JP6040285B1 - 着色が低減された水溶性食物繊維含有溶液の製造方法および水溶性食物繊維含有溶液の着色低減方法 - Google Patents

着色が低減された水溶性食物繊維含有溶液の製造方法および水溶性食物繊維含有溶液の着色低減方法 Download PDF

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Abstract

【課題】着色度が低減され、保存安定性の高い水溶性食物繊維含有溶液の提供。【解決手段】水溶性食物繊維と、非食物繊維性の単糖及び/又はオリゴ糖と、を溶液中で保持する工程を含んでなる着色が低減された水溶性食物繊維含有溶液の製造方法。溶液の固形分濃度が20〜85質量%、溶液を25〜70℃の温度条件下で保持、又は、水溶性食物繊維と、非食物繊維性の単糖及び/又はオリゴ糖と、の固形分比率が2:8〜9:1の範囲である着色が低減された水溶性食物繊維含有溶液の製造方法。非食物繊維性の単糖及び/又はオリゴ糖を有効成分として含む水溶性食物繊維の着色低減剤及び水溶性食物繊維含有溶液の着色低減方法。【選択図】なし

Description

本発明は着色が低減された水溶性食物繊維含有溶液の製造方法および水溶性食物繊維含有溶液の着色低減方法に関する。
水溶性食物繊維素材は、ボディ感の付与や酸性乳飲料の安定化効果等を有し、幅広い食品に低カロリー素材として利用されている。また、水溶性食物繊維素材は整腸作用、食後血糖の急激な上昇抑制する作用、血中の中性脂肪やコレステロールの低下作用等を有し、機能性食品素材として飲食品分野において広く利用されている(非特許文献1)。
水溶性食物繊維素材を溶液状態で飲食品、特に飲料に添加する場合は、飲料等の外観に影響を与えないように溶液の着色度が低いこと、すなわち溶液が無色透明に近いことが重要である。水溶性食物繊維素材の製造工程において、活性炭等による通常の脱色処理で着色度は低減されているが、それでもわずかな着色は避けられず、更なる着色低減技術の開発が望まれていた。
上記課題を解決する方法として、例えば、甜菜パルプの粉砕物を有機溶媒と混合し加熱する、無味無臭で脱色された食物繊維素材の製造方法が知られているが(特許文献1)、当該方法は特殊な原料を使用するものでありその汎用性は極めて低く、生産コスト等の点で大きな問題を有する。また、デンプン誘導体を一定条件下で水素化(水素添加処理)する食物繊維の脱色方法も知られているが(特許文献2)、当該方法は特殊な触媒や製造装置が必要であり煩雑な工程を伴うものであるため同様に大きな問題を有している。したがって、簡便、低コストかつ汎用性の高い水溶性食物繊維組成物(溶液)の着色低減(脱色)技術の開発が望まれていた。
また、水溶性食物繊維素材は溶液状態では分解されやすく食物繊維含量が経時的に低下する傾向がある。食物繊維含量の低下は、その製品価値を大きく低下させる重大な問題であり、その改善技術の開発も望まれていた。
食品と開発, Vol.48, No.1, pp49-57 (2013)
特開2006−61103号公報 特開2003−183304号公報
本発明は、着色度が低い水溶性食物繊維含有溶液を提供することを目的とする。本発明はまた、保存安定性の高い水溶性食物繊維含有溶液を提供することを目的とする。
本発明者らは、水溶性食物繊維と非食物繊維性の単糖および/またはオリゴ糖とを含んでなる溶液を保持することにより水溶性食物繊維の着色を低減できることを見出した。また、上記処理により水溶性食物繊維の分解が抑制され保存安定性が高められることを見出した。本発明はこれらの知見に基づくものである。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
(1)水溶性食物繊維と非食物繊維性の単糖および/またはオリゴ糖とを溶液中で保持する工程を含んでなる、着色が低減された水溶性食物繊維含有溶液の製造方法。
(2)溶液の固形分濃度が20〜85質量%である、上記(1)に記載の製造方法。
(3)溶液を25〜70℃の温度条件下で保持する、上記(1)または(2)に記載の製造方法。
(4)水溶性食物繊維と非食物繊維性の単糖および/またはオリゴ糖の固形分比率が2:8〜9:1の範囲である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法により製造された水溶性食物繊維含有溶液を添加する工程を含んでなる、水溶性食物繊維含有飲食品の製造方法。
(6)非食物繊維性の単糖および/またはオリゴ糖を有効成分として含んでなる、水溶性食物繊維の着色低減剤。
(7)水溶性食物繊維と非食物繊維性の単糖および/またはオリゴ糖とを溶液中で保持する工程を含んでなる、水溶性食物繊維含有溶液の着色低減方法。
(8)水溶性食物繊維と非食物繊維性の単糖および/またはオリゴ糖とを含んでなり、かつ、固形分濃度が20〜85質量%である溶液を25〜70℃の温度条件下で保持する工程を含んでなる、水溶性食物繊維含有溶液の保存安定化方法。
本発明によれば着色が低減された水溶性食物繊維含有溶液が提供される。本発明によればまた、溶液中での食物繊維の安定性が向上した水溶性食物繊維含有溶液が提供される。本発明により得られた水溶性食物繊維含有溶液は、従来の水溶性食物繊維粉末製品とは違って、水などの溶液に溶解させる操作が不要であり、タンク貯蔵、ポンプ輸送、タンクローリー輸送でき、その取扱いも容易である。また、本発明の製造方法はタンク貯蔵、ポンプ輸送、タンクローリー輸送中に実施することも可能である。さらに、本発明により得られた水溶性食物繊維含有溶液は、従来の水溶性食物繊維シラップと比較して、着色度が低く且つ食物繊維が安定であるとともに、一例としては甘味が付与されたシラップであることから、甘味料、呈味改良剤、機能性付加などとして各種飲食物、化粧品、医薬品などの製造に利用できる点で有利である。
図1は、実施例2の水溶性食物繊維含有溶液の着色低減確認試験(2)の結果を示した図である。すなわち、図1は、1〜12週間処理した各水溶性食物繊維含有溶液の着色低減率の経時変化を示したものである。 図2は、実施例5の水溶性食物繊維含有溶液の着色低減確認試験(5)の結果を示した図である。すなわち、図2は、30℃で1〜6日間処理した各水溶性食物繊維含有溶液の着色低減率の経時変化を示したものである。水溶性食物繊維として、Aは難消化性デキストリン、Bは難消化性グルカン(高純度)、Cはポリデキストロースを使用した。 図3は、実施例6の水溶性食物繊維含有溶液の着色低減確認試験(6)の結果を示した図である。すなわち、図3は、60℃で1〜3日間処理した各水溶性食物繊維含有溶液の着色低減率の経時変化を示したものである。水溶性食物繊維として、Aは難消化性デキストリン、Bは難消化性グルカン(高純度)、Cはポリデキストロースを使用した。
発明の具体的説明
水溶性食物繊維含有溶液は一般的に色を呈しているものであるところ、本発明の処理を施すことにより着色の程度が低減された水溶性食物繊維含有溶液を得ることができる。本発明において「着色低減」とは、水溶性食物繊維含有溶液の着色の程度が、ある条件下で低下することを意味する。具体的には、本発明の処理後の水溶性食物繊維含有溶液の着色度が処理前の溶液の着色度を下回る場合に「着色低減」されたといい、脱色と同義である。
本発明において「着色低減」が達成されているか否かは水溶性食物繊維含有溶液の着色度に基づいて着色低減率を算出することにより評価することができる。
溶液の着色度は、吸光度を測定し求めることができる。具体的には、固形分濃度20%の各試料溶液の420nmおよび720nmにおける吸光度を1cmセルで測定し、両波長における吸光度の差を着色度とすることができる。
着色低減率は下記数式により算出することができる。
着色低減率=(A−B)/A×100
A:処理前の水溶性食物繊維含有溶液の着色度
B:処理後の水溶性食物繊維含有溶液の着色度
算出された着色低減率が1%以上、好ましくは2%以上、より好ましくは5%以上、特に好ましくは10%以上である場合に、水溶性食物繊維含有溶液の着色が低減されたと評価することができる。
本発明において「保存安定化」とは、水溶性食物繊維を溶液中で保存したときに水溶性食物繊維の含量の低下が抑制されるような状態を意味する。すなわち、後記実施例に示されるように溶液中の水溶性食物繊維は経時変化によりその含有量が減少するが、ある条件下での溶液中の水溶性食物繊維の含有量の減少量が低下する場合に、そのような条件下での状態を「保存安定化」という。具体的には、ある条件下で処理した水溶性食物繊維含量の減少量が、処理前の水溶性食物繊維含量の減少量を下回る場合に「保存安定化」されたという。
本発明では水溶性食物繊維の分解率に基づいて「保存安定化」が達成されているか否かを評価することができる。すなわち、ある条件下で処理した水溶性食物繊維の分解率が、処理前の水溶性食物繊維の分解率を下回るときに、「保存安定化」が達成されていると評価することができる。ここで、「分解率」は下記数式により算出することができる。
水溶性食物繊維分解率=(A−B)/A×100
A:処理前の水溶性食物繊維含量(質量%)
B:処理後の水溶性食物繊維含量(質量%)
分解率が低ければ低いほど水溶性食物繊維の分解が抑制されており、高い保存安定化が達成されていると評価することができる。
本発明において「水溶性食物繊維」とは、食物繊維のうち水溶性のものを意味する。また、「食物繊維」とは、ヒトの消化酵素によって加水分解されない難消化性の多糖類等を意味する。
本発明に使用できる水溶性食物繊維としては、例えば、糖質を各種触媒存在下または無触媒下で加熱することで得られる糖縮合物、澱粉分解物を活性炭と共に加熱して得られる難消化性グルカン(例えば、フィットファイバー#80:日本食品化工社製)、グルコースとソルビトールとクエン酸を89:10:1で加熱して得られるポリデキストロース(例えば、ライテス、ライテスII:デュポン社製)、焙焼デキストリンを酵素分解した後に、樹脂分画して得られる難消化性デキストリン(例えば、パインファイバー、ファイバーソル2:松谷化学工業社製)、大豆粕からの熱水抽出物して得られる大豆多糖類(例えば、ソヤファイブ:不二製油社製)、澱粉分解物に糖転移酵素を作用させて得られる多分岐グルカンが挙げられ、製造コストや水溶性食物繊維の含量の観点から、難消化性グルカン、ポリデキストロース、難消化性デキストリンが好ましく、難消化性グルカンが特に好ましい。難消化性グルカンとしては、DE70〜100の澱粉分解物を加熱縮合させて得られたものが特に好ましい。
水溶性食物繊維素材の多くは活性炭等による通常の脱色処理で着色度が低減されているが、それでもわずかな着色は避けられない。特に、加熱縮合処理を経て製造される難消化性デキストリン、ポリデキストロースおよび難消化性グルカン等は着色し易いため、着色低減の必要性が高い。本発明によれば水溶性食物繊維の着色を低減することができ、より透明な水溶性食物繊維含有溶液を提供できる点で有利である。
水溶性食物繊維は水溶性食物繊維を含む水溶性食物繊維素材を使用することができ、その場合、水溶性食物繊維素材の食物繊維含量は、水溶性食物繊維としての価値・機能を考慮すると、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが特に好ましい。本発明に使用する水溶性食物繊維素材は、粉末状の水溶性食物繊維素材を適宜水に溶かして使用しても、水溶性食物繊維素材の水溶液を適宜希釈または濃縮して使用してもよい。
本発明において非食物繊維性の単糖およびオリゴ糖とは、食物繊維以外の単糖およびオリゴ糖を意味する。また、オリゴ糖は単糖が2〜10個グリコシド結合した糖質を意味する。非食物繊維性の単糖およびオリゴ糖としては、例えば、グルコース、フラクトース、マルトース、ゲンチオビオース、イソマルトース、ニゲロース、マルトトリオース、イソマルトトリオース、パノース、マルトテトラオース、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖などの還元性の単糖やオリゴ糖が挙げられ、さらに、エリスリトール、ソルビトール、マルチトール、イソマルチトール、ラクチトール、パニトール、ネオトレハロース、スクロース、トレハロース、ラフィノース、エルロース、ラクトスクロース、α-グルコシルスクロースなどの非還元性の単糖やオリゴ糖が挙げられる。水溶性食物繊維溶液の保存安定性および操作性(粘度)の点から非食物繊維性の単糖およびオリゴ糖として単糖を用いることが好ましい。本発明にて使用する非食物繊維性の単糖およびオリゴ糖は、前記糖質の精製品であっても混合物であってもよい。前記糖質の混合物としては、マルトオリゴ糖水飴・粉飴や異性化糖を好適に用いることができる。
本発明の製造方法、着色低減方法および保存安定化方法では、水溶性食物繊維と単糖および/またはオリゴ糖とを溶液中で共存させることにより、水溶性食物繊維の着色を低減することができる。以下の理論に拘束される訳ではないが、水溶性食物繊維と単糖および/またはオリゴ糖とを溶液中で保持することにより着色物質が分解され、着色した水溶性食物繊維について着色低減効果が得られるものと考えられる。
本発明では、溶液の調製は、水溶性食物繊維と非食物繊維性の単糖および/またはオリゴ糖とを溶液中で共存させることができる限り特に制限はない。例えば、予め溶液に水溶性食物繊維を所定量加えて溶解させ、次いで、これに非食物繊維性の単糖および/またはオリゴ糖を添加し、溶解させ、さらに所望の固形分濃度に調整し所望の温度に保持することで実施することができる。あるいは、水溶性食物繊維の粉末と非食物繊維性の単糖および/またはオリゴ糖の粉末とを混合し、次いでこれに溶媒を所定量加えて両粉末を溶解させ、さらに所望の固形分濃度に調整し所望の温度に保持することで実施してもよい。あるいは、水溶性食物繊維を溶解して調製した高濃度溶液と別に調製した非食物繊維性の単糖および/またはオリゴ糖の高濃度溶液とを混合し、次いで混合液に溶媒を加え所望の固形分濃度に調整し所望の温度に保持することで実施してもよい。さらに本発明では、水溶性食物繊維の溶液に、α-アミラーゼやアミログルコシダーゼ、シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ、β-アミラーゼ、α-グルコシダーゼなどの糖質分解酵素を作用させて非食物繊維性の単糖および/またはオリゴ糖を溶液中に遊離させることで溶液を調製してもよい。
本発明では、溶液の固形分濃度を高く設定することにより本発明の着色低減効果をよりよく発揮させることができる。本発明ではまた、溶液の固形分濃度を高く設定することにより水溶性食物繊維溶液の保存時および輸送時の微生物汚染リスクを低下させることができる。従ってこれらの点から溶液の固形分濃度の下限値はより高く設定することが好ましい。具体的には、水溶性食物繊維と単糖および/またはオリゴ糖とを含んでなる溶液の固形分濃度の下限値は20質量%とすることができ、好ましくは30質量%、より好ましくは40質量%、より一層好ましくは50質量%である。また、水溶性食物繊維と単糖および/またはオリゴ糖とを含んでなる溶液の固形分濃度の上限値は溶液の粘度と取扱いやすさを考慮すると80質量%と設定することができる。例えば、本発明では、水溶性食物繊維と単糖および/またはオリゴ糖とを含んでなる溶液の固形分濃度は20〜85質量%の範囲内にすることができ、好ましくは30〜80質量%の範囲内、より好ましくは40〜80質量%の範囲内、より一層好ましくは50〜80質量%の範囲内である。
本発明ではまた、本発明の着色低減効果をよりよく発揮させるために、水溶性食物繊維と単糖および/またはオリゴ糖の固形分比率を2:8〜9:1の範囲にすることができ、好ましくは2:8〜8:2、より好ましくは2:8〜6:4、特に好ましくは2:8〜4:6の範囲にすることができる。
溶液に用いる溶媒としては、水溶性食物繊維や単糖およびオリゴ糖を溶解することができれば特に制限はないが、溶媒として水を用いて水溶性食物繊維と単糖および/またはオリゴ糖とを含有する溶液を水溶液とすることが好ましい。
本発明において、保存時および輸送時の微生物汚染リスクを回避する観点から、溶液のpHを2.0〜6.0の範囲にすることができ、好ましくは3.0〜6.0の範囲にすることができる。
溶液の固形分濃度の調整方法は特に制限はなく、例えば、常法により濃縮処理することや、水で希釈することで所望の固形分濃度に調整することができる。
本発明において、水溶性食物繊維と単糖および/またはオリゴ糖とを含んでなる溶液はそのまま保持される。保持の温度条件は水溶性食物繊維が変性しない限り特に制限はないが、例えば、水溶性食物繊維と単糖および/またはオリゴ糖とを含んでなる溶液は25〜70℃の温度下で保持することができ、好ましくは30〜65℃の温度下、より好ましくは35〜65℃の温度下で保持することができる。温度管理方法は、通常実施する方法であれば特に制限はなく、適宜加熱または冷却することで所定の温度維持することができる。所望の温度範囲内であれば、常温環境下でもよい。
溶液の保持は、好ましくは、1日間〜6カ月間、より好ましくは、3日間〜6カ月間、さらに好ましくは、1週間〜6カ月間行うことができる。
溶液の保持は、固形分濃度への影響や衛生面を考慮すると、溶液を密封状態で保持することが好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、水溶性食物繊維と非食物繊維性の単糖および/またはオリゴ糖とを含んでなり、かつ、固形分濃度が20〜85質量%である溶液を25〜70℃の温度条件下で1日間〜6か月間保持する工程を含んでなる、着色低減された水溶性食物繊維含有溶液の製造方法、水溶性食物繊維含有溶液の着色低減方法および水溶性食物繊維含有溶液の保存安定化方法が提供される。
本発明の方法により着色が低減された水溶性食物繊維含有溶液および保存安定化された水溶性食物繊維含有溶液並びに本発明の製造方法により製造された水溶性食物繊維含有溶液は、例えば、甘味料として飲食品に添加することができる。甘味料として用いる場合には、水溶性食物繊維に非食物繊維性の単糖またはオリゴ糖として、5糖類以下、望ましくは4糖類以下の比較的分子量が小さく甘味度の高い糖質を有効成分として用いるのが望ましく、市販の混合糖質含有シラップを用いる場合には、例えば、液状ブドウ糖、異性化液糖、マルトース高含有シラップ、マルトテトラオース高含有シラップ、ニゲロオリゴ糖含有シラップ、パノース高含有シラップ、ゲンチオオリゴ糖含有シラップ、マルチトール含有シラップなどを用いることで有利に実施できる。
本発明の方法により着色が低減された水溶性食物繊維含有溶液および保存安定化された水溶性食物繊維含有溶液並びに本発明の製造方法により製造された水溶性食物繊維含有溶液を甘味料として飲食品に添加する場合には、必要に応じて、スクラロース、アセスルファムK、アスパルテーム、ネオテーム、グリチルリチン、ステビオシドなどの高甘味度甘味料を1種または2種以上を含有させて甘味度を付与してもよい。
本発明の方法により着色が低減された水溶性食物繊維含有溶液および保存安定化された水溶性食物繊維含有溶液並びに本発明の製造方法により製造された水溶性食物繊維含有溶液を飲食品に添加する場合には、微生物汚染リスクを回避し、保存性をより向上させるために、必要に応じて、有機酸、アルコール、ミネラル、抗菌剤、ペプチドなどの1種または2種以上を含有させてもよい。
本発明の方法により着色が低減された水溶性食物繊維含有溶液および保存安定化された水溶性食物繊維含有溶液並びに本発明の製造方法により製造された水溶性食物繊維含有溶液は、そのままの状態で保管・輸送し飲食品に添加しても良いが、輸送コストや保存性、使用用途等を考慮して粉末化しても良い。粉末化手段は噴霧乾燥等通常の手段を利用することができる。また、水溶性食物繊維含有溶液そのものを粉末化してもよく、その他食品原料等と混合して粉末化しても良い。
本発明の方法により着色が低減された水溶性食物繊維含有溶液および保存安定化された水溶性食物繊維含有溶液並びに本発明の製造方法により製造された水溶性食物繊維含有溶液は飲食品に添加することにより、その飲食品の外観や風味を損なうことなく飲食品に食物繊維を付与することができる。すなわち、本発明によれば、本発明の方法により着色が低減された水溶性食物繊維含有溶液および保存安定化された水溶性食物繊維含有溶液並びに本発明の製造方法により製造された水溶性食物繊維含有溶液を飲食品に添加することを含んでなる、飲食品の製造方法が提供される。本発明によればまた、本発明の製造方法を実施して着色が低減された水溶性食物繊維含有溶液を製造し、製造された水溶性食物繊維含有溶液を飲食品に添加することを含んでなる、飲食品の製造方法が提供される。本発明によればまた、本発明の方法により着色が低減された水溶性食物繊維含有溶液および保存安定化された水溶性食物繊維含有溶液並びに本発明の製造方法により製造された水溶性食物繊維含有溶液が添加されてなる、食物繊維強化飲食品が提供される。
本発明における「飲食品」は何れの飲食品であってもよい。本発明の方法により着色が低減された水溶性食物繊維含有溶液および保存安定化された水溶性食物繊維含有溶液並びに本発明の製造方法により製造された水溶性食物繊維含有溶液を添加することができる飲食品としては、例えば、醤油、粉末醤油、味噌、粉末味噌、もろみ、ひしお、フリカケ、マヨネーズ、ドレッシング、食酢、三杯酢、粉末すし酢、中華の素、天つゆ、麺つゆ、ソース、ケチャップ、焼き肉のタレ、カレールウ、シチューの素、スープの素、ダシの素、複合調味料、みりん、新みりん、テーブルシュガー、コーヒーシュガーなどの各種調味料、せんべい、あられ、おこし、求肥、餅類、まんじゅう、ういろう、餡類、羊羹、水羊羹、錦玉、ゼリー、カステラ、飴玉などの各種和菓子、パン、ビスケット、クラッカー、クッキー、パイ、プリン、バタークリーム、カスタードクリーム、シュークリーム、ワッフル、スポンジケーキ、ドーナツ、チョコレート、チューインガム、キャラメル、ヌガー、キャンディなどの各種洋菓子、アイスクリーム、シャーベットなどの氷菓、果実のシロップ漬、氷蜜などのシロップ類、フラワーペースト、ピーナッツペースト、フルーツペーストなどのペースト類、ジャム、マーマレード、シロップ漬、糖果などの果実、野菜の加工食品類、福神漬け、べったら漬、千枚漬などの漬物類、たくわん漬の素、白菜漬の素などの漬物の素、ハム、ソーセージなどの畜肉製品類、魚肉ハム、魚肉ソーセージ、カマボコ、チクワ、天ぷらなどの魚肉製品類、ウニ、イカの塩辛、酢コンブ、さきするめ、タラ、タイ、エビなどの田麩などの各種珍味類、海苔、山菜、するめ、小魚、貝などで製造される佃煮類、煮豆、煮魚、ポテトサラダ、コンブ巻などの惣菜食品、乳製品、魚肉、畜肉、果実、野菜の瓶詰、缶詰類、プリンミックス、ホットケーキミックス、バッターミックス、即席ジュース、即席コーヒー、即席汁粉、即席スープなどの即席食品、冷凍食品、果汁含有飲料、果汁ジュース、野菜ジュースなどの果実・野菜飲料、サイダー、ジンジャーエールなどの炭酸飲料、アイソトニック飲料、アミノ酸飲料などのスポーツ飲料、コーヒー飲料、緑茶、ウーロン茶などの茶系飲料、乳酸飲料、ココアなどの乳系飲料、低カロリー・低甘味等の特徴を有したニアウォーターやフレーバーウォーター、ビール系飲料、リキュール、チューハイ、清酒、果実酒などのアルコール飲料、ノンアルコール飲料、栄養ドリンク、更には、離乳食、治療食、流動食、ドリンク剤、ペプチド食品などが挙げられる。本発明の方法により着色が低減された水溶性食物繊維含有溶液および保存安定化された水溶性食物繊維含有溶液並びに本発明の製造方法により製造された水溶性食物繊維含有溶液は、着色が低減されたものであるため、飲料に添加することが好ましい。
本発明の別の面によれば、非食物繊維性の単糖および/またはオリゴ糖を含んでなる、水溶性食物繊維含有溶液用着色低減剤が提供される。本発明の着色低減剤は、上記通り種々の飲食品に用いることができるが、飲料に用いるのが好ましい。また、本発明の着色低減剤は、非食物繊維性の単糖および/またはオリゴ糖の他に、食品に一般的に用いる素材を含有していてもよく、例えば、多糖類、アミノ酸、ペプチド、タンパク、油脂、乳化剤、香料、酸味料、酸化防止剤、無機塩類、着色料等を含んでも良い。
以下の例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、本明細書において特に記載の無い場合は「%」は質量%を意味し、また「固形分」当たりの割合や「固形分」の含有割合に言及した場合には、固形成分の質量に基づいて定められた割合を意味するものとする。
実施例中に示される各種測定方法および分析方法は以下の通り行った。
着色度の測定
各試料の着色度は、試料を無水物換算で20gとなるように量りとり、水を加えて100mlに定容する。この液について光電分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製)により液層1cmの波長420nmおよび同720nmにおける吸光度を測定し、両波長における吸光度の差を着色度とする。
着色低減率は、本実施例で行う処理による着色低減の程度を示す。着色低減率は上記手法で測定した着色度に基づいて以下の式から算出した。
着色低減率=(A−B)/A×100
A:処理前の水溶性食物繊維組成物溶液の着色度
B:処理後の水溶性食物繊維組成物溶液の着色度
食物繊維成分含量の測定
平成11年4月26日衛新第13号(栄養表示基準における栄養成分等の分析方法等について)に記載されている高速液体クロマトグラフ法(酵素−HPLC法)により測定する。具体的には以下のように行った。 なお、本発明における食物繊維含量は、特に記載が無い限り酵素−HPLC法により測定したものとする。
まず、サンプル1gを精密に測り、0.08mol/lリン酸緩衝液50mlを加え、pH6.0±0.5であることを確認する。これに熱安定性α-アミラーゼ(Sigma社:EC3.2.1.1 Bacillus licheniformis由来)溶液0.1mlを加え、沸騰水中に入れ、5分ごとに撹拌しながら30分間反応させる。冷却後、水酸化ナトリウム溶液(1.1→100)を加えてpHを7.5±0.1に調整する。プロテアーゼ(Sigma社:EC3.4.21.62 Bacillus licheniformis由来 50mg/ml リン酸緩衝液)溶液0.1mlを加えて、60℃の水浴中で振とうしながら30分間反応させる。冷却後、0.325mol/l塩酸(1.1→100)を加え、pHを4.3±0.3に調整する。アミログルコシダーゼ(Sigma社:EC3.2.13 Aspergillus niger由来)溶液0.1mlを加え、60℃の水浴中で振とうしながら30分間反応させる。冷却後、グリセリン(10→100)を内部標準物質として加え、水で100mlに定容し酵素処理液とする。酵素処理液50mlをイオン交換樹脂(アンバーライトIRA−67 OH型:アンバーライト200CT H型=1:1)50mlを充填したカラム(ガラス管φ20mm×300mm)に通液速度50ml/hrで通液し、さらに水を150ml通してカラム溶出液の全量を200mlとする。この溶液をロータリー・エバポレーターで濃縮し、全量を水で10mlとする。孔径0.45μmのメンブレンフィルターでろ過し、検液とする。
次に、検液20μlにつき、高速液体クロマトグラフィー分析を行い、検液のグリセリンおよび食物繊維画分のピーク面積値を測定した。
高速液体クロマトグラフィーの分析条件は以下の通りであった。
検出器:示差屈折計
カラム:ULTRON PS−80N(φ8.0×300mm、島津ジーエルシー)を二本連結
カラム温度:80℃
移動相:純水
流速:0.5ml/分
食物繊維成分含量は以下の式から算出した。
食物繊維成分含量(%)=[食物繊維成分のピーク面積/グリセリンのピーク面積]×f1×[内部標準グリセリン添加量(mg)/秤取試料重量(mg)]×100
(上記式中、f1は使用高速液体クロマトグラフィー条件におけるグリセリンとブドウ糖のピーク面積の感度比(0.82)である。)
食物繊維分解率は、本実施例で行う処理の前後で食物繊維が分解する程度を示す。食物繊維分解率は以下の式から算出した。
食物繊維分解率(%)=[処理前の食物繊維成分含量−処理後の食物繊維成分含量]/処理前の食物繊維成分含量×100
実施例1:水溶性食物繊維含有溶液の着色低減確認試験(1)
水溶性食物繊維(フィットファイバー#80、日本食品化工社製)と、非食物繊維性のオリゴ糖である水飴(ハイマルトースMC−55、日本食品化工社製)、異性化糖(フジフラクトL−95、日本食品化工社製)、ショ糖(フジ日本精糖社製)とを表1に示した混合比率で含有する水溶液を調製し、固形分濃度を75%に調整した。これをサンプルチューブに密封して50℃または40℃で1週間保持する処理を行った。各試料に関し、処理前と処理後に溶液の着色度を測定し着色低減率を算出した。その結果を表1に纏めた。
なお、フィットファイバー#80は、DE87(レーンエイノン法で測定)の澱粉分解物を、特開2013−76044号公報に記載の方法に従って、活性炭を触媒として加熱縮合させることで得られた難消化性グルカンであり、食物繊維含量は82質量%であった。
Figure 0006040285
表1の結果から明らかなように、水溶性食物繊維単独の溶液と比較して、水溶性食物繊維に非食物繊維性のオリゴ糖である水飴、異性化糖またはショ糖を共存させて処理された溶液は、全ての試験区において顕著な着色低減効果が認められた。
実施例2:水溶性食物繊維含有溶液の着色低減確認試験(2)および保存安定性試験(1)
実施例1と同様の原料(水溶性食物繊維、水飴、異性化糖、ショ糖)を表2に示した混合比率で含有する水溶液を調製し、固形分濃度を75%に調整した。これをサンプルチューブに密封して30℃で1〜12週間保持する処理を行った。各試料に関し、処理前と処理後(処理1週間、2週間、3週間、4週間、5週間および12週間後)に溶液の着色度を測定し、着色低減率を算出し、その結果を図1に纏めた。また、処理前と処理12週間後の溶液の食物繊維含量を測定し、分解率を算出し、その結果を表2に纏めた。
Figure 0006040285
図1から明らかなように、水溶性食物繊維に非食物繊維性のオリゴ糖を共存させて処理された溶液は水溶性食物繊維単独で処理された溶液と比較して、顕著に着色低減効果が認められた。水溶性食物繊維単独で処理された溶液は処理12週間後には着色低減率がマイナスとなり、処理前より着色度が増したが、水溶性食物繊維に非食物繊維性のオリゴ糖を共存させて処理された溶液は12週間後も、いずれのオリゴ糖を使用した場合であっても着色低減率が0を上回っており(水飴混合試料:2.39%、異性化糖混合試料:8.25%、ショ糖混合試料:34.9%)長期間着色低減効果が維持されていることが確認された。
また、表2の結果から明らかなように、水溶性食物繊維単独の溶液では処理12週間後に3.4%の食物繊維が分解されてしまうのに対し、非食物繊維性のオリゴ糖を共存させた溶液では食物繊維の分解率を処理12週間後であっても1%以下に抑えられることが示された。
以上の結果より、水溶性食物繊維に非食物繊維性のオリゴ糖を共存させて処理された溶液は、食物繊維の分解を抑えつつ溶液の着色を低減できることが明らかとなった。
実施例3:水溶性食物繊維含有溶液の着色低減確認試験(3)および保存安定性試験(2)
水溶性食物繊維(フィットファイバー#80、日本食品化工社製)およびグルコース(日本食品化工社製)を固形分当たり50:50で含有する水溶液を調製し、表3に示した固形分濃度となるよう調整した。これをサンプルチューブに密封して60℃に2週間保持する処理を行った。各試料に関し、処理前と処理後の溶液の着色度を測定し、着色低減率を算出し、その結果を表3に纏めた。
Figure 0006040285
表3の結果から明らかなように、固形分濃度10%の溶液では、処理前に比べ着色度が上昇した。一方で、固形分濃度30%および50%の溶液では、処理前に比べ着色度が著しく低減した。
以上の結果より、溶液の固形分濃度が一定以下では着色低減効果が得られないことが明らかとなった。
また、水溶性食物繊維にグルコースを共存させた溶液の処理後の食物繊維分解率を算出した結果、固形分濃度10%、30%および50%では、それぞれ1.3%、4.4%および9.5%であった。一方、水溶性食物繊維単独の溶液を同様に処理し食物繊維の分解率を算出した結果、固形分濃度10%、30%および50%における食物繊維分解率は、それぞれ4.2%、9.2%および12.3%であった。
以上の結果より、水溶性食物繊維含有溶液においては固形分濃度が高いほど食物繊維が分解されやすいこと、また、いずれの固形分濃度においても水溶性食物繊維に非食物繊維性の単糖またはオリゴ糖を混合することで食物繊維の分解を効果的に抑制できることが明らかとなった。
実施例4:水溶性食物繊維含有溶液の着色低減確認試験(4)および保存安定性試験(3)
水溶性食物繊維(フィットファイバー#80、日本食品化工社製)と、非食物繊維性の単糖またはオリゴ糖であるグルコース(日本食品化工社製)、マルトース(日本食品化工社製)、ソルビトール(三菱商事フードテック社製)およびショ糖(フジ日本精糖社製)とを表4に示した混合比率で含有する水溶液を調製し、固形分濃度を75%に調整した。これにサンプルチューブに密封して30℃に6カ月間保持する処理を行った。各試料に関し、処理前と処理後の溶液の着色度を測定し、着色低減率を算出した。また、処理前と処理後の溶液の食物繊維含量を測定し、食物繊維分解率を算出した。その結果を表4に纏めた。
Figure 0006040285
表4の結果から明らかなように、水溶性食物繊維に非食物繊維性の単糖またはオリゴ糖を共存させて処理された溶液は糖の種類によらず、水溶性食物繊維単独で処理された溶液に比べて顕著な着色低減効果が認められ、また、食物繊維の分解抑制効果も認められた。
実施例5:水溶性食物繊維含有溶液の着色低減確認試験(5)
各種水溶性食物繊維と水飴(ハイマルトースMC−55、日本食品化工社製)または異性化糖(フジフラクトL−95、日本食品化工社製)とを固形分当たり当量となるように含有する水溶液を調製し、固形分濃度50%に調整した。これにサンプルチューブに密封して30℃に6日間保持する処理を行った。各試料に関し、処理前と処理後(処理1日、2日、3日、4日、5日および6日後)の溶液の着色度を測定し、着色低減率を算出した。その結果を図2に纏めた。
なお、水溶性食物繊維として、難消化性デキストリン(ファイバーソル2:食物繊維含量90%、松谷化学工業社製)、ポリデキストロース(ライテス:食物繊維含量78%、デュポン社製)を使用した。また、水溶性食物繊維として、難消化性グルカン(フィットファイバー#80、日本食品化工社製)を糖質分解酵素で酵素処理した後、強酸性陽イオン交換カラムクロマトグラフィーにより分画処理することにより得られた高純度の難消化性グルカン(食物繊維含量99%)を使用した。
図2から明らかなように、いずれの水溶性食物繊維を用いた場合にも、水溶性食物繊維単独で処理した溶液よりも、水飴または異性化糖(高果糖液糖)を共存させて処理した溶液の方が、着色低減効果がより発揮されていた。よって、水溶性食物繊維の種類によらず当該効果が発揮されることが明らかとなった。
実施例6:水溶性食物繊維含有溶液の着色低減確認試験(6)
処理温度を60℃、処理時間を3日間とした以外は、実施例5と同様の試験を行った。その結果を図3に纏めた。
図3から明らかなように、いずれの水溶性食物繊維を用いた場合にも、水溶性食物繊維単独で処理した溶液よりも、水飴または異性化糖(高果糖液糖)を共存させて処理した試料溶液の方が、着色低減効果がより発揮されていた。よって、水溶性食物繊維の種類によらず当該効果が発揮されることが明らかとなった。
製造例1:飲食品の製造例(ニアウォーター飲料)
実施例5で調製された試料(食物繊維単独で処理された溶液または食物繊維に異性化糖を共存させて処理された溶液)用い、表5に示した配合に従ってニアウォーター飲料を製造した。製造されたサンプルについて官能評価試験を実施した。
Figure 0006040285
食物繊維単独で処理された溶液を含む飲料(食物繊維単独区)および食物繊維に異性化糖を共存させて処理した溶液を含む飲料(異性化糖共存区)は、無添加区と比較して酸味や甘味、ボディ感が増強しており、香りの立ちが良好であった。また、異性化糖共存区は、食物繊維単独区と比較して、外観において無添加区と遜色のないものであった。以上のことから、食物繊維に異性化糖を共存させて処理した溶液の添加により、ニアウォーター飲料の外観・風味を損なうことなく食物繊維を付与できることが示された。

Claims (7)

  1. 水溶性食物繊維(但し、ジフルクトースジアンヒドリドIIIを除く)と非食物繊維性の単糖および/またはオリゴ糖とを溶液中で保持する工程を含んでなる、着色が低減された水溶性食物繊維含有溶液の製造方法であって、溶液の固形分濃度が30〜85質量%である製造方法
  2. 溶液の固形分濃度が50〜85質量%である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 溶液を25〜70℃の温度条件下で保持する、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 水溶性食物繊維と非食物繊維性の単糖および/またはオリゴ糖の固形分比率が2:8〜9:1の範囲である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法により製造された水溶性食物繊維含有溶液を添加する工程を含んでなる、水溶性食物繊維含有飲食品の製造方法。
  6. 非食物繊維性の単糖および/またはオリゴ糖を有効成分として含んでなる、水溶性食物繊維(但し、ジフルクトースジアンヒドリドIIIを除く)の着色低減剤。
  7. 水溶性食物繊維(但し、ジフルクトースジアンヒドリドIIIを除く)と非食物繊維性の単糖および/またはオリゴ糖とを溶液中で保持する工程を含んでなる、水溶性食物繊維含有溶液の着色低減方法であって、溶液の固形分濃度が30〜85質量%である着色低減方法
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