JP6037675B2 - 高周波制御装置および粒子線治療装置 - Google Patents

高周波制御装置および粒子線治療装置 Download PDF

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本発明は、粒子線治療装置の線源であるシンクロトロンのような加速器用の高周波制御装置および粒子線治療装置に関するものである。
粒子線治療は、患部組織に粒子線を照射してダメージを与えることで治療を行うものであり、広義の放射線治療のひとつである。しかし、陽子線や重イオン線等の粒子線は、γ線、X線といった他の放射線と異なり、粒子線のエネルギーによって線量付与の深度範囲を調整することができ、患部の立体形状に応じた線量付与が可能となる。そのため、とくに、粒子線治療装置用の加速器には、正確なエネルギーや軌道で粒子線を供給することが求められている。
加速器は、周回軌道を形成するための偏向電磁石、高周波を使って粒子線を加速する加速空洞、および粒子線が通過するための通路となる真空ダクトから構成される。偏向電磁石の磁場は粒子線の加速(エネルギー増大)に伴い、定められたパターンに従って変化する。同時に粒子線の周回周波数も変化するため、安定に加速するためには上述した加速空洞に印加される高周波信号も定められたパターンによって周波数を制御する必要がある。
このような制御を単純化するため、例えば、計算機であらかじめ作成した高周波信号の周波数リファレンス信号を記憶しておき、運転中に順次読みだして制御するRF制御装置(例えば、特許文献1参照。)が提案されている。しかし、このような方式では、データ量が膨大となり、データ調整が容易でなくなるとともに、構成要素も多大となる。そこで制御に使用する波形データを加速器の運転パターンを平坦な安定領域と平坦な加速部分を持つ領域とに分け、領域ごとのデータを用いて制御するようにした高周波加速制御装置(例えば、特許文献2参照。)が提案されている。
特開2000−232000号公報(段落0031〜0050、図1) 特開2010−3538号公報(段落0018〜0024、図2〜図5)
しかしながら、上述したように、フラットな部分(特許文献2での平坦な安定領域に対応)と単純な勾配部分(同平坦な加速部分に対応)を単純に切り替えて制御した場合、周波数の変化率が急変する部分が生じ、突変と呼ばれる現象が発生して、加速器を適切に制御できない場合があることが分かった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、加速器の運転および運転調整時における運転パターンのパラメータ調整が容易であるとともに、加速器を適切に制御できる高周波制御装置、およびそれを用いて正確な治療が可能な粒子線治療装置を得ることである。
本発明の高周波制御装置は、加速器の加速空洞を制御するための高周波制御装置であって、前記加速空洞を駆動するための高周波信号のパターンデータを、前記加速器の加速サイクルにおける、フラットボトム期間、加速期間、フラットトップ期間、減速期間を含む複数の制御期間毎に、時間に対する一次関数を定義するデータで記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶させたパターンデータを読み込み、読み込んだパターンデータに基づいて、前記加速空洞を逐次制御するための制御データを生成する制御データ生成部と、前記制御データに基づいて、前記加速空洞を逐次制御する制御部と、を備え、前記制御データ生成部は、前記複数の制御期間に応じた制御データを、それぞれ時間に対する一次関数上のデータとして生成するとともに、生成した制御データのうち、データ変化量が0の前記フラットボトム期間または前記フラットトップ期間の制御期間の制御データを時間軸上でつないだ第1の直線と、前記データ変化量が正の前記加速期間または前記データ変化量が負の前記減速期間の制御期間の制御データを前記時間軸上でつないだ第2の直線と、をつなぐ所定の遷移期間の制御データを平滑化することを特徴とする。
本発明の高周波制御装置によれば、1次関数を定義する単純なデータを用いて逐次制御するための制御データを生成するとともに、所定期間の制御データを平滑化するようにしたので、加速器運転および運転調整時における運転パターンのパラメータ調整が容易であるとともに、加速器を適切に制御できる。さらに、本高周波制御装置を用いることによって、正確な照射が可能な粒子線治療装置を得ることができる。
本発明の実施の形態1にかかる高周波制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1にかかる高周波制御装置の制御における加速サイクルでの区分制御期間を説明するための図である。 本発明の実施の形態1にかかる高周波制御装置の制御におけるデータ構造を説明するための図である。 本発明の実施の形態1にかかる高周波制御装置の制御データを生成する際のカウント動作を説明するための図である。 本発明の実施の形態1にかかる高周波制御装置の制御データのスムージング処理動作を説明するための図である。 本発明の実施の形態2にかかる高周波制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態2にかかる高周波制御装置の制御におけるフィードバック補正を説明するための図である。 本発明の実施の形態3にかかる高周波制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態4にかかる高周波制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態5にかかる粒子線治療装置の構成を示す図である。
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1にかかる高周波制御装置の構成について説明する。図1〜図5は本発明の実施の形態1にかかる高周波制御装置について説明するためのもので、図1は高周波制御装置の構成を説明するための制御対象である加速器を含めた高周波制御装置のブロック図、図2は加速器の加速サイクルで、制御を行うためのデータの切替区分である区分制御期間を説明するための図、図3は制御データを生成するために記憶(読込)される運転パターンごとのデータ構造を説明するための図、図4は加速サイクルでの区分制御期間ごとの制御データを生成するためのタイミング制御部におけるカウント動作を説明するための図、図5は区分制御期間の内、スムージング対象となる期間における制御データのスムージング処理動作を説明するための図である。以下、詳細に説明する。
高周波制御装置3は、図1に示すように、シンクロトロンのような環状加速器(以下、単に加速器6と称する。)には、主構成要素である加速空洞62を制御するためのものである。加速器6は、周回軌道を形成するための偏向電磁石61、高周波を使って粒子線を加速する前述の加速空洞62、および粒子線が通過するための通路となる真空ダクト63が設けられている。これ以外の機器としては、粒子線を前もって加速する前段加速器66(後述)、加速された粒子線を真空ダクト63に入射する入射装置65、粒子線(ビーム)の位置等を計測するビームモニタ64、粒子線を加速器6からユーザ側に送り出す出射装置67などから構成される。そして、加速器6の偏向磁界の変化を示すフラットベース期間、加速期間、フラットトップ期間及び減速期間に対応する加速空洞62を駆動するための高周波信号の高周波信号制御データは、予め計算機19で作成されているとして説明する。
高周波制御装置3は、上述した高周波信号制御データを保存するメモリモジュール31と、基準クロック36と、D/Aコンバータに内蔵されたDDS50(ダイレクトデジタルシンセサイザ)と、振幅変調波生成器51と、振幅変調波生成器51とDDS50の出力信号を合成する乗算器52と、乗算器52からの出力信号のノイズを低減するローパスフィルタ53と、メモリモジュール31から読み出した高周波信号制御データからDDS50へ設定する周波数設定データと振幅変調波生成器51に設定する振幅設定データを演算生成する波形演算制御部33と、基準クロック36からのクロック信号により波形演算制御部33に加速空洞62を駆動するための高周波信号のための運転パターンの制御タイミングを与えるタイミング制御部32とを備えている。そして、イベントカウンタ42が設けられたタイミング制御部32と、データメモリ45が内蔵された波形演算制御部33とで、デジタル制御回路30を構成している。
つぎに、加速器6の運転に伴う高周波制御装置3の制御について説明する。なお、ここでは、一般的な制御部分から説明し、その後に本発明の実施の形態にかかる高周波制御装置3の特徴的な制御について説明する。
加速器6の偏向電磁石61の磁場は、後述するように、一定のパターンに従って変化する。このとき、同時に粒子線の周回周波数も変化するため、安定に加速するためには加速空洞2に印加される高周波信号も、図2の2段目に示すように、定められたパターンによって周波数を制御する必要がある。
この制御において、加速中に粒子線は、シンクロトロン振動と呼ばれる現象を起こすため、そのままでは粒子線に対して何らかの外乱があった場合にビームが不安定になる。この対策として図1に示すように、位相モニタ回路14により、検出された位相制御フィードバック信号S20と加速用の高周波信号の位相差に基づき高周波制御装置3にて周波数のフィードバック制御を行い、シンクロトロン振動を減衰する方策が通常とられている。
ここで、加速空洞62の周波数が偏向電磁石61の磁場で決まる最適周波数からずれた場合には、粒子線の位置が理想的な中心軌道からずれるため、ビームモニタ64、および位置モニタ回路15でこれを検出し、検出した位置制御フィードバック信号S21を用いて高周波制御装置3でフィードバック制御することも行われる。
また、加速空洞62に実際印加される高周波電圧を電圧モニタ回路13にて検出し、検出した電圧制御フィードバック信号S22に基づき高周波制御装置3にて高周波信号の振幅をフィードバック制御することも行われる。
これらの制御において、デジタル制御回路30は、メモリモジュール31からの高周波信号制御データ(パターンデータ)と前記フィードバック制御にてDDS50と振幅変調波生成器51へ入力する設定データを生成する。
また、高周波制御装置3の外部構成として、変調出力を増幅するパワーアンプ12、上述した計算機19の制御により、メモリモジュール31のデータ読み出しタイミングを制御する図示しないタイミング発生器等を備えることがある。
次に、加速器6の運転パターンについてさらに説明する。加速器6では、粒子線の加速に伴い、図2の上段に示すように、一般的にフラットボトムと称される一定値を保つ期間、一定勾配で加速する加速期間、一般的にフラットトップと称される一定値を保つ期間、および一定勾配で減速する減速期間からなる4つの期間を1サイクルとして、周期的な制御が繰り返される。
フラットボトム期間は、加速器6の最低エネルギーの状態である。フラットボトムでは前段加速器66(図10参照)から粒子線を入射し、加速器6内に蓄積する。次にOFF状態にあった高周波信号をONとし、電圧を増加させることにより粒子線が高周波信号の一定の位相にあつまるように捕獲を行う。
次に、加速期間では偏向電磁石61の磁場変動に基づいて高周波信号の周波数と電圧を制御して粒子線の加速を行う。なお、加速の開始部分と終了部分は区別してスムージングと呼ばれ、後述するように、特別なパターンが必要となる。
そして、粒子線が所定のエネルギーに達した時点で加速を終了し、磁場が変化しないフラットトップの状態に入る。この期間はフラットトップ期間と呼ばれ、粒子線を加速器6から出射するのに適した条件を作るため、高周波信号の振幅、周波数などの微調整を行う。
次に、加速器6の磁場を最低値まで下げるように減速を行う減速期間に入る。減速の開始部分と終了部分も区別してスムージングと呼ばれている。減速期間が終了すると、加速器6は、再びフラットボトム期間に入り、電圧を初期状態に戻す。上記の運転パターンの周期を加速サイクルと呼んでいる。
次に、本実施の形態にかかる加速器用高周波制御装置3でのデータ設定および動作について説明する。上述したように、加速器6の運転開始前には、予め計画された全ての加速空洞駆動用の高周波信号制御データが、計算機19によって設定されており、設定されたデータは、随時読込みできるよう、メモリモジュール31に保存されている。そして、このデータの設定方法と、その設定に従っての制御動作が本発明の実施の形態にかかる加速器用高周波制御装置3の特徴となる。
高周波信号制御データは、図2に示す加速空洞駆動の運転パターンの1周期分を示す加速サイクルを、上述したフラットボトム、加速、フラットトップ、減速、フラットボトムと各期間を接続するスムージング期間の計9に分割した区分制御期間T1〜T9毎に設定する。設定内容は、区分制御期間毎の、時間間隔、高周波信号の周波数設定データの初期値(図2の周波数制御の段の○印)、高周波信号の振幅設定データの初期値(図2の振幅制御の段の○印)、その期間における設定値の分解能に対応する区間分割数、および、設定値の修正(スムージング)の有無で構成される。なお、区間分割数とは、区分制御期間毎のDDS50用の周波数設定データと振幅変調波生成器51用の振幅設定データのデータ設定回数である。
上述したデータは、図3に示す様に、運転パターン毎にフォルダ構成を持つように、メモリモジュール31に保存されている。その構成はFIFO(先入れ先出し)となっており、運転パターンの1番目からN番目までを波形演算制御部33からの読み出し要求に従って順番にフォルダ情報を出力する。運転パターンのN番目とは加速器6の運転のための最終加速サイクルの設定データを意味する。
加速器6の制御は、計算機19からタイミング信号である加速サイクル開始信号S0が出力されることにより、波形演算制御部33がメモリモジュール31に保存された高周波信号制御データを読み込むことで開始される。そして、波形演算制御部33は、メモリモジュール31から読み込んだ高周波信号制御データに基づいてデータ演算し、DDS50と振幅変調波生成器51にデータ設定を行う。以下、さらに詳細に説明する。
計算機19は加速サイクルを開始するため、まずタイミング制御部32に最初のデータ設定トリガ信号S1aを出力する。タイミング制御部32は図2の下側の段に示したように、最初のデータ設定トリガ信号S1aのみ波形演算制御部33へそのまま信号出力し、2回目以降のデータ設定トリガ信号S1bは、各加速サイクルの最後の区分制御期間T9に同期して波形演算制御部33へ出力される。
波形演算制御部33は、データ設定トリガ信号S1a、S1bが入力される毎に加速サイクルにおける高周波信号制御データを順次メモリモジュール31から読み込む処理を行う。波形演算制御部33は読み込んだ高周波信号制御データから区分制御期間T1ないしT9毎の時間間隔データと設定分解数データをタイミング制御部32内のイベントカウンタ42に毎回プリセットする。
タイミング制御部32のイベントカウンタ42は、区分制御期間(T1ないしT9)毎のレジスタを持っている。そして、計算機19から加速サイクル開始信号S0が入力されると、カウントアップを開始し、基準クロック36のクロック信号を基準として、図4に示すように区分制御期間毎にプリセットされた時間間隔に到達するまでカウントを継続する。カウントがプリセット値に到達した時点でカウントオーバー信号S4を波形演算制御部33へ出力する。
また、タイミング制御部32は区分制御期間の区間分割数に合せて時間間隔の均等分割処理を行い、それぞれの分割された時間にカウント値が到達した時点で波形演算制御部33へイベントトリガ信号S3を出力する。例えば、図4において区分制御期間T2の時間間隔が150msで区間分割数が15の場合には、イベントトリガ信号S3は10ms間隔(150ms/15)で波形演算制御部33へ出力される。
次に、波形演算制御部33は、メモリモジュール31から高周波信号制御データを読み込んだ際に区分制御期間毎の高周波信号の周波数設定データの初期値、振幅設定データの初期値、周波数設定データと振幅設定データの区間分割数からイベントトリガ信号S3に同期して設定するDDS50用の周波数設定データと振幅変調波生成器51用の振幅設定データのデータ変化量を予め演算し、内蔵データメモリ45に区分制御期間毎の変化量を保存する。
区分制御期間毎のDDS50用の周波数設定データのデータ変化量は、当該区分制御期間での周波数設定データの初期値と、次の区分制御期間での周波数設定データの初期値、および当該区分制御期間での区分分割数から演算する。例えば、図4において、区分制御期間T2の変化量は、区分制御期間T2での周波数設定データの初期値10kHzと、区分制御期間T3での周波数設定データの初期値25kHzの差分15kHzを、区分分割数15で除した1kHzとなる。振幅変調波生成器51用の振幅設定データの変化量についても、同様に演算される。
波形演算制御部33はタイミング制御部32からイベントトリガ信号S3が入力される度に、DDS50用の周波数設定データと振幅変調波生成器51用の振幅設定データにデータ変化量を加算していく。このとき、区分制御期間が加速の場合は変化量は正となり、一定勾配の増加、減速の場合は負となり一定勾配の減少となる。そして、フラットボトムおよびフラットトップでは、変化量は0となり、一定値となる。そして、タイミング制御部32からカウントオーバー信号S4が入力されると内蔵データメモリ45の区分制御期間番号を切り替えて設定するデータ変化量も変更する。つまり、加速サイクルにおける4大工程であるフラットボトム(T1、T9)、加速(T3)、フラットトップ(T5)、減速(T7)では、工程(区分制御期間)毎の設定値を当該区間の設定値と次の区間の設定値、および区分分割数の3つのデータの組み合わせた値で設定でき、その値は直線上にのる。
一方、上記のように直線上の設定値で制御する工程間を直接接続して加速サイクルを形成した場合、接続部分において変化率がステップ状に急変し、突変が生じて設定通りに制御できない場合がある。そこで、本実施の形態にかかる高周波制御装置3では、4大工程間のスムージング期間と呼ばれる期間(区分制御期間T2、T4、T6、T8)については、4大工程と同様に、直線状の設定値を計算した上で、計算した設定値を修正する修正処理(スムージング処理)を行うようにした。修正値は、当該区分制御期間の暫定設定値と、前後の工程における設定値とを比較して設定される。
スムージング処理対象となる期間(T2、T4、T6、T8)においても、前述した区分制御期間毎に演算で得られる一定の変化量に応じた直線状の設定値を計算する。このとき、図3のデータ形式中の修正有無の項が、「有」と設定されていると、計算した設定値を暫定設定値とし、暫定設定値に対して修正値による修正を行う。修正値の設定方法およびスムージング処理について、区分制御期間T2を例に、図5を用いて説明する。
図5に示すように、フラットボトム(区分制御期間T1)で設定された一定値の設定値(L(T1):破線)と、スムージング対象の区分制御期間T2で設定された暫定設定値(L(T2):破線)との接続点1−2では、変化率が急変している。また、暫定設定値L(T2)と、加速(区分制御期間T3)で設定された一定勾配の設定値(L(T3):破線)との接続点2−3でも、変化率が急変している。そこで、各接続点において、変化率が急変しないよう、例えば、フラットボトムT1の設定値L(T1)、および加速T2の設定値L(T3)と接線を共有する曲線(実線)を描けるような設定分割数に応じた修正データを作成する。そして、計算した暫定設定値に作成した修正データを加算することで、区分制御期間T2の修正後の設定値S(T2)を得ることができる。これにより、工程間において変化率が急変することがなく、突変の発生を抑止することができる。
このような、区間分割を示す各イベントトリガ信号S3に対応した修正データは、予め計算機19で計算しておき、メモリー等に保存しておくように、あるいは、波形演算制御部33に設定するようにすれば、制御中に余分な演算をする必要がなくなる。また、修正データを適用するか否かは、上述したようにデータ中に設定していてもよいが、計算機19から修正データを使用するための信号を出すようにしてもよい。
波形演算制御部33はイベントトリガ信号S3に同期して修正データを順次DDS50用の周波数設定データと振幅変調波生成器51用の振幅設定データに加算することでスムージング処理を行う。スムージング対象期間の内、区分制御期間T2とT8においては暫定設定値のマイナス側に修正データを反映し、区分制御期間T4とT6においては暫定設定値のプラス側に修正データを反映することで、変化率の急変を抑えた設定値のカーブを得ることができる。なお、突変を抑制するためのスムージングとして、変化率を急変させないように接線を共有する曲線を得る例について説明したが、これに限ることはない。加速器6のパラメータ設定(運転調整)等において、突変を生じないような設定値が得られるのであれば、各イベントトリガ信号S3に対応した修正データは適宜調整(生成)すればよい。
なお、上述した例では、各区分制御期間の制御値は、3つの値で設定しているが、区間分割数はデータ設定の分解能を示すものであって、設定値自体は、当該区分制御期間の設定値と次の区間の設定値のみで決まる。つまり、各区分制御期間の高周波信号制御データとして、時間に対する一次関数を定義するための加速サイクル内の各区分制御期間の時間と初期値を保存する。それに加えて、スムージング処理の有無、スムージング対象となる4大工程をつなぐ遷移期間(T2、T4、T6、T8)での修正データさえ保持していればよい。これだけのデータにより、遷移期間をスムージング処理でき、加速や減速時の高周波信号パターンの突変対策や不要ノイズの軽減を図り、加速と減速時のビーム捕捉の安定性を高めることができる。
一方、従来のように、工程に関係なく、一定間隔でDDSと振幅変調波生成器に設定するデータを逐次演算する場合には、調整要素が多く、メモリモジュールに保存するデータ量も多い。即ち、加速器の立ち上げ調整をする時点では最適な運転方法やパラメータが事前にわかっておらず、実際にシステムを運転してみながらパラメータ調整を行う場合が多いため、加速器の各施工場所において最適な加速運転パターンのパラメータ調整の単純化が図れないという問題があった。そのため、加速器の運転中にリアルタイムで信号波形を変化させるなどの柔軟性が乏しく、粒子線の加速中にフィードバック情報を用いてリアルタイムに高周波出力信号波形を自動調整し加速器の安定化を図る機能が不足しているという問題点があった。
それに対して、例えば、4大工程ごとに生成した高周波信号パターンを保存しておくようにするだけでは、工程間の接続部分(スムージング期間)で、変化量の急変により、突変が生じる可能性があり、治療計画に基づく治療の前提となるエネルギーと軌道が正確な粒子線を出射することが困難となる。
しかしながら、本実施の形態にかかる高周波制御装置3では、加速器6の運転中の加速空洞駆動制御において高周波信号の周波数と振幅の設定パラメータを加速サイクルの区分制御期間T1ないしT9毎に演算して加速運転パターンを生成することができるため、計算機19からメモリモジュール31に入力する高周波信号制御データを単純化することが可能となる。また、運転試験時のパラメータ調整においても調整要素が少なく微調整ができるという柔軟な対応が可能となる。
なお、上記例では、遷移期間に対して、別途暫定設定値を設けて修正を行う例について説明したが、これに限ることはない。例えば、スムージング対象期間T2部分にフラットボトムT1の設定値L(T1)の直線と加速T3の設定値L(T3)の直線を延長させて暫定設定値を算出する。そして、設定値L(T1)の直線と加速T3の設定値L(T3)の直線の接続点を含む変化量が急変する部分をスムージングするように修正データを生成してもよい。
以上のように、本実施の形態1にかかる高周波制御装置3によれば、加速器6の加速空洞62を制御するための高周波制御装置3であって、加速空洞62を駆動するための高周波信号のパターンデータを、加速器6の加速サイクルにおける、フラットボトム期間T1,T9、加速期間T3、フラットトップ期間T5、減速期間T7を含む複数の制御期間(区分制御期間)毎に、時間に対する一次関数を定義するデータで記憶する記憶部として機能するメモリモジュール31と、記憶部(メモリモジュール31)に記憶させたパターンデータを読み込み、読み込んだパターンデータに基づいて、加速空洞62を逐次制御するための制御データを生成する制御データ生成部として機能する波形演算制御部33と、制御データに基づいて、加速空洞62を逐次制御する制御部として機能するデジタル制御回路30、DSS50、振幅変調波生成器51と、を備え、制御データ生成部(波形演算制御部33)は、複数の制御期間に応じた制御データを、それぞれ時間に対する一次関数上のデータとして生成するとともに、生成した制御データのうち、第1の制御期間の制御データを時間軸上でつないだ第1の直線と、第1の制御期間に続く第2の制御期間の制御データを時間軸上でつないだ第2の直線と、の交点を含む所定期間の制御データを平滑化するように構成したので、加速器6の運転および運転調整時における運転パターンのパラメータ調整が容易であるとともに、加速器6を適切に制御できる。
とくに、制御データ生成部(波形演算制御部33)は、平滑化した制御データを時間軸上でつないだ曲線が、第1の直線および第2の直線の少なくとも一方と接線を共有するように、平滑化を行うようにしたので、制御データがスムーズに変化し、突変の発生を抑えて、加速器6を適切に制御することができる。
さらに、制御データ生成部(波形演算制御部33)は、スムージング期間と呼ばれる所定期間(区分制御期間T2,T4,T6,T8)の制御データの時間当たりの設定回数が、他の期間(区分制御期間T1,T3,T5,T7,T9)の制御データの時間当たりの設定回数よりも多くなるように、制御データを生成するようにしたので、制御データの変化が一層スムーズになり、効果的に突変の発生を抑えて、加速器6を適切に制御することができる。
また、記憶部(メモリモジュール31)に記憶させる一次関数を定義するデータは、制御期間(区分制御期間)毎の高周波信号の周波数と振幅の少なくともいずれかの初期値と、当該制御期間の時間であるようにしたので、単純で直観的なイメージに沿って容易にパラメータ調整ができる。
また、制御部(デジタル制御回路30)は、加速空洞62に出力された高周波信号の位相(S20)、加速空洞62に印加された電圧(S22)、および加速器6内の粒子線の位置情報(S21)の少なくともいずれかのフィードバック信号を用いたフィードバック制御により、加速空洞62の制御を行うようにしたので、加速器6を適切に制御できる。
実施の形態2.
本実施の形態2では、実施の形態1で示した高周波制御装置に対し、フィードバック制御信号を補正する補正処理部を追加したものである。図6と図7は本発明の実施の形態2にかかる高周波制御装置について説明するためのもので、図6は高周波制御装置の構成を説明するためのブロック図、図7は補正部によるフィードバック補正を説明するための図である。なお、図6において、図1との共通部分である高周波制御装置の外側の部分については、記載を省略している。
図6に示すように、本実施の形態2にかかる高周波制御装置3では、波形演算制御部33とフィードバック制御用のモニタ回路13、14、15間に補正処理部34を設けた。そして、加速器6の運転中の粒子線加速状態を示すフィードバックモニタ信号である位相制御フィードバック信号S20、位置制御フィードバック信号S21、電圧制御フィードバック信号S22を補正処理部34を介して波形演算制御部33に入力されるようにした。
次に補正処理部34の動作について説明する。
補正処理部34は各フィードバックモニタ信号S21、S22、S23で得られたパラメータを基に波形演算制御部33が設定するDDS50用の周波数設定データと振幅変調波生成器51用の振幅設定データを補正する目的を持つ。補正処理部34は加速サイクルのフラットトップの期間、各フィードバックモニタ信号の信号品位を確保するため平滑化処理によるノイズ除去を行う機能を持つ。
平滑化処理にはN回のサンプリングから得られた測定値を積算平均する処理を用い、サンプリング数(N)は、計算機19から設定および変更が可能である。また、平滑化処理機能のオンオフは、波形演算制御部33が出力する補正ゲート信号S7により制御され、例えば、補正ゲート信号S7がアサートされている期間だけ平滑化処理機能をイネーブルにする。平滑化処理機能がオンの場合、補正処理部34は平滑化した各フィードバックモニタ信号から補正すべき対象が周波数であるのか振幅であるのか、あるいは両方であるのかの補正判定信号S6をタイミング制御部32から入力されるイベントトリガ信号S3に同期して波形演算制御部33へ通知する。
補正判定信号S6は4ビットの信号であり、2ビットは周波数用、2ビットは振幅用に分けられる。それぞれの2ビット値が00および10では補正なし、01では後述する下限しきい値に対応した補正が必要で、11では後述する上限しきい値に対応した補正が必要であることの意味を持つ。なお、位相制御フィードバック信号S20または位置制御フィードバック信号S21に関しては周波数補正に用い、電圧制御フィードバック信号S22に関しては振幅補正を用いる。
補正判定方法の具体例について図7を用いて説明する。図に示すように、フィードバック補正判定には位相制御フィードバック信号S20、位置制御フィードバック信号S21、電圧制御フィードバック信号S22の各フィードバックモニタ信号に対応した補正パラメータとして上限しきい値(図中上限値と表記)、下限しきい値(同下限値)およびこれらの判定基準となるフィードバック基準値(同FB基準値)を用いる。これらの補正パラメータは計算機19により、補正処理部34に予め設定しておき変更することも可能である。
補正処理部34は平滑化した位相制御フィードバック信号S20、位置制御フィードバック信号S21、電圧制御フィードバック信号S22の各フィードバックモニタ信号のレベルとフィードバック基準値を比較し、その差分が上限しきい値または下限しきい値を超えないか監視する。しきい値の範囲を超えた場合は直ちに波形演算制御部33へ補正判定信号S6で通知する。なお、補正処理部34は計算機19から起動と停止の設定が可能である。
次に、波形演算制御部33は補正判定信号S6の4ビットの値から、補正対象が周波数か振幅かを知ることができる。そして該当する補正対象を補正トリガ信号S9のタイミングでDDS50用の周波数設定データと振幅変調波生成器51用の振幅設定データにフィードバック補正値を加算して補正処理を行う。フィードバック補正値は加速器6の運転開始前に計算機19より予め周波数と振幅の変化量として設定される。
図7では、上限しきい値対応分のフィードバック補正値を補正A、下限しきい値対応分のフィードバック補正値を補正Bとした場合である。図において、フィードバックモニタ信号(図中FB値と表記)のレベルが、点PAにおいてフィードバック上限しきい値を超えたため、DDS50用の周波数設定データあるいは振幅変調波生成器51用の振幅設定データに補正Aを加えてフィードバックモニタ信号のレベルをフィードバック基準値に近付ける例を示している。また点PBにおいて、フィードバックモニタ信号のレベルがフィードバック下限しきい値を超えたためDDS50用の周波数設定データあるいは振幅変調波生成器51用の振幅設定データに補正Bを加えてフィードバックモニタ信号のレベルをフィードバック基準値に近付ける例を示している。
こうして、加速器6の運転中の粒子線加速状態を監視し、しきい値を超えると直ちに補正処理部34から波形演算制御部33へ情報を与えて、各フィードバックモニタ信号がフィードバック基準値に近づくよう引き込むトラッキング制御を行うことで、安定した加速サイクルのフラットトップを得ることができる。これにより、例えば、図2で示した加速サイクルの区分制御期間T5であるフラットトップの期間において、加速器6の運転中の加速空洞駆動制御の調整をリアルタイムに行い、粒子線加速の安定化を図ることができる。また、各フィードバックモニタ信号の外乱ノイズの影響を低減することができる。また補正処理部34の平滑化平均回数、フィードバック補正判定用パラメータ、フィードバック補正値の各パラメータを計算機19で調整設定できることで、シンクロトロンの試験運転時に柔軟に対応ができ最適なパラメータ調整ができる効果がある。
以上のように、本実施の形態2にかかる高周波制御装置3によれば、制御部(デジタル制御回路30)は、フラットトップ期間T5において、フィードバック信号が予め定められている範囲を超えると、当該フィードバック信号を範囲内に入るように補正する補正部(補正処理部34)を設けるようにしたので、安定した加速サイクルのフラットトップを得ることができる。
実施の形態3.
本実施の形態3では、実施の形態1と実施の形態2で示したデジタルダイレクトシンセサイザの代わりに、D/Aコンバータ内蔵のマルチ出力DDSとマルチプレクサを備えるようにしたものである。その他の構成については、上記実施の形態1や2と同様であるので説明を省略する。
図8は、本発明の実施の形態3にかかる高周波制御装置の構成を説明するためのブロック図であり、基本的には実施の形態2の説明で用いた図6に対応するものである。図に示すように、本実施の形態3においても、実施の形態1あるいは実施の形態2で記載したデジタル制御回路30の機能を有する。そして、制御のための信号を出力する部分において、DDS50の代わりに、D/Aコンバータ内蔵のマルチ出力DDS54とマルチプレクサ55を具備するようにした。波形演算制御部33によりマルチプレクサ55の入力ポートを制御することで3チャンネルのマルチ出力DDS54の出力信号を切り替える構成である。
次に実施の形態3にかかる高周波制御装置の動作について説明する。
実施の形態2での周波数補正では、フィードバックモニタ信号(S20、S21、S22)のレベルとフィードバック基準値との比較結果により、DDS50用の周波数設定データにフィードバック補正値を加算する処理を行った例を示した。本実施の形態3ではフィードバック補正値の加算に代えて、マルチ出力DDS54の信号出力を直接変更するようにした。
マルチ出力DDS54は、周波数設定値としてメモリモジュール31から波形演算制御部33が読み出した高周波信号制御データによって与えられる周波数設定値とそれを基準値として高めの周波数と低めの周波数の設定値が設定される。なお、高めの周波数と低めの周波数の設定値は基準値からの差分パラメータとして加速器6の運転開始前に計算機19より予め波形演算制御部33に設定される。
波形演算制御部33は、補正判定信号S6の4ビットの値から周波数に関する2ビットの状態により、補正トリガ信号S9のタイミングでマルチプレクサ55の入力ポートを周波数選択信号S8により切り替える。補正判定信号S6の2ビットが00または10ならば基準値設定を選択、01ならば高めの周波数設定を選択、11ならば低めの周波数設定値を選択する。
こうして、加速器6の運転中の粒子線加速状態を監視し、しきい値を超えると直ちに補正処理部34から波形演算制御部33へ情報を与える。これにより、位相制御フィードバック信号S20と位置制御フィードバック信号S21の各フィードバックモニタ信号がフィードバック基準値に近づくよう引き込むトラッキング制御を行い、安定した加速サイクルのフラットトップを得ることができる。また高めの周波数と低めの周波数の設定値は計算機19で調整設定できることで、加速器6の試験運転時に柔軟に対応ができ最適なパラメータ調整ができる効果がある。
なお、周波数選択信号S8を制御してマルチプレクサ55の入力ポートを任意に切り替えることで乗算器52に入力する信号を周波数変調することも可能である。
以上のように、本実施の形態3にかかる高周波制御装置3によれば、制御部(51〜55部分)は、フラットトップ期間T5において、フィードバック信号が予め定められている範囲を超えると、当該フィードバック信号を範囲内に入るように補正する補正部として機能するマルチ出力DDS54とマルチプレクサ55を設けるようにしたので、安定した加速サイクルのフラットトップを得ることができる。
実施の形態4.
本実施の形態4では、上記実施の形態3で示した高周波制御装置のマルチ出力DDS部分の構成を変更したものである。図9は、本発明の実施の形態4にかかる高周波制御装置の構成を説明するためのブロック図である。
図に示すように、本実施の形態4にかかる高周波制御装置3では、マルチ出力DDS54の代わりに、DDS50とD/Aコンバータ57と電圧可変移相器56と加算器58とを備えるようにしたものである。別の言い方をすれば、上記各実施の形態1ないし3に記載のデジタル制御回路30の機能を有するとともに、DDS50とD/Aコンバータ57と電圧可変移相器56と加算器58およびマルチプレクサ55を具備した構成である。
次に実施の形態4にかかる高周波制御装置の動作について説明する。
実施の形態3ではマルチ出力DDS54の信号出力を異なる周波数設定にしてマルチプレクサ55で出力周波数の切り替えを行った例を示した。本実施の形態4では、メモリモジュール31から波形演算制御部33が読み出した高周波信号制御データによって与えられるDDS50の出力周波数設定を基準として高周波信号を電圧可変移相器56に入力する。そして、波形演算制御部33によるD/Aコンバータ57の制御から得られる位相制御電圧レベルに比例して電圧可変移相器56の出力移相量を設定することにより、位相を任意に調整する機能を有するようにした。また、DDS50の出力信号と電圧可変移相器56の出力信号を加算器58で合成し、両者の中間となる位相を作る機能も有する。
電圧可変移相器56の出力移相量は、事前評価調整に基づき最適な値を決めておき、加速器6の運転開始前に計算機19より予め波形演算制御部33に設定される。
そして、波形演算制御部33は補正判定信号S6の4ビットの値から周波数に関する2ビットの状態により補正トリガ信号S9のタイミングでマルチプレクサ55の入力ポートを周波数選択信号S8により切り替える。補正判定信号S6の2ビットが00または10ならばDDS50の出力信号を選択、01ならば電圧可変移相器56の出力信号を選択、11ならばDDS50と電圧可変移相器56の合成出力信号を選択する。
こうして、加速器6の運転中の粒子線加速状態を監視し、しきい値を超えると直ちに補正処理部34から波形演算制御部33へ情報を与える。これにより、位相制御フィードバック信号S20と位置制御フィードバック信号S21の各フィードバックモニタ信号がフィードバック基準値に近づくよう引き込むトラッキング制御を行い、安定した加速サイクルのフラットトップを得ることができる。また高めの周波数と低めの周波数の設定値は計算機19で調整設定できることで、加速器6の試験運転時に柔軟に対応ができ最適なパラメータ調整ができる効果がある。
なお、周波数選択信号S8を制御してマルチプレクサ55の入力ポートを任意に切り替えることで乗算器52に入力する信号を位相変調することも可能である。
尚、上記実施の形態1ないし実施の形態4に係る高周波制御装置3は、その構成の少なくとも一部をプログラマブル半導体デバイスの一種であるFPGA(Field-Programmable Gate Array)を用いて構成することもできる。また、上記各実施の形態にかかる高周波制御装置9は、適宜その構成を増減したり組み合わせを変更することができる。
以上のように、本実施の形態4にかかる高周波制御装置3によれば、制御部(50、52、53、55〜58部分)は、フラットトップ期間T5において、フィードバック信号が予め定められている範囲を超えると、当該フィードバック信号を範囲内に入るように補正する補正部として機能するDDS50、電圧可変位相器56、マルチプレクサ55、D/Aコンバータ57等を設けるようにしたので、安定した加速サイクルのフラットトップを得ることができる。
実施の形態5.
本実施の形態5にかかる粒子線治療装置は、加速器の加速空洞の制御に、上記各実施の形態にかかる高周波制御装置を用いたものである。図10は本実施の形態5にかかる粒子線治療装置1全体の構成を示す図である。なお、実際の粒子線治療装置では、患者に粒子線を照射する照射装置を複数備えていることが一般的であるが、簡略化のため、ひとつの照射装置のみを表示している。
粒子線治療装置1は、図10に示すように、粒子線の供給源として、シンクロトロンである加速器6と、患者Kに対して粒子線を最適な形態(照射野)で照射するための照射装置8と、加速器6と照射装置8とをつなぎ、加速器6から粒子線を照射装置8に輸送する輸送経路7と、加速空洞62の制御を行う高周波制御装置3を含む上述した各系統を連携して制御する図示しない制御装置とを備えている。そして、本実施の形態5にかかる粒子線治療装置1に特徴的な構成は、加速器6に設けた加速空洞62の制御に、上記各実施の形態1〜4で説明した高周波制御装置3を備えるようにしたことである。
加速器6は、粒子線が周回する軌道経路となる真空ダクト、前段加速器66から供給された粒子線を軌道経路に導くための入射装置65、粒子線が周回軌道に沿って周回するように、粒子線の軌道を偏向させるための偏向電磁石61、粒子線を加速させる加速空洞62、輸送経路7に出射するための出射装置67等を備えている。なお、前段加速器66は、図では簡略化のためにひとつの機器のように記載しているが、実際には、陽子、炭素(重粒子)等の荷電粒子(イオン)を発生させるイオン源(イオンビーム発生装置)と、発生された荷電粒子を初期加速する線形加速器系とを備えている。そして、前段加速器66から周回軌道内に導かれた荷電粒子は、高周波数の電界で加速され、磁石で曲げられながら、光速の約60%まで加速された粒子線となる。
加速器6により加速された粒子線は、HEBT(高エネルギービーム輸送:High Energy Beam Transport)系と称される輸送経路7へと出射される。輸送経路7は、粒子線の輸送経路となる真空ダクトと、粒子線の軌道を切替える切替装置である切替電磁石と、粒子線を所定角度に偏向する偏向電磁石とを備えている。そして加速器6により十分にエネルギーが与えられ、出射装置67から取り出された粒子線は、切替電磁石で必要に応じて軌道を変えることで、複数の照射装置のうちの指定された照射装置へと導くことができる。
照射装置8は、輸送経路7から供給された粒子線を照射対象である患者Kの患部の大きさや深さに応じた照射野に成形して患部へ照射するものである。照射野を成形する方法は複数あるが、例えば、粒子線を走査させて照射野を形成するスキャニング照射法では、とくに供給された粒子線の軌道精度が形成する照射野の精度に大きく影響する。したがって、上述した各実施の形態1にかかる高周波制御装置3を用いることにより、パラメータ設定が容易で、突変等の影響が抑制され、正確な軌道とエネルギーの粒子線が供給されるので、治療計画等で設定した通りに照射野を形成することができ、周辺組織への影響を最低限にして効果的な治療を行うことができる。なお、照射装置等の具体例として、例えば、文献(三菱電機技報、Vol.69、No2、(1995)、p34、上田和宏他「HIMAC用治療・照射システム」)等に挙げられた構成のものを用いてもよい。
以上のように、本実施の形態5にかかる粒子線治療装置1によれば、粒子線を加速するための加速空洞62が設けられた加速器6と、加速空洞62を制御するための各実施の形態にかかる高周波制御装置3と、加速器6によりエネルギーを調整されて供給された粒子線を、照射対象に応じた照射野に成形して照射対象へ照射する照射装置8と、を備えるように構成したので、運転パラメータを柔軟に変更して容易に最適化できるとともに、突変等の影響を抑えて粒子線を自在に加速できるので、正確な照射が可能な粒子線治療装置1を得ることができる。
1:粒子線治療装置、
3:高周波制御装置、
6:加速器(シンクロトロン)、
7:輸送系、
8:照射装置、
30:デジタル制御回路(制御部)、
31:メモリモジュール(記憶部)、
32:タイミング制御部、
33:波形演算制御部(制御データ生成部)、
34:補正処理部(補正部)、
50:ダイレクトデジタルシンセサイザ(制御部)、
51:振幅変調波生成器(制御部)、
54:マルチ出力ダイレクトデジタルシンセサイザ(制御部(補正部))、
62:加速空洞。

Claims (8)

  1. 加速器の加速空洞を制御するための高周波制御装置であって、
    前記加速空洞を駆動するための高周波信号のパターンデータを、前記加速器の加速サイクルにおける、フラットボトム期間、加速期間、フラットトップ期間、減速期間を含む複数の制御期間毎に、時間に対する一次関数を定義するデータで記憶する記憶部と、
    前記記憶部に記憶させたパターンデータを読み込み、読み込んだパターンデータに基づいて、前記加速空洞を逐次制御するための制御データを生成する制御データ生成部と、
    前記制御データに基づいて、前記加速空洞を逐次制御する制御部と、を備え、
    前記制御データ生成部は、前記複数の制御期間に応じた制御データを、それぞれ時間に対する一次関数上のデータとして生成するとともに、
    生成した制御データのうち、データ変化量が0の前記フラットボトム期間または前記フラットトップ期間の制御期間の制御データを時間軸上でつないだ第1の直線と、前記データ変化量が正の前記加速期間または前記データ変化量が負の前記減速期間の制御期間の制御データを前記時間軸上でつないだ第2の直線と、をつなぐ所定の遷移期間の制御データを平滑化することを特徴とする高周波制御装置。
  2. 前記平滑化した制御データを前記時間軸上でつないだ曲線が、前記第1の直線および前記第2の直線の少なくとも一方と接線を共有するように、前記平滑化を行うことを特徴とする請求項1に記載の高周波制御装置。
  3. 前記制御データ生成部は、前記所定の遷移期間の制御データの時間当たりの設定回数が、他の期間の制御データの時間当たりの設定回数よりも多くなるように、前記制御データを生成することを特徴とする請求項1または2に記載の高周波制御装置。

  4. 前記記憶部が記憶するデータは、前記制御期間毎の前記高周波信号の周波数と振幅の少なくともいずれかの初期値と、当該制御期間の長さであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の高周波制御装置。
  5. 前記制御部は、
    前記加速空洞に出力された高周波信号の位相、前記加速空洞に印加された電圧、および前記加速器内の粒子線の位置情報の少なくともいずれかのフィードバック信号を用いたフィードバック制御により、前記加速空洞の制御を行うことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の高周波制御装置。
  6. 前記制御部は、
    前記フラットトップ期間において、前記フィードバック信号が予め定められている範囲を超えると、当該フィードバック信号を前記範囲内に入るように補正することを特徴とする請求項5に記載の高周波制御装置。
  7. 粒子線を加速するための加速空洞が設けられた加速器と、
    前記加速空洞を制御する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の高周波制御装置と、
    前記加速器によりエネルギーを調整されて供給された粒子線を、照射対象に応じた照射野に成形して前記照射対象へ照射する照射装置と、
    を備えたことを特徴とする粒子線治療装置。
  8. 前記照射装置は、スキャニング方式によって前記照射野を形成することを特徴とする請求項7に記載の粒子線治療装置。
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