以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施形態について詳説する。
≪第1の実施形態≫
[装置の全体構成]
図1、図2、図3は、本発明に係るインクジェット記録装置の第1の実施形態を示す正面図、平面図、側面図である。
このインクジェット記録装置10は、ラインヘッドを用いたシングルパス方式のインクジェット記録装置であり、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、クロ(K)の各色のインク滴を吐出して、用紙上にカラー画像を記録する。
図1から図3に示すように、インクジェット記録装置10は、記録媒体である用紙(枚葉紙)Pを搬送する用紙搬送装置20と、用紙搬送装置20によって搬送される用紙Pに向けてC、M、Y、Kの各色のインク滴を吐出するヘッドユニット30と、インクジェットヘッド32C、32M、32Y、32Kのノズル面のクリーニングするクリーニング部40と、インクジェットヘッド32C、32M、32Y、32Kをメンテナンスするメンテナンス部50と、全体の動作を制御する制御装置(不図示)とを備えて構成される。
〈用紙搬送装置〉
用紙搬送装置20は、記録媒体である用紙(枚葉紙)Pの搬送手段であり、用紙Pを所定の搬送経路に沿って水平に搬送する。本実施の形態において、用紙搬送装置20は、ベルト搬送装置で構成される。すなわち、無端状の搬送ベルト22の表面に用紙Pを吸着保持し、搬送ベルト22を走行させることにより、用紙Pを搬送する。
搬送ベルト22は、複数のプーリ24に巻き掛けられて所定の走行経路を走行する。搬送ベルト22の走行経路は一部が水平に設定される。用紙Pは、この水平に設定された領域を用いて、水平に搬送される。
プーリ24の1つには、図示しないモータが接続される。搬送ベルト22は、このモータを駆動してプーリ24を回転させることにより、一定の速度で走行する。
用紙Pは、搬送ベルト22の周面に吸着保持されて搬送される。このため、用紙搬送装置20には、搬送ベルト上で用紙Pを吸着保持するための吸着保持機構(不図示)が備えられる。吸着保持機構としては、たとえば、負圧吸引によって吸着保持する方式や、静電吸着によって吸着保持する方式などの公知の機構を採用することができる。
なお、用紙Pは、必要に応じて所要の前処理(たとえば、インクを凝集させる機能を有する処理液の塗布など)が行われて、用紙搬送装置20に給紙される。
用紙搬送装置20に給紙された用紙Pは、用紙搬送装置20によって水平に搬送される。そして、その搬送過程でヘッドユニット30からC、M、Y、Kの各色のインク滴が吐出されて、表面に画像が記録される。
〈ヘッドユニット〉
ヘッドユニット30は、用紙搬送装置20によって水平に搬送される用紙Pに向けてC、M、Y、Kの各色のインク滴を吐出する。ヘッドユニット30は、シアンのインク滴を吐出するインクジェットヘッド32Cと、マゼンタのインク滴を吐出するインクジェットヘッド32Mと、イエロのインク滴を吐出するインクジェットヘッド32Yと、クロのインク滴を吐出するインクジェットヘッド32Kの各インクジェットヘッド(以下、単に「ヘッド」という。)が、ヘッド支持フレーム34に取り付けられて構成される。このヘッドユニット30は、後述するように、移動手段であるヘッドユニット移動装置(不図示)によって、「画像記録位置」と「メンテナンス位置」との間を移動可能に設けられる。
−ヘッド−
各ヘッド32C、32M、32Y、32Kは、記録対象である用紙Pの幅(用紙幅)に相当する長さを有するラインヘッドで構成される。
図4は、ヘッドの概略構成を示す底面図である。また、図5は、図4の一部を拡大した拡大図である。
なお、各ヘッド32C、32M、32Y、32Kの構成は同じなので、以下においては、特に区別する場合などを除いて、ヘッド32C、32M、32Y、32Kをヘッド32Xとして、その構成を説明する。
図4に示すように、ヘッド32Xは、複数のヘッドモジュール32xを1列に繋ぎ合わせて構成される。
ヘッドモジュール32xは、いわゆる短尺のインクジェットヘッドであり、それ単体でもインクジェットヘッドとして機能し得る性能を有している。
各ヘッドモジュール32xは、同じ構造である。したがって、繋ぎ合わせる順番は任意であり、どのヘッドモジュール32xをどの位置に取り付けても、同じヘッド32Xが製造される。
各ヘッドモジュール32xは、ヘッドモジュール支持部材36Xに取り付けることにより、1列に繋ぎ合わされる。そして、このヘッドモジュール32xが1列に繋ぎ合わされることにより、先端部(下端部)にノズル面38Xを備えた長尺状のヘッド32Xが構成される。
ヘッドモジュール支持部材36Xは、ヘッドモジュール32xを取り付けるためのヘッドモジュール取付部(不図示)を備え、このヘッドモジュール取付部にヘッドモジュール32xが着脱自在に取り付けられる。したがって、各ヘッドモジュール32xは、個別に交換することができる。
各ヘッドモジュール32xは、先端部(下端部)に平行四辺形状のノズル面38xを有する。各ヘッドモジュール32xのノズル面38xは、各ヘッドモジュール32xがヘッドモジュール支持部材36Xに取り付けられることにより互いに繋ぎ合わされ、全体として1つの長尺状の面を構成する。この面がヘッド32Xのノズル面38Xを構成する。
ヘッド32Xのノズル面38Xは、全体として1つの面で構成されるが、複数のヘッドモジュール32xを繋ぎ合わせているため、各ヘッドモジュール32xの接合部分に直線状の隙間39Xが生じる。隙間39Xは、各ヘッドモジュール間に発生し、長手方向に一定の間隔で配置される。
なお、本実施の形態のヘッド32Xでは、各ヘッドモジュール32xのノズル面38xが平行四辺形状であるため、隙間39Xはヘッド32Xの長手方向に対して斜めに形成される。
各ヘッドモジュール32xのノズル面38xには、ノズルNが配置される。ノズルNは、ヘッドモジュール32xの長手方向(ヘッド32Xの長手方向(X軸方向))に沿って配置される。
なお、本実施の形態では、ノズルNがマトリクス状に配置される。具体的には、用紙Pの搬送方向(Y軸方向)に対して所定角度傾斜した方向にノズルNが一定ピッチで配置されるとともに、用紙Pの搬送方向(Y軸方向)と直交する方向(ヘッドの長手方向(X軸方向))にノズルNが一定ピッチで配置される。このようなノズルNの配置構成とすることにより、ヘッド32Xの長手方向(用紙Pの搬送方向と直交する方向(X軸方向))に投影される実質的なノズルNの間隔を狭めることができる。すなわち、ノズルNの高密度化を図ることができる。このようにノズルNが配置されるヘッド(いわゆるマトリクスヘッド)の場合、ヘッド32Xの長手方向(X軸方向)に投影されるノズルNの列が実質的なノズル列とされる。
なお、本実施の形態のヘッド32Xでは、ノズル面38Xの幅方向(長手方向と直交する方向)の中央部分にのみノズルNが配置される。すなわち、ノズル面38Xの幅方向の中央部分に帯状のノズル領域が設けられ、このノズル領域にノズルNが配置される。
なお、ノズル領域の両側の領域は、ノズル保護領域とされ、ノズル領域よりも一段突出して設けられている。これにより、用紙Pに浮きなどが発生した場合に、ノズルNが配置された領域に用紙Pが接触するのを防止することができる。
また、本実施の形態のヘッド32Xでは、ノズル面38Xのノズル領域に撥液処理が施される。これにより、ノズル領域にインク等が付着しにくくすることができる。なお、撥液処理はノズル面38Xの全面に施すこともできる。すなわち、ノズル保護領域にも施すことができる。
以上のように構成されるヘッド32Xは、図示しないインク供給ユニットからインクが供給される。インク供給ユニットは、たとえば、タンクと、ポンプとを備え、タンクに貯留されたインクをポンプでヘッド32Xに供給する。パージする場合は、たとえば、ポンプでヘッド内のインクを加圧して、ヘッド内のインクをノズルNから強制的に排出させる。インク供給ユニットは、制御装置(不図示)によって、その駆動が制御される。
また、ヘッド32Xは、制御装置(不図示)によって、その駆動が制御される。なお、ヘッド32Xの駆動方式(各ノズルNからインクを吐出させる方式)は、特に限定されず、いわゆるピエゾ方式やサーマル方式等の公知の駆動方式を採用することができる。
−ヘッド支持フレーム−
ヘッド支持フレーム34は、各ヘッド32C、32M、32Y、32Kを取り付けるためのヘッド取付部(不図示)を備えている。各ヘッド32C、32M、32Y、32Kは、このヘッド取付部に着脱自在に取り付けられる。
各ヘッド32C、32M、32Y、32Kは、ヘッド取付部を介してヘッド支持フレーム34に取り付けられることにより、そのノズル面38C、38M、38Y、38Kが、用紙搬送装置20の用紙搬送面に対向して配置される。また、用紙Pの搬送方向(Y軸方向)に対して直交して配置される。
また、各ヘッド32C、32M、32Y、32Kは、ヘッド取付部を介してヘッド支持フレーム34に取り付けられることにより、用紙Pの搬送方向(Y軸方向)に沿って一定の間隔をもって配置される。本例では、用紙Pの搬送方向上流側からC、M、Y、Kの順で配置されている。
更に、各ヘッド32C、32M、32Y、32Kは、ヘッド取付部を介してヘッド支持フレーム34に取り付けられることにより、そのノズル面38C、38M、38Y、38Kが用紙搬送装置20の用紙搬送面と平行に配置される(本例では水平に配置される)。
なお、ヘッド取付部は、ヘッド支持フレーム34に対して昇降自在に設けられ、図示しない昇降装置によって昇降可能(上下動可能)に設けられる。したがって、各ヘッド32C、32M、32Y、32Kは、ヘッド支持フレーム34に取り付けることにより、その高さ位置(Z方向の位置)を調整することができる。これにより、用紙搬送装置20によって搬送される用紙Pからノズル面38C、38M、38Y、38Kまでの高さを調整することができる(スローディスタンスを調整することができる。)。また、後述するように、キャッピング時にキャップに対して、当接/離間することができる。
上記のように、ヘッドユニット30は、移動手段であるヘッドユニット移動装置(不図示)によって移動可能に設けられる。ヘッドユニット30は、このヘッドユニット移動装置によって、用紙Pの搬送方向(Y軸方向)と直交する方向(X軸方向)に水平に移動して、「画像記録位置」と「メンテナンス位置」との間を移動する。
ヘッドユニット移動装置は、用紙搬送装置20の上方に水平に設置される天井フレームと、その天井フレームに敷設されるガイドレールと、ガイドレールにガイドされて走行する走行体と、その走行体を移動させる駆動手段(たとえば、送りねじ機構など)とを備えて構成される。
ガイドレールは、用紙Pの搬送方向(Y軸方向)と直交する方向に沿って敷設される。したがって、走行体は、用紙Pの搬送方向(Y軸方向)と直交する方向に方向(X軸方向)に水平に移動する。
ヘッド支持フレーム34は、走行体に取り付けられる。したがって、ヘッドユニット30は、用紙Pの搬送方向(Y軸方向)と直交する方向(X軸方向)に水平に移動する。
また、上記のように、各ヘッド32C、32M、32Y、32Kは、その長手方向が用紙Pの搬送方向(Y軸方向)に直交して配置される。したがって、各ヘッド32C、32M、32Y、32Kは、ヘッドユニット30が移動することにより、長手方向に沿って水平に移動する。
ヘッドユニット30は、このヘッドユニット移動装置によって「画像記録位置」と「メンテナンス位置」との間を移動する。
ヘッドユニット30は、「画像記録位置」に位置すると、用紙搬送装置20の上方に配置される。これにより、用紙搬送装置20によって搬送される用紙Pに対して、画像を記録することが可能になる。
また、ヘッドユニット30は、「メンテナンス位置」に位置すると、メンテナンス部50に配置される。これにより、各ヘッド32C、32M、32Y、32Kのノズル面38C、38M、38Y、38Kをキャップ100C、100M、100Y、100Kで覆うことが可能になる。
〈クリーニング部〉
クリーニング部40は、各ヘッド32C、32M、32Y、32Kのノズル面38C、38M、38Y、38Kをクリーニングする。
クリーニング部40は、メンテナンス位置と画像記録位置との間を移動するヘッド32C、32M、32Y、32Kに対して、ノズル面38C、38M、38Y、38Kに払拭部材を当接させて、ノズル面38C、38M、38Y、38Kをクリーニングする。このため、クリーニング部40は、ヘッドユニット30の移動経路上に配置される。
また、クリーニング部40は、ヘッドごとに個別にノズル面をクリーニングする。このため、クリーニング部40には、ヘッド32C、32M、32Y、32Kごとに個別にクリーニング装置42C、42M、42Y、42Kが備えられる。
図6は、クリーニング装置の概略構成を示す正面図である。
なお、各クリーニング装置42C、42M、42Y、42Kの構成は同じなので、ここでは、クリーニング装置42C、42M、42Y、42Kをクリーニング装置42Xとして、その構成を説明する。
クリーニング装置42Xは、ウェブ43Xでノズル面38Xを払拭して、ノズル面38Xをクリーニングする。
クリーニング装置42Xは、クリーニング装置本体フレーム48Xを備える。クリーニング装置42Xは、このクリーニング装置本体フレーム48Xにウェブ43X、ウェブ43Xの繰出軸44X、ウェブ43Xの巻取軸45X、ウェブ43Xをノズル面38Xに押圧当接させる押圧ローラ46X、ウェブ43Xの走行をガイドするガイドローラ49XR、49XL、ウェブ43Xを駆動するウェブ駆動機構(不図示)、ウェブ43Xに洗浄液を付与するための洗浄液ノズル47X等を備えて構成される。
ウェブ43Xは、ノズル面38Xを払拭するための帯状の払拭部材であり、極微細な繊維の織り又は編みで構成される。ウェブ43Xは、ノズル面38Xの幅(長手方向と直交する方向の幅)とほぼ同じ幅を有する。
ウェブ43Xは、繰出コアにロール状に巻かれる。このウェブ43Xが巻かれた繰出コアが繰出軸44Xに装着される。また、ウェブ43Xの先端には、巻取コアが取り付けられる。巻取コアは巻取軸45Xに装着される。
繰出軸44Xは、ウェブ43Xの繰り出しを行う軸である。繰出軸44Xは、スリップクラッチ(不図示)を介してクリーニング装置本体フレーム48Xに取り付けられる。上記のように、ウェブ43Xが巻かれた繰出コアは、この繰出軸44Xに装着される。
繰出軸44Xは、ウェブ43Xの巻き取りを行う軸である。繰出軸44Xは巻取軸45Xと平行に配置される。巻取軸45Xはスリップクラッチ(不図示)を介してクリーニング装置本体フレーム48Xに取り付けられる。上記のように、ウェブ43Xを巻き取る巻取コアは、この巻取軸45Xに装着される。
押圧ローラ46Xは、ウェブ43Xをノズル面38Xに押し当てるためのローラである。押圧ローラ46Xは、ゴムローラで構成される。押圧ローラ46Xは、繰出軸44Xと巻取軸45Xとの間に配置され、繰出軸44Xと巻取軸45Xとに平行に配置される。押圧ローラ46Xは、図示しない軸受を介してクリーニング装置本体フレーム48Xに取り付けられ、回転自在に支持される。
ガイドローラ49XR、49XLは、ウェブ43Xの走行をガイドするローラであり、押圧ローラ46Xを挟んで左右対称に配置される。一方のガイドローラ49XRは、繰出軸44Xから繰り出されたウェブ43Xが押圧ローラ46Xに巻き掛けられるようにガイドする。他方のガイドローラ49XLは、押圧ローラ46Xを通過したウェブ43Xが巻取軸45Xに巻き取られるようにガイドする。
ウェブ駆動機構(不図示)は、ウェブ43Xの駆動手段であり、巻取軸45Xを回転駆動して、ウェブ43Xを走行させる。ウェブ駆動機構は、回転駆動源としてモータと、そのモータで発生させた回転力を巻取軸45Xに伝達する回転伝達機構とを備えて構成される。ウェブ駆動機構は、図示しないブラケットを介してクリーニング装置本体フレーム48Xに取り付けられる。
洗浄液ノズル47Xは、払拭前のウェブ43Xを湿潤させるための手段であり、払拭前のウェブ43Xに洗浄液を付与してウェブ43Xを湿潤させる。洗浄液ノズル47Xは、図示しないブラケットを介してクリーニング装置本体フレーム48Xに取り付けられる。洗浄液ノズル47Xは、ウェブ43Xの走行方向に対して押圧ローラ46Xの上流側に配置され、ウェブ43Xに向けて洗浄液を噴射する。
クリーニング装置本体フレーム48Xは、図示しない昇降装置によって昇降可能に設けられる。クリーニング装置本体フレーム48Xは、この昇降装置に駆動されて、「払拭位置」と「待機位置」との間を昇降移動する。押圧ローラ46Xに巻き掛けられたウェブ43Xは、クリーニング装置本体フレーム48Xを払拭位置に位置させることにより、ノズル面38Xに押圧当接される。また、クリーニング装置本体フレーム48Xを待機位置に位置させることにより、ノズル面38Xから離間する。
クリーニング装置42Xは、以上のように構成される。
以下、クリーニング装置42Xによるノズル面38Xのクリーニング動作について説明する。なお、クリーニング装置42Xの動作は、制御装置(不図示)によって制御される。
クリーニング装置42Xは、ヘッドユニット30がメンテナンス位置から画像記録位置に移動する過程でヘッド32Xのノズル面38Xをクリーニングする。
制御装置にクリーニング指令(ユーザによるクリーニングの指示や装置の運転終了の指示等)が入力されると、ヘッドユニット30が画像記録位置からメンテナンス位置に向けて移動を開始する。
ヘッド32Xの移動方向の先端(画像記録位置側の端部)が、クリーニング装置42Xの設置位置の直前の位置に到達すると、洗浄液ノズル47Xが駆動される。これにより、ウェブ43Xに洗浄液が供給され、ウェブ43Xが洗浄液によって湿潤される。
洗浄液の付与と同時にウェブ駆動機構が駆動される。これにより、ウェブ43Xが走行を開始する。なお、ウェブ43Xの走行方向は、ヘッド32Xの移動方向とは逆の方向である。
ヘッド32Xの移動方向の先端がクリーニング装置42Xの設置位置に到達すると、クリーニング装置本体フレーム48Xが払拭位置に移動する。これにより、押圧ローラ46Xに巻き掛けられたウェブ43Xがヘッド32Xのノズル面38Xに当接される。そのままヘッド32Xが移動することにより、ヘッド32Xのノズル面38Xに順次ウェブ43Xが接触する。これにより、ヘッド32Xのノズル面38Xがウェブ43Xによって払拭される。
このように、移動するヘッド32Xのノズル面38Xに走行するウェブ43Xを接触させることにより、ノズル面38Xがウェブ43Xで払拭され、ノズル面38Xがクリーニングされる。
ヘッド32Xの移動方向の後端(メンテナンス位置側の端部)が、クリーニング装置42Xの設置位置に到達すると、洗浄液の付与が停止され、次いで、ウェブ43Xの走行が停止される。この後、クリーニング装置本体フレーム48Xが待機位置に移動して、クリーニング動作が完了する。
このように、クリーニング装置42Xは、移動するヘッド32Xのノズル面38Xに走行するウェブ43Xを接触させることにより、ノズル面38Xをウェブ43Xで払拭して、ノズル面38Xをクリーニングする。
〈メンテナンス部〉
メンテナンス部50は、各ヘッド32C、32M、32Y、32Kのメンテナンスを行う。すなわち、ヘッド32C、32M、32Y、32Kを保管したり、回復処理を行ったりする。
各ヘッド32C、32M、32Y、32Kのメンテナンスは個別に行われる。このため、メンテナンス部50には、ヘッド32C、32M、32Y、32Kごとにメンテナンス装置52C、52M、52Y、52Kが備えられる。
図7は、メンテナンス装置の概略構成を示す正面図である。
なお、各メンテナンス装置52C、52M、52Y、52Kの構成は同じなので、ここでは、メンテナンス装置52C、52M、52Y、52Kをメンテナンス装置52Xとして、その構成を説明する。
メンテナンス装置52Xは、ヘッド32Xをキャッピングするキャップ100Xと、キャップ100X内に保湿液Lを供給する保湿液供給装置56Xと、キャップ100X内の保湿液等を廃液する廃液装置58X等を備えて構成される。
キャップ100Xは、ヘッド32Xのノズル面38Xを覆って、ヘッド32Xをキャッピングする部材である。インクジェット記録装置10を長期間使用しないときは、このキャップ100Xでヘッド32Xのノズル面38Xが覆われる。これにより、ノズルNから溶媒が蒸発するのを防止でき、また、ノズル面38Xに異物が付着するのを防止できる。
キャップ100Xは、上部が開口した有底中空状のキャップ本体102Xを有し、そのキャップ本体102Xの中空部104Xにヘッド32Xの先端部を収容して、ヘッド32Xのノズル面38Xの全体を覆う。
中空部104Xの開口部の形状は、ヘッド32Xの先端部の外周形状に対応しており、ヘッド32Xの先端部をほぼ隙間なく収容できるように形成される。したがって、先端部が矩形状のヘッド32Xの場合、中空部104Xの開口部も矩形状に形成される。これにより、ヘッド32Xのノズル面38Xをキャップ100Xで覆った際、ノズル面38Xをほぼ密閉することができる。
キャップ本体102Xの中空部104Xには保湿液Lが貯留される。中空部104Xは、この保湿液Lによって湿度が一定以上に保たれる。これにより、ノズルNからの溶媒の蒸発を更に効果的に防止することができる。
また、キャップ本体102Xの中空部104Xには、ノズル面38Xの隙間39Xを閉塞するための隙間閉塞部材106Xが備えられる。隙間閉塞部材106Xは、ヘッド32Xのノズル面38Xに生じている各ヘッドモジュール32x間の隙間39Xに対応して配置され、ヘッド32Xをキャッピングしたときに隙間39Xを個別に閉塞する。これにより、中空部104Xに貯留された保湿液Lが隙間39Xに入り込むのが防止される。また、パージした際に、インクが隙間39Xに入り込むのが防止される。
なお、このキャップ100Xの構成については、後に更に詳述する。
保湿液供給装置56Xは、キャップ本体102Xの中空部104Xに保湿液Lを供給する。保湿液供給装置56Xは、保湿液Lを貯留する保湿液タンク56XAと、保湿液タンク56XAとキャップ本体102Xとを接続する保湿液供給配管56XBと、保湿液供給バルブ56XCと、保湿液供給ポンプ56XDとを備えて構成される。
保湿液タンク56XAには、保湿液Lが貯留される。保湿液Lには、たとえば、純水が用いられる。
保湿液供給配管56XBは、保湿液タンク56XAとキャップ本体102Xとを接続する。キャップ本体102Xには、この保湿液供給配管56XBが接続される保湿液供給口108Xが備えられる。保湿液供給口108Xは、中空部104Xと連通されており、この保湿液供給口108Xから中空部104Xに保湿液が供給される。
保湿液供給バルブ56XCは、保湿液供給配管56XBの管路を開閉する。保湿液供給バルブ56XCは、保湿液供給配管56XBの管路の途中に配設される。
保湿液供給ポンプ56XDは、保湿液供給配管56XBを介して保湿液タンク56XAに貯留された保湿液Lをキャップ100Xに送液する。保湿液供給ポンプ56XDは、保湿液供給配管56XBの管路の途中に配設される。
以上のように構成される保湿液供給装置56Xは、保湿液供給バルブ56XCを開き、保湿液供給ポンプ56XDを駆動することにより、保湿液タンク56XAに貯留された保湿液Lをキャップ本体102Xの中空部104Xに供給することができる。
廃液装置58Xは、キャップ本体102Xの中空部104Xに貯留された保湿液等(保湿液Lやパージしたインク等)の廃液をキャップ外に排出する。廃液装置58Xは、廃液を貯留する廃液タンク58XAと、廃液タンク58XAとキャップ本体102Xとを接続する廃液配管58XBと、廃液バルブ58XCと、廃液ポンプ58XDとを備えて構成される。
廃液タンク58XAには、キャップ100Xから排出された廃液を貯留する。
廃液配管58XBは、廃液タンク58XAとキャップ本体102Xとを接続する。キャップ本体102Xには、この廃液配管58XBが接続される廃液口110Xが備えられる。廃液口110Xは、中空部104Xと連通されており、この廃液口110Xから中空部104X内の保湿液等が排出される。
廃液バルブ58XCは、廃液配管58XBの管路を開閉する。廃液バルブ58XCは、廃液配管58XBの管路の途中に配設される。
廃液ポンプ58XDは、廃液配管58XBを介してキャップ100X内に貯留された保湿液等を廃液タンク58XAに送液する。廃液ポンプ58XDは、廃液配管58XBの管路の途中に配設される。
以上のように構成される廃液装置58Xは、廃液バルブ58XCを開き、廃液ポンプ58XDを駆動することにより、キャップ本体102Xの中空部104Xに貯留された保湿液等の廃液を廃液タンク58XAに廃棄することができる。
メンテナンス部50は以上のように構成される。
上記のように、メンテナンス部50では、ヘッド32Xの保管、回復処理等が行われる。
ヘッド32Xの保管は、次のように行われる。
まず、ヘッドユニット30をメンテナンス位置に移動させる。これにより、ヘッド32Xがキャップ100Xの上方に配置される。
次に、ヘッドユニット30に備えられた昇降装置(不図示)によってヘッド32Xをキャップ100Xに向けて移動させ(下降させる。)、所定のキャップ位置に位置させる。ヘッド32Xは、キャップ位置に位置することにより、その先端部がキャップ本体102Xに備えられた中空部104Xに収容される。これにより、ヘッド32Xのノズル面38Xがキャップ100Xで覆われ、ヘッド32Xがキャッピングされる。
また、ヘッド32Xがキャップ位置に位置することにより、ノズル面38Xに生じている隙間39Xが中空部104X内に配置された各隙間閉塞部材106Xによって閉塞される。これにより、キャップ内の保湿液等が隙間39Xに入り込むのが防止される。
保管を終了する場合は、昇降装置(不図示)によってヘッド32Xをキャップ100Xから退避させ(上昇させる。)、所定の搬送位置に位置させる。これにより、ヘッド32Xがキャップ100Xから外される。
この後、ヘッドユニット30を画像記録位置に移動させる。なお、この移動時に同時にノズル面38Xのクリーニングが行われる。
パージ等の回復処理は、ヘッド32Xをキャッピングした状態で行われる。すなわち、たとえば、パージする場合は、ヘッド32Xのノズル面38Xをキャップ100Xで覆った状態でヘッド内を加圧し、ノズルNからインクを排出させる。同様に予備吐出する場合は、ヘッド32Xのノズル面38Xをキャップ100Xで覆った状態でノズルNからインクを吐出させる。これにより、パージ等されたインクをキャップ100Xで回収することができる。また、上記のように、ヘッド32Xは、キャップ100Xでキャッピングすることにより、同時に隙間39Xが隙間閉塞部材106Xによって閉塞されるので、パージ等したインクが隙間39Xに入り込むこともない。
本実施の形態のインクジェット記録装置10は以上のように構成される。
[画像記録時の動作]
ここで、画像記録時の動作について簡単に説明する。
画像の記録を行う場合は、ヘッドユニット30を画像記録位置に移動させる。
ヘッドユニット30が画像記録位置に位置すると、各ヘッド32C、32M、32Y、32Kが、用紙搬送装置20の上方に配置される。これにより、用紙搬送装置20によって搬送される用紙Pに対して、画像を記録することが可能になる。
用紙Pは、図示しない給紙装置によって、1枚ずつ用紙搬送装置20に給紙される。給紙された用紙Pは、走行する搬送ベルト22の表面に吸着保持されて、水平に搬送される。
なお、用紙搬送装置20に給紙される用紙Pには、必要に応じて前処理(インクを凝集させる機能を有する処理液の塗布等)が施される。
用紙搬送装置20によって搬送された用紙Pは、ヘッドユニット30の下を通過する際、ヘッドユニット30に備えられたC、M、Y、Kの各ヘッド32C、32M、32Y、32Kからインク滴が吐出される。これにより、用紙Pに画像が記録される。
この後、用紙Pは、必要に応じて後処理装置(たとえば、定着装置など)に移送され、所要の後処理が施されて、回収装置に回収される。
[キャップの詳細構造]
〈構成〉
上記のように、本実施の形態のキャップ100Xには、キャッピング時にノズル面38Xの隙間39Xを閉塞するための隙間閉塞部材106Xが備えられる。以下、この隙間閉塞部材106Xを備えたキャップ100Xの構成について説明する。
図8はキャップの平面図、図9はキャップの正面断面図、図10はキャップの側面断面図である。また、図11は図8の一部を拡大した拡大図、図12は図11の12−12断面図である。
キャップ100Xは、上部が開口した有底中空状のキャップ本体102Xを備える。
キャップ本体102Xの中空部104Xは、ヘッド32Xの先端部を収容可能に形成される。特に、開口部は、ヘッド32Xの先端部をほぼ隙間なく収容できるように、ヘッド32Xの先端部の外周形状に対応して形成される。本実施の形態のヘッド32Xは、先端部の外形が矩形状に形成されているので、中空部104Xの開口部も矩形状に形成される。
中空部104Xには、保湿液Lが貯留される。このため、キャップ本体102Xには、中空部104Xに保湿液Lを供給するための保湿液供給口108Xが備えられる。また、中空部104Xに貯留された保湿液等を排出するための廃液口110Xが備えられる。本実施の形態のキャップ100Xでは、保湿液供給口108Xと廃液口110Xとが中空部104Xの底面部に備えられている。
また、キャップ本体102Xには、ノズル面38Xの隙間39Xを閉塞するための隙間閉塞部材106Xが備えられる。隙間閉塞部材106Xは、ヘッド32Xをキャッピングした際、ノズル面38Xの隙間39Xを閉塞する。
隙間閉塞部材106Xは、矩形の平板状に形成され、その先端部をノズル面38Xに当接させて、ノズル面38Xの隙間39Xを閉塞する。このため、隙間閉塞部材106Xの先端の端面は、平坦に形成され、ノズル面38Xと平行に配置される。また、図13に示すように、隙間閉塞部材106Xの先端部の端面の幅Hは、隙間39Xを覆うことができるように、隙間39Xの幅hよりも広く形成される。
なお、このように隙間閉塞部材106Xは、先端部をノズル面38Xに当接させて、隙間39Xを閉塞するため、ゴムやスポンジ等の弾性変形可能な素材(弾性体)で形成することが好ましい。これにより、ノズル面38Xが傷付くのを防止できる。なお、先端部だけを弾性変形可能な素材で形成しても、同様の効果を得ることができる。
また、隙間閉塞部材106Xは、ノズル面38Xの隙間39Xを個別に閉塞する。このため、隙間閉塞部材106Xは、ノズル面38Xの隙間39Xに対応して配置される。
ここで、ノズル面38Xの隙間39Xは、ヘッド32Xを構成するヘッドモジュール間に生じる。各ヘッドモジュール32xは同じ構成であるため、隙間39Xはヘッド32Xの長手方向に沿って一定の間隔で配置される。したがって、隙間閉塞部材106Xもキャップ本体102Xの長手方向に沿って一定の間隔で配置される。
また、本実施の形態のヘッド32Xでは、各ヘッドモジュール32xのノズル面38Xが平行四辺形状であるため、隙間39Xがヘッド32Xの長手方向に対して傾斜して配置される。このため、隙間閉塞部材106Xも隙間39Xの傾斜方向に合わせて傾斜して配置される(図11参照)。
また、各隙間閉塞部材106Xは、中空部104Xの底面から一定の高さの位置に配置される。したがって、中空部104Xは、隙間閉塞部材106Xで仕切られることなく、底部で互いに連通される。これにより、1つの保湿液供給口108Xから供給される保湿液Lを中空部104Xの全域に貯留することができる。また、中空部104X内の保湿液等を1つの廃液口110Xからすべて排出することができる。
〈作用〉
ヘッド32Xは、キャッピングすることにより、ノズルNからの溶媒の蒸発が防止され、また、ノズル面38Xへの異物の付着が防止される。また、パージ等のヘッド32Xの回復処理は、ヘッド32Xをキャッピングして行われる。
ヘッド32Xをキャッピングする場合は、ヘッドユニット30をメンテナンス位置に移動させる。ヘッドユニット30がメンテナンス位置に移動すると、ヘッド32Xがキャップ100Xの上方に配置される。この状態でヘッドユニット30に備えられた昇降装置(不図示)を駆動し、ヘッド32Xをキャップ100Xに向けて移動(下降させる。)させる。そして、所定のキャップ位置で停止させる。
ヘッド32Xがキャップ位置に位置すると、ヘッド32Xの先端部がキャップ本体102Xの中空部104Xに収容される。これにより、ヘッド32Xのノズル面38Xがキャップ100Xで覆われ、ヘッド32Xがキャッピングされる。
また、ヘッド32Xがキャップ位置に位置することにより、ノズル面38Xに隙間閉塞部材106Xの先端面が当接される。隙間閉塞部材106Xは、ノズル面38Xの隙間39Xに合わせて配置されているので、隙間閉塞部材106Xの先端面がノズル面38Xに当接されることにより、ノズル面38Xの隙間39Xが閉塞される。これにより、キャップ内の保湿液L等が隙間39Xに入り込むのが防止される。
このように、本実施の形態のインクジェット記録装置10では、キャップ100Xに隙間閉塞部材106Xが備えられ、キャッピング時にノズル面38Xの隙間39Xが隙間閉塞部材106Xによって閉塞される。これにより、キャッピング中に保湿液L等が隙間39Xに入り込むのを防止することができる。
また、パージ等の回復処理は、ヘッド32Xをキャッピングして行われるが、キャッピング中は、ノズル面38Xの隙間39Xが隙間閉塞部材106Xによって閉塞されるため、パージ等したインクが隙間39Xに入り込むのも防止することができる。
[隙間閉塞部材の変形例]
上記実施の形態では、平板状に形成された隙間閉塞部材106Xの先端面をノズル面38Xに当接させて、ノズル面38Xの隙間39Xを閉塞する構成とされているが、隙間閉塞部材の形態は、これに限定されるものではない。以下、隙間閉塞部材の他の形態について説明する。
〈変形例1〉
図14は、隙間閉塞部材の他の形態(変形例1)の要部の構成を示す正面断面図である。
同図に示すように、本実施の形態の隙間閉塞部材120Xも全体が板状に形成され、先端部をノズル面38Xに当接させて、ノズル面38Xの隙間39Xを閉塞する点で上記実施の形態の隙間閉塞部材106Xと共通する。
一方、本実施の形態の隙間閉塞部材120Xは、先端にT字状の拡大部122Xを有する点で上述した実施の形態の隙間閉塞部材106Xと相違している。
拡大部122Xは、板状の隙間閉塞部材120Xの先端部にT字状に形成され、その端面(上面:ノズル面38Xと対向する面であり、ノズル面38Xに当接される面)は、ノズル面38Xと平行に形成される。また、その端面の幅H1は、ノズル面38Xの隙間39Xの幅hよりも十分大きく形成される。
本実施の形態の隙間閉塞部材120Xによれば、先端部に拡大部122Xを有することにより、隙間閉塞部材120Xの配置位置が隙間39Xの位置から多少ズレていた場合であっても、隙間39Xを閉塞することができる。すなわち、位置ズレに寛容な構成とすることができる。これにより、キャップ100Xの製造を容易にすることができる。
なお、本実施の形態の隙間閉塞部材120Xもゴムやスポンジ等の弾性変形可能な素材(弾性体)で形成することが好ましい。これにより、ノズル面38Xが傷付くのを防止できる。なお、拡大部122Xだけを弾性変形可能な素材で形成しても、同様の効果を得ることができる。
〈変形例2〉
図15は、隙間閉塞部材の他の形態(変形例2)の要部の構成を示す正面断面図である。
同図に示すように、本実施の形態の隙間閉塞部材130Xも全体が板状に形成され、先端部をノズル面38Xに当接させて、ノズル面38Xの隙間39Xを閉塞する点で上記実施の形態の隙間閉塞部材106Xと共通する。また、本実施の形態の隙間閉塞部材130Xも先端にT字状の拡大部132Xを有する点で上記変形例1の隙間閉塞部材120Xと共通する。
一方、本実施の形態の隙間閉塞部材130Xは、拡大部132Xの端面(上面:ノズル面38Xと対向する面であり、ノズル面38Xに当接される面)が、円弧状に形成される点で上記変形例1の隙間閉塞部材120Xと相違している。
このようにノズル面38Xへの当接面が円弧状に形成されることにより、ノズル面38Xに対する当接力をソフトにすることができ、ノズル面38Xが傷付くのを効果的に防止することができる。
また、このようにノズル面38Xへの当接面が円弧状に形成されることにより、隙間39Xへの密着性を高めることができ、隙間39Xの封止をより確実なものにすることができる。
なお、本実施の形態の隙間閉塞部材130Xもゴムやスポンジ等の弾性変形可能な素材(弾性体)で形成することが好ましい。これにより、ノズル面38Xが傷付くのを防止できる。なお、拡大部132Xだけを弾性変形可能な素材で形成しても、同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態では、隙間閉塞部材130Xの先端部に拡大部132Xを設け、その拡大部132Xの端面を円弧状にしているが、拡大部を設けずに端面(ノズル面38Xに当接する面)を円弧状に形成するようにしてもよい。
〈変形例3〉
図16は、隙間閉塞部材の他の形態(変形例3)の要部の構成を示す正面断面図である。
同図に示すように、本実施の形態の隙間閉塞部材140Xも全体が板状に形成され、先端部をノズル面38Xに当接させて、ノズル面38Xの隙間39Xを閉塞する点で上記実施の形態の隙間閉塞部材106Xと共通する。また、本実施の形態の隙間閉塞部材140Xも先端にT字状の拡大部142Xを有する点で上記変形例1の隙間閉塞部材120Xと共通する。
一方、本実施の形態の隙間閉塞部材140Xは、拡大部142Xの端面(上面:ノズル面38Xと対向する面であり、ノズル面38Xに当接される面)に突起部144Xを有する点で上記変形例1の隙間閉塞部材120Xと相違している。
突起部144Xは、隙間閉塞部材140Xの端面の長手方向に沿って形成される(隙間39Xに沿って配置される。)。また、楔形状(断面三角形状)に形成される。
突起部144Xは、隙間閉塞部材140Xの先端部をノズル面38Xに当接させて、隙間39Xを閉塞する際、隙間39Xに入り込む。これにより、隙間39Xをより確実に封止することができる。
なお、本実施の形態の隙間閉塞部材140Xもゴムやスポンジ等の弾性変形可能な素材(弾性体)で形成することが好ましい。これにより、ノズル面38Xが傷付くのを防止できる。なお、突起部144Xを含む拡大部142Xだけを弾性変形可能な素材で形成しても、同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態では、突起部144Xの形状を楔形状としているが、突起部144Xの形状は、これに限定されるものではなく、この他、たとえば、断面半円形状等に形成してもよい。なお、隙間39Xへの挿入のしやすさを考慮すると、楔形状(先端に向かって厚さ(隙間の幅方向の厚さ)が薄くなる形状(断面三角形状を含む))であることが好ましい。
〈変形例4〉
図17は、隙間閉塞部材の他の形態(変形例4)の要部の構成を示す正面断面図である。
同図に示すように、本実施の形態の隙間閉塞部材150Xは、ノズル面38Xの隙間39Xに挿入されて、隙間39Xを閉塞する点で上記形態の隙間閉塞部材106X、120X、130X、140Xと相違している。
図17に示すように、本実施の形態の隙間閉塞部材150Xは、一定の厚さを有する平板状に形成され、その厚さH2は、ノズル面38Xの隙間39Xの幅hよりも薄く形成される。これにより、ノズル面38Xの隙間39Xに挿入することができる。
本実施の形態の隙間閉塞部材150Xによれば、キャッピング時、ヘッド32Xをキャップ位置に位置させると、ノズル面38Xの隙間39Xに隙間閉塞部材150Xが挿入される。これにより、隙間39Xが閉塞される。隙間39Xは、隙間閉塞部材150Xが挿入されて閉塞されるので、より確実に保湿液等の侵入を防止することができる。
なお、本実施の形態の隙間閉塞部材150Xもゴムやスポンジ等の弾性変形可能な素材(弾性体)で形成することが好ましい。これにより、ノズル面38Xに隙間閉塞部材150Xが接触した際、ノズル面38Xが傷付くのを防止できる。
なお、隙間閉塞部材150Xは、隙間39Xに挿入される部分だけ弾性変形可能な素材で形成してもよい。また、この隙間39Xに挿入される部分だけ隙間39Xの幅よりも薄く形成してもよい。
〈変形例5〉
図18は、隙間閉塞部材の他の形態(変形例5)の要部の構成を示す正面断面図である。
同図に示すように、本実施の形態の隙間閉塞部材160Xは、ノズル面38Xの隙間39Xに挿入されて、隙間39Xを閉塞する点で上記変形例4の隙間閉塞部材150Xと共通している。
本実施の形態の隙間閉塞部材160Xは、隙間39Xに挿入される先端部分が襞状(ジャバラなどの繰り返しの折り目形状)に形成される点で上記変形例4の隙間閉塞部材150Xと相違している。
図18に示すように、本実施の形態の隙間閉塞部材160Xは、一定の厚さを有する平板状に形成され、その先端部162Xが襞状に形成される(少なくとも隙間39Xに挿入される部分が襞状に形成される。)。
このように、先端部162Xが襞状に形成されることにより、先端部162Xを隙間39Xに挿入しやすくすることができる。また、隙間39Xに挿入された際、隙間39Xの両壁面に密着して、隙間39Xをより確実に封止することができる。
なお、本実施の形態の隙間閉塞部材160Xもゴムやスポンジ等の弾性変形可能な素材(弾性体)で形成することが好ましい(ある程度コシを有する弾性体で形成することがより好ましい。)。これにより、ノズル面38Xに隙間閉塞部材160Xが接触した際、ノズル面38Xが傷付くのを防止できる。
なお、隙間閉塞部材160Xは、隙間39Xに挿入される部分だけ弾性変形可能な素材で形成してもよい。
また、先端部162は、一定周期で屈曲して襞状に形成してもよいし、波状に湾曲させて襞状に形成してもよい。また、ランダムに屈曲させて襞状に形成してもよい。
〈変形例6〉
図19は、隙間閉塞部材の他の形態(変形例6)の要部の構成を示す正面断面図である。
同図に示すように、本実施の形態の隙間閉塞部材170Xは、ノズル面38Xの隙間39Xに挿入されて、隙間39Xを閉塞する点で上記変形例4の隙間閉塞部材150Xと共通している。
本実施の形態の隙間閉塞部材170Xは、隙間39Xに挿入される先端部分が楔状(先端に向かって厚さ(隙間の幅方向の厚さ)が薄くなる形状(断面三角形状を含む))に形成される点で上記変形例4の隙間閉塞部材150Xと相違している。
図19に示すように、本実施の形態の隙間閉塞部材170Xは、一定の厚さを有する平板状に形成され、その先端部172Xが楔状に形成される。
このように、先端部172Xが楔状に形成されることにより、先端部162Xを隙間39Xに挿入しやすくすることができる。また、隙間39Xに挿入された際、隙間39Xの両縁部に密着して、隙間39Xをより確実に封止することができる。
なお、本実施の形態の隙間閉塞部材170Xもゴムやスポンジ等の弾性変形可能な素材(弾性体)で形成することが好ましい(ある程度コシを有する弾性体で形成することがより好ましい。)。これにより、ノズル面38Xに隙間閉塞部材170Xが接触した際、ノズル面38Xが傷付くのを防止できる。
なお、隙間閉塞部材170Xは、隙間39Xに挿入される部分だけ弾性変形可能な素材で形成してもよい。
〈変形例7〉
図20は、隙間閉塞部材の他の形態(変形例7)の要部の構成を示す側面断面図である。
同図に示すように、本実施の形態の隙間閉塞部材180Xは、部分的に隙間39Xを閉塞する点で上記変形例1から6の隙間閉塞部材と相違している。
上記実施の形態のヘッド32Xのように、ノズル面38Xにノズル領域とノズル保護領域とが備えられ、ノズル領域にのみノズルNが配置され、かつ、ノズル領域にのみ撥液処理が施される場合、ノズル保護領域の隙間だけ閉塞するようにしてもよい。
図20に示すように、隙間閉塞部材180Xは一対の板状片で構成され、それぞれノズル保護領域の隙間を閉塞するように配置される。
なお、隙間39Xを閉塞する方法は、上記変形例1、2のように、先端面をノズル面38Xに当接させて閉塞する方法を採用してもよいし、また、上記変形例4から6のように、先端を隙間39Xに挿入して閉塞する方法を採用してもよい。
なお、本実施の形態のキャップ100Xでは、ノズル領域に相当する領域にのみ保湿液Lが貯留されるように、キャップ本体102Xが構成されている。これにより、保湿液Lの消費量を抑えることができる。
〈隙間閉塞部材の挿入方法〉
上記変形例4から6のように、隙間閉塞部材をノズル面38Xの隙間39Xに挿入して、隙間39Xを閉塞する場合、隙間閉塞部材の位置と隙間39Xの位置とが正確に合わされていないと、ヘッド32Xをキャッピングしても、隙間閉塞部材を隙間39Xに挿入できない可能性がある。
そこで、ノズル面38Xの隙間39Xに隙間閉塞部材を挿入して、隙間39Xを閉塞する場合は、キャッピング時に隙間閉塞部材に相対的な振動を与えることが好ましい。すなわち、ヘッド32Xかキャップ100Xの少なくとも一方を揺らして、隙間閉塞部材に相対的な振動を与えて、ヘッド32Xをキャッピングすることが好ましい。これにより、隙間閉塞部材をノズル面38Xの隙間39Xに入れやすくすることができる。
隙間閉塞部材に相対的な振動を与える方法としては、たとえば、キャップ本体102Xに振動を与える振動手段をキャップ100Xに備え、この振動手段でキャップ本体102Xを振動させて、隙間閉塞部材を間接的に振動させる方法や、各隙間閉塞部材を振動させる振動手段をキャップ本体102Xに設けて、各隙間閉塞部材を振動手段で直接振動させる方法などを採用することができる。同様に、ヘッド32Xに振動を与える振動手段をヘッド支持フレーム34に備え、この振動手段でヘッド32Xを振動させて、隙間閉塞部材を相対的な振動を与えるようにしてもよい。
また、上記実施の形態のように、ヘッド32Xが移動可能に設けられている場合は、ヘッド32Xを移動させる手段(上記実施の形態では、ヘッドユニット30の移動手段)を利用して、ヘッド32Xに振動を与えることもできる。すなわち、ヘッド32Xを移動させる手段を利用して、ヘッド32Xを微小範囲で往復移動させて、隙間閉塞部材を相対的な振動を与えるようにしてもよい。この場合、振動手段を別途用意する必要がないため、構成を簡素化することができる。
なお、振動を与える方向は、ヘッド32Xの長手方向である。
また、振動を与えるタイミングは、キャップ100Xでノズル面38Xを覆った後であってもよい。すなわち、ヘッド32Xをキャップ位置に移動させた後に振動を与えてもよい。
また、振動を与えながらキャッピングするようにしてもよい。すなわち、ヘッド32Xがキャップ位置に移動する過程で振動を与えるようにしてもよい。
≪第2の実施形態≫
図21は、インクジェット記録装置の第2の実施の形態の要部の構成を示す側面図である。
同図に示すように、本実施の形態のインクジェット記録装置は、用紙Pの搬送手段である用紙搬送装置200がドラム搬送機構で構成される。ドラム搬送機構では、ドラム202の周面に用紙Pを吸着保持し、ドラム202を回転させることにより、用紙Pを搬送する。
この場合、ヘッド32C、32M、32Y、32Kは、ドラム202の周囲に放射状に配置される。この結果、各ヘッド32C、32M、32Y、32Kは、ノズル面38C、38M、38Y、38Kが水平面に対して傾斜して配置される。
各ヘッド32C、32M、32Y、32Kのノズル面38C、38M、38Y、38Kが傾斜して配置される結果、図22に示すように、キャップ100C、100M、100Y、100Kもノズル面38C、38M、38Y、38Kに合わせて傾斜して設けられる。そして、このキャップ100C、100M、100Y、100Kに備えられる隙間閉塞部材106C、106M、106Y、106Kも傾斜しても設けられる。
このように、ノズル面38C、38M、38Y、38Kが水平面に対して傾斜して配置されていると、パージを行った際、ノズルNから排出されたインクがノズル面38C、38M、38Y、38Kに沿って流れ落ち、隙間39Xに入りやすくなる。
しかし、本実施の形態のインクジェット記録装置では、キャップ100C、100M、100Y、100Kに隙間閉塞部材106C、106M、106Y、106Kが備えられており、キャッピング時に隙間39Xが隙間閉塞部材106C、106M、106Y、106Kによって閉塞されるため、パージされたインクが隙間39Xに入り込むのを効果的に防止することができる。
≪その他の実施の形態≫
上記実施の形態では、パージする際、ヘッド内を加圧して、ノズルからインクを排出する構成としているが、キャップ内を吸引して、ノズルからインクを排出する構成としてもよい。なお、このようにキャップ内を吸引してパージする場合、キャップにはキャップ内(中空部内)を吸引するための吸引手段が別途備えられる。
上記実施の形態では、ノズル面をクリーニングする際、ウェブでノズル面を払拭して、ノズル面をクリーニングする構成としているが、ブレードでノズル面を払拭して、ノズル面をクリーニングする構成としてもよい。
また、ウェブでノズル面を払拭してクリーニングする場合は、ウェブを湿潤させるのではなく、ノズル面を湿潤させて払拭する構成としてもよい。ノズル面を湿潤させる方法としては、ノズル面に洗浄液を付与して湿潤させてもよいし、ノズルからインクを溢れださせて湿潤させてもよい。
上記実施の形態では、ヘッドをキャップの設置位置に移動させて、キャッピングする構成としているが、キャップ側を移動させて、キャッピングする構成としてもよい。この場合、キャップ側にキャップを移動させるための移動手段が別途備えられる。また、このようにキャップ側を移動させてキャッピングする場合において、隙間閉塞部材に振動を与える場合は、キャップの移動手段を利用して隙間閉塞部材に振動を与えることができる。すなわち、キャップの移動手段を利用して、キャップを微小範囲で往復移動させて、隙間閉塞部材に振動を与えることができる。