JP6034544B1 - パウダースラッシュ成形機及びパウダースラッシュ成形法 - Google Patents

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Abstract

金型の移送時間を利用して、金型を予備加熱する、ダウンサイジング可能なパウダースラッシュ成形機、及びそのようなパウダースラッシュ成形機を用いてなるパウダースラッシュ成形法を提供する。金型温度が所定温度以上の値になるように金型を加熱する金型加熱部と、成形樹脂をパウダリングしながら吹きつけて、加熱した金型の内表面に、所定厚さのシート状物を成形するパウダースラッシュ部と、金型温度が所定温度以下となるように、金型を冷却する金型冷却部と、冷却したシート状物を、金型から脱型する金型加工部と、を備え、さらには、金型を、各部の間で移動させる搬送装置と、を備えてなるパウダースラッシュ成形機及びそれを用いてなるパウダースラッシュ成形法であって、搬送装置の一部に、金型を予備加熱するための予備加熱装置が設けてある。

Description

本発明は、パウダースラッシュ成形機及びパウダースラッシュ成形法に関する。特に、金型の本加熱炉のほかに、金型を搬送中に予備加熱するための予備加熱装置を備えたパウダースラッシュ成形機、及びそのようなパウダースラッシュ成形機を用いたパウダースラッシュ成形法に関する。
従来、自動車の内装材等の大型で、複雑形状を有するシート状物を製造するにあたり、パウダースラッシュ部と、金型冷却部と、を備えたパウダースラッシュ成形機を用いて、粉末樹脂パウダー(成形樹脂)をスラッシュ成形するパウダースラッシュ成形法が広く実施されている。
ここで、成形樹脂からなる内装材の厚さを均一化するために、各種金型を均一に加熱することが望まれている。
そこで、例えば、所定温度に制御された仮加熱工程及び予備加熱工程をそれぞれ備えて、金型を均一に加熱するとともに、金型を使用した後、所定温度の水中に浸漬して徐冷することを特徴とした皮革の形成方法としての、パウダースラッシュ成形法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、スラッシュ成形金型を多孔性金型として、該金型の材料投入口に熱風供給用ダクトの開口部を当接させ、該ダクトから熱風を金型内に圧送することを特徴とするスラッシュ成形金型の加熱方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平3−202329号公報 特開平4−191018号公報
しかしながら、上述したパウダースラッシュ成形方法等のいずれにおいても、加熱炉や後加熱炉による、シート状物の形成面である金型の内表面に対する一方向からの熱風吹きつけによる加熱のみを考慮しており、金型全体としての高速加熱や均一加熱が、いまだ不十分であるという問題が見られた。特に、金型の大型化や異形化に伴い、湾曲したり、窪んだりした内表面部分の加熱が不十分になりやすいという問題が見られた。
そこで、かかる金型の大型化や異形化に対して、高速加熱や均一加熱を意図して、加熱炉のみならず、後加熱炉を設けることも提案されていた。
但し、このように後加熱炉を設けると、パウダースラッシュ成形機が大型化したり、あるいは、シート状物の製造工程に要する時間が過度に長くなりやすいという新たな問題が見られた。
そこで、本発明の発明者は鋭意検討した結果、金型を移送するための搬送装置に、予備加熱装置を装備することによって、金型の外表面(シート状物の非形成面:A面)のみならず、金型の内表面(シート状物の形成面:B面)についても、全体的又は局所的に、所定温度に予備加熱することにより、本加熱炉において、金型が湾曲した内表面部分や、窪んだ内表面部分、あるいはオフセットした部分等も含めて、金型全体を高速かつ均一に加熱できることを見出した。
すなわち、本発明は、金型の移送時間を利用して金型を予備加熱する機構を、搬送機自体に装備して、搬送中等に予備加熱することにより、本加熱炉において、金型全体を高速かつ均一に加熱でき、ひいては、後加熱炉等を省略して、ダウンサイジングが可能なパウダースラッシュ成形機、及びそのようなパウダースラッシュ成形機を用いてなるパウダースラッシュ成形法を提供することを目的としている。
本発明によれば、金型温度が所定温度以上の値になるように金型を加熱する金型加熱部と、成形樹脂をパウダリングしながら吹きつけて、加熱した金型の内表面に、所定厚さのシート状物を成形するパウダースラッシュ部と、金型温度が所定温度以下となるように、金型を冷却する金型冷却部と、冷却したシート状物を、金型から脱型する金型加工部と、を備え、さらには、金型を、各部の間で移動させる搬送装置と、を備えてなるパウダースラッシュ成形機であって、搬送装置の一部に、金型を加熱するための予備加熱装置が設けてあることを特徴とするパウダースラッシュ成形機が提供され、上述した問題点を解決することができる。
すなわち、本発明によれば、搬送装置の一部に、金型を加熱するための予備加熱装置が設けてあることから、金型の移送時間を利用して、金型全体、すなわち、シート状物の非形成面(A面)のみならず、形成面(B面)についても、予備加熱することがすることができる。そのため、本加熱の際に、金型の内表面形状(湾曲、窪み、オフセット等)によらず、金型全体を、均一かつ高速に、所定温度に加熱することができる。
また、かかる予備加熱装置の加熱によって、金型の内表面と外表面との温度差が小さくなり、ひいては、金型の金属疲労や、成形樹脂の内表面に対する焼き付け現象の発生を効果的に抑制しつつ、本加熱炉において、金型全体を、均一かつ高速に加熱することができる。
その上、予備加熱装置によって、金型を補助的に加熱できるため、本加熱炉における本加熱を補助することができ、ひいては、本加熱炉における加熱能力やサイズ等を抑制することができる。例えば、予備加熱装置によって、搬送中、すなわち、本加熱炉に投入前の金型温度を10℃高めるだけで、本加熱炉における所定温度にするための加熱能力(10%以上)の電力消費の低下が可能である。
したがって、従来行われていた、シート状物をさらに硬化させるための後加熱炉の設置等を、事実上省略することができ、その分、本発明によれば、ダウンサイジングが可能であって、全体として、小型化や省スペース化されたパウダースラッシュ成形機を提供することができる。
また、本発明のパウダースラッシュ成形機によれば、予備加熱装置が、遠赤外線加熱方式のヒータを備えることが好ましい。
このように遠赤外線加熱方式のヒータ、例えば、セラミックヒータを備えることによって、金型の少なくとも外表面の任意場所から、熱線が内部まで浸透し、金型の内表面形状によらず、金型全体を、両面(A面およびB面)から、より均一かつ高速に加熱することができる。
また、遠赤外線加熱方式のヒータであれば、複数枚備えた場合であっても、遠赤外線を利用して、短時間で、所定温度に加熱できるばかりか、比較的軽量で、省スペース化が図られるため、搬送装置の一部に取り付けたとしても、当該搬送装置を、円滑かつ高速に移送することができる。
その上、複数の遠赤外線加熱方式のヒータを備えることができるので、所定温度に加熱しにくい箇所においては、加熱しにくい箇所と比較して、そこだけ集中的に発熱量を容易に調整して、金型全体として、均一な加熱状態(温度プロフィール)とすることができる。
また、本発明のパウダースラッシュ成形機によれば、予備加熱装置が、下方に開口した開口部を有しており、当該開口部を介して、金型を収容する被覆部材を備えていることが好ましい。
すなわち、このように下方に開口した、概ね御椀型の被覆部材(断熱把持部材)を少なくとも備えることにより、金型の周囲を、上方から覆いつつ、確実に把持できるとともに、予備加熱した金型からの熱の放散を効果的に防止することができる。
また、本発明のパウダースラッシュ成形機によれば、搬送装置が、金型を把持すると同時に、予備加熱装置にスイッチが入って、金型を予備加熱するための同期機構を備えることが好ましい。
このように金型の把持動作と同期して、金型を予備加熱する構成とすることにより、金型の移送時間をさらに有効に利用することができる。
また、本発明のパウダースラッシュ成形機によれば、パウダースラッシュ部と、金型冷却部と、が一体化されており、パウダースラッシュ部と、金型冷却部と、の間に、パウダースラッシュ部におけるパウダーボックスと、金型冷却部における冷却装置(以下、冷却ブースと称する場合もある。)、の位置交換を可能とする交換装置が設けてあることが好ましい。
すなわち、パウダースラッシュ部において、シート状物を成形した後、金型を冷却する際には、パウダースラッシュ終了後の粉体ボックスが、パウダースラッシュ部からボックス交換位置に移動するとともに、金型冷却部に設けてある冷却装置が、パウダースラッシュ部の回転装置の直下に移動して、金型の内表面を外部に解放した状態で、金型の外表面に対して、冷却水をシャワー又は冷却ミストを吹き付けることにより、迅速に冷却することができる。
よって、このように一体化したパウダースラッシュ部及び金型冷却部とすることにより、パウダースラッシュ成形機全体として、さらにダウンサイジングして、小型化を図ることができる。
また、本発明の別の態様は、金型温度が所定温度以上の値になるように金型を加熱する金型加熱部と、成形樹脂をパウダリングしながら吹きつけて、加熱した金型の内表面に、所定厚さのシート状物を成形するパウダースラッシュ部と、金型温度が所定温度以下となるように、金型を冷却する金型冷却部と、冷却したシート状物を、金型から脱型する金型加工部と、を備え、さらには、金型を、各部の間で移動させる搬送装置と、を備えるとともに、搬送装置の一部に、金型の少なくとも外表面を加熱するための予備加熱装置が設けてあるパウダースラッシュ成形機を用いてなるパウダースラッシュ成形法である。
そして、搬送装置が、金型を把持して、金型加工部から、金型加熱部に移送する工程と、金型加熱部において、金型温度が所定温度以上の値になるように金型を加熱する工程と、搬送装置が、加熱された金型を把持して、金型加熱部から、パウダースラッシュ部に移送した後、成形樹脂をパウダリングしながら吹きつけて、加熱した金型の内表面に、所定厚さのシート状物を成形するする工程と、金型を冷却する冷却工程と、冷却したシート状物を、金型から脱型する工程と、を含み、かつ、搬送装置が、金型を把持して、金型加工部から、金型加熱部に移送する工程の間に、搬送装置の一部に設けてある予備加熱装置によって、金型を予備加熱することを特徴とするパウダースラッシュ成形法である。
すなわち、本発明のパウダースラッシュ成形法によれば、金型の移送時間を利用して、金型の外表面や内表面、すなわち、シート状物の形成面を予備加熱することができるため、金型の内表面形状によらず、本加熱の際に、金型全体を、均一かつ高速に、所定温度に加熱することができる。
特に、予備加熱工程を含む、複数工程で、金型を加熱するため、金属疲労や成形樹脂の内表面に対する焼き付け現象の発生を効果的に抑制しつつ、金型の内表面形状によらず、金型全体を、均一かつ高速に加熱することができる。
また、本発明のパウダースラッシュ成形法によれば、一旦成形したシート材をさらに硬化させるための後加熱炉を事実上省略することができ、さらには、所定の予備加熱装置を備えることによって、加熱炉自体を小型化することができるため、その分、ダウンサイジングが可能であって、全体として、小型化や省スペース化されたパウダースラッシュ成形機を提供することができる。
より具体的には、一旦成形したシート材をさらに硬化させるための、後加熱炉等を事実上省略できるため、その分、小型のパウダースラッシュ成形機を用いたパウダースラッシュ成形法を提供することができる。
また、本発明のパウダースラッシュ成形法によれば、搬送装置が、金型(区別のため、第1の金型と称する場合がある。)を移送する際に、当該金型とは異なる金型(区別のため、第2の金型と称する場合がある。)を、搬送装置の下方に把持して、同時に搬送することが好ましい。
このように複数の金型(第1の金型及び第2の金型)を、一つの搬送装置で、同時搬送することによって、移動距離が短くなったり、所定処理の動作性が向上したりして、シート材の一つ当たりの成形時間(以降、タクトタイム、あるいはサイクルタイムと称する場合がある。)をさらに短くすることができる。
さらには、搬送装置に設けた予備加熱装置によって、第1の金型及び第2の金型を同時搬送しながら、第1の金型及び第2の金型、あるいは、いずれかの一方の金型を予備加熱することができるため、さらに、タクトタイムをより短くしたり、ダウンサイジング化に寄与したりすることができる。
また、本発明のパウダースラッシュ成形法によれば、パウダースラッシュ部と、金型冷却部と、が一体化されており、金型を冷却する際には、パウダースラッシュ終了後の粉体ボックスが、パウダースラッシュ部からボックス交換位置に移動するとともに、金型冷却部に設けてある冷却装置が、パウダースラッシュ部の回転装置の直下に移動して、金型を把持するフレーム部材と係合し、金型の内表面を外部に解放した状態で、金型の外表面に対して、冷却水をシャワー又は冷却ミストを吹き付けることが好ましい。
このようなパウダースラッシュ成形法によれば、パウダースラッシュ部が、金型冷却部を兼ねていることから、パウダースラッシュ成形機全体として、さらにダウンサイジングして、小型化やシート状物の成形時間の短縮化を図ることができる。
図1は、本発明のパウダースラッシュ成形機の一例を説明するために供する側面図である。 図2は、本発明のパウダースラッシュ成形機の一例を説明するために供する平面図である。 図3(a)〜(b)は、本発明の別のパウダースラッシュ成形機を説明するために供する側面図及び平面図である。 図4(a)〜(b)は、予備加熱部を備えた搬送装置を説明するために供する平面図及び正面図である。 図5は、予備加熱部を備えた搬送装置を説明するために供する側面図である。 図6(a)は、予備加熱部の遠赤外線加熱方式のヒータを説明するために供する図(写真)であり、図6(b)は、別の予備加熱部の遠赤外線加熱方式のヒータを説明するために供する概略図である。 図7は、金型加熱部の一例を説明するために供する図である。 図8(a)〜(b)は、別の金型加熱部を説明するために供する図である。 図9(a)〜(c)は、本発明のパウダースラッシュ成形法を説明するために供する図である(その1)。 図10(a)〜(b)は、本発明のパウダースラッシュ成形法を説明するために供する図である(その2)。 図11は、乾燥装置を説明するために供する図である。 図12(a)〜(b)は、それぞれ加熱装置を説明するために供する図である。
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、図1〜図2、あるいは図3に例示するように、金型60の温度が所定温度以上の値になるように金型60を加熱する金型加熱部(A部)と、成形樹脂をパウダリングしながら吹きつけて、加熱した金型60の内表面に、所定厚さのシート状物94を成形するパウダースラッシュ部(B部)と、金型60の温度が所定温度以下となるように、金型60を冷却する金型冷却部(C部)と、冷却したシート状物94を、金型60から脱型する金型加工部(E部)と、を備え、さらには、金型60を、各部の間で移動させる搬送装置62と、を備えてなるパウダースラッシュ成形機10、10aである。
そして、図4〜図5に例示するように、搬送装置62の一部に、金型60の少なくとも外表面を加熱するための予備加熱装置63が設けてあることを特徴とするパウダースラッシュ成形機10、10aが提供され、上述した問題点を解決することができる。
以下、図面を適宜参照して、第1の実施形態のパウダースラッシュ成形機10、10aを具体的に説明する。
なお、図1及び2は、パウダースラッシュ部(B部)と、金型冷却部(C部)がそれぞれ独立してなるパウダースラッシュ成形機10の側面図、及び平面図(搬送装置は省略。)を示している。
また、図3(a)〜(b)は、パウダースラッシュ部(B部)と、金型冷却部(C部)が一体化(B部/C部)してなるそれぞれパウダースラッシュ成形機10aの側面図、及び平面図をそれぞれ示している。
さらに、図4(a)、(b)及び図5は、それぞれ予備加熱装置63を備えた搬送装置62の上面図、正面図、及び側面図(金型60を搭載した状態)である。
1.基本的構成
図1及び2に示すパウダースラッシュ成形機10の場合には、少なくとも4つの金型60(60A、60B、60C、60D)が用いられることを前提として、それぞれ所定時期に、金型加工部(E部)、予備加熱部(A´部)、金型加熱部(A部)、パウダースラッシュ部(B部)、金型冷却部(C部)、金型交換部(D部)、再び金型加工部(E部)の順に、予備加熱装置63を備えた搬送装置62によって各部を移動する基本的構成を備えている。
また、図3に示すパウダースラッシュ成形機10aの場合には、少なくとも3つの金型60(60A、60B、60C)が用いられることを前提として、それぞれ所定時期に、金型加工部(E部)、予備加熱部(A´部)、金型加熱部(A部)、パウダースラッシュ部/冷却部を含む一体箇所(B部/C部)、金型交換部(D部)、再び金型加工部(E部)の順に、予備加熱装置63を備えた搬送装置62によって各部を移動する基本的構成を備えている。
そして、それぞれのパウダースラッシュ成形機10、10aにおいて、一連のパウダースラッシュ成形を完結するための処理が並行的に行われ、最終的に、樹脂成形品であるシート状物94を迅速かつ安定的に得ることができる。
2.金型加工部
図1等に示される金型加工部(E部)は、パウダースラッシュ成形したシート状物94を、金型60から取り出す脱型作業を行うための部位である。
そして、図1等に示されるように、金型60は、移動及び迅速処理を容易にするため、フレーム部材61に取りつけられており、当該フレーム部材61とともに、搬送装置(例えば、クレーン)62によって、金型加工部(E部)をスタート地点として、所定部の間を、任意に移動できるように構成されている。
より具体的には、図3(a)に示されるように、搬送装置62が、水平方向である矢印Fや、鉛直方向である矢印Gに沿って、それぞれ金型60を把持した状態で、任意に移動することができる。
なお、後述するように、図3(a)に示されるように、搬送装置62の上方には、予備加熱部(A´部)として予備加熱装置63及びモータ/送風ファンを含む駆動装置63bが備えられており、金型60の搬送中に、金型温度を所定温度に調整できるように構成されている。
3.予備加熱装置
また、図3(a)に示されるように、搬送装置62の上方に、予備加熱部(A´部)として、予備加熱装置63及びモータ/送風ファンを含む駆動装置63bが備えられており、金型60の搬送中に、金型温度を所定温度に調整できるように構成されている。
より具体的には、図4〜図5に示すように、搬送装置(例えば、クレーン)62によって、金型60は、金型加工部(E部)から金型加熱部(A部)に移送されるが、その際、搬送装置62には、金型60の少なくとも外表面を加熱するための予備加熱装置63が設けてあることが好ましい。
すなわち、かかる予備加熱装置63によって、金型60の搬送中の時間を利用して、金型60におけるシート状物94の非形成面である外表面(A面)のみならず、シート状物94の形成面である内面(B面)についても、所定温度に予備加熱することができる。
そのため、金型60の内表面形状(湾曲、窪み、オフセット等)によらず、予備加熱と併せて、本加熱の際に、金型全体を、均一かつ高速に、所定温度に加熱することができる。
また、かかる予備加熱装置63によって、金型60の内表面(B面)と外表面(A面)との温度差が小さくなって、金型60の金属疲労や、成形樹脂の内表面に対する焼き付け現象の発生を効果的に抑制しつつ、金型全体を、均一かつ高速に加熱することができる。
その上、予備加熱装置63によって、補助的に加熱できるため、一旦成形したシート材をさらに硬化させるための後加熱炉を事実上省略することができる。したがって、その分、ダウンサイジングが可能であって、全体として、小型化や省スペース化されたパウダースラッシュ成形機を提供することができる。
ここで、予備加熱装置63によって、金型(例えば、厚さ3.5mmのニッケル鋳造合金製)60を予備加熱した際の、当該金型60の外面温度、すなわち、予備加熱温度を、例えば、200℃以下の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる予備加熱温度が200℃を超えた値になると、予備加熱装置63における加熱能力上の負担が大きくなったり、環境温度の影響や金型60の熱履歴等の影響によって、移送時間中に、かかる温度に達することが困難となったりする場合があるためである。
但し、かかる予備加熱温度が過度に低いと、金型60の本加熱への補助効果が過度に少なくなったり、逆に、金型60の本加熱の際の金型温度のばらつきが生じやすくなったりする場合がある。
したがって、予備加熱温度を、例えば、100〜180℃の範囲内の値とすることがより好ましく、120〜160℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、予備加熱温度は、熱電対、赤外線温度計、サーモグラフィ、消費電力計等の少なくとも一つを用いて、測定することができるが、さらには、連続的又は断続的に測定し、かつ、本加熱炉に入る前の温度を、予備加熱温度の代表値とすることができる。
また、かかる予備加熱装置63としては、図6(a)〜(b)に示すような、遠赤外線加熱方式のヒータ(一部送風ファンも含む)63aを備えることが好ましい。
図6(a)は、一例の遠赤外線加熱方式のヒータ(セラミックヒータ)63aの外観を示す図(写真)であるが、例えば、照射面積が250×250mm2の矩形状のセラミックヒータ63aであって、3相、200V、30Aの定格電源を用いて、1〜6kW/個の発熱が可能である。
また、図6(b)は、別の遠赤外線加熱方式のヒータ(セラミックヒータ)63aの断面図であるが、後方から、送風機153、ホース154、ホース接続口151a、整流板部材155、通気孔が設けてある排出調整部材158、遠赤外線放射発熱体159、及び、筐体151とから、構成されている。
そして、遠赤外線放射発熱体159は、例えば、薄い帯状の通電材料を基板として、その表面にセラミックス材料が溶射被覆されており、基板に通電することにより、発熱し、セラミックス材料表面から、前方に向かって遠赤外線160を放射することができる。
したがって、一部送風ファンを併用することにより、さらに、均一かつ迅速に、遠赤外線160を放射させることができる。
すなわち、このような遠赤外線加熱方式のヒータ63aのいずれかを用いることによって、金型60の全面(A面及びB面)はもちろんのこと、任意場所に対して、遠赤外線(熱線)を浸透させることができるので、金型60の内表面形状によらず、金型60の内部を含む全体を、より均一かつ迅速に予備加熱することができる。
また、このような遠赤外線加熱方式のヒータ63aであれば、比較的軽量かつ薄型であることから、予備加熱装置63としても、軽量化、薄型化、省スペース化等を図ることができる。
よって、かかる予備加熱装置(遠赤外線加熱方式のヒータ)63を搬送装置62の一部に取り付けたとしても、金型60を予備加熱しながら、従来どおりの搬送装置(モータ、ワイヤ、ギア等)63bを基本的に用いて、円滑かつ高速に移送することができる。
また、図3(a)等に示すように、予備加熱装置63が、下方に開口した開口部を有しており、当該開口部を介して、金型60を収容する被覆部材63dを備えていることが好ましい。
この理由は、このように下方に開口した、概ね御椀型の被覆部材63dを備えることにより、金型60の周囲を、上方から覆いつつ、かつ、物理的に確実に把持できるためである。
また、かかる被覆部材63dであれば、断熱把持部材として、アルミニウム板、珪酸化カルシウム板、あるいはカーボンブラック含有樹脂材料等で被覆することができるという利点がある。
その結果、所定の断熱性を発揮し、予備加熱した金型60からの上方等への熱の放散があるとしても、かかる熱放散を有効に抑制することができる。
例えば、厚さ20〜100μmのカーボンブラック含有樹脂材料で、金型60の非形成面を被覆した場合、所定加熱条件で予備加熱しただけで、約10℃以上、金型温度を高めることが判明している。
その上、このようなカーボンブラック含有樹脂材料等で被覆してあることによって、赤外線方式の温度計等に対する反応性や感度が上がることから、より正確かつ短時間に、金型温度を測定することができるという利点もある。
次いで、図4〜図6に言及して、予備加熱装置63を備えた搬送装置62、及び予備加熱装置63に用いる遠赤外線加熱方式のヒータの一例をそれぞれ具体的に説明する。
すなわち、図4(a)は、予備加熱装置63を備えた搬送装置62の上面図であり、図4(b)は、予備加熱装置63を備えた搬送装置62の正面図であり、図5は、予備加熱装置63を備えた搬送装置62の側面図(金型60を搭載した状態)である。
そして、図4〜図5に開示された予備加熱装置63は、基本的に、図6(a)〜(b)に示されるような平板状の遠赤外線加熱方式のヒータ(単に、セラミックヒータと称する場合もある。)63aを複数枚備えている。
この例では、8枚からなるセラミックヒータ63aの横列が、二段に配置されているが、セラミックヒータ63aの枚数は、加熱面積や加熱速度等を考慮して定めることができる。したがって、通常、単位面積(10m2)あたり、セラミックヒータ63aの4〜200枚の範囲とし、より好ましくは、8〜100枚の範囲とすることが好ましい。
また、かかる平板状のセラミックヒータ63aは、珪酸カルシウムを主成分とした繊維強化板等の、例えば、厚さ0.1〜10mmの断熱性基材の上に設けてあり、前方に向かって、集中的に放熱できるように構成してある。
すなわち、かかる複数のセラミックヒータ63aが、モータ/送風ファンを含む駆動装置63bを兼用しつつ、温度制御手段(図示せず)によって、所定温度に金型60を効果的に予備加熱するように、構成されている。
また、金型60は、予備加熱装置63のフレーム部材63c、すなわち、概ね矩形状であって、補強部材を含んでなるフレーム部材63cの所定位置に搭載され、所定の固定具(図示せず)によって、脱着可能に支持されている。
その上、予備加熱装置63の一端には、金型60を搭載したフレーム部材63c、あるいは、金型60のみ等を、直接又は間接的に、XYZ方向に移動させるための複数のモータ/送風ファンを含む駆動装置63bが搭載されている。
よって、このような予備加熱装置63を備えた搬送装置62であれば、金型60の搬送時間を利用して、金型60におけるシート状物94の非形成面である外表面(A面)のみならず、シート状物94の形成面である内面(B面)についても、所定温度に予備加熱することができる。
すなわち、予備加熱装置63におけるセラミックヒータ63aの配置や数、金型60の搭載位置や、搭載向き等を考慮することによって、金型60における内面形状に対応させて、いずれの箇所についても、複数のセラミックヒータ63aによって、予備加熱することが可能である。
なお、搬送装置62の下方に設けてあるフック62cを利用して、予備加熱される金型(第1の金型)とは異なる、別の金型(第2の金型)についても把持しながら、これらを同時搬送することができることから、ひいては、シート状物94を製造する際の、単位時間あたりの製造効率を示すタクトタイムを著しく短縮することができる。
4.金型加熱部
(1)熱風発生装置
金型加熱部(A部)における、金型60(60C)を加熱するための熱風発生装置40の構造は、金型60を効率的に加熱できるものであれば、特に制限されるものではない。
したがって、例えば、図7に示すように、縦型の加熱炉58´の炉本体は、側面に、上下方向に開閉可能なシャッター58aを有する平面長方形の箱状体として形成されている。
より具体的には、バランサーとしての錘58bが付いたシャッター58aにおいて、錘58bを上げた状態、すなわち、シャッター58aを開いた状態で、金型60C及びそのフレーム部材61を、炉内に側方より搬入する。
次いで、加熱炉58の搬入箇所の上方の所定箇所に固定配置した後、錘58bを下げた状態にして、シャッター58aを閉じる。
次いで、ガス炉等の熱風発生装置58c、58dによって、加熱炉58´として発生させた所定温度の熱風を、下方から、ルーバー58fを介して吹き込み、さらには、金型60Cの上方に設けてあるルーバー58eによって、熱風を循環させながら、金型60Cを、均一かつ迅速に加熱できるように構成されている。
すなわち、このように構成することにより、金型60C等の、加熱炉58´への搬入が容易になるばかりか、加熱炉58´への熱エネルギの供給が容易になり、ひいては、省スペース化や加熱炉58´からの熱エネルギの効率的回収についても容易になる。
なお、図7に示す加熱炉58´の場合、複数の金型60を搬送してきたとしても、一つの金型60のみ、本加熱する構成であるため、その場合、搬送装置62に保持した、もう一方の金型60については、予備加熱しながら、次工程を実施するタイミングまで、加熱炉58´の上方で、待機することが好ましい。
また、図8(a)〜(b)に示す別の加熱炉58ように、プロパンガス由来の火炎装置等により得られた熱風14を、熱風吹出口16の下方あるいは下側に設けた空気供給ファン46により、配管45や主配管43を通じて、熱風吹出口16から供給する構成であることも好ましい。
すなわち、かかる熱風発生装置40により得られた熱風14と、後述するエネルギ回収部54を通じて炉内から回収され、空気循環ファン42により混合室44に送り込まれた熱風とを、混合室44において適宜混合した後、空気供給ファン46により、所定風速を有する大量の熱風として、主配管43を通じて、熱風吹出口16に供給する構成であることが好ましい。
なお、図8(a)は、一つのシート状物94を成形するための金型60のための加熱炉58の例であって、図8(b)は、同時に二つのシート状物94を成形するための金型60のための加熱炉58の例である。
そして、図8(a)〜(b)に示すように、主配管43の途中に、熱風貯留室39を設けるとともに、その熱風貯留室39の中であって、主配管43の出口部分に邪魔板49を設けることが好ましい。
また、同様に、金型60を加熱した後の、少なからず温度が高くて、多くのエネルギを有する熱風(熱エネルギ)を回収するためのエネルギ回収部54を設けることが好ましい。
すなわち、加熱炉58の傾斜した炉内底面19に通じる開口部を有するとともに、熱風発生装置40に連なる分岐配管47を備えたダクト構造を有することが好ましい。そして、既に上述したように、エネルギ回収部54に連なる分岐配管47の途中に、ダンパ−47aを配設することが好ましい。
(2)加熱炉
また、金型加熱部(A部)における加熱炉58、58´は、本加熱炉とも称せられるが、図7、あるいは、図8(a)〜(b)にそれぞれ示すように、熱風発生装置40の上方に配置されていて、かつ、全体として一つのコンパクトな加熱装置として構成されていることが好ましい。
そして、図8(a)〜(b)に示すように、加熱炉58においては、主配管43の出口部分に枝分かれさせて構成してあることが好ましい。
したがって、所定高さを有しており、かつ、加熱炉58内の金型60を側方からも加熱できるように、垂直方向に延出させたダクト構造、すなわち、側方熱風吹出口50を設けることが好ましい。
その上、かかる側方熱風吹出口50は、加熱炉58の内側に沿って配置してあることが好ましく、さらには、熱風発生装置40に連なる分岐配管41や、主配管43に連結してあり、その風量をダンパ48等によって調節することが好ましい。
一方、加熱炉58´も、燃料ガスを用いたガス炉であるが、熱風発生装置58c、58dによって発生させた所定温度の熱風を、下方から、ルーバー58fを介して吹き込み、上方に位置する金型60を均一かつ迅速に加熱できるように構成されている。
(3)温度
また、金型加熱部(A部)において、加熱炉58、58´を用いて、金型(例えば、厚さ3.5mmのニッケル鋳造合金製)60を加熱する際に、当該金型60の内表面温度、すなわち、金型温度を、例えば、220〜300℃の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる金型温度が300℃を超えると、成形樹脂の焼き付け現象に起因したグロス現象が頻繁に生じたり、金型60の金属疲労により、冷却時に金型にクラックが生じたりする場合があるためである。
したがって、金型温度を、例えば、230〜280℃の範囲内の値とすることがより好ましく、240〜260℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
5.パウダースラッシュ部
(1)基本的構成
また、パウダースラッシュ部(B部)は、図9(a)〜(c)及び図10(a)に示されるように、加熱されたフレーム部材61を含む金型60と、流動状体の成形樹脂92を収容したリザーバタンク88とを、記号Aで示される金型60の内表面を下向きにするとともに、リザーバタンク88の開口面を上向きにした状態で、上下に一体的に連結する工程を実施するための部位である。
より具体的には、図9(a)〜(c)及び図10(a)を参照して、パウダースラッシュ成形法を実施するパウダースラッシュ部を説明する。
すなわち、図9(a)に示すように、加熱炉における熱風14によって、塗布層(図示せず)が形成された金型60を所定温度に加熱、特に、金型内表面に対して熱風14を吹き付けて、所定温度に加熱する。
次いで、図9(b)に示すように、金型60を、リザーバタンク88の上方に位置合わせした上で、載置する。
次いで、図9(c)に示すように、金型60を、リザーバタンク88と一緒に、回転させる。
そして、これらを回転させる際に、リザーバタンク88の内部に収容された成形樹脂92の分散性を向上させ、均一な厚さのシート状物94を形成するために、リザーバタンク88の下方に設けた攪拌室88aに空気を導入して、パウダー状の成形樹脂92を流動状態とすることが好ましい。
すなわち、攪拌室88aの上方は、穴開き部材、例えば、メッシュ部材から構成してあり、導入された空気によって、成形樹脂92を巻き上げる構造であることが好ましい。
さらに、回転させる際に、成形樹脂92の流動状態を活性化させ、均一な製膜ができるように、図9(c)に示すように、フレーム部材61に設けてある振動部材を、ハンマー108の先端部108aで繰り返し叩くことが好ましい。
次いで、図10(a)に示すように、所定時間静置して、成形樹脂92を所定個所に沈降させる。その際、成形樹脂92が早期に非流動状態となるように、空気を脱気して、減圧操作を行うことが好ましい。
そして、後述するように、このようなパウダースラッシュ部(B部)が、金型冷却部(C部)と一体化しており、かつ、金型を冷却する際に、冷却装置等が移動してくる構成の場合には、パウダースラッシュ部/冷却部において、金型を冷却することになる。
すなわち、最後に、図10(b)に示すように、冷却装置55を用いて、金型60の内表面Aに形成されたシート状物94とともに、金型60の背面側の外表面Bに対して、シャワー等を吹きつけて冷却する構成であることが好ましい。
但し、パウダースラッシュ部(B部)が、金型冷却部(C部)と、それぞれ独立している場合には、パウダースラッシュ成形が終了した金型が、金型冷却部(C部)に移送されて、そこで、金型60の内表面Aに形成されたシート状物94とともに、金型60の背面側の外表面Bに対して、所定の冷却が行われる構成である。
(2)型枠
また、パウダースラッシュ部(B部)において、フレーム部材61を含む金型60を反転させる際、かかる金型60における所望の内表面(A)のみに、シート状物94を形成できるように、金型60と、リザーバタンク88との間に、所定の厚さ(高さ)を有する型枠84a、84bを設けることが好ましい。
ここで、かかる型枠84bの下部を、例えば、アルミニウムから構成し、一方の型枠84aの上部をシリコーンゴム/フッ素樹脂フィルムの組合せから構成することにより、金型60と、リザーバタンク88との間の隙間を充填する役目を果たすこともできる。
(3)成形樹脂
また、パウダースラッシュ部(B部)で使用する成形樹脂としては、特に制限されるものではないが、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂(熱可塑性ウレタン樹脂も含む。)、ポリエステル樹脂(熱可塑性ポリエステル樹脂も含む。)、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、オレフィン樹脂(熱可塑性オレフィン樹脂も含む。)、シリコーン樹脂等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
特に、塩化ビニル樹脂や熱可塑性ウレタン樹脂であれば、下地層を形成する第2の樹脂との親和性が良好であって、強固な接着性が得られ、さらには、低温脆性に優れていることから、好適な樹脂である。
(4)パウダリング時間
また、パウダースラッシュ部(B部)において、上述したように、均一な厚さのシート状物94を形成すべく、パウダリング時間を18〜45秒の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるパウダリング時間が18秒未満の値になると、成形樹脂が容易に熱溶解して、所定厚さを有するシート状物94を形成することが困難となる場合があるためである。
一方、かかるパウダリング時間が45秒を超えた値になると、金型を所定温度まで加熱する時間、ひいては、タクトタイムが過度に長くなって、経済的に不利となる場合があるためである。
したがって、パウダースラッシュ部(B部)において、パウダリング時間を20〜40秒の範囲内の値とすることがより好ましく、25〜38秒の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
6.金型冷却部
(1)構成1
金型冷却部(C部)は、図10(b)に示すように、フレーム部材61を含む金型60を、水冷あるいは空冷等の冷却装置55により冷却して、シート状物94を所定程度に固化させるための冷却装置55からなる構成部位である。
より具体的には、冷却装置55により、シート状物94を形成した金型60の外表面(B面)に対して、冷却水をシャワー又は冷却ミストを吹き付け、所定温度まで冷却することになる。
一方、図3(a)に示す、ダウンサイジングされたパウダースラッシュ成形機10aの場合には、金型冷却部(C部)が、パウダースラッシュ部(B部)と兼用されているとともに、金型冷却部(C部)等が移動式であることが好ましい。
すなわち、図3(b)に示すように、金型60を冷却する際には、パウダースラッシュ終了後の粉体ボックスが、矢印Cに示すように、パウダースラッシュ部(B部)からボックス交換位置(D2)に、水平的に移動する。
より具体的には、パウダースラッシュ成形後、回転装置89と係合した状態の金型60と、粉体ボックス64とが、矢印Eで示されるように、分離移動する。
したがって、回転装置89と係合した状態の金型60のみ上昇するとともに、粉体ボックス64は、パウダースラッシュ部(B部)からボックス交換位置(D2)に向かって、水平的に移動する。
すなわち、図3(b)中、矢印Cに沿って、上方に水平移動し、その後、適宜、矢印Dに沿って、右横方向、あるいは、場合によっては、左横方向に水平移動する。
なお、ボックス交換位置(D2)の配置場所については、特に制限されるものではないが、事実上、水平移動のみで足りることから、図3(b)に示すように、パウダースラッシュ部(B部)に隣接した外側領域(図面上、上側)に設けてあることが好ましい。
次いで、図3(a)〜(b)に示すように、金型冷却部(C部)に設けてある冷却装置55が、矢印Aに示されるように、パウダースラッシュ部(B部)の回転装置89の直下に水平移動し、金型60を把持するフレーム部材(図示せず。)と係合する。
より具体的には、金型冷却部(C部)に設けてある冷却装置55が、駆動レール55aに沿って移動し、回転装置89と係合した状態の金型60の直下に移動する。
それに対応して、回転装置89によって、金型60は反転されて、シート状物94が形成された内表面(A面)を上側に開放した状態となり、冷却装置55と、金型60の外表面(B面)とが向き合う状態で、両者が、係合する。
そして、かかる冷却装置55により、金型60の外表面(B面)に対して、冷却水をシャワー又は冷却ミストを吹き付ける。
なお、金型冷却部(C部)に設けてある冷却装置55や金型60についても、適宜交換することができる。
すなわち、図3(b)中、矢印Bに沿って、冷却装置55や金型60は、上方に水平移動し、その後、適宜、矢印Dに沿って、左方向、あるいは、場合によっては、右方向に水平移動し、所定場所において交換することができる。
その他、金型冷却部(C部)において、金型60の背面(B面)を所定温度に冷却した後、図11に示すように、乾燥装置99を用いて、金型60やシート状物94等に対して、乾燥空気を吹き付けることが好ましい。
より具体的には、二点鎖線で記載された想定円に沿って、矢印Aの方向に、金型60が回転し、シート成形面であるB面が下方を向かせる。
次いで、形成したシート状物94及び金型60等に、乾燥空気を吹き付けて、これらの温度をさらに冷却するとともに、シート状物94の表面等に付着した水分等を除去する。
したがって、かかる乾燥処理を行うことによって、金型冷却部(C部)に設けてある冷却装置55の駆動時間を短縮化することができるとともに、シート状物94における吸水率を制御して、より高品質のシート状物94とすることができる。
なお、乾燥装置99は、複数の吹出口99a及び送風機99bから主として構成されており、これら吹出口99aの先端部が、全体として、約180°の範囲で、吹き付け角度を変えるための首振り機構が設けてある。
より具体的には、乾燥装置99の下方壁に沿って設けてある、複数の吹出口99aと、形成したシート状物94等を直接的に乾燥させるべく、金型60の直下に位置する複数の吹出口99a´とが、それぞれ設けてある。
したがって、例えば、風速1〜100m/秒の空気等につき、吹出口からの吹き付け角度を左右に変えながら、あるいは、一定角度に固定して、シート状物94等に対して吹き付けることができる。
その上、金型冷却部(C部)において、金型60の背面(B面)を所定温度に冷却した後、あるいは、冷却前に、図12(a)〜(b)に示すように、加熱装置100、100´を用いて、形成したシート状物94及び金型60を所定温度に加熱することも好ましい。
すなわち、金型冷却部(C部)における冷却装置や乾燥装置にかえて、あるいは、乾燥装置とともに、加熱装置100、100´を備え、遠赤外線方式のセラミックヒータ等によって、形成したシート状物94を加熱することが好ましい。
したがって、図12(a)に示す加熱装置100の場合、一部のフレーム部材100aの上方に、形成したシート状物94を備えた状態の金型60を載置し、下方から加熱処理することになる。
よって、シート状物94において、溶融が不十分だった成形樹脂をより均一に溶融させたり、シート状物94の乾燥を速めたりすることができる。
一方、図12(b)に示す加熱装置100´の場合、遠赤外線方式のセラミックヒータ63a等の下方に、形成したシート状物94を備えた状態の金型60を、所定フレーム100bの上に載置し、上方から加熱処理することになる。これによっても、シート状物94において、溶融が不十分だった成形樹脂を溶融させたり、シート状物94の乾燥を速めたりすることができる。
(2)構成2
また、かかる金型冷却部に関して、移動式又は固定式に限らず、第1のエアブロー、ミスト/シャワー、及び第2のエアブローの組み合わせによる、少なくとも三段階ステップによる金型冷却構成とすることが好ましい。
すなわち、最初に、シート状物94が形成された150℃程度の金型60の内部及び外部に対し、第1のエアーとして、空気を吹き付けて、金型温度を約100℃程度まで低下させることが好ましい。
次いで、ミストノズル及びシャワーノズル、あるいはいずれか一方のノズル98から水ミスト及び水シャワーを、金型外部から吹き付けて、金型温度を約50℃程度まで低下させることが好ましい。
最後に、シート状物94が形成され、50℃程度まで冷却された金型60の外表面及び内表面に対し、第2のエアーとして、空気を吹き付け、さらに金型温度の蓄熱をとるとともに、金型表面に残留している水滴等を吹き飛ばし、金型における錆の発生を有効に防止することが好ましい。
したがって、金型冷却部(C部)に、冷却装置55として、シャワーノズル/ミストノズル等のノズル98と、エアノズル(図示せず)を、併用して備えることが好ましい。
なお、シャワー装置/ミスト装置は、一つの給水タンクに連結されてあって、吹出口に設けた制御弁等の切り替え装置によって、噴霧量やシャワー量を決定することも好ましい。
(3)温度/時間
また、かかる金型冷却部(C部)に関して、移動式又は固定式に限らず、シート状物94を形成した金型60を、少なくとも三段階ステップによる冷却を実施し、金型温度を60℃以下の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる金型温度が60℃を超えると、次工程である脱型や、次サイクルの第2の樹脂の塗布が困難となる場合があるためである。
但し、金型温度を過度に低くすると、冷却時間が過度に長くなる場合があることから、冷却後の金型温度を30℃以上の値とすることが好ましい。
したがって、金型冷却部において、シート状物94を含む金型温度を30〜50℃の範囲内の値とすることがより好ましく、40〜45℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
そして、金型冷却部(C部)において、同様に移動式又は固定式に限らず、冷却時間を25〜50秒の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる冷却時間が25秒未満の値になると、シート状物94を形成した金型60の温度を、所定値以下とすることが困難となる場合があるためである。
一方、かかる冷却時間が50秒を超えた値になると、金型60を所定温度まで冷却する時間、ひいては、タクトタイムが過度に長くなって、経済的に不利となる場合があるためである。
したがって、金型冷却部において、冷却時間を30〜45秒の範囲内の値とすることがより好ましく、35〜40秒の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(4)冷却速度(温度勾配)
また、金型冷却部(C部)において、同様に移動式又は固定式に限らず、金型の冷却速度、すなわち、冷却時の温度勾配を100〜220℃/分の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる金型の冷却速度が100℃/分未満の値になると、金型を所定温度まで冷却する時間、ひいては、シート状物94の製品一つを得るまでのタクトタイムが過度に長くなって、経済的に不利となる場合があるためである。
一方、かかる金型の冷却速度が220℃/分を超えた値になると、金型を急冷することになって、熱疲労が著しく大きくなって、クラックが生じやすくなる場合があるためである。
したがって、金型冷却部(C部)において、金型の冷却速度を120〜210℃/分の範囲内の値とすることがより好ましく、140〜200℃/分の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
7.金型交換部
また、第1の実施形態のパウダースラッシュ成形機は、金型交換部(D部)をさらに備えることが好ましい。
すなわち、かかる金型交換部(D部)を利用して、パウダースラッシュ成形の途中で、種類の異なる二色成形されたシート状物を成形するための金型に変更したり、パウダースラッシュ成形中に、金型損傷が生じたりする場合に対応するためである。
すなわち、そのような場合であっても、パウダースラッシュ成形機を動作させたまま、金型を交換できるためである。
一方、かかる金型交換部(D部)は、金型冷却部(C部)が移動式であって、かつ、パウダースラッシュ成形している際には、冷却装置55を一時的に載置する箇所(仮台)ともなる。
したがって、図1及び図2に示すように、かかる金型交換部(D部)には、金型60を載置するための支持台66を備えるとともに、支持台66の位置が、外部制御によって、移動可能であることが好ましい。
なお、図2に示す金型交換部(D部)の例では、交換用の金型60´と、交換用の金型金型60´のフレーム部材61a´が、支持台66の上に待機しているばかりか、さらに、上方に伸びた支持台66の上には、さらに別の交換用の金型60´´と、フレーム部材61a´´とが、待機している状態である。
さらに言えば、図3(b)に示すように、かかる金型交換部(D部)には、冷却装置55が設けてあり、パウダースラッシュ成形後に、かかる冷却装置55が、移動する構成であることが好ましい。
その上、かかる冷却装置55や、金型60自体を交換する場合には、図3(b)に示す領域D1を利用して、これら金型60等を適宜水平移動させ、新規の冷却装置55や、金型60と交換することができる。
すなわち、図3(b)中、矢印Bに沿って、金型60等は、図面上、上方方向に水平移動し、その後、適宜、矢印Dに沿って、右横方向、あるいは、場合によっては、左横方向に水平移動する。
8.シート状物
図9等に示す、パウダースラッシュ成形されるシート状物94の形態に関し、厚さを、通常、1.1〜1.6mmの範囲内の値とし、より好ましくは、1.2〜1.4mmの範囲内の値とするとともに、例えば、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、オレフィン樹脂(熱可塑性オレフィン樹脂を含む。)、ウレタン樹脂(熱可塑性ウレタン樹脂を含む。)、ポリカーボネート樹脂、又はポリエステル樹脂(熱可塑性ポリエステル樹脂を含む。)の少なくとも一つの樹脂から構成してあることが好ましい。
この理由は、このように構成することにより、汎用性が高く、安価であり、しかも装飾性に優れたシート状物94を提供できるためである。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、図3(a)〜(b)等に示される、金型温度が所定温度以上の値になるように金型60を加熱する金型加熱部(A部)と、成形樹脂をパウダリングしながら吹きつけて、加熱した金型60の内表面に、所定厚さのシート状物94を成形するパウダースラッシュ部(B部)と、金型温度が所定温度以下となるように、金型60を冷却する金型冷却部(C部)と、冷却したシート状物94を、金型60から脱型する金型加工部(E部)と、を備え、さらには、金型60を、各部の間で移動させる搬送装置62と、を備えるとともに、搬送装置62の一部に、金型60を加熱するための予備加熱装置63が設けてあるパウダースラッシュ成形機10aを用いてなるパウダースラッシュ成形法である。
そして、図3(a)〜(b)等、あるいは図4〜図5に例示されるように、搬送装置62が、金型60を把持して、金型加工部(E部)から、金型加熱部(A部)に移送する工程と、金型加熱部(A部)において、金型温度が所定温度以上の値になるように金型60を加熱する工程と、搬送装置62が、加熱された金型60を把持して、金型加熱部(A部)から、パウダースラッシュ部(B部)に移送した後、成形樹脂をパウダリングしながら吹きつけて、加熱した金型60の内表面に、所定厚さのシート状物94を成形する工程と、金型60を冷却する冷却工程と、冷却したシート状物94を、金型60から脱型する工程と、を含み、かつ、搬送装置62が、金型60を把持して、金型加工部(E部)から、金型加熱部(A部)に移送する工程の間に、搬送装置62の一部に設けてある予備加熱装置63によって、金型60を加熱することを特徴とするパウダースラッシュ成形法である。
以下、第2の実施形態のパウダースラッシュ成形法について具体的に説明する。
1.金型準備工程
金型準備工程は、図1等に示される金型加工部(E部)において、パウダースラッシュ成形したシート状物94を、金型60から取り出す脱型作業を行って、次工程のために、別の所定金型60を準備する工程である。
2.予備加熱工程
次いで、予備加熱工程は、金型加工部(E部)において搭載した金型60を、搬送装置(クレーン等)62の一部に備えてなる予備加熱装置63を用いて、例えば、100〜200℃の金型温度(例えば、外表面温度)となるように、金型60を加熱する工程(以下、予備加熱工程と称する場合がある。)である。
すなわち、かかる予備加熱工程は、金型60を、金型加工部(E部)から金型加熱部(A部)に移動させる途中に、金型60の温度が所定温度となるように、予備的に加熱する工程である。
また、予備加熱工程において、把持した金型60に対して、かかる予備加熱装置63を動作させ、金型60の温度を、例えば、100〜200℃の温度とすることが好ましく、165〜195℃の温度とすることがより好ましく、170〜190℃の温度とすることがさらに好ましい。
この理由は、このような温度となるように金型60を予備加熱することにより、加熱炉58において、金型60の内表面温度との温度差を少なくし、金型60の熱劣化を防止するとともに、金型60の温度が所定温度(例えば、250〜300℃)になるように本加熱する際に、高速かつ均一加熱がさらに容易になるためである。
また、予備加熱工程において、搬送装置62が、金型60を把持すると同時に、予備加熱装置63にスイッチが入って、金型60を予備加熱することが好ましい。
この理由は、このように金型60の把持動作と同期して、金型60を予備加熱することにより、金型60の移送時間を十分に利用できるためである。
但し、金型60を把持すると同時に、予備加熱装置63にスイッチが入ると言っても、必ずしも0秒後である必要はなく、パウダースラッシュ成形の状況等に応じて、0.1秒後や1秒後であっても良い。
その他、予備加熱工程において、金型60の搬送時の温度低下を防止すべく、別の金型に対する加熱処理の間に、さらに別の金型60を搬送装置62にクランプしながら、予備加熱処理を施すことも好ましい。
この理由は、所定の予備加熱処理によって、パウダースラッシュ部を含む一体箇所(B部/C部)での、加熱処理された金型60に対するシート状物94の形成を、より迅速かつ安定的に行うことができ、ひいては、シート状物一つ当たりの成形時間(タクトタイム)をより短期化できるためである。
なお、後述するように、金型60の温度が、例えば、260℃になるまで、加熱炉58の熱風を循環利用して、金型60が加熱処理された後、パウダースラッシュ部(B部)に移動されることになる。
その際、かかる金型60をパウダースラッシュ部(B部)に移送するまでの間も、予備加熱装置63によって、温度維持のための加熱として、金型60の温度を、所望温度範囲の値に維持することができる。
すなわち、予備加熱装置63によって、金型60の温度についても、それが維持されるように、維持加熱することもできるので、パウダースラッシュ部(B部)において、シート状物94をさらに安定的に成形することができる。
3.加熱工程
次いで、加熱工程は、金型加熱部(A部)において、金型60を、例えば、220〜300℃、より好ましくは、230〜270℃の金型温度となるように、加熱する工程(以下、加熱工程と称する場合がある。)である。
したがって、所定の金型60を金型加熱部(A部)に移動させて、加熱炉58内に搬入し、そこで、金型60の温度が所定温度となるように、迅速に加熱することが好ましい。
なお、上述したように、加熱工程を実施するに際して、後工程であるパウダースラッシュ工程で均一な厚さのシート状物94を成形できるように、金型60の温度が所定の均一温度になるように、熱風による対流加熱を行うことが好ましい。
4.パウダースラッシュ工程
次いで、パウダースラッシュ工程は、パウダースラッシュ部(B部)において、金型60に対して、所定のシート状物94を成形する工程(以下、単に、スラッシュ工程と称する場合がある。)である。
すなわち、加熱状態の金型60を、金型加熱部(A部)からパウダースラッシュ部(B部)に移動させ、そこで、図9(c)に示すように、成形樹脂92からなるシート状物94を形成する工程である。
但し、上述したように、図3(a)に示すパウダースラッシュ成形機10aの場合、パウダースラッシュ部(B部)が、金型冷却部(C部)と一体化されているとともに、冷却装置55等が移動式であることから、かかるパウダースラッシュ工程は、パウダースラッシュ部及び金型冷却部を含む一定箇所(B部/C部)で行われることになる。
すなわち、図3(b)に示すように、金型60を冷却する際には、パウダースラッシュ終了後の粉体ボックスが、矢印Cに示すように、パウダースラッシュ部(B部)からボックス交換位置(D2)に、水平的に移動する。
ここで、スラッシュ工程を実施するにあたり、パウダースラッシュ部及び金型冷却部を含む一定箇所(B部/C部)で行われるか否かにかかわらず、フレーム部材61を含む金型60と、リザーバタンクとを連結した状態で回転させて、記号Aで示される金型60の内表面に所定の厚さのシート状物94を形成することが好ましい。
すなわち、フレーム部材61を含む金型60と、リザーバタンク88とを組み合わせた状態で、上下方向に反転させることが好ましい。
この理由は、このように実施すると、リザーバタンク88内の成形樹脂(パウダー)92は自重で、金型60の内表面(A面)に落下するので、かかる金型60の内表面に接する成形樹脂92及びその近傍の成形樹脂92のみが、金型60の熱によって溶融状態となって付着し、シート状物94を短時間に形成できるためである。
したがって、金型温度を220℃以下の値に加熱するとともに、パウダリング時間を調整し、かつ、200℃以下の熱風を、シート状物の裏面に対して、吹き付ける後加熱処理を実施することが有効であると理解される。
また、フレーム部材61を含む金型60を反転させる際、成形樹脂92が所定箇所以外に飛散せず、かかる金型60における所望の内表面(A面)のみに、シート状物94を形成できるように、攪拌室88aを介して吸引し、金型60内の圧力を低下させることが好ましい。
すなわち、金型60を回転させてパウダースラッシュ成形している最中には、金型60の内圧を低下させるために吸引し、パウダースラッシュ成形前には、リザーバタンク88に収容された成形樹脂92の内部に、所定量の空気を吹き込むための圧力調整装置(図示せず)が設けてあることが好ましい。
5.金型冷却工程
次いで、金型冷却工程は、図1に示す金型冷却部(C部)においてシート状物94を形成した金型60を、所定温度まで冷却する工程(以下、金型冷却工程と称する場合がある。)である。
すなわち、シート状物94を成形した状態の金型60を、パウダースラッシュ部(B部)から金型冷却部(C部)に移動させ、そこで、少なくとも第1のエアブロー、ミスト/シャワー、及び第2のエアブローの組み合わせによる三段階ステップで、通常、40〜50℃に冷却する工程である。
ここで、一部上述したように、図3に示すパウダースラッシュ成形機10aの場合には、ダウンサイジング化等のために、パウダースラッシュ部(B部)と、金型冷却部(C部)とが一体化(B/C部)されており、同一箇所で、パウダースラッシュと、金型冷却を行うことになる。
すなわち、金型60を冷却する際には、パウダースラッシュ終了後の粉体ボックスが、パウダースラッシュ部からボックス交換位置に移動するとともに、金型冷却部(金型交換部(D部))に設けてある冷却装置55が、パウダースラッシュ部の回転装置の直下に移動する。
そして、金型60を把持するフレーム部材等と係合し、金型60の内表面を外部に解放した状態で、金型60の外表面に対して、冷却水をシャワー又は冷却ミストを吹き付けることが好ましい。
但し、シート状物の一つあたりのタクトタイムを重視する場合には、図1及び図2のパウダースラッシュ成形機10に示すように、パウダースラッシュ部(B部)と、金型冷却部(C部)とを独立的に設けるとともに、異なる金型において、同時期に、パウダースラッシュ成形と、冷却工程を実施することも好ましい。
6.脱型工程
最後に、脱型工程は、金型加工部において、形成したシート状物を、金型から脱型する工程(以下、脱型工程と称する場合がある。)である。
すなわち、冷却工程を経て、約40〜60℃に低下したシート状物94を、金型60から脱型する工程である。
なお、かかる脱型工程は、ロボットを用いて自動的に行うこともできるし、あるいは人的作業として、シート状物を脱型することもできる。
7.動作例1
このパウダースラッシュ成形に関する一連の所定処理を実施するにあたり、複数の金型、少なくとも3個の金型である金型A(以下、60A)、金型B(以下、60B)、及び金型C(以下、60C)を同時使用した動作例を図3(a)〜(b)にて説明する。
すなわち、それぞれの金型60A〜Cにつき、同時並行して所定処理が行うことによって、シート状物94の一つ当たりのタクトタイムを、150秒以下、より好ましくは、120秒以下と、従来装置の場合のタクトタイム(例えば、240秒)と比較して、極めて短くすることができる。
以下、図3(a)〜(b)に示すパウダースラッシュ成形機10aを参照しながら、3個の金型60A〜Cを同時使用して、タクトタイムが短くなる動作例を説明する。
まずは、予備加熱装置63を備えた搬送装置62が、金型60Aをクランプして、所定場所まで上昇し、予備加熱装置63によって、所定時間にわたる金型60Aの予備加熱を開始する。
次いで、金型60Aの予備加熱をしながら搬送装置62が、下降し、金型加工部(E部)から、パウダースラッシュ部(B部)に移動する。
次いで、搬送装置62が、パウダースラッシュ成形/冷却処理において、既に終了した金型60Bを、パウダースラッシュ/冷却部(B/C部)から、金型加工部(E部)に搬送し、脱型処理を行う。
この脱型処理の間に、搬送装置62が、金型加工部(E部)から、金型加熱部(A部)に、金型60Aを搬送して、所定時間の加熱処理を行う。
また、この金型60Aに対する加熱処理の間に、搬送装置62が、金型Cをクランプして、予備加熱を開始する。
次いで、搬送装置62が、金型60Aを、金型加熱部(A部)から取り出し、パウダースラッシュ/冷却部の一体箇所(B/C部)に搬送した後、パウダースラッシュ成形/冷却処理が順次行われる。
その際、金型60Aを冷却する際には、パウダースラッシュ終了後の粉体ボックスが、パウダースラッシュ部からボックス交換位置に移動する。
そして、金型冷却部(金型交換部D部)に設けてある冷却装置55が、パウダースラッシュ部(B部)/金型冷却部(C部)の回転装置の直下に移動する。
そして、金型60Aを把持するフレーム部材と係合し、金型60Aの内表面を外部に解放した状態で、金型60Aの外表面に対して、冷却水をシャワー又は冷却ミストを吹き付けることになる。
そして、このパウダースラッシュ成形/冷却処理の間に、搬送装置62が、金型60Cをクランプして予備加熱を行うとともに、金型加熱部(A部)に移動させ、加熱処理を開始する。
すなわち、搬送装置62が、パウダースラッシュ部及び冷却部を含む一体箇所(B/C部)から、金型加熱部(A部)に移動し、金型60Cを搬送して、所定時間の加熱処理を行うことが好ましい。
最後に、搬送装置62が、パウダースラッシュ成形/冷却処理が終了した金型60Aを、パウダースラッシュ部及び冷却部を含む一体箇所(B/C部)から、金型加工部(E部)に搬送し、脱型処理を行う。
以上の説明の通り、図3(a)〜(b)に示すパウダースラッシュ成形機10aにおいて、金型60A、金型60B、及び金型60Cを用いた場合、動作例1によれば、予備加熱処理を含めて、それぞれ独立した処理を同時並行で行うことができる。
また、各工程において、必ずしも処理時間が一定とならない場合や、物理的に同時処理ができない場合があるが、そのような場合には、所定場所、例えば、加熱炉58´の上方で待機しつつ、搬送装置62に備えた予備加熱装置63によって、金型60を予備加熱しすればよい。
その他、動作例1の場合、右から、金型加熱部(A部)、パウダースラッシュ/冷却部(B/C部)、金型交換部(D部)及び金型加工部(E部)の順に、配置してあるパウダースラッシュ成形機10を想定したが、右から、金型加熱部(A部)、金型交換部(D部)、パウダースラッシュ/冷却部(B/C部))、及び金型加工部(E部)の順に、配置してあるパウダースラッシュ成形機10であっても良い。
8.動作例2
動作例1では、図3(a)〜(b)に示すように、パウダースラッシュ成形/冷却処理が一体箇所(B/C部)で行われるパウダースラッシュ成形機10aの存在を前提として、各種所定処理を説明した。
それに対して、動作例2では、図1及び図2に示すパウダースラッシュ成形機10、すなわち、パウダースラッシュ部(B部)と、金型冷却部(C部)とが独立的に設けてあり、かつ、パウダースラッシュ成形及び冷却処理を別々な箇所で、それぞれ別個に行うパウダースラッシュ成形機10を想定して、各種所定処理を説明することができる。
すなわち、動作例2では、例えば、金型60Aを、搬送装置62によって、金型加熱部(A部)から取り出し、パウダースラッシュ部(B部)に搬送した後、所定時間のパウダースラッシュ成形を行うこととする。
そして、動作例2では、例えば、金型60Aに対して、パウダースラッシュ部(B部)において、所定時間のパウダースラッシュ成形を行っている最中に、別の金型60Bに対して、別の処理を行うことができる。
例えば、金型60Aに対して、パウダースラッシュ成形を行っている最中に、搬送装置62を用いて金型60B(パウダースラッシュ処理済)を、金型冷却部(C部)に移動させて、そこで同時期に冷却処理を行うことができる。
一方、動作例2では、これとは別工程として、例えば、金型60Aに対して、パウダースラッシュ部(B部)において、所定時間のパウダースラッシュ成形を行った後、搬送装置62を用いて、金型冷却部(C部)に移動させて、そこで冷却処理を行うことも可能である。
したがって、かかる動作例2では、パウダースラッシュ成形/冷却処理が一体箇所(B/C部)で行われる装置を前提とした場合の動作例1の処理時間と比較して、金型60Aに対して、パウダースラッシュ成形を行っている際の次工程への待ち時間や、あるいは、パウダースラッシュ部(B部)への冷却装置の移動等の時間を省略することができる。
よって、100秒以下、より好ましくは、80秒以下のタクトタイムで、一つのシート状物を成形することができる。
なお、動作例2においても、予備加熱装置付き搬送装置を用いることや、一つの搬送装置で、複数の金型を同時搬送したりできる点は、動作例1と同様である。
[実施例1]
1.シート状物の作成
(1)金型の準備工程
図1に示す金型加工部(E部)において、所定の金型(ニッケル電鋳型、厚さ3.5mm)を準備した。
(2)予備加熱工程
次いで、図1に示す金型加工部(E部)から、金型加熱部(A部)に、搬送装置としてのクレーンを用いて、所定の金型を移動させた。
その際、クレーンが、金型を把持するのと同期させて、遠赤外線方式のセラミックヒータをスタートさせ、金型の外表面温度が、例えば180℃となるように、約30秒間、予備加熱を行った。
(3)加熱工程
次いで、クレーンに取り付けた予備加熱装置を用いて、金型を搬送中に、約160℃に予備加熱した金型を、温度が約430℃に維持された本加熱炉(単位時間あたりの供給熱量:30万kcal/hr)の内部に収容して、目安として、金型の平均表面温度(A面と、B面との温度差8℃以内)が、約260℃になるように、所定流速条件下、約35秒間加熱した。
なお、金型温度としての金型の表面温度(A面及びB面)は、上述した非接触赤外線温度計、サーモグラフィ温度計、あるいは、接触式熱電対によって、直接的に測定することができる。
あるいは、非接触赤外線温度計等によって、金型の外表面(A面)の温度を測定し、それから、金型の素材や厚さ等を考慮して、内表面(B面)の温度を推定する、すなわち、間接的に測定することも可能である。
(4)パウダースラッシュ工程
次いで、図1に示すように、金型加熱部(A部)からパウダースラッシュ部(B部)に、クレーンを用いて金型を移動させた。
次いで、パウダースラッシュ成形機を用いて、約260℃に加熱された金型に対して、耐熱塩化ビニル樹脂からなる成形樹脂(平均粒径:30μmパウダー)を、30秒間パウダースラッシュ成形し、厚さ約1.3mmのシート状物を得た。
また、金型加熱部(A部)からパウダースラッシュ/冷却部(B/C部)に移動させる約15秒の間に、クレーンに取り付けた予備加熱装置を用いて、金型温度を所定温度(約130℃)に維持する予備加熱を行ったところ、赤外線温度計を用いて、金型温度がほとんど低下しない(5℃未満)であることを確認した。
それに対して、従来の予備加熱装置無しのクレーンを用いた場合には、金型加熱部(A部)からパウダースラッシュ部(B部)に移動させる間に、金型温度が約10〜30℃低下し、パウダースラッシュ成形に影響することが別途判明している。
(5)冷却工程
次いで、図1に示すように、パウダースラッシュ部(B部)に、クレーンを用いてシート状物を含む金型を保持したまま、パウダースラッシュ終了後の粉体ボックスが、パウダースラッシュ部からボックス交換位置に移動するとともに、金型交換部(D部)に設けてある冷却装置が、パウダースラッシュ部の回転装置の直下に移動した。
次いで、冷却装置が、金型を把持するフレーム部材と係合するとともに、シート状物が形成された金型を事実上、上向きとし、金型の内表面を外部に解放した状態で、金型の下方から、外表面に対して、冷却水をシャワー又は冷却ミストを吹き付けた。
すなわち、金型の外表面に対して、第1のエアー(乾燥空気)を約20秒間吹き付けることにより、シート状物の表面温度が約100℃に低下することを確認した。
次いで、金型の外表面に対して、ミスト/シャワー冷却を約15秒間実施し、シート状物の表面温度が、約100℃から、約55℃に低下することを確認した。
さらに、第2のエアー(乾燥空気)を約5秒間吹き付け、シート状物の表面に付着した水滴を飛散させるとともに、金型温度が、約55℃から、約50℃まで低下することを確認した。
(6)脱型工程
次いで、図1に示すように、金型冷却部(C部)から金型加工部(E部)に、クレーンを用いてシート状物を含む金型を移動させた後、約50℃の温度に低下したシート状物を、人的作業により脱型し、実施例1のシート状物とした。
2.シート状物の評価
得られたシート状物の任意の10か所の厚さをノギスで測定し、その平均厚さから、以下の基準に準じて、膜厚形成性を評価した。
その結果、平均厚さが1.4mmであって、かつ、シート状物の膜厚のばらつき(最大値と、最小値の差)は、80μm未満であった。
また、図1に示すパウダースラッシュ成形機を用いて、同一条件でシート状物の製造を繰り返したところ、10000回以上の使用によっても、グロス現象(焼き付け現象)が生じないとともに、金型におけるクラックの発生も見られないことを確認した。
[比較例1]
比較例1においては、加熱工程における金型の表面温度を、クレーンに取り付けた予備加熱装置による予備加熱を全く行わなわなかったほかは、実施例1と同様に、シート状物を作成して、評価した。
その結果、得られたシート状物の任意の10か所の厚さをノギスで測定し、その平均厚さから、以下の基準に準じて、膜厚形成性を評価した。その結果、平均厚さが1.2mmであって、かつ、膜厚のばらつき(最大値と、最小値の差)は、1600μm以上であった。
また、図1に示すパウダースラッシュ成形機を用いて、同一条件でシート状物の製造を繰り返したところ、100回未満の使用によって、グロス現象(焼き付け現象)が生じたり、あるいは、金型におけるクラックが発生したりすることを確認した。
本発明のパウダースラッシュ成形機及びパウダースラッシュ成形法によれば、本来、金型の内表面を主として加熱する加熱炉のほかに、搬送中の金型を加熱するための予備加熱装置を、搬送装置の一部に設けたことにより、本加熱炉において、金型を所定温度に加熱するまでの時間を著しく短縮化かつ均一化できるようになった。
そして、金型に対する加熱の短縮化等に伴い、シート状物を成形する際のタクトタイムを、いわゆる3型であれば120秒以下の値とし、いわゆる4型であれば80秒以下の値まで、短縮できるようになった。
また、金型の予備加熱によって、部分的加熱や、温度差を有する加熱も可能となって、それに伴い、金型内部の温度分布も小さくなり、特に、図9(a)に示されるように、最も窪んだ金型60の内表面位置60cにおいて、均一な部分加熱が可能となって、金型60の金属疲労(クラック発生)の発生を有効に防止できるようになった。
したがって、得られたパウダースラッシュ成形品としてのシート状物94によれば、自動車の内装材やバンパー等として、好適に使用されることが期待される。
10、10a:パウダースラッシュ成形機、14:熱風、16:熱風吹出口、40:熱風発生装置、41:分岐配管、43:主配管、48:ダンパ、49:邪魔板、54:エネルギ回収部、55:冷却装置、58、58´:加熱炉、58a:シャッター、58b:錘、58c:加熱装置、58d:回収装置、58e:撹拌装置、58f:吹出口、60、60´、60A、60B、60C:金型、60´、60´´:交換用の金型、61:金型のフレーム部材、61a´、61a´´:交換用の金型のフレーム部材、62:搬送装置(クレーン)、62c:フック、63:予備加熱装置、63a:遠赤外線加熱方式のヒータ(セラミックヒータ)、63b:電源/モータ類、63c:フレーム部材、63d:被覆部材、64:粉体ボックス、84a、84b:型枠、88:リザーバタンク、88a:攪拌室、92:第2の樹脂(成形樹脂)、94:シート状物、98:シャワーノズル/ミストノズル、99:乾燥装置、99a、99a´:吹出口、99b:送風機、100、100´:加熱装置

Claims (8)

  1. 金型温度が所定温度以上の値になるように金型を加熱する金型加熱部と、
    成形樹脂をパウダリングしながら吹きつけて、加熱した前記金型の内表面に、所定厚さのシート状物を成形するパウダースラッシュ部と、
    前記金型温度が所定温度以下となるように、前記金型を冷却する金型冷却部と、
    冷却したシート状物を、前記金型から脱型する金型加工部と、
    を備え、
    さらには、前記金型を、各部の間で移動させる搬送装置と、を備えてなるパウダースラッシュ成形機であって、
    前記搬送装置の一部に、前記金型の少なくとも外表面を加熱するための予備加熱装置が設けてあることを特徴とするパウダースラッシュ成形機。
  2. 前記予備加熱装置が、遠赤外線加熱方式のヒータを備えることを特徴とする請求項1に記載のパウダースラッシュ成形機。
  3. 前記予備加熱装置が、下方に開口した開口部を有しており、当該開口部を介して、前記金型を収容する被覆部材を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のパウダースラッシュ成形機。
  4. 前記搬送装置が、前記金型を把持すると同時に、前記予備加熱装置にスイッチが入って、前記金型を予備加熱するための同期機構を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のパウダースラッシュ成形機。
  5. 前記パウダースラッシュ部と、前記金型冷却部と、が一体化されており、前記パウダースラッシュ部と、前記金型冷却部と、の間に、パウダースラッシュ部におけるパウダーボックスと、金型冷却部における冷却装置と、の位置交換を可能とする交換装置が設けてあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のパウダースラッシュ成形機。
  6. 金型温度が所定温度以上の値になるように金型を加熱する金型加熱部と、
    成形樹脂をパウダリングしながら吹きつけて、加熱した前記金型の内表面に、所定厚さのシート状物を成形するパウダースラッシュ部と、
    前記金型温度が所定温度以下となるように、前記金型を冷却する金型冷却部と、
    冷却したシート状物を、前記金型から脱型する金型加工部と、
    を備え、
    さらには、前記金型を、各部の間で移動させる搬送装置と、を備えるとともに、前記搬送装置の一部に、前記金型の少なくとも外表面を加熱するための予備加熱装置が設けてあるパウダースラッシュ成形機を用いてなるパウダースラッシュ成形法であって、
    前記搬送装置が、前記金型を把持して、前記金型加工部から、前記金型加熱部に移送する工程と、
    前記金型加熱部において、前記金型温度が所定温度以上の値になるように少なくとも金型の内表面を加熱する工程と、
    前記搬送装置が、前記加熱された金型を把持して、前記金型加熱部から、前記パウダースラッシュ部に移送した後、前記成形樹脂をパウダリングしながら吹きつけて、加熱した前記金型の内表面に、所定厚さのシート状物を成形するする工程と、
    前記金型を冷却する冷却工程と、
    冷却したシート状物を、前記金型から脱型する工程と、を含み、
    かつ、前記搬送装置が、前記金型を把持して、前記金型加工部から、前記金型加熱部に移送する工程の間に、前記搬送装置の一部に設けてある予備加熱装置によって、前記金型の少なくとも外表面を加熱することを特徴とするパウダースラッシュ成形法。
  7. 前記搬送装置が、前記金型を移送する際に、前記金型とは異なる金型を、前記搬送装置の下方に把持して、同時に搬送することを特徴とする請求項6に記載のパウダースラッシュ成形法。
  8. 前記金型を冷却する際には、前記パウダースラッシュ終了後の粉体ボックスが、ボックス交換位置に移動するとともに、前記金型冷却部に設けてある冷却装置が、前記パウダースラッシュ部の回転装置の直下に移動して、前記金型のフレーム部材と係合し、金型の内表面を解放した状態で、金型の外表面に対して、冷却水をシャワー又は冷却ミストを吹き付けることを特徴とする請求項6又は7に記載のパウダースラッシュ成形法。
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