので、ノズルヘッド20は、その回転が疎外されることなく、外周部軌跡53aにそって回転することができる。これによって図4に示す壁の穴よりも大きな穴を形成することができる。なお、外周部軌跡53aは、前記内周部軌跡53bよりも回転軸線24からの半径が大きいほうが好ましい。
以上のように第1の実施の形態では、ノズルヘッド20の先端部を穴の中心軸線24からずらし、穴中心近傍でノズル軸線52が中心軸線24から所定の傾斜角度α傾斜させるとともに、ノズル軸線52が中心軸線24に交差するように、ノズルヘッド20を保持する。この状態でノズルヘッド20を中心軸線24まわりに回動させながら、中心軸線24に沿う方向に移動させる。
これによって、ウォータジェットおよびオリフィス径にかかわらずに、大きい穴を形成することができる。また、ノズルヘッド20の回転動作領域よりも大きい穴を形成することで、形成した穴にノズルヘッド20を進入させて中心軸線方向に移動させることによって、深い穴、たとえば貫通孔をコンクリート壁28に形成することができる。
また、ノズル保持手段64によって、傾斜角度αを変更することによって形成される穴の大きさを変更することができる。またノズルヘッド20を穴の中心軸線に沿う方向に直進させる直進速度を変更することによって、穴の大きさを変更することができる。これによって容易に形成すべき穴の大きさを変更することができ、所定の大きさの穴を効率よく形成することができる。またノズルチップ15が着脱可能に設けられるので、ノズルチップ15を交換することで、消耗したチップの交換やオリフィス径の変更を容易に行うことができる。
また、上述したようにノズルヘッド本体51の軸線方向の長さが、その内部を流れる高圧水を整流可能な長さに設定されることによって、ノズルヘッド20に供給された高圧水が乱れていたとしても、直線区間内で整流され、乱れが少ない状態で噴射ノズルから流体ジェットとして噴射される。これによってノズルヘッド20を傾斜させたとても、粉砕能力の低下を防ぐことができ、ウォータジェットの外径よりも大きな穴を容易に形成することができる。さらに傾斜角度αが30度以下にすることによって、大きな穴を効率よく形成することができる。
さらに図4に示すように、比較的小さい穴22aを形成したあとで、ノズルヘッド20の回転軌跡53aを変更したり、傾斜角度αを変えたりして、再度ウォータジェットによる穴あけ加工を行うことによって内径が大きい穴22bを形成することができる。
図7は、本発明の第2の実施形態である穴形成装置に用いられるノズルヘッド70の概略的な構成を示す断面図であり、図8は円形断面の穴22aを形成するときのノズルヘッド70の移動軌跡84aの一例を示す図である。第2の実施形態の穴形成装置は、第1の実施形態の穴形成装置に比べてノズルヘッド70とその動きが異なる。
ノズルヘッド70は、ノズルヘッド70の軸線に沿って延びるノズル軸線72が設定される。ノズル軸線72は、コンクリート壁28にあけられる穴22の深さ方向に延びるように、6軸多関節ロボット102(図13参照)などによって支持される。ノズルヘッド70は、その軸線方向に高圧水を導く直線部78と、直線部78に連なり前記ノズル軸線72に傾斜する傾斜部80とを有する。直線部78は、穴22の中心軸線24と平行に延びる。傾斜部80は、穴22の中心軸線24に沿って延びる平面に対して傾斜し、直線部78の先端部78aに連結される。
傾斜部80の先端部には噴射口が形成され、直線部78に対して傾斜した噴射軸線84に沿ってウォータジェットを噴射する。噴射軸線84とノズル軸線72とは、所定の角度である噴射角度θを成す。
穴22を形成するにあたって、図7の実線で示すノズルヘッド70の状態、仮想線で示すノズルヘッド70の状態のように、ノズル軸線72を、穴22の中心軸線24に平行に保って移動させかつ穴の中心軸線24まわりに公転するようにし、さらに噴射軸線84がノズル軸線72から穴22の周壁部に向かって延びるようにノズルヘッド70を回転させる。またノズルヘッド70が穴22の中心軸線24をまわるとともに、直線部78の軸線72と穴の中心軸線24との間の半径方向の距離を大きくさせることによって、ノズルヘッド70の外径よりも大きく、ノズルヘッド70が挿入可能な穴22を、コンクリート壁28に形成することができる。
断面が円形の穴22をあけるときには、図8に示すように穴の中心軸線24まわりに、ノズルヘッド70の中心軸線72を回転させながら、穴の軸線24の半径方向外方に移動するように大略的に螺旋状に移動させ、またノズル軸線72が穴の中心軸線24まわりに回転するように、ノズル軸線72まわりにノズルヘッド20を角変位させることによって、壁28を一周する周壁部にまんべんなくウォータジェットを噴射することができる。このように、ノズルヘッド70を移動させることで、スタンドオフ距離を一定に保った状態で壁28を部分的に粉砕することができ、ウォータジェットの粉砕能力を維持してノズルヘッド70よりも大きい円形の穴を好適に形成することができる。たとえば、上述した第1形態のノズルヘッド70と同様の噴射条件の場合、具体的には、オリフィス径φdが1.0mm、噴射角度θが15度、噴射水圧力が250MPaである場合、ノズルヘッド70を螺旋状に動かし、噴射口をノズルヘッド70の軸線72に対して角変位させることによって、直径が300mm〜1mの穴22をコンクリート壁28に形成することができる。なお、ノズルヘッド70に高圧を供給する高圧発生装置44、高圧発生装置44からノズルヘッド70まで高圧水を導く配管90は、上述した第1の実施形態と同様の構成によって実現することができる。上記配管90は、ノズル軸線72と同軸に延びることが好ましい。また、ノズルヘッド70を穴の中心軸線24まわりに回転する回転手段および、ノズルヘッド70をノズル軸線72まわりに角変位する角変位手段、ノズルヘッド70を穴の中心軸線24に沿う方向に直進させるノズル移動手段23は、ノズルヘッド70を支持し、ノズルヘッドを任意の方向に移動および回転可能な任意方向移動手段、たとえば多関節ロボットによって実現したが、他の駆動手段を用いて実現してもよい。
図9は、穴形成開始時の状態を説明するための断面図である。穴形成開始時には、上述した第1の穴形成装置と同様な動作を行う。具体的には、噴射軸線84を穴の中心軸線24に交差させ、さらに噴射軸線84を穴の中心軸線24に対して所定の傾斜角度α傾斜させるようにする。そしてノズル軸線72が穴の中心軸線24から半径方向に離反するように配置し、ノズル軸線72を穴の中心軸線24まわりに回転させる。言い換えると、ノズルヘッド70を穴の中心軸線24まわりに公転させるとともに、噴射軸線84が穴の中心軸線24に交差するようにノズルヘッド70をノズル軸線72まわりに角変位(自転)させる。このようにすることによって、第1の実施の形態の穴形成装置と同様の穴を形成することができ、その穴の径がノズルヘッド70の回転動作領域よりも大きくすることによって、ノズルヘッド70をコンクリート壁28に没入させることができ、コンクリート壁28に深い穴22を形成することができる。この状態で、さらに図7に示すように、ノズルヘッド70を動作させることによって、深くさらに内径の大きい穴を形成することができる。すなわち、図9に示すノズルヘッド70の動作は、第1の実施形態における図4に対応し、図7に示すノズルヘッド70の動作は、第1の実施形態における図6に対応する。
図10は、矩形断面の穴22bを形成するときのノズルヘッド70の移動軌跡84bの一例を示す図である。断面形状が矩形であっても、基本的には一様な密度となるようにウォータジェットで噴射する。この際に、ノズル軸線72まわりに噴射口も角変位させ、噴射軸線84の方向を変えながら、形成すべき穴の形状に合わせた穴あけを行うことで、一様なウォータジェットの噴射を行って、任意の断面形状の穴を形成することができる。
図11は、図7に示すノズルヘッド70の内部構造を拡大して示す断面図である。傾斜部80の先端部には、ノズルチップ90が設けられる。ノズルチップ90は硬質の材料から成り、貫通孔であるオリフィス82が形成される。ノズルチップ90の周囲は、カバー部材92によって補強される。カバー部材92には、ノズルチップ90から噴射されるウォータジェットの径よりも充分に大きな噴射口94が形成される。ノズルヘッド70には、軸線方向一端部から他端部に高圧水を送給する流路が内部に形成される。この流路は、直線部78ではノズル軸線72に平行に延び、傾斜部80ではノズル軸線72に対して傾斜して、噴射軸線84に沿って直線状に延びる。傾斜部80内の流路を平行流路96と称すると、平行流路96の長さL1は、その内径d1に比較して充分に大きく形成される。これによって、直線部78から傾斜部80の平行流路96に高圧水が導かれる際の方向変化によって、高圧水の流れに乱れが生じても、平行流路96で整流され、ノズルチップ90からウォータジェットを乱れなく噴出させることができ、ノズルチップ90から噴射するウォータジェットの広がりを抑えることができる。
図12は、図11に示す平行流路96の長さL1と、噴射口94から噴射されるウォータジェットによる単位時間当たりのコンクリート粉砕量を示す能力比との関係を示すグラフである。本実施の形態では、上述したように噴射水圧が250MPa、オリフィス82の直径であるオリフィス径φdが1.0mmであり、平行流路96の内径が10mmである。能力比は、平行流路96の長さL1が200mmのときを1.0とし、相対的な値で示す。
図12を参照すると、L1≧20・d1で能力比が1であり、L1=10・d1で能力比が0.7であり、L1<5・d1で能力比が0.1以下となるので、L1<5・d1、すなわち平行流路96の長さL1が50mm未満となると、能力比が著しく低下すると推定され、平行流路96での整流作用が不充分であることが分かる。このとき、平行流路96の長さL1は平行流路96の内径d1の5倍である。すなわちL1≧5・d1で穴あけを有効に行うことができると考えられる。またさらに効率的に穴あけを行うためには、能力比が0.7以上となるL1≧10・d1、すなわちL1≧100mmのときであると判定される。
噴射軸線84の噴射角度θは、10度以上15度以下が好ましい。噴射角度θが30度を超えて大きくなると、図8、図10に示すような軌跡84a,84bを描くようにノズルヘッド70の穴の中心軸線24に対する回転と、ノズル軸線72に対する角変位と、ノズルヘッド70の穴の軸線24に平行な方向の移動とを行うことが困難になる。また噴射されるウォータジェットの反力の軸線72に垂直な成分も大きくなり、反力によってノズルヘッド70の位置が変化し、穴をあける穴の精度が低下してしまう。また噴射角度θが10度未満となると、穴22の周壁部を半径方向に十分にはつることができない。したがって噴射角度θが10度以上15度以下であることによって、はつり効果を低下させることなく穴を効率よく形成することができる。
図13は、図7に示すノズルヘッド70を備えたウォータジェットシステムを示すブロック図である。ノズルヘッド70は、多関節ロボット102のエンドエフェクタとして、アームの先端に装着される。ノズルヘッド70には、高圧水ホース103を介して高圧発生装置44から高圧、たとえば約250MPaの高圧水が供給される。ノズルヘッド70の噴射口付近は、飛散防止カバー体105で覆い、加工物の破片の飛散を防止し、加工時の防音の役割も果す。また飛散防止カバー体105内では、噴射された高圧水が排水として集められ、排水ホース106を介して排水処理装置107に導かれる。加工対象がコンクリート108であるときには、はつり後の廃液にはアルカリ性のコンクリートが含まれるので、中和などの処理を行って水を浄化する。なお、多関節ロボット102に代えて専用装置によってノズルヘッド70を移動させてもよい。また図1に示すノズルヘッド20についても、ロボット102によって移動させてもよい。また図1に示すノズルヘッド20を用いたウォータジェットシステムについても、飛散防止カバー体105、高圧水ホース103、高圧発生装置44、排水ホース106および排水処理装置107を用いることができる。
図14は、図13の高圧発生装置44の概略的な内部構成を示す回路図である。高圧水の発生は、増圧器230によって行われる。この増圧器230は複動式であり、シリンダ内でプランジャが往復移動し、プランジャの両端側で水を加圧して高圧水を発生する。増圧器230のシリンダの両側から交互に高圧水を取出し、その一方で水の供給を行うため、チェック弁231,232,233,234が設けられる。増圧器230内のプランジャの移動方向は、方向制御弁235によって、たとえば数秒ごとに切換えられる。このような方向制御弁235によって油圧発生部236から発生される圧油が、増圧器230の中央付近のプランジャの径が大きいシリンダ内に導入され、プランジャの径が小さくなる両端側に高圧を発生させる。
増圧器230によって発生し、チェック弁231〜234から取出される高圧水は、アキュムレータ237で一旦貯留され、オンオフバルブ238を介してノズルヘッド20,70に供給される。オンオフバルブ238を制御することによって、ノズルヘッド20,70から噴射するウォータジェットの噴射と、噴射停止とを切換えることができる。
以上のように第2の実施の形態では、ノズルヘッド70の噴射軸線84を穴の中心軸線24に対して傾斜させた状態で、ノズルヘッド70を穴の中心軸線24に垂直な方向および中心軸線24に沿う方向に移動させて物体に穴を形成する。このようにしても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができ、深い穴を形成することができる。ノズルヘッド70をロボットなどの任意の移動が可能な移動手段にノズルヘッド70を保持させることによって、ノズルヘッド70の移動軌跡を変更することで、断面形状の異なる穴を容易に形成することができる。また本実施の形態では、ノズルヘッド70を屈曲させて、噴射軸線84をノズル軸線72に対して傾斜させたが、直線状のノズルヘッドであっても、ロボットアームによって穴の中心軸線24に対して噴射軸線84が傾斜するように保持させることによって、同様の効果を得ることができる。
図15は、本発明の第3の実施形態である穴形成装置に用いられるノズルヘッド301を示す側面断面図であり、図16は、ノズルヘッド301を示す正面図である。ノズルヘッド301の先端部には、複数のノズル部材302,303が装着され、それぞれのノズル部材302,303からウォータジェットの噴射を行う。ノズルヘッド301は、高圧の水を分岐させて各ノズル部材302,303に導く高圧水分岐部6と、高圧水供給管であるランス312に接続するためのランス接続部307とが形成される。このようにノズルヘッド301は、ランス接続部307に供給される高圧の水を高圧水分岐部6によって2またに分岐して各ノズル部材302に導く送給流路が形成される。
ノズルヘッド301は、大略的に筒状に形成され、その軸線である回転軸線301aまわりに回転可能である。各ノズル部材302,303から噴射されるウォータジェットの噴射方向に沿って延びる噴射軸線304a,305aは、回転軸線301aに対して異なる角度θ304,θ305で傾斜する。また図16に示すように正面から見た場合に、回転軸線301aを通過する一直線上に各ノズル部材302,303のオリフィス304,305がそれぞれ並び、一方のオリフィス304と回転軸線301aまでの直線距離D4に比べて、他方のオリフィス305と回転軸線301bまでの直線距離D5が長く形成される。
一方のオリフィス304から噴射して壁28に到達したウォータジェットと回転軸線301aとの半径方向距離D14は、他方のオリフィス304から噴射して壁28に到達したウォータジェットと回転軸線301aとの半径方向距離D15よりも短い。このような状態でノズルヘッド301が回転軸線301aまわりに回転することによって、各ウォータジェットは、回転軸線301aを中心とする同心円状の軌跡を描く。この場合、一方のオリフィス304から噴射されたウォータジェットの軌跡304bのほうが、他方のオリフィス305から噴射されたウォータジェットの軌跡305bよりも小さい円軌跡を描く。各噴射軸線304a,305aと回転軸線301aとのなす角度θ304,θ305は、次の第1式のような関係がある。
0 < θ304 < θ305 ≦ 30° …(1)
本実施の形態では、一方のオリフィス304から噴出するウォータジェットの噴射軸線304aの回転軸線301aに対する噴射角度θ304は7度であり、他方のオリフィス305から噴出するウォータジェットの噴射軸線305aの回転軸線301aに対する噴射角度θ305は15度である。各噴射角度θ304,θ305が30°よりも大きくなると、ウォータジェットの噴射方向が穴の軸線方向からずれ、効率が低下する。また、オリフィス304,305の個数は、4個を超えると、ノズルヘッド301の外径が大きくなってしまうとともに、ノズル1個あたりの水量が減少し、はつり効率が下がってしまう。したがってオリフィス304,305の個数は、4個以下であることが好ましい。
ノズルヘッド301の軸線方向寸法である全長L2は、たとえば90mm程度である。ノズルヘッド301は、ステンレス鋼材のブロックなどを、旋盤やマシニングセンタ等で加工して製造する。ノズルヘッド301の回転軸線301a方向後端部となるランス接続部7の外径D12は、たとえば28mmである。ノズルヘッド301の回転軸線301a方向先端側の最大径D22は、たとえば32mmである。
図17は、ノズルヘッド301の先端部を拡大して示す断面図である。ノズルヘッド301を長いランス312の先端に装着したときに、ノズルヘッド先端部のたわみが±10mm以下となることが、加工精度を確保する面で好ましい。このため、各オリフィス304,305から各ウォータジェットを噴射したときに、ノズルヘッド301に生じる噴射反力R1,R2のうち、回転軸線301aに垂直な方向の成分R3,R4をできるだけ均衡させることが望ましい。
各オリフィス304,305から噴射されるウォータジェットの噴射反力R1,R2は、ウォータジェットの噴射水量Q4,Q5と噴射速度V4,V5との積で表される。水量Q4,Q5は、各オリフィス304,305のオリフィス径φd4,φd5に依存するので、噴射角度θ304,θ305の正弦値が大きくなるとオリフィス径φdを狭め、噴射反力の回転軸線301aに垂直な方向の成分の均衡を図る必要がある。
一方のオリフィス304のノズル径をφd4、その噴射角度をθ304、その垂直成分反力をR4とし、他方のオリフィス305のノズル径をφd5、その噴射角度をθ305、その垂直成分反力をR5とすると、次の第2式のような関係にすることによって、2つのウォータジェットの垂直噴射反力R4,R5の和をゼロまたはほぼゼロにすることができる。
R4≒R5
Q4・V4・Sin(θ304)≒Q2・V5・Sin(θ305)
(φd4・V4)・Sin(θ304)
≒(φd5・V5)・Sin(θ305) …(2)
ここで、V4=V5と仮定すると、
(φd4)・Sin(θ304)≒(φd5)・Sin(θ305)
…(3)
たとえばR4/R5は、1に近づくことが好ましく、本実施の形態では、0.988に選択される。
(3)式では、噴射速度V4,V5をオリフィス径の関数として仮定したが、他の近次式または実験などによって、(2)式を満たすように、噴射角度θ304,θ305およびオリフィス径φd4,φd5を設定してもよい。
本実施の形態では、一方のオリフィス304のオリフィス径φd4が0.7mmであり、他方のオリフィス305のオリフィス径φdが0.5mmである。上述したように一方のオリフィス304に対応する噴射角度は7.5度であり、他方のオリフィス305に対応する噴射角度は15度である。この場合、(3)式によって求められるR4/R5は、0.988となり、2つのウォータジェットによる垂直方向の噴射反力の和がほとんどなく、ノズルヘッド301をぶれなく回転させることができる。
また第1の実施の形態と同様に、噴射水圧力が250MPaの場合、有効な粉砕能力となるのは、スタンドオフ距離Sが、オリフィス径φdの500倍以下であり、さらに効果的な粉砕能力となるのは、オリフィス径φdの300倍以下である。スタンドオフ距離Sをオリフィス径φdの300倍とした場合には、形成される穴の穴径φDは、2・300・φd・Sinθであるから、厳密には77mmであり、回転時にノズルヘッドが若干揺れ動くので、約100mmの穴あけが可能となる。
さらに、上記条件に加えて、発明者らの実験によって、高い粉砕能力が得られるウォータジェットの周速度Vrが明らかである場合、その周速度Vrと、穴の内径φDとに基づいて、ノズルヘッドの回転数を求めることができる。具体的には、ノズルヘッドの回転数nは、Vr/(π・φD)で表わされる。
たとえば、上記条件において高い粉砕能力が得られるウォータジェットの周速度Vrが15m/minである場合、ノズルヘッドの回転数nは、15×10/(π・77)で求まり、一分あたりに約62回、すなわち62rpm(1.03rps)で回転することで効率的に穴あけを行うことができる。
図18は、ノズルヘッド301が用いられる穴形成装置350を示すブロック図である。穴形成装置350は、ノズルヘッド301と、ランス312と、ノズル移動手段352と、ノズル回転手段353と、高圧発生装置310とを有する。
上述したようにノズルヘッド301は、ランス312に接続される。ランス312は、回転軸線301aと同軸に延びる。ランス312は、ノズルヘッド301とともに回転軸線301aまわりに回転可能に設けられ、高圧発生装置310から送給される高圧水をノズルヘッド301に送給する。高圧発生装置310の詳細については、上述する高圧発生装置44と同様の構成を有する。ノズル回転手段353は、ランス312およびノズルヘッド301を回転軸線301aまわりに回転駆動し、たとえば中空モータによって実現される。またノズル移動手段352は、ノズル回転手段353を支持し、ノズル回転手段353とともに、ノズルヘッド301およびランス312を回転軸線301aに沿う方向に直進駆動する。ノズル移動手段352は、ラックアンドピニオン機構を有する直動式モータによって実現される。また穴形成装置350は、その他に高圧発生装置10に水を供給する給水装置311とを有する。ノズル移動手段352を支持する取付装置351と、破砕片が穴から飛散することを防ぐカバー体355とを含む。
高圧発生装置310から、たとえば250MPa程度の高圧水がランス接続部7を介してノズルヘッド301に供給される。高圧発生装置310には、給水装置311から水を供給し、高圧発生装置310内でノズルヘッド301に供給される高水圧を発生する。ノズルヘッド301は、ランス312に機械的に保持されるとともにランス312から高圧発生装置310で発生された高圧水を取得する。ノズル回転手段353によってランス12を回転しながら、ノズルヘッド301の先端の複数のオリフィス304,305からウォータジェット304c,305cを噴射すると、コンクリートの表面からノズルヘッド301が挿入可能な穴22を、容易に穴をあけることができる。
図19は、ノズル部材302,303を拡大して示す断面図である。本実施の形態のノズル部材302,303は、オリフィス304,305が形成されるノズルチップ320が着脱可能に形成される。ノズルチップ320は、硬質の材料で強固に形成され、外周にフランジ部321を有し、内部にテーパ部322を有する。ノズルチップ320をノズルヘッド301の先端に設けられるノズルチップ収納用の穴に挿入すると、フランジ部321の外周が、収納用の穴の内周部で、径が小さくなる部分に当接し、保持される。ノズル部材320のフランジ部321よりも噴射方向の前方側には、押えねじ323を挿入する。押えねじ323の外周側と、ノズルヘッド301のノズルチップ320の挿入部の内周側とには、螺合するねじが形成されており、押えねじ323をノズル部材320の噴射方向前方から挿入し、フランジ部321を押えねじ323で押えて固定することができる。ノズルチップ320の外周側で、フランジ部321よりも噴射方向の後方側には、Oリング324を装着して、高圧水の漏れを防ぐためのシールが行われる。
図20は、穴あけの対象となる壁式橋脚340を正面側から見た図であり、図21は、壁式橋脚340を側面側から見た図である。壁式橋脚340を補強するために、鋼板併用鉄筋コンクリート巻き立て工法を行うと、鉄筋コンクリート巻き立て341によって橋脚全体としての補強を行う。基部には、コンクリートを拘束し、靭性を高めるため、両サイドの壁面を、鋼板342によって挟んで巻き立て、橋脚内を貫通させた鋼棒343によって結合させる必要がある。この鋼棒343を通すために、鉄筋コンクリート巻き立て341および橋脚に穴あけを行わなければならない。この穴あけにおいては、壁式橋脚340および鉄筋コンクリート巻き立て341内の鉄筋に傷をつけないこと、およびコンクリートにクラックなどの損傷を与えないことが条件となる。
穴あけ装置350は、壁式橋脚340の表面に取付装置351を装着し、ノズル移動手段3352およびノズル回転手段353を支持する。ノズル回転手段353は、ランス312の基部を保持し、回転軸線301aまわりに回転させる。ノズル回転手段353には、高圧ホース354が接続され、高圧発生装置310から高圧水が供給される。供給された高圧水は、ランス312中をノズルヘッド301まで導かれ、ノズルヘッド301に設けられる複数のオリフィス304,305からウォータジェット304c,305cが吐出される。複数の噴射方向にウォータジェットを噴射させながら回転手段353によってノズルヘッド301を回転軸線301aまわりに回転させ、かつノズル移動手段352によってノズルヘッド301を軸線301a方向に前進させれば、コンクリート壁28に深い穴22をあけることができる。
穴22の周囲は、カバー体355で覆い、穴あけの際の騒音の低減と、破砕された破片の飛散防止を図る。穴22内で、ノズルヘッド301の先端のオリフィス304,305から噴射されたウォータジェットは、細かな破砕物とともにカバー体355に接続される排水ホース356に流れるようになる。このような水の噴射による穴あけで穴22を形成するので、コンクリート340中の鉄筋357を傷つけることなく、深い穴22、たとえば3m程度までの穴あけが可能である。
以上のように第3の実施形態では、複数、具体的には2つのウォータジェットをノズルヘッド301から噴出し、一方のウォータジェットで穴の中心軸線部分を破砕し、他方のウォータジェットで穴の周壁部分を破砕する。これによって深い穴を形成することができる。さらに、穴の中心軸線に垂直な方向の噴射反力が予め定める範囲で均衡するように、オリフィス径φd4,φd5および噴射角度θ304,θ305が設定されることで、深い穴であってもノズルヘッド301を支持するランスがぶれることを防ぎ、内径寸法の精度が高い穴22を形成することができる。なお、本実施の形態では,2つのウォータジェットを用いたが、2つ以上のウォータジェットを用いても同様の効果を得ることができる。ただし、ノズルヘッドに与えられる流量が少ない場合には、噴射口が4個以上となるとはつり効率が下がるとともに、ノズルヘッドの外径が大きくなるってしまうので噴出口は、4個以下が好ましい。
図22は、本発明の第4の実施形態である穴形成装置に用いられるノズルヘッド461を左側面から見て示す断面図である。本実施形態のノズルヘッド461も、ステンレス鋼材の機械加工によって製造する。図23、図24および図25は、ノズルヘッド461を平面断面視、正面視および背面視してそれぞれ示す。本実施形態のノズルヘッド461は、第3実施形態と類似した構成であり、ノズルヘッド461の形状が一部異なるほかは同一の構成を有するので、ノズルヘッド461以外の構成を省略する。
ノズルヘッド461は、ランスから供給される高圧水を噴射口まで導く供給通路が形成され、回転軸線に沿って延びる整流部462,463と、整流部462,463に連なる傾斜部464,465とが設けられる。供給通路は、整流部462,463を経て傾斜部464,465まで延びる。高圧水の供給通路は、整流部462,463を経て流れる。整流部462,463の長さL41は、図11の説明と同様に、その径D11の5倍〜10倍程度とする。これによって、高圧水分岐部466で高圧水が分岐する際に流れに乱れが生じても、整流部462,463を通過する際にそれぞれ整流され、乱れを解消させることができる。
傾斜部464,465からノズルヘッド402,403に供給する高圧水の流れに乱れが生じると、噴出するウォータジェットが広がり、コンクリート等に対する破砕能力が低下してしまう。本実施形態では、整流部462,463の長さL41を十分に大きくとっても、ノズルヘッド461の外径は大きくならないので、小さな径の穴であっても効率的にあけることができる。各ノズルヘッド402,403から噴射されるウォータジェットは、高圧水分岐部466で先端面の中心線461b方向にずれ、さらに傾斜部464,465で中心線461bから遠ざかる方向にそれぞれ傾く。
なお、ノズルヘッド461では、高圧水の供給通路を、高圧力に耐え、しかも整流部462,463の下流では流れを乱さないように、内面に凹凸などが生じないように形成する必要がある。このため、高圧水分岐部66では、加工終了後に、栓467を溶接部468で溶接して固定する。
図26は、図22に示す実施形態のノズルヘッド461と図15に示す実施形態のノズルヘッド301とを比較して示す断面図である。ノズルヘッド461では、高圧水分岐部466で生じる流れの乱れを、整流部462,463で整流して解消させることができる。また先端側の最大径D23についても、大きくする必要がない。これに対してノズルヘッド301では、高圧水分岐部306から直ちに傾斜部364b,365bに分岐するので、傾斜部364b,365bの長さL42を高圧水が通過する間に流れの乱れを解消させることは困難であり、ノズルヘッド301の長さL42を大きくすれば、先端側の最大径D22も大きくなってしまう。したがって、あまりノズルヘッド301の直径D22が大きくならない範囲で使用すると、ウォータジェットの破砕能力が多少低下した状態で使用しなければならない。したがって第4の実施の形態ではノズルヘッド461の小径化と粉砕能力の向上化とを実現することができる。
図27は、ノズルヘッド461を加工する途中の状態を示す断面図である。ノズルヘッド461は、大略的に3つのブロック469a,469b,469cにそれぞれ加工を行い、各ブロック469a,469b,469cを組合わせてノズルヘッド461を形成する。先端側のブロック469aには、はじめに整流部462,463を形成しておく。中間のブロック469bには、高圧水分岐部466を形成する。基端側のブロック469cには、ランス接続部407からの通路を形成しておく。3つのブロック469a,469b,469cについての加工を終了した後、溶接によって相互に組合わせる。組合わせる溶接が終了した後、傾斜部464,465、栓467の部分、およびランス接続部407の近傍を外部からそれぞれ加工して、ノズルヘッド461を製造する。
図28、図29、図30、図31は、本発明の第5の実施形態である穴形成装置に用いられるノズルヘッド471を示す図である。図28は左側面側からの断面視、図29は平面側からの断面視、図30は正面側からの構成、図31は背面側からの構成を示す図である。本実施形態のノズルヘッド471は、基本的に図22のノズルヘッド461と同等であり、対応する部分には同一の参照符を付して説明を省略する。本実施形態では、ノズルヘッド471の先端で、ノズル部分402,403が中心軸線471b上に位置するように、整流部462,463から高圧水が供給される傾斜部464,465の向きが、内向きにされる。これによって、ノズルヘッド471の先端から噴射されるウォータジェット間の広がりを狭くして、破砕を集中的に行うことができる。
第4および第5の実施形態では、第3の実施形態と同様に、ウォータジェットの噴射角度θ、オフィリス径φdなどを決定することによって、深い穴を形成することができるとともに、精度の高い穴を形成することができる。さらに整流部462,463によって、高圧水を噴出前に整流することによって噴射能力の低下を防いで、効率よく穴を形成することができる。さらに整流部462,463を穴の中心軸線と平行に延びるようにすることによって、ノズルヘッド461,471の外径が大きくなることを防ぐとともに、粉砕能力を向上することができる。これによって小さく深い穴を効率よく形成することができる。
図32は、本発明の第6の実施形態である穴形成装置の概略的な構成を示す断面図である。本実施形態では、上述した第2実施形態以外のノズルヘッド20,301,401,471のいずれかであるノズルヘッド481を支持するランス412の構成に特徴がある。具体的には、ウォータジェットによってコンクリート壁を粉砕した粉砕片を穴から排出する排出手段が設けられる。
ランス412は、ノズルヘッドに連結されて前記中心軸線に沿って延びる支持部となり、ランス412には、搬送部材482と、ランス412を中心軸線まわりに回転する搬送部材回転手段が設けられる。搬送部材482は、ランス412の周囲に、スクリュー状、言い換えると螺旋状に延びて形成される。搬送部材482は、ノズル軸線481aに向かって進むにつれて、ノズル軸線481aを複数回旋回して進み、ランス412から半径方向外方に突出する突起である。搬送部材482は、搬送部材回転手段によってランス412とともに中心軸線まわりに回転される。
搬送部材482は、たとえば可撓性のあるゴム材料の帯体を巻付けたり、ブラシ状に形成したりすることができる。搬送部材482は、ノズルヘッド481およびランス412が穴22に進入した状態で、穴の周壁部に接触する。搬送部材482は、可撓性を有し、穴22の内表面に適合して変形し、穴あけに伴って発生するガラ483を機械的に排出することができる。これによって、ノズルヘッド481の周囲にガラ483が堆積し、水がたまってしまうという不具合を解消することができ、ウォータジェットの破砕力を維持することができる。
また、ガラ483の抵抗で、ノズルヘッド481を回転軸線481aまわりに回転させることが困難となる不具合を解消することができ、ノズルヘッド481を穴22内に深く挿入させることが可能となる。また、この本実施の形態では、ランス412を回転軸線418aまわりに回転させる構成としたが、ランス412を回転させないような構成では、搬送部材82をランス12に固定しないで、搬送部材82のみランス12のまわりで回転させることによって、ガラ483の排出機構を実現してもよい。この場合、搬送部材82を回転させる搬送部材回転手段が穴形成装置に設けられる。これによって、上述した各実施形態の効果に加えて、破砕力の維持と深い穴の形成とを実現することができる。
図33は、螺旋状の搬送部材482をランス412とは独立に回転駆動する構成の本発明の穴形成装置であって、側面から断面視した構成を示す断面図である。図34は図33の切断面線B−Bから断面視した構成を示す断面図である。この場合、ランス412とは別体の回転管484が設けられる。回転管484は、ランス412を外囲する。ランス412内には、高圧チューブ485が収納され、ノズルヘッド481に高圧水を供給する。そしてランスとは別に、回転管484を回転軸線まわりに回転させれば、螺旋状の搬送部材482は、ガラ483を機械的に搬送することができる。
図35は、本発明の第7の実施形態である穴形成装置の概略的な構成を示す断面図である。本実施形態では、上述した第1〜第5実施形態に示すノズルヘッド20,70,301,401,471のいずれかであるノズルヘッド491を用いる。ノズルヘッド491は、基端側にガラ出しノズル492が設けられ、ガラ483を水流493ではじき飛ばして排出させる。水流493は、噴射口404,405からウォータジェットとして噴射させる穴あけ用の高圧水よりも低圧でよいので、高圧チューブ485とは別の低圧ホース494で供給する。低圧ホース494にガラ出し用の水を供給する低圧ポンプ495は、高圧発生装置410よりも安価に構成することができる。ただし、ガラ出しには、それほど水圧を必要としないけれども、破砕に用いるウォータジェットの流量よりも多量の水量を用いることによって、より確実にガラ483を排出することができる。また、本実施の形態では、穴あけ用の高圧発生装置410とは別の低圧ポンプ495を使用するので、破砕後の排水は簡単なフィルタを通すだけで再使用することもできる。
図36は、図35のガラ出しノズル492に関する構成の例を示す図である。図36(a)に示すように、ガラ出しノズル492は、ノズルヘッド491の基端側に一体構造として設けるばかりではなく、図36(b)に示すように、ランス412側に取付けたり、一体構造化にしたりすることもできる。また、ランス412が長く、深い穴をあける場合は、図36(c)に示すように、ランス412に沿って、複数個のガラ出しノズル92を設けることもできる。
以上、本発明の穴形成方法および装置ならびにウォータジェット噴射ノズルの実施形態を説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形、修正が可能である。
たとえば、各実施形態では、ノズルヘッドからウォータジェットを噴射する構成であるが、穴形成能力を向上させるために、ノズルヘッドに研磨材を送給してノズルヘッドから噴射されるウォータジェットに研磨材を混入させるようにすることもできる。またノズルヘッドから噴出する噴出流体として、水(ウォータ)以外の他の流体を噴出してもよい。
また、図示の実施形態では、穴形成装置を物体としての建造物のコンクリート壁28の丸穴形成などに適用して説明したが、これに限定されるものではなく、角形の穴や建造物の床面、道路等の表面の種々の形状の穴形成、さらには岩石の穴形成等にも適用することができる。
また各実施形態では、穴形成にあたって穴の軸線方向にノズルヘッド20を間欠的に移動させるが、ノズルヘッド20を実質上連続的に移動させるようにすることもできる。なお、この場合には、ノズルヘッド20は回転しながら回転軸線24に沿って移動されるので、その移動速度を小さく設定するのが望ましい。また回転軸線24の方向のノズルヘッド20の移動は、第1電動モータ18、ロボットなどに代えて、油圧シリンダ機構のごとき流体圧シリンダ機構を用いることもできる。また、ノズルヘッドの動作およびウォータジェット噴射軸線が上述した本実施形態と同様であれば、内部構造の詳細について変更可能である。
本発明の第1の実施形態である穴形成装置1を示す斜視図である。 ノズルヘッド20付近を拡大して示す断面図である。 ノズルヘッド20の内部構造を拡大して示す断面図である。 図2のA−A矢視図である。 穴形成時における壁28の断面図である。 直径の大きい穴22bを形成する場合を説明するための図である。 本発明の第2の実施形態である穴形成装置に用いられるノズルヘッド70の概略的な構成を示す断面図である。 円形断面の穴22aを形成するときのノズルヘッド70の移動軌跡84aの一例を示す図である。 穴形成開始時の状態を説明するための断面図である。 矩形断面の穴22bを形成するときのノズルヘッド70の移動軌跡84bの一例を示す図である。 図7に示すノズルヘッド70の内部構造を拡大して示す断面図である。 図11に示す平行流路96の長さL1と、噴射口94から噴射されるウォータジェットによる単位時間当たりのコンクリート粉砕量を示す能力比との関係を示すグラフである。 図7に示すノズルヘッド70を備えたウォータジェットシステムを示すブロック図である。 図13の高圧発生装置44の概略的な内部構成を示す回路図である。 本発明の第3の実施形態である穴形成装置に用いられるノズルヘッド301を示す側面断面図である。 ノズルヘッド301を示す正面図である。 ノズルヘッド301の先端部を拡大して示す断面図である。 ノズルヘッド301が用いられる穴形成装置350を示すブロック図である。 ノズル部材302,303を拡大して示す断面図である。 穴あけの対象となる壁式橋脚340を正面側から見た図である。
壁式橋脚340を側面側から見た図である。 本発明の第4の実施形態である穴形成装置に用いられるノズルヘッド461を左側面から見て示す断面図である。 ノズルヘッド461の平面断面視図である。 ノズルヘッド461の正面視図である。 ノズルヘッド461の背面視図である。 図22に示す実施形態のノズルヘッド461と図15に示す実施形態のノズルヘッド301とを比較して示す断面図である。 ノズルヘッド461を加工する途中の状態を示す断面図である。 本発明の第5の実施形態である穴形成装置に用いられるノズルヘッド471を左側面から見て示す断面図である。 ノズルヘッド471を正面側から見て示す断面図である。 ノズルヘッド471の正面図である。 ノズルヘッド471の背面図である。 本発明の第6の実施形態である穴形成装置の概略的な構成を示す断面図である。 搬送部材482をランス412とは独立に回転駆動する構成の穴形成装置であって、側面から断面視した構成を示す断面図である。 図33の切断面線B−Bから断面視した構成を示す断面図である。 本発明の第7の実施形態である穴形成装置の概略的な構成を示す断面図である。 図35のガラ出しノズル492に関する構成の例を示す図である。 従来技術のウォータジェットノズルヘッド101の基本的な構成を示す断面図である。
符号の説明
1 穴形成装置
20 ノズルヘッド
22 穴
24 穴の中心軸線
28 コンクリート壁
23 ノズル移動手段
32 ノズル回転手段
44 高圧発生装置
64 ノズル保持手段

Claims (14)

  1. 流体ジェットを噴射して加工対象物に穴を形成する穴形成装置において、
    噴射口から予め定める噴射軸線に沿って流体ジェットを噴出するノズルヘッドと、
    前記噴射口を形成すべき穴の中心軸線から半径方向にずらし、前記噴射口よりも噴射方向下流側で前記噴射軸線が、前記中心軸線に交差するように前記ノズルヘッドを保持するノズル保持手段と、
    前記噴射軸線が前記中心軸線に交差する状態を保った状態で、前記ノズルヘッドを前記中心軸線まわりに回転させるノズル回転手段と、
    前記ノズルヘッドを前記中心軸線に平行な方向に移動させるノズル移動手段とを備えることを特徴とする穴形成装置。
  2. 流体ジェットを噴射して加工対象物に穴を形成する穴形成装置において、
    噴射口から予め定める噴射軸線に沿って流体ジェットを噴出するノズルヘッドと、
    形成すべき穴の中心軸線に垂直な平面に対して、前記噴射軸線が傾斜するように前記ノズルヘッドを保持するノズル保持手段と、
    前記ノズルヘッドを、前記ノズル保持手段による保持状態を保って、前記中心軸線に垂直な任意の方向に移動させ、前記中心軸線に平行な軸線まわりに角変位させ、前記中心軸線に平行な方向に移動させるノズル移動手段とを備えることを特徴とする穴形成装置。
  3. 前記ノズル移動手段は、ノズルヘッドを前記中心軸線に平行な方向に移動させる移動速度を変更可能であることを特徴とする請求項1または2記載の穴形成装置。
  4. 前記ノズルヘッドは、高圧流体を噴射口に導く整流部が形成され、前記整流部は、直線状に形成されて、噴射口に達する高圧流体を整流するに必要な長さに設定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の穴形成装置。
  5. 流体ジェットを噴射して加工対象物に穴を形成する穴形成装置において、
    複数の噴射口から複数の流体ジェットをそれぞれ噴出するノズルヘッドと、
    前記ノズルヘッドを保持するノズル保持手段と、
    前記ノズルヘッドを形成すべき穴の中心軸線まわりに回転させるノズル回転手段と、
    前記ノズルヘッドを前記中心軸線に平行な方向に移動させるノズル移動手段とを備え、
    前記複数の流体ジェットのうちの少なくとも1つを、穴が形成されるべき加工対象物の中心軸線近傍の端面に向けて噴出し、複数の流体ジェットのうちの他の少なくとも1つを加工対象物の穴の周壁部分に向けて噴出し、各流体ジェットの噴射軸線が前記中心軸線に対してそれぞれ傾斜し、前記中心軸線に垂直な方向における各流体ジェットの噴射反力の和が予め定める範囲で均衡するように前記ノズルヘッドが形成されることを特徴とする穴形成装置。
  6. 前記噴射反力の均衡範囲は、
    ノズルヘッドの中心軸線方向の先端のたわみが予め定める基準値以下となる力の範囲であることを特徴とする請求項5記載の穴形成装置。
  7. 前記ノズルヘッドは、前記噴射口に高圧流体を導く流路形成部が形成され、流路形成部は、
    供給される高圧流体を各噴射口に分岐する分岐部と、
    噴射口毎に設けられ、分岐部に連なり、分岐部から前記中心軸線に対して平行に延び、その長さが噴射口に達する高圧流体を整流するに必要な長さに設定される整流部と、
    整流部の先端から高圧流体を噴射口に導き、噴射軸線に沿って延びる傾斜部とを含んで構成されることを特徴とする請求項5または6記載の穴形成装置。
  8. 前記分岐部は、前記整流部に対して直交することを特徴とする請求項7記載の穴形成装置。
  9. 流体ジェットによって加工対象物を粉砕した粉砕片を穴から排出する排出手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の穴形成装置。
  10. 前記排出手段は、
    ノズルヘッドに連結され、前記中心軸線に沿って延びる支持部と、
    支持部に形成されて中心軸線に沿って進むにつれて支持部を中心軸線まわりに螺旋状に延びる搬送部材と、
    前記搬送部材を前記中心軸線まわりに回転する搬送部材回転手段とを含むことを特徴とする請求項9記載の穴形成装置。
  11. 前記排出手段は、粉砕片を排出する排出方向に流体を噴出することを特徴とする請求項9記載の穴形成装置。
  12. 噴射口から予め定める噴射軸線に沿って流体ジェットを噴出するノズルヘッドを用いて加工対象物に穴を形成する穴形成方法において、
    前記ノズルヘッドの噴射口を中心軸線から半径方向にずらし、前記噴射口よりも噴射方向下流側で前記噴射軸線が、形成すべき穴の中心軸線に交差する状態を保った状態で、ノズルヘッドを前記中心軸線まわりに回転させながら、前記中心軸線に平行な方向に移動させることを特徴とする穴形成方法。
  13. 前記噴射口よりも噴射方向上流側で前記噴射軸線が前記中心軸線に交差する状態を保った状態で、噴射される流体ジェットが形成すべき穴の周壁部を周回するように、ノズルヘッドを前記中心軸線に平行な軸線まわりに角変位および前記中心軸線に垂直な任意の方向に移動させることを特徴とする請求項12記載の穴形成方法。
  14. 複数の噴射口から予め定める噴射軸線に沿って複数の流体ジェットをそれぞれ噴射するノズルヘッドを用いて加工対象物に穴を形成する穴形成方法において、
    前記複数の流体ジェットのうちの少なくとも1つを、穴が形成されるべき加工対象物の中心軸線近傍の端面に向けて噴出し、複数の流体ジェットのうちの他の少なくとも1つを加工対象物の周壁部分に向けて噴出し、各流体ジェットの噴射軸線が前記中心軸線に対してそれぞれ傾斜し、前記中心軸線に垂直な方向における各流体ジェットの噴射反力の和が予め定める範囲で均衡するように各流体ジェットを噴射させることを特徴とする穴形成方法。
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