JP6037308B2 - 植物バイオマスの増産方法 - Google Patents

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Description

本明細書は、植物バイオマスの増産に関する。
人口が増大する一方、環境汚染や温暖化等により、地球規模での食糧危機が問題となってきている。こうした中、植物のバイオマス量増産の必要性が高まってきている。また、植物の有する温室効果ガス排出低減の効果により、地球温暖化防止を図る上でも、植物のバイオマス量増産は重要である。
植物の初期生長の促進は、雑草との競合に優位となり、多量の収穫物を得るために重要な形質である。雑草に覆われることなく、速やかに葉の受光面積を拡大できれば、光合成量の増加に繋がり生育が促進される。
例えば、「もやし」のような胚軸の伸長には、エンドリデュプリケーションによる倍数性の増加と細胞の大型化が深く関与している。エンドリデュプリケーションとは、細胞周期の1つであり、細胞分裂を伴わないDNAの複製をいう。そこで、植物個体全身又は組織特異的にエンドリデュプリケーションを誘発することで植物の初期生長を促進することが試みられている(特許文献1、非特許文献1,2,3)。
特許文献1、非特許文献1、3では、エンドリデュプリケーション誘発効果のある遺伝子を開示し、非特許文献2では、欠損によりエンドリデュプリケーションを誘発できる遺伝子を特定している。
一方、例えば、特許文献1では、エンドリデュプリケーションの誘発により、根の長さ、子葉のサイズ、胚軸長が増大しているが、本葉展開後は、生長が阻害され、バイオマスは減少している。非特許文献1〜3においても、エンドリデュプリケーションが誘発されると植物体が矮化し、根が短くなることが開示されている。
国際公開第2008/120410号
Lieven De Veylderら, The EMBO Journal Vol. 21 No. 6 pp. 1360-1368. Takashi Ishidaら, The Plant Cell, Vol. 21 2284-2297. Keiko Sugimotoら, PNAS., 102(51):18736-41.
以上のように、エンドリデュプリケーションを誘発する手段は種々検討されていた。しかしながら、エンドリデュプリケーションは植物体の初期生長は促進するが、植物体の矮化を生じていた。このため、エンドリデュプリケーションによる植物バイオマスの増大は未だ現実的ではなかった。
本明細書は、植物バイオマス量の増産に有効な遺伝子及びその利用を提供する。
本発明者らは、植物細胞に導入することによりエンドリデュプリケーションを誘発し、しかもバイオマス量を増大させるのに好適な遺伝子を探索した。膨大な実験及び解析の結果、本発明者らは、TaqI遺伝子による形質転換植物体において、エンドリデュプリケーションが誘発されるとともに、しかもバイオマス量が増大するという知見を得た。本明細書の開示によれば、これらの知見に基づき、以下の手段が提供される。
(1)DNA二本鎖切断を促進する外来遺伝子を保持した植物細胞を有する植物体を育成する工程を備え、前記植物体のバイオマス量を増大させる、植物バイオマスの生産方法。
(2)本葉展開後の前記植物体のバイオマス量を増大させる、(1)に記載の生産方法。
(3)前記外来遺伝子は、植物細胞中でDNA二本鎖切断活性を有するタンパク質の産生を促進する、(1)又は(2)に記載の生産方法。
(4)前記外来遺伝子は、DNA二本鎖切断活性を有するタンパク質をコードする遺伝子である、(1)〜(3)のいずれかに記載の生産方法。
(5)前記外来遺伝子は、エンドヌクレアーゼをコードする遺伝子である、(1)〜(4)のいずれかに記載の生産方法。
(6)前記外来遺伝子は、配列番号2で表されるアミノ酸配列と95%以上の同一性を有し、DNA二本鎖切断活性を有するタンパク質をコードする、(1)〜(5)のいずれかに記載の生産方法。
(7)前記外来遺伝子は、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター又はシロイヌナズナSIG2プロモーターによって作動可能に備えられる、(1)〜(6)のいずれかに記載の生産方法。
(8)前記植物細胞におけるRAD51のオルソログ遺伝子の発現量が、宿主細胞である前記植物細胞の2倍未満である、(1)〜(7)のいずれかに記載の生産方法。
(9)DNA二本鎖切断を促進する外来遺伝子を植物細胞に導入して、形質転換植物細胞を取得する工程と、前記形質転換植物細胞からバイオマス増大能を取得した植物体を取得する工程と、を備える、植物体の生産方法。
(10)DNA二本鎖切断を促進する外来遺伝子を保持し倍数性が増大された植物細胞を有する、形質転換植物体。
(11)DNA二本鎖切断を促進する外来遺伝子を保持し倍数性が増大された形質転換植物体を親植物体とする、交配によって得られる植物体。
(12)(10)又は(11)の植物体の種子。
(13)(10)又は(11)に記載の植物体である第1の植物体と第2の植物体とを用いて交配によりバイオマス増大能を有する植物体を取得する、バイオマス量の増大能を有する植物体の生産方法。
(14)(10)又は(11)の植物体のバイオマスを原料として発酵する工程を備える、有用物質の生産方法。
(15)DNA二本鎖切断活性を有するタンパク質をコードするDNAを含む、植物バイオマス増大剤。
AtSIG2:TaqI−NLS遺伝子導入系統におけるバイオマス量を示す。 35S:TaqI−NLS遺伝子導入系統におけるバイオマス量を示す。 35S:TaqI−NLS遺伝子導入系統における根の長さを示す。 AtSIG2:TaqI−NLS遺伝子導入系統における倍数性レベルを示す。 AtSIG2:TaqI−NLS遺伝子導入系統におけるバイオマス量とエンドリデュプリケーションレシオとの相関を示す。 35S:TaqI−NLS遺伝子導入系統における倍数性レベルを示す。 35S:TaqI−NLS遺伝子導入系統におけるバイオマス量とエンドリデュプリケーションレシオとを示す。 35S:TaqI−NLS遺伝子導入系統におけるTaqI遺伝子の発現量を示す。 35S:TaqI−NLS遺伝子導入系統におけるRAD51遺伝子の発現量を示す。
本明細書は、植物バイオマスの増産に有効な遺伝子及びその利用に関連する。本明細書は、本発明者らが、DNA二本鎖切断を促進する外来遺伝子を植物細胞に導入し、その植物の育成に成功し、かつバイオマスを増大させたことに基づいている。
本発明者らは、細胞周期の1つであるエンドリデュプリケーションに着目した。エンドリデュプリケーションを誘発させるため、本発明者らは、DNA二本鎖切断促進する遺伝子に着目し、本遺伝子の一例である、TaqIタンパク質をコードするDNAを植物細胞に導入した。さらに、本発明者らは、当該細胞を有する植物体を育成することにより、バイオマス量の増大した個体を得ることに成功した。
本明細書によれば、DNA二本鎖切断促進する遺伝子を保持した植物細胞を有する植物体を育成することにより、バイオマス量を増大させることができる。
この生産方法は、特に農業分野、バイオマスを原料とするエネルギー分野及び化学工業分野に有用である。
なお、本明細書において、エンドリデュプリケーションとは、細胞周期の1つであり、細胞分裂を伴わないDNAの複製をいう。また、本明細書において、倍数性とは、細胞の核内にゲノムを複数保持している性質のことをいう。ゲノムとは、生物が生存するための必要最小限の遺伝子を有する染色体のセットである。ゲノム1セットのDNA量をCと表すことで、ゲノムを2セット保持する二倍体は、2Cと表すことができる。同様に、四,八,十六,三二倍体をそれぞれ4C,8C,16C,32Cと表すことができる。エンドリデュプリケーションの結果、植物細胞の倍数性が増大する傾向がある。
倍数性の評価は、フローサイトメトリを用いた測定により行うことができる。具体的には、植物体の葉を切り取り、核の抽出とゲノムDNAのDAPI染色を行う。次いで、ゲノムDNA染色後の核をフローサイトメトリに供することにより、葉細胞の倍数性レベルを測定する。
例えば、エンドリデュプリケーションは細胞ごとに独立して行われるために、細胞ごとの倍数性は異なっている。エンドリデュプリケーションにより生じた倍数性の大小を以下の式で表されるエンドリデュプリケーションレシオで評価することが好ましい。
エンドリデュプリケーションレシオ=(8C+16C+32C)/(2C+4C+8C+16C+32C)×100
(ただし、2C、4C等、倍数体の数値は、それぞれ当該倍数性の細胞数を表す。)
以下、本明細書の開示に関し、DNA二本鎖切断を促進する遺伝子、形質転換植物体、植物バイオマス増大剤、植物バイオマスの生産方法等について順次説明する。なお、説明の都合上、生産方法より先に遺伝子について説明する。
(DNA二本鎖切断を促進する遺伝子)
本明細書は、DNA二本鎖切断を促進する遺伝子を開示する。本遺伝子は、DNA二本鎖切断促進するタンパク質の産生を促進し、又は該タンパク質をコードする遺伝子であってもよい。また、本遺伝子はエンドヌクレアーゼをコードする遺伝子であってもよい。エンドヌクレアーゼは、ホスホジエステル結合を加水分解することにより、核酸を分解する酵素である。エンドヌクレアーゼは制限酵素であってもよい。エンドヌクレアーゼをコードする遺伝子は、動物、植物のほか微生物においても広く存在しており、公知のエンドヌクレレアーゼをコードする遺伝子から適宜選択して用いることができる。
本遺伝子の一例として、配列番号1で表される塩基配列を有するTaqI遺伝子がある。TaqI遺伝子は、制限酵素であるTaqIタンパク質をコードするDNAである。
さらに、TaqI遺伝子はThermus thermophilusをはじめとするThermus属の細菌などの微生物に広く存在すると考えられるため、本遺伝子には、種々のThermus属の細菌などの微生物に存在する相同遺伝子も含まれる。ここで「相同遺伝子」とは、種々の植物において、TaqIタンパク質と機能的に同等なタンパク質をコードする遺伝子を意味している。このようなタンパク質には、例えば、該タンパク質の変異体、アレル、バリアント、ホモログ、該タンパク質の部分ペプチド、または、他のタンパク質との融合タンパク質などが挙げられるが、これらに限定されない。なお、各々のタンパク質の詳細については後述する。
(RAD51遺伝子の発現促進の抑制)
RAD51遺伝子及びそのオルソログ遺伝子の発現量が、宿主細胞の3倍未満であることが好ましい。RAD51遺伝子がコードするRAD51は、DNA二本鎖が切断された場合に、DNAの損傷を修復する機能を有することが知られている。即ち、本遺伝子によってDNA二本鎖が切断された場合に、DNAは修復されにくくなる。好ましくは2倍未満であり、さらに好ましくは1.5倍未満である。
一般に、DNA二本鎖切断はRAD51の発現量を上昇させるが、細胞のチェックポイント機能が働き、細胞分裂は阻害される。細胞分裂は本葉展開後の植物体の生長において重要であり、それが阻害されると植物体が矮小化されると考えられる。
RAD51等の発現促進を抑制するには、本遺伝子としてRAD51遺伝子及びそのRAD51オルソログ遺伝子の発現量を転写レベルで誘導しない遺伝子を用いることが好ましい。この場合、RAD51遺伝子及びそのオルソログ遺伝子の発現量について、転写レベルにおいて、宿主細胞の3倍未満であることが好ましい。より好ましくは2倍未満であり、さらに好ましくは1.5倍未満であり、一層好ましくは1.2倍未満であり、より一層好ましくは1.1倍未満である。このような遺伝子として、例えば、TaqI遺伝子が挙げられる。
RAD51遺伝子及びそのRAD51オルソログ遺伝子の発現量を転写レベルで誘導せずに、DNA二本鎖切断を促進する方法は、遺伝子を用いない方法であってもよい。例えば、弱いレベルのガンマ線、X線、重イオンビームなどの放射光を人為的に照射させてもよいし、プレオマイシン、ゼオマイシンなどのDNA二本鎖切断を誘発する化合物を細胞に作用させてもよい。
(植物体)
対象となる植物、換言すると変異体植物のもととなる植物としては、特に限定されないが、例えば、双子葉植物、単子葉植物、例えばアブラナ科、イネ科、ナス科、マメ科、ヤナギ科等に属する植物(下記参照)が挙げられる。
アブラナ科:シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、アブラナ(Brassica rapa、Brassica napus)、キャベツ(Brassica oleracea var. capitata)、ハクサイ(Brassica rapa var. pekinensis)、チンゲンサイ(Brassica rapa var. chinensis)、カブ(Brassica rapa var. rapa)、ノザワナ(Brassica rapa var. hakabura)、ミズナ(Brassica rapa var. lancinifolia)、コマツナ(Brassica rapa var. peruviridis)、パクチョイ(Brassica rapa var. chinensis)、ダイコン(Brassica Raphanus sativus)、ワサビ(Wasabia japonica)など。
ナス科:タバコ(Nicotiana tabacum)、ナス(Solanum melongena)、ジャガイモ(Solaneum tuberosum)、トマト(Lycopersicon lycopersicum)、トウガラシ(Capsicum annuum)、ペチュニア(Petunia)など。
マメ科:ダイズ(Glycine max)、エンドウ(Pisum sativum)、ソラマメ(Vicia faba)、フジ(Wisteria floribunda)、ラッカセイ(Arachis. hypogaea)、ミヤコグサ(Lotus corniculatus var. japonicus)、インゲンマメ(Phaseolus vulgaris)、アズキ(Vigna angularis)、アカシア(Acacia)など。
キク科:キク(Chrysanthemum morifolium)、ヒマワリ(Helianthus annuus)など。
ヤシ科:アブラヤシ(Elaeis guineensis、Elaeis oleifera)、ココヤシ(Cocos nucifera)、ナツメヤシ(Phoenix dactylifera)、ロウヤシ(Copernicia)など。
ウルシ科:ハゼノキ(Rhus succedanea)、カシューナットノキ(Anacardium occidentale)、ウルシ(Toxicodendron vernicifluum)、マンゴー(Mangifera indica)、ピスタチオ(Pistacia vera)など。
ウリ科:カボチャ(Cucurbita maxima、Cucurbita moschata、Cucurbita pepo)、キュウリ(Cucumis sativus)、カラスウリ(Trichosanthes cucumeroides)、ヒョウタン(Lagenaria siceraria var. gourda)など。
バラ科:アーモンド(Amygdalus communis)、バラ(Rosa)、イチゴ(Fragaria)、サクラ(Prunus)、リンゴ(Malus pumila var. domestica)など。
ナデシコ科:カーネーション(Dianthus caryophyllus)など。
ヤナギ科:ポプラ(Populus trichocarpa、Populus nigra、Populus tremula)など。
イネ科:トウモロコシ(Zea mays)、イネ(Oryza sativa)、オオムギ(Hordeum vulgare)、コムギ(Triticum aestivum)、タケ(Phyllostachys)、サトウキビ(Saccharum officinarum)、ネピアグラス(Pennisetum pupureum)、エリアンサス(Erianthus ravenae)、ミスキャンタス(ススキ)(Miscanthus virgatum)、ソルガム(Sorghum)スイッチグラス(Panicum)など。
ユリ科:チューリップ(Tulipa)、ユリ(Lilium)など。
フトモモ科:ユーカリ(Eucalyptus camaldulensis、Eucalyptus grandis)など。
本遺伝子は、バイオマス増大能を有するタンパク質をコードしうるものであれば、その形態に特に制限はなく、本遺伝子は、ゲノムDNAの他、cDNA、化学合成DNAなども含まれる。また、本遺伝子は、後述する本タンパク質をコードするものであれば、遺伝暗号の縮重に基づく任意の塩基配列を有するDNAが含まれる。
(植物細胞)
植物細胞として、例えば、単子葉植物及び双子葉植物由来の植物細胞を用いることができる。また、穀物植物由来の細胞であってもよい。植物細胞としては、例えば、上記した各種植物体の細胞が挙げられる。また、植物細胞には、懸濁培養細胞等の培養細胞の他、プロトプラスト、カルスも含まれる。また、植物細胞には、苗条原基、多芽体、毛状根などのほか、葉の切片等の植物体中の細胞も含まれる
(植物体及び植物体のバイオマス量)
植物体とは、植物の葉、茎、花、子実、根茎部を含む。本明細書において、バイオマス量の増大とは、植物体の重量が増加することをいう。重量は、乾燥重量であってもよく、湿潤重量であってもよい。また、重量は、植物体全体の重量であってもよく、葉のみ、葉と茎のみ、子実のみ、あるいは、根のみのように、植物体の一部の重量であってもよい。例えば、トウモロコシからバイオマスエタノールを得ることを目的としている場合、トウモロコシのバイオマス量は、子実であることが好ましく、葉と茎であってもよい。また、植物バイオマス増大能を有するとは、本遺伝子が発現していない植物体と比較して、好ましくは2%以上、より好ましくは5%以上、一層より好ましくは10%以上、一層より好ましくは20%以上、一層より好ましくは30%以上、一層より好ましくは35%、一層より好ましくは40%以上、一層より好ましくは45%以上、最も好ましくは50%以上、バイオマス量が増大していることを意味している。
(本葉展開後の植物体)
植物の種子の中の胚にすでに存在する葉を子葉という。種子が発芽すると、最初に子葉が出現する。続いて生長の過程で本葉が出現する。即ち、本葉とは子葉以外の通常の葉である。播種後に本葉が展開するまでの日数は、植物によって異なり、例えば、シロイヌナズナは7日程度で本葉が展開する。上述したように、従来技術では、エンドリデュプリケーションの誘発によって、本葉展開後の生長が阻害され、バイオマス量は減少している(特許文献1)。これに対して、本明細書で開示する技術では、本葉展開後においてバイオマス量を増大させることができる。
(DNA二本鎖切断促進するタンパク質)
上述のように、DNA二本鎖切断促進する遺伝子は、DNA二本鎖切断促進するタンパク質の産生を促し、又は該タンパク質をコードするものが含まれる。DNA二本鎖切断促進するタンパク質(以下、本タンパク質ともいう。)とは、核酸分解酵素のうち、DNA二本鎖が切断可能な酵素である。例えば、DNA及びRNAを分解可能なヌクレアーゼと、DNAを分解可能で、かつ、RNAを分解不可能なデオキシリボヌクレアーゼがある。切断形態による分類では、エンドヌクレアーゼとエキソヌクレアーゼとがある。エンドヌクレアーゼは、核酸の内部を切断する酵素であり、例えば、哺乳類由来デオキシリボヌクレアーゼ、マイクロコッカルヌクレアーゼがある。エキソヌクレアーゼは、核酸の末端からヌクレオチドを1個ずつ外す酵素であり、例として、Bal31ヌクレアーゼ、エキソヌクレアーゼI、エキソヌクレアーゼIII、λエキソヌクレアーゼがある。切断形態の相違を考慮すると、エンドヌクレアーゼは、エキソヌクレアーゼに比べ、DNA修復を促進しやすく、結果として、植物細胞の倍数性をより増大させ、植物体のバイオマスを増大させると考えられる。さらに、エンドヌクレアーゼは、制限酵素であってもよい。制限酵素には、認識する塩基の数が4〜8塩基のいずれであってもよい。また、DNA2本鎖をまっすぐ平滑末端で切断する制限酵素であっても、1本鎖が突出した粘着末端で切断する制限酵素であってもよい。制限酵素の例として、TspRI、Tsp45I,Sse9I,MseI,CviAII等が挙げられる。好ましくはMspI,DpnI,HaeIII,AvaII,EcoRI,EcoRII,HinfI,XbaI,HpaI,NotI,SwaI,SgrAIであり、さらに好ましくはTaqIである。さらに、TaqI遺伝子がコードするTaqIタンパク質も、配列番号2で表されるアミノ酸配列を有する制限酵素である。TaqIタンパク質は、5‘−TCGA−3’の4塩基配列を認識すると、TとCの間に切れ目を入れ、粘着末端でDNA二本鎖を切断する。TaqIタンパク質の態様としては、配列番号2で表されるアミノ酸配列を有するタンパク質のみならず、その変異体を含む。
制限酵素遺伝子としては、植物細胞におけるゲノムDNA中の所定の配列箇所に二本鎖切断を導入することができる制限酵素をコードするものであれば、如何なる制限酵素遺伝子も使用することができる。例えば、制限酵素としては、4塩基〜6塩基の認識配列を持つものが好ましく、さらに好ましくは、4塩基〜5塩基の認識部位を持つ酵素であり、最も好ましくは4塩基の認識部位を持つ酵素である。
また、制限酵素としては、植物細胞の培養条件とは異なる条件下で活性化する制限酵素を使用することが好ましい。「通常の培養条件とは異なる条件」とは、当業者において選択可能な条件であれば如何なる条件でもよいが、例えば、用いた制限酵素の活性化に必要とされる物質(例えば、金属イオンなど)を添加した条件、又は制限酵素の活性化に必要な温度条件などを挙げることができる。特に、制限酵素としては、好熱菌由来の制限酵素であって、植物細胞の培養温度よりも高温領域に至適温度を有する制限酵素を使用することがより好ましい。例えば、TaqI及びTsp45Iの指摘温度は65℃であり、Sse9Iの至適温度は55℃である。
このように、植物細胞の培養条件とは異なる条件下で活性化する制限酵素を使用した場合には、植物細胞中において制限酵素遺伝子を発現させた後、当該条件下にて制限酵素を活性化するか、当該条件としないことで制限酵素を低活性の状態とするか選択することができる。例えば、植物細胞において制限酵素遺伝子を発現させた結果、当該制限酵素の活性が高すぎて植物細胞が死滅するような場合、上記条件とすることなく制限酵素を低活性に維持し、植物細胞の死滅を回避することができる。
本タンパク質としては、DNA二本鎖切断活性を有するタンパク質であって、エンドリデュプリケーションにより植物バイオマスを増大させることができるものであればよい。典型的には、後述する好ましいエンドリデュプリケーションレシオを発現させるタンパク質が挙げられる。本タンパク質の一態様としては、例えば、配列番号2で表されるアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列を有するタンパク質であって、TaqIタンパク質と機能的に同等なタンパク質が挙げられる。なお、配列番号2で表されるタンパク質を基準としたとき、他方のタンパク質は基準としたタンパク質の変異体であるといえる。
変異するアミノ酸数は特に制限されないが、通常、20アミノ酸以内であり、好ましくは10アミノ酸以内であり、より好ましくは6アミノ酸以内であり、さらに好ましくは3アミノ酸以内であり、一層好ましくは2アミノ酸以内である。変異するアミノ酸残基においては、アミノ酸側鎖の性質が保存されている別のアミノ酸に変異されることが望ましい(これは、保存的アミノ酸置換として知られている)。例えばアミノ酸側鎖の性質としては、疎水性アミノ酸(A、I、L、M、F、P、W、Y、V)および親水性アミノ酸(R、D、N、C、E、Q、G、H、K、S、T)の二種類に大別することができる。また、その側鎖の構造に基づいて、脂肪族側鎖を有するアミノ酸(G、A、V、L、I、P)、水酸基含有側鎖を有するアミノ酸(S、T、Y)、硫黄原子含有側鎖を有するアミノ酸(C、M)、カルボン酸及びアミド含有側鎖を有するアミノ酸(D、N、E、Q)、塩基含有側鎖を有するアミノ酸(R、K、H)、芳香族含有側鎖を有するアミノ酸(H、F、Y、W)などのようにアミノ酸を分類することもできる。さらに、例えば、変異マトリクス(mutational matrix)によってアミノ酸を分類することも周知である(Taylor 1986, J, Theor. Biol. 119, 205-218; Sambrook, J. et al., Molecular Cloning 3rd ed. A7.6-A7.9, Cold Spring HarborLab. Press, 2001)。この分類を以下に要約すると、脂肪族アミノ酸(L、I、V)、芳香族アミノ酸(H、W、Y、F)、荷電アミノ酸(D、E、R、K、H)、正荷電アミノ酸(R、K、H)、負荷電アミノ酸(D、E)、疎水性アミノ酸(H、W、Y、F、M、L、I、V、C、A、G、T、K)、極性アミノ酸(T、S、N、D、E、Q、R、K、H、W、Y)、小型アミノ酸(P、V、C、A、G、T、S、N、D)、微小アミノ酸(A、G、S)および大型(非小型)アミノ酸(Q、E、R、K、H、W、Y、F、M、L、I)が挙げられる(括弧内はいずれもアミノ酸の一文字標記を表す)。
あるアミノ酸配列に対する1又は複数個のアミノ酸残基の欠失、付加及び/又は他のアミノ酸による置換により修飾されたアミノ酸配列を有するポリペプチドがその生物学的活性を維持することはよく知られている。
本タンパク質の他の一態様としては、例えば、配列番号1で表される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによってコードされるタンパク質であって、TaqIタンパク質と機能的に同等なタンパク質が挙げられる。このようなDNAは、典型的には、配列番号1で表される塩基配列と、塩基配列全体での同一性が、少なくとも30%以上、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上であり、より一層好ましくは85%以上であり、さらに一層好ましくは90%以上であり、より一層好ましくは95%以上であり、さらに一層好ましくは98%以上であり、さらにまた一層好ましくは99%以上である。
さらに、本タンパク質他の一態様としては、例えば、配列番号2で表されるアミノ酸配列に対して60%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質であって、TaqIタンパク質と機能的な同等なタンパク質が挙げられる。同一性は少なくとも30%以上、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上であり、さらに好ましくは80%以上であり、より一層好ましくは85%以上であり、さらに一層好ましくは90%以上であり、より一層好ましくは95%以上であり、さらに一層好ましくは98%以上であり、さらにまた一層好ましくは99%以上である。
本明細書において、「機能的に同等」とは、対象となるタンパク質が、配列番号2で表されるアミノ酸配列を有するタンパク質(TaqI)等と同等の生物学的機能や生化学的機能を有することを指す。TaqIの生物学的機能や生化学的機能としては、例えばDNA二本鎖切断を促進する機能を挙げることができる。また、同種材料について同種方法で本タンパク質をコードするDNAを導入して形質転換植物体を得たとき、既述のエンドリデュプリケーションレシオを同一条件で測定したとき、12.5%以上であることが好ましい。より好ましくは、13.0%以上であり、さらに好ましくは15.0%以上であり、一層好ましくは20.0%以上であり、さらにまた好ましくは25.0%以上であり、より好ましくは40.0%以上である。
相同遺伝子等を単離するための当業者によく知られた方法としては、ハイブリダイゼーション技術(Southern, E. M., Journal of Molecular Biology, Vol. 98, 503, 1975)やポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術(Saiki, R. K., et al. Science, vol. 230, 1350-1354, 1985, Saiki, R. K. et al. Science, vol.239, 487-491,1988)が挙げられる。即ち、当業者にとっては、配列番号1で表される塩基配列もしくはその一部をプローブとして、またTaqI遺伝子に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドをプライマーとして、種々の植物からTaqI遺伝子の相同遺伝子を単離することは通常行いうることである。
相同遺伝子をコードするDNAを単離するためには、通常、ストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーション反応を行う。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は当業者であれば、適宜選択することができる。一例を示せば、25%ホルムアミド、より厳しい条件では50%ホルムアミド、4xSSC、50mM Hepes pH7.0、10×デンハルト溶液、20μg/ml変性サケ精子DNAを含むハイブリダイゼーション溶液中、42℃で一晩プレハイブリダイゼーションを行った後、標識したプローブを添加し、42℃で一晩保温することによりハイブリダイゼーションを行う。その後の洗浄における洗浄液および温度条件は、「1xSSC、0.1% SDS、37℃」程度で、より厳しい条件としては「0.5xSSC、0.1% SDS、42℃」程度で、さらに厳しい条件としては「0.2xSSC、0.1% SDS、65℃」程度で実施することができる。このようにハイブリダイゼーションの洗浄の条件が厳しくなるほどプローブ配列と高い相同性を有するDNAの単離を期待しうる。但し、上記SSC、SDSおよび温度の条件の組み合わせは例示であり、当業者であれば、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを決定する上記若しくは他の要素(例えば、プローブ濃度、プローブの長さ、ハイブリダイゼーション反応時間など)を適宜組み合わせることにより、上記と同様のストリンジェンシーを実現することが可能である。
単離されたDNAの同一性は、アミノ酸配列全体で、少なくとも50%以上、さらに好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上(例えば、95%、96%、97%、98%、99%以上)の配列の同一性を有する。配列の相同性は、BLASTN(核酸レベル)やBLASTX(アミノ酸レベル)のプログラム(Altschul et al. J. Mol. Biol., 215: 403-410, 1990)を利用して決定することができる。該プログラムは、Karlin及びAltschulによるアルゴリズムBLAST (Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:2264-2268, 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 5873-5877, 1993)に基づいている。BLASTNによって塩基配列を解析する場合には、パラメーターは例えばscore=100、wordlength=12とする。また、BLASTXによってアミノ酸配列を解析する場合には、パラメーターは例えばscore=50、wordlength=3とする。また、Gapped BLASTプログラムを用いて、アミノ酸配列を解析する場合は、Altschulら(Nucleic Acids Res. 25: 3389-3402, 1997)に記載されているように行うことができる。BLASTとGapped BLASTプログラムを用いる場合には、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。これらの解析方法の具体的な手法は公知である。
(ベクター)
本明細書のベクターは、上記DNAを含むことができる。本ベクターは、上記DNAのほか、植物細胞内で本DNAの発現を増強するためのベクターとすることができる。本ベクターは、宿主細胞(植物細胞)内の染色体上の内在性の本遺伝子の有無に関わらず、本遺伝子を外来性DNAとして導入して、結果として、本遺伝子の発現を増強することを意図することができる。特に、配列番号1で表される塩基配列を有するDNAを含むベクターは、このDNAの発現を増強するような、具体的には発現量を増大させるようなプロモーターの制御可能にプロモーターの下流域に連結されていることが好ましい。なお、本ベクターが、相同組換え等により、植物細胞内の染色体上の内在性の本遺伝子の発現を増強するように意図されることを排除するものではない。
本ベクターが、植物細胞に、外来性DNAとして本遺伝子を導入し発現させることを意図するとき、植物細胞で転写可能なプロモーターと当該プロモーターの制御下に作動可能に連結された本遺伝子とを備えることができる。さらに、ポリAを含むターミネーターを含めることもできる。こうしたプロモーターとしては、例えば、本遺伝子を恒常的または誘導的に発現させるためのプロモーターが挙げられる。恒常的に発現させるためのプロモーターとしては、例えば、カリフラワーモザイクウイルスの35Sプロモーター(Odell et al. 1985 Nature 313:810)、イネのアクチンプロモーター(Zhang et al.1991 Plant Cell 3:1155)、トウモロコシのユビキチンプロモーター(Cornejo et al. 1993 Plant Mol.Biol. 23:567)などが挙げられる。また、本遺伝子を、誘導的に発現させるためのプロモーターとしては、例えば糸状菌・細菌・ウイルスの感染や侵入、低温、高温、乾燥、紫外線の照射、特定の化合物の散布などの外因によって発現することが知られているプロモーターなどが挙げられる。このようなプロモーターとしては、例えば、イネキチナーゼ遺伝子のプロモーター(Xu et al. 1996 Plant Mol.Biol.30:387)やタバコのPRタンパク質遺伝子のプロモーター(Ohshima et al. 1990 Plant Cell 2:95)、イネの「lip19」遺伝子のプロモーター(Aguan et al. 1993 Mol.GenGenet. 240:1)、イネの「hsp80」遺伝子と「hsp72」遺伝子のプロモーター(Van Breusegem et al. 1994 Planta 193:57)、シロイヌナズナの「rab16」遺伝子のプロモーター(Nundy et al. 1990 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1406)、パセリのカルコン合成酵素遺伝子のプロモーター(Schulze-Lefert et al. 1989 EMBO J. 8:651)、トウモロコシのアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子のプロモーター(Walker et al. 1987 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:6624)などが挙げられる。その他に、シロイヌナズナのSIG2プロモーターが挙げられる。
本ベクターは、本タンパク質を組換えタンパク質として、大腸菌、酵母、動植物細胞、昆虫細胞等の細胞の宿主細胞に生産させることを意図するものであってもよい。この場合には、本ベクターは、適当な宿主細胞で作動可能なプロモーターの制御下に本遺伝子を備えることができる。
本ベクターは、当業者であれば、例えば、当業者に公知の各種プラスミドなど商業的に入手可能な材料を利用して構築することができる。例えば、プラスミド「pBI121」、「pBI221」、「pBI101」(いずれもClontech社製)などのほか、形質転換植物体作製のために植物細胞内で本遺伝子を発現させるベクターを用いて構築することができる。本ベクターの植物細胞への導入については後述する。
(形質転換植物細胞及び形質転換植物体)
本明細書の開示によれば、本ベクターが導入されて、本遺伝子を保持する形質転換細胞も提供される。本明細書に開示される形質転換植物体は、こうした形質転換細胞を含んでいる。本形質転換体は、形質転換前に比較して本遺伝子の発現が増強されている。増強される本遺伝子は、植物体に内在する遺伝子であってもよいし、外来性の遺伝子であってもよい。これらの双方であってもよい。また、遺伝子の発現が増強されているとは、遺伝子の発現量(本遺伝子の一次転写産物の量ほか、本遺伝子がコードするタンパク質の生産量)が形質転換前よりも増大しているか、あるいは当該タンパク質の活性が形質転換前よりも増大していることを意味している。本遺伝子の発現の増強の結果、本遺伝子の発現量が増大するとともに本タンパク質の活性自体が増大していてもよい。
本遺伝子の発現の増強の態様は、特に限定されない。例えば、植物細胞で作動可能なプロモーターと当該プロモーターによって作動可能に結合された本遺伝子とが、外来性DNAとして、植物細胞の染色体又は染色体外に保持される態様が挙げられる。プロモーターに連結される本遺伝子は、植物細胞に内在性のものであっても外来性のものであってもよい。なお、内在性の本遺伝子のプロモーターの活性を向上させるために、染色体上のそのプロモーター領域の全体又はその一部を置換等する態様、内在性遺伝子とともにプロモーター領域を置換する態様も挙げられる。
本形質転換植物体は、本形質転換細胞から植物体を再生させることにより得ることができる。植物細胞へのベクターの導入は、ポリエチレングリコール法、電気穿孔法(エレクトロポーレーション)、アグロバクテリウムを介する方法、パーティクルガン法など当業者に公知の種々の方法を用いることができる。例えば、ポリエチレングリコールによるプロトプラストへ遺伝子導入(Datta,S.K. (1995) In Gene Transfer To Plants(Potrykus I and Spangenberg Eds.) pp66-74)、電気パルスによるプロトプラストへ遺伝子導入(Toki et al. (1992) Plant Physiol. 100, 1503-1507)、パーティクルガン法により細胞へ遺伝子を直接導入(Christou et al. (1991) Bio/technology, 9: 957-962.)およびアグロバクテリウムを介して遺伝子を導入(Hiei et al. (1994) Plant J. 6: 271-282.)等の各種方法が挙げられる。また、転換植物細胞からの植物体の再生は、植物細胞の種類に応じて当業者に公知の方法で行うことが可能である(Toki et al. (1995) Plant Physiol. 100:1503-1507参照)。例えば、シロイヌナズナであればAkamaら(Plant Cell Reports12:7-11 (1992))の方法が挙げられ、イネであればFujimuraら(Plant Tissue Culture Lett. 2:74 (1995))の方法が挙げられ、トウモロコシであればShillitoら(Bio/Technology 7:581 (1989))の方法やGorden−Kammら(Plant Cell 2:603(1990))が挙げられる。
形質転換植物細胞からの植物体の再生は、植物細胞の種類に応じて当業者に公知の方法で行うことが可能である(Toki et al. (1995) Plant Physiol. 100:1503-1507参照)。例えば、イネにおいては、形質転換植物体を作出する手法については、ポリエチレングリコールによりプロトプラストへ遺伝子導入し、植物体(インド型イネ品種が適している)を再生させる方法(Datta,S.K. (1995) In Gene Transfer To Plants(Potrykus I and Spangenberg Eds.) pp66-74)、電気パルスによりプロトプラストへ遺伝子導入し、植物体(日本型イネ品種が適している)を再生させる方法(Toki et al. (1992) Plant Physiol. 100, 1503-1507)、パーティクルガン法により細胞へ遺伝子を直接導入し、植物体を再生させる方法(Christou et al. (1991) Bio/technology, 9: 957-962.)およびアグロバクテリウムを介して遺伝子を導入し、植物体を再生させる方法(Hiei et al. (1994) Plant J. 6: 271-282.)など、いくつかの技術が既に確立し、本願発明の技術分野において広く用いられている。本発明においては、これらの方法を好適に用いることができる。
該形質転換植物体の形質転換植物細胞では、DNA二本鎖切断に伴い、エンドリデュプリケーションが生じ得る。エンドリデュプリケーションでは、DNAが複製されるが、細胞分裂は起こらない。そのため、植物細胞の倍数性は増大する。
こうして得られる本形質転換植物体は、本外来遺伝子を保持し倍数性が増大された植物細胞を有することができる。ここで倍数性が増大されているとは、植物体又はその一部(例えば、葉部など目的とするバイオマス等の部位に応じて決定される。)のエンドリデュプリケーションレシオが、12.5%以上であることが好ましい。こうしうた植物体は、野生株に対して倍数性が増大しており、植物細胞の増大が期待あれる。より好ましくは、13.0%以上であり、さらに好ましくは15.0%以上であり、一層好ましくは20.0%以上であり、さらにまた好ましくは25.0%以上であり、より好ましくは40.0%以上である。
ゲノム上に本遺伝子が組み込まれた形質転換植物体が得られれば、後述するように、該植物体の交配によって植物体を得ることが可能である。また、該植物体や交配によって得られた植物体あるいはクローンから繁殖材料(例えば、種子、果実、切穂、塊茎、塊根、株、カルス、プロトプラスト等)を得て、それらを基に該植物体を量産することも可能である。本明細書の開示には、既に説明した(1)本遺伝子を保持し、倍数性が増大された植物細胞、(2)該細胞を有する植物体のほか、(3)該植物体の交配によって得られた植物体およびクローン、並びに(4)該植物体、その子孫、およびクローンの繁殖材料が含まれる。さらに、本明細書は、(1)又は(3)の植物体の種子を開示している。
このようにして作出された形質転換植物体は、バイオマス増大能が付与又は向上され、バイオマス量が増大したものとなっている。
(植物バイオマスの生産方法)
本明細書に開示される植物バイオマスの生産方法は、DNA二本鎖切断を促進する外来遺伝子を保持した植物細胞を有する植物体を育成する工程を備えることができる。本明細書の生産方法によれば、バイオマス量を増大させることができ、バイオマス量の大きな植物体を得ることができる。特に、本葉展開後においてバイオマス量が増大した植物体を得ることができ、増大した植物バイオマスを得ることができる。育成工程は、当業者であれば、本植物体の種類に応じて適宜設定することができる。本生産方法で育成対象となる植物体は、本形質転換植物体又は当該植物体から交配により取得した植物体が挙げられる。
本生産方法においては、例えば、本タンパク質がTaqIのごとく活性化温度が高い場合には、そのタンパク質の活性化温度よりも低い温度で植物体を育成して、植物バイオマスを得ることもできる。こうすることで、本タンパク質を適度に作用させて、エンドリデュプリケーションを誘発して、バイオマスを増大させることができる。
本生産方法は、植物体が保持する植物細胞におけるRAD51のオルソログ遺伝子の発現量が、宿主細胞である前記植物細胞の2倍未満であることが好ましい。こうした植物細胞であれば、RAD51タンパク質は、DNA二本鎖が切断された場合に、DNAの損傷を修復する機能を有する。したがって、当該タンパク質の発現量が大きすぎると、本遺伝子の導入増強によるエンドリデュプリケーション誘発効果が抑制されるからである。RAD51のオルソログ遺伝子の発現量は、タンパク質のほかmRNA等によって当業者であれば適宜検出できる。
(植物体の生産方法)
本明細書に開示される植物体の生産方法は、DNA二本鎖切断を促進する外来遺伝子を植物細胞に導入して、形質転換植物細胞を取得する工程と、前記形質転換植物細胞からバイオマス増大能を取得した植物体を取得する工程と、を備えることができる。形質転換細胞の取得及び植物体の取得については既に説明したとおりである。バイオマス増大能を獲得した植物体は、再生植物体の大きさ、本遺伝子の発現量、RAD51遺伝子の発現量、倍数性(エンドリデュプリケーションレシオ)の評価によって適宜選択することができる。
本生産方法においては、例えば、本タンパク質がTaqIのごとく活性化温度が高い場合には、そのタンパク質の活性化温度よりも低い温度で形質転換細胞を培養しあるいは植物体を育成して植物体を得ることができる。こうすることで、本タンパク質を適度に作用させて、エンドリデュプリケーションを誘発して、バイオマスを増大させることができる。したがって、本生産方法によれば、低い栽培温度であっても、効率的にバイオマス増大能を備える植物体を得ることができる。
また、本生産方法は、形質転換植物体を第1の植物体とし、他の植物体を第2の植物体として、これらを用いて交配によりバイオマス増大能を有する植物体を取得してもよい。さらに、本生産方法は、形質転換体から交配により得られた植物体を第1の植物体とし、他の植物体を第2の植物体として、これらを用いて交配によりバイオマス増大能を有する植物体を取得してもよい。こうした方法によれば、ゲノムのDNA二本鎖切断を促進する外来遺伝子を保持し倍数性が増大された形質転換植物体を親植物体とする、交配によって得られる植物体が提供される。好ましい形質を得るための交配技術は、当業者であれば適宜取得し、実施可能である。交配は人工授粉によって行うことができる。人工授粉の例として、一方の植物体の花を切り取り、その花粉を他方の植物体の花に振り掛ける方法、一方の植物体の花粉を採取し、他方の植物体の花に吹きかける方法が挙げられる。
本形質転換植物体やその交配体から得られた植物体は、本外来遺伝子を保持し倍数性が増大された形質転換植物体を親植物体とする、交配によって得られる植物体。
(有用物質の生産方法)
本明細書に開示される有用物質の生産方法は、本植物体のバイオマスを原料として発酵する工程を備えることができる。有用物質の例として、エタノールやブタノールなどのバイオ燃料、工業用原料、食品等が挙げられる。発酵に用いる微生物及び発酵条件は、当業者であれば適宜設定できる。微生物は、大腸菌などの前核微生物、カビや酵母などの真核微生物などを用いることができ、好ましくは,Saccharomyces cerevisiaeなどの酵母である。
(バイオマス量の調節方法)
本明細書の開示によれば、植物体において、本遺伝子の発現を調節することを特徴とする、バイオマス量の増大量を調節する方法が提供される。本明細書に開示の調節方法によれば、本遺伝子の導入量を調節することで、バイオマス量の増大の程度を調節することができる。植物体において本遺伝子の導入量を調節することには、既に説明したように、遺伝子工学的にあるいは交配によりかかる特性を有する植物体を作製することが含まれる。また、本遺伝子を有していないあるいは本遺伝子が機能していない植物体と交配させることもできる。
(植物バイオマス増大能の判定方法)
本明細書の開示によれば、植物バイオマス増大能を判定する方法が提供される。すなわち、被検植物体又はその一部における本遺伝子の発現解析を実施する工程を備えることを特徴とする、方法が提供される。「植物バイオマス増大能を判定する」とは、既存品種におけるバイオマス増大能の判定のみならず、交配や遺伝子組換え技術による新しい品種における植物バイオマス増大能の判定も含まれる。また、被検植物体の一部としては、植物の器官、組織及び細胞であってもよい。
本判定方法によれば、例えば、植物の交配による品種改良を行なう場合において特に利点を有する。食部体の植物バイオマス増大能の有無や程度を、その表現型により判断することに比して、遺伝子レベルで判断することは簡便で確実であるため、本判定方法は、植物の品種改良において大きく貢献し得る。
本遺伝子の発現解析は当業者において周知の方法で実施することができる。例えば、被検植物体又はその繁殖材料からRNAを含むRNA試料を調製し、この試料のうち、mRNAについて、定量的リアルタイムPCRで定量し、得られたmRNA量に基づいて発現量を評価することができる。本遺伝子の発現又はその発現量の多さによって、その被検植物体は、植物バイオマス増大能を有しているあるいは増強されている、と判定できる。
発現解析には、例えば、上記したプローブやプライマーを用いたDNAマイクロアレイやリアルタイムPCRなど公知の発現解析手法を適宜用いることができる。
(植物バイオマス増大剤)
本明細書の開示によれば、DNA二本鎖切断活性を有するタンパク質をコードするDNAを含む植物バイオマス増大剤が提供される。なお、本タンパク質については既に説明したとおりである。また、TaqIタンパク質は、DNA二本鎖切断活性を有するタンパク質の一例である。
以下、本発明を、実施例を挙げて具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
(TaqI遺伝子の取得)
出芽酵母用プラスミドpHS141(特許第4158920)を鋳型として、PCR法によってTaqI遺伝子を増幅した。PCR反応は、制限酵素サイト(BamHI,SacI)を付加したプライマー(BamHI−TaqI−F(配列番号3),TaqI−ScaI−R(配列番号4))とを用い、PrimeSTAR HS DNA Polymerase(タカラバイオ社製)により行った。さらに、増幅したTaqI遺伝子をTOPO TA Cloning Kit(Invitrogen社製)を用いて、TA−Cloning用pCR2.1にサブクローニングした。
(TaqI−NLS遺伝子の作製)
得られたTaqI遺伝子を用いたPCR法によってTaqI−NLS遺伝子を作製した。PCR反応は、NLS配列を付加したプライマーTaq−NLS−SacI−R(配列番号5)を用い、PrimeSTAR HS DNA Polymeraseにより行った。さらに、増幅したTaqI−NLS遺伝子をTOPO TA Cloning Kit(Invitrogen社製)を用いて、TA−Cloning用pCR2.1にサブクローニングした。
(AtSIG2プロモーターの取得)
シロイヌナズナ幼葉を液体窒素凍結下で粉砕したものと、DNeasy Plant Mini Kit(Qiagen社製)とを用いて、ゲノムDNAを調製した。調製したゲノムDNAを鋳型とし、PCR法によってシロイヌナズナのSIG2 (SIGMA SUBUNIT OF CHLOROPLAST RNA POLYMERASE)(At1g08540)のプロモーター部分(AtSIG2プロモーター)を増幅させた。PCR反応には、制限酵素サイト(SalI、BamHI)を付加したプライマー(SalI−AtSIG2−F(配列番号6)、AtSIG2−BamHI−R(配列番号7))を用いた。
(プロモータークローニング用ベクターpBI101N2の作製)
植物発現用ベクターpBI121(CLONTECH社製)を制限酵素HindIII及びBamHI で処理した。次に、オリゴヌクレオチド(Linker−F2(配列番号8)、Linker−R2(配列番号9))を等量混合し、96℃で10min、その後室温に2時間静置した。静置後のオリゴヌクレオチド混合物と、上記制限酵素処理したpBI121と、DNA Ligation Kit <Mighty Mix>(タカラバイオ社製)と、によりライゲーション反応を行い、プロモータークローニングベクターpBI101N2を作製した。
(プロモータークローニング用ベクターpBI TaqI−NLSの作製)
作製したプロモータークローニングベクターpBI101N2に、作製したTaqI−NLS遺伝子をサブクローニングし、プロモータークローニング用ベクターpBI TaqI−NLSを作製した。
(植物発現用ベクターpBI 35S:TaqI−NLSの作製)
植物発現用ベクターpBI121(プロモーターとして、cauliflower mosaic virus(CaMV)35s promoterを含む)に、作製したTaqI−NLS遺伝子をサブクローニングし、植物発現用ベクターpBI 35S:TaqI−NLSを作製した。
(植物発現用ベクターpBI AtSIG2:TaqI−NLSの作製)
作製したプロモータークローニング用ベクターpBI TaqI−NLSに、取得したAtSIG2プロモーターをサブクローニングし、植物発現用ベクターpBI AtSIG2:TaqI−NLSを作製した。
(シロイヌナズナCol−0野生株へのTaqI遺伝子の導入)
作製した植物発現用ベクターpBI AtSIG2:TaqI−NLSをアグロバクテリウム法によって、シロイヌナズナCol−0株に導入した。また、作製した植物発現用ベクターpBI 35S:TaqI−NLSをアグロバクテリウム法によって、シロイヌナズナ1406株に導入した。
各々のシロイヌナズナについて、インプランタ法によって形質転換を行った。具体的には、アグロバクテリウムに感染後の種子を、50mg/l硫酸カナマイシンを含むMS寒天培地(ムラシゲスクーグ無機塩、1%ショ糖、0.05% MES、0.8% Agar)に播種し、22℃、16時間明期8時間暗期、光強度約30〜50μmol/m/secの人工気象室で2週間育成後、カナマイシン耐性個体を選抜し、各々のシロイヌナズナの形質転換体を得た。
(AtSIG2:TaqI−NLS遺伝子導入系統及び35S:TaqI−NLS遺伝子導入系統におけるバイオマス量)
得られたAtSIG2:TaqI−NLS遺伝子が導入されたシロイヌナズナの形質変換体を交配し、AtSIG2:TaqI−NLS遺伝子がホモに挿入された#2011,#2046,#2059系統を取得した。#2011,#2046,#2059系統、及びCol−0野生株の種子をMS寒天培地に播種し、22℃、16時間明期8時間暗期、光強度約30〜50μmol/m/secの人工気象室で3週間育成した。この時点において、各々の植物体は、すでに本葉が展開している。得られたそれぞれの系統につき、10〜14個の植物体のバイオマス量の測定結果を図1に示す。図1に示すように、#2011,#2046,#2059系統の平均生重量は、それぞれ19.5mg,18.5mg,15.6mgであった。一方において、Col−0野生株の平均バイオマス量は、11.3mgであった。即ち、#2011,#2046,#2059系統の平均バイオマス量は、Col−0野生株の平均バイオマス量に対して、それぞれ73%,64%,39%増加していた。バイオマス量が増加した植物体の割合は、#2011系統では10個体中6個体、#2046系統では10個体中6個体、#2059系統では10個体中5個体であった。
上述のAtSIG2:TaqI−NLS遺伝子導入系統の場合と同様に、得られた35S:TaqI−NLS遺伝子が導入されたシロイヌナズナの形質変換体を交配し、35S:TaqI−NLS遺伝子がホモに挿入された#878系統を取得した。さらに、#878系統及び1406野生株の種子を、AtSIG2:TaqI−NLS遺伝子導入系統の場合と同一の条件で3週間育成した。この時点において、各々の植物体は、すでに本葉が展開している。#878系統について、10〜14個の植物体のバイオマス量の測定結果を図2に示す。図2に示すように、#878系統の平均生重量は、20.9mgであった。一方において、1406野生株の平均バイオマス量は、12.6mgであった。即ち、#878系統の平均バイオマス量は、1406野生株の平均バイオマス量に対して、73%増加していた。#878系統において、バイオマス量が増加した植物体の割合は、8個体中4個体であった。
以上のことから、TaqI遺伝子を保持した植物細胞を有する植物体は、植物バイオマスが増大することがわかった。
(35S:TaqI−NLS遺伝子導入系統における根の伸長促進)
上述の#878系統及び1406野生株の種子をMS寒天培地に播種し、22℃、16時間明期8時間暗期、光強度約30〜50μmol/m/secの人工気象室で3週間育成した。その際に、MS寒天培地を縦に置き、植物の根が寒天の表面を這うように生長させた。播種から8,9,12日後に根の長さを測定し、8個体について平均値を求めた。結果を図3に示す。図3に示すように、#878系統について、8,9,12日後の平均の根の長さは、それぞれ、13.5mm,20.2mm,46.7mmであった。一方において、1406野生株について、8,9,12日後の平均の根の長さは、それぞれ、10.1mm,14.3mm,35.1mmであった。即ち、#878系統の平均の根の長さは、1406野生株の平均の根の長さに対して、8日後では34%、9日後では41%、12日後では33%増加していた。即ち、播種から8〜12日後という初期の段階においても、TaqI遺伝子を保持した植物細胞を有する植物体の植物バイオマスが増大している。
(AtSIG2:TaqI−NLS遺伝子導入によるエンドリデュプリケーションの誘発)
#2011,#2046,#2059系統、及びCol−0野生株ついて、バイオマス量測定後のロゼット葉の第一葉、第二葉を切り取り、CyStain(登録商標) UV Precise Pキット(PARTEC社製)を用いて核の抽出とゲノムDNAのDAPI染色を行った。ゲノムDNA染色後の核をフローサイトメトリCell Lab Quanta SC MPL(ベックマン・コールター社製)に供し、葉細胞の倍数性レベルを測定した。結果を図4に示す。図4によれば、#2011,#2046,#2059系統のそれぞれは、Col−0野生株と比較して、2C(二倍体)の量に大きな差はない。4C(四倍体)の量については、#2011,#2046,#2059系統のそれぞれは、Col−0野生株より少ない一方、8C(八倍体),16C(十六倍体)の量については、#2011,#2046,#2059系統のそれぞれで、Col−0野生株より多く存在している。即ち、#2011,#2046,#2059系統の倍数性レベルは、Col−0野生株の倍数性レベルよりも高い。このことから、TaqI遺伝子を保持した植物細胞を有する植物体では、倍数性が増大していることがわかる。
#2011,#2046,#2059系統、及びCol−0野生株ついて、バイオマス量とエンドリデュプリケーションの誘発との相関を図5に示す。図5では、エンドリデュプリケーションの誘発の程度を表す指標として、エンドリデュプリケーションレシオを使用している。なお、エンドリデュプリケーションレシオは、その値が大きいほどエンドリデュプリケーションが多く誘発されていることを示す。
エンドリデュプリケーションレシオ=
(8C+16C+32C)/(2C+4C+8C+16C+32C)×100
(ただし、2C、4C等、倍数体の数値は、それぞれ当該倍数性の細胞数を表す。)
図5に示すように、#2011,#2046,#2059系統の各々で、バイオマス量とエンドリデュプリケーションレシオとが相関していることがわかる。即ち、TaqI遺伝子を保持した植物細胞を有する植物体では、倍数性が増大することによって、バイオマス量が増大するといえる。
(35S:TaqI−NLS遺伝子導入によるエンドリデュプリケーションの誘発)
#878系統及び1406野生株について、#2011,#2046,#2059系統、及びCol−0野生株の場合と同一の手順によって、葉細胞の倍数性レベルを測定した。結果を図6に示す。図6によれば、#878系統は、1406野生株と比較して、2C,4Cの量は少ない。一方において、#878系統における8C,16Cの量は、1406野生株より多く存在している。即ち、#878系統の倍数性レベルは、1406野生株の倍数性レベルよりも高い。このことからも、TaqI遺伝子を保持した植物細胞を有する植物体では、倍数性が増大していることがわかる。
#878系統及び1406野生株について、それぞれの個体のバイオマス量とエンドリデュプリケーションレシオを図7に示す。図7に示すように、#878系統について、バイオマス量の大きな個体は、エンドリデュプリケーションレシオも大きい。即ち、このことからも、TaqI遺伝子を保持した植物細胞を有する植物体では、倍数性が増大することによって、バイオマス量が増大することがわかる。
(35S:TaqI−NLS遺伝子導入系統における遺伝子発現解析)
上述のTaqI−NLS遺伝子がホモに挿入された#878系統の種子と1406野生株の種子とをMS寒天培地に播種し、22℃、16時間明期8時間暗期、光強度約30〜50μmol/m/secの人工気象室で2週間育成後、RNeasy plant mini kit(Quiagen,Valencia, CA)を用いて、全RNAを抽出した。得られたRNAのうち、mRNAの定量を、HIGH Capacity RNA−to−cDNAtm Kit、Power SYBR Green PCR Master Mix、及びABI PRISM 7000(Lifetechnologies,Carlsbad,CA)を用いて、定量的リアルタイムPCRによって行った。以下に示すプライマーを用いて、TaqI遺伝子、RAD51遺伝子、AtACT2遺伝子の、それぞれのmRNAを定量し、TaqI遺伝子の発現量、RAD51遺伝子の発現量について、AtACT2遺伝子の発現量に対する相対値を求めた。上述したように、RAD51遺伝子がコードするRAD51は、DNA二本鎖が切断された場合に、DNAの損傷を修復するために機能するタンパク質である。図8には、#878系統と1406野生株についてのTaqI遺伝子の発現量の相対値を示す。1406野生株では、TaqI遺伝子が全く発現していないのに対し、#878系統では、TaqI遺伝子が発現していることがわかる。即ち、細胞の倍数性の増大と植物バイオマスの増大とは、TaqI遺伝子の発現が原因となっていることが確認された。
TaqI-F QRT: CATTGTCCGGACTCATACCC(配列番号10)
TaqI-R QRT: TTCTCTTCTCGTGGGCTTGT(配列番号11)
AtACT2-F RT: CTGTTGACTACGAGCAGGAGATGGA(配列番号12)
AtACT2-R RT: GACTTCTGGGCATCTGAATCTCTCA(配列番号13)
RAD51-F RT: CGAGGAAGGATCTCTTGCAG(配列番号14)
RAD51-R RT: GCACTAGTGAACCCCAGAGG(配列番号15)
図9には、#878系統、1406野生株についてのRAD51遺伝子の発現量の相対値を示す。図9に示すように、#878系統と1406野生株とでは、RAD51遺伝子の発現量に有意差はない。上述のように、DNA二本鎖が切断された場合、通常はRAD51遺伝子が発現されるが、#878系統では、RAD51遺伝子の発現量は増加しなかった。それは、#878系統におけるDNA二本鎖切断の頻度が低いためと考えられる。#878系統はTaqI遺伝子を保持するものの、RAD51遺伝子の発現量が増加しないため、DNAの修復は促進しない。即ち、植物細胞にTaqI遺伝子を導入する方法は、DNA二本鎖切断の頻度をより高くする他の方法に比べて、エンドリデュプリケーションの誘発に適しているといえる。
配列番号3〜15:プライマー

Claims (14)

  1. Taq、Tsp45I及びSse9Iからなる群から選択される1又は2以上の制限酵素をコードする外来遺伝子を発現可能に保持し植物細胞を有するバイオマス増大能を取得した植物体を本葉展開後も育成する工程を備え、
    前記植物体は、前記外来遺伝子を核内局在化シグナルに連結して備及び/又は前記外来遺伝子をホモで備え、
    前記植物細胞におけるRAD51のオルソログ遺伝子の発現量が、宿主細胞である前記植物細胞の2倍未満である、植物バイオマスの生産方法。
  2. 前記RAD51のオルソログ遺伝子の発現量が、宿主細胞である前記植物細胞の1.5倍未満である、請求項1に記載の生産方法。
  3. 前記RAD51のオルソログ遺伝子の発現量が、宿主細胞である前記植物細胞の1.2倍未満である、請求項2に記載の生産方法。
  4. 前記植物体は、前記外来遺伝子を核内局在化シグナルに連結して備えるとともにホモで備える、請求項1〜3のいずれかに記載の植物バイオマスの生産方法。
  5. 前記植物体又はその一部におけるエンドリデュプリケーションレシオが15%以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の生産方法。
  6. 前記エンドリデュプリケーションレシオが20%以上である、請求項5に記載の生産方法。
  7. 前記外来遺伝子は、配列番号2で表されるアミノ酸配列と95%以上の同一性を有し、DNA二本鎖切断活性を有するタンパク質をコードする、請求項1〜6のいずれかに記載の生産方法。
  8. 前記外来遺伝子は、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター又はシロイヌナズナSIG2プロモーターによって作動可能に備えられる、請求項1〜7のいずれかに記載の生産方法。
  9. Taq、Tsp45I及びSse9Iからなる群から選択される1又は2以上の制限酵素をコードする外来遺伝子を植物細胞に導入して形質転換植物細胞を取得する工程と、
    前記形質転換植物細胞から前記外来遺伝子を発現可能に保持してバイオマス増大能を取得した植物体を取得する工程と、
    を備え、
    前記植物体は、前記外来遺伝子を核内局在化シグナルに連結して備及び/又は前記外来遺伝子をホモで備え、
    前記植物細胞におけるRAD51のオルソログ遺伝子の発現量が、宿主細胞である前記植物細胞の2倍未満である、植物バイオマスの生産方法。
  10. Taq、Tsp45I及びSse9Iからなる群から選択される1又は2以上の制限酵素をコードする外来遺伝子を保持し、
    前記外来遺伝子を核内局在化シグナルに連結して備及び/又は前記外来遺伝子をホモで備え、
    倍数性が増大された植物細胞を有してバイオマス増産能を備え、
    前記植物細胞におけるRAD51のオルソログ遺伝子の発現量が、宿主細胞である前記植物細胞の2倍未満である、植物体。
  11. 請求項10に記載の形質転換植物体を親植物体とする、交配によって得られる植物体。
  12. 請求項10又は11に記載の植物体の種子。
  13. 請求項10又は11に記載の植物体である第1の植物体と第2の植物体とを用いて交配によりバイオマス増大能を有する植物体を取得する、バイオマス量の増大能を有する植物体の生産方法。
  14. 請求項10又は11に記載の植物体のバイオマスを原料として発酵する工程を備える、有用物質の生産方法。
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