JP6040905B2 - 方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、方向性電磁鋼板の製造方法に関し、特に低鉄損の方向性電磁鋼板を安定して製造する方法に関するものである。
方向性電磁鋼板は、主にトランスの鉄心として利用され、その磁化特性が優れていること、特に鉄損の低いことが求められている。そのためには、鋼板中の二次再結晶粒を、(110)[001]方位、いわゆるゴス方位に高度に揃えることや、製品鋼板中の不純物を低減すること、が重要である。しかしながら、結晶方位の制御や、不純物を低減することは、製造コストとの兼ね合い等で限界がある。そこで、物理的な手法によって鋼板の表面に歪を不均一に導入し、磁区の幅を細分化して鉄損を低減する技術、すなわち磁区細分化技術が開発されている。
例えば、特許文献1には、最終製品板にレーザを照射し、鋼板表層に高転位密度領域を導入して磁区幅を狭くすることにより、鋼板の鉄損を低減する技術が提案されている。同様に、特許文献2には、プラズマ炎を照射する手法が開示されている。
しかしながら、これらの熱歪みを導入する手法は、歪取り焼鈍を行う際に効果が消失してしまうため、積鉄心変圧器には使用できるが、歪取り焼鈍を必須とする、巻鉄心変圧器には使用できないという問題がある。
ここに、歪取り焼鈍を施しても、磁区細分化効果が消失しない手法として、電解エッチングや歯車ロールを用いて、鋼板表面に溝を形成することが、特許文献3および4にそれぞれ開示されている。これらの手法では、エッチングレジストの印刷精度や歯車ロールの加工精度もしくは磨耗により、同じコイル内での幅方向や長手方向で溝の幅や深さに生じるばらつきが十分に抑制されないために、磁気特性にもばらつきが発生してしまう点で不利である。
また、特許文献5には、レーザ光を用いて鋼板表面に溝形成を行い、溝中央に溶融再凝固層を形成させる手法が開示されている。しかしながら、レーザ照射により溝形成を行うと、鋼板表面にバリができ易く、変圧器のように積み重ねて使用するときに占積率が減少してしまう点で不利となる。
特公昭57−2252号公報 特開昭59-25928号公報 特公平03−69968号公報 特開昭61−117218号公報 特開平2005−59014号公報
上述のとおり、レーザやプラズマ炎の照射により鋼板表層に高転位密度領域を導入する、磁区細分化手法では、巻き鉄心に供するに足る素材とならないことが問題であった。また、電解エッチングや歯車ロールを用いて溝を形成する手法では、溝や鋼板が形状不良となる問題があった。さらに、レーザ照射により鋼板表面に線状の溝を形成する方法では、鋼板の表面にバリが発生することが問題であった。
本発明は、上記の諸問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、エッチングにより線状溝を形成するに際して、鋼板に形状不良を発生させることなく、しかも形成する溝幅のばらつきを小さくすることによって、従来品に比べて低鉄損かつ鉄損のばらつきが小さい方向性電磁鋼板を製造するための方法について提案することにある。
発明者らは、上記課題を解決するために検討を重ねた結果、鋼板表面に電解エッチングあるいは化学エッチングで線状の溝を形成するに際して、該エッチング工程で溝の形成を意図した部分以外がエッチングされることを防ぐために鋼板表面にマスキング剤を塗布して形成した被膜(以下、マスキング膜ともいう)の溝形成部分を除去できるように、レーザ、プラズマ炎、電子ビームまたは紫外線によって上記被膜を密着緩和させたのち、マスキング膜の溝形成部分を除去する工程を経ることによって、エッチングによる溝の間隔や幅のばらつきが従来に比べて小さくなり、鋼板表面に形状不良のない方向性電磁鋼板が得られることを見出し、本発明を開発するに至った。
まず、本発明を開発する契機となった実験結果について説明する。
<実験1>
C:0.05mass%、Si:3.3mass%、Mn:0.08mass%を含有する鋼を溶製し、連続鋳造法で鋼スラブとした後、1400℃に加熱し、熱間圧延により板厚:2.0mmの熱延板に仕上げ、1000℃で熱延板焼鈍を施した。ついで中間焼鈍を含む二回冷延法にて0.23mmの最終冷延板とした。この最終冷延板に、アルキド樹脂および顔料を有機溶剤に溶かしたマスキング剤を両面当り20g/m2の条件で塗布してマスキング膜とした後、鋼板の圧延方向と直交する向きに全幅にわたって、幅150μmの線状にレーザを出力100Wの条件にて照射し、この照射を圧延方向へ5mmの間隔で繰り返す、密着緩和処理を行った。そして、該鋼板表面のマスキング膜に対してアクリル製毛材のロールブラシによるブラッシングと洗浄水による水洗とを施した後、電解エッチングを施して最終溝幅150μmおよび溝深さ15μmとなる線状溝を、圧延方向に5mmの間隔で、片面のみ形成した。なお、残存するマスキング膜は、アルカリ性水溶液に浸漬させた後、ロールブラシによるブラッシングと中和剤による水洗と洗浄水による水洗とにより除去した。
また、上記の処理とは別に、レーザ照射により鋼板に直接溝を加工形成する処理と、ロール印刷により溝形成部分以外の鋼板表面部分にマスキング剤を塗布した後、電解エッチングにより溝を形成する処理も実施した。
上記した各処理後の鋼板について、光学顕微鏡で溝の最大深さの1/10の深さ位置における、溝の両壁間の距離を、任意の溝の任意の位置10箇所で測定するとともに、溝周囲のバリの有無を確認した。そして、測定した10箇所の各幅の平均値wおよび10個のw測定値の分散(母分散)をσとしたときに、測定した10箇所の幅wがいずれもσ/w≦0.4となるものを溝幅のばらつきが「なし」と判断した。
次いで、50vol%H−50vol%Nの湿潤雰囲気下で840℃×80秒の一次再結晶焼鈍を兼ねた脱炭焼鈍を施した。その後、MgOを主体とする焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布し、乾燥した後、二次再結晶焼鈍と水素雰囲気下で1200℃×7時間の純化処理を含む仕上焼鈍を施した。さらに、50%のコロイダルシリカとリン酸マグネシウムからなる張力コーティングを施した。
斯くして得られた製品板から、鋼板幅方向に幅100mmの試験片を各条件で10枚ずつ採取し、JIS C2556に記載の方法で鉄損W17/50を測定し、平均値を求めた。この鉄損測定方法によれば、鉄損のばらつきが幅方向にある場合には測定値が悪化するので、ばらつきを含めて鉄損を評価できると考えられるからである。その結果を、バリの有無や溝幅のばらつきとともに、表1に示す。
同表より、絶縁被膜にレーザを照射した後、ブラッシングと水洗で直線状の溝パターンを形成させた後、電解エッチングを施すことで鉄損が低減し、さらにバリや形状不良(溝幅のばらつき)も発生していないことがわかる。
Figure 0006040905
本発明は、上記の実験結果に基づいてなされたものであり、その要旨構成は次のとおりである。
1.方向性電磁鋼板の表面に、該鋼板の圧延方向と交わる向きに延びる線状溝を圧延方向に繰り返し形成するに当たり、該鋼板の表面をマスキング剤による被膜で被覆したのち、前記被膜の前記線状溝に対応する部分に密着緩和処理を施し、次いで前記被膜の前記線状溝に対応する部分を除去してから、鋼板表面にエッチングを施して前記被膜除去部分に線状溝を形成することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
2.方向性電磁鋼板の表面に、該鋼板の圧延方向と交わる向きに延びる線状溝を圧延方向に繰り返し形成するに当たり、該鋼板の表面を張力コーティング被膜で被覆したのち、前記被膜の前記線状溝に対応する部分に密着緩和処理を施し、次いで前記被膜の前記線状溝に対応する部分を除去してから、鋼板表面にエッチングを施して前記被膜除去部分に線状溝を形成することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
3.前記変質処理は、レーザ、プラズマ炎、電子ビームおよび紫外線のいずれか少なくとも1種を照射して行うことを特徴とする前記1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
.前記線状溝は、幅をwおよび幅の分散をσとしたとき、0≦σ/w≦0.4を満足することを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
ここで、幅wは、鋼板表面から溝最大深さの1/10の深さ位置における、溝の両壁間の距離であり、任意の少なくとも10箇所について測定した値の平均値である。また、幅の分散σとは、任意の少なくとも10箇所について幅wを測定したときの10個のw測定値の分散(母分散)である。
5.前記密着緩和処理は、レーザ、プラズマ炎、電子ビームおよび紫外線のいずれか少なくとも1種を照射して行うことを特徴とする前記1〜4のいずれかに記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
本発明では、マスキング剤を用いる手法にて、鋼板表面に線状溝を導入するに際して、線状溝を導入する部位に対応するマスキング膜部分を密着緩和させた後、当該線状溝を導入する部位に対応するマスキング膜部分の除去工程を実施するようにしたため、エッチングによって形成する線状溝の溝幅や溝間隔のばらつきが小さくなる結果、低鉄損でかつ鉄損のばらつきの小さい方向性電磁鋼板を提供できる。
1mあたりの鋼板露出部分の面積と(レーザ出力/レーザの走査速度)の関係を示すグラフである。 鉄損と(σ/w)との関係を示すグラフである。
以下、本発明に従う方向性電磁鋼板の製造条件に関して具体的に説明する。
まず、本発明に用いる方向性電磁鋼板用スラブの成分組成は、二次再結晶が生じる成分組成であればよい。この成分組成の好適例については、後述する。なお、インヒビターを利用する場合、例えばAlN系インヒビターを利用する場合であればAlおよびNを、またMnS・MnSe系インヒビターを利用する場合であればMnとSeおよび/またはSを適量含有させればよい。勿論、両インヒビターを併用してもよい。この場合におけるAl、N、SおよびSeの好適含有量はそれぞれ、質量%で、Al:0.01〜0.065%、N:0.005〜0.012%、S:0.005〜0.03%、Se:0.005〜0.03%である。
さらに、本発明は、Al、N、S、Seの含有量を制限した、いわゆるインヒビターレスの方向性電磁鋼板にも適用することができる。この場合には、Al、N、SおよびSe量はそれぞれ、質量ppmで、Al:100ppm以下、N:50ppm以下、S:50ppm以下、Se:50ppm以下に抑制することが好ましい
次に、本発明に供して好適な方向性電磁鋼板用スラブの、基本成分および任意添加成分について具体的に述べる。なお、以下、鋼板成分においての%およびppm表示は、特に断らない限り、質量%および質量ppmを意味する。
C:0.08%以下
Cは、熱延板組織の改善のために添加をするが、0.08%を超えると磁気時効の起こらない50ppm以下までCを製造工程中に低減することが困難になるため、0.08%以下とすることが好ましい。なお、下限に関しては、Cを含まない素材でも二次再結晶が可能であるので特に設ける必要はない。
Si:2.0〜4.5%
Siは、鋼の電気抵抗を高め、鉄損を改善するのに有効な元素であるが、含有量が2.0%に満たないと十分な鉄損低減効果が達成できず、一方、4.5%を超えると加工性が著しく低下し、また磁束密度も低下するため、Si量は2.0〜4.5%の範囲とすることが好ましい。
Mn:0.005〜1.0%
Mnは、熱間加工性を良好にする上で必要な元素であるが、含有量が0.005%未満ではその添加効果に乏しく、一方1.0%を超えると製品板の磁束密度が低下するため、Mn量は0.005〜1.0%の範囲とすることが好ましい。
上記の基本成分以外に、磁気特性改善成分として、次に述べる元素を適宜含有させることができる。
Ni:0.03〜1.50%、Sn:0.01〜1.50%、Sb:0.005〜1.50%、Cu:0.03〜3.0%、P:0.03〜0.50%、Mo:0.005〜0.10%およびCr:0.03〜1.50%のうちから選んだ少なくとも1種
Niは、熱延板組織を改善して磁気特性を向上させるために有用な元素である。しかしながら、含有量が0.03%未満では磁気特性の向上効果が小さく、一方1.5%を超えると二次再結晶が不安定になり磁気特性が劣化する。そのため、Ni量は0.03〜1.5%の範囲とするのが好ましい。
また、Sn、Sb、Cu、P、MoおよびCrはそれぞれ磁気特性の向上に有用な元素であるが、いずれも上記した各成分の下限に満たないと、磁気特性の向上効果が小さく、一方、上記した各成分の上限量を超えると、二次再結晶粒の発達が阻害されるため、それぞれ上記の範囲で含有させることが好ましい。
なお、上記成分以外の残部は、製造工程において混入する不可避的不純物およびFeである。
次いで、上記した成分組成を有するスラブは、常法に従い加熱して熱間圧延に供するが、鋳造後、加熱せずに直ちに熱間圧延してもよい。薄鋳片の場合には熱間圧延しても良いし、熱間圧延を省略してそのまま以後の工程に進んでもよい。
さらに、必要に応じて熱延板焼鈍を施す。この時、ゴス組織を製品板において高度に発達させるためには、熱延板焼鈍温度として800〜1100℃の範囲が好適である。熱延板焼鈍温度が800℃未満であると、熱間圧延でのバンド組織が残留し、整粒した一次再結晶組織を実現することが困難になり、二次再結晶の発達が阻害される。一方、熱延板焼鈍温度が1100℃を超えると、熱延板焼鈍後の粒径が粗大化しすぎるために、整粒した一次再結晶組織の実現が極めて困難となる。
熱延板焼鈍後は、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施す。
さらに、再結晶焼鈍(脱炭焼鈍)を行い、焼鈍分離剤を塗布する。焼鈍分離剤を塗布した後に、二次再結晶の形成および必要に応じてフォルステライト被膜の形成を目的として最終仕上げ焼鈍を施す。
最終仕上げ焼鈍後には、平坦化焼鈍を行って形状を矯正することが有効である。
なお、本発明では、平坦化焼鈍前または後に、鋼板表面に絶縁被膜を施す。この絶縁被膜は、鉄損低減のために、鋼板に張力を付与できる被膜(以下、張力コーティングという)を意味する。なお、張力コーティングとしては、シリカを含有する無機系コーティングや物理蒸着法、化学蒸着法等によるセラミックコーティング等を適用できる。
ここに、本発明では、上記した方向性電磁鋼板に、線状溝の形成による磁区細分化処理(溝形成処理)を施すが、この線状溝の形成は、上述した方向性電磁鋼板の一連の製造工程における最終の冷間圧延の後であれば、磁区細分化に有効な線状溝の断面形状、すなわち、溝の延びる方向で溝が途切れることなく連続であり、かつ溝幅ばらつきの少ない均一な幅となる溝形状とすることができるため、二次再結晶を伴う最終仕上げ焼鈍の前でも後でも構わない。なお、マスキング剤を塗布する鋼板表面は、フォルステライト等のセラミック被膜がない金属表面とする必要があるため、最終冷間圧延後かつ再結晶焼鈍前の冷延板とすることが好ましい。
また、方向性電磁鋼板は、上述したように、製品とする直前に張力コーティングを施すが、この張力コーティング後に、本発明を適用することも可能である。その場合は、マスキング膜の代わりの張力コーティング膜に密着緩和処理を施して、線状溝部分の除去を容易にする必要がある。そのためには、密着緩和処理を、張力コーティングが剥離せず、張力コーティング表面に疵や亀裂が若干発生する程度に止めた条件で行うことが好ましい。
なお、張力コーティング後に溝形成を行うと、溝形成部分の張力コーティングが除去されるため、その部分の再コーティングが必要となる。
本発明において、マスキング膜の溝形成領域に対応する部分に施す密着緩和処理は処理領域と非処理領域とで膜の密着性あるいは強度に差異が生じる効果が得られれば、特に手法は限定されないが、レーザ、プラズマ炎、電子ビームおよび紫外線などの照射によって実現することができる。いずれの場合も、マスキング膜を剥がれやすくできるものであれば、どのような照射源でも適用できる。
例えば、レーザは、CO2、希ガス、ルビー結晶やYAG結晶、あるいは半導体を照射源とし、パルスあるいは連続的にレーザーを発振させ、そのレーザ出力と走査速度の比が200(J/m)以下の条件であり、
プラズマ炎は、水素あるいはアルゴンなどの希ガスを照射源とし、マスキング膜を完全に除去しきらない程度の時間、照射を行う条件であり、
電子ビームは、タングステンなどのフィラメントを照射源とし、パルスあるいは連続的に照射を行い、その出力と走査速度の比が200(J/m)以下の条件であり、および
紫外線は、水銀灯、キセノンアーク灯、ジュウテリウムアーク灯、水銀キセノンアーク灯などにより照射を、樹脂が均一に脆化し、分解できる適正な量と波長で照射する条件である。
一方、マスキング剤についても、上記の密着緩和処理を経た際に、当該処理部分が剥がれやすくなる薬剤であることが好ましい。かようなマスキング剤としては、フェノール樹脂やアルキド樹脂のような高分子化合物からなる合成樹脂、あるいはゴムのような天然樹脂が挙げられる。
また、前記密着緩和処理では、マスキング剤として紫外線硬化樹脂を使い紫外線を照射することでマスキング剤を定着させることもできる。その場合には、紫外線硬化型の樹脂を塗布した後、線状溝に対応する部分以外の部分に紫外線を照射することで硬化させ、線状溝に対応する部分の硬化していない樹脂のみを除去する。
次に、マスキング膜を選択除去する工程では、レーザ照射等で剥がれやすくなったマスキング膜部分を除去する。例えば、回転するブラシロールを押し付ける、またはブラシロールと水洗の組み合わせのように、剥がれやすくなったマスキング剤に外力を作用させることによって除去する。このときブラシロールの代わりに粘着剤のついたロールを押し付けたり、あるいは高圧の水を噴射させたりしてマスキング剤を除去してもよい。
以上のとおり、本発明では、マスキング膜を密着緩和させるだけにとどめるため、その処理部分だけを高い精度で除去できるようになるため、以下の従来技術が抱える諸問題を解消することが可能である。
すなわち、従来の方法では、レーザ照射やプラズマ炎により鋼板表面を加工し溝を形成させていたが、この手法では溝の周辺に溶けた鉄が付着し(本発明ではバリと称している)、製品板の占積率と絶縁性を著しく劣化させる。また、マスキング膜をレーザ照射やプラズマ炎により直接除去し、その後電解エッチングを行う手法も知られているが、この手法ではマスキング剤を過剰に除去するため、溝幅が大きくばらつき、製品板の磁気特性を劣化させることになる。
最後に、エッチングで形成する線状溝は、その幅wが10μm未満になると、該溝部分を磁束が渡るために、磁区細分化によって鉄損が十分に低減されない、おそれがあり、一方、幅が400μmを超えると、鋼板の鋼成分の減少により磁束密度が低下する、おそれがある。そのために、溝幅wは10μm≦w≦400μmであることが好ましい。
また、この溝幅の分散σが大きい鋼板では溝の途切れや適正な溝幅および溝深さからの逸脱が大きくなり磁気特性を劣化することになる。適正な溝幅の分散σの好適範囲はσ/w≦0.4である。より好ましくはσ/w≦0.3である。なぜなら、σ/wが0.4を超えると、
溝幅や溝深さのばらつきが大きくなり、鋼板内での位置による鉄損のばらつきが大きくなるとともに、適正な溝幅や溝深さから逸脱して形成された溝に幅広く浅い部分が生じたり、溝が途切れたりするなどして鉄損自体も劣化する傾向がある。
さらに、エッチングで形成する溝の深さが5μm未満では、磁区細分化によって鉄損が十分に低減されない、おそれがあり、一方、深さが40μmより深いと、溝直下の磁束集中による鉄損増大が顕著になる、おそれがある。そのため溝の深さは5μm≦d≦40μmであることが好ましい。
ちなみに、上記の溝形成処理を最終仕上げ焼鈍後に行った場合は、鋼板に溝形成処理による熱歪みが導入され、溝形成の効果と熱歪み導入の効果とが組み合わさって、極めて優れた鉄損低減効果が得られる。従って、製品板出荷後に需要家で熱処理を行わない場合は、本発明に従う溝形成処理を最終仕上げ焼鈍後に行うことが望ましい。
C:0.05mass%、Si:3.3mass%およびMn:0.08mass%を含有する鋼を溶製し、連続鋳造法で鋼スラブとした後、1400℃に加熱し、熱間圧延により板厚:2.0mmの熱延板に仕上げ、1000℃で熱延板焼鈍を施した。ついで、中間焼鈍を含む二回冷延法にて0.23mmの最終冷延板とした。
この最終冷延板に、ポリエステル樹脂を有機溶剤に溶かしたマスキング剤を両面当り20g/m2の塗布量で塗布してマスキング膜とした後、鋼板の圧延方向と直交する向きに全幅にわたって、幅150μmの線状にレーザを種々の出力にて照射し、この照射を圧延方向へ5mmの間隔で繰り返した。その後、該鋼板表面のマスキング膜に対してアクリル製毛材のブラシロールによるブラッシングと洗浄水による水洗とを行った後、電解エッチングを施して最終溝幅150μm、溝深さ15μmとなる線状溝を、圧延方向に5mmの間隔で、片面のみ形成した。なお、残存するマスキング膜は、アルカリ水溶液に浸漬させた後、ロールブラシによるブラッシングと、中和剤および洗浄水による水洗を行った。
また、レーザ照射後の板と電解エッチング直前の板(マスキング膜の溝対応部分の除去工程後)を採取し、鋼板がマスキング膜に覆われていない部分の面積を光学顕微鏡写真より測定した。長さ1mあたりの照射したレーザのエネルギー(レーザの出力/レーザの走査速度)と鋼板が露出した部分の面積との関係を図1に示す。これより適正な出力のレーザを照射し、その後、マスキング膜を除去することで安定してレーザを照射した部分だけを除去できることがわかる。すなわち、線状溝を設計通りに設けた場合の1m2当たりの面積は0.03m2であるから、この0.03m2にマスキング膜の溝対応部分の除去工程後(図1の被膜除去工程後)の面積があれば、正確な除去が行われたことになり、この事例ではレーザのエネルギーを、10〜250J/mとする条件下で密着緩和処理が達成されたことがわかる。
次いで、50vol%H−50vol%Nの湿潤雰囲気下で840℃×80秒の一次再結晶焼鈍を兼ねた脱炭焼鈍を施した。その後、MgOを主体とする焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布し、乾燥した後、二次再結晶焼鈍と水素雰囲気下で1200℃×7時間の純化処理を含む仕上焼鈍を施した。さらに、50%のコロイダルシリカとリン酸マグネシウムからなる張力コーティングを塗布した。
斯くして得られた製品板から、鋼板幅方向に幅100mmの試験片を各条件で10枚ずつ採取し、JIS C2556に記載の方法で鉄損W17/50を測定し、その平均値を求めた。また、鉄損測定に用いた試験片の溝幅wとその分散σを表面粗度計により測定した。すなわち、溝幅wは、測定間隔20mmとし100mm幅の試験片10枚について各4点で計40点について測定した溝幅の平均値とした。分散σは、これら40点の溝幅の測定値から求めた分散(母分散)とした。その結果をσ/wと鉄損との関係として図2に示した。同図より、σを小さくすることで低鉄損となり、特にσ/wが0.4以下になると鉄損のばらつきが小さくなることがわかる。

Claims (5)

  1. 方向性電磁鋼板の表面に、該鋼板の圧延方向と交わる向きに延びる線状溝を圧延方向に繰り返し形成するに当たり、該鋼板の表面をマスキング剤による被膜で被覆したのち、前記被膜の前記線状溝に対応する部分に密着緩和処理を施し、次いで前記被膜の前記線状溝に対応する部分を除去してから、鋼板表面にエッチングを施して前記被膜除去部分に線状溝を形成することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 方向性電磁鋼板の表面に、該鋼板の圧延方向と交わる向きに延びる線状溝を圧延方向に繰り返し形成するに当たり、該鋼板の表面を張力コーティング被膜で被覆したのち、前記被膜の前記線状溝に対応する部分に密着緩和処理を施し、次いで前記被膜の前記線状溝に対応する部分を除去してから、鋼板表面にエッチングを施して前記被膜除去部分に線状溝を形成することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 前記鋼板は、冷間圧延後かつ一次再結晶焼鈍前の方向性電磁鋼板であることを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  4. 前記線状溝は、幅をwおよび幅の分散をσとしたとき、0≦σ/w≦0.4を満足することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
    ここで、幅wは、鋼板表面から溝最大深さの1/10の深さ位置における、溝の両壁間の距離であり、任意の少なくとも10箇所について測定した値の平均値である。また、幅の分散σとは、任意の少なくとも10箇所について幅wを測定したときの10個のw測定値の分散(母分散)である。
  5. 前記密着緩和処理は、レーザ、プラズマ炎、電子ビームおよび紫外線のいずれか少なくとも1種を照射して行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
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