JP2021017717A - 削孔装置 - Google Patents
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Abstract
Description
上記補強方法においては、柱の一側面から、対面に沿って埋設されている主筋列近傍にまで達する真っ直ぐな長孔を複数本平行もしくは交差するように穿ち、それぞれの長孔に剪断補強材を挿入して周囲を充填、固化させるというものであり、複数本の補強材は互いに結合されておらずバラバラである。そのため、補強材によるコアコンクリートの拘束力が充分なものでなかった。
しかし、コンクリート柱にその一側面よりU字状の長孔を穿つことは技術的に困難であり、従来、そのような技術は実用化されていなかった。
しかしながら、特許文献2や3に記載されている曲線削孔装置は、いずれも地盤内に曲線孔を形成するための装置であって、コンクリート柱のような硬度の高い構造物に曲線孔を形成することはできない。
本発明の他の目的は既設のコンクリート柱に耐震補強用の材料を挿入するためのU字状の孔を形成することが可能な小型かつ作業性の良い削孔装置を提供することにある。
高圧水を噴出するノズルを備え前記ノズルより高圧水を噴出してコンクリート構造物の壁内に孔を穿設するための削孔手段と、前記削孔手段をコンクリート構造物の壁面へ装着するための装着手段と、前記削孔手段と前記装着手段とを連結するための連結手段と、を備えた削孔装置であって、
前記削孔手段は、
前記ノズルが先端に設けられた高圧ランスと、
前記高圧ランスを自らの軸の周りに回転させるための自転駆動手段と、
前記高圧ランスを軸方向に移動させるための移動手段と、を備え、
前記装着手段は、
前記高圧ランスが挿通可能な円形の開口を有し、前記コンクリート構造物の壁面に接合されるベース部材と、
前記削孔手段を前記高圧ランスの自転軸と平行であって異なる位置にある軸の周りに回転させるための公転駆動手段と、を備えているように構成したものである。
前記ベース部材の前面側に設けられた支承部材と、
前記支承部材に対して回転可能に装着された回動部材と、
前記支承部材及び前記ベース部材を貫通するように配設されたガイドパイプと、
前記回動部材と前記ガイドパイプとを結合する第1結合手段と、
前記ガイドパイプと前記削孔手段とを結合する第2結合手段と、を備え、
前記高圧ランスは、前記削孔手段が前記装着手段に連結された状態にて前記ガイドパイプを貫通するように配され、
前記公転駆動手段は、前記回動部材を往復揺動可能に構成する。
これにより、ガイドパイプを、高圧ランスを挿通するための部材および削孔で生じたハツリを外部へ排出するための部材として供用することができ、装置をコンパクトに構成することができる。
これにより、高圧水の噴出による削孔方向を切り替える際にノズルを交換する必要がなく、作業効率を高めることができる。
前記自転駆動手段及び前記ホルダは、前記ガイドレールに沿って前記高圧ランスの軸方向へ移動可能に設置され、前記移動手段と前記自転駆動手段との間には位置調整可能な連結手段が設けられているように構成する。
かかる構成によれば、削孔の方向を切り替える際にフレームに対する自転駆動手段及びホルダランス軸方向の固定位置を変えることで、削孔したい方向に応じてノズルを最適位置に容易に設定することができる。また、高圧ランスを軸方向に移動させる移動手段による移動範囲が比較的狭くても、固定位置を変えることで、移動範囲を変更することなく異なる位置に孔を穿設することができる。
図1〜図4は本発明に係る削孔装置の一実施形態を示すもので、このうち、図1は削孔装置を構成する削孔ユニットの平面図、図2は削孔ユニットの側面図、図3は削孔ユニットの正面図、図4(A)および(B)は削孔装置を構成する公転駆動ユニットを示す正面図および側面図である。
本実施形態の削孔装置は、ウォータージェットを噴出するノズルを備えたヘッド部11を有する図1〜図3に示すような構成の削孔ユニット10と、削孔対象のコンクリート構造物の壁面に固定され上記削孔ユニット10を支承しつつ公転運動を付与する図4に示すような構成の公転駆動ユニット20とを備える。
上記スライドユニット14による削孔ユニット10の移動量は、特に限定されるものでないが、1つの孔を形成するのに必要な大きさ(例えば数10mm)に設定されている。移動量を小さくすることで、エアーシリンダ14Cの小型化を図ることができる。
なお、上記ボルト取付け位置P1は図12(B)の斜孔36Aの削孔位置に、P2は図12(A)の補助孔35Aの削孔位置に、P3は図13(A)の横孔37Aの削孔位置に、それぞれ対応する。
さらに、上記公転用ガイドパイプ16の周壁の連結手段17寄りの位置には開口が形成され、該開口には、高圧水によるコンクリート柱への削孔により生じたハツリ水やハツリガラを、高圧ランス12と公転用ガイドパイプ16との隙間を通して外部へ吸い出すためのバキュームホース42の端部が接続されている。
上記のように、高圧ランス12の中心を公転用ガイドパイプ16の中心から偏心させることで、以下に説明するように、公転用ガイドパイプ16を公転駆動ユニット20に結合させた状態で、高圧ランス12を公転用ガイドパイプ16へ挿入したり公転用ガイドパイプ16から引き抜いたりすることができる。公転駆動ユニット20は、公転用ガイドパイプ16を介して上記削孔ユニット10をコンクリート構造物の壁面に装着するための装着手段としての機能を有する。
上記ベースプレート22には上記スリーブ23の内周に対応した円形の開口が形成されており、上記公転用ガイドパイプ16がスリーブ23およびベースプレート22の開口に挿通されるように構成されている。なお、図4(B)において、符号Hが付されているのは、コンクリート柱の壁面Wから奥部に向かって直線状に穿設された長孔である。この長孔Hは、ダイヤモンドコアドリル等の工具を用いて予め穿設しておくようにすることができる。
上記ベースプレート22と回動部材24は、スリーブ23に対応する部位に、前記公転用ガイドパイプ16を挿入可能な開口部が形成されている。また、クランプ手段25はハンドル25Aを備えており、ハンドル25Aを緩めた状態で、公転用ガイドパイプ16の先端部をベースプレート22と回動部材24の開口部へ挿入した後、ハンドル25Aを回して締め付けることによって、公転用ガイドパイプ16を回動部材24と一体に結合することができるように構成されている。
図5には上記公転駆動ユニット20が公転動作した状態が示されている。このうち、図5(B)は回動部材24が原点位置にある状態を、図5(A)は回動部材24が原点位置から左方向へ回動した状態を、図5(C)は回動部材24が原点位置から右方向へ回動した状態を示している。
本実施例の公転駆動ユニット20は、公転駆動用モータ26を作動させると公転歯車27Aが回転して内歯歯車27Bに沿って左方向または右方向へ移動し、それによって回動部材24が揺動される。そのため、クランプ手段25によって回動部材24に結合された公転用ガイドパイプ16および削孔ユニット10が一体となって揺動される。
そして、高圧ランス12が公転用ガイドパイプ16の中心から偏心した位置に挿入されているため、高圧ランス12およびその先端のヘッド部11は公転用ガイドパイプ16の中心軸を揺動中心として公転することとなる。
一方、削孔ユニット10は、エアーモータ19Aを作動させると高圧ランス12が自身の軸を中心にして自転し、ヘッド部11のノズルの向きを変えることができる。
図8(A)を参照すると、O1点を中心に高圧ランス12を自転させると、所定角度以上でノズル11aの先端(図における上端側)が孔Hの壁面に当たることが分かる。一方、O2点を中心に高圧ランス12を公転させると、所定角度以上でノズル11aの下端が孔Hの壁面に当たることが分かる。
そのため、上述したように高圧ランス12の自転と公転を組み合わせることで、ノズルから噴出されるウォータージェットの角度を、自転のみの場合や公転のみの場合に比べて大きくして、剪断補強用のワイヤの挿入径(入り口)を確保することができる。
また、自転の振り幅を同一に維持したまま公転の振り幅を変化させることで、ほぼ同一断面の孔Hを穿設することができるため、モータの制御も簡単になるという利点がある。なお、同一断面の孔Hを掘り進んで行くには、公転の振り幅の制御の他、時間(往復回数)の制御も行う必要がある。そのような制御は、モータを制御するプログラムの設定により実行することができる。なお、軸方向の位置に応じて公転の振り幅を変化させることで、円形断面の孔Hを穿設することも可能である。
なお、図10のコンクリート柱30は、既設の鉄筋コンクリート柱に後から剪断補強材を挿入して耐震強度を高めるようにしたもので、既設の鉄筋コンクリート柱には所定の間隔をおいて配設された鉛直方向の複数本の主鉄筋31が予め埋設されている。
剪断補強材32は、例えば一方の端部に係止部33Aを固着した後、他方の端部を引っ張った状態で係止部33Bが固着することによって、張力が付与された状態で配設されていても良い。また、係止部33A,33Bと柱の面との間にクサビを打ち込んで剪断補強材32に張力を付与するようにしても良い。
剪断補強材32を挿通するための長孔の形成に当たっては、先ず、図11(A)に示すような真っ直ぐな縦孔34A,34Bを、ダイヤモンドコアドリル等の工具を用いて所定の部位に所定の深さまで削孔する。なお、この縦孔34A,34Bは、前方へ向かって高圧水を噴出可能なノズルを有する高圧ランスを使用して削孔するようにしても良い。
その後、先端にノズルを有する高圧ランス12を縦孔34Aに挿入させるようにして削孔ユニット10を公転駆動ユニット20に連結する。そして、図12(A)に示すように、横方向へ高圧水を噴出可能なノズル11aより高圧水を噴出して、縦孔34Aの奥部より少し手前の部位に比較的浅い補助孔35Aを削孔する。続いて、図12(B)に示すように、縦孔34Aに挿入した高圧ランス12の先端の斜め方向へ高圧水を噴出可能なノズル11bより高圧水を噴出して、縦孔34Aの奥部の補助孔35Aより少し手前の部位から、所定深さまで斜孔36Aを削孔する。
続いて、図13(B)に示すように、他方の縦孔34Bに高圧ランス12を挿入して、上記と同様の手順で、補助孔35Bと斜孔36Bと横孔37Bを削孔して貫通させる。これにより、ほぼU字状をなす通路を有する空洞が形成される。なお、横孔37Bを貫通させる際には、出口側である縦孔34Bの奥部まで吸引パイプを挿入してハツリを吸引することで、吸引パイプがガード部材となって削孔対象部位以外への余分な削孔を防止することができる。なお、削孔装置を2台用意してコンクリーチ柱の壁面に装着し、縦孔34A側からの削孔と縦孔34B側からの削孔を同時に進めるようにしてもよい。
11 ヘッド部
11a,11b ノズル
12 高圧ランス
13 ホルダ
14 スライドユニット
14C エアーシリンダ
15 フレーム
16 公転用ガイドパイプ
17,18 連結手段
19 スライドユニット駆動部
19A エアーモータ(自転駆動手段)
20 公転駆動ユニット(装着手段)
22 ベースプレート(ベース部材)
23 スリーブ(支承部材)
24 回動部材
25 クランプ手段
26 公転駆動用モータ(公転駆動手段)
30 コンクリート柱
32 剪断補強材
34〜37 孔
42 バキュームホース
Claims (5)
- 高圧水を噴出するノズルを備え前記ノズルより高圧水を噴出してコンクリート構造物の壁内に孔を穿設するための削孔手段と、前記削孔手段をコンクリート構造物の壁面へ装着するための装着手段と、前記削孔手段と前記装着手段とを連結するための連結手段と、を備えた削孔装置であって、
前記削孔手段は、
前記ノズルが先端に設けられた高圧ランスと、
前記高圧ランスを自らの軸の周りに回転させるための自転駆動手段と、
前記高圧ランスを軸方向に移動させるための移動手段と、を備え、
前記装着手段は、
前記高圧ランスが挿通可能な円形の開口を有し、前記コンクリート構造物の壁面に接合されるベース部材と、
前記削孔手段を前記高圧ランスの自転軸と平行であって異なる位置にある軸の周りに回転させるための公転駆動手段と、を備えていることを特徴とする削孔装置。 - 前記装着手段は、
前記ベース部材の前面側に設けられた支承部材と、
前記支承部材に対して回転可能に装着された回動部材と、
前記支承部材及び前記ベース部材を貫通するように配設されたガイドパイプと、
前記回動部材と前記ガイドパイプとを結合する第1結合手段と、
前記ガイドパイプと前記削孔手段とを結合する第2結合手段と、を備え、
前記高圧ランスは、前記削孔手段が前記装着手段に連結された状態にて前記ガイドパイプを貫通するように配され、
前記公転駆動手段は、前記回動部材を往復揺動可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の削孔装置。 - 前記ガイドパイプの周壁には開口が形成され、前記ガイドパイプの前記開口の形成部に吸引用のホースの端部が接続されていることを特徴とする請求項2に記載の削孔装置。
- 前記高圧ランスの先端部には、当該高圧ランスの軸と直交する方向へ高圧水を噴出するノズルと、前記高圧ランスの軸に対して斜め方向へ高圧水を噴出するノズルと、が設けられていることを特徴とする請求項2または3に記載の削孔装置。
- 前記削孔手段は、前記第2結合手段と一体のフレームと、前記フレームに設けられたガイドレールと、前記自転駆動手段に装着され前記高圧ランスの後端側を保持するホルダと、を備え、
前記自転駆動手段及び前記ホルダは、前記ガイドレールに沿って前記高圧ランスの軸方向へ移動可能に設置され、前記移動手段と前記自転駆動手段との間には位置調整可能な連結手段が設けられていることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の削孔装置。
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