JP2014101474A - 難燃性熱可塑性樹脂組成物及びそれからなる成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】 赤リンを難燃剤とする樹脂組成物の難燃性が不安定かつ不十分である。
【解決手段】 熱可塑性樹脂100質量部に対して、赤リン1〜30質量部、水酸化マグネシウム2〜30質量部、及びフッ素系樹脂0.05〜5質量部を含有する難燃性熱可塑性樹脂組成物であり、BET比表面積が、5(m2/g)以上である水酸化マグネシウムを好ましく用いる。
【選択図】なし
【解決手段】 熱可塑性樹脂100質量部に対して、赤リン1〜30質量部、水酸化マグネシウム2〜30質量部、及びフッ素系樹脂0.05〜5質量部を含有する難燃性熱可塑性樹脂組成物であり、BET比表面積が、5(m2/g)以上である水酸化マグネシウムを好ましく用いる。
【選択図】なし
Description
本発明は、赤リンを難燃剤とし、難燃助剤として水酸化マグネシウムを含有する難燃性熱可塑性樹脂組成物に関する。
従来より熱可塑性樹脂の難燃剤として赤リン難燃剤が使用され、また赤リン難燃剤にフッ素系樹脂を併用することで樹脂のドリップを防ぎ難燃性を向上させる技術が知られている(特許文献1)。しかし従来の手法を用いて製造した樹脂は十分な難燃性を有しておらず、同手法で難燃性を向上させようとすると赤リンの含有量を増やす必要がある。そうして得られた樹脂も劇的な難燃性の向上は見られず、加えて樹脂の燃焼時に、有毒ガスである赤リン由来のホスフィンガスの発生リスクが高まるといったことが考えられる。
本発明は、樹脂組成物に十分な難燃性をもたせる際に、少量の赤リン添加では難燃性が出ないという問題点を解決しようとするものであり、また赤リンの過剰添加による有毒ガスの発生を最小限におさえるべく、助剤併用により難燃性を向上させた熱可塑性樹脂成型品を提供しようとするものである。
本発明者等は上述の問題を解決するため、鋭意研究をかさねた結果、本発明に到達した。
即ち本発明は、
(1) 熱可塑性樹脂100質量部に対して、赤リン1〜30質量部、水酸化マグネシウム2〜30質量部、及びフッ素系樹脂0.05〜5質量部を含有することを特徴とする難燃性熱可塑性樹脂組成物。
(2) 水酸化マグネシウムのBET比表面積が、5(m2/g)以上である(1)に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
(3) 熱可塑性樹脂がポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルブロック共重合体、ポリスチレン系樹脂から選ばれる少なくとも一種である(1)または(2)に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
(4) 熱可塑性樹脂がポリアミド樹脂である(1)または(2)に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
(5) (1)〜(4)のいずれかに記載の組成物からなる難燃性炊飯器保護枠成形品。
即ち本発明は、
(1) 熱可塑性樹脂100質量部に対して、赤リン1〜30質量部、水酸化マグネシウム2〜30質量部、及びフッ素系樹脂0.05〜5質量部を含有することを特徴とする難燃性熱可塑性樹脂組成物。
(2) 水酸化マグネシウムのBET比表面積が、5(m2/g)以上である(1)に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
(3) 熱可塑性樹脂がポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルブロック共重合体、ポリスチレン系樹脂から選ばれる少なくとも一種である(1)または(2)に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
(4) 熱可塑性樹脂がポリアミド樹脂である(1)または(2)に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
(5) (1)〜(4)のいずれかに記載の組成物からなる難燃性炊飯器保護枠成形品。
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、赤リンを難燃剤として含有する組成物であるが、水酸化マグネシウムを併用することで難燃性を劇的に向上させ、かつ有毒ガスの発生を最小限に抑えた熱可塑性樹脂組成物である。
以下に本発明を具体的に説明する。
本発明における熱可塑性樹脂とは、樹脂の融点か軟化点温度以上の温度で、低くとも290℃に加熱溶融させても、樹脂が特に目立った熱分解などを引き起こさず、射出成形が可能な樹脂であれば限定されず、例えば、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、エチレン/プロピレン樹脂、エチレン/1−ブテン樹脂、エチレン/プロピレン/非共役ジエン樹脂、エチレン/アクリル酸エチル樹脂、エチレン/メタクリル酸グリシジル樹脂、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル樹脂、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル樹脂、エチレン/プロピレン−g−無水マレイン酸樹脂などのエチレンやα−オレフィンの共重合体、ポリスチレン、スチレン/アクリロニトリル共重合体、ABS樹脂などのスチレン系樹脂、ポリウレタン、ポリエステルポリエーテルエラストマー、ポリエステルポリエステルエラストマー、ポリエステルポリカーボネート等のポリエステルブロック共重合体、あるいはこれら熱可塑性樹脂の2種以上の混合物が挙げられるが、このうち、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルブロック共重合体、スチレン系樹脂が好ましい。特には、ポリアミド樹脂が好ましい。
本発明における熱可塑性樹脂とは、樹脂の融点か軟化点温度以上の温度で、低くとも290℃に加熱溶融させても、樹脂が特に目立った熱分解などを引き起こさず、射出成形が可能な樹脂であれば限定されず、例えば、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、エチレン/プロピレン樹脂、エチレン/1−ブテン樹脂、エチレン/プロピレン/非共役ジエン樹脂、エチレン/アクリル酸エチル樹脂、エチレン/メタクリル酸グリシジル樹脂、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル樹脂、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル樹脂、エチレン/プロピレン−g−無水マレイン酸樹脂などのエチレンやα−オレフィンの共重合体、ポリスチレン、スチレン/アクリロニトリル共重合体、ABS樹脂などのスチレン系樹脂、ポリウレタン、ポリエステルポリエーテルエラストマー、ポリエステルポリエステルエラストマー、ポリエステルポリカーボネート等のポリエステルブロック共重合体、あるいはこれら熱可塑性樹脂の2種以上の混合物が挙げられるが、このうち、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルブロック共重合体、スチレン系樹脂が好ましい。特には、ポリアミド樹脂が好ましい。
上記熱可塑性樹脂のうち、ポリアミド樹脂としては、例えば、環状ラクタムの開環重合物、アミノカルボン酸の重縮合物、二塩基酸とジアミンとの重縮合物などが挙げられ、具体的にはポリカプロアミド(ポリアミド6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド610)、ポリ−ラウリルラクタム(ポリアミド12)、ポリ−11−アミノウンデカン酸(ポリアミド11)等の脂肪族ポリアミド、ポリ(メタキシレンアジパミド)(以下MXD・6と略す)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)(以下6Tと略す)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)(以下6Iと略す)、ポリ(ノナメチレンテレフタルアミド)(以下9Tと略す)、ポリ(テトラメチレンイソフタルアミド)(以下4Iと略す)などの脂肪族−芳香族ポリアミド、およびこれらの共重合体や混合物を挙げることができる。特に本発明に好適なポリアミドとしてはポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド6/66共重合体、ポリアミド66/6T、ポリアミド6T/12共重合体、ポリアミド6T/6I、ポリアミド6T/6I/12、ポリアミド6T/610、ポリアミド6T/6I/6を挙げることができる。
このようなポリアミド樹脂の分子量は特に制限はないが、98%硫酸中、濃度1%、25℃で測定する相対粘度が1.70〜4.50のものを好ましく使用することができるが、より好ましくは、2.00〜4.00、更に好ましくは2.00〜3.50である。
上記熱可塑性樹脂のうち、ポリエステル樹脂としては、ジカルボン酸とグリコールの重縮合物、環状ラクトンの開環重合物、ヒドロキシカルボン酸の重縮合物、二塩基酸とグリコールの重縮合物などが挙げられ、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートおよびポリエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4、4’−ジカルボキシレートなどのほか、ポリエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4、4’−ジカルボキシレートなどのほか、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレートおよびポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート/イソフタレートなどの共重合体や混合物を挙げることができる。特に本発明に好適なポリエステル樹脂としてはポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート及びこれらの混合物を挙げることができる。
このようなポリエステル樹脂の分子量は特に制限はないが、通常フェノール/テトラクロロエタン1:1の混合溶媒を用いて25℃で測定した固有粘度が0.10〜3.00dl/gのものを好ましく使用することができるが、より好ましくは、0.25〜2.50dl/g、更に好ましくは0.40〜2.25dl/gである。
上記熱可塑性樹脂のうち、ポリエステルブロック共重合体としては、結晶性芳香族ポリエステル単位からなる高融点結晶性重合体セグメント(a)と、脂肪族ポリエーテル単位、脂肪族ポリエステル単位、脂肪族ポリカーボネート単位の少なくとも1種からなる低融点重合体セグメント(b)を主たる構成成分とするブロック共重合体である。
ポリエステルブロック共重合体の高融点結晶性重合体セグメント(a)は、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と脂肪族ジオールから形成されるポリエステルであり、好ましくはテレフタル酸および/またはジメチルテレフタレートと1,4−ブタンジオールから誘導されるポリブチレンテレフタレートであるが、この他に、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸、あるいはこれらのエステル形成性誘導体などのジカルボン酸成分と、分子量300以下のジオール、例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコールなどの脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメチロールなどの脂環式ジオール、キシリレングリコール、ビス(p−ヒドロキシ)ジフェニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(2−ヒドロキシ)フェニル]スルホン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシ−p−タ−フェニル、4,4’−ジヒドロキシ−p−クウォ−タ−フェニルなどの芳香族ジオールなどから誘導されるポリエステル、あるいはこれらのジカルボン酸成分およびジオール成分を2種以上併用した共重合ポリエステルであっても良い。また、3官能以上の多官能カルボン酸成分、多官能オキシ酸成分および多官能ヒドロキシ成分などを5モル%以下の範囲で共重合することも可能である。
ポリエステルブロック共重合体の高融点結晶性重合体セグメント(a)は、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と脂肪族ジオールから形成されるポリエステルであり、好ましくはテレフタル酸および/またはジメチルテレフタレートと1,4−ブタンジオールから誘導されるポリブチレンテレフタレートであるが、この他に、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸、あるいはこれらのエステル形成性誘導体などのジカルボン酸成分と、分子量300以下のジオール、例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコールなどの脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメチロールなどの脂環式ジオール、キシリレングリコール、ビス(p−ヒドロキシ)ジフェニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(2−ヒドロキシ)フェニル]スルホン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシ−p−タ−フェニル、4,4’−ジヒドロキシ−p−クウォ−タ−フェニルなどの芳香族ジオールなどから誘導されるポリエステル、あるいはこれらのジカルボン酸成分およびジオール成分を2種以上併用した共重合ポリエステルであっても良い。また、3官能以上の多官能カルボン酸成分、多官能オキシ酸成分および多官能ヒドロキシ成分などを5モル%以下の範囲で共重合することも可能である。
ポリエステルブロック共重合体の低融点重合体セグメント(b)は、脂肪族ポリエーテル、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリカーボネートのうちの少なくとも1種である。
脂肪族ポリエーテルとしては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体などが挙げられる。また、脂肪族ポリエステルとしては、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリエナントラクトン、ポリカプリロラクトン、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペートなどが挙げられる。脂肪族ポリカーボネートとしては、ジヒドロキシ化合物として炭素数が4〜36程度までの直鎖状または側鎖を有するアルキルジオールを用いて得られた脂肪族ポリカーボネートジオールなどが挙げられる。
これらの脂肪族ポリエーテル、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリカーボネートのなかで得られるポリエステルブロック共重合体の弾性特性からポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペート、1,6−ヘキサンジオールタイプのポリカーボネートなどが好ましい。また、これらの低融点重合体セグメントの数平均分子量としては共重合された状態において、脂肪族ポリエーテル、脂肪族ポリエステルでは300〜6000程度、脂肪族ポリカーボネートでは3000〜60000程度であることが好ましい。
脂肪族ポリエーテルとしては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体などが挙げられる。また、脂肪族ポリエステルとしては、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリエナントラクトン、ポリカプリロラクトン、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペートなどが挙げられる。脂肪族ポリカーボネートとしては、ジヒドロキシ化合物として炭素数が4〜36程度までの直鎖状または側鎖を有するアルキルジオールを用いて得られた脂肪族ポリカーボネートジオールなどが挙げられる。
これらの脂肪族ポリエーテル、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリカーボネートのなかで得られるポリエステルブロック共重合体の弾性特性からポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペート、1,6−ヘキサンジオールタイプのポリカーボネートなどが好ましい。また、これらの低融点重合体セグメントの数平均分子量としては共重合された状態において、脂肪族ポリエーテル、脂肪族ポリエステルでは300〜6000程度、脂肪族ポリカーボネートでは3000〜60000程度であることが好ましい。
ポリエステルブロック共重合体における高融点結晶性重合体セグメント(a)の共重合量は90〜10重量%、低融点重合体セグメント(b)の共重合量は10〜90重量%である。高融点結晶性重合体セグメント(a)の共重合量が10重量%未満であると、結晶性が不十分となり成形性や耐熱性が悪くなる。
上記熱可塑性樹脂のうち、ポリスチレン系樹脂としては、ポリスチレン、スチレン/アクリロニトリル共重合体、ゴム変性スチレン系樹脂、ゴム変性スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテルとのポリマーブレンド体などが挙げられる。
ここでゴム変性スチレン系樹脂とは、ビニル芳香族系重合体よりなるマトリックス中にゴム状重合体が微粒子状に分散してなるグラフト重合体をいい、ゴム状重合体の存在下に芳香族ビニル単量体および必要に応じ、これと共重合可能なビニル単量体を加えて単量体混合物を公知の塊状重合、塊状懸濁重合、溶液重合、または乳化重合することにより得られる。
このようなゴム変性スチレン系樹脂としては、例えば、耐衝撃性ポリスチレン、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、AAS(アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重合体)、AES樹脂(アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン共重合体)等が挙げられる。
ここでゴム変性スチレン系樹脂とは、ビニル芳香族系重合体よりなるマトリックス中にゴム状重合体が微粒子状に分散してなるグラフト重合体をいい、ゴム状重合体の存在下に芳香族ビニル単量体および必要に応じ、これと共重合可能なビニル単量体を加えて単量体混合物を公知の塊状重合、塊状懸濁重合、溶液重合、または乳化重合することにより得られる。
このようなゴム変性スチレン系樹脂としては、例えば、耐衝撃性ポリスチレン、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、AAS(アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重合体)、AES樹脂(アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン共重合体)等が挙げられる。
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、難燃剤として赤リンを含有する。赤リンとしては、一般的に用いられている赤リン系難燃剤でよいが、赤リン表面を熱硬化性樹脂、金属水酸化物、および金属メッキなどで表面被覆した安定化赤リンが好ましい。
被覆剤の熱硬化性樹脂の具体例としては、フェノール−ホルマリン系樹脂、尿素−ホルマリン系樹脂、メラミン−ホルマリン系樹脂、エポキシ樹脂などを挙げることができる。被覆剤の金属水酸化物の具体例としては、水酸化アルミニウム、水酸化チタン、水酸化ジルコニウムなどが挙げられる。更に無電解メッキにより金属メッキ被覆したものでもよい。
また、赤リンは、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン系樹脂など、赤リンで難燃化される熱可塑性樹脂に類似した熱可塑性樹脂でマスター化して配合することが好ましい。
赤リンの熱可塑性樹脂に対する配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して1〜30質量部配合する。1質量部未満では難燃性が不充分であり、30質量部を超えると成形品の機械的物性が低下するので好ましくない。赤リンの熱可塑性樹脂に対する配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して2〜20質量部が好ましく、3〜10質量部がより好ましい。
被覆剤の熱硬化性樹脂の具体例としては、フェノール−ホルマリン系樹脂、尿素−ホルマリン系樹脂、メラミン−ホルマリン系樹脂、エポキシ樹脂などを挙げることができる。被覆剤の金属水酸化物の具体例としては、水酸化アルミニウム、水酸化チタン、水酸化ジルコニウムなどが挙げられる。更に無電解メッキにより金属メッキ被覆したものでもよい。
また、赤リンは、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン系樹脂など、赤リンで難燃化される熱可塑性樹脂に類似した熱可塑性樹脂でマスター化して配合することが好ましい。
赤リンの熱可塑性樹脂に対する配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して1〜30質量部配合する。1質量部未満では難燃性が不充分であり、30質量部を超えると成形品の機械的物性が低下するので好ましくない。赤リンの熱可塑性樹脂に対する配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して2〜20質量部が好ましく、3〜10質量部がより好ましい。
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物中に含有する水酸化マグネシウムとしては、天然品及び合成品のいずれも使用できるが、海水法により得られる純度が高く、比表面積が大きいものが好ましい。
水酸化マグネシウムのBET比表面積(m2/g)としては、5(m2/g)以上のものが好ましい。BET比表面積(m2/g)はより好ましくは、10(m2/g)以上、更に好ましくは20(m2/g)以上であり、BET比表面積が大きいほど、より少ない配合量で効果を発揮させることができる。BET比表面積の上限は特に限定されないが、40(m2/g)程度までが入手しやすいので好ましい。
水酸化マグネシウムの平均粒子径は、0.1〜10μm程度のものが好ましく使用できるが、0.5〜6μm程度がより好ましい。
また、水酸化マグネシウムは、粒子表面が脂肪酸、脂肪酸金属塩、シラン化合物、エポキシ化合物等で被覆されていても使用可能であるが、被覆されていないものが好ましい。
水酸化マグネシウムの熱可塑性樹脂に対する配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して2〜30質量部配合する。2質量部未満では難燃性が不充分であり、30質量部を超えると成形品の機械的物性が低下するので好ましくない。水酸化マグネシウムの熱可塑性樹脂に対する配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して2.5〜25質量部が好ましく、3〜20質量部がより好ましい。
水酸化マグネシウムのBET比表面積(m2/g)としては、5(m2/g)以上のものが好ましい。BET比表面積(m2/g)はより好ましくは、10(m2/g)以上、更に好ましくは20(m2/g)以上であり、BET比表面積が大きいほど、より少ない配合量で効果を発揮させることができる。BET比表面積の上限は特に限定されないが、40(m2/g)程度までが入手しやすいので好ましい。
水酸化マグネシウムの平均粒子径は、0.1〜10μm程度のものが好ましく使用できるが、0.5〜6μm程度がより好ましい。
また、水酸化マグネシウムは、粒子表面が脂肪酸、脂肪酸金属塩、シラン化合物、エポキシ化合物等で被覆されていても使用可能であるが、被覆されていないものが好ましい。
水酸化マグネシウムの熱可塑性樹脂に対する配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して2〜30質量部配合する。2質量部未満では難燃性が不充分であり、30質量部を超えると成形品の機械的物性が低下するので好ましくない。水酸化マグネシウムの熱可塑性樹脂に対する配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して2.5〜25質量部が好ましく、3〜20質量部がより好ましい。
本発明で用いるフッ素系樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、(テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロポリプロピレン)共重合体、(テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル)共重合体、(テトラフルオロエチレン/エチレン)共重合体、(ヘキサフルオロポリプロピレン/プロピレン)共重合体、ポリビニリデンフルオライド、(ビニリデンフルオライド/エチレン)共重合体、などが挙げられるが、中でもポリテトラフルオロエチレン、(テトラフルオロエチレン/エチレン)共重合体が好ましい。該フッ素系樹脂の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.05〜5質量部であり、好ましくは0.1〜3質量部配合するのがよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物はさらに、充填材を添加することにより強度、剛性、耐熱性などを大幅に向上させることができる。このような充填材としては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊維、アスベスト、チタン酸カリウムウィスカ、ワラストナイト、ガラスフレーク、ガラスビーズ、タルク、マイカ、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタンおよび酸化アルミニウムなどが挙げられ、なかでもチョップドストランドタイプのガラス繊維が好ましく用いられる。
これらの添加量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して5〜140質量部が好ましく、より好ましくは5〜100質量部である。
これらの添加量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して5〜140質量部が好ましく、より好ましくは5〜100質量部である。
また、本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物に対して、本発明の目的を損なわない範囲でヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系酸化防止剤などの酸化防止剤や熱安定剤、紫外線吸収剤(例えばレゾルシノール、サリシレート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノンなど)、滑剤および離型剤、着色防止剤(亜リン酸塩、次亜リン酸塩など)、核剤、可塑剤、帯電防止剤、および染料・顔料を含む着色剤などの通常の添加剤を1種以上を熱可塑性樹脂100質量部に対して5質量部程度まで添加することができる。
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物を得る方法としては、特に制限されるものではなく、任意の方法で行われる。例えば全成分を予備混合した後、押出機やニーダ中で混練する方法や、予め任意の数成分を押出機やニーダ中で混練して得たペレットに、更に他の成分を混練配合する方法などが挙げられる。
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、難燃性が劇的に向上し、有毒ガスの発生を最小限に抑えた熱可塑性樹脂組成物であるので、家電製品、特に炊飯器保護枠等の成形品に有用である。
以下に実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例に記載された測定値は、以下の方法によった。
(1)BET比表面積:JIS Z8830(N2吸着法)に準じて測定した。
(2)曲げ強度、曲げ弾性率:ISO−178に準じて測定した。
(3)難燃性:UL規格に準じて1.6mm厚の成形品を作成し、難燃性を評価した。
(2)曲げ強度、曲げ弾性率:ISO−178に準じて測定した。
(3)難燃性:UL規格に準じて1.6mm厚の成形品を作成し、難燃性を評価した。
なお、機械物性、各種成形や測定用いたポリアミド樹脂組成物は、水分の混入による変動を防止するために、水分率を0.08%以下となる様に乾燥して用いた。水分率の測定は、カールフィッシャー式水分率計、三菱化学社製、CA−100型を用いて、200℃にて水分率を測定した。
実施例、比較例で使用した原材料は以下のとおりである。
(1)ポリアミド樹脂
相対粘度RV=2.7のポリアミド6、DSM社製 K122
(2)赤リン
燐化学工業社製 TYB−300E
(3)タルク
林化成社製 FU-51
(4)ガラス繊維
日本電気硝子社製 T−297K
(5)水酸化マグネシウム
協和化学社製 キスマー5E BET比表面積10m2/g、平均粒子径0.8μm
神島化学社製 10A BET比表面積25m2/g、平均粒子径3.5μm
(6)ポリテトラフルオロエチレン
ダイキン工業社製 ポリフロンMPA FA−500H
(1)ポリアミド樹脂
相対粘度RV=2.7のポリアミド6、DSM社製 K122
(2)赤リン
燐化学工業社製 TYB−300E
(3)タルク
林化成社製 FU-51
(4)ガラス繊維
日本電気硝子社製 T−297K
(5)水酸化マグネシウム
協和化学社製 キスマー5E BET比表面積10m2/g、平均粒子径0.8μm
神島化学社製 10A BET比表面積25m2/g、平均粒子径3.5μm
(6)ポリテトラフルオロエチレン
ダイキン工業社製 ポリフロンMPA FA−500H
実施例1〜5、比較例1〜4
熱可塑性樹脂組成物は、上記の原材料をそれぞれを二軸押出機(コペリオン社製STS35)を用いて表1に記載の割合で配合し、溶融混練してペレット(直径約2.5mm×長さ約2.5mm)を得た。得られたペレットの評価結果を表1に示す。
熱可塑性樹脂組成物は、上記の原材料をそれぞれを二軸押出機(コペリオン社製STS35)を用いて表1に記載の割合で配合し、溶融混練してペレット(直径約2.5mm×長さ約2.5mm)を得た。得られたペレットの評価結果を表1に示す。
実施例1〜5は、赤リン、フッ素系樹脂の従来の組み合わせに水酸化マグネシウムを加えた結果、難燃性が飛躍的に向上し、赤リンへの水酸化マグネシウムの相乗効果が見られる。
比較例1は水酸化マグネシウムを抜いた結果、難燃性が著しく低下した。比較例2では赤リン、フッ素系樹脂を増量したが、難燃性向上の効果はあまり見られなかった。比較例3、比較例4でフッ素系樹脂を抜いた上で、赤リンを増量しても顕著な難燃性の向上には至らなかった。
比較例1は水酸化マグネシウムを抜いた結果、難燃性が著しく低下した。比較例2では赤リン、フッ素系樹脂を増量したが、難燃性向上の効果はあまり見られなかった。比較例3、比較例4でフッ素系樹脂を抜いた上で、赤リンを増量しても顕著な難燃性の向上には至らなかった。
以上のように、本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、従来の赤リンとフッ素系樹脂との併用のみでは達成できなかった難燃特性を、水酸化マグネシウムを併用することでそれが大幅に向上することができた。このことにより本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は安定した難燃特性を有することができる。
本発明の難燃性熱可塑性樹脂成物は、電気・電子製品のハウジング、ケーシング、電気・電子部品など、燃焼や発火の可能性がある場所においても安全な使用が可能である。
Claims (5)
- 熱可塑性樹脂100質量部に対して、赤リン1〜30質量部、水酸化マグネシウム2〜30質量部、及びフッ素系樹脂0.05〜5質量部を含有することを特徴とする難燃性熱可塑性樹脂組成物。
- 水酸化マグネシウムのBET比表面積が、5(m2/g)以上である請求項1に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
- 熱可塑性樹脂がポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルブロック共重合体、ポリスチレン系樹脂から選ばれる少なくとも一種である請求項1または2に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
- 熱可塑性樹脂がポリアミド樹脂である請求項1または2に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の組成物からなる難燃性炊飯器保護枠成形品。
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WO2016158342A1 (ja) * | 2015-03-27 | 2016-10-06 | ユーエムジー・エービーエス株式会社 | 強化熱可塑性樹脂組成物および成形品 |
-
2012
- 2012-11-22 JP JP2012255964A patent/JP2014101474A/ja active Pending
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WO2016158342A1 (ja) * | 2015-03-27 | 2016-10-06 | ユーエムジー・エービーエス株式会社 | 強化熱可塑性樹脂組成物および成形品 |
JPWO2016158342A1 (ja) * | 2015-03-27 | 2017-08-10 | ユーエムジー・エービーエス株式会社 | 強化熱可塑性樹脂組成物および成形品 |
US10174195B2 (en) | 2015-03-27 | 2019-01-08 | Umg Abs, Ltd. | Reinforced thermoplastic resin composition and molded article |
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