以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
図1〜図3は、本発明に係る電子部品集合体製造装置の一例を示している。本実施形態の電子部品集合体製造装置101は、支持テーブル200、ピックアップ手段300、撮像手段400、送り出しレール500、制御部600、検査部700および梱包部750を備えている。電子部品集合体製造装置101は、支持テーブル200に配列された複数の電子部品としての複数のチップ抵抗器800を収容テープ870の複数の収容部871に個別に収容することにより、電子部品集合体880を製造する。チップ抵抗器800は、たとえば平面視寸法が0.15mm×0.30mm程度、厚さが0.1mm程度とされる。なお、本発明でいう電子部品は、チップ抵抗器800に限定されず、個片形状とされた様々な電子部品を指す。
支持テーブル200は、本発明で言う支持手段に相当する。支持テーブル200は、本体210および支持層220を備えている。図3に示すように、本体210は、たとえば略円盤状であり、金属などからなる。支持層220は、本体210に支持されており、本実施形態においては、比較的粘着力が弱い粘着層からなる。支持層220のz方向上面は、支持面221とされている。本実施形態においては、支持面221は、x方向およびy方向にマトリクス状に配置された複数のチップ抵抗器800を一時的に支持するために用いられる。
また、支持テーブル200は、図示しない駆動機構によってx方向、y方向およびz方向に移動自在とされている。さらに、支持テーブル200は、z方向に延びる軸周りに回転自在とされている。このような駆動機構としては、直動スライダおよび直動レールとモータによって駆動されるボールねじとを組み合わせた構成が一般的であるが、その原理や構造は限定されない。
ピックアップ手段300は、支持テーブル200の支持面221に支持された複数のチップ抵抗器800のうち、あらかじめ定められた個数のチップ抵抗器800を、x方向に整列された状態で取り上げ、これらを一時的に保持するためのものである。本実施形態においては、ピックアップ手段300は、駆動機構310、アーム320、保持具330およびポンプ380を備えている。駆動機構310は、アーム320を介して保持具330をx方向、y方向およびz方向に移動させるためのものである。駆動機構310は、たとえば図示しない直動スライダおよび直動レールとモータによって駆動されるボールねじとを組み合わせた構成とされている。アーム320は、保持具330を駆動機構310に連結するためのものである。なお、アーム320を備えることなく、駆動機構310に保持具330を直接連結した構成であってもよい。
保持具330は、複数のチップ抵抗器800をx方向に整列された状態で取り上げ、かつこれらを保持する部位である。図4〜図8に示すように、保持具330は、1対の張り出し部340、ブロック部350および1対の側板360,370を具備している。本実施形態においては、1対の張り出し部340とブロック部350とが樹脂によって一体成型されている。本実施形態とは異なり、保持具330全体を一体的に形成してもよいし、より細かい複数の部位からなる構成としてもよい。
1対の張り出し部340は、x方向両側に延びる帯板状の部分であり、たとえば保持具330をアーム320に取り付けるために用いられる。
ブロック部350は、1対の張り出し部340に挟まれており、本実施形態においては、略直方体形状とされている。ブロック部350には、保持溝351および複数の吸引孔355が形成されている。保持溝351は、複数のチップ抵抗器800を直接保持する部位であり、ブロック部350のy方向一方側(図5における図中右方側、図6における図中左方側)およびz方向他方側(下方側)の端縁に形成されている。保持溝351は、側面352および天面353によって規定されている。側面352は、y方向一方側を向いておりx方向に長く延びている。天面353は、z方向他方側(下方側)を向いており、x方向に長く延びている。本実施形態においては、保持溝351は、x方向長さが15mm程度に形成されており、およそ50個のチップ抵抗器800を一括して保持することが意図されている。
複数の吸引孔355は、チップ抵抗器800を取り上げ、かつ保持するための吸引を実現するための部位であり、本実施形態においては、天面353にx方向に沿って配列されている。各吸引孔355は、断面円形状とされており、z方向下方に開口している。図8に示すように、各吸引孔355は、y方向において側面352寄りに配置されており、本実施形態においては、z方向視において吸引孔355の端部が側面352にほぼ接する配置とされている。複数の吸引孔355は、ブロック部350の内部において互いに繋がっており、たとえば図4に示すホース381を介して図1に示すポンプ380に接続されている。ポンプ380は、複数の吸引孔355からの吸引を生じさせる圧力を発生するものであり、本発明で言う吸引源に相当する。なお、ポンプ380は、吸引および吐出の機能を具備している。また、本発明で言う吸引源としては、ポンプ380に限定されず、たとえば吸引用の配管あるいは噴出用の配管に接続された開閉自在のバルブであってもよい。
1対の側板360,370は、ブロック部350を挟んでおり、本実施形態においては、金属からなる。側板360は、図8に示すようにブロック部350に対してx方向他方側に取り付けられている。側板360は、押し出し面361を有する。押し出し面361は、保持溝351のx方向他方側端を規定している。側板370は、ブロック部350に対してx方向一方側に取り付けられている。側板370は、切り欠き371を有する。図6および図8に示すように、切り欠き371は、側面372および天面373からなる。側面372は、保持溝351の側面352に対してほぼ面一とされている。また、天面373は、保持溝351の天面353に対してほぼ面一とされている。
撮像手段400は、支持テーブル200に支持された複数のチップ抵抗器800の画像を撮像するものであり、本実施形態においては、図2に示すように近景カメラ410および遠景カメラ420を備えている。近景カメラ410は、支持テーブル200のz方向上方に配置されており、その光軸が支持面221に対して直角とされている。遠景カメラ420は、支持テーブル200のz方向上方であってy方向一方側に若干シフトした位置に配置されており、その光軸がz方向に対してたとえば15°傾いている。近景カメラ410は、相対的に撮像倍率が高く、遠景カメラ420は、相対的に撮像倍率が低い。
送り出しレール500は、本発明で言う送り出し手段に相当し、保持具330によって保持された複数のチップ抵抗器800をx方向に配列された状態で保持具330から離脱させ、かつ検査部700へと送り出す。図9〜図12に示すように、本実施形態の送り出しレール500は、主ブロック510、始端ブロック520および側方ブロック530を備えている。
主ブロック510は、x方向に長く延び、y方向を幅方向とする帯板状である。主ブロック510には、底面511および送り出し溝518が形成されている。底面511は、z方向上方を向くx方向に長く延びる面であり、主ブロック510のx方向他方側部分に形成されている。送り出し溝518は、底面511に対してx方向一方側に形成されており、x方向に長く延びるたとえば断面矩形状の溝である。送り出し溝518の底面と底面511とは面一とされている。
始端ブロック520は、主ブロック510のx方向他方側部分のz方向上方側に取り付けられている。始端ブロック520は、始端面521を有している。始端面521は、x方向一方側を向いている。始端面521と主ブロック510との間には、噴出孔515が設けられている。噴出孔515は、主ブロック510の内部から図1および図11に示すホース581を経由して、図1に示すポンプ580に繋がっている。ポンプ580は、噴出孔515からの空気の噴出を生じさせる圧力を発生するものであり、本発明で言う噴出源に相当する。なお、本発明で言う噴出源としては、ポンプ580に限定されず、たとえば噴出用の配管に接続された開閉自在のバルブであってもよい。
側方ブロック530は、主ブロック510のz方向上方側において始端ブロック520に対してx方向一方側に隣接して配置されている。側方ブロック530は、側面531を有している。側面531は、y方向一方側を向いており、x方向に長く延びている。
制御部600は、たとえばCPU、メモリおよびインターフェースなどからなり、電子部品集合体製造装置101の動作を制御する。その機能を例示すると、支持テーブル200およびピックアップ手段300(駆動機構310)の駆動制御、ポンプ380,580の駆動制御、撮像手段400による画像の画像解析が挙げられる。また、制御部600は、検査部700および梱包部750の動作制御をつかさどってもよい。制御部600の上記メモリには、これらの制御を上記CPUが実現するためのプログラムや各種設定値などが記憶されている。
検査部700は、送り出しレール500から送り出されてきたチップ抵抗器800が適切に製造されているかを検査するものであり、検査テーブル710および検査デバイス720などからなる。検査テーブル710は、順次送られてくる複数のチップ抵抗器800をたとえば円軌道に沿って移動させる。検査デバイス720は、検査テーブル710によって移動するチップ抵抗器800を対象とした各種検査を行う。検査部700においては、たとえば、チップ抵抗器800の外観検査などがなされ、適切と判断されたチップ抵抗器800は梱包部750へと送られ、不適切と判断されたチップ抵抗器800は梱包部750には送られない。
梱包部750は、収容媒体としての収容テープ870に複数のチップ抵抗器800を収容する。収容テープ870は、たとえば複数の収容部871が整列して形成されたいわゆるエンボステープなどである。各収容部871にチップ抵抗器800が個別に収容され、必要に応じラッピングなどが行われる。
次に、電子部品集合体製造装置の動作の一例について、以下に説明する。
図13〜図17は、支持テーブル200に複数のチップ抵抗器800が配置される工程の一例を示している。これらの図に示された工程は、複数のチップ抵抗器800をx方向に配置され、さらにx方向およびy方向にマトリクス状に配置されるのに適しているが、本発明に係る電子部品集合体製造装置が扱う複数のチップ抵抗器800の製造工程はこれに限定されるものではない。
まず、図13に示すように、集合基板811を用意する。集合基板811は、たとえばSiからなる。次いで、集合基板811の上面を熱酸化処理することにより、SiO2からなる絶縁層821を形成する。次いで、絶縁層821上に抵抗体層830および導電体層840を形成する。抵抗体層830は、チップ抵抗器800が有すべき抵抗値を達成することを意図して、たとえばパターニングが施されてもよい。
次いで、図14に示すように、集合基板811に複数の分離溝815を形成する。分離溝815は、たとえばプラズマダイシングにより形成され、その深さが集合基板811の厚さよりも浅い。複数の分離溝815は、縦横に延び互いに交差しあうものを含んでいる。これにより、集合基板811は、マトリクス状に配置された複数の矩形領域を有する形態となる。また、絶縁層821は、複数の絶縁層820に分割される。
次いで、図15に示すように、保護層860および電極850を形成する。次いで、図16に示すように、集合基板811のうち分離溝815が形成された側を支持テーブル200の支持層220の支持面221に貼り付ける。支持層220は、集合基板811が静止した状態で不当にずれない程度の粘着力を発揮する。次いで、集合基板811の図中上面側を研削する。この研削は、集合基板811の図中上面から分離溝815に達するまで行う。これにより、集合基板811が、図17に示すように複数の基板810に分離され、複数のチップ抵抗器800が得られる。複数のチップ抵抗器800は、分離溝815の幅に相当する間隔をおいてマトリクス状に支持面221上に配置されている。以上の工程を経ることにより、図3に示す支持テーブル200に支持された複数のチップ抵抗器800が用意される。
なお、複数のチップ抵抗器800を製造した後に、各チップ抵抗器800の特性検査を行なってもよい。この特性検査によって不適切であると判断されたチップ抵抗器800は、支持テーブル200から個別に抜き取られる。これにより、不適切であると判断されたチップ抵抗器800が置かれていた領域が、図3に示す抜き取り跡801となる。
次いで、複数のチップ抵抗器800をピックアップ手段300によって支持テーブル200から取り上げる工程を図3および図18〜図26を参照して説明する。図3に示すように、上述した工程を経ることにより、支持テーブル200の支持面221上に複数のチップ抵抗器800がマトリクス状に配置されている。本実施形態においては、複数のチップ抵抗器800のうち、y方向他方側(図3において紙面奥方側)に最も位置するものであって、さらにこれらのうちx方向他方側(図3における左方側)に最も位置するチップ抵抗器800を先頭として、x方向に配列されたあらかじめ定められた個数のチップ抵抗器800を取り上げる。また、本実施形態においては、ピックアップ手段300による複数のチップ抵抗器800の取り上げを正確かつ確実に行うために、撮像手段400による画像を用いた画像解析を行う。
制御部600は、複数のチップ抵抗器800が支持テーブル200に配置されると、撮像手段400の遠景カメラ420による撮像を行う。図18は、遠景カメラ420による画像の一例である。図中左上に位置するチップ抵抗器800がピックアップ手段300による取り上げにおいて先頭となるものである。なお、本画像のように先頭となるチップ抵抗器800が遠景カメラ420の撮像範囲に含まれるように、制御部600は、支持テーブル200をx,y,z方向において移動させる。また、この画像から、複数のチップ抵抗器800の配列方向がx方向およびy方向に対して傾いていることを検出した場合、制御部600は、支持テーブル200を適宜回転させてもよい。制御部600は、本画像を解析することにより、ピックアップ手段300による取り上げ動作の基準となる基準位置P0のx座標x0およびy座標y0を得る。また、制御部600は、本画像を画像解析することにより、これから取り上げる複数のチップ抵抗器800が配置されている領域に、抜き取り跡801が存在するか否かを認識する。本実施形態においては、先頭となるべきチップ抵抗器800から数えて図中右方4つめに存在していたチップ抵抗器800が抜き取られており、抜き取り跡801が存在している。
また、制御部600は、近景カメラ410による撮像を行う。図19は、近景カメラ410による画像の一例である。近景カメラ410は、撮像倍率が遠景カメラ420に対して相対的に高いため、近景カメラ410による画像に含まれるチップ抵抗器800の個数が遠景カメラ420による画像に含まれる個数より少ない。すなわち、近景カメラ410による画像は、遠景カメラ420による画像よりも高精細である。制御部600は、近景カメラ410による画像を画像解析することにより、基準位置P0のx座標x0およびy座標y0をより高い精度で得る。また、制御部600は、隣り合うチップ抵抗器800どうしの間隔gx,gyを得る。なお、複数のチップ抵抗器800の製造工程によって、間隔gx,gyが同一であることが明らかである場合は、たとえば間隔gxのみを測定してもよい。また、チップ抵抗器800のx方向寸法Lxおよびy方向寸法Lyを測定してもよい。
制御部600は、上述した画像解析処理によって得られた間隔gx、x方向寸法Lxおよび抜き取り跡801の有無に基づいて、所定の個数のチップ抵抗器800を取り上げるために必要とされる保持具330のx方向における移動距離を算出する。この移動距離の算出においては、まず、取り上げるべきチップ抵抗器800の個数にx方向寸法Lxを乗じた距離と、取り上げるべき複数のチップ抵抗器800の間に存在する間隔gxの個数に間隔gxを乗じた距離と、を加算する。また、この算出によって得られた距離に、認識された抜き取り跡801の個数にx方向寸法Lxを乗じた距離を、さらに加算する。この算出によって得られた移動距離を、以降に説明する保持具330の移動距離として採用する。
次いで、制御部600は、ピックアップ手段300の駆動機構310を制御することにより、保持具330を取り上げ開始位置に移動させる。この際の移動目的位置は、保持具330の押し出し面361のx方向位置が基準位置P0のx座標x0と同じか若干x方向他方側となり、側面352のy座標が基準位置P0のy座標y0と同じか若干y方向他方側となる位置である。また、この際の保持具330のz方向位置は、ブロック部350の下端が複数のチップ抵抗器800と干渉しない程度としておく。これにより、図20に示す状態となる。
次いで、図21に示すように、制御部600は、支持テーブル200をz方向において上昇させる。これにより、上述した先頭となるべきチップ抵抗器800が押し出し面361と隣接する位置関係となる。なお、支持テーブル200を上昇させることに代えて、保持具330を下降させてもよい。ブロック部350の下端は、チップ抵抗器800の上端よりもz方向下方に位置し、本実施形態においては、支持面221には触れていない。なお、複数のチップ抵抗器800の取り上げをスムーズに行うためには、ブロック部350の天面353と支持面221とのz方向距離である間隔gzが、チップ抵抗器800のz方向寸法Lzの2倍よりも小であることが好ましく、間隔gzがz方向寸法Lzの1.5倍以下であることがより好ましい。
次いで、図22に示すように、制御部600は、ポンプ380によって吸引力を発揮させることにより、複数の吸引孔355からの吸引を開始する。また、複数の吸引孔355からの吸引開始と同時に、あるいは前後して、保持具330のx方向一方側(図中右方側)への移動を開始する。これにより、先頭に位置するチップ抵抗器800が押し出し面361によって図中右方へと押し出される。この押し出しによって、このチップ抵抗器800と支持面221との間にせん断力が発生する。支持層220による粘着力は比較的弱いため、上記せん断力が、支持層220による粘着力をいずれ上回る。この結果、このチップ抵抗器800が支持面221から離脱し、吸引孔355からの吸引によって保持される。
次いで、図23に示すように、保持具330の図中右方への移動を継続すると、保持された先頭のチップ抵抗器800によってこれに隣接するチップ抵抗器800が図中右方に押される。そして、このチップ抵抗器800が支持面221から離脱し、吸引孔355からの吸引力によって保持される。この結果、2つのチップ抵抗器800がほとんど間隔を置かずに隣接した状態で、保持具330の保持溝351内に保持される。
さらに、保持具330の図中右方への移動を継続すると、図24に示すように3つめのチップ抵抗器800が保持具330に保持される。本実施形態においては、3つめのチップ抵抗器800の隣には、抜き取り跡801が存在している。上述した移動距離の算出には、抜き取り跡801が存在することによって、保持具330がより長く移動すべき距離が加算されている。したがって、図25に示すように、保持具330が図中右方にさらに移動され、3つめのチップ抵抗器800が抜き取り跡801を超えて4つめのチップ抵抗器800に当接する。
このように、上述した算出によって得られた移動距離だけ保持具330を図中右方へ移動させることにより、図26に例示されるとおり、複数のチップ抵抗器800がほとんど間隔を置かずにx方向に整列された状態で、次々と保持具330に保持される。そして、保持具330が上記移動距離の移動を完了すると、所定の個数のチップ抵抗器800がほとんど間隔を置かずにx方向に整列された状態で保持具330に保持されることとなる。
所定個数のチップ抵抗器800の取り上げおよび保持が完了すると、制御部600は、図1に示すように、保持具330を支持テーブル200上から、送り出しレール500上へと移動させる。この移動により、保持具330は、図11、図12および図27に示す位置に置かれる。x方向においては、保持具330の側板360が送り出しレール500の始端ブロック520の始端面521に隣接する。y方向およびz方向においては、保持具330の保持溝351と送り出しレール500の底面511および側面531とにより、送り出しトンネル540が規定される格好となる。送り出しトンネル540は、断面矩形状であり、x方向に長く延びている。なお、保持具330は、下端面が送り出しレール500の底面511との間に若干の隙間をおき、y方向一方側の面が側面531との間に若干の隙間をおく位置とされている。これらの隙間は、以降に説明する複数のチップ抵抗器800の送り出しにおいて必要とされる気密性を発揮する程度の大きさであればよい。なお、図27に示すように、本実施形態においては、送り出しトンネル540のx方向他方側端は、保持具330の押し出し面361によってその大部分が構成されている。押し出し面361の位置は、送り出しレール500の始端面521が規定しているため、送り出しレール500のx方向他方側端のx方向位置は、始端面521によって規定されているといえる。
保持具330の送り出しレール500への移動が完了すると、制御部600は、複数のチップ抵抗器800の送り出し工程を行う。図28に示すように、制御部600は、ポンプ380に吐出機能を発揮させることにより、複数の吸引孔355から空気を噴出させる。また、この噴出の開始と同時に、または前後して、制御部600は、ポンプ580を稼働させることにより、噴出孔515からの空気の噴出を開始する。噴出孔515から噴出された空気は、底面511と側板360との間を通して送り出しトンネル540へと供給される。なお、主ブロック510内に噴出通路を形成することにより、たとえば噴出孔515が図中斜め左下から送り出しトンネル540に開口する構成であってもよい。複数の吸引孔355からの噴出によって複数のチップ抵抗器800は、保持具330から離脱する。また、噴出孔515からの噴出によって、複数のチップ抵抗器800は、x方向一方側(図中右方)側へと押される。
そして、図29に示すように、複数のチップ抵抗器800は、x方向に整列された状態で、図中右方へと送り出される。これらのチップ抵抗器800は、速やかに送り出し溝518内をx方向一方側へと送られることとなる。そして、複数のチップ抵抗器800のうちx方向一方側に位置するものから順に、検査部700における検査工程、およびこの検査工程において適正であると判断されたものが、梱包部750へと送られる。梱包部750へと送られたチップ抵抗器800は、収容テープ870の収容部871に個別に収容される。
以上の工程を経ることにより、所定数の複数のチップ抵抗器800を、支持テーブル200から取り上げ、送り出しレール500から検査部700および梱包部750へと送り出すことが完了する。本実施形態においては、上記所定数としてたとえば50個程度が想定されている。一方、支持テーブル200に支持されたチップ抵抗器800の個数は、この所定個数よりも顕著に多い。このため、制御部600は、ピックアップ手段300による所定個数のチップ抵抗器800の取り上げおよび送り出しレール500による送り出しを順次繰り返す。これにより、支持テーブル200に支持されたすべてのチップ抵抗器800が検査部700に送り出され、検査によって適切と判断されたものが梱包部750において収容テープ870に収容される。この結果、電子部品集合体880が完成する。電子部品集合体880は、チップ抵抗器800をたとえば電子機器の構成部品として用いる需要者に渡される。
次に、電子部品集合体製造装置101の作用について説明する。
本実施形態によれば、図3に示すように、x方向に整列された複数のチップ抵抗器800をピックアップ手段300によって取り上げ、かつ保持する。ピックアップ手段300に保持された複数のチップ抵抗器800は、依然としてx方向に整列された状態を保っている。そして、これらのチップ抵抗器800は、x方向に整列された状態で、検査部700へと送り出される。このため、複数のチップ抵抗器800の向きや裏表を揃えることが不要である。したがって、複数のチップ抵抗器800の整列を適切かつより短時間で行うことができる。
複数のチップ抵抗器800は、支持面221上にx方向およびy方向にマトリクス状に配置されている。これにより、x方向に整列された所定個数のチップ抵抗器800の取り上げを複数回繰り返すことにより、支持テーブル200に支持されたすべてのチップ抵抗器800を迅速かつ合理的に取り上げることができる。
支持テーブル200の支持層220を粘着材料によって形成することにより、複数のチップ抵抗器800を静止状態において不当にずれることなく支持するとともに、ピックアップ手段300によってスムーズに複数のチップ抵抗器800を取り上げることができる。
吸引によって複数のチップ抵抗器800を取り上げおよび保持することは、チップ抵抗器800を支持テーブル200から取り上げるのに十分な力を発揮するとともに、意図したタイミングでチップ抵抗器800を保持状態から離脱状態へと移行させるのに適している。
複数の吸引孔355をx方向に並べて配置することにより、x方向に整列された複数のチップ抵抗器800を適切に取り上げ、かつ保持することができる。
複数の吸引孔355が天面353に配置された保持溝351を採用することにより、支持面221上に配置された複数のチップ抵抗器800を適切に取り上げることができる。保持溝351がy方向一方側に開口していることにより、マトリクス状に配置された複数のチップ抵抗器800のうちy方向他方側に位置するものから、保持具330によって容易に取り上げることができる。
図22に示すように、押し出し面361によって先頭に位置するチップ抵抗器800を押すように保持具330を移動させることにより、チップ抵抗器800と支持面221との間に十分な大きさのせん断力を生じさせることが可能であり、チップ抵抗器800を支持面221から確実に離脱させることができる。離脱したチップ抵抗器800は、吸引孔355からの吸引力によって速やかに保持具330に保持される。
図21に示すように、間隔gzをチップ抵抗器800のz方向寸法Lzの2倍より小とすることにより、図22および図23に示すように保持具330に保持されたチップ抵抗器800とこのチップ抵抗器800のx方向一方側に隣り合うチップ抵抗器800とがz方向において重なりあう。これにより、すでに保持されたチップ抵抗器800が隣接するチップ抵抗器800をx方向一方側に押し出す格好となり、複数のチップ抵抗器800を支持面221から順次離脱させることができる。さらに、間隔gzをz方向寸法Lzの1.5倍よりも小とすれば、保持されたチップ抵抗器800が、隣接するチップ抵抗器800の重心位置を押し出すことが可能となる。これにより、よりスムーズに複数のチップ抵抗器800を支持面221から順次離脱させ、これらを保持することができる。
また、本実施形態によれば、図18および図19に示した撮像手段400による画像から複数のチップ抵抗器800の整列状態を事前に把握することができる。これにより、複数のチップ抵抗器800をより確実かつスムーズに取り上げることができる。
基準位置P0の座標を得ることにより、ピックアップ手段300の保持具330あるいは支持テーブル200を取り上げ開始可能な状態へと適切に移動させることができる。遠景カメラ420および近景カメラ410の双方の画像に基づいて基準位置P0の座標を得ることにより、より正確に基準位置P0を特定することができる。
図19に示す近景カメラ410の画像に基づいて間隔gxを得ることにより、所定の個数のチップ抵抗器800を取り上げるために保持具330を移動せるべき移動距離をより正確に見積もることができる。チップ抵抗器800の実際のx方向寸法Lxを近景カメラ410の画像にもとづいて得ることにより、上記移動距離の見積り精度をさらに高めることができる。
図18に示す遠景カメラ420の画像に基づいて抜き取り跡801の有無を確認し、上記移動距離の算出に反映させることにより、実際の取り上げたチップ抵抗器800の個数が、所定の個数に満たないといった事態を避けることができる。
また、本実施形態によれば、図28に示すように、流体である空気を噴出することにより、複数のチップ抵抗器800をスムーズに送り出すことができる。
送り出しレール500と保持具330とによって形成された送り出しトンネル540に複数のチップ抵抗器800が収容された状態で噴出孔515から空気を噴出することは、複数のチップ抵抗器800をx方向に整列された状態のまま送り出すのに適している。送り出しトンネル540は、断面矩形状であるため、直方体であるチップ抵抗器800をスムーズに送り出しつつ、噴出孔515から噴出された空気が隙間から不当に漏れてしまうことを抑制することができる。
保持具330の保持溝351は、y方向他方側およびz方向下方側にそれぞれ開口している。これは、支持テーブル200にマトリクス状に支持された複数のチップ抵抗器800を順次取り上げるのに適している。一方、図12に示すように、送り出しレール500は、保持溝351の側面352に対向する側面531と天面353に対向する底面511とを有する。これらの側面352および天面353と側面531および底面511とによって、送り出しトンネル540を適切に形成することができる。
保持具330の複数の吸引孔355からの噴出と送り出しレール500の噴出孔515からの噴出とを同時に行うことにより、保持具330から複数のチップ抵抗器800を速やかに離脱させるとともに、離脱した複数のチップ抵抗器800を遅滞なくx方向一方側へと送り出すことができる。
始端ブロック520の始端面521に保持具330の側板360を隣接させることにより、複数のチップ抵抗器800を送り出すための噴出空気が送り出しトンネル540以外の空間に不当に漏れてしまうことを抑制することができる。
送り出しトンネル540に繋がる送り出し溝518を設けることにより、x方向に整列されたままの状態で複数のチップ抵抗器800をより長い位置まで送り出すことができる。
なお、本実施形態においては、図3に示すように、長矩形状とされた複数のチップ抵抗器800は、各々の長手方向がx方向に一致するように整列されているが、これとは異なり、各チップ抵抗器800の短手方向がx方向と一致するように整列された構成であってもよい。
図30および図31は、送り出しレール500の他の例を示している。本例の送り出しレール500は、噴出孔515を設けるための構造が、上述した例と異なっている。図30に示すように、本例の送り出しレール500には、楕円孔517および細溝516が形成されている。楕円孔517は、z方向視において楕円形状とされ、z方向寸法が顕著に小である偏平体形状である。楕円孔517は、主ブロック510の内部に形成された噴出通路用の空間に繋がっている。細溝516は、楕円孔517のx方向一方側(図中右方側)に繋がっている。細溝516は、y方向寸法が楕円孔517に対して顕著に小であり、x方向に延びている。
z方向視において、楕円孔517のほとんどは、始端ブロック520および側方ブロック530によって覆われている。ただし、楕円孔517のうち図30における右斜め上側部分は、始端ブロック520および側方ブロック530から露出している。この部分は、送り出しレール500に保持具330がセットされると、側板360によって覆われる。また、細溝516は、そのすべてが、始端ブロック520および側方ブロック530から露出している。送り出しレール500に保持具330がセットされると、細溝516のほとんどが、側板360によって覆われる。細溝516のうち側板360から露出するx方向一方側部分(図中左方端部分)が、噴出孔515とされる。
図31は、複数のチップ抵抗器800を保持した保持具330が送り出しレール500にセットされた後に、複数の吸引孔355および噴出孔515からの空気の噴出を開始した直後の状態を示している。同図によく表れているように、本例においては、噴出孔515から噴出する空気は、図中斜め左下方向から送り出しトンネル540に流入する格好となる。このような構成によっても、保持具330から離脱した複数のチップ抵抗器800を、x方向に整列した状態で、検査部700などにスムーズに送り出すことができる。
図32〜図43は、本発明の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
図32は、本発明の第2実施形態に基づく電子部品集合体製造装置を示している。本実施形態においては、保持具330の動作が上述した実施形態と異なる。
複数のチップ抵抗器800は、上述した通り、支持面221上においてx方向およびy方向に沿ってマトリクス状に配置されている。保持具330の形状およびサイズは、図4〜図8を参照して説明したとおりである。本実施形態においては、図33および図34に示すように、制御部600は、撮像手段400によって撮影された画像に基づいて画像処理することにより、基準位置P1のx座標x1およびy座標y1を算出する。保持具330は、複数のチップ抵抗器800のうち、もっともy方向他方側(図中上方)にある列に含まれ、x方向他方側(図中左方)から所定個数のものを、一括して取り上げる。基準位置P1は、保持具330によって一括して取り上げられる複数のチップ抵抗器800のうち、もっともx方向一方側(図中右方)に位置するものの、x方向一方側端かつy方向他方側端である。基準位置P1を算出した後に、制御部600は、図32において、保持具330の保持溝351のx方向一方側端が、基準位置P1と一致する、あるいはその近傍に位置するように、保持具330を移動させる。
図35は、x方向一方側端が基準位置P1あるいはその近傍に位置させられた保持具330を示すyz平面に沿う要部拡大断面図である。取り上げ対象である複数のチップ抵抗器800は、x方向において配列されており、本図においてはもっともy方向他方側(図中左方)に位置するものとして示されている。この取り上げ対象である複数のチップ抵抗器800の上方に、保持具330の保持溝351が位置している。
次いで、図36に示すように、制御部600は、保持具330をz方向において下降させる。そして、取り上げ対象である複数のチップ抵抗器800を保持溝351内に位置させる。このとき、ブロック部350の天面353と支持面221とのz方向距離である間隔gzが、チップ抵抗器800のz方向寸法Lzの2倍よりも小であることが好ましく、間隔gzがz方向寸法Lzの1.5倍以下であることがより好ましい。そして、複数の吸引孔355からの吸引を開始する。
次いで、図37に示すように、制御部600は、保持具330をy方向一方側(図中右方)に移動させる。このときの移動量は、図34に示す間隔gyよりも小である。発明者らの試験によれば、間隔gyが20μm程度である場合に、保持具330の上記移動量を8μm程度とすれば、チップ抵抗器800を支持面221から適切に離脱させるとともに、y方向において隣合う他のチップ抵抗器800との干渉を回避することができる。この移動によって、保持具330のブロック部350の側面352が、取り上げ対象である複数のチップ抵抗器800に対してy方向他方側から接することとなる。そして、これらのチップ抵抗器800が支持面221から一括して離脱され、さらに複数の吸引孔355によって一括して吸引される。これにより、保持具330によって取り上げ対象である複数のチップ抵抗器800を取り上げ、かつこれらを保持することができる。
本実施形態において保持具330によって複数のチップ抵抗器800を保持する態様は、上述した第1実施形態に基づく構成と類似している。相違点としては、第1実施形態においては、複数のチップ抵抗器800がほとんど間隔を置かずに並んだ状態で保持されていたのに対して、本実施形態においては、間隔gxを置いて保持されている点が挙げられる。これは、本実施形態においては、複数のチップ抵抗器800を支持面221から離脱させるために、保持具330をy方向にのみ移動させ、x方向には積極的に移動させないことによる。複数のチップ抵抗器800の取り上げが完了した後は、たとえば、図27〜図29に示した工程を経ることにより、保持具330から送り出しレール500を経て、複数のチップ抵抗器800を検査部700へと送り出すことができる。
このような実施形態よれば、x方向に整列された複数のチップ抵抗器800をより短い時間で支持テーブル200から取り上げることができる。
図38〜図42は、本発明の第3実施形態に基づく電子部品集合体製造装置を示している。本実施形態においては、x方向およびy方向においてマトリクス状に配置された複数のチップ抵抗器800を一括して取り上げる点が、上述した実施形態と異なっている。
図38に示すように、本実施形態の保持具330においては、ブロック部350の保持溝351のy方向寸法が、支持面221に支持された複数列のチップ抵抗器800に相当する長さとされている。本実施形態においても、上述した基準位置P1に基づいて保持具330の動作を規定することができる。図39は、保持溝351のx方向一方側端およびy方向他方側端が基準位置P1あるいはその近傍に位置させられた保持具330を示すyz平面に沿う要部拡大断面図である。取り上げ対象である複数のチップ抵抗器800は、たとえばもっともy方向他方側(図中左方)に位置する列から5列目までに含まれるものである。この取り上げ対象である複数のチップ抵抗器800の上方に、保持具330の保持溝351が位置している。
次いで、図40に示すように、制御部600は、保持具330をz方向において下降させる。そして、取り上げ対象である複数のチップ抵抗器800の少なくとも一部を保持溝351内に位置させる。このとき、ブロック部350の天面353と支持面221とのz方向距離である間隔gzが、チップ抵抗器800のz方向寸法Lzの2倍よりも小であることが好ましく、間隔gzがz方向寸法Lzの1.5倍以下であることがより好ましい。そして、複数の吸引孔355からの吸引を開始する。本実施形態においては、マトリクス状に配置された複数のチップ抵抗器800を一括して取り上げるために、複数の吸引孔355がマトリクス状に配置されている。
次いで、図41に示すように、制御部600は、保持具330をy方向一方側(図中右方)に移動させる。このときの移動量は、上述した通り図34に示す間隔gyよりも小である。この移動によって、保持具330のブロック部350の側面352が、取り上げ対象である複数のチップ抵抗器800のうちもっともy方向他方側に位置する列に含まれるものに対してy方向他方側から接することとなる。そして、これらのチップ抵抗器800が支持面221から一括して離脱され、さらに複数の吸引孔355によって一括して吸引される。これにより、保持具330によって1列目の複数のチップ抵抗器800を取り上げ、かつこれらを保持することができる。
さらに、保持具330のy方向一方側に向けての移動を継続することにより、図42に示すように、5列に配列された複数のチップ抵抗器800を支持面221から順次離脱させ、保持具330によって保持することができる。このときの保持具330の移動量は、図34に示す画像を画像処理することによって得られたチップ抵抗器800のy方向寸法Lyおよび間隔gyを基に算出される。
本実施形態において保持具330に保持された複数のチップ抵抗器800は、x方向において間隔gxとほぼ同じ大きさの間隔をおき、y方向においては互いに当接するか間隔gyよりも顕著に小である隙間をおいた状態となっている。これは、複数のチップ抵抗器800を支持面221から離脱させるために、保持具330をy方向にのみ移動させたことによる。
このような実施形態によれば、より多くのチップ抵抗器800を一括して保持具330によって取り上げることができる。したがって、複数のチップ抵抗器800をより短い時間で支持テーブル200から取り上げることができる。
図43は、本発明の第4実施形態に基づく電子部品集合体製造装置を示している。本実施形態においては、上述した第3実施形態に基づく構成における保持具330を用いる。そして、本実施形態においては、複数のチップ抵抗器800を支持面221から取り上げるために、保持具330をx方向一方側に移動させる点が、上述した第3実施形態に基づく構成と異なっている。
このような実施形態においては、保持具330に保持された複数のチップ抵抗器800は、y方向において間隔gyとほぼ同じ大きさの間隔をおき、x方向においては互いに当接するか間隔gxよりも顕著に小である隙間をおいた状態となっている。これは、複数のチップ抵抗器800を支持面221から離脱させるために、保持具330をx方向にのみ移動させたことによる。
このような実施形態によっても、より短い時間で複数のチップ抵抗器800を保持具330によって取り上げることができる。
図44は、本発明の第5実施形態に基づく電子部品集合体製造装置によって扱われるチップ抵抗器800を示している。同図に示すように、チップ抵抗器800の基板810は、素子形成面812および非素子形成面813を有している。素子形成面812は、電極850や抵抗体層830が形成された面であり、チップ抵抗器800を回路基板などに実装するために用いられる面である。この素子形成面812は、本発明で言う実装面の一例である。非素子形成面813は、電極850などが形成されていない面であり、本発明で言う非実装面の一例である。図17に示したチップ抵抗器800も、素子形成面812および非素子形成面813に相当する面を有している。本実施形態においては、支持面221に対する素子形成面812と非素子形成面813の向きが図17に示した例とは逆になっており、複数のチップ抵抗器800の取り扱いにおいて、チップ抵抗器800が互いに異なる面である素子形成面812と非素子形成面813とを有する、表裏の区別がある電子部品として扱われる。
図44に示すように、本実施形態においては、非素子形成面813が支持面221に接する姿勢で複数のチップ抵抗器800が支持テーブル200に支持されている。複数のチップ抵抗器800は、保持具330によって支持面221から取り上げられる。この保持具330による取り上げは、上述した第1ないし第4実施形態のいずれの態様であってもよい。以降の説明においては、第1実施形態における保持具330を用いた構成を例として説明するが、上述した第1ないし第4実施形態のいずれの保持具330であっても同様の構成を採用することができる。
図45は、図20〜図26に示す工程を経ることにより保持具330に保持されたチップ抵抗器800を示している。同図に示された通り、本実施形態においては、チップ抵抗器800は、素子形成面812側が保持具330に当接するように保持される。より具体的には、ブロック部350の天面353が素子形成面812に対向している。
本実施形態においては、図46に示すように、ピックアップ手段300が、保持具331をさらに有している。保持具331は、保持具330と同様の構成とされており、保持具330とは独立して専用の駆動機構(図示略)によって移動および回転が自在とされている。保持具331は、本発明で言う追加の保持具に相当する。保持具330は、複数のチップ抵抗器800を取り上げた直後の状態であり、天面353をz方向下方に向けた姿勢とされている。保持具331は、保持具330とは天地が逆であり、かつz方向周りに180度回転された姿勢で示されている。制御部600は、保持具330の保持溝351と保持具331の保持溝351とが矩形断面のトンネルを形成するように互いに接近させる。これにより、図47に示すように、複数のチップ抵抗器800を挟んで、保持具330の天面353と保持具331の天面353とが対向した位置に置かれる。この際、保持具330の複数の吸引孔355からの吸引が継続されている。
次いで、図48に示すように、保持具331の複数の吸引孔355からの吸引を開始する。また、保持具330の複数の吸引孔355からの吐出を開始する。これにより、複数のチップ抵抗器800は、保持具330から離脱し、保持具331の複数の吸引孔355によって吸引される。
次いで、図49に示すように、保持具330と保持具331とを離間させる。これにより、複数のチップ抵抗器800が保持具330から保持具331へと受け渡され、保持具331によって保持される。
次いで、図50に示すように、保持具331を回転させる。同図においては、y方向周りに180度回転させている。この回転は、x方向またはy方向など、z方向に対して直角である方向に延びる軸周りになされる。これにより、保持具331は、図46に示した姿勢とは天地逆となる。図51は、この状態の保持具331によって保持されたチップ抵抗器800を示している。チップ抵抗器800は、非素子形成面813が天面353と対向する姿勢、すなわち非素子形成面813が保持具331と当接する姿勢で、保持具331によって支持される。
図45に示すチップ抵抗器800に対して、図51に示されたチップ抵抗器800は、天地逆の姿勢となっている。この姿勢変化を達成するための動作構成としては、上述した通り、保持具330から保持具331へと複数のチップ抵抗器800を受渡した後に保持具331を回転させることのほかに、あらかじめ回転させた保持具330から保持具331へと複数のチップ抵抗器800を受け渡す構成としてもよい。あるいは、保持具330を180度より小さい角度だけあらかじめ回転させ、複数のチップ抵抗器800を保持具331に受渡した後に、保持具331をさらに回転させる構成であってもよい。さらに、保持具330から保持具331へと複数のチップ抵抗器800を受け渡す工程を行いつつ、保持具330と保持具331とを一括して回転させてもよい。保持具331によって複数のチップ抵抗器800を保持した後は、たとえば、図27〜図29に示した工程において保持具330に代えて保持具331を用いた工程を経ることにより、保持具331から送り出しレール500を経て、複数のチップ抵抗器800を検査部700へと送り出すことができる。
このような実施形態によれば、非素子形成面813が支持面221に当接する状態、すなわち非素子形成面813がz方向下方を向く姿勢であるチップ抵抗器800を、素子形成面812がz方向下方を向く姿勢で保持具331から送り出すことができる。これにより、チップ抵抗器800を製造する工程におけるチップ抵抗器800の表裏面の向きと、電子部品集合体880におけるチップ抵抗器800の表裏面の向きとを、様々な組み合わせとすることが可能である。これは、本発明に係る電子部品集合体製造装置によって扱われるチップ抵抗器800に代表される電子部品の製造方法に対して、この電子部品の表裏面の向きについて不当な制限を加えることを回避することに資する。また、電子部品集合体を使用するユーザーの事情にあわせて、電子部品の表裏面の向きを設定することができる。
図52は、本発明に係る電子部品集合体製造装置によって製造される電子部品集合体の他の例を示している。同図に示された電子部品集合体880は、基材872および封止フィルム873,874からなる収容テープ870と複数のチップ抵抗器800とからなる。
基材872は、樹脂あるいは紙など、チップ抵抗器800を衝撃などから保護可能な素材から成る。基材872は、長手方向に配列された複数の貫通孔を有している。これらの貫通孔が複数の収容部871を構成している。封止フィルム873,874は、基材872の表裏面に貼付されており、上述した複数の貫通孔(複数の収容部871)を封止している。この電子部品集合体880を製造する際には、封止フィルム873および封止フィルム874のいずれかが貼付されていない状態で、チップ抵抗器800が収容部871に挿入される。挿入されるチップ抵抗器800の素子形成面812および非素子形成面813がz方向において上下いずれを向いた状態であるかによって、収容部871のz方向いずれの側を開放した状態でチップ抵抗器800を受け入れるかを選択できる。このような実施形態によっても、チップ抵抗器800の表裏面の向きについて、チップ抵抗器800の製造工程や電子部品集合体880のユーザーに対して不当な制限を加えることを回避することができる。
本発明に係る電子部品集合体製造装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る電子部品集合体製造装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
ピックアップ手段300によって複数のチップ抵抗器800を取り上げ、かつ保持するためには、吸引に代えてたとえば電磁石などによる磁力を用いてもよい。支持面221によるチップ抵抗器800の支持は、粘着力を利用したものほか、電磁石による磁力を用いたものや、吸引力を用いたものであってもよい。