JP6035599B2 - 両面粘着フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、携帯電話、デジタルカメラ、テレビ、コンピューター、その他の電子機器の表示パネルの製造に用いることのできる両面粘着フィルムに関する。
電子機器等の表示パネルでは、透明な表示部の外周に、内部配線の隠ぺいやデザイン性を考慮した、所謂装飾部が設けられている。この装飾部は、遮光性やデザイン性を有するパターン、ロゴなどを含むものであって、従来の表示パネルでは、プラスチックフィルムやガラスで構成された透明基板上に、単層または複数のパターンを積層することにより装飾層を形成し、装飾層が形成された透明基板は、両面粘着テープを介して別の透明基板と貼り合わされている。装飾層は、シルク印刷方式で形成されることが多い。一般に、赤外線センサー用の赤外線透過膜や管理用のバーコードなど、透明基板上に1μm以上の膜厚で形成されるものは、装飾層の一つと考えられている。
特開2009−155503号公報(特許文献1)や特開2012−17386号公報(特許文献2)には、装飾部が設けられた透明パネルを画像表示装置表面に貼付固定するための両面粘着テープが開示されている。
特開2003−255847号公報(特許文献3)には、表示装置の表示面の保護に用いられるカバーウインドウを貼り付けるため、表示面の周囲の一部又は全部を遮光する装飾部を有する両面粘着シートが開示されている。
従来技術のように、装飾層を形成した透明基板に、両面粘着テープを介してもう一枚の透明基板を貼り合せる場合、装飾層の膜厚により生ずる段差に起因して気泡やしわなどの不具合が発生する問題がある。そのため、装飾部の膜厚と比較して2倍以上の膜厚の粘着テープを用いたり、貼り合せ後に加圧・加熱処理(オートクレーブ)したり、装飾部以外の表示部のみに透明樹脂を充填したりするなど、段差や気泡を低減するための対策がとられている。
透明基板として化学強化ガラスを用いる場合には、強化処理後にガラスを所望のサイズに加工することが困難なため、表示パネルのサイズにガラスを加工してから強化処理をしている。このため、化学強化ガラスの透明基板に装飾層を印刷する場合、多面付で処理できないこととなり、多色印刷になるほど生産効率が低下する。このように、装飾層の印刷工程や透明基板の貼合せ工程、貼り合わせ後の気泡対策工程で発生する歩留り損が、製造コストに大きく影響するため、高価な透明基板を用いた場合など、不具合品を再剥離してリペアするなどの対策が必要になっている。
特許文献3では、透明基板としてフィルム基材を用い、その一面側に予め装飾部を設けた、両面粘着シートが提案されている。このようにフィルム基材を含む両面粘着シートを使用すると、透明基板とフィルム基材の収縮差により、環境曝露下で反りなどの不具合を発生することがある。
また、両面粘着シートを表示パネルに貼り合せる時に、粘着面が被着面に追従するのを剛性のあるフィルムが妨げるように作用する傾向がある。このため、このような両面粘着シートには、気泡が発生しやすいことや、貼り合せた後の気泡低減効果が低いことなどのデメリットがある。
また、表示パネルの薄型化により、それに用いる透明基板も薄くなる傾向がある。しかしフィルム基材を含む両面粘着シートはフィルム基材を含むため、表示パネルの総厚を厚くしてしまい、薄型化に不利に働いてしまうものである。
このような不具合は、フィルム基材を薄くすることで低減することが可能であるが、薄いフィルム基材を用いると、製造工程においてシワや折れなどの不良が多発することとなるため、望ましくない。
また、フィルム基材には、フィルム強度や耐熱性の観点から延伸フィルムを使用することが多い。このため、偏光メガネ越しに表示パネルを見た場合に、延伸フィルムが、その複屈折により外観のムラなどを発生させる要因となることがある。
特開2009−155503号公報 特開2012−17386号公報 特開2003−255847号公報
本発明は、上記従来技術の課題を解決して、透明基板を貼り合わせて表示パネルを容易に形成することができるとともに、気泡やしわなどの不具合が発生しにくい、両面粘着フィルムを提供することを目的とするものである。
すなわち、本発明は、複数の透明基板を貼り合わせて表示パネルを形成するための両面粘着フィルムであって、前記両面粘着フィルムは、剥離性フィルムと、前記剥離性フィルム上に形成された積層体であって、第1の粘着層と装飾層とを含む前記積層体とを有し、前記装飾層は、前記両面粘着フィルムにより前記透明基板を貼り合せて前記表示パネルを形成したときに、前記表示パネルの表示部に相当する部分以外の部分に存在するよう、前記積層体において設けられていることを特徴とする両面粘着フィルムである。
前記装飾層は、前記両面粘着フィルムにより前記透明基板を貼り合せて前記表示パネルを形成したときに、前記表示パネルの前記表示部の外周部を囲う額縁形状が形成されるように、前記積層体において設けられていてもよい。
第1の粘着層は、前記装飾層を覆うように、前記積層体において設けられていてもよい。
本発明はまた、複数の透明基板を貼り合わせて表示パネルを形成するための両面粘着フィルムであって、前記両面粘着フィルムは、剥離性フィルムと、前記剥離性フィルム上に形成された積層体であって、第1の粘着層と、第2の粘着層と、前記第1の粘着層と前記第2の粘着層との間に設けられた装飾層とを含む、前記積層体とを有し、前記装飾層は、前記両面粘着フィルムにより前記透明基板を貼り合せて前記表示パネルを形成したときに、前記表示パネルの表示部に相当する部分以外の部分に存在するよう、前記積層体において設けられていることを特徴とする両面粘着フィルムである。
前記装飾層は、前記両面粘着フィルムにより前記透明基板を貼り合せて前記表示パネルを形成したときに、前記表示パネルの前記表示部の外周部を囲う額縁形状が形成されるように、前記積層体において設けられていてもよい。
本発明において、前記第1の粘着層と前記第2の粘着層との間に、第1の透明樹脂層を設けることができる。
一態様において、前記第1の透明樹脂層は、前記装飾層と重ならないように、積層体において設けてられていてもよい。
別の一態様において、前記装飾層は、前記第1の透明樹脂層の上に形成されていてもよい。
本発明において、前記第1の粘着層と前記第2の粘着層との間に、さらに第2の透明樹脂層が設けられていてもよい。
一態様において、前記第2の透明樹脂層は、前記装飾層と重ならないように、積層体において設けてられていてもよい。
別の一態様において、前記第2の透明樹脂層は、前記装飾層を覆うように、積層体において設けられていてもよい。
本発明において、前記第1の粘着層及び前記第2の粘着層のうち少なくとも一方を、前記装飾層の外縁よりも内側に設けることとしてもよい。
本発明はさらに、複数の透明基板を貼り合わせて表示パネルを形成するための両面粘着フィルムの製造方法であって、(a)仮支持体の表面の一部に、装飾層を形成する工程、(b)前記仮支持体の前記一部以外の部分及び前記装飾層の上に、第1の粘着層を形成する工程、(c)前記第1の粘着層の上に、剥離性フィルムを積層する工程、(d)前記仮支持体を剥離して、前記第1の粘着層及び前記装飾層を前記剥離性フィルム側に転移させる工程、及び(e)セパレータフィルムの上に第2の粘着層を形成した粘着フィルムを、前記第1の粘着層及び前記装飾層の面に前記第2の粘着層を対向させて積層する工程を含むことを特徴とする製造方法である。
本発明によれば、セパレータフィルムや剥離性フィルムなどに剛性のある材料を用いることにより、両面粘着フィルムを製造する際の搬送時の不具合や、従来延伸フィルム同士の貼り合せなどで発生していたツイストカールなどの工程不具合がなく、安定した両面粘着フィルムの作製が可能となるとともに、透明基板の貼り合せの際には、剛性のあるセパレータフィルムや剥離性フィルムは剥離して表示パネルに組み込まれないため、フィルム基材を含む従来の両面粘着シートを用いた時のような不具合を防止することができる。このように、本発明によれば、気泡やしわなどの不具合を発生させることなく、装飾層を設けた両面粘着フィルムにより透明基板を貼り合わせて表示パネルを容易に形成することが可能となる。
本発明の両面粘着フィルムの正面図(a)、断面図(b)、及び透明基板を貼り合せたときの断面図(c)である。 本発明の別の両面粘着フィルムの正面図(a)、断面図(b)、及び透明基板を貼り合せたときの断面図(c)である。 図2に示す本発明の両面粘着フィルムの作製方法の一例を示す図である。 本発明のまた別の両面粘着フィルムの断面図である。 本発明のさらに別の両面粘着フィルムの断面図である。 本発明の別の両面粘着フィルムの断面図(a)、及び透明基板を貼り合せたときの断面図(b)である。 本発明の実施例の両面粘着フィルムの作製方法の一例(a)、及び正面図、断面図、及び透明基板を貼り合せたときの断面図である。 本発明の他の実施例の両面粘着フィルムの作製方法の一例(a)、及び正面図、断面図、及び透明基板を貼り合せたときの断面図である。 ロール形態を有する実施例のフィルムの概略図である。 比較例で作製した表示パネルの正面図、及び作製途中及び完成した表示パネルの断面図である。 実施例及び比較例について行った評価実験の結果を示す図である。
以下、本発明の両面粘着フィルムについて、実施の形態をもって説明するが、本発明はこれら実施の形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の一態様による両面粘着フィルムの(a)正面図、(b)断面図、及び、(c)両面粘着フィルムによって複数の透明基板を貼り合せて表示パネルを形成したときの断面図を示す。本発明のこの態様による両面粘着フィルムは、剥離性フィルム1と、剥離性フィルム1の上に形成された、第1の粘着層2と装飾層3とを含む積層体とを有している。装飾層3は、本発明の両面粘着フィルムによって、複数(ここでは2枚)の透明基板TS、TS’を貼り合せて表示パネルを形成したときに、表示パネルの表示部Aに相当する部分以外の部分に存在するよう、積層体において設けられている。
図1に示す本発明の態様では、粘着層2を埃や傷から保護するために、セパレータフィルムSFが設けられている。また、この態様では、装飾層3が、両面粘着フィルムで透明基板TS、TS’を貼り合せて前記表示パネルを形成したときに、表示パネルの表示部Aの外周部を囲う額縁形状(図中B)が形成されるように、積層体において設けられている。この額縁形状の領域Bに、デザイン性を有するパターンやロゴなどの文字や絵柄を設けることとしても良い。
本発明によると、装飾層3を覆うように第1の粘着層2を積層体において設けることができ、装飾層3が粘着層2内に設けられることとなるため、通常の両面粘着フィルムの貼り合せ装置を用いて、透明基板TSを貼り合せることが可能である。すなわち、セパレータフィルムSFを剥離し、被着体となる平滑な透明基板TSに加圧しながら両面粘着フィルムを貼りつけた後、剥離性フィルム1を剥離して、もう一枚の透明基板TS’を貼りつけることにより、表示パネルを形成することができる。本発明によれば、両面粘着フィルムが装飾層を含むものであるため、従来技術のように透明基板に予め装飾層を形成する必要がない。このため、1μm以上の段差のない平滑な透明基板に両面粘着フィルムを貼付けることができることとなり、貼り付け時の気泡の発生を低減することができる。
図2は、本発明の別の態様による両面粘着フィルムの(a)正面図、(b)断面図、及び、(c)両面粘着フィルムによって複数の透明基板を貼り合せて表示パネルを形成したときの断面図を示す。本発明のこの態様による両面粘着フィルムは、剥離性フィルム1と、剥離性フィルム1の上に形成された、第1の粘着層2と、第2の粘着層4と、第1の粘着層2と第2の粘着層4との間に設けられた装飾層3とを有している。装飾層3は、本発明の両面粘着フィルムによって、複数(ここでは2枚)の透明基板TS、TS’を貼り合せて表示パネルを形成したときに、表示パネルの表示部Aに相当する部分以外の部分に存在するよう、積層体において設けられている。
図2に示す本発明の態様では、第2の粘着層4を埃や傷から保護するために、セパレータフィルムSFが設けられている。また、この態様では、装飾層3が、表示パネルの表示部Aの外周部を囲う額縁形状(図中B)が形成されるように、積層体において設けられている。
図3は、図2に示すような本発明の両面粘着フィルムの一態様の作製方法の一例を示す図である。
本発明の両面粘着フィルムの製造方法は、仮支持体TCの表面の一部、具体的には、表示パネルを形成したときに、表示パネルの表示部に相当する部分以外の部分に、装飾層3を印刷などにより形成する工程(工程(a))、仮支持体TCの上記一部以外の部分及び装飾層3の上に、第1の粘着層2を形成する工程(工程(b))、第1の粘着層2の上に、剥離性フィルム1をラミネートなどによって積層する工程(工程(c))、仮支持体TCを、第1の粘着層2及び装飾層3から剥離して、仮支持体TCに対向していた第1の粘着層2及び装飾層3の面を露出させる工程(工程(d))、セパレータフィルムSF上に第2の粘着層4を形成した粘着フィルムを、露出した第1の粘着層2及び装飾層3の面に第2の粘着層4を対向させてラミネートなどによって積層する工程(工程(e))を含む。
この作製方法によると、装飾層3の上に第1の粘着層2をウェット状態で積層塗布形成することができ、装飾層3と第1の粘着層2との間などに気泡がなく、また貼り合せ面の平滑な、粘着層を形成することが可能となる。そのため、本発明の製造方法により作製した両面粘着フィルムの剥離性フィルムを剥離して透明基板に貼り合せる時、加圧しながら貼り合わせるだけで、従来技術で問題となっていた気泡の発生を防ぐことが可能となり、加熱などの処理をする場合であっても、従来技術の方法が要する時間と比較して短時間で処理を行うことができ、表示パネルの生産効率を高めることが可能となる。
図4は、本発明の別の態様による両面粘着フィルムの断面図である。この態様では、第1の粘着層2と第2の粘着層4の間に、第1の透明樹脂層5を設けている。図4に示す態様では、装飾層3を覆うように第1の透明樹脂層5が設けられている。このように第1の透明樹脂層5を設けることにより、この第1の透明樹脂層5の上に装飾層3を印刷などによって形成することが可能となる。装飾層3を塗料を用いて形成する場合には、第1の透明樹脂層5を塗布することで塗料のぬれ性が一層良好となり、粘着層や仮支持体の離型層の影響を受けることなく、印刷適性を向上させることができる。また、両面粘着フィルムの構造中に第1の透明樹脂層5を採用することによって、両面粘着フィルムを作製する上での工程設計の自由度が高くなる。第1の透明樹脂層5は、装飾層3と重ならないように、装飾層3の段差を埋めるように設けることとしても良い。
図5は、本発明のさらに別の両面粘着フィルムの断面図である。この態様では、第1の粘着層2と第2の粘着層4との間に、さらに第2の透明樹脂層6を設けている。
図5(a)に示す態様では、装飾層3と重ならないように第2の透明樹脂層6を設けて、装飾層3の段差を埋めるようにしている。
図5(b)に示す態様では、装飾層3を覆うように第2の透明樹脂層6を設けて、装飾層3の上の段差や粗さを埋めるようにしている。
このように、第2の透明樹脂層6を採用することにより、装飾層の膜厚による段差を低減することができ、粘着層をドライ状態の粘着フィルムでラミネートにより形成することも可能となる。また粘着塗料を用いて粘着層を積層塗布形成する場合であっても、図5(b)のように構成することにより、第2の透明樹脂層6が装飾層3への溶剤の浸み込みを防止する効果も得られる。また透明樹脂層は粘着層との密着が良好なものを採用することができるため、本発明の両面粘着フィルム内の積層体の層間の密着力を高めるなどのメリットもある。
本発明の両面粘着フィルムにおいて、透明樹脂層1、透明樹脂層2を設けることで、両面粘着フィルムの製造工程設計の自由度が向上し、工程中の不具合を低減でき、安定した生産を可能とすることができる。
このように、本発明によれば、装飾層から粘着層までをフィルム形態で製造することができるため、歩留り損による損失が低く、またロール形態での工程設計ができるため、透明基板上にパターンを積層することにより装飾層を形成していた従来工法と比較して、生産効率においてメリットがある。
図6に示す態様では、第1の粘着層2を装飾層3の外縁よりも内側に設けている(図6(a))。粘着層2を装飾層3の外周端の内側に設けることで、透明基板TS’のサイズが小さい場合にも対応することが可能となる(図6(b))。粘着層2のパターンを形成する方法としては、スクリーン印刷などで形成する方法や、剥離性フィルム1に粘着層2を形成した後、これを所望のパターンにカットして貼り合わせる方法などをとることができる。
本発明の両面粘着フィルムを用いて形成された表示パネルは、従来技術において使用されていたような延伸された基材を含まない構成とすることが可能となるため、基材の複屈折の影響を受けないパネル特性、及び表示パネルの薄型化に適した設計が可能となる、というメリットがある。
次に、本発明の両面粘着フィルムの各構成について説明する。
剥離性フィルムとしては、ポリメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂などが使用できる。粘着層との剥離適性を調整するため、シリコーン系やアルキド樹脂などによる離型層をフィルム上に設けてもよい。剥離性フィルムの形態は、シート形態、ロール形態など製膜装置に合わせて適切な形態を選択することが可能である。
セパレータフィルムや仮支持体としての剥離性フィルムについても、上記剥離性フィルムと同様のものを用いることができる。剥離性フィルム及びセパレータフィルムのうちいずれのフィルムを先に剥離して施工するかによって、これらのフィルムの剥離重さを調整することが可能である。フィルムの剥離重さは、フィルム基材の厚みや離型剤の種類や膜厚、粘着剤の種類や膜厚によって調整することが可能である。
装飾層としては、インクジェット、ディスペンサー、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、及び各種コーティング方式や転写方式、蒸着方式などの方法で、所望のデザインの色やパターンを形成することができる。装飾層を形成するための塗料やインクには、製膜方法に合わせた消泡剤やぬれ性向上剤などを添加することができ、必要により硬化剤などを配合してもよい。
両面粘着フィルムの積層体の構成も、多種多様に所望のデザインに合わせることで、装飾部で段差が発生する場合がある。本発明によれば、装飾部と表示部の段差だけでなく、装飾部内の段差に関しても、貼り合せ時の気泡を対策するように両面粘着フィルムを形成することができる。
粘着層は、表示パネルの表示部にも形成されるため、透明性が必要とされる。粘着層を形成する粘着剤種としては、ゴム系、アクリル系、ビニルエーテル系、ウレタン系、シリコーン系などを使用できるが、耐環境特性や所望の特性を得るための組成設計の自由度の観点から、(メタ)アクリル系粘着剤を使用するのが好ましい。また、粘着剤の形態としては、水溶性、溶剤系、エマルジョン系、無溶剤系などの形態を選択できるが、装飾層に直接粘着層を積層する場合には、装飾層を溶解しにくい形態を選択することが好ましい。さらに、粘着層の凝集力を調整し、あるいは製膜時のレベリング性やフィルム基材へのぬれ性を向上させることなどを目的として、粘着剤に添加剤を配合することができる。粘着層にUV硬化塗料を用いると、装飾層を溶剤で溶解するリスクが低いといった利点がある。粘着層にUV硬化塗料を用いる場合、UV照射時にUV硬化膜表面が酸素阻害により硬化不具合を発生することがあるため、フィルムなどを貼り合せた状態でUV照射したり、不活性雰囲気でUV照射したりするなど、一般的な手法で酸素を遮断して形成することが重要である(UV硬化技術入門、p83、1984年1月15日、著者加藤清視、(株)高分子刊行会参照)。
粘着層の膜厚は、表示パネルの設計に応じて設定することが可能であるが、粘着力を十分に発揮するためには、5μm以上であるのが好ましく、10μm以上がより望ましい。粘着層の形成方法としては、各種印刷方式や塗布方式を選択することが可能である。
第1の粘着層と第2の粘着層とは、同一のものとしてもよいが、被着体となる透明基板の種類や表示パネルの特性に合わせて、それぞれ最適な膜厚や種類を設定すれば良い。例えば、一方の透明基板にITOパターンが形成されている場合には、経時的な抵抗値の増加を防ぐため、当該一方の透明基板に貼り合わせる粘着層のみ、アクリル酸フリーのアクリル粘着剤を選択しても良い。粘着層は、貼り合わせる透明基板によって、表示部の透明性を高めるため、屈折率を調整して透過率を高める組成にすることが望ましい。
透明樹脂層は、表示パネルの表示部に相当する部分にも形成されるものであるため、透明性を必要とする。透明樹脂層としては、アクリル系、ポリエステル系、フェノキシ系、ウレタン系、シリコーン系など選択することが可能であるが、耐環境性の観点から(メタ)アクリル系を使用するのが好ましい。透明樹脂層上に装飾層を形成する場合には、各印刷方式に用いられる版やローラー等に透明樹脂層が接触するという観点から、透明樹脂層がタックレスであるのが好ましい。また、透明樹脂層上に装飾層を印刷により形成する際に、印刷不具合のないよう、装飾層用の塗料溶剤などに耐性のある材料を透明樹脂層用に選択することが好ましい。硬化剤などにより溶剤耐性を向上させた組成を有する材料を、透明樹脂層に使用することができる。イソシアネート硬化剤を使用して耐溶剤性などを向上させる場合、HDI系のイソシアネート硬化剤を使用することで、環境曝露における黄変などの不具合を発生しにくいことから好ましい。透明樹脂層としては、ガラス転移温度が30℃以上、好ましくは40℃以上の材料や硬化膜を採用することが望ましい。
第1の透明樹脂層と第2の透明樹脂層2とは、同じものを用いてもよいが、粘着層や装飾層、剥離性フィルムの種類や、表示パネルの特性に合わせて、膜厚や樹脂種などそれぞれ最適なものを設定しても良い。
透明樹脂層には、粘着層と同様に、UV硬化塗料を用いことができる。
以下に実施例および比較例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
図7(a)を参照して、まず、仮支持体TCとなる剥離性フィルムとして、シリコーン離型層を設けた厚さ50μmのPETフィルム(藤森工業製:DG2.5)を準備した。離型層面にシルバーミラー塗料(セイコーアドバンス製:クロムシルバー300MR)をスクリーン印刷して、100℃、5分の乾燥し、膜厚1μmのロゴパターンを形成した。その上に、黒塗料(帝国インキ製:GLS-HF919-墨)をスクリーン印刷して、100℃で5分間乾燥して、膜厚10μmの黒層の額縁状パターンを有する装飾層3を仮支持体TCの上に積層した(工程(i))。このように形成された装飾層3は、表示パネルの表示部の外周部に相当する部分に設けられており、額縁状パターンを有する装飾層3の内側が、表示パネルの表示部に相当することになる。
次に、無溶剤のアクリル系UV硬化型粘着塗料(ソニーケミカル&インフォメーションデバイス製:11X12A-2K-1)を用いて、アプリケーターにより、額縁状パターンを有する装飾層3の内側(表示部)の膜厚が30μmとなるように、装飾層3と仮支持体TCの表示部に相当する部分を覆うように、第1の粘着層2を積層塗布した(工程(ii))。
第1の粘着層2の上に、剥離性フィルム1として、シリコーン離型層付PETフィルム(帝人デュポン製:A31、厚さ:38μm)をラミネートした。水銀光源ランプを用いて、積算光量:2000mJで、剥離性フィルム1を介して酸素遮断してUV照射し、第1の粘着層2を硬化処理して、装飾層付粘着シートを作製した(工程(iii))。
別途、セパレータフィルムSFとして、シリコーン離型層付PETフィルム(帝人デュポン製:A43、厚さ:38μm)を準備した。離型層面に、重量平均分子量(Mw)40万のイソブチルアクリレートを、固形分が30wt%となるように酢酸エチルに溶解した粘着層塗料を、アプリケーターで塗布し、100℃で2分間乾燥して、膜厚10μmの第2の粘着層4を形成し、粘着層付フィルムを作製した。
最後に、先の装飾層付粘着シートの仮支持体の剥離性フィルム(DG2.5)を剥離して、第1の粘着層2及び装飾層3の面を露出させ(工程(iv))、別途作製した粘着層付フィルムの第2の粘着層4を対向させて、貼り合せてラミネートした(工程(v))。ビグ刃CBの抜き型で、ラミネートフィルムを60mm×120mmのサイズにカットし、両面粘着フィルムを作製した(工程(vi))。
図7(b)を参照して、作製した両面粘着フィルムのセパレータフィルムSFを剥離し、透明基板TS(厚1.1mm、サイズ60mm×120mmのソーダライムガラス)に貼り合せ、剥離性フィルム1越しにスキージで加圧して接着した。その後、剥離性フィルム1を剥離して、もう一枚の透明基板TS’を反らせながら、ガラス越しにスキージで加圧して貼り合せた後、オートクレーブ処理により、表示パネルを作製した。表示パネルは、表示部Aの外周部を囲う装飾部であって、装飾層3(B’)によって形成されたロゴパターン部分と、装飾層3(B)によって形成された額縁形状部分とからなるものを備えていた。
(実施例2)
実施例1と同様に、ロゴパターンまで形成した。その上に、黒塗料(帝国インキ製:GLS-HF919-墨+GSLガラス用補強剤=100wt%+0.5wt%)をスクリーン印刷して、90℃で30分間乾燥・熱硬化し、膜厚10μmの黒層の額縁状パターンを積層して、表示パネルの表示部の外周部に相当する部分に、装飾層3を形成した。
次に、重量平均分子量(Mw)40万のイソブチルアクリレートを、固形分が30wt%となるように酢酸エチルに溶解して、粘着層用の塗料を用意した。アプリケーターを使用して、表示部の膜厚が20μmとなるように、装飾層3及び仮支持体TCを覆うように上記塗料を塗工し、100℃で2分間乾燥して、第1の粘着層2を形成した。
第1の粘着層2の上に剥離性フィルム1として、シリコーン離型層付PETフィルム(帝人デュポン製:A31、厚さ:38μm)をラミネートした後、40℃に温調した金属板を用いて0.025MPa/cm2の加圧により、粘着層の表面のうねりをならした。
次いで、実施例1と同様の方法で、両面粘着フィルムを作製し、この両面粘着フィルムを使用して、表示パネルを作製した。
(実施例3)
実施例1と同様の方法で、第1の粘着層2まで形成した装飾層付粘着シートを作製した。厚さ50μmのシリコーン離型層付PETフィルム上に、膜厚25μmの粘着層(第2の粘着層4)が形成されている粘着テープ(日東電工製:CS6661T)を、粘着層付フィルムとして用いて、装飾層付粘着シートの仮支持体の剥離性フィルム(DG2.5)を剥離した面に、粘着層付フィルムの粘着層をニップしてラミネートし、ビグ刃の抜き型で60mm×120mmのサイズにカットし、両面粘着フィルムを作製した。
次いで、この両面粘着フィルムを使用して、実施例1と同様の方法で、表示パネルを形成した。
(実施例4)
図8(a)を参照して、アクリル樹脂粉末(共栄社化学製:オリコックスKC7000、ガラス転移温度:45℃)をトルエン/メチルエチルケトン=50/50の混合溶剤に溶解して、固形分30%の溶液を作製し、アクリル樹脂100wt%に対し、HDI系イソシアネート硬化剤(旭化成ケミカルズ製:デュラネート24A-100)を1wt%配合したアクリル塗料を準備した。仮支持体TCの剥離性フィルムとして、シリコーン離型層を設けたPETフィルム(藤森工業製:DG2.5、厚さ:50μm)を用いて、離型層面にアプリケーターでアクリル塗料を塗工後、120℃で30分間乾燥・熱硬化処理して、膜厚10μmの透明樹脂層5を形成した。
透明樹脂層5の上に、ロゴパターン、額縁状パターンを有する装飾層3を形成し、実施例1と同様の方法で、両面粘着フィルムを作製し、この両面粘着フィルムを使用して、表示パネルを作製した。(図8(b)参照)
(実施例5)
実施例4と同様の方法で、装飾層3まで形成した。次に、装飾層3と重ならないように、表示部に相当する仮支持体TCの領域に、ポリエステル系透明塗料(帝国インキ製造製:TOC-HF-メジウム+106硬化剤=100+2)をスクリーン印刷して、90℃で30分間乾燥・硬化処理して、膜厚10μmの第2の透明樹脂層6を形成した。
次に、厚さ50μmのシリコーン離型層付PETフィルム(剥離性フィルム1)上に、膜厚25μmの粘着層(第1の粘着層2)が形成されている粘着テープ(日東電工製:CS6661T)を、粘着層付フィルムとして用いて、装飾層3と第2の透明樹脂層6を覆うように、第1の粘着層2をニップしてラミネート形成した。
次いで、実施例3と同様の方法により、図5(a)に示すような構造を有する両面粘着フィルムを作製し、この両面粘着フィルムを使用して、表示パネルを作製した。
(実施例6)
実施例4と同様の方法で、装飾層3まで形成した。次に、無溶剤のアクリル系UV硬化型塗料(東洋インキ製:TU498 FDSS CT メジウム)を用いて、アプリケーターにより、装飾層3と仮支持体TCの表示部に相当する部分を覆うように、第2の透明樹脂層6を積層形成した。第2の透明樹脂層6の上に、剥離性フィルム1として、シリコーン離型層付PETフィルム(帝人デュポン製:A31、厚さ:38μm)をラミネートした。水銀光源ランプを用いて、積算光量:2000mJで、剥離性フィルム1を介して酸素遮断してUV照射し、硬化処理した膜厚20μmの第2の透明樹脂層6を形成し、装飾層付粘着シートを作製した。
次いで、実施例5と同様の方法により、図5(b)に示すような構造を有する両面粘着フィルムを作製し、この両面粘着フィルムを使用して、表示パネルを作製した。
(実施例7)
仮支持体TCとなるロール形態の剥離性フィルムとして、シリコーン離型層を設けたPETフィルム(藤森工業製:DG2.5、厚:100μm、幅:230mm、長:500m)を準備した。離型層面に、実施例4と同様のアクリル塗料をノズルコーターで、塗工幅210mmで製膜し、120℃で3分間乾燥し、膜厚10μmの透明樹脂層5を有するロール形態のフィルムを作製した。第1の透明樹脂層5を形成したロールフィルムを室温で7日間放置して、第1の透明樹脂層5を硬化処理した。ロールtoロールのスクリーン印刷機を用いて、透明樹脂層5の上に、実施例1と同様に、装飾層3を形成した。
次に、装飾層3と仮支持体TCの表示部に相当する部分を覆うように、無溶剤のアクリル系UV硬化型塗料(東洋インキ製:TU498 FDSS CT メジウム)をナイフコーターで塗工し、第2の透明樹脂層6を形成した。酸素遮断のため、フィルム厚:38μm、幅:230mm、長:500mのシリコーン離型層付PETフィルム(帝人デュポン製:A31)の離型面を塗工面にラミネートした。水銀光源ランプを用いて、積算光量:2000mJで離型層付PETフィルムを介してUV照射により第2の透明樹脂層6を硬化処理した後、離型層付PETフィルムを剥離して、膜厚20μmの透明樹脂層6を有するロール形態のフィルムを作製した。
次に、セパレータフィルムSFとして使用する、フィルム厚:50μm、幅:220mm、長:500mのシリコーン離型層付PETフィルムの上に、膜厚25μmの第2の粘着層4を形成した粘着テープ(日東電工製:CS6661T)を用いて、第2の粘着層4が、装飾層3と透明樹脂層6とを覆うようにニップして、ロールtoロールでラミネートした。
仮支持体となる剥離性フィルム(DG2.5)を剥離し、第1の透明樹脂層5に、剥離性フィルム1として使用する、フィルム厚:50μm、幅:210mm、長:500mのシリコーン離型層付PETフィルムの上に、膜厚25μmの第1の粘着層2を形成した粘着テープ(日東電工製:CS6661T)を用いて、第1の粘着層2と第1の透明樹脂層5をニップして図9に示すようにロール形態でラミネート形成した。
次いで、実施例1と同様の方法で、両面粘着フィルムを作製し、この両面粘着フィルムを使用して、表示パネルを作製した。
(実施例8)
実施例7と同様の方法で、第1の透明樹脂層5まで形成した。次に、第1の透明樹脂層5の上に、第1の装飾層として無溶剤系UV硬化型シルバー塗料(東南インキ製:APOシルバー白口)を樹脂凸版印刷にて、UV硬化後、膜厚2μmでロゴパターン形成した。その上に第2の装飾層として無溶剤系UV硬化型黒塗料(東洋インキ製:FDS墨TKロ)を用いて、樹脂凸版印刷で3回積層後、額縁状の黒層パターンを膜厚10μmで積層形成した。
次いで、実施例7と同様の方法で、両面粘着フィルムを作製し、この両面粘着フィルムを使用して、表示パネルを作製した。
(実施例9)
実施例7と同様の方法で、両面粘着フィルムを作製した。透明基板TSとして、厚0.1mm、60mm×120mmのPETフィルムを準備し、両面粘着フィルムのセパレータフィルムSFを剥離して、剥離性フィルム1越しにスキージで加圧して接着した。次に、剥離性フィルム1を剥離して、もう一枚の透明基板TS’(同寸法のPETフィルム)を貼り合わせ、透明基板越しにスキージで加圧して接着し、表示パネルとして作製した。
(比較例1)
図10を参照して、透明基板TSとして、厚1.1mm、60mm×120mmのソーダライムガラスを準備した。シルバーミラー塗料(セイコーアドバンス製:クロムシルバー300MR)をスクリーン印刷し、100℃で5分間乾燥して、膜厚1μmのロゴパターンB’を形成した。その上に、黒塗料(帝国インキ製:GLS-HF919-墨)をスクリーン印刷し、100℃で5分間乾燥して、額縁状の黒層パターンBを膜厚10μmで積層印刷し、装飾部を表示部Aの周りに形成した透明基板TSを作製した。
セパレータフィルムSFとして用いるフィルム厚:50μmのシリコーン離型層付PETフィルム上に、膜厚25μmの粘着層2を形成した粘着テープ(日東電工製:CS6661T)を、60mm×120mmにカット後、粘着層2をニップして、装飾層3を形成した透明基板TSの上にラミネートした。離型層付PETフィルムを剥離して、もう一つの透明基板TS’として同サイズのガラスを若干反らせながらスキージで加圧して貼り合せた後、オートクレーブ処理により、表示パネルを作製した。
(比較例2)
比較例1と同様の方法で、装飾部を形成した透明基板TSを作製した。その上に、フィルム厚:50μmのシリコーン離型層付PETフィルム上に膜厚175μmの粘着層を設けた粘着テープ(日東電工製:CS9837T)を60mm×120mmにカット後、粘着層をニップしてラミネート形成した。離型層付PETフィルムを剥離して、もう一つの透明基板TS’として同サイズのガラスを反らせながらスキージで加圧して貼り合せた後、オートクレーブ処理により表示パネルを作製した。
(比較例3)
透明基板TSとして、厚0.1mm、60mm×120mmのPETフィルムを用いて、比較例2と同様の方法で粘着層まで形成した。次いで、離型層付PETフィルムを剥離して、もう一つの透明基板TS’として同サイズのPETフィルムを反らせながらスキージで加圧して貼り合せ、表示パネルを作製した。
(評価方法)実施例及び比較例において、フィルムを1枚目の透明基板に貼り合せた状態(セパレータフィルムを剥離して2枚目の透明基板に貼り合わせる前の状態)で、気泡が認められないかなど、外観を確認した。次いで、装飾部から表示部へ跨いでセパレータフィルム上から触針形状測定機(東京精密製-SURFCOM1500)を用いて、ISO95段差測定条件に準拠して、段差を測定した。段差3.0μm以内を○と判定した。
また、2枚の透明基板を貼り合わせて作製した表示パネルについて、オートクレーブ処理後の外観を目視にて観察し、気泡などの不具合が発生していないかなど、外観を確認した。
評価結果を表1及び図11に示す。
[表1]結果
表1に示されているとおり、本発明の両面粘着フィルムは、貼り合せ面が平滑なため、透明基板に気泡なく貼り合せることができた。
また、1枚貼り合せた後のフィルムの段差が2μm以下であり(図11(a)のグラフ)、軟質な粘着材質であることから、2枚目の透明基板の貼り合せによる気泡も少なく、オートクレーブ処理後、気泡のない良好な外観を得ることができた(図11(a)の写真)。
一方、比較例では、粘着層が薄いと装飾層の段差部に気泡が発生しやすく、且つ粘着層貼り合せ後の段差が大きいため(図11(b)のグラフ)、2枚目の透明基板を貼り合せた後も、気泡が抜けず、外観不良となった(図11(b)の写真)。
比較例では、ガラスに装飾層を印刷形成する上で、1枚ずつデザイン(色数)の印刷を繰り返すため、生産効率が低く、また印刷段階での不具合で高価なガラスを損失するなどの不具合があった。
これに対して、実施例の両面粘着フィルムでは、樹脂凸版印刷法を用いたり、多面付で印刷したりするなど、効率よく装飾層を形成することが可能であった。また、1アクションで要求された所望のデザインをガラスに貼りつけるため、更に生産効率を高められることが確認された。
以上、本発明の幾つかの実施形態を説明したが、本発明は各実施形態に限定されるものではない。本発明の両面粘着フィルムは、装飾層が粘着層内に設けられ、透明基板同士の貼り合せと装飾層の付与を同時に実施することが可能な両面粘着フィルムである。本発明の両面粘着フィルムを用いることで、透明基板に装飾層の印刷を行う必要がなくなるため、装飾層が多色のデザインとなり、印刷工程が増えても、高額な透明基板の印刷歩留まり損などの影響がなくなる。また、フィルム上で装飾層の印刷品質を管理でき、多色デザインも一度の接着で透明基板に設けることが可能となる。透明基板に直接装飾層を形成し、両面粘着フィルムを用いて貼り合せていた従来工法の気泡の不具合も、本発明の両面粘着フィルムを用いることで、平滑面同士の貼り合せとなり、気泡による歩留り損やオートクレーブなどの長時間のバッチ処理などが大幅に削減でき、高い生産性を得られるなどの効果がある。
本発明の両面粘着フィルムはフレキシブルなフィルム状で製造できるため、装飾層もロール形態で形成でき、種々の印刷方式を採用でき、多面付で生産性の高い工程を設計することが可能となる。
1:剥離性フィルム
2:(第1の)粘着層
3:装飾層
4:第2の粘着層
5:(第1の)透明樹脂層
6:第2の透明樹脂層
A:表示部
B,B’:装飾部
SF:セパレータフィルム
TS,TS’:透明基板
TC:仮支持体

Claims (6)

  1. 複数の透明基板を貼り合わせて表示パネルを形成するための両面粘着フィルムであって、前記両面粘着フィルムは、
    剥離性フィルムと、
    前記剥離性フィルム上に形成された積層体であって、第1の粘着層と、第2の粘着層と、前記第1の粘着層と前記第2の粘着層との間に設けられた装飾層とを含む、前記積層体と、
    を有し、
    前記装飾層は、前記両面粘着フィルムにより前記透明基板を貼り合せて前記表示パネルを形成したときに、前記表示パネルの表示部に相当する部分以外の部分に存在するよう、前記積層体において設けられ、
    前記第1の粘着層と前記第2の粘着層との間に、第1の透明樹脂層が設けられ、
    前記第1の粘着層と前記第2の粘着層との間に、さらに第2の透明樹脂層が設けられている
    ことを特徴とする、前記両面粘着フィルム。
  2. 前記装飾層は、前記両面粘着フィルムにより前記透明基板を貼り合せて前記表示パネルを形成したときに、前記表示パネルの前記表示部の外周部を囲う額縁形状が形成されるように、前記積層体において設けられている
    ことを特徴とする、請求項1に記載の両面粘着フィルム。
  3. 前記第1の透明樹脂層は、前記装飾層と重ならないように、前記積層体において設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の両面粘着フィルム。
  4. 前記第2の透明樹脂層は、前記装飾層を覆うように、前記積層体において設けられていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の両面粘着フィルム。
  5. 前記第1の粘着層及び前記第2の粘着層のうち少なくとも一方は、前記装飾層の外縁よりも内側に設けられていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の両面粘着フィルム。
  6. 複数の透明基板を貼り合わせて表示パネルを形成するための両面粘着フィルムの製造方法であって、前記製造方法は、次の工程:
    (a)仮支持体の表面の一部に、装飾層を形成する工程、
    (b)前記仮支持体の前記一部以外の部分及び前記装飾層の上に、第1の粘着層を形成する工程、
    (c)前記第1の粘着層の上に、剥離性フィルムを積層する工程、
    (d)前記仮支持体を剥離して、前記第1の粘着層及び前記装飾層を前記剥離性フィルム側に転移させる工程、及び、
    (e)セパレータフィルムの上に第2の粘着層を形成した粘着フィルムを、前記第1の粘着層及び前記装飾層の面に前記第2の粘着層を対向させて積層する工程、
    を含むことを特徴とする、前記製造方法。
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