JP6035405B2 - 車両用防音材の製造方法 - Google Patents
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Description
極細繊維としては、防音材としての実用的にはポリエステル繊維が有用である。防音材に極細繊維を主成分とする不織布(繊維集合体)を採用することで、内部のインピーダンス(通気抵抗)が上がり、内部のエネルギー減衰効果が飛躍的に向上することとなり、吸音性を阻害せずに遮音性を付加できる。
熱融着性繊維としては、加熱時に熱融着性繊維が溶融して極細繊維を接合する樹脂であれば特に限定されないが、この熱融着性繊維は全て溶融するのではなく、内部などの一部が溶融しないで残り、熱収縮を軽減する樹脂が好ましい。例えば、ポリエステル繊維を芯材とし、PE、PP及びPETを鞘材とした芯鞘構造が好ましい。特に、極細繊維と同じ素材であれば接合性も良く、リサイクル性の観点から好ましい。熱融着性繊維が、少なすぎるとバインダー機能を発揮できず且つ成形性が悪くなり、多すぎると極細繊維が相対的に少なくなるので、15〜60重量%、特に25〜55重量%とすることが好ましい。
上記極細繊維と熱融着性繊維との組み合わせだけでなく、極細繊維や熱融着性繊維の機能を阻害しない範囲で、これらにさらに熱融着性繊維と同様な短繊維を混ぜ合わせてもよい。リサイクル性やコストダウンの観点から上記短繊維を混ぜることが好ましい。この場合でも、極細繊維または熱融着性繊維と同じ素材であれば接合性も良く、リサイクル性の観点から好ましい。多すぎると防音材の本来機能を低下させるので、まったく混合させないか、混合するとしても20重量%までである。
本発明の特徴である通気調整膜は上記極細繊維と熱融着性繊維(または更に混ぜ合わせる短繊維)を混合して製造した不織布を用いて、この不織布の表面を加熱・加圧して高密度な通気調整膜を形成するものである。従って本発明の通気調整膜は、別の膜材を接合するのではないので、ベースの不織布との密着性を気にする必要性がなく、容易に通気調整膜を基材の不織布に一体に製造することができる。特に、加熱温度や加熱時間、加圧圧力や加圧隙間等を制御することで、この通気調整膜の厚さや通気度を調整することができるので、使用する用途等に応じた特性を調整することが容易にできる。
基材は、上記極細繊維と熱融着性繊維(或いは更に短繊維を混ぜたもの)を混合して製造した不織布からなるものであり、この基材の目付は、低すぎると極細繊維の持つ吸音性、遮蔽性、フィルター性能等の効果が期待できず、逆に高すぎるとバインダー繊維との接合性が低下するので、通気調整膜を入れて800〜2400g/m2とすることが好ましい。なお、通気調整膜が基材を加熱・圧縮して形成されるものであるから、基材と通気調整膜との境界は明確でない部分も有るが、通気調整膜を除いた元の基材のままの部分を基材と称する。
(基材の製造条件)
基材を製造する方法及び製造条件は、一般的な基材の製造方法及び製造条件と同様なものであり、ここでは詳細な説明は省略する。また、極細繊維、熱融着性樹脂(或いは更に短繊維を混ぜたもの)を一度に一緒に積層・攪拌する場合の条件も、一般的な基材の製造方法及び製造条件と同様なものであり、ここでは詳細な説明は省略する。
通気調整膜を形成するための加熱温度は、低すぎると必要とする通気調整膜ができなくなり、逆に高すぎると膜厚が厚くなり、伸びが悪く成形性に劣ることとなるので、加熱プレス機の加熱温度は、100〜240℃とすることが好ましい。なお、プレス機でなく、一方を加熱したローラー間を通す場合には、時間が短いので、温度を高めにすることも可能である。加熱時間は、短いと必要な通気調整膜が得られず、長いと膜厚が厚くなって伸びが悪くなり成形性に劣ることとなるので、加熱時間は0.5〜10秒とすることが好ましい。
板状の防音材を所定形状に成形するためには、この防音材を加熱炉等で加熱して成形(変形)し易くし、加熱された防音材を所定形状のプレス金型に投入して成形する。この場合に、プレス金型で所定形状に成形されると出来るだけ早く冷却して形状を維持できるようにすることが好ましいので、プレス金型の表面から冷却風を出して加熱された防音材を冷却しつつ成形するようにしても良い。上記加熱温度は、板状の防音材が成形しやすい状態になれば良いものであり、熱融着性繊維の融点よりも高い温度であれば良く、それほど高温にする必要はない。例えば150〜180℃で良い。加熱時間も成形しやすい状態にするために必要な時間であれば良いので、15〜60秒が好ましい。
繊度が0.6dtexのPET繊維からなる極細繊維Aを75重量%と、繊度が2.2dtexのPET繊維からなる熱融着性繊維Bを25重量%で混合撹拌してフリースマシンにかけて、厚さ:30mm、目付:1400g/m2のシート状に成形した。このシートの一方の表面をプレス金型(加熱温度:約150℃、加熱時間:5sec)で加圧して通気調整膜を形成した。その後、加熱炉(加熱温度:約165℃、加熱時間:40sec)で加熱した後、プレス金型に投入して、所定形状に成形した。上記の製造方法で得られた防音材は、以下のものであった。
防音材の厚さ:25mm
通気調整膜の厚さ:0.2mm
通気調整膜の目付:100g/m2
実施例1と異なるのは、極細繊維A:65重量%、熱融着性繊維B:35重量%とした点が異なるだけで、後は実施例1と同じである。
実施例1と異なるのは、極細繊維A:55重量%、熱融着性繊維B:45重量%とした点が異なるだけで、後は実施例1と同じである。
実施例1と異なるのは、極細繊維A:40重量%、熱融着性繊維B:60重量%とした点が異なるだけで、後は実施例1と同じである。
実施例2と異なるのは、極細繊維A:65重量%、熱融着性繊維B:15重量%とし、更に混合する短繊維Cとして、繊度が2.2dtexのPET繊維を加えた点が異なるだけで、後は実施例2と同じである。
実施例2と異なるのは、極細繊維A:65重量%、熱融着性繊維B:15重量%とし、更に混合する短繊維Cとして、繊度が4.4dtexのPET繊維を加えた点が異なるだけで、後は実施例2と同じである。
実施例2と異なるのは、極細繊維Aとして、繊度が0.9dtexのPET繊維、熱融着性繊維Bとして繊度が2.2dtexのPET繊維を加えた点が異なるだけで、後は実施例2と同じである。
本発明の実施例2と配合割合が異なるものを比較例1とした。極細繊維A:35重量%、熱融着性繊維B:45重量%とし、更に混合する短繊維Cとして、繊度が2.2dtexのPET繊維:20重量%を加えた点である。
比較例1と配合割合を変更したものであって、極細繊維A:15重量%、熱融着性繊維B例えば、:65重量%とし、更に混合する短繊維Cとして、繊度が2.2dtexのPET繊維:20重量%を加えた点である。
従来技術の例として、粗毛フェルト(例えば、廃材になった衣類等を細かくほぐしてフェルト状にしたもので、綿や化繊、ウール等のものが原料になっている)からなる不織布に軟質PVCを接着したものである。
繊度:2〜7dtex、厚さ:25mm、目付:1250g/m2
軟質PVC
厚さ:2mm、目付:3400g/m2
実施例1〜7及び比較例1〜3について、管内法吸音率、管内法透過損失、通気抵抗について評価した。
各実施例のサンプルを300mm×300mmの大きさで求める。このサンプルの目付量を通常の方法で測定する。そして、図5に示す測定治具1にこのサンプルSをセットして、厚さを15mmまでに押さえた状態で、通気度を測定する。具体的には、φ180mmの吸引部2で25リットル/minの吸引速度で吸引して、
元の圧力−吸引時の圧力=Δpとし、
AFR=Δp/吸引速度として、
AFR(エアーフロー割合)を通気抵抗として求める。
2 吸引部
S サンプル
10 防音材
11 基材
12 通気調整膜
Claims (3)
- 繊度が0.1〜1.0dtexの極細繊維を主成分とする繊維A:40〜75重量%と、繊度が1.2〜5.0dtexの熱融着性繊維を主成分とする繊維B:15〜60重量%と、繊度が1.2〜5.0dtexの短繊維を主成分とする繊維C:0〜20重量%とを開繊機によりフリースマシン又はカード機のいずれかにより交絡させて繊維体からなるシート状の基材を形成し、
該基材の一方の表面を100〜240℃で加熱して、0.5〜10秒間の間、所定厚さに加圧保持して、該基材の一方の面に、目付が50〜200g/m 2 である高密度な通気調整膜を有し、該通気調整膜を入れて目付が800〜2400g/m 2 である板状の防音材を形成し、
該通気調整膜を形成した板状の防音材を加熱炉で、150〜180℃、15〜60秒間、加熱することにより、上記通気調整膜を形成した状態で、板状の防音材を成形し易くし、
加熱された板状の防音材を車両用内装材の形状のプレス金型で冷却しつつ圧縮成形して、該通気調整膜が車室側に配置された車両用内装材を成形することを特徴とする車両用防音材の製造方法。 - 請求項1に記載の車両用防音材の製造方法において、
上記基材の一方の面に高密度な通気調整膜を形成する工程では、一方のみを加熱したローラー間に該基材を通して、該通気調整膜を形成することを特徴とする車両用防音材の製造方法。 - 請求項1または請求項2に記載の車両用防音材の製造方法において、
上記プレス金型の表面から冷却風を出して、上記加熱された板状の防音材を冷却しつつ圧縮成形することを特徴とする車両用防音材の製造方法。
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