JP6039403B2 - エンジニアリングプラスチックスの押出し成形方法 - Google Patents

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Description

本発明は、押出し成形時のエンジニアリングプラスチックス組成物の加水分解を抑制し得るエンジニアリングプラスチックスの押出し成形方法に関するものである。
従来、押出機に供給すべき原料としては、ベース樹脂にフィラー(充填剤)や添加剤を配合したものが用いられる。このような原料を混練した後に押し出す押出機として、たとえば下記特許文献1に記載されたものがある。
この特許文献1に記載の押出機では、シリンダーから押し出された混練樹脂がカメラで撮像され、その撮像画像を用いて混練樹脂中のフィラーの凝集有無や分散状況が評価される。
特開2009−262461号公報
エンジニアリングプラスチックスは高い耐熱性、高い機械物性をもつことで知られているが、各種フィラーや添加剤を配合することによりその性質を更に高められることが知られている。しかしながら、フィラーには吸湿性を有するものがある。そのフィラーに含まれる水分が多いとシリンダー内で気化して溜まり、当該水蒸気によってベース樹脂が加水分解されるといった事態が生じる。この結果、エンジニアリングプラスチックス組成物の物性が低下するという問題があった。
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、押出し成形時のエンジニアリングプラスチックス組成物の加水分解を抑制し得るエンジニアリングプラスチックスの押出し成形方法を提案するものである。
かかる課題を解決するため本発明は、シリンダーと、前記シリンダー内に挿通される二軸スクリューとを備える押出機を用いた押出し成形方法であって、前記二軸スクリューには、前記シリンダーに設けられるフィード部から供給される原料を下流側に搬送する搬送部が設けられている。前記原料は、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミドXDの少なくとも1つ100重量部と、吸湿性フィラー5〜400重量部とを含んでいる。前記搬送部のスクリュー構成は、フライトの最外径をDとした場合に、フライトのリードが1.0D以上2.5D以下、スクリュー長が3.0D以上10D以下の1条のフライトスクリューとされることを特徴とする。
二軸スクリューの混練部で原料は熱せられる。そのために吸湿性フィラーの水分が気化し、発生した水蒸気は多くは上流に逆流し、フィード部からシリンダーの外部に排出されるが、樹脂中に溶解する水蒸気もある。また、原料は熱せられることにより溶融し、当該溶融した原料は吸湿した水分により容易に加水分解される。
押出機の中での加水分解を抑制するには発生した水蒸気を効率よく上流に逃がし、フィード部からシリンダーの外部に排出させることである。これにより、樹脂の吸湿が減り、加水分解が抑制される。
鋭意検討の結果、二軸スクリューにおける搬送部のスクリュー形状、リード、長さを適正化することにより、水蒸気を効果的に上流に逃がし、原料の加水分解を抑制できることが分かった。すなわち、搬送部にリードが1.0D以上、2.5D以下、スクリュー長が3.0D以上、10D以下の1条フルフライトスクリューを使うことである。
1条フルフライトスクリューが加水分解抑制に効果がある理由は定かではないが、次のように考えられる。1条フルフライトスクリューはペレットや粉体の搬送能力に優れるため、ペレットや粉体がスクリューのフライトの根本側に寄せられ、反対側に気体の流路が形成される。その流路を介して効果的に水蒸気を逃がす(逆流させる)ことができ、結果的に原料に溶解する水分が減り原料の加水分解が抑制される。
また、搬送部におけるフライトのリードが1.0D以上、2.5D以下でなくてはならない。1.0D以下では気体流路が確保できず、水蒸気を逃がすことができないからである。一方、2.5D以上ではペットや粉体がフライトの根本側に押しやられず、気体流路を形成することができないからである。また1条フルフライトの長さは3D以上、10D以下でなくはならない。3Dより短いと吸湿性フィラーの予熱が不足し、脱水が不十分となるからである。一方、10Dより長いと水蒸気の流路が長くなり抵抗が増大し、水蒸気が逃げにくくなり、原料に溶解しやすくなることで原料の加水分解が促進されるからである。
このように本発明のエンジニアリングプラスチックスの押出し成形方法によれば、押出し成形時のエンジニアプラスチックスの加水分解を抑制することができる。
また、前記搬送部が前記原料を搬送しているときの前記シリンダーには振動が加えられることがさらに好ましい。
このようにした場合、シリンダーに振動を加えなかった場合に比べて、吸湿性フィラーにおける水成分に起因するエンジニアプラスチックスの加水分解を抑制できる。このことは本発明者らの実験により確認されている。
なお、シリンダーに振動を加えた場合により一段とエンジニアプラスチックスの加水分解の抑制が可能となる理由は定かではないが以下のように考えられる。スクリュー表面にそって水蒸気が逆流する。スクリュー表面のこの流れの境界層が発生するが、通常は層流である。しかし、強制的に振動を加えることにより、層流は乱流に遷移し、気流抵抗が低減したと考えられる。ゴルフボールの表面にディンプル(凹)をつくり、強制的にボールの周囲に乱流を発生させ、空気抵抗を低減する原理に近いと考えられる。
シリンダーに振動を加える手法としては、押出機のモーターを大きなものにし、当該モーターに生じる振動がフィード部に伝わるようにしてもよく、振動子を設けるようにしてもよい。
なお、フィード部のシリンダーの振幅は0.005〜0.2mm、振動速度は0.3mm/秒〜5mm/秒であることが特に好ましいことが実験により分かった。
また、前記搬送部における前記フライト側部には曲面状の窪みが設けられることが好ましい。
このようにした場合、窪みを設けない場合に比べて、エンジニアプラスチックスが加水分解されるといった事態をより一段と抑制することができる。この理由については定かではないが、フライト側部に曲面状の窪みを設けた場合、隣り合うフライト間に形成される気体の流路がより一段と広くなり、また窪み部がペレットや粉体を圧縮するからであると考えられる。
以上のように本発明によれば、押出し成形時のエンジニアリングプラスチックス組成物の加水分解を抑制することができる。
本実施形態における押出機の内部の様子を概略的に示す図である。 1条のスクリューエレメントを示す図である。 2条のスクリューエレメントを示す図である。 混練用スクリューエレメントを示す図である。 混練部における前段領域、中段領域及び後段領域の混練用スクリューエレメント例を示す図である。 気体の流通スペースの説明に供する図である。 アンダーカットが施されたスクリューエレメントを示す図である。 実施例1−1におけるスクリュー構成を示す図である。
以下、本発明に係る押出機の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態における押出機の内部の様子を概略的に示す図である。図1に示すように、本実施形態における押出機1は、シリンダー10と、二軸スクリュー20とを主な構成要素として備える。
押出機1の根本にはフィード部(開口部)OPが設けられ、その上にホッパー11が設置されている。押出機1の先端にはダイヘッド12が設置され、そのダイヘッド12には複数のノズルが配置されたダイプレートがついている。また、シリンダー10の下流には真空ベント13が設置され、軽沸点成分を除去できるようになっている。シリンダー10の外周には図示しないヒーターが付いていて、所定の温度にシリンダー10をヒートアップすることができる。
ところで、押出機1の根本のフィード部OPのシリンダー10に振動子を設けることができる。この振動子を振動させることにより、フィード部OPのシリンダー10を振動させ、シリンダー内部の空気に振動を伝えることができる。
フィード部OPのシリンダー10の振幅は0.005〜0.2mmが好ましく、当該振動子の速度は0.3mm/秒〜5mm/秒が好ましい。これ以下では十分な乱流発生することはできず、また大きすぎればフィードシリンダーとホッパーの接続ネジを破損させてしまうからである。
ホッパーからフィード部11を介してシリンダー10内に投入される原料は、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミドXDの少なくとも1つ100重量部と、吸湿性フィラー5〜400重量部とを含むものとされる。
<ポリブチレンテレフタレートについて>
本発明に用いるべきポリブチレンテレフタレート樹脂(以下、「PBT」と略記することがある。)とは、テレフタル酸単位および1,4−ブタンジオール単位がエステル結合した構造を有し、ジカルボン酸単位の50モル%以上がテレフタル酸単位から成り、ジオール成分の50モル%以上が1,4−ブタンジオール単位から成る高分子を言う。
テレフタル酸単位または1,4−ブタンジオール単位が低すぎると、たとえば50モル%より少ないと、PBTの結晶化速度が低下し、得られるポリブチレンテレフタレート樹脂の成形性が低下する場合がある。よって全ジカルボン酸単位中のテレフタル酸単位の割合は、通常70モル%以上、中でも80モル%以上、更には95モル%以上、特に98%以上であることが好ましく、また全ジオール単位中の1,4ブタンジオール単位の割合は、通常70モル%以上、中でも80モル%以上、更には95モル%以上、特に98%以上であることが好ましい。
本発明に用いるべきPBTの原料であるジカルボン酸成分に於いて、テレフタル酸以外のジカルボン酸成分としては特に制限はない。具体的にはたとえば、フタル酸、イソフタル酸、4,4'−ジフェニルジカルボン酸、4,4'−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4'−ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4'−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸類;1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸類;マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸類;等が挙げられる。これらのジカルボン酸成分は、ジカルボン酸として、または、ジカルボン酸エステル、ジカルボン酸ハライド等のジカルボン酸誘導体を原料として、ポリマー骨格に導入できる。
また、本発明に用いるべきPBTの原料であるジオール成分に於いて、1,4−ブタンジオール以外のジオール成分としては特に制限はない。具体的にはたとえば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ジブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール等の脂肪族ジオール類;1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメチロール等の脂環式ジオール類;キシリレングリコール、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等の芳香族ジオール類;等が挙げられる。
さらに、本発明に用いるべきPBTとしては、乳酸、グリコール酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸、p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸類;アルコキシカルボン酸、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、ステアリン酸、安息香酸、t−ブチル安息香酸、ベンゾイル安息香酸等の単官能成分;トリカルバリル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、没食子酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール等の三官能以上の多官能成分;等を共重合させたものをも、使用することができる。
本発明に用いるべきPBTは、チタン化合物と、1族金属化合物及び/または2族金属化合物とを含有し、チタン化合物の含有量が、チタン原子換算で10ppm以上80ppm以下であり、1族金属化合物及び/または2族金属化合物の含有量が、その金属原子換算で1ppm以上50ppm以下であることを特徴とする。
本発明に用いるべきPBTは、1,4−ブタンジオールとテレフタル酸(又はテレフタル酸ジアルキル)とのエステル化反応(又はエステル交換反応)で得られたオリゴマーを重縮合したものであり、中でも、この重縮合の際に用いる触媒(重縮合触媒)として、チタン化合物と、1族金属化合物及び/又は2族金属化合物とを用いることによって、PBT中におけるチタン化合物と、1族金属化合物及び/又は2族金属化合物との分散性を良好なものとすることができるので、好ましい。
これらの重縮合触媒の使用時期は任意であり、具体的には使用方法としてたとえば以下の(1)〜(4)等の方法が挙げられる。尚、以下、チタン化合物をチタン触媒、また1族金属化合物及び2族金属化合物を、各々、1族金属触媒、2族金属触媒と言うことがある。
(1)エステル化反応(またはエステル交換反応)に、チタン化合物と、1族金属化合物及び/又は2族金属化合物との両方を使用し、重縮合反応に持ち込む方法。(2)エステル化反応(またはエステル交換反応)に、チタン化合物と、1族金属化合物及び/又は2族金属化合物との両方を一部使用し、重縮合反応開始時又は反応中に追加する方法。(3)エステル化反応(またはエステル交換反応)では、チタン化合物と、1族金属化合物及び/又は2族金属化合物とのどちらか一方の触媒を使用し、他方を重縮合反応開始時又は反応中に追加する方法。(4)エステル化反応(またはエステル交換反応)では、チタン化合物と、1族金属化合物及び/又は2族金属化合物とのいずれも使用せず、重縮合反応開始時に両方を追加する方法。
本発明に用いるべきチタン化合物としては特に制限はなく、具体的にはたとえば、酸化チタン、四塩化チタン等の無機チタン化合物類;テトラメチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタンアルコラート類;テトラフェニルチタネート等のチタンフェノラート類;等が挙げられる。中でもチタンアルコラート類が好ましく、更にはテトラアルキルチタネート類が好ましく、特にテトラブチルチタネートが好ましい。
本発明に用いるべき1族金属化合物及び/又は2族金属化合物としては特に制限はなく、具体的にはたとえば、1族金属化合物としてはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムの、水酸化物類;酸化物類;アルコラート類;酢酸塩、リン酸塩、炭酸塩等の各種有機酸塩類;等の各種化合物が挙げられ、また2族金属化合物としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムの、水酸化物類;酸化物類;アルコラート類;酢酸塩、リン酸塩、炭酸塩等の各種有機酸塩類;等の各種化合物が挙げられる。これらは単独で使用しても、また併用してもよい。
中でも、取り扱いや入手の容易さ、触媒効果の点から、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等の化合物が好ましく、更には触媒効果と色調に優れる、リチウム又はマグネシウムの化合物が好ましく、特にマグネシウム化合物が好ましい。マグネシウム化合物としては、具体的にはたとえば酢酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マグネシウムアルコキサイド、燐酸水素マグネシウム等が挙げられる。中でも有機酸塩類が好ましく、特に酢酸マグネシウムが好ましい。
本発明に用いるべきPBTにおける、チタン化合物の含有量は、チタン原子換算で10ppm以上80ppm以下である。このチタン化合物の含有量が多過ぎると、PBTの色調や耐加水分解性が低下したり、またチタン触媒の失活による溶液ヘイズや異物が増加する場合がある。逆に少な過ぎても、PBTの重合性が低下してしまう。よってチタン化合物の含有量は、70ppm以下、中でも60ppm以下、更には50ppm以下、特に40ppm以下であることが好ましく、その下限は15ppm以上、中でも20ppm以上、特に30ppm以上であることが好ましい。
本発明に用いるべきPBTにおける1族金属化合物及び/又は2族金属化合物の含有量は、各々の金属原子換算で、1ppm以上50ppm以下である。この1族金属化合物及び/又は2族金属化合物の含有量が多過ぎると、本発明のPBT組成物の成形性や、得られる樹脂成形品の耐熱性が低下する場合がある。逆に少な過ぎても、成形品の表面外観が低下する場合がある。よって1族金属化合物及び/又は2族金属化合物の含有量は、40ppm以下、中でも30ppm以下、更には20ppm以下、特に15ppm以下であることが好ましく、その下限は3ppm以上、中でも5ppm以上、特に10ppm以上であることが好ましい。チタン原子などの金属含有量は、湿式灰化などの方法でポリマー中の金属を回収した後、原子発光、原子吸光、Inductively
Coupled Plasma(ICP)等の方法を使用して測定することが出来る。
<ポリカーボネートについて>
本発明に用いるべきポリカーボネートとしては、芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、芳香族−脂肪族ポリカーボネートが挙げられ、好ましくは、芳香族ポリカーボネートであり、具体的には、芳香族ジヒドロキシ化合物をホスゲン又は炭酸のジエステルと反応させることによって得られる熱可塑性芳香族ポリカーボネート重合体又は共重合体が用いられる。
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、α,α´−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4´−ジヒドロキシジフェニルなどが挙げられる。また、ジヒドロキシ化合物の一部として、上記の芳香族ジヒドロキシ化合物にスルホン酸テトラアルキルホスホニウムが1個以上結合した化合物、又はシロキサン構造を有する両末端フェノール性OH基含有のポリマーもしくはオリゴマー等を併用すると、難燃性の高いポリカーボネートを得ることができる。
本発明で用いるべきポリカーボネートの好ましい例としては、ジヒドロキシ化合物として2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、又は2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とを併用したポリカーボネートが挙げられる。
ポリカーボネートの製造方法は、特に制限はないが、通常、界面重合法(ホスゲン法)または溶融法(エステル交換法)の方法で製造される。
界面重合法における重合反応は、反応に不活性な有機溶媒、アルカリ水溶液の存在下で、通常pHを9以上に保ち、芳香族ジヒドロキシ化合物、ならびに、必要に応じて分子量調整剤(末端停止剤)および芳香族ジヒドロキシ化合物の酸化防止のための酸化防止剤を用い、ホスゲンと反応させた後、第三級アミンまたは第四級アンモニウム塩等の重合触媒を添加し、界面重合を行うことによってポリカーボネートを得る。分子量調節剤の添加は、ホスゲン化時から重合反応開始時までの間であれば特に限定されない。なお、反応温度は、たとえば、0〜40℃で、反応時間は、たとえば、数分(たとえば、10分)〜数時間(たとえば、6時間)である。
ここで、反応に不活性な有機溶媒としては、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化炭化水素などが挙げられる。また、アルカリ水溶液に用いられるアルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物が挙げられる。
分子量調節剤としては、一価のフェノ−ル性水酸基を有する化合物が挙げられ、m−メチルフェノ−ル、p−メチルフェノ−ル、m−プロピルフェノ−ル、p−プロピルフェノ−ル、p−tert−ブチルフェノ−ルおよびp−長鎖アルキル置換フェノ−ルなどが好ましく挙げられる。分子量調節剤の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物100モルに対して、好ましくは50〜0.5モル、より好ましくは30〜1モルである。
重合触媒としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン、ピリジン等の第三級アミン類、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩などが挙げられる。
溶融法について説明すると、この製造方法における重合反応は、たとえば、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応である。炭酸ジエステルとしては、ジメチルカ−ボネ−ト、ジエチルカ−ボネ−ト、ジ−tert−ブチルカ−ボネ−ト等の炭酸ジアルキル化合物、ジフェニルカ−ボネ−トおよびジトリルカ−ボネ−ト等の置換ジフェニルカ−ボネ−ト等が例示される。炭酸ジエステルは、好ましくはジフェニルカ−ボネ−トまたは置換ジフェニルカ−ボネ−トであり、より好ましくはジフェニルカ−ボネ−トである。
溶融エステル交換反応においては、通常、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物との混合比率や、エステル交換反応時の減圧度を調整して、所望の分子量および末端水酸基量を調整した芳香族ポリカーボネートを得ることができる。通常、溶融エステル交換反応においては、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、炭酸ジエステルを等モル量以上用い、中でも1.001〜1.3モル、特に1.01〜1.2モル用いることが好ましい。また、より積極的な調整方法としては、反応時に別途、末端停止剤を添加する方法が挙げられ、この際の末端停止剤としては、一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類が挙げられる。
本発明で用いるべきポリカーボネートは、上記界面重合法および溶融重合法のいずれで製造されたものでもよい。しかしながら、前記したように、界面重合法により製造されたポリカーボネート中には、重合溶媒、触媒、触媒失活剤および反応副生成物などに由来する塩化メチレンや未反応残基であるクロロホーメート基含有化合物等の塩素化合物を少なからず含有しており、本発明の対象とするに好ましい。そのため、本発明の方法は、界面重合法により製造されたポリカーボネートを使用するのに適している。
ポリカーボネートの分子量は、溶媒としてメチレンクロライドを用い、25℃の温度で測定した溶液粘度より換算した粘度平均分子量で、通常10,000〜50,000の範囲であり、15,000〜30,000の範囲のものが好適であり、17,500〜27,000の範囲のものがより好適である。粘度平均分子量が10,000未満では機械的強度に劣り、50,000を越えると成形加工性に劣るので好ましくない。
<ポリアミドXDについて>
ポリアミドXDとは、キシリレンジアミンを含むジアミン構成単位(ジアミンに由来する構成単位)とα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸を含むジカルボン酸構成単位(ジカルボン酸に由来する構成単位)を重縮合させることにより得られるポリアミド樹脂である。好ましくはジアミン構成単位中の70モル%以上、より好ましくは80モル%以上がキシリレンジアミンであり、好ましくはジカルボン酸構成単位の70モル%以上、より好ましくは80モル%以上が、炭素原子数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸である。
ここでキシリレンジアミンが70モル%未満では、最終的に得られるポリアミド樹脂組成物の剛性、弾性率、耐熱性等が十分でなく、炭素原子数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸が70モル%に満たないと、ポリアミド樹脂組成物が硬くなり加工性が悪くなりやすい。
ポリアミドXDの原料ジアミン成分として用いるキシリレンジアミンとしては、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンおよびこれらの混合物が好ましく用いられるが、成形品外観、摺動性の点からメタキシレンジアミンが好ましい。メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンを併用する場合は、その併用割合は、好ましくは、パラキシリレンジアミンが15〜60モル%、メタキシリレンジアミンが85〜40モル%、より好ましくはパラキシリレンジアミンが15〜45モル%、メタキシリレンジアミンが85〜55モル%であり、最も好ましくは、パラキシリレンジアミンが20〜40モル%、メタキシリレンジアミンが80〜60モル%である。パラキシリレンジアミンの量が15モル%未満では、結晶化速度が低下し、成形サイクルが長くなる場合があり、十分な融点の向上が見られにくく耐熱性が不足する場合があり、60モル%を超えると融点が高くなりすぎ、重合時及び成形時に熱劣化等の不都合を生じるおそれがあるので好ましくない。
本発明においては、ジアミン成分として、キシリレンジアミン以外のジアミンを用いることもできる。キシリレンジアミン以外のジアミンとしては、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、2−メチルペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノメチル)デカリン(構造異性体を含む。)、ビス(アミノメチル)トリシクロデカン(構造異性体を含む。)等の脂環式ジアミン、ビス(4−アミノフェニル)エーテル、パラフェニレンジアミン、ビス(アミノメチル)ナフタレン(構造異性体を含む。)等の芳香環を有するジアミン等を例示することができ、1種又は2種以上を混合して使用できる。
ジアミン成分として、キシリレンジアミン以外のジアミンを用いる場合は、ジアミン酸構成単位の30モル%未満であり、好ましくは1〜25モル%、特に好ましくは5〜20モル%の割合で用いる。
ポリアミドXDの原料ジカルボン酸成分として用いるα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸としては、たとえばコハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、アジピン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸が例示でき、1種又は2種以上を混合して使用できるが、これらの中でも柔軟性の点からアジピン酸又はセバシン酸、あるいはこれらの混合物が好ましく、アジピン酸が特に好ましい。
本発明においては、ジカルボン酸成分として、α,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸以外のジカルボン酸を用いることもできる。上記α,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸以外のジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、テレフタル酸、オルソフタル酸等のフタル酸化合物、1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、1,7−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸といった異性体等のナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等のカルボン酸無水物等を例示することができ、1種又は2種以上を混合して使用できる。
ジカルボン酸成分として、α,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸以外のジカルボン酸を用いる場合は、成形加工性、バリア性の点から、イソフタル酸を用いることが好ましい。イソフタル酸の割合は、ジカルボン酸構成単位の30モル%未満であり、好ましくは1〜25モル%、特に好ましくは5〜20モル%の範囲の割合で使用する。
ポリアミド樹脂は、96%硫酸中、樹脂濃度1g/100cc、温度25℃で測定した相対粘度が1.7〜4であるものが好ましく、1.9〜3.8であるものがより好ましい。相対粘度が1.7未満であると、機械的強度が低下する傾向にあり、4を超えると成形性が低下する場合がある。
<吸湿性フィラーについて>
本発明における吸湿性フィラーとは、湿度90%、60℃の条件下で2日間放置した際の吸水率が0.1%以上となるフィラーである。具体的には、タルク、マイカ、カオリン、クレー、黒鉛、カーボン、シリカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、ウォラストナイトなどがある。
<二軸スクリューについて>
二軸スクリュー20は、樹脂や添加剤を搬送し、溶融混合し、更に搬送、脱気し、ダイプレートから樹脂(ストランド)を押し出す機能がある。
搬送部21は、原料を軸に沿って一方向に搬送するスクリュー部位であり、複数のスクリューエレメントを連結することにより構成される。
1段目の搬送部21は、フィード部OPから供給される原料を下流側に搬送する部分であり、具体的には、フィード部OP周りのシリンダー部分に囲まれた部位から、当該部位に最も近い下流側の混練部22までにわたる部分である。
この1段目の搬送部21は、1条のフルフライトスクリューとされる。また、フライトの最外径をDとした場合、当該フライトのリードは1.0D以上2.5D以下とされ、スクリュー長は3.0D以上10D以下とされる。なお、フライトとはスクリューの刃(頂上部:条)を意味しており、当該フライトのリードは1つのフライトが1周する距離である。
本実施形態の場合、図1に示すように、2段目の搬送部21及び3段目の搬送部21が設けられているが、当該段数は本実施形態に限定されるものではない。また、2段目以降の搬送部21のスクリュー構成としては、1条のフルフライトスクリューであってもよく、2条のフルフライトスクリューであってもよい。
なお、1条のフライト31を有するスクリューエレメントを図2に示し、2条のフライト31を有するスクリューエレメントを図3に示す。
混練部22は、搬送部21から供給される原料を混練する部位であり、複数の混練用スクリューエレメントを連結することにより構成される。
図4は、混練用スクリューエレメントを示す図である。図4に示すように、混練用スクリューエレメントは、複数のディスク41を所定角度ずつずらして連結した構造である。なお、ディスク41の形状は、一般には図4に示すように、楕円形状とされる。
図4では、隣り合うディスク41同士のずれ角(ずれ度)が45°の混練用スクリューエレメントが示されているが、当該ずれ角は、混練部22における前段領域AR1(図1)と、中段領域AR2(図1)と、後段領域AR3(図1)とでは異なる。
図5は、混練部22における前段領域AR1、中段領域AR2及び後段領域AR3の混練用スクリューエレメント例を示す図である。具体的に図5の(A)は前段領域AR1の混練用スクリューエレメント例であり、ずれ角30度の順方向ニーディングディスクを示している。また、図5の(B)は中段領域AR2の混練用スクリューエレメント例であり、ずれ角90度の直ニーディングディスクを示している。さらに、図5の(C)は後段領域AR3の混練用スクリューエレメント例であり、ずれ角30度の逆ニーディングディスクを示している。
逆ニーディングディスクは樹脂を堰き止め、樹脂を分散させる効果があり、順ニーディングディスクは樹脂を送りながら樹脂を分散する効果がある。直ニーディングディスクは樹脂を分散する効果のみある。順ニーディングディスクと逆ニーディングディスクのずれ角は任意にとることができる。なお、混練部22にはこれ以外にも、ミキシングスクリューやシールリングが適用可能である。
<動作・効果等>
本実施形態における押出機1では、二軸スクリュー20の2つの軸が同方向に単位時間当たり所定の回転数で回転される。また、フィード部OPのシリンダー10以外のシリンダー部位が、原料として含有されるエンジニアリングプラスチックスのガラス転移温度や溶融温度以上に加熱される。
このような状態において、ホッパー11からフィード部OPを介してシリンダー10の内部に原料が供給された場合、当該原料は、フィード部OPの直下にある1段目の搬送部21によって、その搬送部下流にある1段目の混練部22まで搬送される。
この混練部22における後段領域AR3では、回転方向とは逆の方向にディスク41がずれた状態にあるため、当該後段領域AR3では原料が堰き止められる。この堰き止めに起因して混練部22の前段領域AR1でトルクが生じるとともに、当該混練部22における原料の充満率が上昇する。この結果、1段目の混練部22における原料の温度が上昇し、当該原料に含まれるエンジニアプラスチックスが溶融可塑化する。また、溶融可塑化状態にあるエンジニアプラスチックは、分散及び分配されるとともに吸湿性フィラーと混合される。
このようにして原料は1段目の混練部22で溶融混練される。更に、フィードされる樹脂に押されて、下流にある2段目の搬送部21に供給される。2段目の搬送部21に供給された原料は、2段目の混練部22に搬送され、当該混練部22において1段目の混練部22と同様にして混練された後、3段目の搬送部21によってダイス12からシリンダー10の外部に押し出される。
ところで、1段目の混練部22では、当該混練部22における原料の温度上昇に伴って、原料に含まれる吸湿性フィラーの水分が気化するため、当該水蒸気によってエンジニアプラスチックスが加水分解されるといった事態が生じ得る。
この点、本実施形態の場合、1段目の搬送部21では、1条のフライトスクリュー構成が採用され、当該フライト31のリードが1.0D以上とされる。
このため、図6に示すように、隣り合うフライト間では、当該フライト間に存在するフィラーがスクリューの遠心力によって隣り合うフライトの側方に寄せられ、当該フィラーとフライトとの間に気体の流通スペースSPが形成される。
したがって、1段目の混練部22において吸湿性フィラーの水分が気化しても、1段目の搬送部21に形成される気体の流通スペースSPを介して、回転方向(図6の細矢印の方向)に沿った上流(図6の太矢印の方向)に水蒸気が流れる。この結果、混練部22で水蒸気が溜まるといった事態が回避されるため、押出し成形時のエンジニアプラスチックスが加水分解されるといった事態は抑制される。
また本実施形態では、1段目の搬送部21におけるフライト31のリードが2.5D以下とされ、スクリュー長が10D以下とされているため、当該リード又は長さが大きいことに起因して搬送部21の搬送機能が低下し、当該搬送部21の途中で原料が溜まって気体の流通スペースSPが埋まるといった事態を未然に防止することができる。
また本実施形態では、1段目の搬送部21におけるスクリュー長が3.0D以上とされている。3.0Dより短いとフィラーの予熱が弱く吸着水を十分揮発させることができないからである。
このように本実施形態の押出機1によれば、1段目の搬送部21におけるスクリュー構成を、フライトのリードが1.0D以上2.5D以下、スクリュー長が3.0D以上10D以下の1条のフルフライトスクリューとすることで、押出し成形時のエンジニアプラスチックスの加水分解を抑制することができる。
なお、図7に示すように、1条のフライトスクリューにおけるフライト31側部に曲面状の窪み(以下、アンダーカットという。)32が設けられた場合、隣り合うフライト31間に形成される気体の流通スペースSPがより一段と広くなる。
したがって、フライト31側部にアンダーカット32を設けた場合には、吸湿性フィラーの水蒸気によってエンジニアプラスチックスが加水分解されるといった事態をより一段と抑制することができる。
ところで、フィード部OP周りのシリンダー部分に振動子を設けた場合、当該振動子によってフィード部OP周りのシリンダー10に振動が加えられる。
これにより、シリンダー10に振動を加えなかった場合に比べて、吸湿性フィラーにおける水成分に起因するエンジニアプラスチックスの加水分解を抑制できる。このことは本発明者らの実験により確認されている。
なお、シリンダー10に振動を加えた場合にエンジニアプラスチックスの加水分解の抑制がより一段と向上する理由は、1段目の搬送部21からフィード部OPを介してシリンダー10の外部に流れようとする水蒸気流に乱流が生じ、当該乱流に起因して水蒸気流の流体抵抗が低減するからであると考えられる。
上述した実施形態はあくまで一例であり、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
たとえば、上記実施形態では、二軸スクリュー20に2つの混練部22が構成された。しかしながら、二軸スクリュー20に構成されるべき混練部22の数は1つであっても良く、3つ以上であってもよい。
また上記実施形態では、フィード部OP周りのシリンダー部分に振動子を設ける場合について説明した。しかしながら、1段目の搬送部21が原料を搬送する場合にシリンダー10に振動が加えられれば、振動子の設置部位は問わないし、振動子を設けなくてもよい。振動子を設けない場合、たとえば、二軸スクリューを回転させるためのモーターの駆動力を大きくし、当該モーターの振動がフィード部OP周りのシリンダー部分に伝わるようにしてもよい。
シリンダー10は、フィード部OPのシリンダー部分を除いて加熱されるため、フィードシリンダー以外のシリンダー部分に振動子を設ける場合には、当該加熱の影響を低減又は回避する部材が別途必要となる。さらに、振動子の振動を大きくすると、フィード部OPに取り付けるべきホッパー11とシリンダー10との終結具の終結度合いが弱まることが確認されている。
したがって、振動子を設ける場合には、当該振動子をフィード部周りのシリンダー部分に設けることで、加熱の影響を抑えつつも、エンジニアプラスチックスの加水分解を効率よく抑制することができる。
なお、本発明は、上述の実施形態で説明した事項以外に、本発明の目的を損なわない範囲で、組み合わせ、省略、変更、周知技術の付加などをすることができる。たとえば、本発明の樹脂組成物に対して、本発明の目的を損なわない範囲で、さらに酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、染料、顔料、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤等の添加剤を1種以上添加することができる。また少量の他の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、軟質熱可塑性樹脂を添加することもでき、これらの樹脂は1種のみでなく2種以上併用してもよい。
次に、上記実施形態に関する実施例・比較例を挙げて実験した内容について説明する。ただし、本発明は、以下の実施例・比較例に限定されるものではない。
(実施例1−1)
クボタ製の二軸スクリュー式カセットウェイングフィーダー(CE−W−1)を用いて、日本製鋼所製の押出機(TEM30α)に原料を供給した。
原料は、三菱エンジニアリング株式会社製のポリブチレンテレフタレート(ノバデュラン5008)を100重量部と、クラレトレーディング株式会社製のマイカ(スゾライトマイカ325HK)を30重量部とした。
押出機の処理量は30kg/hrとし、押出機における二軸スクリューの回転数を300rpmとし、押出機におけるシリンダーの加熱設定温度は260℃とし、当該シリンダー及び二軸スクリュー構成は図8のようにした。
すなわち、フィード部OP直下を含む1段目の搬送部21のスクリュー構成はリードが1.5Dの1条スクリューエレメントを4個連結し、長さを6Dとした。この搬送部21の下流には1条スクリューから2条スクリューに変換するトランジションを連結し、その下流を1段目の混練部22とした。混練部22のディスク構成は、実施形態と同様に、順方向(R)、直方向(N)、逆方向(L)とした。さらに、1段目の混練部22の下流にフルフライトスクリュー構成でなる2段目の搬送部21を連結し、当該2段目の搬送部21の下流に1段目の混練部22と同じ構成でなる2段目の混練部22を連結した。さらに、2段目の混練部22の下流にフルフライトスクリュー構成でなる3段目の搬送部21を連結した。
3段目の搬送部21によって押し出されたストランドを水槽で冷却し、ペレタイザーでペレット化した。得られたペレットを120℃5時間熱風乾燥器で乾燥した後に、MVR(Melt Volume-flow Rate)及び引っ張り強度を測定した。
MVRは、東洋精機のメルトインデクサーで250℃、5kgの荷重で測定した(ISO1133)。引っ張り強度は、日本製鋼所製成形機のJ85ADを用いてISO多目的試験片A型を成形し(ISO3167)、ISO527−1の方法に従って測定した。
(実施例1−2)
1段目の搬送部21のスクリュー構成以外は実施例1−1と同様にしてMVR及び引っ張り強度を測定した。本実施例における1段目の搬送部21のスクリュー構成は、フライトリードが2Dの1条スクリューエレメントを3個連結し、スクリュー長を6Dとした。
(実施例1−3)
1段目の搬送部21のスクリュー構成以外は実施例1−1と同様にしてMVR及び引っ張り強度を測定した。本実施例における1段目の搬送部21のスクリュー構成は、フライトリードが2Dの1条スクリューエレメントを4個連結し、スクリュー長を8Dとした。
(実施例1−4)
1段目の搬送部21のスクリュー構成以外は実施例1−1と同様にしてMVR及び引っ張り強度を測定した。本実施例における1段目の搬送部21のスクリュー構成は、フライト31側部にアンダーカットが施されている点を除き、実施例1−1と同様のスクリュー構成である。
(実施例1−5)
1段目の搬送部21のスクリュー構成以外は実施例1−2と同様にしてMVR及び引っ張り強度を測定した。本実施例における1段目の搬送部21のスクリュー構成は、フライト31側部にアンダーカットが施されている点を除き、実施例1−2と同様のスクリュー構成である。
(実施例1−6)
1段目の搬送部21のスクリュー構成以外は実施例1−3と同様にしてMVR及び引っ張り強度を測定した。本実施例における1段目の搬送部21のスクリュー構成は、フライト31側部にアンダーカットが施されている点を除き、実施例1−3と同様のスクリュー構成である。
(実施例1−7)
マイカの代わりに、林化成製のタルク(タルカンPK−C)を使用した以外は実施例1−1と同様にしてMVR及び引っ張り強度を測定した。
(比較例1−1)
1段目の搬送部21のスクリュー構成以外は実施例1−1と同様にしてMVR及び引っ張り強度を測定した。本比較例における1段目の搬送部21のスクリュー構成は、フライトリードが0.75Dの1条スクリューエレメントを8個連結し、スクリュー長を6Dとした。
(比較例1−2)
1段目の搬送部21のスクリュー構成以外は実施例1−1と同様にしてMVR及び引っ張り強度を測定した。本比較例における1段目の搬送部21のスクリュー構成は、フライトリードが3Dの1条スクリューエレメントを2個連結し、スクリュー長を6Dとした。
(比較例1−3)
1段目の搬送部21のスクリュー構成以外は実施例1−1と同様にしてMVR及び引っ張り強度を測定した。本比較例における1段目の搬送部21のスクリュー構成は、フライトリードが1.25Dの1条スクリューエレメントを2個連結し、スクリュー長を2.5Dとした。
(比較例1−4)
1段目の搬送部21のスクリュー構成以外は実施例1−1と同様にしてMVR及び引っ張り強度を測定した。本比較例における1段目の搬送部21のスクリュー構成は、フライトリードが2Dの1条スクリューエレメントを6個連結し、スクリュー長を12Dとした。
(比較例1−5)
1段目の搬送部21のスクリュー構成以外は実施例1−1と同様にしてMVR及び引っ張り強度を測定した。本比較例における1段目の搬送部21のスクリュー構成は、フライトリードが1.5Dの2条スクリューエレメントを4個連結し、スクリュー長を6Dとした。
(比較例1−6)
1段目の搬送部21のスクリュー構成及び原料以外は実施例1−1と同様にしてMVR及び引っ張り強度を測定した。本比較例における1段目の搬送部21のスクリュー構成は、フライトリードが3Dの一条スクリューエレメントを2個連結し、スクリュー長を6Dとした。また、本比較例ではマイカの代わりに、林化成製のタルク(タルカンPK−C)を使用した。
上記実施例1−1〜1−7及び比較例1−1〜1−6におけるスクリュー構成と、MVR及び引っ張り強度との関係をまとめたものを下記表1に示す。
Figure 0006039403
実施例1−1〜1−7と比較例1−1〜1−6との比較から、1段目の搬送部21におけるスクリュー構成の条件を、リードが1.0D以上2.5D以下、長さが3.0D以上10D以下の1条のフルフライトスクリューとした場合、当該条件以外のスクリュー構成とした場合に比べて、MVRが小さく引っ張り強度が大きくなっていることが分かる。
なお、エンジニアプラスチックが加水分解された場合、当該加水分解された分だけエンジニアプラスチックの分子量が低下するため、MVRが大きくなる。したがって、MVRが小さいほど加水分解が生じていないことになる。
また、エンジニアプラスチックが加水分解された場合、当該加水分解された分だけエンジニアプラスチックの引っ張り強度が小さくなるため、引っ張り強度が大きいほど加水分解が生じていないことになる。
すなわち、1段目の搬送部21におけるスクリュー構成の条件を、リードが1.0D以上2.5D以下、長さが3.0D以上10D以下の1条のフルフライトスクリューとした場合、当該条件以外のスクリュー構成とした場合に比べて加水分解が生じ難いことが分かった。
また、実施例1−1〜1−3と実施例1−4〜1−7との比較から、1条のフライト31側部にアンダーカットが施された場合には、当該アンダーカットが施されない場合に比べて加水分解が生じ難いことが分かった。
(実施例2−1)
マイカの添加量を100重量部とした以外は実施例1−1と同様にしてMVR及び引っ張り強度を測定した。
(実施例2−2)
1段目の搬送部21のスクリュー構成以外は実施例2−1と同様にしてMVR及び引っ張り強度を測定した。本比較例における1段目の搬送部21のスクリュー構成は、フライト31側部にアンダーカットが施されている点を除き、実施例2−1と同様のスクリュー構成である。
(実施例2−3)
1段目の搬送部21のスクリュー構成以外は実施例2−1と同様にしてMVR及び引っ張り強度を測定した。本比較例における1段目の搬送部21のスクリュー構成は、フライトリードが2Dの1条スクリューエレメントを3個連結し、スクリュー長を6Dとするとともに、フライト31側部にアンダーカットを施した。
(比較例2−1)
1段目の搬送部21のスクリュー構成以外は実施例2−1と同様にしてMVR及び引っ張り強度を測定した。本比較例における1段目の搬送部21のスクリュー構成は、フライトリードが1.5Dの2条スクリューエレメントを4個連結し、スクリュー長を6Dとした。
上記実施例2−1〜2−3及び比較例2−1におけるスクリュー構成と、MVR及び引っ張り強度との関係をまとめたものを下記表2に示す。
Figure 0006039403
実施例2−1〜2−3と比較例2−1との比較から、1段目の搬送部21におけるスクリュー構成の条件を、リードが1.0D以上2.5D以下、長さが3.0D以上10D以下の1条のフルフライトスクリューとした場合、当該条件以外のスクリュー構成とした場合に比べて加水分解が生じ難いことが分かった。
また、実施例2−1と実施例2−2及び2−3との比較から、1条のフライト31側部にアンダーカットが施された場合には、当該アンダーカットが施されない場合に比べて加水分解が生じ難いことが分かった。
(実施例3−1)
マイカの代わりに、石原産業株式会社製の酸化チタン(タイペークPC−3)を使用した以外は実施例1−1と同様にしてMVR及び引っ張り強度を測定した。
(実施例3−2)
1段目の搬送部21のスクリュー構成以外は実施例3−1と同様にしてMVR及び引っ張り強度を測定した。本比較例における1段目の搬送部21のスクリュー構成は、フライト31側部にアンダーカットが施されている点を除き、実施例3−1と同様のスクリュー構成である。
(実施例3−3)
1段目の搬送部21のスクリュー構成以外は実施例3−1と同様にしてMVR及び引っ張り強度を測定した。本比較例における1段目の搬送部21のスクリュー構成は、フライトリードが2Dの1条スクリューエレメントを3個連結し、スクリュー長を6Dとするとともに、フライト31側部にアンダーカットを施した。
(比較例3−1)
1段目の搬送部21のスクリュー構成以外は実施例3−1と同様にしてMVR及び引っ張り強度を測定した。本比較例における1段目の搬送部21のスクリュー構成は、フライトリードが1.5Dの2条スクリューエレメントを4個連結し、スクリュー長を6Dとした。
上記実施例3−1〜3−3及び比較例3−1におけるスクリュー構成と、MVR及び引っ張り強度との関係をまとめたものを下記表3に示す。
Figure 0006039403
実施例3−1〜3−3と比較例3−1との比較から、1段目の搬送部21におけるスクリュー構成の条件を、リードが1.0D以上2.5D以下、長さが3.0D以上10D以下の1条のフルフライトスクリューとした場合、当該条件以外のスクリュー構成とした場合に比べて加水分解が生じ難いことが分かった。
また、実施例3−1と実施例3−2及び3−3との比較から、1条のフライト31側部にアンダーカットが施された場合には、当該アンダーカットが施されない場合に比べて加水分解が生じ難いことが分かった。
(実施例4−1)
マイカの代わりに、ITO
graphite製の黒鉛(PC−300M)を使用した以外は実施例1−1と同様にしてMVR及び引っ張り強度を測定した。
(実施例4−2)
1段目の搬送部21のスクリュー構成以外は実施例4−1と同様にしてMVR及び引っ張り強度を測定した。本比較例における1段目の搬送部21のスクリュー構成は、フライト31側部にアンダーカットが施されている点を除き、実施例4−1と同様のスクリュー構成である。
(実施例4−3)
1段目の搬送部21のスクリュー構成以外は実施例4−1と同様にしてMVR及び引っ張り強度を測定した。本比較例における1段目の搬送部21のスクリュー構成は、フライトリードが2Dの1条スクリューエレメントを3個連結し、スクリュー長を6Dとするとともに、フライト31側部にアンダーカットを施した。
(比較例4−1)
1段目の搬送部21のスクリュー構成以外は実施例4−1と同様にしてMVR及び引っ張り強度を測定した。本比較例における1段目の搬送部21のスクリュー構成は、フライトリードが1.5Dの2条スクリューエレメントを4個連結し、スクリュー長を6Dとした。
上記実施例4−1〜4−3及び比較例4−1におけるスクリュー構成と、MVR及び引っ張り強度との関係をまとめたものを下記表4に示す。
Figure 0006039403
実施例4−1〜4−3と比較例4−1との比較から、1段目の搬送部21におけるスクリュー構成の条件を、リードが1.0D以上2.5D以下、長さが3.0D以上10D以下の1条のフルフライトスクリューとした場合、当該条件以外のスクリュー構成とした場合に比べて加水分解が生じ難いことが分かった。
また、実施例4−1と実施例4−2及び4−3との比較から、1条のフライト31側部にアンダーカットが施された場合には、当該アンダーカットが施されない場合に比べて加水分解が生じ難いことが分かった。
(実施例5−1)
ポリブチレンテレフタレートの代わりに、三菱エンジニアリングプラスチックス製のポリカーボネート(S3000)を使用するとともに、マイカの代わりに、石原産業株式会社製の酸化チタン(タイペークPC−3)を使用した以外は実施例1−1と同様にしてMVR及び引っ張り強度を測定した。
(実施例5−2)
1段目の搬送部21のスクリュー構成以外は実施例5−1と同様にしてMVR及び引っ張り強度を測定した。本比較例における1段目の搬送部21のスクリュー構成は、フライト31側部にアンダーカットが施されている点を除き、実施例5−1と同様のスクリュー構成である。
(実施例5−3)
1段目の搬送部21のスクリュー構成以外は実施例5−1と同様にしてMVR及び引っ張り強度を測定した。本比較例における1段目の搬送部21のスクリュー構成は、フライトリードが2Dの1条スクリューエレメントを3個連結し、スクリュー長を6Dとするとともに、フライト31側部にアンダーカットを施した。
(比較例5−1)
1段目の搬送部21のスクリュー構成以外は実施例5−1と同様にしてMVR及び引っ張り強度を測定した。本比較例における1段目の搬送部21のスクリュー構成は、フライトリードが1.5Dの2条スクリューエレメントを4個連結し、スクリュー長を6Dとした。
上記実施例5−1〜5−3及び比較例5−1におけるスクリュー構成と、MVR及び引っ張り強度との関係をまとめたものを下記表5に示す。
Figure 0006039403
実施例5−1〜5−3と比較例5−1との比較から、1段目の搬送部21におけるスクリュー構成の条件を、リードが1.0D以上2.5D以下、長さが3.0D以上10D以下の1条のフルフライトスクリューとした場合、当該条件以外のスクリュー構成とした場合に比べて加水分解が生じ難いことが分かった。
また、実施例5−1と実施例5−2及び5−3との比較から、1条のフライト31側部にアンダーカットが施された場合には、当該アンダーカットが施されない場合に比べて加水分解が生じ難いことが分かった。
(実施例6−1)
ポリブチレンテレフタレートの代わりに、メタキシリレンジアミンとアジピン酸とを含む三菱エンジニアリングプラスチックス製のポリアミド(RENY6000)を使用した以外は実施例1−1と同様にしてMVR及び引っ張り強度を測定した。
(実施例6−2)
1段目の搬送部21のスクリュー構成以外は実施例6−1と同様にしてMVR及び引っ張り強度を測定した。本比較例における1段目の搬送部21のスクリュー構成は、フライト31側部にアンダーカットが施されている点を除き、実施例6−1と同様のスクリュー構成である。
(実施例6−3)
1段目の搬送部21のスクリュー構成以外は実施例6−1と同様にしてMVR及び引っ張り強度を測定した。本比較例における1段目の搬送部21のスクリュー構成は、フライトリードが2Dの1条スクリューエレメントを3個連結し、スクリュー長を6Dとするとともに、フライト31側部にアンダーカットを施した。
(比較例6−1)
1段目の搬送部21のスクリュー構成以外は実施例6−1と同様にしてMVR及び引っ張り強度を測定した。本比較例における1段目の搬送部21のスクリュー構成は、フライトリードが1.5Dの2条スクリューエレメントを4個連結し、スクリュー長を6Dとした。
上記実施例6−1〜6−3及び比較例6−1におけるスクリュー構成と、MVR及び引っ張り強度との関係をまとめたものを下記表6に示す。
Figure 0006039403
実施例6−1〜6−3と比較例6−1との比較から、1段目の搬送部21におけるスクリュー構成の条件を、リードが1.0D以上2.5D以下、長さが3.0D以上10D以下の1条のフルフライトスクリューとした場合、当該条件以外のスクリュー構成とした場合に比べて加水分解が生じ難いことが分かった。
また、実施例6−1と実施例6−2及び6−3との比較から、1条のフライト31側部にアンダーカットが施された場合には、当該アンダーカットが施されない場合に比べて加水分解が生じ難いことが分かった。
(実施例7−1)
フィード部OP周りのシリンダー部分のうち、当該フィード部OP直下のシリンダー内壁に振動子を設けた以外は実施例2−1と同様にしてMVR及び引っ張り強度を測定した。振動子は、有限会社旭製作所製の小型電動振動発生機(Wave Maker 01)とし、上下方向に20Hzの振動を加えた。
なお、フィード部OP直下のシリンダー部分を、RION株式会社製のポケッタブル振動計(VM-63A “RIOVIBRO”)を用いて測定したところ、当該シリンダー部分における振幅は0.01mm、振動速度は1.0mm/秒であった。
(実施例7−2)
フィード部OP周りのシリンダー部分のうち、当該フィード部OP直下のシリンダー内壁に振動子を設けた以外は実施例2−2と同様にしてMVR及び引っ張り強度を測定した。
(実施例7−3)
フィード部OP周りのシリンダー部分のうち、当該フィード部OP直下のシリンダー内壁に振動子を設けた以外は実施例2−3と同様にしてMVR及び引っ張り強度を測定した。
上記実施例7−1〜7−3におけるスクリュー構成と、MVR及び引っ張り強度との関係をまとめたものを下記表7に示す。
Figure 0006039403
この表7と上記表2との比較から、フィード部OP周りのシリンダー部分に振動を加えた場合、当該振動を加えなかった場合に比べて加水分解が生じ難いことが分かった。
なお、実施例7−1の振動子を、有限会社旭製作所製の本格的動電型振動発生機(Big Wave)に取り換え、当該実施例7−1と同様にしてシリンダーの振幅と振動速度を測定したが、シリンダー10とホッパー11とを終結する接続ネジが緩み始めた。このとき、フィード部OP直下のシリンダー部分の振幅は0.4mm、振動速度は38mm/秒であった。
すなわち、振動が激しい振動子をフィード部OP周りのシリンダー部分に設ける場合、振動に起因して終結具の終結の程度が弱まることを低減する観点では、強振動の振動子に比べて、弱振動の振動子のほうが好ましいことが分かった。
本発明は、押出成形分野において利用可能性がある。
1・・・押出機
10・・・シリンダー
11・・・ホッパー
12・・・ダイヘッド
13・・・真空ベント
20・・・二軸スクリュー
21・・・搬送部
22・・・混練部
31・・・フライト
41・・・ディスク
OP・・・フィード部

Claims (3)

  1. シリンダーと、前記シリンダー内に挿通される二軸スクリューとを備える押出機を用いた押出し成形方法であって、
    前記二軸スクリューには、前記シリンダーに設けられるフィード部から供給される原料を下流側に搬送する搬送部が設けられ、
    前記原料は、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミドXDの少なくとも1つ100重量部と、吸湿性フィラー5〜400重量部とを含み、
    前記吸湿性フィラーは、湿度90%、60℃の条件下で2日間放置した際の吸水率が0.1%以上となるフィラーであり、
    前記搬送部のスクリュー構成は、フライトの最外径をDとした場合に、フライトのリードが1.0D以上2.5D以下、スクリュー長が3.0D以上10D以下の1条のフルフライトスクリューとされ
    前記搬送部における前記フライトの側部には曲面状の窪みが設けられ
    ことを特徴とするエンジニアプラスチックスの押出し成形方法。
  2. 前記搬送部が前記原料を搬送しているときの前記シリンダーには振動が加えられる
    ことを特徴とする請求項1に記載のエンジニアプラスチックスの押出し成形方法。
  3. 前記フィード部のシリンダーの振幅は0.005〜0.2mm、振動速度は0.3mm/秒〜5mm/秒である
    ことを特徴とする請求項2に記載のエンジニアプラスチックスの押出し成形方法。
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