JP6037761B2 - アンテナ装置 - Google Patents
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Description
図6のアンテナ装置では、電波を放射する1次放射器101と、多数の反射素子が表面に並べられている反射板であるリフレクトアレー102とから構成されており、1次放射器101から放射された電波が、リフレクトアレー102における多数の反射素子に反射されてメインビームが形成される。
このとき、多数の反射素子の反射位相を適切に選定することで、所望方向にメインビームを形成することができる。図6の例では、φ=0°の方向にメインビームが形成されている。
図7のリフレクトアレー102では、誘電体基板103の上面に対して、導体からなる方形の反射素子104が等間隔に配置され、誘電体基板103の底面には、地板105が配置されている。
なお、反射素子104と地板105の距離は、通常、十分の一波長程度以下に選定され、反射素子104と地板105がマイクロストリップ共振器を形成して動作する。
図8において、横軸は、入射波の周波数で共振する辺長(以下、「共振長」と称する)で規格化された反射素子104の辺長であり、縦軸は、反射位相である。
図8に示すように、共振長付近で反射位相が急峻に変化し、辺長と共振長の差が大きくなると、反射位相は一定値に漸近する。
これにより、1次放射器101の位置が焦点となる。また、反射素子104の共振周波数と入射波の周波数との差が大きい場合、リフレクトアレー102は、導体板のように、反射位相が周波数に依存しない反射板として動作する。
このアンテナ装置では、各々の反射素子104の反射位相を調整することで、開口面で等位相となるように、上記の経路長差が補償されるが、このような補償は、厳密には単一周波数でしか実現することができない。このため、リフレクトアレー102を搭載しているアンテナ装置の動作周波数帯域は狭いと言える。
図9は以下の非特許文献1に開示されているセンターフィード反射鏡アンテナのレーダ断面積(RCS)パターンを示す説明図である。
図9において、横軸は、反射鏡アンテナのボアサイト(メインビーム方向)から測った角度であり、縦軸は、RCSである。
図9に示すように、メインビーム方向を除く|φ|<25°の範囲の反射は、主に反射鏡の鏡面反射が寄与している。これに比べて、メインビーム方向のRCSは非常に大きくなっている。
図10(a)に示すように、メインビーム方向(φ=0°方向)から入射された平面波は、反射鏡で反射され、反射鏡の焦点に配置された1次放射器に集束されて入射される。
このとき、1次放射器に入射された電波のおよそ半分は、その1次放射器の給電回路に吸収される。
しかし、残りのおよそ半分は、その1次放射器から再放射され、図10(b)に示すように、メインビーム方向に戻る。この原理によって、メインビーム方向のRCSが非常に高くなる。
更に、入射波の周波数が反射素子104の共振周波数から離れている場合には、リフレクトアレー102が単なる反射板として動作する。このため、リフレクトアレー102の形状が図7のような平面である場合には、リフレクトアレー102の法線と入射波の到来方向から定まる幾何光学的反射方向への反射波が非常に高くなる。
また、リフレクトアレー102の焦点に1次放射器101を配置することで、その1次放射器101に入射された電波が1次放射器101から再放射されて、メインビーム方向のRCSが非常に高くなってしまう課題があった。
なお、リフレクトアレー102の形状を平面形状とすれば、製作が容易になるが、リフレクトアレー102の法線と入射波の到来方向から定まる幾何光学的反射方向のRCSが非常に高くなってしまう課題があった。
また、この発明は、使用可能な周波数の帯域を広げることができるアンテナ装置を得ることを目的とする。
図1はこの発明の実施の形態1によるアンテナ装置を示す構成図である。
図1において、1次放射器1は電波を放射する電波放射源である。
リフレクトアレー2は1次放射器1から放射された電波を反射する反射素子が曲面に複数配置されている反射板である。
リフレクトアレー2は、図7のリフレクトアレー102と同様に、誘電体基板103の上面に対して、導体からなる方形の反射素子104が等間隔に配置され、誘電体基板103の底面には、地板105が配置されている。
多数の反射素子104の反射位相を適切に選定することで、所望方向にメインビームを形成することができる。図1の例では、φ=0°の方向にメインビームが形成されている。
即ち、反射素子104の動作周波数帯域(反射素子104の共振周波数付近の周波数帯)におけるリフレクトアレー2の焦点10の他に、反射素子104の動作周波数帯域以外の周波数帯域におけるリフレクトアレー2の焦点11が現れるように、リフレクトアレー2の曲面形状が定められている。図1の例では、1次放射器1がリフレクトアレー2の焦点10に配置されている。
図中、12が付されている実線は、反射素子104の動作周波数帯域における電波の伝搬経路であり、13が付されている破線は、反射素子104の動作周波数帯域以外の周波数帯域における電波の伝搬経路である。
ここでは、説明の便宜上、φ=0°の方向にメインビームが形成されるように、アンテナ装置が設計されることを前提として説明を行う。
これにより、1次放射器1から放射される使用周波数帯の電波の伝搬経路は、伝搬経路12になる。
そこで、この実施の形態1では、焦点10と別の位置に焦点11が生じるように、リフレクトアレー2の形状を湾曲させている。
湾曲しているリフレクトアレー2の形状は、通常の反射鏡アンテナと同様に、メインビーム方向と第2の焦点11の位置を与え、光路長一定の法則に従って定めればよい。
したがって、使用周波数帯域以外のすべての周波数において、メインビーム方向への反射波をほぼ皆無にすることが可能になる。
また、リフレクトアレー2の形状が曲面形状であるため、形状が平面形状である場合と比べて、法線方向のRCSを大幅に抑圧することが可能になる。
図2はこの発明の実施の形態2によるアンテナ装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
領域21は反射素子104の動作周波数帯域以外の周波数帯域における電波の幾何光学的反射領域であり、幾何光学的反射領域21はメインビーム方向、リフレクトアレー2の形状及び焦点11から定まる。
電波吸収体22は焦点11の付近に配置され、メインビーム方向から到来する使用周波数帯域以外の電波を吸収する部材である。
なお、電波吸収体22の配置位置は、メインビーム方向から到来する使用周波数帯域以外の電波を吸収することができれば、焦点11の位置と必ずしも一致している必要はなく、一部又は全部が幾何光学的反射領域21に含まれるように配置されていればよい。
そこで、この実施の形態2では、焦点11の付近に電波吸収体22を配置するようにしている。
焦点11の付近に電波吸収体22を配置することで、メインビーム方向から到来する使用周波数帯域以外の電波をすべて吸収することができるため、どの方向へも到来電波が反射しないようにすることが可能になる。
図3はこの発明の実施の形態3によるアンテナ装置を示す構成図であり、図において、図2と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
支持機構30は1次放射器1と電波吸収体22を支持する小型の機構である。
これにより、アンテナ装置全体の小型化と低コスト化を図ることが可能になる。
図4はこの発明の実施の形態4によるアンテナ装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
1次放射器40は反射素子104の動作周波数帯域以外の周波数帯域におけるリフレクトアレー2の焦点11に配置され、動作周波数帯域以外の周波数の電波を放射する電波放射源である。
図5はこの発明の実施の形態5によるアンテナ装置を示す構成図であり、図において、図4と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
支持機構50は1次放射器1と1次放射器40を支持する小型の機構である。
これにより、アンテナ装置全体の小型化と低コスト化を図ることが可能になる。
Claims (4)
- 電波を放射する1次放射器と、
上記1次放射器から放射された電波を反射する反射素子が曲面に複数配置されているリフレクトアレーとを備え、
上記反射素子の動作周波数帯域以外の周波数帯域における上記リフレクトアレーの焦点が、上記1次放射器の位置と異なる位置になるように、上記リフレクトアレーの曲面形状が定められ、
上記反射素子の動作周波数帯域以外の周波数帯域における上記リフレクトアレーの焦点、あるいは、上記反射素子の動作周波数帯域以外の周波数帯域における電波の幾何光学的反射領域内に電波吸収体が配置されていることを特徴とするアンテナ装置。 - 上記1次放射器と上記電波吸収体が同一の支持機構に支持されていることを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
- 電波を放射する1次放射器と、
上記1次放射器から放射された電波を反射する反射素子が曲面に複数配置されているリフレクトアレーとを備え、
上記反射素子の動作周波数帯域以外の周波数帯域における上記リフレクトアレーの焦点が、上記1次放射器の位置と異なる位置になるように、上記リフレクトアレーの曲面形状が定められ、
上記反射素子の動作周波数帯域以外の周波数帯域における上記リフレクトアレーの焦点に、上記1次放射器と別の1次放射器が配置されていることを特徴とするアンテナ装置。 - 上記2つの1次放射器が同一の支持機構に支持されていることを特徴とする請求項3記載のアンテナ装置。
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