JP6274448B2 - 焼成炉及びコーティング方法 - Google Patents
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Description
真空二重管構造は、内層と外層から成る二重管の間を、外層に設けられた孔から真空引きして、外層の孔を封止部にて封止して真空に近い状態に保つことで、高い断熱効果が得られるというものである。
また、容器の内面への汚れの付着防止、保温性の向上、及び外観を良好にすることを目的として、容器の内面をフッ素樹脂等の樹脂材料でコーティングすることが一般的に知られている。
このコーティング作業の工程は、大別すると、ブラスト工程、塗装工程、乾燥工程、焼付け工程によって構成される。
特に、内部に熱が伝わりにくい断熱容器の内面に対する樹脂材料の焼付けに好適な技術として、熱源であるノズルによって断熱容器を内面側から強制的に加熱することにより、乾燥及び焼付けを行う技術が知られている(特許文献1)。
また、熱源であるノズルにも付着したフッ素樹脂等による煤が生じてしまうことがあり、この場合には、煤を除去しなくては、均一に熱を加えることが更に困難となり、悪循環を招いていた。
しかし、この場合には、真空引き部分に設けられて相対的に熱に弱い封止部にまで熱が加わってしまうことがあった。
このため、封止部の変形を防止して真空状態を確保するために、封止部の変形温度よりも低い温度に、焼付けを行なう焼成室内の温度を下げざるを得ず、焼付け温度が制限されることとなった。この場合には、樹脂材料の結晶粒内の偏析を十分に無くすことができずに、容器内面の塗装面が粗くなることがあった。
本発明の他の目的は、容器に付加する熱風を生成するのに要するコストを低減し、環境負荷を軽減することにある。
上記構成によれば、貫通孔を有する載置板上に容器を載置することによって、封止部近傍の熱を外気側にスムーズに流出させることができ、封止部近傍の温度の上昇を抑制することが可能となる。
上記構成によれば、生成した熱風を、内部ダクト、戻りダクト及び循環ダクトを通して循環させることで、熱風生成のための電力を節約することができ、環境負荷を低減することができる。
上記構成によれば、生成した熱風を循環させることで、熱風生成のための電力を節約することができ、環境負荷を低減することができる。
また、封止部近傍の熱を外気側にスムーズに流出させることができ、封止部近傍の温度の上昇を抑制することが可能となる。
また、生成した熱風を循環させることで、熱風生成のための電力を節約することができ、環境負荷を低減することができる。
特に、本実施形態に係るコーティング方法においては、後述する焼成工程において、保持治具を用いることにより、真空部を封止する封止部であるろう材が熱風に曝されることを防止し、その温度変形を防止することを特徴とする。
ここで、図1は、本実施形態に係るコーティング容器の製造方法のフローを示す図である。
本製造工程は、図1に示すように、大まかに分けて塗装工程S1と焼付工程S3とから構成される。
エアブロー工程S11は、ブラスト工程S10により断熱容器5に付着したサンドブラストを風圧によって除去する工程である。
本乾燥工程S14は、図示せぬ乾燥炉を用いて温度を上昇させて、断熱容器5内のフッ素樹脂の塗料を完全に乾燥させる工程である。
事前昇温工程S30は、昇温炉を用いて、断熱容器5の温度を上昇させる工程である。
本焼成工程S31は、焼成炉1を用いて、フッ素樹脂材料を断熱容器5に焼き付ける工程である。
本焼成工程S31の後、コーティング工程が終了する。
ここで、図2は、本実施形態に係る焼成炉1の模式的な正面図、図3は、焼成炉1の模式的な平面図、図4は、焼成炉1の模式的な右側面図、図5は、焼成炉1の模式的な左側面図である。
載置板12aには、複数の貫通孔12bが形成されている。詳細については後述するが、貫通孔12bによって、載置板12a上に載置された断熱容器5が、焼成炉1の開口10aを介して焼成炉1外の空気に触れるためその温度上昇が抑制される。
更に、焼成炉1内の空気が貫通孔12b及び焼成炉1の開口10aを介して焼成炉1外に排出されることとなる。
特に、バーナー機器11cは、本実施形態において、後述する吹出ノズル11bよりも多く設けられた吹出バルブ11dから、吹出ノズル11bと同じ最高温度400度で吹き出し可能に構成されている。
そして、吹出ノズル11bの下端は、焼成室10内に搬送された断熱容器5の上部の開口に近接する位置に配置されている。
ヒーター機器11aから供給される熱風は、吹出ノズル11bが開状態にあるときに、焼成室10内にある断熱容器5の開口に向けて上方から吹き出されることとなる。
吹出バルブ11dから供給される熱風は、吹出バルブ11dが開状態にあるときに、焼成室10内にある断熱容器5全体に向けて上方から吹き出されることとなる。
そして、焼成室10内に吹き出された熱風は、本体1aの両側壁に複数形成された開口10aを通じて本体1a外に排出される。
つまり、吹出バルブ11dが閉状態にあるときは、ヒーター機器11aから供給される熱風は、内部ダクト10cから焼成室10に流出せず、戻りダクト10d、内部ダクト10c及び循環ダクト10bを通って、ヒーター機器11aに循環することとなる。
つまり、吹出バルブ11dが閉状態にあるときは、ヒーター機器11aから供給される熱風は、内部ダクト19cから焼成室10に流出せず、戻りダクト19d、内部ダクト19c及び循環ダクト19bを通って、バーナー機器11cに循環することとなる。
つまり、生成された熱風は、大気に流出することなく、温度低下が抑制されて、新たな熱風の生成に再利用されることとなる。このため、熱風生成のためのエネルギー消費を抑制でき、生成コストを低減することが可能となる。
また、冷却ファン14によって冷却された断熱容器5は収納場所に搬送されることとなり、複数の断熱容器5に連続的に効率良く焼成が施されることとなる。
なお、このように連続的に焼成するものに限られず、バッチ処理によって、まとまった個数ごとに焼成を施すようにしてもよい。
ここで、図6は、断熱容器5の下側斜視図、図7は、支持治具13によって断熱容器5を支持させた状態を示す図、図8は、支持治具13を用いなかった場合の焼成室10の温度変化を示す図、図9は、支持治具13を用いた場合の焼成室10の温度変化を示す図、図10は、支持治具13を用いた場合の断熱容器5の温度変化を示す図である。
特に、図8及び図9に示す下側温度T1,T1aは、焼成室10内の下側に設けられた2つの温度センサの温度を示し、上側温度T2,T2aは、焼成室10内の上側に設けられた2つの温度センサの温度を示すものである。
また、図10に示す、外底温度T3は、焼成工程において、焼成室10内に設けられた断熱容器5の外底に取り付けられた温度センサの温度、内側温度T4は、断熱容器5の内側側面に取り付けられた温度センサの温度、内底温度T5は、断熱容器5の内底に取り付けられた温度センサの温度、上縁温度T6は、断熱容器5の上縁に取り付けられた温度センサの温度を示すものである。
この変形を防止するために、焼成室10の温度をその温度よりも低く設定した場合には、樹脂材料の結晶粒内の偏析を十分に無くすことができずに、容器内面の塗装面が粗くなることがあった。
そこで、次に詳細に説明する支持治具13によって断熱容器5を支持させ、棚板13cによってろう材52近傍の温度上昇を制限する。
棚板13iは、棚板13cとは別の本発明に係る隔壁に相当し、側板13aに両端を固定されて水平向きに取り付けられている。棚板13iにも同様に、断熱容器5を支持する支持孔13fが、厚さ方向である上下方向に貫通して、長手方向に沿って4つ形成されている。
このように支持治具13は、棚板13c,13iを上下に複数備えることで、大きさの異なる断熱容器5を好適に支持できるように構成されている。
このような構成により、支持治具13は、断熱容器5の外径が大きい場合には、支持孔13fによって直接支持し、断熱容器5の外径が小さい場合には、その外径に適した径の支持孔13hを有する支持板13gを用いて好適に支持することができる。
特に、支持治具13の棚板13c及び棚板13iによって、ろう材52の周囲が、上方から吹き出される熱風に直接的に曝されることを回避することができる。
このため、ろう材52周囲の温度上昇を抑制することが可能となる。
更に、棚板13c及び棚板13iが貫通孔12bと断熱容器5の上部とを隔てていることで、断熱容器5の内部の熱が貫通孔12bを介して外気に流出することを抑制することができる。
このため、断熱容器5の内部の樹脂材料の焼付けを安定した高い温度で好適に行なうことが可能となる。
このため、図9に示すように、支持治具13を用いた場合には、図8に示す支持治具13を用いない場合と比較して、焼成室10内における下側温度T1a及び上側温度T2aのそれぞれの温度の変動を小さくして安定させることができる。
そして、上側温度T2aの温度変動が小さいために、内側温度T4、内底温度T5及び上縁温度T6の温度変動を当然小さくすることができる。
このように、内側温度T4、内底温度T5及び上縁温度T6を高く維持しつつ、温度変動を小さくできるため、焼付けによる樹脂材料の結晶粒内の偏析を十分に無くすことが可能となり、容器内面の塗装面を滑らかにすることが可能となった。
本発明はこのような形態に限定されず、支持治具によってろう材が熱風に直接的に曝されることを回避できればよい。
例えば、熱風の供給方向を下から上方向として、焼成室の上部に支持治具としてのネットを設け、このネットに逆さ吊りした断熱容器を取り付けるようにし、断熱容器の上方に外気に繋がる貫通孔を形成するようにしてもよい。
このように、断熱容器を吊り下げる構成によれば、塗料が自重により容器から落ちるため、断熱容器の下方に塗料が偏ることを防止しつつ、支持治具によって、ろう材の温度が高まることを抑制し、ろう材が変形することを防止することができる。
1a 本体
2 スラットコンベア
5 断熱容器
10 焼成室
10a 開口
10b,19b 循環ダクト
10c,19c 内部ダクト
10d,19d 戻りダクト
10e,19e 導入口
11a ヒーター機器(熱風供給部)
11b 吹出ノズル(供給端)
11c バーナー機器(熱風供給部)
11d 吹出バルブ(供給端)
12 コンベアチェーン
12a 載置板
12b 貫通孔
13 支持治具
13a 側板
13c,13i 棚板(隔壁)
13d 梁材
13e スリット
13f 支持孔
13g 支持板
13h 支持孔
13j 位置決め板
13k 締結具
14 冷却ファン
20 ギヤードモーター
51 容器本体
52 ろう材(封止部)
T1,T1a 下側温度
T2,T2a 上側温度
T3 外底温度
T4 内側温度
T5 内底温度
T6 上縁温度
Claims (5)
- 内層と外層との間に真空を有する二重構造を有して、真空引きするための孔を封止する封止部を前記外層に有する容器の内面を、樹脂塗料でコーティングする際に用いられる焼成炉であって、
前記容器に樹脂材料を焼き付けるための焼成室を備える本体と、
前記焼成室内にある前記容器に熱風を供給する熱風供給部と、
前記焼成室内にある載置板に載置されて前記容器を支持する支持治具と、を備え、
該支持治具は、前記容器の前記封止部と前記熱風供給部との間に少なくとも一つの隔壁を有し、
前記本体は、前記隔壁よりも前記封止部側に、前記焼成室内から前記焼成室外に繋がる開口を有することを特徴とする焼成炉。 - 前記載置板は、前記開口に繋がる貫通孔を有すること特徴とする請求項1に記載の焼成炉。
- 前記本体は、内部にある前記焼成室の近傍に内部ダクトを備え、
前記焼成炉は、
前記熱風供給部と前記内部ダクトとを接続する戻りダクトと、
前記内部ダクトから前記熱風供給部に前記熱風を循環させる循環ダクトと、を備え、
前記熱風供給部は、前記内部ダクトと前記焼成室内とを連通して、開状態にあるときに前記内部ダクトから前記焼成室に前記熱風を供給する供給端を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の焼成炉。 - 内層と外層との間に真空を有する二重構造を有し、真空引きするための孔を封止する封止部を前記外層に有する容器の内面を樹脂塗料でコーティングするコーティング方法であって、
樹脂材料を前記容器に塗布する塗装工程と、
該塗装工程後に、前記容器の前記樹脂材料の塗布面を乾燥する乾燥工程と、
前記塗装工程及び前記乾燥工程を少なくとも一回行った後に、焼成炉の焼成室内において、熱風供給部から供給される熱風によって前記樹脂材料を前記容器に焼き付ける焼成工程と、を備え、
前記焼成工程において、前記焼成室内から前記焼成室外に繋がる開口によって前記容器の前記封止部が外気に触れるようにしつつ、前記封止部と前記熱風供給部との間を隔てて、前記熱風供給部から前記熱風を前記容器に供給することを特徴とするコーティング方法。 - 前記焼成工程において、前記容器に前記熱風を吹き出さない場合に、前記熱風供給部から前記焼成炉の本体内との間で前記熱風を循環させることを特徴とする請求項4に記載のコーティング方法。
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