以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
図1は、本発明の実施の形態に係る製本装置が設けられた製本システムの概略構成図、図2は、図1に示す製本システムの制御系の構成を示すブロック図である。以下の説明において、ユーザが位置する図1の紙面表方向を前方とする。また、図1に示すように、ユーザから視て、上下左右を上下左右方向とする。
本実施の形態に係る製本システム1は、印刷物から冊子を作製するシステムである。図1、図2に示すように、製本システム1は、印刷装置2と、製本装置3とを備えている。
印刷装置2は、製本装置3で冊子を作製するための表紙用紙P1および本文用紙P2に印刷を行うものである。
印刷装置2は、図1に示すように、印刷装置筐体4(以下、適宜に筐体4という)を備えている。筐体4内には、印刷部5が設けられている。印刷部5は、表紙用紙P1および本文用紙P2に印刷を行うものである。印刷部5は、シアン(C)、ブラック(K)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色のインクをそれぞれ吐出するライン型のインクジェットヘッド6C,6K,6M,6Yを備えている。また、筐体4内には、表紙用紙P1および本文用紙P2を搬送するためのループ状の印刷搬送路7が印刷部5を囲むように設けられている。印刷搬送路7に沿った位置には、表紙用紙P1および本文用紙P2を搬送する複数のローラ(図示せず)が配置されている。
筐体4の左側部には、表紙用紙P1を印刷部5側(印刷搬送路7側)へ給紙する表紙用紙給紙部8が設けられている。表紙用紙給紙部8は、複数の表紙用紙P1を積載する給紙トレイ9と、給紙トレイ9に積載された表紙用紙P1を印刷部5側へ送り出す給紙ローラ10とを備えている。また、表紙用紙給紙部8は、給紙トレイ9と印刷搬送路7との間に設けられた給紙搬送路11と、給紙搬送路11に沿って配置され、表紙用紙P1を印刷部5側へ搬送する複数のローラ(図示せず)とを備えている。
筐体4内における印刷部5の下側には、本文用紙P2を印刷部5側(印刷搬送路7側)へ給紙する本文用紙給紙部12が設けられている。本文用紙給紙部12は、複数の本文用紙P2を積載する給紙トレイ13と、給紙トレイ13に積載された本文用紙P2を印刷部5側へ送り出す給紙ローラ14とを備えている。また、本文用紙給紙部12は、給紙トレイ13と印刷搬送路7との間に設けられた給紙搬送路15と、給紙搬送路15に沿って配置され、本文用紙P2を印刷部5側へ搬送する複数のローラ(図示せず)とを備えている。
印刷搬送路7の左側上部には、表紙用紙P1および本文用紙P2を一時的に収容するスイッチバック部16が設けられている。また、筐体4内の左部からスイッチバック部16内にかけて、スイッチバック搬送路17が設けられている。スイッチバック搬送路17は、両面印刷時において、表紙用紙P1および本文用紙P2を表裏反転させて印刷部5側へ搬送するためのものである。スイッチバック搬送路17の基端側(右端側)は、フリッパ(図示せず)により印刷搬送路7に接続、遮断可能になっている。スイッチバック部16の開口部付近のスイッチバック搬送路17に沿った位置には、表紙用紙P1および本文用紙P2のスイッチバック部16への搬入および搬出を行うローラ(図示せず)が配置されている。
筐体4内の右側部には、印刷搬送路7から送り出された表紙用紙P1および本文用紙P2を製本装置3側(右方向)へ搬送するための連絡搬送路18が設けられている。連絡搬送路18の基端側(左端側)は、フリッパ(図示せず)により印刷搬送路7に接続、遮断可能になっている。連絡搬送路18に沿った位置には、表紙用紙P1および本文用紙P2を搬送する複数のローラ(図示せず)が配置されている。
印刷装置2は、印刷制御部19を備えている。印刷制御部19は、CPU、RAM、ROM等を備えて構成される。印刷制御部19は、印刷装置2の各部の動作を制御するものである。
製本装置3は、印刷装置2で印刷された表紙用紙P1および本文用紙P2に製本処理を施して冊子を作製するものである。
製本装置3は、図1に示すように、製本装置筐体31(以下、適宜に筐体31という)を備えている。筐体31内には、印刷装置2の連絡搬送路18から送り出された印刷済みの表紙用紙P1および本文用紙P2を右方向へ搬送するための導入搬送路32が設けられている。導入搬送路32の基端部(左端部)は、連絡搬送路18の先端部(右端部)に接続されている。また、導入搬送路32に沿った位置には、表紙用紙P1および本文用紙P2を搬送する複数のローラ(図示せず)が配置されている。
筐体31内の右側上部には、印刷済みの本文用紙P2を整合して用紙束PSを形成する整合部33が設けられている。整合部33は、複数の本文用紙P2を積載する整合トレイ34を備えている。整合トレイ34は、例えば水平な軸心周りに回転することによって用紙束PSを送り出し可能になっている。また、筐体31内の上部には、導入搬送路32から送り出された印刷済みの表紙用紙P1および本文用紙P2を整合部33側へ搬送等するための上部製本搬送路35が設けられている。上部製本搬送路35の基端部(左端部)は、フリッパ(図示せず)により導入搬送路32の先端部(右端部)に接続、遮断可能になっている。
筐体31の上部中央には、印刷済みの表紙用紙P1を一時的に待機させるストックトレイ36が設けられている。ストックトレイ36の基端部(左端部)は、フリッパ(図示せず)により上部製本搬送路35に接続、遮断可能になっている。また、ストックトレイ36の適宜位置には、印刷済みの表紙用紙P1をストックトレイ36から上部製本搬送路35側へ送り出すローラ(図示せず)が設けられている。上部製本搬送路35に沿った位置には、表紙用紙P1および本文用紙P2を搬送する複数のローラ(図示せず)が配置されている。このうち、上部製本搬送路35に沿ってストックトレイ36の左側に位置する複数のローラは、印刷済みの表紙用紙P1の搬送方向を反転させて搬送できるようになっている。
筐体31内におけるストックトレイ36の左側には、断裁部37が設けられている。断裁部37は、印刷済みの表紙用紙P1を用紙束PSの厚さに応じた寸法になるように断裁する。断裁部37は、上部製本搬送路35を間にして表紙用紙P1を挟むように断裁するカッタ38を備えている。
筐体31内には、整合トレイ34(整合部33)から送り出された用紙束PSをクランプ(挟持)して移動可能なクランプ部39が設けられている。クランプ部39には、用紙束PSの厚さを検出する用紙束厚さセンサ(図示せず)が設けられている。
筐体31内における整合トレイ34の左下側には、用紙束PSの背面(下面)にホットメルト接着剤Gを塗布する接着剤塗布部40が設けられている。接着剤塗布部40は、ホットメルト接着剤Gを収容する接着剤収容部41を備えている。接着剤収容部41内には、用紙束PSにホットメルト接着剤Gを塗布する塗布ローラ42が設けられている。
接着剤塗布部40の左側には、成形部43設けられている。成形部43は、一対の背折りプレート44と、一対の背折りプレート44の下側に設けられた突き当てプレート45とを備えている。一対の背折りプレート44は、互いに接近、離反するように、突き当てプレート45上で左右方向に移動可能になっている。突き当てプレート45は、左右方向に移動可能になっている。ホットメルト接着剤Gが塗布済みの用紙束PSの背面(下面)が表紙用紙P1を介して突き当てプレート45に当接した状態で、左右から一対の背折りプレート44が表紙用紙P1を介して用紙束PSを押圧することで、表紙用紙P1が折り曲げられるようになっている。これにより、冊子Bが成形される。
筐体31内における上部製本搬送路35の下側には、上部製本搬送路35から送り出された印刷済みの表紙用紙P1を成形部43へ搬送するための下部製本搬送路46が設けられている。下部製本搬送路46の基端部(左端部)は、フリッパ(図示せず)により上部製本搬送路35の基端部(左端部)に接続、遮断可能である。下部製本搬送路46に沿った位置には、表紙用紙P1を成形部43側へ搬送する複数のローラ(図示せず)が配置されている。
導入搬送路32、上部製本搬送路35、下部製本搬送路46、およびこれらに沿って配置されたローラ、表紙用紙P1をストックトレイ36から上部製本搬送路35側へ送り出すローラ等により、搬送部47が構成される。
筐体31内における成形部43の下側には、成形部43から落下する完成した冊子Bをガイドするガイド部材48,49が設けられている。
ガイド部材48,49の下側には、成形部43から落下した冊子Bを筐体31外に排出する排出部50が設けられている。
排出部50は、成形部43から落下した冊子Bを受け取り、冊子Bを搬送して左側から下方に落下させる上側コンベア51を備えている。上側コンベア51は、冊子を搬送する環状の上側搬送ベルト52と、上側搬送ベルト52が掛け渡される駆動ローラ53および従動ローラ54を備える。駆動ローラ53が回転駆動されることにより、上側搬送ベルト52が無端移動することで、上側搬送ベルト52の上面上に載置された冊子Bが移動するようになっている。上側コンベア51は、上側搬送ベルト52上の冊子Bを左方向および右方向の両方に移動させることができる。
上側コンベア51の左端の上側には、上側コンベア51により搬送される冊子Bを受け止めて冊子Bの姿勢を整えるストッパ55が配置されている。ストッパ55は、左側のガイド部材48の下部の水平部から下方に突出して設置され、上側コンベア51により搬送される冊子Bの通路を開閉可能に構成されている。ストッパ55は、前後方向に細長い板状に形成されている。
また、排出部50は、上側コンベア51の下側に設けられた下側コンベア56を備えている。下側コンベア56は、上側コンベア51から落下した冊子Bを受け取り、冊子Bを搬送して筐体31外へ排出するものである。また、後述する排出トレイ66が満杯になると、下側コンベア56の後述する下側搬送ベルト57の上面である積載面57a上に複数の冊子Bが重ね積載される。
下側コンベア56は、冊子を搬送する環状の下側搬送ベルト57と、下側搬送ベルト57が掛け渡される駆動ローラ58および従動ローラ59を備える。駆動ローラ58が回転駆動されることにより、下側搬送ベルト57が無端移動することで、下側搬送ベルト57の積載面57a上の冊子Bが移動するようになっている。下側コンベア56は、積載面57a上の冊子Bを左方向および右方向の両方に移動させることができる。下側コンベア56の左端部、右端部には、それぞれ冊子Bを検出する第1センサ60、第2センサ61が配置されている。
また、図2に示すように、排出部50は、上側コンベア51の駆動ローラ53を回転駆動させる上側コンベアモータ62と、下側コンベア56の駆動ローラ58を回転駆動させる下側コンベアモータ63とを備えている。また、排出部50は、下側コンベアモータ63の回転軸の回転角度に応じたパルス信号を出力するエンコーダ64を備えている。また、排出部50は、ストッパを駆動させるストッパモータ65を備えている。
排出部50の下側コンベア56の右側における筐体31の外部には、下側コンベア56から送り出された冊子Bを受け取る排出トレイ66が設けられている。排出トレイ66内の下部には、左端側が上下動可能な可動板67が設けられている。可動板67上に排出された冊子Bが積載され、冊子Bの重さにより可動板67の左端側が下がるようになっている。排出トレイ66が満杯になると、可動板67の左端側が下限位置まで下がり、図示しない満杯検知スイッチがオンになるようになっている。
製本装置3は、製本制御部68を備えている。製本制御部68は、CPU、RAM、ROM等を備えて構成される。製本制御部68は、製本装置3の各部の動作を制御するものである。なお、請求項の冊子積載装置は、排出部50と製本制御部68とを有し、排出部50と製本制御部68とにより請求項の土台形成手段および積載手段が構成される。
次に、製本システム1の動作について説明する。
まず、印刷装置2における印刷動作について説明する。
印刷装置2は、例えば、外部のPC(パーソナルコンピュータ)から製本印刷用の印刷データを受信することにより、印刷動作を開始する。
印刷動作を開始すると、印刷制御部19は、複数の本文用紙P2を本文用紙給紙部12から印刷部5側へと順次給紙させる。印刷制御部19は、給紙された本文用紙P2を、印刷搬送路7に沿って搬送させつつ、印刷部5のインクジェットヘッド6C,6K,6M,6Yにより印刷させる。スイッチバック搬送路17を経由して本文用紙P2を循環搬送させることで両面印刷可能である。印刷制御部19は、印刷済みの複数の本文用紙P2を、連絡搬送路18を介して製本装置3の導入搬送路32へ順次送り出す。
本文用紙P2の給紙終了後、印刷制御部19は、表紙用紙給紙部8から表紙用紙P1を印刷部5側へと給紙させる。印刷制御部19は、給紙された表紙用紙P1に対し、上述した本文用紙P2と同様に印刷させ、印刷済みの表紙用紙P1を製本装置3の導入搬送路32へ送り出す。
次に、製本装置3における製本動作について説明する。
まず、製本制御部68は、印刷装置2から順次搬送されてくる本文用紙P2を導入搬送路32から上部製本搬送路35に沿って整合部33へと搬送させ、複数の本文用紙P2を整合部33で整合させる。
次いで、製本制御部68は、整合部33から用紙束PSを送り出させ、クランプ部39によって用紙束PSをクランプさせる。この際、用紙束厚さセンサ(図示せず)が用紙束PSの厚さを検出する。
次いで、製本制御部68は、印刷装置2から搬送されてきた表紙用紙P1を、成形部43の一対の背折りプレート44上の所定位置に配置する。具体的には、製本制御部68は、表紙用紙P1を導入搬送路32から上部製本搬送路35に沿って搬送させ、断裁部37によって、用紙束PSの厚さに応じた寸法に長さ調製するために断裁させる。そして、製本制御部68は、長さ調製された表紙用紙P1を、ストックトレイ36に搬入させる。その後、製本制御部68は、表紙用紙P1をストックトレイ36から搬出させ、上部製本搬送路35および下部製本搬送路46に沿って成形部43まで搬送させ、一対の背折りプレート44上の所定位置に配置する。
次いで、製本制御部68は、接着剤塗布部40により用紙束PSにホットメルト接着剤Gを塗布させる。具体的には、製本制御部68は、用紙束PSをクランプした状態のクランプ部39を移動させ、用紙束PSを塗布ローラ42に接触させることで、用紙束PSにホットメルト接着剤Gを付着させる。
次いで、製本制御部68は、成形部43により冊子Bを成形させる。具体的には、まず、製本制御部68は、用紙束PSをクランプした状態のクランプ部39を、一対の背折りプレート44上に載置された表紙用紙P1の上方へ移動させる。このとき、製本制御部68は、表紙用紙P1の中央部の上方に用紙束PSを配置する。この後、製本制御部68は、用紙束PSをクランプした状態のクランプ部39を下方に移動させ、表紙用紙P1を介して用紙束PSの背面(下面)を突き当てプレート45に当接させる。
次いで、製本制御部68は、一対の背折りプレート44を互いに接近させるように移動させ、一対の背折りプレート44により用紙束PSの下端部を、表紙用紙P1を介して左右から押圧させる。これにより、表紙用紙P1の背表紙部分と表表紙部分との境界部、および背表紙部分と裏表紙部分との境界部が折り曲げられる。この結果、冊子Bが成形される。
次いで、製本制御部68は、一対の背折りプレート44を互いに離反させるとともに、突き当てプレート45を左側へ退避させる。これにより、完成した冊子Bが、成形部43から落下する。成形部43から落下した冊子Bは、ガイド部材48,49によりガイドされつつ上側コンベア51の上側搬送ベルト52上に着地する。
この後、製本制御部68は、上側コンベアモータ62により上側コンベア51を駆動させて冊子Bを左方向へ搬送させ、冊子Bをストッパ55に突き当てさせる。これにより、冊子Bの背側の辺および小口側の辺が前後方向に平行になるように、冊子Bの姿勢が整えられる。そして、製本制御部68は、ストッパ55を開き、冊子Bを上側コンベア51の左端から下側コンベア56へ落下させる。
次いで、製本制御部68は、下側コンベアモータ63により下側コンベア56を駆動させて冊子Bを右方向へ搬送させ、排出トレイ66へ排出させる。
複数部数の冊子Bを作製する際、製本制御部68は、排出トレイ66が満杯になるだけの冊数を製本すると、製本動作を一時停止させる。この際、印刷装置2の印刷動作も一時停止される。そして、下側コンベア56上の冊子Bがすべて排出トレイ66へ排出されて、下側コンベア56上に冊子Bがない状態になると、製本制御部68は、印刷装置2の印刷動作および製本装置3の製本動作を再開させる。再開後は、製本制御部68は、満杯の排出トレイ66に冊子Bを排出しないように、下側コンベア56の積載面57a上に冊子Bを重ね積載させる。
本実施の形態における重ね積載は、図3に示すように、複数の冊子Bにより土台部71を形成し、複数の冊子Bがさしみ状態で重なって土台部71にもたれかかるように、冊子Bを積載する方式である。
土台部71は、複数の冊子Bが、配列方向の一方側に1冊ずつずらしながら積み重ねられて階段状に形成されたものである。本実施の形態では、土台部71の冊子Bは、背側の辺および小口側の辺が、前後方向に平行になっている。冊子Bの配列方向は、前後方向に直交する左右方向であり、土台部71は、複数の冊子Bが右側に1冊ずつずらしながら積み重ねられて形成されている。
土台部71を形成する冊子Bの冊数Nは、冊子Bの厚さTおよび積載面57a上の積載上限高さHに応じて決定される。具体的には、以下の式(1)を満たすように冊数Nが決定される。
N×T<H …(1)
ここで、積載上限高さHは、下側コンベア56の積載面57aから上側コンベア51の上側搬送ベルト52の下面までの高さである。冊子Bの厚さTは、表紙用紙P1の種類(厚さ)、本文用紙P2の種類(厚さ)、および一冊あたりの本文用紙P2の枚数によって決まる値である。
また、土台部71における冊子Bの1冊ごとのずれ量Laは、積載上限高さH、配列方向における冊子Bの長さW、および冊子Bの厚さTに応じて決定される。具体的には、以下の式(2)を満たすように土台部71の階段部分の傾斜角θが決定され、式(3)によりずれ量Laが決定される。
W×sinθ<H …(2)
La=T/tanθ …(3)
また、土台部71に左側からさしみ状態で重なってもたれかかる複数の冊子Bの積載面57aとの接点の間隔である接点間距離Lbは、以下の式(4)で表される。
Lb=T/sinθ …(4)
次に、本実施の形態における重ね積載の手順について説明する。
図4は、重ね積載の手順を説明するためのフローチャートである。図4のフローチャートの処理は、前述のように排出トレイ66が満杯になるだけの冊数を製本して製本動作を一時停止し、下側コンベア56上の冊子Bがすべて排出トレイ66へ排出された後に製本動作を再開したことにより開始となる。
まず、図4のステップS1において、製本制御部68は、1冊目の冊子Bを下側コンベア56の積載面57a上に載置させる。具体的には、成形部43から上側コンベア51へ1冊目の冊子Bを落下させると、製本制御部68は、冊子Bを左方向へ搬送するよう上側コンベア51を駆動させ、図5に示すように、冊子Bをストッパ55に突き当てさせる。このとき、ストッパ55は、図5に実線で示す閉位置にある。ストッパ55に突き当てられることで、冊子Bは、背側の辺および小口側の辺が前後方向に平行になるように姿勢が整えられる。
その後、製本制御部68は、ストッパ55を開くようストッパモータ65を駆動させる。これにより、ストッパ55が図5に二点鎖線で示す開位置へ移動する。これにより、冊子Bが上側コンベア51の左端から下側コンベア56へ落下し、積載面57a上に載置される。
次いで、ステップS2において、製本制御部68は、下側コンベア56の左方向への搬送駆動を開始させる。
次いで、ステップS3において、製本制御部68は、第1センサ60がオンになったか否か、すなわち第1センサ60が冊子Bを検出したか否かを判断する。第1センサ60がオンになっていないと判断した場合(ステップS3:NO)、製本制御部68は、ステップS3を繰り返す。
第1センサ60がオンになったと判断した場合(ステップS3:YES)、ステップS4において、製本制御部68は、下側コンベア56を停止させる。これにより、図6に示すように、左端が第1センサ60上に位置するように冊子Bが配置される。
次いで、ステップS5において、製本制御部68は、下側コンベア56を駆動させて積載面57a上の冊子Bを右方向へ搬送量L1だけ搬送させる。ここで、製本制御部68は、エンコーダ64の出力パルス数に基づき、下側コンベア56による搬送量(搬送距離)を制御する。搬送量L1は、1冊目の冊子Bを図6の位置から2冊目の冊子Bを受け取るための受け取り位置へ移動させるための搬送量である。この受け取り位置は、2冊目の冊子Bを1冊目の冊子Bに対して、予め決定されたずれ量Laだけ右側にずれて重なるように積載できる位置である。
次いで、ステップS6において、製本制御部68は、次の冊子Bを積載面57a上の冊子B上に載置させる。具体的には、製本制御部68は、ステップS1で説明した1冊目の場合と同様に、冊子Bをストッパ55に突き当てさせた後、上側コンベア51から落下させる。これにより、図7に示すように、積載面57a上の冊子Bに対し、ずれ量Laだけ右側にずれた位置に次の冊子Bが載置される。
次いで、ステップS7において、製本制御部68は、下側コンベア56を駆動させて積載面57a上の冊子Bを左方向へずれ量Laだけ搬送させる。
次いで、ステップS8において、製本制御部68は、積載面57a上に積載した冊数が、予め決定された土台部71の冊数であるN冊に達したか否かを判断する。
N冊に達していないと判断した場合(ステップS8:NO)、製本制御部68は、ステップS6へ戻り、以降の処理を繰り返す。N冊に達したと判断した場合(ステップS8:YES)、製本制御部68は、ステップS9へ進む。
上記のステップS1〜S8の処理により、図8に示すように、N冊の各冊子Bが直下の冊子Bに対してずれ量Laずつ右側にずれて重なった階段状の土台部71が形成される。
図4に戻り、ステップS9では、製本制御部68は、図9に示すように、下側コンベア56を駆動させて積載面57a上の土台部71を右方向へ搬送量L2だけ搬送させる。搬送量L2は、土台部71を、土台部71の形成が終了した時点の位置から最初の待機位置まで移動させるための搬送量である。最初の待機位置は、土台部71にもたれかかる最初の冊子Bが土台部71の階段部分の傾斜に沿って載置されるように待ち受ける位置である。
次いで、ステップS10において、製本制御部68は、次の冊子Bを上側コンベア51から下側コンベア56の積載面57aへ送る。具体的には、製本制御部68は、ステップS1で説明した1冊目の場合と同様に、冊子Bをストッパ55に突き当てさせた後、上側コンベア51から落下させる。これにより、図10に示すように、土台部71の最下段の冊子Bの左端からずれ量Laだけ左側の位置を積載面57aとの接点として、土台部71にもたれかかる最初の冊子Bが、土台部71の階段部分の傾斜に沿って載置される。
次いで、ステップS11において、製本制御部68は、下側コンベア56を駆動させて積載面57a上の土台部71および土台部71にもたれかかる冊子Bを左方向へ移動させ、図11に示すように、土台部71にもたれかかる冊子Bを壁31aに突き当てさせる。これにより、冊子Bは、積載面57aに接する辺が前後方向に平行になるように姿勢が整えられる。ここで、壁31aは、下側コンベア56の左側に隣接する筐体31の一部からなる壁である。
次いで、ステップS12において、製本制御部68は、図12に示すように、下側コンベア56を駆動させて積載面57a上の土台部71および土台部71にもたれかかる冊子Bを右方向へ搬送量L3だけ搬送させる。搬送量L3は、土台部71および土台部71にもたれかかる冊子Bを、壁31aへ突き当てた位置から次の待機位置まで移動させるための搬送量である。次の待機位置は、次の冊子Bが土台部71にもたれかかっている冊子Bに傾斜角θで重なってさしみ状態で載置されるように待ち受ける位置である。
次いで、ステップS13において、製本制御部68は、第2センサ61がオンであるか否かを判断する。
第2センサ61がオフであると判断した場合(ステップS13:NO)、製本制御部68は、ステップS10に戻り、次の冊子Bを上側コンベア51から下側コンベア56へ送る。これにより、図13に示すように、先の冊子Bに対して次の冊子Bが接点間距離Lbで載置される。この後、以降のステップS11〜S13の処理が繰り返される。
第2センサ61がオンであると判断した場合(ステップS13:YES)、製本制御部68は、製本装置3の動作を停止させる。この際、印刷装置2の印刷動作も停止される。第2センサ61がオンになると、図14に示すように、下側コンベア56上が冊子Bで満杯になっている。このため、製本制御部68は、製本装置3の動作を停止させる。以上により、下側コンベア56への重ね積載が終了する。
以上の説明から明らかなように、本実施の形態では、図4のフローチャートにおけるステップS1〜S8が、請求項の土台形成手段に対応する処理となっている。また、図4のフローチャートにおけるステップS9〜S13が、請求項の積載手段に対応する処理となっている。
下側コンベア56上が冊子Bで満杯になって製本装置3の動作を停止させた場合、製本制御部68は、排出トレイ66の冊子Bを取り除くとともに、製本装置3からの冊子Bの排出を開始させる操作を行うようをユーザに指示する。具体的には、製本制御部68は、図示しない表示部に、当該操作を指示するメッセージを表示させる。
この後、製本制御部68は、図示しない入力部に対するユーザ操作に応じて、下側コンベア56を駆動させて冊子Bを排出トレイ66へ排出させる。ここで、冊子Bが排出トレイ66に積載されることで排出トレイ66の図示しない満杯検知スイッチがオンになると、製本制御部68は、下側コンベア56を停止させる。そして、製本制御部68は、排出トレイ66から冊子Bを取り除くようユーザに指示する。排出トレイ66から冊子Bが取り除かれて満杯検知スイッチがオフになると、製本制御部68は、再度下側コンベア56を駆動させて冊子Bを排出トレイ66へ排出させる。これを繰り返し、下側コンベア56上の冊子Bがすべて排出されると、製本制御部68は、印刷装置2の印刷動作および製本装置3の製本動作を再開させる。
以上説明したように、製本装置3では、下側コンベア56の積載面57a上に複数の冊子Bにより土台部71を形成する。そして、複数の冊子Bがさしみ状態で重なって土台部71の左側の階段部分にもたれかかるように、土台部71に対する左側の積載面57a上に冊子Bを積載する。これにより、さしみ状態の冊子Bが土台部71に支えられて安定して積載され、冊子Bが崩れることを抑制できる。この結果、積載面57a上の冊子Bの積載量を増大できる。また、冊子Bが崩れることで冊子Bに変形が生じることを低減できる。さらに、冊子同士が滑ることで印刷された表紙が汚れることを抑制できる。
また、製本装置3では、土台部71を形成する冊子Bの冊数Nは、冊子Bの厚さTおよび積載面57a上の積載上限高さHに応じて決定される。また、土台部71における冊子Bの1冊ごとのずれ量Laは、配列方向における冊子Bの長さW、積載上限高さH、および冊子Bの厚さTに応じて決定される。これにより、積載面57a上の積載上限高さHおよび冊子Bの寸法に応じて、安定して多くの冊子Bを積載できる。
本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。