JP6040488B2 - マグネシウム合金及びその製造方法 - Google Patents

マグネシウム合金及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、マグネシウム合金及びその製造方法に関する。
省エネルギー社会を構築する上で、輸送機器の素材軽量化は急務であり、近年、構造用金属材料としては最軽量であるMg合金の展伸材としての利用拡大が期待されている。
本発明者らは、優れた加工性と機械的特性を有する展伸材Mg合金の新規組成開発を試み、長周期積層(LPSO)構造相を有する高強度耐熱Mg−Zn−希土類元素(RE)合金を開発してきた(例えば特許文献1参照)。このLPSO相を有するMg合金は、応力を加えられても双晶変形を起こさずに高い応力下においてキンク変形するため、高い強度と大きな延性を発現することが明らかになっており、第二相としてのLPSO相をキンク変形型の強化相として有効活用するというコンセプトに基づいて現在も機械的特性の更なる改善のための研究が進行している。
しかしながら、LPSO相を有するMg合金は典型的な二相合金であるため、ガルバニック腐食が進行しやすいといった問題点も有しており、実用化を目指す上で機械的特性向上と耐食性付与の両立が課題として残っていた。
WO2006/036033
本発明の一態様は、機械的特性向上と耐食性付与を両立させたマグネシウム合金またはその製造方法を提供することを課題とする。
本発明の一態様は、Znをa原子%含有し、Alをb原子%含有し、Gdをc原子%含有し、残部がMgからなり、aとbとcは下記式(1)〜(4)を満たすマグネシウム合金を製造するマグネシウム合金の製造方法であって、
前記マグネシウム合金は長周期積層構造または最密原子面積層欠陥を含む相を有する結晶組織を備えていることを特徴とするマグネシウム合金の製造方法である。
(1)0.01≦a+b≦2.0
(2)0.2≦c≦5.0
(3)0≦a
(4)0<b
また、本発明の一態様において、前記長周期積層構造または最密原子面積層欠陥を含む相はMg82AlGd10からなるとよい。
また、本発明の一態様において、前記マグネシウム合金に熱処理を行うことにより長周期積層構造または最密原子面積層欠陥を含む相をさらに析出させるとよい。
また、本発明の一態様において、前記熱処理は、450K〜773Kの温度範囲で0.5〜100時間の条件で行われるとよい。
また、本発明の一態様において、前記マグネシウム合金に溶体化処理を行った後に、前記マグネシウム合金に熱処理を行うことにより長周期積層構造または最密原子面積層欠陥を含む相をさらに析出させるとよい。
なお、溶体化処理を行った後のマグネシウム合金は、長周期積層構造または最密原子面積層欠陥を含む相を有する結晶組織を備えている。
また、本発明の一態様において、前記マグネシウム合金に塑性加工を行うことにより前記長周期積層構造または最密原子面積層欠陥を含む相の少なくとも一部を湾曲又は屈曲させるとよい。
この塑性加工は、溶体化処理後に熱処理を行った後に行ってもよいし、溶体化処理、熱処理および塑性加工を行う順序を適宜入れ替えてもよいし、溶体化処理および熱処理のいずれか一方または両方を行わずに塑性加工を行ってもよいし、この場合も順序を適宜入れ替えてもよい。
また、本発明の一態様において、前記マグネシウム合金を切削することによってチップ形状の切削物を作製し、前記切削物をせん断が付加されるようにして固化するとよい。
この切削および固化は、溶体化処理、熱処理および塑性加工を行った後に行ってもよいが、溶体化処理、熱処理、塑性加工、切削および固化を行う順序を適宜入れ替えてもよいし、溶体化処理、熱処理および塑性加工の少なくとも一つを行わずに切削および固化を行ってもよいし、この場合も順序を適宜入れ替えてもよい。
本発明の一態様は、Znをa原子%含有し、Alをb原子%含有し、Gdをc原子%含有し、残部がMgからなり、aとbとcは下記式(1)〜(4)を満たすマグネシウム合金であって、
長周期積層構造または最密原子面積層欠陥を含む相およびhcp構造マグネシウム相を有する結晶組織を具備することを特徴とするマグネシウム合金である。
(1)0.01≦a+b≦2.0
(2)0.2≦c≦5.0
(3)0≦a
(4)0<b
また、本発明の一態様において、前記長周期積層構造または最密原子面積層欠陥を含む相はMg82AlGd10からなるとよい。
本発明の一態様を適用することで、機械的特性向上と耐食性付与を両立させたマグネシウム合金またはその製造方法を提供することができる。
Mg97Zn1−XAlGd(原子%)合金鋳造材(X=0,0.1,0.5,1.0)の組織観察結果としてSEM像を示す写真である。 図1に示すSEM像を拡大した写真である。 Mg97Zn1−XAlGd(原子%)合金鋳造材(X=0,0.1,0.5,1.0)の表面電位測定結果としての表面電位分布図である。 Mg97Zn1−XAlGd(原子%)合金鋳造材(X=0,0.1,0.5,1.0)の母相と第二相との電位差のAl添加量依存性を示すグラフである。 Mg97Zn1−XAlGd(原子%)合金鋳造材(X=0,0.1,0.5,1.0)の浸漬腐食試験結果として腐食速度のAl添加量依存性を示すグラフである。 Mg97Zn1−XAlGd(原子%)合金熱処理材(X=0,0.1,0.5,1.0)の組織観察結果としてSEM像を示す写真である。 図6に示すSEM像を拡大した写真である。 Mg97Zn1−XAlGd(原子%)合金熱処理材(X=0,0.1,0.5,1.0)の表面電位測定結果としての表面電位分布図である。 Mg97Zn1−XAlGd(原子%)合金熱処理材(X=0,0.1,0.5,1.0)の母相と第二相との電位差のAl添加量依存性を示すグラフである。 Mg97Zn1−XAlGd(原子%)合金熱処理材(X=0,0.1,0.5,1.0)の浸漬腐食試験結果として腐食速度のAl添加量依存性を示すグラフである。 Mg97Zn1−XAlGd(原子%)合金鋳造材(X=0,0.1,0.5,1.0)とMg97Zn1−XAlGd(原子%)合金熱処理材(X=0,0.1,0.5,1.0)の腐食速度のAl添加量依存性を示すグラフである。 Mg97Zn1−XAlGd(原子%)合金熱処理材(X=0,0.1,0.5,1.0)の腐食表面の光学顕微鏡写真である。 Mg97Zn1−XAlGd(原子%)合金熱処理後押出材(X=0,0.1,0.5,1.0)の機械的特性(引張特性)を示すグラフである。
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
Alは、マグネシウム合金にとって耐食機能元素である。長周期積層構造相を有するマグネシウム合金であるMg−Zn−Y系合金へAlを添加するとことにより、Mg−Zn−Y系合金に形成される腐食皮膜が改質され耐食性が向上する。
しかし、過剰なAlの添加はAlZn化合物の形成を促し、結果として長周期積層構造相の形成を阻害する。これは、耐食性付与を優先すると機械的特性が低下し、逆に機械的特性付与を優先すると耐食性が低下するというtrade-offがあることを意味する。
Mg−Zn−Gd合金系のZnをAlで置換して行くことで、強度発現に寄与する長周期積層構造相を維持しつつ、耐食性を向上させるAlを合金組織に内包させることが可能となる。
マグネシウム合金の耐食性を向上させるためにはAlを添加することが有効であるが、例えばMg−Zn−Y系合金に形成されるMg85Zn10からなる長周期積層構造相にはAlは固溶できないため、十分な耐食性を得ようとしてもAlの添加量に限界値がある。
しかしながら、Mg-(Zn/Al)-Gd系合金に形成されるMg82AlGd10からなる長周期積層構造相は、その構造を構成する元素としてAlを含むため、耐食性を保証するために必要な量のAl元素を添加することが可能となる。言い換えると、多くのAlを添加して耐食性を向上させても長周期積層構造相の形成を阻害することがないため、耐食性の付与と機械的特性の向上を両立させることが可能となる。
(実施の形態1)
本発明の一態様に係るマグネシウム合金は、長周期積層構造または最密原子面積層欠陥を含む相およびhcp構造マグネシウム相を有する結晶組織を備え、Znをa原子%含有し、Alをb原子%含有し、Gdをc原子%含有し、残部がMgからなり、aとbとcは下記式(1)〜(4)を満たし、より好ましくは、aとbが下記式(1')〜(4')を満たすことである。
(1)0.01≦a+b≦2.0
(2)0.2≦c≦5.0
(3)0≦a
(4)0<b
(1')0.01≦a+b≦2.0
(2')0.2≦c≦2.0
(3')0≦a
(4')0<b
また、長周期積層構造または最密原子面積層欠陥を含む相はMg82AlGd10からなるとよい。Mg82AlGd10からなる長周期積層構造または最密原子面積層欠陥を含む相は、その構造を構成する元素としてAlを含むため、多くのAlを添加して耐食性を向上させても長周期積層構造または最密原子面積層欠陥を含む相の形成を阻害することがないため、耐食性の付与と機械的特性の向上を両立させることができる。
ZnとAlおよびGdを上記の含有量の範囲とした理由は次のとおりである。
ZnとAlの合計含有量が2.0原子%超であると、長周期積層構造相または最密原子面積層欠陥を含むhcp構造マグネシウム相以外のAlを含む相が優先的に形成されるため好ましくないからである。
ZnとAlの合計含有量が0.01原子%未満であると、長周期積層構造相が形成されないからである。
Gd含有量が5.0原子%超であると、長周期積層構造相または最密原子面積層欠陥を含むhcp構造マグネシウム相以外のGdを含む化合物相が形成されるからである。
Gd含有量が0.2原子%未満であると、長周期積層構造相が形成されず、AlとMgからなる化合物が優先的に形成されるからである。
本実施の形態のマグネシウム合金では、前述した範囲の含有量を有するZnとAlとGd以外の成分がマグネシウムとなるが、合金特性に影響を与えない程度の不純物や他の元素を含有しても良い。つまり、上記の「残部がMgからなり」とは、残部がすべてMgからなる場合を意味するだけではなく、残部に合金特性に影響を与えない程度の不純物や他の元素を含む場合も意味する。
本実施の形態によれば、優れた機械的性質と高耐食性を兼ね備えるマグネシウム合金を得ることができ、このマグネシウム合金は機械的特性を向上させる長周期積層構造または最密原子面積層欠陥を含む相を有している。
(実施の形態2)
本実施の形態によるマグネシウム合金の製造方法について説明する。
まず、ZnとAlとGdを含有し、残部がMgからなるマグネシウム合金を作製する。このマグネシウム合金の組成は、実施の形態1と同様である。マグネシウム合金は、溶解鋳造によって作製しても良いし、ガス・アトマイズ法等の急速凝固法によって作製しても良い。このマグネシウム合金は、長周期積層構造または最密原子面積層欠陥を含む相を有する結晶組織を備えている。長周期積層構造または最密原子面積層欠陥を含む相はMg82AlGd10からなる。
なお、従来は、マグネシウムに、Zn、Ni、Co、Cuといった遷移金属元素(TM)とY、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tmといった希土類元素(RE)を組み合わせて添加することで、長周期積層相を有するMg合金を得ていたが、本発明の一態様は、遷移金属ではないAlをZnと置換添加することで長周期積層構造または最密原子面積層欠陥を含む相を得ることに成功した。
次に、このマグネシウム合金に溶体化する溶体化処理を行った後に、453〜773K(好ましくは600〜773K)の温度範囲で0.5〜100時間(好ましくは30〜100時間)の時効を行う熱処理を施す。このように時効することにより、効率的にマグネシウム合金に長周期積層構造または最密原子面積層欠陥を含む相をさらに析出させることができる。
なお、ここで言う溶体化処理とは、鋳造時に不可避的に形成される第二相を母相になるべく固溶(溶体化)させる処理を言う。
次に、長周期積層構造または最密原子面積層欠陥を含む相を析出させたマグネシウム合金に塑性加工を行う。この塑性加工の方法としては、例えば押出し、ECAE(equal−channel−angular−extrusion)加工法、圧延、引抜及び鍛造、これらの繰り返し加工、FSW加工などを用いる。
押出しによる塑性加工を行う場合は、押出し温度を250℃以上500℃以下とし、押出しによる断面減少率を5%以上とすることが好ましい。
ECAE加工法は、試料に均一なひずみを導入するためにパス毎に試料長手方向を90°ずつ回転させる方法である。具体的には、断面形状がL字状の成形孔を形成した成形用ダイの前記成形孔に、成形用材料であるマグネシウム合金鋳造物を強制的に進入させて、特にL状成形孔の90°に曲げられた部分で前記マグネシウム合金鋳造物に応力を加えて強度及び靭性が優れた成形体を得る方法である。ECAEのパス回数としては1〜8パスが好ましい。より好ましくは3〜5パスである。ECAEの加工時の温度は250℃以上500℃以下が好ましい。
圧延による塑性加工を行う場合は、圧延温度を250℃以上500℃以下とし、圧下率を5%以上とすることが好ましい。
引抜加工による塑性加工を行う場合は、引抜加工を行う際の温度が250℃以上500℃以下、前記引抜加工の断面減少率が5%以上であることが好ましい。
鍛造による塑性加工を行う場合は、鍛造加工を行う際の温度が250℃以上500℃以下、前記鍛造加工の加工率が5%以上であることが好ましい。
上記のようにマグネシウム合金に塑性加工を行った塑性加工物は、塑性加工を行う前に比べてより高強度・高延性・高靭性のマグネシウム合金とすることができる。また、この塑性加工物は、常温において長周期積層構造または最密原子面積層欠陥を含む相を備えた結晶組織を有し、この長周期積層構造または最密原子面積層欠陥を含む相の少なくとも一部は湾曲または屈曲している。この湾曲又または屈曲は、長周期積層構造または最密原子面積層欠陥を含む相がキンキングしていることであっても良い。キンキングとは、強加工された長周期積層構造または最密原子面積層欠陥を含む相が特に方位関係を持たず、相内で折れ曲がり(bent)を生じ、長周期積層構造または最密原子面積層欠陥を含む相が微細化されることである。
また、前記塑性加工物はhcp構造マグネシウム相を有する。
前記塑性加工物については、塑性加工を行う前のマグネシウム合金材に比べてビッカース硬度及び降伏強度がともに上昇する。
上記実施の形態1および2によれば、マグネシウム合金に長周期積層構造または最密原子面積層欠陥を含む相を有する結晶組織を形成するため、強度及び靭性ともに実用に供するレベルにある高強度高靭性なマグネシウム合金を得ることができる。
また、本実施の形態によれば、優れた機械的性質と高耐食性を兼ね備えるマグネシウム合金を得ることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態によるマグネシウム合金は、実施の形態2と同様の方法により長周期積層構造または最密原子面積層欠陥を含む相を形成したマグネシウム合金材を用意し、このマグネシウム合金材を切削することによって作られた複数の数mm角以下のチップ形状の切削物を作製し、この切削物をせん断が付加されるようにして固化したものである。
本実施の形態においても実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
また、チップ形状の切削物を固化したマグネシウム合金は、切削および固化を行わないマグネシウム合金に比べてより高強度・高延性・高靭性のマグネシウム合金とすることができる。
なお、上記の実施の形態1〜3に係るマグネシウム合金は、高温雰囲気で使用される部品、例えば、自動車用部品、特に内燃機関用ピストン、バルブ、リフター、タペット、スプロケット灯等に使用することができる。
Arガス雰囲気中で高周波溶解によってMg97Zn1−XAlGd(at%)(X=0,0.1,0.5,1.0)のインゴットを作製し、このインゴットからφ10×60mmの形状に切り出すことにより鋳造材のサンプル1を作製した。
(鋳造材の組織写真)
図1および図2に、サンプル1であるMg97Zn1−XAlGd(at%)合金鋳造材(X=0,0.1,0.5,1.0)のSEM像を示す。
Al0%(X=0)の鋳造材には、MgGdが形成され、長周期積層(LPSO)構造相は観察されないが、Al0.1%(X=0.1)およびAl0.5%(X=0.5)の鋳造材には、LPSO相の形成が確認された。Al0.1%の鋳造材にはLPSO相が形成され始め、Al0.5%の鋳造材にはAl0.1%の鋳造材よりLPSO相が多く形成された。また、Al1.0%(X=1.0)の鋳造材(Zn無添加材)中にはLPSO相は形成されず、観察されなかった。
(鋳造材の表面電位測定結果)
図3に、サンプル1であるMg97Zn1−XAlGd(at%)合金鋳造材(X=0,0.1,0.5,1.0)の表面電位分布図を示す。
図3に示すように、Al添加量が増大するとともに、鋳造材の母相と第二相との電位差が小さくなっていく様子が観察される。
図4 に、サンプル1であるMg97Zn1−XAlGd(at%)合金鋳造材(X=0,0.1,0.5,1.0)の母相と第二相との電位差のAl添加量依存性をグラフにして示す。
つまり、図4は、Al添加量が表面電位差に及ぼす影響を示している。Al添加量の増大とともに、母相と第二相との電位差が小さくなっている。これは、Al添加量の増大とともに、局部腐食の発生が抑制される可能性を示している。
(鋳造材の腐食速度測定結果)
図5に、サンプル1であるMg97Zn1−XAlGd(at%)合金鋳造材(X=0,0.1,0.5,1.0)の浸漬腐食試験結果として腐食速度のAl添加量依存性を示す。
この浸漬腐食試験は、1wt%NaCl中性水溶液浸漬試験であり、298Kの温度、大気雰囲気の0.17M NaCl水溶液にサンプル1を浸漬させることにより行った。
図5に示すように、Al添加量の増大とともに腐食速度は低下する傾向を示した。
次に、上記のサンプル1に熱処理を行った熱処理材のサンプル2を作製した。詳細には、793Kの温度で2時間の溶体化処理を行った後に、773Kの温度で10時間の熱処理を行ったサンプル2を作製した。
(熱処理材の組織写真)
図6および図7には、サンプル2であるMg97Zn1−XAlGd(at%)合金熱処理材(X=0,0.1,0.5,1.0)のSEM像を示す。
図6および図7に示すように、773Kの温度で10時間の熱処理を施すことで、LPSO相が大量に形成された。また、X=0.5のMg97Zn0.5Al0.5Gd合金熱処理材では、LPSO相は、母相と大きな電位差をもつMgGd型化合物を包み込む形で析出してくるため、ガルバニック腐食発生を低減させる効果をもつ。
(熱処理材の表面電位測定結果)
図8には、サンプル2であるMg97Zn1−XAlGd(at%)合金熱処理材(X=0,0.1,0.5,1.0)の表面電位分布図を示す。773Kの温度で10時間の熱処理を施す事で、母相と化合物相との間の電位差も小さくなる。
図9には、サンプル2であるMg97Zn1−XAlGd(at%)合金熱処理材(X=0,0.1,0.5,1.0)の母相と第二相との電位差のAl添加量依存性をグラフにして示す。
つまり、図9は、Al添加量と電位差の関係を示すものであり、Al添加量の増大とともに電位差は小さくなる。
(熱処理材の腐食速度測定結果)
図10は、サンプル2であるMg97Zn1−XAlGd(at%)合金熱処理材(X=0,0.1,0.5,1.0)の浸漬腐食試験結果として腐食速度のAl添加量依存性を示す。この浸漬腐食試験は、図5と同様である。
Al0.5%(X=0.5)の熱処理材が最も優れた耐食性を示し、その腐食速度は、1wt%NaCl中性水溶液浸漬試験において1mm/year以下であった。
図11は、サンプル1のMg97Zn1−XAlGd(at%)合金鋳造材とサンプル2のMg97Zn1−XAlGd(原子%)合金熱処理材の浸漬腐食試験結果としての腐食速度のAl添加量依存性を示す。サンプル2の熱処理材の方がサンプル1の鋳造材より優れた耐食性を示した。
図12は、8時間塩水に浸漬させた後の合金表面を示す写真であり、詳細にはサンプル2であるMg97Zn1−XAlGd(at%)合金熱処理材(X=0,0.1,0.5,1.0)の腐食表面の光学顕微鏡写真を示す。Al添加量の増大とともに局部腐食(糸状腐食)が抑制されている様子が観察された。
次に、上記のサンプル2に延性重視の押出条件で押出加工を行った熱処理後押出材のサンプル3を作製した。延性重視の押出条件は、押出温度350℃、押出比10以上、押出ラム速度2.5 mm/s以上である。
(押出材の引張試験)
図13は、サンプル3であるMg97Zn1−XAlGd(at%)合金熱処理後押出材(X=0,0.1,0.5,1.0)の機械的性質(引張特性)を示す。延性重視の押出条件により作製したサンプル3の押出材であっても、Mg-(Zn/Al)-Gd合金系は、耐力で300MPaを越える強度を示すことがわかった。

Claims (7)

  1. Znをa原子%含有し、Alをb原子%含有し、Gdをc原子%含有し、残部がMgからなり、aとbとcは下記式(1)〜(4)を満たすマグネシウム合金を鋳造法により製造するマグネシウム合金の製造方法であって、
    前記マグネシウム合金の鋳造材は長周期積層構造を含む相を有する結晶組織を備えていることを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
    (1)0.01≦a+b≦2.0
    (2)0.2≦c≦5.0
    (3)0.5≦a≦0.9
    (4)0.1≦≦0.5
  2. 請求項1において、
    前記長周期積層構造を含む相はMg82AlGd10からなることを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
  3. 請求項1または2において、
    前記マグネシウム合金の鋳造材に溶体化処理を行った後に、前記マグネシウム合金の鋳造材に熱処理を行うことにより長周期積層構造を含む相をさらに析出させることを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
  4. 請求項1乃至のいずれか一項において、
    前記マグネシウム合金の鋳造材250℃以上500℃以下の温度で塑性加工を行うことにより前記長周期積層構造を含む相の少なくとも一部を湾曲又は屈曲させることを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
  5. 請求項1乃至のいずれか一項において、
    前記マグネシウム合金の鋳造材を切削することによってチップ形状の切削物を作製し、
    前記切削物をせん断が付加されるようにして固化することを特徴とするマグネシウム合金の製造方法。
  6. Znをa原子%含有し、Alをb原子%含有し、Gdをc原子%含有し、残部がMgからなり、aとbとcは下記式(1)〜(4)を満たすマグネシウム合金の鋳造材であって、
    長周期積層構造を含む相を有する結晶組織を具備することを特徴とするマグネシウム合金の鋳造材
    (1)0.01≦a+b≦2.0
    (2)0.2≦c≦5.0
    (3)0.5≦a≦0.9
    (4)0.1≦≦0.5
  7. 請求項において、
    前記長周期積層構造を含む相はMg82AlGd10からなることを特徴とするマグネシウム合金の鋳造材
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